説明

ブレーキ装置における液路の誤組み検出方法

【課題】 ブレーキ装置のスレーブシリンダに対する一対の上流側液路および一対の下流側液路の誤組みを検出する。
【解決手段】 タンデム式のマスタシリンダ11とタンデム式のスレーブシリンダ23とを接続する一対の上流側液路Pb,Qbのそれぞれに遮断弁22A,22Bを設け、スレーブシリンダ23とホイールシリンダ16,17;20,21とを接続する一対の下流側液路Pc,Qcの少なくとも一方に液圧センサPhを設けたので、一対の遮断弁22A,22Bの各々の切り換え状態においてマスタシリンダ11にブレーキ液圧を発生させ、液圧センサPhで検出したブレーキ液圧を正常時に検出されるべきブレーキ液圧と比較することで、上流側液路Pb,Qbおよび下流側液路Pc,Qcのスレーブシリンダ23に対する誤組みを確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデム式のマスタシリンダとホイールシリンダとの間にタンデム式の電動液圧発生手段を配置したブレーキ装置における液路の誤組み検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者がブレーキペダルを操作する操作力(あるいは操作量)を電気信号に変換し、この電気信号に基づいて電動モータを有するタンデム式のスレーブシリンダを作動させ、スレーブシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させるとともに、スレーブシリンダが作動不能な異常時には、タンデム式のマスタシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させる、いわゆるBBW式ブレーキ装置が、下記特許文献1により公知である。
【特許文献1】特開2008−174005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のBBW式ブレーキ装置は、タンデム式のマスタシリンダおよびタンデム式のスレーブシリンダを備えているため、マスタシリンダから延びる2系統の液路がスレーブシリンダの2系統の入力ポートに接続され、ホイールシリンダから延びる2系統の液路がスレーブシリンダの2系統の出力ポートに接続される。このように、合計4本の液路をスレーブシリンダに接続する際に液路の誤組みが発生する可能性があるため、その誤組みを検出する必要がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ブレーキ装置の電動液圧発生手段に対する液路の誤組みを確実に検出すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室が形成されたタンデム式のマスタシリンダと、運転者の制動操作に応じて作動する電動モータによりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室が形成されたタンデム式の電動液圧発生手段と、前記マスタシリンダの一対の液圧室および前記電動液圧発生手段の一対の液圧室の対応するもの同士を接続する一対の上流側液路と、前記電動液圧発生手段の一対の液圧室および少なくとも2個のホイールシリンダの対応するもの同士を接続する一対の下流側液路と、前記一対の上流側液路を遮断可能な一対の遮断弁と、前記一対の下流側液路の少なくとも一方のブレーキ液圧を検出する液圧センサとを備えたブレーキ装置において、前記一対の遮断弁の開閉状態を切り換える工程と、前記一対の遮断弁の各々の切り換え状態において前記マスタシリンダにブレーキ液圧を発生させ、前記液圧センサでブレーキ液圧を検出する工程と、前記液圧センサで検出したブレーキ液圧を、前記上流側液路および前記下流側液路の接続状態が正常であるときに前記液圧センサで検出されるブレーキ液圧と比較することで、前記上流側液路および前記下流側液路の誤組みを検出する工程とを含むことを特徴とする、ブレーキ装置における液路の誤組み検出方法が提案される。
【0006】
また請求項2に記載された発明によれば、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室が形成されたタンデム式のマスタシリンダと、運転者の制動操作に応じて作動する電動モータによりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室が形成されたタンデム式の電動液圧発生手段と、前記マスタシリンダの一対の液圧室および前記電動液圧発生手段の一対の液圧室の対応するもの同士を接続する一対の上流側液路と、前記電動液圧発生手段の一対の液圧室および少なくとも2個のホイールシリンダの対応するもの同士を接続する一対の下流側液路と、前記一対の上流側液路を遮断可能な一対の遮断弁と、前記一対の遮断弁および前記電動液圧発生手段間の前記一対の上流側液路のブレーキ液圧をそれぞれ検出する一対の第1液圧センサと、前記一対の下流側液路の少なくとも一方のブレーキ液圧を検出する第2液圧センサとを備えたブレーキ装置において、前記一対の遮断弁の開閉状態を切り換える工程と、前記一対の遮断弁の各々の切り換え状態において前記マスタシリンダにブレーキ液圧を発生させ、前記第1、第2液圧センサでブレーキ液圧を検出する工程と、前記第1、第2液圧センサで検出したブレーキ液圧を、前記上流側液路および前記下流側液路の接続状態が正常であるときに前記第1、第2液圧センサで検出されるブレーキ液圧と比較することで、前記上流側液路および前記下流側液路の誤組みを検出する工程とを含むことを特徴とするブレーキ装置における液路の誤組み検出方法が提案される。
【0007】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記上流側液路と前記下流側液路との間に、前記上流側液路側から前記下流側液路側へのブレーキ液の流通のみを許容する一対の一方向弁を設け、前記一対の一方向弁の開弁圧を異ならせたことを特徴とするブレーキ装置における液路の誤組み検出方法が提案される。
【0008】
尚、実施の形態のスレーブシリンダ23は本発明の電動液圧発生手段に対応し、実施の形態の後部および前部第1カップシールC1,C3は本発明の一方向弁に対応し、実施の形態の液圧センサPA,PBは本発明の第1液圧センサに対応し、実施の形態の液圧センサPhは本発明の第2液圧センサに対応し、実施の形態の液路Pb,Qbは本発明の上流側液路に対応し、実施の形態の液路Pc,Qcは本発明の下流側液路に対応する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の構成によれば、タンデム式のマスタシリンダとタンデム式の電動液圧発生手段とを接続する一対の上流側液路のそれぞれに遮断弁を設け、電動液圧発生手段とホイールシリンダとを接続する一対の下流側液路の少なくとも一方に液圧センサを設けたので、一対の遮断弁の各々の切り換え状態においてマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させ、液圧センサで検出したブレーキ液圧を正常時に検出されるべきブレーキ液圧と比較することで、上流側液路および下流側液路の電動液圧発生手段に対する誤組みを確実に検出することができる。
【0010】
また請求項2の構成によれば、タンデム式のマスタシリンダとタンデム式の電動液圧発生手段とを接続する一対の上流側液路のそれぞれに遮断弁および第1液圧センサを設け、電動液圧発生手段とホイールシリンダとを接続する一対の下流側液路の少なくとも一方に第2液圧センサを設けたので、一対の遮断弁の各々の切り換え状態においてマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させ、第1、第2液圧センサで検出したブレーキ液圧を正常時に検出されるべきブレーキ液圧と比較することで、上流側液路および下流側液路の電動液圧発生手段に対する誤組みを確実に検出することができる。
【0011】
また請求項3の構成によれば、上流側液路と下流側液路との間に、相互に異なる開弁圧を有して上流側液路側から下流側液路側へのブレーキ液の流通のみを許容する一対の一方向弁を設けたので、第1液圧センサで検出したブレーキ液圧と第2液圧センサで検出したブレーキ液圧との差圧を一方向弁の開弁圧により異ならせることで、上流側液路および下流側液路の電動液圧発生手段に対する誤組みを確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1は車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図、図2は図1に対応する異常時の液圧回路図、図3はスレーブシリンダの拡大断面図、図4は誤組み検出の作用説明図である。
【0014】
図1に示すように、タンデム型のマスタシリンダ11は、運転者がブレーキペダル12を踏む踏力に応じたブレーキ液圧を出力する二つの液圧室13A,13Bを備えており、一方の液圧室13Aは液路Pa,Pb,Pc,Pd,Pe(第1系統)を介して例えば左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15のホイールシリンダ16,17に接続されるとともに、他方の液圧室13Bは液路Qa,Qb,Qc,Qd,Qe(第2系統)を介して例えば右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19のホイールシリンダ20,21に接続される。
【0015】
液路Pa,Pb間に常開型電磁弁である遮断弁22Aが配置され、液路Qa,Qb間に常開型電磁弁である遮断弁22Bが配置され、液路Pb,Qbと液路Pc,Qcとの間にタンデム式のスレーブシリンダ23が配置される。
【0016】
液路Qaから分岐する液路Ra,Rbには、常閉型電磁弁である反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26が接続される。ストロークシミュレータ26は、シリンダ27にスプリング28で付勢されたピストン29を摺動自在に嵌合させたもので、ピストン29の反スプリング28側に形成された液圧室30が液路Rbに連通する。
【0017】
スレーブシリンダ23のアクチュエータ31は、電動モータ32と、その出力軸に設けた駆動ベベルギヤ33と、駆動ベベルギヤ33に噛合する従動ベベルギヤ34と、従動ベベルギヤ34により作動するボールねじ機構35とを備える。
【0018】
スレーブシリンダ23のシリンダ本体36の後部および前部に、それぞれリターンスプリング37A,37Bで後退方向に付勢された後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bが摺動自在に配置されており、後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bの前面にそれぞれ後部液圧室39Aおよび前部液圧室39Bが区画される。
【0019】
後部液圧室39Aは後部入力ポート40Aを介して液路Pbに連通するとともに、後部出力ポート41Aを介して液路Pcに連通し、また前部液圧室39Bは前部入力ポート40Bを介して液路Qbに連通するとともに、前部出力ポート41Bを介して液路Qcに連通する。
【0020】
しかして、図1において、電動モータ32を一方向に駆動すると、駆動ベベルギヤ33、従動ベベルギヤ34およびボールねじ機構35を介して後部および前部ピストン38A,38Bが前進し、液路Pb,Qbに連なる後部および前部入力ポート40A,40Bが閉塞された瞬間に後部および前部液圧室39A,39Bにブレーキ液圧を発生させ、そのブレーキ液圧を後部および前部出力ポート41A,41Bを介して液路Pc,Qcに出力することができる。
【0021】
マスタシリンダ11の一方の液圧室13Aから延びる液路Pbにブレーキ液圧を検出する液圧センサPAが設けられ、マスタシリンダ11の他方の液圧室13Bから延びる液路Qbにブレーキ液圧を検出する液圧センサPBが設けられる。またスレーブシリンダ23の後部液圧室39Aに連なる液路Pcにブレーキ液圧を検出する液圧センサPhが設けられる。液圧センサPhはスレーブシリンダ23の前部液圧室39Bに連なる液路Qcに設けることも可能であるが、本実施の形態では液路Pcに設けられる。
【0022】
図3から明らかなように、後部液圧室39Aは、後部入力ポート40Aおよび後部サプライポート42Aを介して液路Pbに連通するとともに、後部出力ポート41Aを介して液路Pcに連通する。また前部液圧室39Bは、前部入力ポート40Bおよび前部第1サプライポート42Bを介して液路Qbに連通するとともに、前部出力ポート41Bを介して液路Qcに連通する。
【0023】
後部ピストン38Aの前端には後部第1カップシールC1が前向き(前進時にシール機能を発揮するように)に設けられ、後部ピストン38Aの後端には後部第2カップシールC2が前向きに設けられる。前部ピストン38Bの前端には前部第1カップシールC3が前向きに設けられ、前部ピストン38Bの後端には前部第2カップシールC4が後向き(後進時にシール機能を発揮するように)に設けられる。更に、前部ピストン38Bの中間部に前向きの前部第3カップシールC5が設けられる。
【0024】
後部ピストン38Aの中間部には後部第1、第2カップシールC1,C2に挟まれた後部リザーバ室38aが形成されており、この後部リザーバ室38aに後部サプライポート42Aが連通する。前部ピストン38Bの前部には前部第1、第3カップシールC3,C5に挟まれた前部第1リザーバ室38bが形成されており、この前部第1リザーバ室38bに前部第1サプライポート42Bが連通する。また前部ピストン38Bの後部には前部第2、第3カップシールC4,C5に挟まれた前部第2リザーバ室38cが形成されており、この前部第2リザーバ室38cに前部第2サプライポート43が連通する。前部第2サプライポート43は、液路Rcを介してマスタシリンダ11のリザーバ44に連通する(図1参照)。
【0025】
後部液圧室39Aは前向きの後部第1カップシールC1と後向きの前部第2カップシールC4とに挟まれて液密が確保され、また後部リザーバ室38aからの後方への液漏れは前向きの後部第2カップシールC2により阻止される。前部液圧室39Bは前向きの前部第1カップシールC3により液密が確保され、また前部第1リザーバ室38bからの後方への液漏れは前向きの前部第3カップシールC5により阻止される。
【0026】
マスタシリンダ11のリザーバ44に前部第2サプライポート43および液路Rcを介して連通する前部第2リザーバ室38cのブレーキ液は、一方向弁として機能する第2前部カップシールC4を介して後部液圧室39Aに流入可能であり、また一方向弁として機能する前部第3カップシールC5および前部第1カップシールC3を介して前部液圧室39Bに流入可能である。
【0027】
スレーブシリンダ23の非作動時に後部ピストン38Aの後部第1カップシールC1は後部入力ポート40Aの直後方に位置しており、後部ピストン38Aが僅かに前進すると後部第1カップシールC1が後部入力ポート40Aを通過して後部液圧室39Aにブレーキ液圧が発生する。スレーブシリンダ23の非作動時に前部ピストン38Bの前部第1カップシールC3は前部入力ポート40Bの直後方に位置しており、前部ピストン38Bが僅かに前進すると前部第1カップシールC3が前部入力ポート40Bを通過して前部液圧室39Bにブレーキ液圧が発生する。
【0028】
図示せぬ電子制御ユニットは、前記3個の液圧センサPA,PB,Phで検出した液圧に基づいて、遮断弁22A,22B、反力許可弁25および電動モータ32の作動を制御するとともに、液路Pbおよび液路Qbの誤組みと、液路Pcおよび液路Qcの誤組みとを検出する。
【0029】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0030】
システムが正常に機能する正常時には、図1に示すように常開型電磁弁よりなる遮断弁22A,22Bが消磁されて開弁し、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25が励磁されて開弁する。この状態で液路Pbに設けた液圧センサPAが運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、スレーブシリンダ23の電動モータ32が作動して後部および前部ピストン38A,38Bが前進することで、後部および前部液圧室39A,39Bにブレーキ液圧が発生し、このブレーキ液圧はディスクブレーキ装置14,15;18,19のホイールシリンダ16,17;20,21に伝達されて各車輪を制動する。
【0031】
スレーブシリンダ23の後部および前部ピストン38A,38Bが僅かに前進すると、液路Pb,Qbと後部および前部液圧室39A,39Bとの連通が遮断されるため、マスタシリンダ11が発生したブレーキ液圧はディスクブレーキ装置14,15;18,19に伝達されることはない。このとき、マスタシリンダ11の液圧室13Bが発生したブレーキ液圧は開弁した反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26の液圧室30に伝達され、そのピストン29をスプリング28に抗して移動させることで、ブレーキペダル12のストロークを許容するとともに擬似的なペダル反力を発生させて運転者の違和感を解消することができる。
【0032】
その間に、液路Pcに設けた液圧センサPhが検出したブレーキ液圧が、液路Pbに設けた液圧センサSaで検出したブレーキ液圧に応じた値になるようにスレーブシリンダ23の作動を制御することにより、運転者がブレーキペダル12に加える踏力に応じた制動力をホイールシリンダ16,17;20,21に発生させることができる。
【0033】
電源が失陥すると、図2に示すように、常開型電磁弁よりなる遮断弁22A,22Bは自動的に開弁し、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25は自動的に閉弁し、常開型電磁弁よりなるインバルブ56,56;58,58は自動的に開弁する。この状態では、マスタシリンダ11の二つの液圧室13A,13Bにおいて発生したブレーキ液圧は、ストロークシミュレータ26に吸収されることなく、遮断弁22A,22B、スレーブシリンダ23の後部および前部液圧室39A,39Bを通過して各車輪のディスクブレーキ装置14,15;18,19のホイールシリンダ16,17;20,21を作動させ、支障なく制動力を発生させることができる。
【0034】
そしてホイールシリンダ16,17;20,21にブレーキ液圧が加わる制動時には、前部第1〜第3カップシールC3〜C5が前記ブレーキ液圧のリザーバ44への解放を阻止するため、ホイールシリンダ16,17;20,21は制動力を支障なく発生することができる。
【0035】
ところで、図4(A)に示すように、本来ならば液路Pb,Qbの下流端はそれぞれスレーブシリンダ23の入力ポート40A,40Bに接続されるが、図4(B)に示すように、液路Pbの下流端がスレーブシリンダ23の入力ポート40Bに誤組みされ、かつ液路Qbの下流端がスレーブシリンダ23の入力ポート40Aに誤組みされる場合がある。また図4(C)に示すように、本来ならば液路Pc,Qcの上流端はそれぞれスレーブシリンダ23の出力ポート41A,41Bに接続されるが、液路Pcの上流端がスレーブシリンダ23の出力ポート41Bに誤組みされ、かつ液路Qcの上流端がスレーブシリンダ23の出力ポート41Aに誤組みされる場合がある。更に、図4(D)に示すように、図4(B)、(C)の両方の誤組みが同時に発生する場合も考えられる。
【0036】
次に、上記誤組みを検出する手法について説明する。尚、第1の実施の形態による誤組みの検出は、スレーブシリンダ23を非作動位置に停止させた状態で行われる。
【0037】
図4(A)に示す正常時には、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aにより遮断されて液路Pcに設けた液圧センサPhに達することができず、液圧センサPhの出力はOFFとなる。逆に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pcに設けた液圧センサPhに達するため、液圧センサPhの出力はONとなる。
【0038】
図4(B)に示す誤組みAの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Pcに設けた液圧センサPhに達するため、液圧センサPhの出力はONとなる。逆に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Pcに設けた液圧センサPhに達することができず、液圧センサPhの出力はOFFとなる。このように、液圧センサPhのON/OFFの状態が図4(A)の正常時と逆になるため、誤組みが発生していることが検出される。
【0039】
図4(C)に示す誤組みBの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Pcに設けた液圧センサPhに達するため、液圧センサPhの出力はONとなる。逆に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Pcに設けた液圧センサPhに達することができず、液圧センサPhの出力はOFFとなる。このように、液圧センサPhのON/OFFの状態が図4(A)の正常時と逆になるため、誤組みが発生していることが検出される。
【0040】
図4(D)に示す誤組みCの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aにより遮断されて液路Pcに設けた液圧センサPhに達することができず、液圧センサPhの出力はOFFとなる。逆に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁した状態でブレーキペダル12を踏むと、マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pcに設けた液圧センサPhに達するため、液圧センサPhの出力はONとなる。この場合には、液圧センサPhのON/OFFの状態が図4(A)の正常時と同じであるため、誤組みは検出されないことになる。
【0041】
従って、第1の実施の形態によれば、図4(B)、(C)の誤組みAおよび誤組みBを検出することが可能であるが、図4(D)の誤組みCは検出できないことになる。
【0042】
以上のことから、簡略な誤組み検出方法として、遮断弁22Aを閉弁してブレーキペダル12を踏み、液圧センサPhがブレーキ液圧の増加を検出すれば、誤組みが発生していると判断することができる。あるいは遮断弁22Bを閉弁してブレーキペダル12を踏み、液圧センサPhがブレーキ液圧の増加を検出しなければ、誤組みが発生していると判断することができる。
【0043】
次に、図5に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0044】
第2の実施の形態は第1の実施の形態の変形であって、第1の実施の形態では液路Pcに設けた液圧センサPhがON(圧力検出)であるかOFF(圧力非検出)であるかで誤組みの検出を行っているが、第2の実施の形態では液路Pcに設けた液圧センサPhで検出したブレーキ液圧と、液路Pbに設けた液圧センサPAおよび液路Qbに設けた液圧センサPBで検出したブレーキ液圧とを比較することで誤組みの検出を行っている。
【0045】
図4および図5を比較すると明らかなように、図4でPh=OFFとなっているところが、図5でPh=0となっており、図4でPh=ONとなっているところが、図5ではPh=PAあるいはPh=PBとなっている点で異なっており、その他は同一である。Ph=PAは、液路Pbと液路Pcとが連通していることを示し、Ph=PBは、液路Qbと液路Pcとが連通していることを示している。
【0046】
この第2の実施の形態の誤組み検出の原理は、第1の実施の形態の誤組み検出の原理と実質的に同じであり、その作用効果も同じである。
【0047】
以上のことから、簡略な誤組み検出方法として、遮断弁22Aを閉弁してブレーキペダル12を踏み、液圧センサPh=PBであれば、誤組みが発生していると判断することができる。あるいは遮断弁22Bを閉弁してブレーキペダル12を踏み、液圧センサPh=0であれば、誤組みが発生していると判断することができる。
【0048】
次に、図6および図7に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0049】
第3の実施の形態は、後部液圧室39Aに臨む後部第1カップシールC1と前部液圧室39Bに臨む前部第1カップシールC3の倒れ荷重(背面側から正面側に液漏れが発生する液圧差)を異ならせたものである。例えば、後部第1カップシールC1は液圧差2MPaで倒れ、前部第1カップシールC3は液圧差1MPaで倒れるように設定される。
【0050】
図6に示すように、スレーブシリンダ23を僅かに作動させて後部および前部液圧室39A,39Bに1MPaのブレーキ液圧を発生させた状態で、遮断弁22Aを開弁したまま遮断弁22Bを閉弁し、この状態でブレーキペダル12を踏み込んでマスタシリンダ11の両方の液圧室13A,13Bに発生するブレーキ液圧を次第に増加させたとする。このとき、遮断弁22Bが閉弁しているため、液圧センサPBが検出する液圧は0に維持される。
【0051】
一方、遮断弁22Aが開弁しているため、液圧センサPAが検出するブレーキ液圧はブレーキペダル12のストロークに伴って増加するが、そのブレーキ液圧が3MPaを超えると後部第1カップシールC1の前後の差圧が2MPaを超えるため、後部第1カップシールC1が倒れて液路Pbのブレーキ液圧が液路Pcに逃げることで、液圧センサPAが検出するブレーキ液圧の増加は緩やかになる。また液圧センサPhが検出するブレーキ液圧は、当初はスレーブシリンダ23が発生する1MPaであるが、マスタシリンダ11が発生するブレーキ液圧が3MPaを超えて後部第1カップシールC1が倒れると、後部第1カップシールC1を通過したブレーキ液圧差で緩やかに増加する。その間に液圧センサPAが検出するブレーキ液圧と、液圧センサPhが検出するブレーキ液圧との差圧は、後部第1カップシールC1が倒れる液圧に相当する2MPaに維持される。
【0052】
第3の実施の形態は、上記原理を用いて誤組みの検出を行うものである。即ち、図7(A)に示す正常時には、スレーブシリンダ23に1MPaのブレーキ液圧を発生させた後に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁した状態でブレーキペダル12を踏み、マスタシリンダ11に3MPa以上のブレーキ液圧を発生させる。マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Qbに設けた液圧センサPBに達することができず(PB=0)、よってPB−Phは−Phとなり、またマスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pbに設けた液圧センサPAに達するため、PA−Phは後部第1カップシールC1が倒れる差圧である2MPaとなる。
【0053】
次に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁した状態でブレーキペダル12を踏み、マスタシリンダ11に3MPa以上のブレーキ液圧を発生させる。マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Qbに設けた液圧センサPBに達するため、PB−Phは前部第1カップシールC3が倒れる差圧である1MPaとなる。マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aに遮断されて液路Pbに設けた液圧センサPAに達するとができず(PA=0)、よってPA−Phは−Phとなる。
【0054】
図7(B)に示す誤組みAの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Qbに設けた液圧センサPBに達することができず(PB=0)、よってPB−Phは−Phとなり、またマスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pbに設けた液圧センサPAに達するため、PA−Phは前部第1カップシールC3が倒れる差圧である1MPaとなる。
【0055】
次に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Qbに設けた液圧センサPBに達するため、PB−Phは後部第1カップシールC1が倒れる差圧である2MPaとなる。マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aに遮断されて液路Pbに設けた液圧センサPAに達するとができず(PA=0)、よってPA−Phは−Phとなる。
【0056】
このように、誤組みAの状態では、PB−Phの値と、PA−Phの値とが正常時と異なるため、誤組みが発生していることが検出される。
【0057】
図7(C)に示す誤組みBの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Qbに設けた液圧センサPBに達することができず(PB=0)、よってPB−Phは−Phとなり、またマスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pbに設けた液圧センサPAに達するため、PA−Phは後部第1カップシールC1が倒れる差圧である2MPaとなる。
【0058】
次に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Qbに設けた液圧センサPBに達するため、PB−Phは前部第1カップシールC3が倒れる差圧である1MPaとなる。マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aに遮断されて液路Pbに設けた液圧センサPAに達するとができず(PA=0)、よってPA−Phは−Phとなる。
【0059】
このように、誤組みBの状態では、PB−Phの値と、PA−Phの値とが正常時と同じになるため、誤組みが発生していることは検出できない。
【0060】
図7(D)に示す誤組みCの状態では、液路Qbに設けた遮断弁22Bを閉弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを開弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bにより遮断されて液路Qbに設けた液圧センサPBに達することができず(PB=0)、よってPB−Phは−Phとなり、またマスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aを通過して液路Pbに設けた液圧センサPAに達するため、PA−Phは前部第1カップシールC3が倒れる差圧である1MPaとなる。
【0061】
次に、液路Qbに設けた遮断弁22Bを開弁して液路Pbに設けた遮断弁22Aを閉弁すると、マスタシリンダ11の液圧室13Bからのブレーキ液圧は遮断弁22Bを通過して液路Qbに設けた液圧センサPBに達するため、PB−Phは後部第1カップシールC1が倒れる差圧である2MPaとなる。マスタシリンダ11の液圧室13Aからのブレーキ液圧は遮断弁22Aに遮断されて液路Pbに設けた液圧センサPAに達するとができず(PA=0)、よってPA−Phは−Phとなる。
【0062】
このように、誤組みCの状態では、PB−Phの値と、PA−Phの値とが正常時と異なるため、誤組みが発生していることが検出される。
【0063】
従って、第3の実施の形態によれば、図7(B)、(D)の誤組みAおよび誤組みCを検出することが可能であるが、図4(C)の誤組みBは検出できないことになる。
【0064】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0065】
図4に示す第1の実施の形態(あるいは図5に示す第2の実施の形態)では、「正常」あるいは「誤組みC」の何れかであることと、「誤組みA」あるいは「誤組みB」の何れかであることとを識別可能であるが、前者の場合には、「正常」であるのか、「誤組みC」であるのかを識別できず、また後者の場合には、「誤組みA」であるのか「誤組みB」であるのかを識別できなかった。
【0066】
また図7に示す第3の実施の形態では、「正常」あるいは「誤組みB」の何れかであることと、「誤組みA」あるいは「誤組みC」の何れかであることとを識別可能であるが、前者の場合には、「正常」であるのか、「誤組みB」であるのかを識別できず、また後者の場合には、「誤組みA」であるのか「誤組みC」であるのかを識別できなかった。
【0067】
第4の実施の形態は、第1の実施の形態(あるいは第2の実施の形態)と第3の実施の形態とを組み合わせることで、「正常」、「誤組みA」、「誤組みB」および「誤組みC」を完全に識別するものである。
【0068】
即ち、第1の実施の形態で「正常」あるいは「誤組みC」であり、第3の実施の形態で「正常」あるいは「誤組みB」であれば、最終的に「正常」であることが確定する。
【0069】
また第1の実施の形態で「正常」あるいは「誤組みC」であり、第3の実施の形態で「誤組みA」あるいは「誤組みC」であれば、最終的に「誤組みC」であることが確定する。
【0070】
また第1の実施の形態で「誤組みA」あるいは「誤組みB」であり、第3の実施の形態で「正常」あるいは「誤組みB」であれば、最終的に「誤組みB」であることが確定する。
【0071】
また第1の実施の形態で「誤組みA」あるいは「誤組みB」であり、第3の実施の形態で「誤組みA」あるいは「誤組みC」であれば、最終的に「誤組みA」であることが確定する。
【0072】
このように、第4の実施の形態によれば、「正常」、「誤組みA」、「誤組みB」および「誤組みC」を完全に識別することが可能であるため、その補修作業を効率的に行うことができる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0074】
例えば、実施の形態では液圧センサPhを液路Pcに設けているが、それを液路Qcに設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施の形態の車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図
【図2】図1に対応する異常時の液圧回路図
【図3】スレーブシリンダの拡大断面図
【図4】誤組み検出の作用説明図
【図5】第2の実施の形態の誤組み検出の作用説明図
【図6】第3の実施の形態の誤組み検出の原理の説明図
【図7】誤組み検出の作用説明図
【符号の説明】
【0076】
11 マスタシリンダ
13A 液圧室
13B 液圧室
16 ホイールシリンダ
17 ホイールシリンダ
20 ホイールシリンダ
21 ホイールシリンダ
22A 遮断弁
22B 遮断弁
23 スレーブシリンダ(電動液圧発生手段)
32 電動モータ
39A 後部液圧室
39B 前部液圧室
C1 後部第1カップシール(一方向弁)
C3 前部第1カップシール(一方向弁)
PA 液圧センサ(第1液圧センサ)
PB 液圧センサ(第1液圧センサ)
Ph 液圧センサ(第2液圧センサ)
Pb 液路(上流側液路)
Qb 液路(上流側液路)
Pc 液路(下流側液路)
Qc 液路(下流側液路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室(13A,13B)が形成されたタンデム式のマスタシリンダ(11)と、
運転者の制動操作に応じて作動する電動モータ(32)によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室(39A,39B)が形成されたタンデム式の電動液圧発生手段(23)と、
前記マスタシリンダ(11)の一対の液圧室(13A,13B)および前記電動液圧発生手段(23)の一対の液圧室(39A,39B)の対応するもの同士を接続する一対の上流側液路(Pb,Qb)と、
前記電動液圧発生手段(23)の一対の液圧室(39A,39B)および少なくとも2個のホイールシリンダ(16,17;20,21)の対応するもの同士を接続する一対の下流側液路(Pc,Qc)と、
前記一対の上流側液路(Pb,Qb)を遮断可能な一対の遮断弁(22A,22B)と、
前記一対の下流側液路(Pc,Qc)の少なくとも一方のブレーキ液圧を検出する液圧センサ(Ph)と、
を備えたブレーキ装置において、
前記一対の遮断弁(22A,22B)の開閉状態を切り換える工程と、
前記一対の遮断弁(22A,22B)の各々の切り換え状態において前記マスタシリンダ(11)にブレーキ液圧を発生させ、前記液圧センサ(Ph)でブレーキ液圧を検出する工程と、
前記液圧センサ(Ph)で検出したブレーキ液圧を、前記上流側液路(Pb,Qb)および前記下流側液路(Pc,Qc)の接続状態が正常であるときに前記液圧センサ(Ph)で検出されるブレーキ液圧と比較することで、前記上流側液路(Pb,Qb)および前記下流側液路(Pc,Qc)の誤組みを検出する工程と、
を含むことを特徴とする、ブレーキ装置における液路の誤組み検出方法。
【請求項2】
運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室(13A,13B)が形成されたタンデム式のマスタシリンダ(11)と、
運転者の制動操作に応じて作動する電動モータ(32)によりブレーキ液圧を発生する一対の液圧室(39A,39B)が形成されたタンデム式の電動液圧発生手段(23)と、
前記マスタシリンダ(11)の一対の液圧室(13A,13B)および前記電動液圧発生手段(23)の一対の液圧室(39A,39B)の対応するもの同士を接続する一対の上流側液路(Pb,Qb)と、
前記電動液圧発生手段(23)の一対の液圧室(39A,39B)および少なくとも2個のホイールシリンダ(16,17;20,21)の対応するもの同士を接続する一対の下流側液路(Pc,Qc)と、
前記一対の上流側液路(Pb,Qb)を遮断可能な一対の遮断弁(22A,22B)と、
前記一対の遮断弁(22A,22B)および前記電動液圧発生手段(23)間の前記一対の上流側液路(Pb,Qb)のブレーキ液圧をそれぞれ検出する一対の第1液圧センサ(PA,PB)と、
前記一対の下流側液路(Pc,Qc)の少なくとも一方のブレーキ液圧を検出する第2液圧センサ(Ph)と、
を備えたブレーキ装置において、
前記一対の遮断弁(22A,22B)の開閉状態を切り換える工程と、
前記一対の遮断弁(22A,22B)の各々の切り換え状態において前記マスタシリンダ(11)にブレーキ液圧を発生させ、前記第1、第2液圧センサ(PA,PB,Ph)でブレーキ液圧を検出する工程と、
前記第1、第2液圧センサ(PA,PB,Ph)で検出したブレーキ液圧を、前記上流側液路(Pb,Qb)および前記下流側液路(Pc,Qc)の接続状態が正常であるときに前記第1、第2液圧センサ(PA,PB,Ph)で検出されるブレーキ液圧と比較することで、前記上流側液路(Pb,Qb)および前記下流側液路(Pc,Qc)の誤組みを検出する工程と、
を含むことを特徴とする、ブレーキ装置における液路の誤組み検出方法。
【請求項3】
前記上流側液路(Pb,Qb)と前記下流側液路(Pc,Qc)との間に、前記上流側液路(Pb,Qb)側から前記下流側液路(Pc,Qc)側へのブレーキ液の流通のみを許容する一対の一方向弁(C1,C3)を設け、前記一対の一方向弁(C1,C3)の開弁圧を異ならせたことを特徴とする、請求項2に記載のブレーキ装置における液路の誤組み検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−105431(P2010−105431A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276789(P2008−276789)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】