ブレードサーバ
【目的】小型化を実現しつつも、記憶媒体の障害発生時における解析が可能なブレードサーバを提供することを目的とする。
【構成】複数のブレードの夫々に搭載されている記憶装置の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアからなり、各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアを仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルとしてのログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込む。
【構成】複数のブレードの夫々に搭載されている記憶装置の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアからなり、各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアを仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルとしてのログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報データの提供を行うサーバに関し、特に、夫々に情報データ格納用の記憶装置が搭載されているブレードを複数枚備えたブレードサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、情報ネットワーク上に各種情報データの提供を行うサーバとして、省スペース化、運用管理の効率化、保守コストの低減などの要求を満たすブレードサーバが注目されている。ブレードサーバは、夫々がプロセッサー、メモリー、ネットワーク接続インタフェース、及び各種情報データ格納用の記憶装置等を搭載した、いわゆるブレードと称されるモジュールの複数から構築される。
【0003】
又、このようなブレードサーバとして、各ブレードに、記憶装置としてのディスクドライブ装置を複数台搭載したものが知られている(例えば特許文献1の図2のブレード200及びディスクドライブ218を参照)。
【0004】
ところで、装置全体の小型化を考えた場合、各ブレードに搭載するディスクドライブ装置の数は1台であることが好ましい。
【0005】
しかしながら、1つのブレードにディスクドライブ装置が1台しか搭載されていないと、ディスクドライブ装置に障害が発生した場合、そのブレード自身が保有していたログファイル等を読むことが出来なくなる。よって、ディスクドライブ装置の障害発生後にその解析を行うことができない、或いは過去の動作状態を参照することができなくなるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−526527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型化を実現しつつも、記憶媒体の障害発生時における解析が可能なブレードサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるブレードサーバは、夫々に記憶装置が搭載されている複数のブレードと、前記ブレードの各々が装着されているブレードラックと、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置に対して読出又は書込制御を行う制御部と、を備えたブレードサーバであって、前記記憶装置各々の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアを含み、前記制御部は、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記ブレード共通エリアを仮想的に連結した1つの領域をレイド領域とみなして当該レイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルを前記記憶装置各々をして前記ブレード共通エリアへ書き込ましめることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、各ブレードに搭載されている記憶装置各々の一部の領域(ブレード共通エリア)を仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行する。更に、記憶装置の障害発生時においてその障害解析を行う際に必要となる情報としてログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込むようにしている。これにより、ブレード各々の内の1に搭載されている記憶装置に障害が生じた場合には、その他のブレードに搭載されている記憶装置のブレード共通エリアに格納されているログファイル又はコアファイルを参照することにより、その障害解析を行うことができる。よって、本発明によれば、装置全体の小型化を図るべく各ブレードに搭載する記憶装置を1台だけにした場合であっても、この1台分の記憶装置における障害発生時の解析を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるブレードサーバの構成の一例を示す図である。
【図2】各ブレードBLに搭載されているCPU2で実施される読出書込アクセス制御フローを示す図である。
【図3】図1に示すブレードBL1〜BL3各々に搭載されているHDD41〜HDD43各々の記憶エリアの状態の一例を示す図である。
【図4】レイドコントローラ100において実施されるレイド領域アクセス制御のフローを示す図である。
【図5】ブレードBL4を増設する直前での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図6】ブレードの増設に応じて、レイドコントローラ100において実施されるブレード増設制御のフローを示す図である。
【図7】ブレードBL4の増設第1段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図8】ブレードBL4の増設第2段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図9】ブレードBL4の増設最終段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図10】ブレードの減設に応じて、レイドコントローラ100において実施されるブレード減設制御のフローを示す図である。
【図11】ブレードBL1の減設第1段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図12】ブレードBL1の減設第2段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図13】ブレードBL1の減設第3段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図14】ブレードBL1の減設最終段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数のブレードの夫々に搭載されている記憶装置の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアからなり、各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアを仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルとしてのログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込む。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明によるブレードサーバの構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すブレードサーバは、ブレード間通信路TLと、ブレードラックBKと、ブレードBL1〜BL3と、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)コントローラ100(以降、レイドコントローラ100と称する)と、からなる。尚、図1に示す一例では、ブレードラックBKの4つのスロットSL1〜SL4の内のSL1〜SL3に、夫々ブレードBL1〜BL3が装着されており、スロットSL4はブレード増設用のスロットとなっている。尚、ブレードラックBKは、スロットSL4にブレードが装着された場合には、ブレードの増設が為されたことを示すブレード増設検知信号をレイドコントローラ100に供給する。
【0014】
ブレード間通信路TLには、レイドコントローラ100と、3枚のブレードBL1〜BL3が接続されている。ブレードBL1〜BL3には、夫々通信インターフェース部1、CPU(Central Processing Unit)2、ディスクコントローラ3、及び単一のハードディスクドライブ装置4(以降、HDD4と称する)が設けられている。
【0015】
通信インターフェース1は、記憶装置としてのHDD4から読み出された情報データをブレード間通信路TLに送出すると共に、ブレード間通信路TL上の情報データを取り込みこれをHDD4に供給する。又、通信インターフェース1は、ブレード間通信路TL上から、レイドコントローラ100から送出されたレイド読書アクセス信号ASを取り込み、これをCPU2に供給する。
【0016】
CPU2は、内蔵メモリ(図示せぬ)に記憶されているプログラム(後述する)に従って、HDD4に記憶されている情報データを読み出す為の読出指令信号をディスクコントローラ3に供給する。又、CPU2は、かかるプログラムに従って、ブレード間通信路TLから供給された情報データをHDD4に書き込ませる為の書込指令信号をディスクコントローラ3に供給する。又、CPU2は、ディスクコントローラ3から後述する読み書き終了信号ENが供給された場合には、これを通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。更に、CPU2は、かかるプログラムに従って、レイド読書アクセス信号ASを要求する為のレイド読書要求信号RREQを、通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。
【0017】
ディスクコントローラ3は、CPU2から読出指令信号が供給された場合には、記憶されている情報データを読み出すべき読出信号をHDD4に供給する一方、書込指令信号が供給された場合には、通信インターフェース1を介してブレード間通信路TLから供給された情報データを書き込ませるべき書込信号をHDD4に供給する。又、ディスクコントローラ3は、HDD4での書込又は読出処理が終了すると、その旨を示す読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。
【0018】
HDD4は、ディスクコントローラ3から読出信号が供給された場合には情報データの読み出しを行い、この読み出された情報データを通信インターフェース1に供給する。又、HDD4は、ディスクコントローラ3から書込信号が供給された場合には、通信インターフェース1から供給された情報データをその記憶領域に書き込む。尚、HDD4の記憶領域は、予め、個別エリアINA、ブレード共通エリアCOA、増減設用予備エリアAUAの3つのエリアに区切られている。尚、個別エリアINAには、このHDD4が搭載されているブレードBLの制御を担うオペレーティングシステムに関するプログラムOSが記憶されている。
【0019】
レイドコントローラ100は、ブレードBL1〜BL3の各々に搭載されているHDD4を仮想的な1台のファイル格納用記憶装置として運用すべく、これらブレードBL1〜BL3各々に対して、情報データの書込又は読出を実行させる為のレイド読書アクセス信号AS1〜3を生成する。以降、ブレードBL1に搭載されているHDD4をHDD41、ブレードBL2に搭載されているHDD4をHDD42、ブレードBL3に搭載されているHDD4をHDD43と称する。ここで、レイドコントローラ100は、例えばRAIDレベルとして知られているRAID0〜5の内のRAID5を採用して、1つの情報データをブレードの数の分だけ分割し、夫々を各ブレードに搭載されているHDD4に分散して読出又は書込アクセスさせるべきレイド読書アクセス信号ASを生成する。この際、レイドコントローラ100は、各ブレードのHDD4に書き込ませるべき情報データに基づき、情報データ修復の為のパリティデータを作成し、このパリティデータからなるパリティブロックの複数を情報データの系列中に分散して挿入する。すなわち、レイドコントローラ100は、このような情報データの系列を3分割した第1〜第3分割データの内の第1の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS1、第2の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS2、第3の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS3を生成する。そして、レイドコントローラ100は、レイド読書アクセス信号AS1をブレードBL1、レイド読書アクセス信号AS2をブレードBL2、レイド読書アクセス信号AS3をブレードBL3に夫々送信する。これにより、HDD41〜43の各々には、上記した如きパリティブロックが含まれた情報データが書き込まれることになる。このような書込形態により、ブレードBL1〜BL3に夫々1台ずつ搭載されているHDD41〜43の内の1台が故障しても、残りのHDD4に格納された情報データとパリティブロックとに基づき、その故障したHDD4に格納されていた情報データを復元させることが可能となる。尚、レイドコントローラ100には、ブレードBL1〜BL3各々の各記憶エリアを管理するための管理情報が記憶されている管理メモリが内蔵されている。管理情報としては、個別エリアINA、ブレード共通エリアCOA、増減設用予備エリアAUA各々を特定する為のアドレス、記憶容量等を示す情報の他に、複数のHDD4各々の記憶領域を仮想的に連結した1つの領域(レイドエリア)とした際のアドレスを各ブレード毎に表すレイド管理情報がある。この際、初期状態での管理メモリには、図3に示す如くHDD41〜43各々のブレード共通エリアCOAを仮想的に連結したものをレイドエリアRAとするレイド管理情報が記憶されている。
【0020】
次に、図1に示すブレードサーバ内でのデータ読み書き動作の概要について説明する。
【0021】
図2は、ブレードBL1〜BL3に搭載されているCPU2各々の内の1において、メインプログラム(図示せぬ)実行中に書込又は読出要求(以下、アクセス要求と称する)が為された場合に実行される読出書込アクセス制御のフローを示す図である。
【0022】
図2において、先ず、CPU2は、そのアクセス要求がレイドコントローラ100から発せられたものであるか否か、つまりレイドコントローラ100からのログアクセス要求が為されたのか、或いは、このCPU2が実行したメインプログラムによって得られたアクセス要求であるのかを判定する(ステップS1)。尚、レイドコントローラ100からのログアクセス要求とは、このCPU2が属するブレードBLに対して為された各種アクセスの履歴を示すログファイル及び/又はHDD4の障害発生時直前に運用されていた情報データを示すコアファイル、に対して書込又は読出を要求する為のものである。ステップS1において、レイドコントローラ100からのアクセス要求であると判定されると、CPU2は、HDD4のブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対して上記したログファイル及び/又はコアファイルの書込又は読出しを実行させるべき書込指令信号又は読出指令信号をディスクコントローラ3に供給する(ステップS2)。ステップS2の実行により、HDD4はブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対して、上記したアクセス要求によって示されるログファイル及び/又はコアファイルの書込又は読出を行う。この際、HDD4によるブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対するアクセスが終了すると、ディスクコントローラ3は、読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。ステップS2の実行後、CPU2は、読み書き終了信号ENが供給されたか否かの判定を繰り返し実行し(ステップS3)、読み書き終了信号ENが供給されと判定した場合に、この読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0023】
又、ステップS1において、レイドコントローラ100からのアクセスではないと判定された場合、CPU2は、上記したアクセス要求が、このCPU2が属するブレードBLに搭載されているHDD4の個別エリアINAへのアクセスを示すか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、個別エリアINAへのアクセス要求であると判定された場合、CPU2は、ディスクコントローラ3に対して、このアクセス要求に従って、HDD4の個別エリアINAに対して情報データの読出又は書込を実施させるべき書込指令信号又は読出指令信号を供給する(ステップS5)。ステップS5の実行により、HDD4は個別エリアINAに対して情報データの書込又は読出を行う。この際、HDD4による個別エリアINAに対するアクセスが終了すると、ディスクコントローラ3は、読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。ステップS5の実行後、CPU2は、読み書き終了信号ENが供給されたか否かの判定を繰り返し実行し(ステップS6)、読み書き終了信号ENが供給されと判定した場合に、この読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0024】
又、上記ステップS4において、上記アクセス要求が、HDD4の個別エリアINAへのアクセスを示すものではないと判定されると、CPU2は、レイド読書アクセス信号ASを要求する為のレイド読書要求信号RREQを、通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する(ステップS7)。ここで、レイドコントローラ100がレイド読書要求信号RREQを受信すると、レイドコントローラ100は、図4に示す如きレイド領域アクセス制御ルーチンを実行する。
【0025】
図4において、先ず、レイドコントローラ100は、管理メモリに記憶されているレイド管理情報に基づき、前述した如きレイド読書アクセス信号AS1〜AS3を夫々生成する(ステップS21)。次に、レイドコントローラ100は、ブレード間通信路TLを介して、レイド読書アクセス信号AS1をブレードBL1、レイド読書アクセス信号AS2をブレードBL2、レイド読書アクセス信号AS3をブレードBL3に夫々送信する(ステップS22)。ステップS22の実行により、ブレードBL1〜BL3各々は、夫々に搭載されているHDD4の記憶領域中において、レイドエリアRAに指定されている領域に対して情報データの読出又は書込アクセスを実施する。この際、HDD4に対する情報データの読出又は書込処理が終了したブレードBLは、読み書き終了信号ENをブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。この間、レイドコントローラ100は、ブレードBL1〜BL3各々から送信された読み書き終了信号ENを全て受信したか否かの判定を、ブレードBL1〜BL3各々から送信された読み書き終了信号ENを全て受信したと判定するまで繰り返し実行する(ステップS23)。ステップS23において、全てのブレードBL1〜BL3から読み書き終了信号ENが供給されたと判定された場合、レイドコントローラ100は、図3に示す如きレイドエリアRAに対するアクセスが全て完了した旨を示すレイドアクセス完了信号RENDを、ブレード間通信路TLを介して、上述した如きレイド読書要求信号RREQの送信元であるブレードBLに送信する。
【0026】
この間、送信元であるブレードBLに搭載されているCPU2は、レイドアクセス完了信号RENDを受信したか否かの判定をこのレイドアクセス完了信号RENDを受信したと判定されるまで繰り返し実行する(図2のステップS8)。そして、ステップS8において、レイドアクセス完了信号RENDを受信したと判定された場合に、CPU2は、図2に示される読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0027】
以上の如く、図1に示すブレードサーバにおいては、ブレードBL1〜BL3に夫々1台ずつ搭載されているHDD4の記憶領域内の一部の領域(ブレード共通エリアINA)を図3に示す如く仮想的に連結して1つのレイドエリアRAを構築し、このレイドエリアRA領域に対して、情報データの書込又は読出を行うようにしている。すなわち、レイドエリアRAを利用することにより、一連の情報データ系列をブレードBLの枚数(3枚)だけ分割した分割データの各々を、ブレードBL1のHDD41、ブレードBL2のHDD42、及びブレードBL3のHDD43に夫々分散させて書き込ませるようにしている。この際、かかるブレードサーバでは、HDD4の障害発生時においてその障害解析を行う際に必要となる情報としてログファイル及び/又はコアファイルを、レイドエリアRA中における各ブレードの担当エリアであるブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに書き込むようにしている。これにより、ブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43の内の1台が故障してしまっても、その他のHDD4のブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに格納されているログファイル又はコアファイルを参照することにより、故障解析が可能となる。
【0028】
次に、ブレードを増設する際に為される動作について、ブレードBL4を図1に示すブレードサーバに増設する場合を例にとって説明する。
【0029】
尚、図5に示すように、装着済みのブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43各々の個別エリアINAには、各ブレードBL毎のオペレーティングシステムに関するプログラムOSが予め格納されている。又、レイドコントローラ100の管理メモリには、図5に示す如く、HDD41〜43各々のブレード共通エリアCOAを仮想的に連結した1つの領域をレイドエリアRA1とすべきレイド管理情報が記憶されている。このレイドエリアRAには各ブレードBL毎のログファイルLF1〜LF3及び/又はコアファイルCF1〜CF3が予め格納されている。この際、HDD41〜43各々の増減設用予備エリアAUAの合計記憶容量と、レイドエリアRAの記憶容量とは互いに同一である。又、増設用のブレードBL4に搭載されているHDD44の個別エリアINAにはブレードBL4のオペレーティングシステムに関するプログラムOSが予め格納されており、このHDD44のブレード共通エリアCOA又は増減設用予備エリアAUAには、ブレードBL4のログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4が格納されているものとする。
【0030】
図6は、ブレードラックBKの空きスロットSL4へのブレードBL4の装着によりブレードラックBKが送出したブレード増設検知信号に応じて、レイドコントローラ100が実施するブレード増設制御フローを示す図である。
【0031】
図6において、先ず、レイドコントローラ100は、図7に示すようにHDD41〜44各々の増減設用予備エリアAUAをブレード共通エリアCOAに変更し夫々を仮想的に連結した1つの領域とみなす増設レイドエリアRA2とすべく、管理メモリに記憶されているレイド管理情報の更新を行う(ステップS61)。
【0032】
次に、レイドコントローラ100は、レイドエリアRA1に格納されている内容を全て増設レイドエリアRA2にコピーさせるべきレイド読書アクセス信号AS1〜3を生成し、夫々をブレードBL1〜BL3に送信する(ステップS62)。これにより、ブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43の各々は、図8に示すように、レイドエリアRA1に格納されていたログファイルLF1〜LF3と、コアファイルCF1〜CF3とを含む各種情報データを、増設レイドエリアRA2にコピーしてその同期化を行う。
【0033】
次に、レイドコントローラ100は、ブレードBL4に対して、このブレードBL4のHDD44のブレード供給エリアCOAに格納されているログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4を、増設レイドエリアRA2にコピーさせるべきログアクセス要求を行う(ステップS63)。かかるログアクセス要求に応じて、ブレードBL4のHDD44は、図8に示すように、そのブレード供給エリアCOAに格納されているログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4を、増設レイドエリアRA2にコピーしてその同期化を行う。
【0034】
次に、レイドコントローラ100は、図8に示すレイドエリアRA1を、図9に示すようにHDD41〜43各々毎の増減設用予備エリアAUAに切り分けると共に、図8に示す如きHDD44のブレード共通エリアCOAを増減設用予備エリアAUAに変更すべく、管理メモリに記憶されている管理情報の書き換えを行う(ステップS64)。
【0035】
以上の如きステップS61〜S63の実行によりブレードBL4の増設が完了し、その結果、図9に示す如く、ブレードBL4のブレード共通エリアCOAを含めた増設レイドエリアRA2がブレードサーバに形成される。
【0036】
一方、図1に示されるブレードサーバにおいてブレードを減設する際には、以下の如き処理が為される。
【0037】
図10は、ユーザが、レイドコントローラ100の操作部(図示せぬ)にて、図9に示すブレードBL1〜BL4の内から取外し対象とすべきブレードとしてブレードBL1を指定するブレード減設入力を行った際に、レイドコントローラ100で実施されるブレード減設制御フローを示す図である。
【0038】
図10において、先ず、レイドコントローラ100は、図9に示す如き、取り外し対象となるブレードBL1を除くブレードBL2〜BL4に搭載されているHDD42〜44各々の増減設用予備エリアAUAを、図11に示す如くブレード共通エリアCOAに変更し夫々を仮想的に連結した1つの領域とみなす減設レイドエリアRA3とすべく、管理メモリに記憶されているレイド管理情報の更新を行う(ステップS101)。
【0039】
次に、レイドコントローラ100は、図11に示す増設レイドエリアRA2に格納されている内容を全て減設レイドエリアRA3にコピーさせるべきレイド読書アクセス信号AS1〜AS4を生成し、夫々ブレードBL1〜BL4に送信する(ステップS102)。これにより、ブレードBL1〜BL4に搭載されているHDD41〜44の各々は、図12に示すように、増設レイドエリアRA2に格納されていたログファイルLF1〜LF4及び/又はコアファイルCF1〜CF4を含む各種情報データを、減設レイドエリアRA3にコピーしてその同期化を行う。
【0040】
次に、レイドコントローラ100は、図12に示す増設レイドエリアRA2を、図13に示す如くHDD41〜44各々毎の増減設用予備エリアAUAに切り分けるべく、管理メモリに記憶されている管理情報の書き換えを行う(ステップS103)。
【0041】
次に、レイドコントローラ100は、減設レイドエリアRA3に記憶されている、ブレードBL1に対応したログファイルLF1及び/又はコアファイルCF1を、図12に示す如きブレードBL1のHDD41の増減設用予備エリアAUAに移動させるべきレイド読書アクセス信号AS2〜4をブレードBL2〜BL4に送信すると共に、ブレードBL1に対してログアクセス要求を行う(ステップS104)。これにより、図13に示すように、ブレードBL1のHDD41の増減設用予備エリアAUAにはログファイルLF1及び/又はコアファイルCF1が書き込まれる。
【0042】
上記したステップS101〜S104の終了後、ユーザは、図14に示すように、ブレードラックBKからブレードBL1を取り外す。これにより、ブレードBL1を省いた3枚のブレードBL2〜BL4にてレイドエリア(RA3)が再構築される。
【0043】
よって、図1に示すブレードサーバによれば、新たなブレードの装着、或いはブレードの取り外しに応じて、自動的に、各ブレードに搭載されているHDD内の一部の領域(ブレード共通エリアCOA)を仮想的に連結してなるレイドエリアが構築されるのである。
【符号の説明】
【0044】
2 CPU
3 ディスクコントローラ
4 HDD
100 レイドコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報データの提供を行うサーバに関し、特に、夫々に情報データ格納用の記憶装置が搭載されているブレードを複数枚備えたブレードサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、情報ネットワーク上に各種情報データの提供を行うサーバとして、省スペース化、運用管理の効率化、保守コストの低減などの要求を満たすブレードサーバが注目されている。ブレードサーバは、夫々がプロセッサー、メモリー、ネットワーク接続インタフェース、及び各種情報データ格納用の記憶装置等を搭載した、いわゆるブレードと称されるモジュールの複数から構築される。
【0003】
又、このようなブレードサーバとして、各ブレードに、記憶装置としてのディスクドライブ装置を複数台搭載したものが知られている(例えば特許文献1の図2のブレード200及びディスクドライブ218を参照)。
【0004】
ところで、装置全体の小型化を考えた場合、各ブレードに搭載するディスクドライブ装置の数は1台であることが好ましい。
【0005】
しかしながら、1つのブレードにディスクドライブ装置が1台しか搭載されていないと、ディスクドライブ装置に障害が発生した場合、そのブレード自身が保有していたログファイル等を読むことが出来なくなる。よって、ディスクドライブ装置の障害発生後にその解析を行うことができない、或いは過去の動作状態を参照することができなくなるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−526527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型化を実現しつつも、記憶媒体の障害発生時における解析が可能なブレードサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるブレードサーバは、夫々に記憶装置が搭載されている複数のブレードと、前記ブレードの各々が装着されているブレードラックと、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置に対して読出又は書込制御を行う制御部と、を備えたブレードサーバであって、前記記憶装置各々の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアを含み、前記制御部は、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記ブレード共通エリアを仮想的に連結した1つの領域をレイド領域とみなして当該レイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルを前記記憶装置各々をして前記ブレード共通エリアへ書き込ましめることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、各ブレードに搭載されている記憶装置各々の一部の領域(ブレード共通エリア)を仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行する。更に、記憶装置の障害発生時においてその障害解析を行う際に必要となる情報としてログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込むようにしている。これにより、ブレード各々の内の1に搭載されている記憶装置に障害が生じた場合には、その他のブレードに搭載されている記憶装置のブレード共通エリアに格納されているログファイル又はコアファイルを参照することにより、その障害解析を行うことができる。よって、本発明によれば、装置全体の小型化を図るべく各ブレードに搭載する記憶装置を1台だけにした場合であっても、この1台分の記憶装置における障害発生時の解析を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるブレードサーバの構成の一例を示す図である。
【図2】各ブレードBLに搭載されているCPU2で実施される読出書込アクセス制御フローを示す図である。
【図3】図1に示すブレードBL1〜BL3各々に搭載されているHDD41〜HDD43各々の記憶エリアの状態の一例を示す図である。
【図4】レイドコントローラ100において実施されるレイド領域アクセス制御のフローを示す図である。
【図5】ブレードBL4を増設する直前での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図6】ブレードの増設に応じて、レイドコントローラ100において実施されるブレード増設制御のフローを示す図である。
【図7】ブレードBL4の増設第1段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図8】ブレードBL4の増設第2段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図9】ブレードBL4の増設最終段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図10】ブレードの減設に応じて、レイドコントローラ100において実施されるブレード減設制御のフローを示す図である。
【図11】ブレードBL1の減設第1段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図12】ブレードBL1の減設第2段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図13】ブレードBL1の減設第3段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【図14】ブレードBL1の減設最終段階での各HDD4の記憶エリアの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数のブレードの夫々に搭載されている記憶装置の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアからなり、各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアを仮想的に連結してなるレイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルとしてのログファイル及び/又はコアファイルを各ブレード毎の記憶装置各々のブレード共通エリアに書き込む。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明によるブレードサーバの構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すブレードサーバは、ブレード間通信路TLと、ブレードラックBKと、ブレードBL1〜BL3と、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)コントローラ100(以降、レイドコントローラ100と称する)と、からなる。尚、図1に示す一例では、ブレードラックBKの4つのスロットSL1〜SL4の内のSL1〜SL3に、夫々ブレードBL1〜BL3が装着されており、スロットSL4はブレード増設用のスロットとなっている。尚、ブレードラックBKは、スロットSL4にブレードが装着された場合には、ブレードの増設が為されたことを示すブレード増設検知信号をレイドコントローラ100に供給する。
【0014】
ブレード間通信路TLには、レイドコントローラ100と、3枚のブレードBL1〜BL3が接続されている。ブレードBL1〜BL3には、夫々通信インターフェース部1、CPU(Central Processing Unit)2、ディスクコントローラ3、及び単一のハードディスクドライブ装置4(以降、HDD4と称する)が設けられている。
【0015】
通信インターフェース1は、記憶装置としてのHDD4から読み出された情報データをブレード間通信路TLに送出すると共に、ブレード間通信路TL上の情報データを取り込みこれをHDD4に供給する。又、通信インターフェース1は、ブレード間通信路TL上から、レイドコントローラ100から送出されたレイド読書アクセス信号ASを取り込み、これをCPU2に供給する。
【0016】
CPU2は、内蔵メモリ(図示せぬ)に記憶されているプログラム(後述する)に従って、HDD4に記憶されている情報データを読み出す為の読出指令信号をディスクコントローラ3に供給する。又、CPU2は、かかるプログラムに従って、ブレード間通信路TLから供給された情報データをHDD4に書き込ませる為の書込指令信号をディスクコントローラ3に供給する。又、CPU2は、ディスクコントローラ3から後述する読み書き終了信号ENが供給された場合には、これを通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。更に、CPU2は、かかるプログラムに従って、レイド読書アクセス信号ASを要求する為のレイド読書要求信号RREQを、通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。
【0017】
ディスクコントローラ3は、CPU2から読出指令信号が供給された場合には、記憶されている情報データを読み出すべき読出信号をHDD4に供給する一方、書込指令信号が供給された場合には、通信インターフェース1を介してブレード間通信路TLから供給された情報データを書き込ませるべき書込信号をHDD4に供給する。又、ディスクコントローラ3は、HDD4での書込又は読出処理が終了すると、その旨を示す読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。
【0018】
HDD4は、ディスクコントローラ3から読出信号が供給された場合には情報データの読み出しを行い、この読み出された情報データを通信インターフェース1に供給する。又、HDD4は、ディスクコントローラ3から書込信号が供給された場合には、通信インターフェース1から供給された情報データをその記憶領域に書き込む。尚、HDD4の記憶領域は、予め、個別エリアINA、ブレード共通エリアCOA、増減設用予備エリアAUAの3つのエリアに区切られている。尚、個別エリアINAには、このHDD4が搭載されているブレードBLの制御を担うオペレーティングシステムに関するプログラムOSが記憶されている。
【0019】
レイドコントローラ100は、ブレードBL1〜BL3の各々に搭載されているHDD4を仮想的な1台のファイル格納用記憶装置として運用すべく、これらブレードBL1〜BL3各々に対して、情報データの書込又は読出を実行させる為のレイド読書アクセス信号AS1〜3を生成する。以降、ブレードBL1に搭載されているHDD4をHDD41、ブレードBL2に搭載されているHDD4をHDD42、ブレードBL3に搭載されているHDD4をHDD43と称する。ここで、レイドコントローラ100は、例えばRAIDレベルとして知られているRAID0〜5の内のRAID5を採用して、1つの情報データをブレードの数の分だけ分割し、夫々を各ブレードに搭載されているHDD4に分散して読出又は書込アクセスさせるべきレイド読書アクセス信号ASを生成する。この際、レイドコントローラ100は、各ブレードのHDD4に書き込ませるべき情報データに基づき、情報データ修復の為のパリティデータを作成し、このパリティデータからなるパリティブロックの複数を情報データの系列中に分散して挿入する。すなわち、レイドコントローラ100は、このような情報データの系列を3分割した第1〜第3分割データの内の第1の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS1、第2の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS2、第3の分割データ(パリティブロックを含む)を読出又は書込ませるべきレイド読書アクセス信号AS3を生成する。そして、レイドコントローラ100は、レイド読書アクセス信号AS1をブレードBL1、レイド読書アクセス信号AS2をブレードBL2、レイド読書アクセス信号AS3をブレードBL3に夫々送信する。これにより、HDD41〜43の各々には、上記した如きパリティブロックが含まれた情報データが書き込まれることになる。このような書込形態により、ブレードBL1〜BL3に夫々1台ずつ搭載されているHDD41〜43の内の1台が故障しても、残りのHDD4に格納された情報データとパリティブロックとに基づき、その故障したHDD4に格納されていた情報データを復元させることが可能となる。尚、レイドコントローラ100には、ブレードBL1〜BL3各々の各記憶エリアを管理するための管理情報が記憶されている管理メモリが内蔵されている。管理情報としては、個別エリアINA、ブレード共通エリアCOA、増減設用予備エリアAUA各々を特定する為のアドレス、記憶容量等を示す情報の他に、複数のHDD4各々の記憶領域を仮想的に連結した1つの領域(レイドエリア)とした際のアドレスを各ブレード毎に表すレイド管理情報がある。この際、初期状態での管理メモリには、図3に示す如くHDD41〜43各々のブレード共通エリアCOAを仮想的に連結したものをレイドエリアRAとするレイド管理情報が記憶されている。
【0020】
次に、図1に示すブレードサーバ内でのデータ読み書き動作の概要について説明する。
【0021】
図2は、ブレードBL1〜BL3に搭載されているCPU2各々の内の1において、メインプログラム(図示せぬ)実行中に書込又は読出要求(以下、アクセス要求と称する)が為された場合に実行される読出書込アクセス制御のフローを示す図である。
【0022】
図2において、先ず、CPU2は、そのアクセス要求がレイドコントローラ100から発せられたものであるか否か、つまりレイドコントローラ100からのログアクセス要求が為されたのか、或いは、このCPU2が実行したメインプログラムによって得られたアクセス要求であるのかを判定する(ステップS1)。尚、レイドコントローラ100からのログアクセス要求とは、このCPU2が属するブレードBLに対して為された各種アクセスの履歴を示すログファイル及び/又はHDD4の障害発生時直前に運用されていた情報データを示すコアファイル、に対して書込又は読出を要求する為のものである。ステップS1において、レイドコントローラ100からのアクセス要求であると判定されると、CPU2は、HDD4のブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対して上記したログファイル及び/又はコアファイルの書込又は読出しを実行させるべき書込指令信号又は読出指令信号をディスクコントローラ3に供給する(ステップS2)。ステップS2の実行により、HDD4はブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対して、上記したアクセス要求によって示されるログファイル及び/又はコアファイルの書込又は読出を行う。この際、HDD4によるブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに対するアクセスが終了すると、ディスクコントローラ3は、読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。ステップS2の実行後、CPU2は、読み書き終了信号ENが供給されたか否かの判定を繰り返し実行し(ステップS3)、読み書き終了信号ENが供給されと判定した場合に、この読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0023】
又、ステップS1において、レイドコントローラ100からのアクセスではないと判定された場合、CPU2は、上記したアクセス要求が、このCPU2が属するブレードBLに搭載されているHDD4の個別エリアINAへのアクセスを示すか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、個別エリアINAへのアクセス要求であると判定された場合、CPU2は、ディスクコントローラ3に対して、このアクセス要求に従って、HDD4の個別エリアINAに対して情報データの読出又は書込を実施させるべき書込指令信号又は読出指令信号を供給する(ステップS5)。ステップS5の実行により、HDD4は個別エリアINAに対して情報データの書込又は読出を行う。この際、HDD4による個別エリアINAに対するアクセスが終了すると、ディスクコントローラ3は、読み書き終了信号ENをCPU2に供給する。ステップS5の実行後、CPU2は、読み書き終了信号ENが供給されたか否かの判定を繰り返し実行し(ステップS6)、読み書き終了信号ENが供給されと判定した場合に、この読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0024】
又、上記ステップS4において、上記アクセス要求が、HDD4の個別エリアINAへのアクセスを示すものではないと判定されると、CPU2は、レイド読書アクセス信号ASを要求する為のレイド読書要求信号RREQを、通信インターフェース1及びブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する(ステップS7)。ここで、レイドコントローラ100がレイド読書要求信号RREQを受信すると、レイドコントローラ100は、図4に示す如きレイド領域アクセス制御ルーチンを実行する。
【0025】
図4において、先ず、レイドコントローラ100は、管理メモリに記憶されているレイド管理情報に基づき、前述した如きレイド読書アクセス信号AS1〜AS3を夫々生成する(ステップS21)。次に、レイドコントローラ100は、ブレード間通信路TLを介して、レイド読書アクセス信号AS1をブレードBL1、レイド読書アクセス信号AS2をブレードBL2、レイド読書アクセス信号AS3をブレードBL3に夫々送信する(ステップS22)。ステップS22の実行により、ブレードBL1〜BL3各々は、夫々に搭載されているHDD4の記憶領域中において、レイドエリアRAに指定されている領域に対して情報データの読出又は書込アクセスを実施する。この際、HDD4に対する情報データの読出又は書込処理が終了したブレードBLは、読み書き終了信号ENをブレード間通信路TLを介してレイドコントローラ100に送信する。この間、レイドコントローラ100は、ブレードBL1〜BL3各々から送信された読み書き終了信号ENを全て受信したか否かの判定を、ブレードBL1〜BL3各々から送信された読み書き終了信号ENを全て受信したと判定するまで繰り返し実行する(ステップS23)。ステップS23において、全てのブレードBL1〜BL3から読み書き終了信号ENが供給されたと判定された場合、レイドコントローラ100は、図3に示す如きレイドエリアRAに対するアクセスが全て完了した旨を示すレイドアクセス完了信号RENDを、ブレード間通信路TLを介して、上述した如きレイド読書要求信号RREQの送信元であるブレードBLに送信する。
【0026】
この間、送信元であるブレードBLに搭載されているCPU2は、レイドアクセス完了信号RENDを受信したか否かの判定をこのレイドアクセス完了信号RENDを受信したと判定されるまで繰り返し実行する(図2のステップS8)。そして、ステップS8において、レイドアクセス完了信号RENDを受信したと判定された場合に、CPU2は、図2に示される読出書込アクセス制御ルーチンを抜けてメインプログラムの実行に戻る。
【0027】
以上の如く、図1に示すブレードサーバにおいては、ブレードBL1〜BL3に夫々1台ずつ搭載されているHDD4の記憶領域内の一部の領域(ブレード共通エリアINA)を図3に示す如く仮想的に連結して1つのレイドエリアRAを構築し、このレイドエリアRA領域に対して、情報データの書込又は読出を行うようにしている。すなわち、レイドエリアRAを利用することにより、一連の情報データ系列をブレードBLの枚数(3枚)だけ分割した分割データの各々を、ブレードBL1のHDD41、ブレードBL2のHDD42、及びブレードBL3のHDD43に夫々分散させて書き込ませるようにしている。この際、かかるブレードサーバでは、HDD4の障害発生時においてその障害解析を行う際に必要となる情報としてログファイル及び/又はコアファイルを、レイドエリアRA中における各ブレードの担当エリアであるブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに書き込むようにしている。これにより、ブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43の内の1台が故障してしまっても、その他のHDD4のブレード共通エリアCOA又は増設用予備エリアAUAに格納されているログファイル又はコアファイルを参照することにより、故障解析が可能となる。
【0028】
次に、ブレードを増設する際に為される動作について、ブレードBL4を図1に示すブレードサーバに増設する場合を例にとって説明する。
【0029】
尚、図5に示すように、装着済みのブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43各々の個別エリアINAには、各ブレードBL毎のオペレーティングシステムに関するプログラムOSが予め格納されている。又、レイドコントローラ100の管理メモリには、図5に示す如く、HDD41〜43各々のブレード共通エリアCOAを仮想的に連結した1つの領域をレイドエリアRA1とすべきレイド管理情報が記憶されている。このレイドエリアRAには各ブレードBL毎のログファイルLF1〜LF3及び/又はコアファイルCF1〜CF3が予め格納されている。この際、HDD41〜43各々の増減設用予備エリアAUAの合計記憶容量と、レイドエリアRAの記憶容量とは互いに同一である。又、増設用のブレードBL4に搭載されているHDD44の個別エリアINAにはブレードBL4のオペレーティングシステムに関するプログラムOSが予め格納されており、このHDD44のブレード共通エリアCOA又は増減設用予備エリアAUAには、ブレードBL4のログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4が格納されているものとする。
【0030】
図6は、ブレードラックBKの空きスロットSL4へのブレードBL4の装着によりブレードラックBKが送出したブレード増設検知信号に応じて、レイドコントローラ100が実施するブレード増設制御フローを示す図である。
【0031】
図6において、先ず、レイドコントローラ100は、図7に示すようにHDD41〜44各々の増減設用予備エリアAUAをブレード共通エリアCOAに変更し夫々を仮想的に連結した1つの領域とみなす増設レイドエリアRA2とすべく、管理メモリに記憶されているレイド管理情報の更新を行う(ステップS61)。
【0032】
次に、レイドコントローラ100は、レイドエリアRA1に格納されている内容を全て増設レイドエリアRA2にコピーさせるべきレイド読書アクセス信号AS1〜3を生成し、夫々をブレードBL1〜BL3に送信する(ステップS62)。これにより、ブレードBL1〜BL3に搭載されているHDD41〜43の各々は、図8に示すように、レイドエリアRA1に格納されていたログファイルLF1〜LF3と、コアファイルCF1〜CF3とを含む各種情報データを、増設レイドエリアRA2にコピーしてその同期化を行う。
【0033】
次に、レイドコントローラ100は、ブレードBL4に対して、このブレードBL4のHDD44のブレード供給エリアCOAに格納されているログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4を、増設レイドエリアRA2にコピーさせるべきログアクセス要求を行う(ステップS63)。かかるログアクセス要求に応じて、ブレードBL4のHDD44は、図8に示すように、そのブレード供給エリアCOAに格納されているログファイルLF4及び/又はコアファイルCF4を、増設レイドエリアRA2にコピーしてその同期化を行う。
【0034】
次に、レイドコントローラ100は、図8に示すレイドエリアRA1を、図9に示すようにHDD41〜43各々毎の増減設用予備エリアAUAに切り分けると共に、図8に示す如きHDD44のブレード共通エリアCOAを増減設用予備エリアAUAに変更すべく、管理メモリに記憶されている管理情報の書き換えを行う(ステップS64)。
【0035】
以上の如きステップS61〜S63の実行によりブレードBL4の増設が完了し、その結果、図9に示す如く、ブレードBL4のブレード共通エリアCOAを含めた増設レイドエリアRA2がブレードサーバに形成される。
【0036】
一方、図1に示されるブレードサーバにおいてブレードを減設する際には、以下の如き処理が為される。
【0037】
図10は、ユーザが、レイドコントローラ100の操作部(図示せぬ)にて、図9に示すブレードBL1〜BL4の内から取外し対象とすべきブレードとしてブレードBL1を指定するブレード減設入力を行った際に、レイドコントローラ100で実施されるブレード減設制御フローを示す図である。
【0038】
図10において、先ず、レイドコントローラ100は、図9に示す如き、取り外し対象となるブレードBL1を除くブレードBL2〜BL4に搭載されているHDD42〜44各々の増減設用予備エリアAUAを、図11に示す如くブレード共通エリアCOAに変更し夫々を仮想的に連結した1つの領域とみなす減設レイドエリアRA3とすべく、管理メモリに記憶されているレイド管理情報の更新を行う(ステップS101)。
【0039】
次に、レイドコントローラ100は、図11に示す増設レイドエリアRA2に格納されている内容を全て減設レイドエリアRA3にコピーさせるべきレイド読書アクセス信号AS1〜AS4を生成し、夫々ブレードBL1〜BL4に送信する(ステップS102)。これにより、ブレードBL1〜BL4に搭載されているHDD41〜44の各々は、図12に示すように、増設レイドエリアRA2に格納されていたログファイルLF1〜LF4及び/又はコアファイルCF1〜CF4を含む各種情報データを、減設レイドエリアRA3にコピーしてその同期化を行う。
【0040】
次に、レイドコントローラ100は、図12に示す増設レイドエリアRA2を、図13に示す如くHDD41〜44各々毎の増減設用予備エリアAUAに切り分けるべく、管理メモリに記憶されている管理情報の書き換えを行う(ステップS103)。
【0041】
次に、レイドコントローラ100は、減設レイドエリアRA3に記憶されている、ブレードBL1に対応したログファイルLF1及び/又はコアファイルCF1を、図12に示す如きブレードBL1のHDD41の増減設用予備エリアAUAに移動させるべきレイド読書アクセス信号AS2〜4をブレードBL2〜BL4に送信すると共に、ブレードBL1に対してログアクセス要求を行う(ステップS104)。これにより、図13に示すように、ブレードBL1のHDD41の増減設用予備エリアAUAにはログファイルLF1及び/又はコアファイルCF1が書き込まれる。
【0042】
上記したステップS101〜S104の終了後、ユーザは、図14に示すように、ブレードラックBKからブレードBL1を取り外す。これにより、ブレードBL1を省いた3枚のブレードBL2〜BL4にてレイドエリア(RA3)が再構築される。
【0043】
よって、図1に示すブレードサーバによれば、新たなブレードの装着、或いはブレードの取り外しに応じて、自動的に、各ブレードに搭載されているHDD内の一部の領域(ブレード共通エリアCOA)を仮想的に連結してなるレイドエリアが構築されるのである。
【符号の説明】
【0044】
2 CPU
3 ディスクコントローラ
4 HDD
100 レイドコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々に記憶装置が搭載されている複数のブレードと、前記ブレードの各々が装着されているブレードラックと、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置に対して読出又は書込制御を行う制御部と、を備えたブレードサーバであって、
前記記憶装置各々の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアを含み、
前記制御部は、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記ブレード共通エリアを仮想的に連結した1つの領域をレイド領域とみなして当該レイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルを前記記憶装置各々をして前記ブレード共通エリアへ書き込ましめることを特徴とするブレードサーバ。
【請求項2】
前記障害解析用ファイルは、ログファイル及び/又はコアファイルであることを特徴とする請求項1記載のブレードサーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブレードラックが増設ブレードを検知した場合には、
前記増設ブレードを含む前記ブレード各々の前記記憶装置の前記増減設用エリアを仮想的に連結して増設レイド領域を構築するステップと、
前記レイド領域に記憶されている内容を前記増設レイド領域にコピーするステップと、
前記増設ブレードに搭載されている前記記憶装置の前記ブレード共通エリアを前記ブレード共通エリアに変更すると共に、前記レイド領域を前記記憶装置毎の前記増減設用エリアに切り分けるステップと、を含むブレード増設制御を実行することを特徴とする請求項1又は2記載のブレードサーバ。
【請求項4】
前記制御部は、ブレード減設入力が為された場合には、
取外し対象ブレードを除く前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記増減設用エリアを仮想的に連結して減設レイド領域を構築するステップと、
前記レイド領域に記憶されている内容を前記減設レイド領域にコピーするステップと、
前記減設レイド領域中から、前記取外し対象ブレードに搭載されている前記記憶装置に対応した前記履歴情報を抽出しこれを前記取外し対象ブレードに搭載されている前記記憶装置をして前記増減設用エリアに書き込ましめるステップと、を含むブレード減設制御を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【請求項5】
前記ブレードの各々には1台ずつ前記記憶装置が搭載されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【請求項6】
前記個別エリアには、前記ブレード毎のオペレーティングシステムに関するプログラムが予め格納されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【請求項1】
夫々に記憶装置が搭載されている複数のブレードと、前記ブレードの各々が装着されているブレードラックと、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置に対して読出又は書込制御を行う制御部と、を備えたブレードサーバであって、
前記記憶装置各々の記憶領域は、個別エリア、ブレード共通エリア及び増減設用エリアを含み、
前記制御部は、前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記ブレード共通エリアを仮想的に連結した1つの領域をレイド領域とみなして当該レイド領域に対して情報データの書込又は読出アクセスを実行すると共に、障害解析用ファイルを前記記憶装置各々をして前記ブレード共通エリアへ書き込ましめることを特徴とするブレードサーバ。
【請求項2】
前記障害解析用ファイルは、ログファイル及び/又はコアファイルであることを特徴とする請求項1記載のブレードサーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブレードラックが増設ブレードを検知した場合には、
前記増設ブレードを含む前記ブレード各々の前記記憶装置の前記増減設用エリアを仮想的に連結して増設レイド領域を構築するステップと、
前記レイド領域に記憶されている内容を前記増設レイド領域にコピーするステップと、
前記増設ブレードに搭載されている前記記憶装置の前記ブレード共通エリアを前記ブレード共通エリアに変更すると共に、前記レイド領域を前記記憶装置毎の前記増減設用エリアに切り分けるステップと、を含むブレード増設制御を実行することを特徴とする請求項1又は2記載のブレードサーバ。
【請求項4】
前記制御部は、ブレード減設入力が為された場合には、
取外し対象ブレードを除く前記ブレードの各々に搭載されている前記記憶装置各々の前記増減設用エリアを仮想的に連結して減設レイド領域を構築するステップと、
前記レイド領域に記憶されている内容を前記減設レイド領域にコピーするステップと、
前記減設レイド領域中から、前記取外し対象ブレードに搭載されている前記記憶装置に対応した前記履歴情報を抽出しこれを前記取外し対象ブレードに搭載されている前記記憶装置をして前記増減設用エリアに書き込ましめるステップと、を含むブレード減設制御を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【請求項5】
前記ブレードの各々には1台ずつ前記記憶装置が搭載されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【請求項6】
前記個別エリアには、前記ブレード毎のオペレーティングシステムに関するプログラムが予め格納されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のブレードサーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−187021(P2011−187021A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54692(P2010−54692)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
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