説明

プッシュプル増幅器

【課題】低消費電流で、かつMOSトランジスタがオフになる状態を回避できるようにし、従来のものに比べ大きな駆動能力を有するプッシュプル増幅器の提供。
【解決手段】この発明は、差動増幅器1、2と、トランジスタ3、4からなり差動増幅器1、2の出力に基づいてプッシュプル動作を行う出力増幅部15と、オフセット制御部32と、を備えている。差動増幅器1は、オフセット調整端子10を有する。オフセット制御部32は、加算器13、14と差動増幅器16とを備え、差動増幅器1、2の出力電圧および入力電圧V11、V12に基づいて、差動増幅器1のオフセットを調整する制御信号を生成する。この生成された制御信号は、オフセット調整端子10に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無駆動時の消費電流が低くかつ高い電流駆動能力を有するプッシュプル増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプッシュプル増幅器は多種多様な構成のものが提案されており、それぞれの目的および電源電圧などの条件によって使い分けている。
図4に示すプッシュプル増幅器は、低い出力抵抗でかつ出力の動作範囲が広いという特徴を有するものである(例えば、非特許文献1参照)。このプッシュプル増幅器は、図示のように、差動増幅器101と、差動増幅器102と、P型のMOSトランジスタ103およびN型のMOSトランジスタ104からなる出力増幅部115と、を備えている。
【0003】
また、このプッシュプル増幅器は、反転入力端子105と非反転入力端子106とを有し、反転入力端子105が差動増幅器101および差動増幅器102の各非反転入力端子に接続され、非反転入力端子106が差動増幅器101および差動増幅器102の各反転入力端子に接続されている。差動増幅器101の出力端子107はMOSトランジスタ103のゲートに接続され、差動増幅器102の出力端子108はMOSトランジスタ104のゲートに接続されている。さらに、このプッシュプル増幅器は、出力端子109を備えている。
図5は、図4に示す従来のプッシュプル増幅器をボルテージフォロワの構成にした回路であり、図4に示す出力端子109と反転入力端子105とを接続している。そして、その出力端子109に抵抗値がRである負荷抵抗110の一端側が接続され、その他端側がアナロググランド111に接続されている。
【0004】
次に、図5に示すプッシュプル増幅器の動作について説明する。
図5において、非反転入力端子106の入力電圧がアナロググランドの場合、出力端子109の電圧も入力と同じとなり、すなわちアナロググランドの電圧になる。この時、抵抗110の両端の電圧差はゼロであるので、抵抗110に電流は流れない。このため、出力増幅部を構成するMOSトランジスタ103とMOSトランジスタ104に流れる電流は、いわゆる無負荷時の電流が流れているのみである。
【0005】
次に、非反転入力端子106の入力電圧がアナロググランドの電圧よりも高くなると、差動増幅器101、102の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧に比べて上昇する。このため、出力端子107、108の各電圧は下降して、P型のMOSトランジスタ103はより多くの電流を供給でき、N型のMOSトランジスタ104は電流がより少なくなるようになる。このようにして余った電流は抵抗110に供給され、出力端子109の電圧は上昇して、最終的には入力端子106と出力端子109の電圧は等しくなる。
【0006】
逆に、非反転入力端子106の入力電圧がアナロググランドの電圧よりも低くなると、差動増幅器101、102の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧に比べて下降する。このため、出力端子107、108の各電圧は上昇して、P型のMOSトランジスタ103はより少ない電流を供給し、N型のMOSトランジスタ104は電流をより多く供給するようになる。このようにして余った電流は抵抗110に供給され、出力端子109の電圧は下降して最終的には、入力端子106と出力端子109電圧は等しくなる。
【0007】
このように、MOSトランジスタ103,104の各ゲートに印加する電圧は同じ方向に同じ電圧だけシフトするので、一方が強くオンするとき他方は弱くオンすることになり、プッシュプル動作することが理解できる。しかも、それぞれのゲートに印加する電圧は差動増幅器が理想的に動作するなら正の電源から負の電源まで印加できるので、出力増幅部の電流供給能力に優れているという特徴がある。
【0008】
しかし、このプッシュプル増幅器は、差動増幅器101および差動増幅器102のオフセットに弱いという欠点がある。
例えば、差動増幅器101にオフセット電圧が+10〔mV〕あると仮定する。差動増幅器101のゲインを低めに見積もって100倍とすると、その出力はオフセットがゼロの場合に比べて1000〔mV〕だけ正の電源であるVddの方向へずれる。この場合には、P型のMOSトランジスタ103はほぼオフ状態になり、一方、N型のMOSトランジスタ104は本来の設定値の電流が流れることになり、電流がアンバランスになる。しかし、このアンバランスは負帰還の作用により、それぞれの電流が等しくなるように差動増幅器101、102のそれぞれの出力電圧は再調整される。
【0009】
これを具体的に説明すると、P型のMOSトランジスタ103からの電流の供給はほぼゼロでN型のMOSトランジスタ104がある電流を流すと出力端子109の出力電圧は下降する。これによって、差動増幅器102の非反転入力端子の電圧が下降するので、差動増幅器102の出力端子108の電圧も下がり、N型MOSトランジスタ104に流れる電流量は大幅に減る。
一方、差動増幅器101の非反転入力端子の電圧は下がり、差動増幅器101の出力端子107の電圧も下がり、電流が少し流れるようになって、最終的に、MOSトランジスタ103、104の電流量が同じになったところで安定状態になる。 ただし、そのオフセットが大きい場合には、MOSトランジスタ103、104に流れる電流はオフ状態で安定することがある。
【0010】
ここで、差動増幅器101、102の出力端子107、108の電圧差について考えてみると、オフセットが10〔mV〕で差動増幅器101、102のゲインが100倍の時には、その出力電圧差は本来の設計値より1〔V〕大きくなるため、出力増幅部に流れる電流は極めて少ない値またはゼロになる。電流が少ない状態では、MOSトランジスタのgm値も非常に小さい値になり位相シフトが大きくなり、結果的に回路は不安定で発振を起こすことになる。
【0011】
次に、差動増幅器101にオフセット電圧が−10〔mV〕ある場合について説明する。差動増幅器101のゲインを低めに見積もって100倍とすると、その出力はオフセットがゼロの場合に比べて1〔V〕だけ負の電源であるVssの方向へずれる。この場合、P型のMOSトランジスタ103は大きくオンした状態になり、一方、N型のMOSトランジスタ104は本来の設定値の電流が流れることになり、電流がアンバランスになる。このアンバランスは負帰還の作用により、それぞれの電流が等しくなるように差動増幅器101、102のそれぞれの出力電圧は再調整される。
ただし、それぞれの出力電圧差は本来の設計値より1〔V〕小さくなるため、出力増幅部に流れる電流は極めて大きい値になる。その電流が大きいと、外部負荷を駆動しない時でも多くの電流が流れることになり、プッシュプル増幅器を用いる意味がなくなる。
【0012】
以上の説明からわかるように、図5に示す従来のプッシュプル増幅器では、オフセットが本来の値より正に大きくなっても、あるいは負に大きくなっても上記のような不具合が発生する。
このような不具合を解消するためのプッシュプル増幅器を、図6に示す。このプッシュプル増幅器は、差動増幅器100、差動増幅器102のオフセット電圧に無関係に無駆動時の消費電流が低くかつ高い電流駆動能力を有する低い出力抵抗であって、しかも出力の動作範囲が広いという特徴を有する(特許文献1参照)。
【0013】
また、このプッシュプル増幅器は、図4のプッシュプル増幅器に対して、オフセット制御部117が追加され、かつ、差動増幅器101がオフセット電圧を調整するためのオフセット調整端子110を有する差動増幅器100に置き換わっている点を除き、他の部分の構成は同じである。
オフセット制御部117は、図6に示すように、2つの非反転入力端子121a、121c、2つの反転入力端子121b、121d、および1つの出力端子121eを有する、4入力1出力の差動差動増幅器121からなる。
【0014】
差動差動増幅器121の非反転入力端子121aに差動増幅器100の出力電圧V1が供給され、差動差動増幅器121の反転入力端子121dに差動増幅器102の出力電圧V2が供給されるようになっている。また、差動差動増幅器121の非反転入力端子121cが基準電圧供給端子120に接続され、その端子120に第2基準電圧Vref2が供給されるようになっている。さらに、差動差動増幅器121の反転入力端子121bが基準電圧供給端子119に接続され、その端子119に第1基準電圧Vref1が供給されるようになっている。また、差動差動増幅器121の出力端子121eは、差動増幅器100のオフセット調整端子110に接続されている。
【0015】
次に、差動差動増幅器121に適用できる回路の構成例について、図7を参照して説明する。
図7に示す差動差動増幅器121は、N型のMOSトランジスタM1、M2、M5から構成される差動入力部131と、N型のMOSトランジスタM3、M4、M6から構成される差動入力部132と、P型のMOSトランジスタM7、M8と、を備えている。ここで、MOSトランジスタM7、M8は、差動入力部131と差動入力部132との共通の負荷として使用される。
【0016】
また、この差動差動増幅器121は、図7に示すように、第1の非反転入力端子134と、第1の反転入力端子135と、第2の反転入力端子136と、第2の非反転入力端子137と、出力端子138とを備えている。
さらに詳述すると、MOSトランジスタM1、M2は差動対を構成し、MOSトランジスタM1のゲートは第1の非反転入力端子134に接続され、MOSトランジスタM2のゲートは第1の反転入力端子135に接続されている。MOSトランジスタM3、M4は差動対を構成し、MOSトランジスタM3のゲートは第2の反転入力端子136に接続され、MOSトランジスタM4のゲートは第2の非反転入力端子137に接続されている。
【0017】
MOSトランジスタM5は、MOSトランジスタM1、M2の定電流源として機能し、MOSトランジスタM6は、MOSトランジスタM3、M4の定電流源として機能するものである。このため、MOSトランジスタM5、M6の各ゲートはバイアス端子139に接続され、その各ゲートに所定のバイアス電圧が供給されるようになっている。MOSトランジスタM7、M8の各ゲートは、MOSトランジスタM8のドレインと接続されている。
【0018】
次に、図7に示す差動差動増幅器の動作について説明する。
いま、図7に示す差動差動増幅器において、入力端子134、135に入力電圧Va、Vbが供給され、入力端子136、137に入力電圧Vc、Vdが供給されているものとする。また、出力端子138の出力電圧を図7に対応させてV6とすると、これらの電圧の関係は次式で表される。
V6=A1(Va−Vb)+A2(Vd−Vc)・・・(1)
【0019】
ここで、(1)式中のA1は入力端子134、135から出力端子138に対するゲイン(利得)であり、A2は入力端子136、137から出力端子138に対するゲインである。
いま、MOSトランジスタM1〜M4の各サイズが同じで、かつ、MOSトランジスタM5、M6の各サイズが同じであるとすると、ゲインA1、A2は等しくなるので、A1=A2=Aとおくことができ、(1)式は(2)式のように書き直すことができる。
V6=A(Va−Vc+Vd−Vb)・・・(2)
【0020】
ここで、Vbとして第1基準電圧Vref1を用い、Vdとしてその第2基準電圧Vref2を用いると、さらにVaには図6のV1を入力電圧とし、Vcには図6のV2を入力電圧とすると、(2)式は次の(3)式のようになる。
V6=A・(V1−Vref1−V2+Vref2)・・・(3)
また、差動増幅器100のオフセット調整端子110に入力される電圧V6と、差動増幅器100の出力電圧V1との関係式が、次の(4)式のように反転の関係にあるとする。
V1=−B・V6 ・・・(4)
ここで、Bは正の定数である。
【0021】
ところで、差動増幅器100と差動増幅器102の出力の電圧差である(V1−V2)が基準電圧Vref1−Vref2よりも大きな場合、(3)式により差動差動増幅器121の出力電圧V6はより大きくなり、(4)式により差動増幅器100の出力電圧V1は下がる。また逆に、その電圧差(V1−V2)が基準電圧Vref1−Vref2よりも小さい場合、(3)式により差動差動増幅器121の出力電圧V6はより小さくなり、(4)式により差動増幅器100の出力電圧V1は上がる。
【0022】
このような動作により、上記のゲインAとゲインBの積である(A・B)が十分大きい場合には、電位差(V1−V2)は基準電圧Vref1−Vref2に等しくなる。これを式によって説明すると、上記の(A・B)が十分に大きいと、(3)式の右辺はゼロとなるため、次の(6)式が得られる。
(V1−V2)−Vref1+Vref2=0 ・・・(6)
すなわち、オフセット制御部117は、次の(7)式になるような制御を行う。
V1−V2=Vref1−Vref2 ・・・(7)
【0023】
従って、オフセット制御部117は、差動増幅器100と差動増幅器102の出力の電圧差である(V1−V2)の値が基準電圧Vref1−Vref2に等しくなるような制御を行う。
以上の説明は、図6に示すように、オフセット調整端子110が差動増幅器100にある場合だが、そのオフセット調整端子110が差動増幅器102にある場合にも全く同じ作用をする。
【0024】
次に、差動増幅器100または差動増幅器102において、オフセットを調整する方法について図8を参照して説明する。まず、図8に示す負荷用のP型のMOSトランジスタ43、44のウエル電圧の制御について説明する。
いま、ウエル電圧Vwとソース電圧Vsの差の電圧をVsw=Vs−Vwとすると、MOSトランジスタのしきい値VthpとVswの間には、次の(8)式のような関係式が一次近似として成立する。
Vthp=Vtho+γ・Vsw ・・・(8)
【0025】
ここで、VthoはVsw=0のときのしきい値で、γは比例定数で通常は0.1〜0.5程度の値になる。(8)式によれば、ウエル電圧Vwが変化すると、MOSトランジスタのしきい値Vthpが変化することになる。このため、差動増幅器1において、一対からなるMOSトランジスタ43、44のしきい値に差が生ずると、オフセットが発生することが知られている(例えば非特許文献2参照)。
【0026】
従って、P型のMOSトランジスタ43、44のいずれか一方のウエル電圧を固定値に設定し、他方のウエル電圧を可変制御することで、オフセット電圧を制御することが可能になる。
そこで、図8に示す差動増幅器1では、MOSトランジスタ43のウエルと接続する端子47にはウエル電圧として固定の電圧値を供給し、MOSトランジスタ44のウエルと接続する端子48にはウエル電圧として可変電圧を供給するようにした。
【0027】
この場合、端子48の電圧が端子47の電圧より高くなると、(8)式によりMOSトランジスタ44のしきい値は負側に大きくなり、MOSトランジスタ44に流れる電流がMOSFET43に流れる電流よりも減少して、出力端子50の電圧は下がる。逆に、端子48の電圧が端子47の電圧より低くなると、MOSトランジスタ44のしきい値は負側に小さくなり、MOSトランジスタ44に流れる電流がMOSFET43に流れる電流よりも増加して、出力端子50の電圧は上がる。
【0028】
ここで、図4に示す従来のプッシュプル増幅器では、差動増幅器101または差動増幅器102において発生するオフセットによって、出力増幅部のMOSトランジスタ103、104の電流が設計値よりも過剰に流れたり、逆にわずかしか流れなくなるという不具合があった。
しかし、図6に示すプッシュプル増幅器によれば、差動増幅器100または差動増幅器102においてオフセット電圧が発生しても、出力電圧差をいつも一定に制御できるので、出力増幅部115のMOSトランジスタ103、104の無負荷時電流をいつも一定に保つことができる。
【0029】
以上説明したように、図6のプッシュプル増幅器ではオフセット制御部117を備え、差動増幅器100と差動増幅器102の出力電位差をいつも基準電圧に等しくなるように制御したので、無信号時の消費電流を小さくすることができる。
次に、図6のプッシュプル増幅器において、端子119および端子120に供給される第1基準電圧Vref1、および第2基準電圧Vref2の値について説明する。
図9は、第1基準電圧Vref1を生成するための第1基準電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【0030】
第1基準電圧生成回路は、図9に示すように、電流値がIrefである定電流源60と、ダイオード接続されたP型のMOSトランジスタ61とが、正の電源Vddと負の電源Vssとの間に直列に接続されている。そして、MOSトランジスタ61のドレインに発生する電圧を第1基準電圧Vref1として出力するために、そのドレインが出力端子62に接続されている。
ここで、仮に、MOSトランジスタ61と図6に示すMOSトランジスタ103のトランジスタサイズが同じで、かつ、V1=Vref1の時には、これらの両MOSトランジスタ61、103は電流ミラーの関係を有するので、図6に示すMOSトランジスタ103に流れる電流値はIrefとなる。
【0031】
図10は、第2基準電圧Vref2を生成するための第2基準電圧生成回路の構成を示す回路図である。
この第2基準電圧生成回路は、図10に示すように、電流値がIrefである電流源63と、ダイオード接続されたN型のMOSトランジスタ64とが、正の電源Vddと負の電源Vssとの間に直列に接続されている。そして、MOSトランジスタ64のドレインに発生する電圧を第2基準電圧Vref2として出力するために、そのドレインが出力端子65に接続されている。
【0032】
ここで、仮に、MOSトランジスタ64と図6に示すMOSトランジスタ104のトランジスタサイズが同じで、かつ、V2=Vref2の時には、これらの両MOSトランジスタ64、104は電流ミラーの関係を有するので、図6に示すMOSトランジスタ104に流れる電流値はIrefとなる。
従って、図6に示すプッシュプル増幅回路において、(7)式が実現できて、かつ出力電流がゼロすなわち無負荷の時の、MOSトランジスタ103、104に流れる電流をIrefによって設定できる。
【0033】
上記のように、差動増幅器100、102は、オフセット電圧が存在していてもMOSトランジスタ103、104に流れる電流は常にIrefになっている。さらに、図6の回路は、電源電圧が変動しても、また温度、プロセスによってMOSトランジスタのしきい値電圧が変動しても、MOSトランジスタ103、104に流れる電流は図9および図10のMOSトランジスタと電流ミラーの関係を有しているため、それらの影響を受けることなく常にIrefになる。
【0034】
以上説明したように、図6に示すプッシュプル増幅器によれば、出力増幅部115を構成するMOSトランジスタ103、104に無負荷時に流れる電流を、任意の設定値になるように制御できる。
さて、図6においてMOSトランジスタ103、104が大きな出力電流を駆動するには、MOSトランシスタ103、104のゲートに印加する信号をより大きくすれば良い。例えば、MOSトランジスタ104の場合、図6における電圧V2が基準電圧Vref2のレベルよりはるかに高くなる。
【0035】
この時に、図7に示す差動差動増幅器121において、差動増幅器102の出力電圧V2を受ける入力トランジスタM3のゲート電圧と、基準電圧Vref2を受けるトランジスタM4のゲート電圧との差が大きくなりすぎると、ゲート電圧が低いほうであるトランジスタM4がオフ状態になる。
これを避けるために、これら入力トランジスタM3、M4のオーバードライブ電圧(Vgs−Vth)の値を大きくすれば良いが、プロセス変動および高いゲート電圧における移動度劣化を考慮すると、オーバードライブ電圧を大きくさせるには限界がある。このため、効率良く、大電流を駆動することは困難である。
これらの点は、図7の差動差動増幅器121において、差動増幅器100の出力電圧V1を受ける入力トランジスタM1のゲート電圧と、基準電圧Vref1を受けるトランジスタM2のゲート電圧との差が大きな場合も同様である。
【0036】
【非特許文献1】P.R.グレイ、P.J.フルスト、R.G.メイヤー著 浅田邦博、永田譲監訳 アナログ集積回路設計技術 上巻、第4版 培風館 451ページ
【非特許文献2】P.R.グレイ、P.J.フルスト、R.G.メイヤー著、浅田邦博、永田譲監訳 アナログ集積回路設計技術 上巻、第4版 培風館 508ページ
【特許文献1】特開2006−5648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、差動増幅器で発生するオフセットの影響を排除でき、しかもオーバードライブ電圧に依存することなく、出力トランジスタのゲート電圧のピーク値を従来よりも一層高いレベルにできるようにし、低消費電流で従来よりも高い出力電流を得ることができるプッシュプル増幅器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決して本発明の目的を達成するために、請求項に係る各発明は以下のように構成した。
すなわち、請求項1に係る発明は、非反転入力端子、反転入力端子、および出力端子をそれぞれ有する第1差動増幅器および第2差動増幅器と、互いに極性の異なる相補型のトランジスタからなり、前記各トランジスタは前記第1差動増幅器および前記第2差動増幅器の各出力信号を入力してプッシュプル動作を行う出力増幅部と、前記第1差動増幅器の出力信号と第1の基準値の第1平均値、および前記第2差動増幅器の出力信号と第2の基準値の第2平均値とをそれぞれ求め、この求めた第1の平均値と第2の平均値との差に応じた制御信号を生成するオフセット制御部と、を備え、前記第1差動増幅器および前記第2差動増幅器のうち一方の差動増幅器がオフセットを調整するためのオフセット調整端子を有し、前記オフセット制御部が生成する制御信号を前記オフセット調整端子に供給する。
【0039】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記オフセット制御部は、前記第1差動増幅器の出力信号と前記第1の基準値の平均値を求める第1平均値算出回路と、前記第2差動増幅器の出力信号と前記第2の基準値の平均値を求める第2平均値算出回路と、前記第1平均値算出回路の出力と前記第2平均値算出回路の出力との差を求める減算回路と、前記減算回路の出力信号を増幅する増幅回路と、からなる。
【0040】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第1または第2平均値算出回路は、それぞれ一方の端子が共通接続された1組の抵抗と、これら抵抗の他方の端子から入力信号を入力するための1組の入力端子から構成されており、前記1組の入力端子から入力信号を印加して、前記共通接続端子から平均値となる信号を取り出すための出力端子を有する。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記第1または第2平均値算出回路は、前記1組の入力端子と前記1組の抵抗の間に、電圧バッファアンプを備えている。
請求項5に係る発明は、請求項2〜4に係る発明において、前記減算回路と前記増幅回路は、差動増幅器で構成されている。
【0041】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5に係る発明において、前記オフセット調整端子を有する差動増幅器は、入力用のMOSトランジスタ対を有し、そのMOSトランジスタ対の一方のウエルに基準電圧を供給するようにし、他方のウエルに前記オフセット調整端子を接続する。
請求項7に係る発明は、請求項1〜5に係る発明において、前記オフセット調整端子を有する差動増幅器は、負荷となるMOSトランジスタ対を有し、そのMOSトランジスタ対の一方のウエルに基準電圧を供給するようにし、他方のウエルに前記オフセット調整端子を接続する。
【0042】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7に係る発明において、前記第1の基準値を発生する第1基準値発生回路と、前記第2の基準値を発生する第2基準値発生回路と、をさらに備え、前記第1基準値発生回路は、ダイオード接続されたP型のMOSトランジスタと、定電流源とを正負の電源間に直列に接続させ、前記P型のMOSトランジスタのドレイン端子に発生する電圧を前記第1基準値として出力するようになっており、前記第2基準値発生回路は、ダイオード接続されたN型のMOSトランジスタと、定電流源とを正負の電源間に直列に接続させ、前記N型のMOSトランジスタのドレイン端子に発生する電圧を前記第2基準値として出力するようになっている。
【発明の効果】
【0043】
このような構成からなる本発明によれば、低消費電流で、かつMOSトランジスタがオフになる状態を回避できるため、従来のものに比べ大きな駆動能力を有するプッシュプル増幅器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明のプッシュプル増幅器の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
この第1実施形態は、図1に示すように、オフセット電圧を調整するためのオフセット調整端子10を有する差動増幅器1と、差動増幅器2と、P型のMOSトランジスタ3およびN型のMOSトランジスタ4からなる出力増幅部15と、加算器13、14および差動増幅器16からなるオフセット制御部32と、を備えている。
【0045】
また、このプッシュプル増幅器は、反転入力端子5と非反転入力端子6とを有し、反転入力端子5が差動増幅器1および差動増幅器2の各非反転入力端子に接続され、非反転入力端子6が差動増幅器1および差動増幅器2の各反転入力端子に接続されている。差動増幅器1の出力端子7はMOSトランジスタ3のゲートに接続され、差動増幅器2の出力端子8はMOSトランジスタ4のゲートに接続されている。さらに、このプッシュプル増幅器は、出力端子9を備えている。
【0046】
図1のプッシュプル増幅器は、図6のプッシュプル増幅器のオフセット制御部117をオフセット制御部32に置き換えたものであり、その他の部分の構成は図6の構成と同じである。このため、第1実施形態の差動増幅器1、2および出力増幅部15は、図6の差動増幅器100、102および出力増幅部115に相当し、オフセット調整端子10を有する差動増幅器1は、図8の回路から構成される。従って、差動増幅器1のオフセット調整端子10は、図8の回路の端子48に相当する。
なお、図8の回路において、MOSトランジスタ43、44に代えて、入力用のMOSトランジスタ41、42を利用し、MOSトランジスタ41のウエルにはウエル電圧として固定の電圧値を供給し、MOSトランジスタ42のウエルにはウエル電圧として可変電圧を供給するようにしても、上述の図8の回路と同様の効果が得られる。
【0047】
次に、オフセット制御部32の構成について説明する。
オフセット制御部32は、上記のように加算器13、14と差動増幅器16とを備え、これらによって差動増幅器1のオフセットを調整する制御信号を生成し、この制御信号がオフセット調整端子10に供給される。
加算器13は、2つの入力端子7、11を有し、入力端子7に印加される電圧V1と入力端子11に印加される電圧V11とを加算し、その結果を電圧V3として出力する。加算器14は、2つの入力端子8、12を有し、入力端子8に印加される電圧V2と入力端子12に印加される電圧V12とを加算し、その結果を電圧V4として出力する。差動増幅器16は、非反転入力端子18と反転入力端子19を有し、入力端子18に印加される電圧V3と入力端子19に印加される電圧V4の差を求め、この求めた差の電圧を増幅して出力端子17に電圧V6を出力する。
【0048】
図2は、図1のオフセット制御部32を構成する差動増幅器16の具体的な回路例である。この差動増幅器16は、図8の差動増幅器100とその基本的な構成が同じであり、負荷用のMOSトランジスタ43、44のウエル電圧として正の電源電圧であるVddを使用する点が異なる。
【0049】
次に、このような構成の第1実施形態の動作例について、図1を参照して説明する。
ここでは、差動増幅器1、2および出力増幅部15におけるプッシュプル動作は、図6の差動増幅器100、102および出力増幅部115におけるプッシュプル動作と同様であるので、その説明は省略し、オフセット制御部32の動作について説明する。
図1において、いま加算器13の入力端子7、11に入力電圧V1、V11が供給され、加算器14の入力端子8、12に入力電圧V2、V12が供給されているものとする。また、差動増幅器16の出力端子17の出力電圧をV6とすると、これらの電圧の関係は次式で表される。
V6=A〔(V1+V11)−(V2+V12)〕・・・(9)
【0050】
ここで、(9)式中のAは差動増幅器16の入力端子18、19から出力端子17に対するゲイン(利得)である。
ここで、入力電圧V12として第1基準電圧Vref1を用い、入力電圧V11として第2基準電圧Vref2を用いると、(9)式は以下の(10)式のようになる。なお、第1基準電圧Vref1は図9の基準電圧発生回路を使用して発生でき、第2基準電圧Vref2は図10の基準電圧発生回路を使用して発生できる。
V6=A・(V1−Vref1−V2+Vref2)・・・(10)
(10)式は、図6で説明したプッシュプル増幅器におけるオフセット制御部117の出力電圧を表す式(3)と同じである。従って、図6のプッシュプル増幅器と同様に、オフセット制御部32の働きにより差動増幅器1と差動増幅器2の出力の電圧差(V1−V2)は、第1基準電圧Vref1と第2基準電圧Vref2の電圧差Vref1−Vref2に等しくなる。
【0051】
このように、図1のプッシュプル増幅器は、図6の回路と同様に差動増幅器1、2にオフセット電圧が存在しても無負荷時の消費電流を低いレベルに抑えながら、大電流を駆動できるという特徴を有する。
ここで、図6のプッシュプル増幅器の場合、差動差動増幅器117に入力する信号電圧V1あるいはV2の信号レベルを基準電圧Vref1あるいはVref2に対して大きく外れることができなかった。このため、低電源電圧のもとでは大電流駆動を達成できなかった。しかし、図1のプッシュプル増幅器の場合、差動増幅器16の入力端子18および19に印加する電圧は差動増幅器16のゲインAが十分大きい場合、イマジナリショートの効果によりいつも同じレベルに保たれている。
【0052】
従って、差動増幅器16の入力端子18、19の信号レベルがいつも同じであり、図6の場合のように入力トランジスタがオフ状態になることがないので、信号電圧V1およびV2が如何なるレベルになろうとも差動増幅器16の入力トランジスタがオフ状態にならない。このため、第1実施形態によれば、低い電源電圧の下でも、大電流を駆動できるという特徴がある。
以上の説明は、図1に示すようにオフセット調整端子10が差動増幅器1にある場合だが、そのオフセット調整端子10が差動増幅器2にある場合にも全く同じ作用をする。
【0053】
(第2実施形態)
図3は、本発明のプッシュプル増幅器の第2実施形態の構成を示す回路図である。
この第2実施形態は、図3に示すように、図1のオフセット制御部32の加算器13を電圧バッファアンプ20、21および1組の抵抗24、25で実現するとともに、加算器14を電圧バッファアンプ22、23および1組の抵抗26、27で実現するようにしたものである。従って、第2実施形態の他の部分の構成は、図1の第1実施形態の構成と同じであるので、同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
次に、加算器13、14の構成について説明する。
電圧バッファアンプ20は、その入力端子に差動増幅器1の出力電圧V1が印加され、その出力端子が抵抗24の一方の端子28に接続されている。また、電圧バッファアンプ21は、その入力端子11に入力電圧V11が印加され、その出力端子が抵抗25の一方の端子29に接続されている。抵抗24、25の他方の端子は共通接続され、この共通接続部は差動増幅器16の非反転入力端子18に接続されている。
【0055】
電圧バッファアンプ23は、その入力端子に差動増幅器2の出力電圧V2が印加され、その出力端子が抵抗27の一方の端子31に接続されている。また、電圧バッファアンプ22は、その入力端子12に入力電圧V12が印加され、その出力端子が抵抗26の一方の端子30に接続されている。抵抗26、27の他方の端子は共通接続され、この共通接続部は差動増幅器16の反転入力端子19に接続されている。
【0056】
次に、加算器13、14の動作(作用)について、図3を参照して説明する。
いま、抵抗24と抵抗25の抵抗値の値が同じであれば、差動増幅器16の非反転入力端子18の入力電圧V3は、端子28の電圧V28と端子29の電圧V29の平均値、すなわち式(11)のように表される。
V3=(V28+V29)/2=(V1+V11)/2・・・(11)
(11)式によれば、抵抗24、25は2つの信号である電圧V28と電圧V29を加算するとともに、その平均値を求めていることになる。言い換えると、抵抗24、25は、差動増幅器1の出力電圧V1と基準電圧である入力電圧V11とを加算するとともに、その平均値を求めている。
【0057】
このような動作により、図1の加算器13は、抵抗24、25と電圧バッファアンプ20、21によって実現される。
さらに、抵抗26と抵抗27の抵抗値の値が同じであれば、差動増幅器16の反転入力端子19の入力電圧V4は、端子31の電圧V31と端子30の電圧V30の平均値、すなわち式(12)のように表される。
V4=(V31+V30)/2=(V2+V12)/2・・・(12)
【0058】
(12)式によれば、抵抗26、27は2つの信号である電圧V30と電圧V31を加算するとともに、その平均値を求めていることになる。言い換えると、抵抗26、27は、差動増幅器2の出力電圧V2と基準電圧である入力電圧V12とを加算するとともに、その平均値を求めている。
このような動作により、図1の加算器14は、抵抗26、27と電圧バッファアンプ22、23によって実現される。
【0059】
ここで、差動増幅器1、2の各出力端子を抵抗24、27に直接接続した場合には、抵抗に電流が流れてその出力端子の電圧が変動する場合がある。これを避けるために入力インピーダンスが十分高い電圧バッファアンプ20、23を用いている。電圧バッファアンプ21、22についても同様である。
これらの電圧バッファアンプには、例えば図2の差動増幅器の出力端子50と反転入力端子46を接続したボルテージフォロワを用いることができる。または、簡便な電圧バッファアンプとしてよく知られているソースフォロワ回路を用いても構わない。
【0060】
以上のように、図3の第2実施形態の場合も、差動増幅器16の入力端子18、19に印加する電圧は差動増幅器16のゲインAが十分に大きい場合には、イマジナリショートの効果により常に同じレベルに保たれている。従って、差動増幅器16の入力端子18、19の信号レベルがいつも同じであり、信号電圧V1およびV2が如何なるレベルになろうとも差動増幅器16の入力トランジスタがオフ状態にならない。このため、第2実施形態では、低い電源電圧のもとでも、大電流を駆動できるという特徴がある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のプッシュプル増幅器は、差動増幅器にオフセットが生じてもオフセットを自己補償して2つの差動増幅器の出力電位差を一定にする機能があるため、低消費電流でありながら大電流駆動能力を有する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のプッシュプル増幅器の第1実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1および図3に示す差動増幅器に使用される差動増幅器を示す回路図である。
【図3】本発明のプッシュプル増幅器の第2実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図4】従来のプッシュプル増幅器の回路図である。
【図5】従来のプッシュプル増幅器をボルテージフォロワ構成にした例を示す回路図である。
【図6】従来のプッシュプル増幅器の別の回路図である。
【図7】図6に示す差動差動増幅器の回路図である。
【図8】本発明および従来の回路に用いられている差動増幅器の回路図である。
【図9】第1基準電圧発生回路の構成を示す回路図である。
【図10】第2基準電圧発生回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0063】
1、2 差動増幅器
3 P型のMOSトランジスタ
4 N型のMOSトランジスタ
13、14 加算器
16 差動増幅器
20〜23 電圧バッファアンプ
24〜27 抵抗
32 オフセット制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非反転入力端子、反転入力端子、および出力端子をそれぞれ有する第1差動増幅器および第2差動増幅器と、
互いに極性の異なる相補型のトランジスタからなり、前記各トランジスタは前記第1差動増幅器および前記第2差動増幅器の各出力信号を入力してプッシュプル動作を行う出力増幅部と、
前記第1差動増幅器の出力信号と第1の基準値の第1平均値、および前記第2差動増幅器の出力信号と第2の基準値の第2平均値とをそれぞれ求め、この求めた第1の平均値と第2の平均値との差に応じた制御信号を生成するオフセット制御部と、を備え、
前記第1差動増幅器および前記第2差動増幅器のうち一方の差動増幅器がオフセットを調整するためのオフセット調整端子を有し、前記オフセット制御部が生成する制御信号を前記オフセット調整端子に供給することを特徴とするプッシュプル増幅器。
【請求項2】
前記オフセット制御部は、
前記第1差動増幅器の出力信号と前記第1の基準値の平均値を求める第1平均値算出回路と、
前記第2差動増幅器の出力信号と前記第2の基準値の平均値を求める第2平均値算出回路と、
前記第1平均値算出回路の出力と前記第2平均値算出回路の出力との差を求める減算回路と、
前記減算回路の出力信号を増幅する増幅回路と、
からなることを特徴とする請求項1に記載のプッシュプル増幅器。
【請求項3】
前記第1または第2平均値算出回路は、
それぞれ一方の端子が共通接続された1組の抵抗と、これら抵抗の他方の端子から入力信号を入力するための1組の入力端子から構成されており、前記1組の入力端子から入力信号を印加して、前記共通接続端子から平均値となる信号を取り出すための出力端子を有することを特徴とする請求項2に記載のプッシュプル増幅器。
【請求項4】
前記第1または第2平均値算出回路は、
前記1組の入力端子と前記1組の抵抗の間に、電圧バッファアンプを備えていることを特徴とする請求項3に記載のプッシュプル増幅器。
【請求項5】
前記減算回路と前記増幅回路は、差動増幅器で構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうちのいずれかに記載のプッシュプル増幅器。
【請求項6】
前記オフセット調整端子を有する差動増幅器は、
入力用のMOSトランジスタ対を有し、そのMOSトランジスタ対の一方のウエルに基準電圧を供給するようにし、他方のウエルに前記オフセット調整端子を接続することを特徴とした請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のプッシュプル増幅器。
【請求項7】
前記オフセット調整端子を有する差動増幅器は、
負荷となるMOSトランジスタ対を有し、そのMOSトランジスタ対の一方のウエルに基準電圧を供給するようにし、他方のウエルに前記オフセット調整端子を接続することを特徴とした請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のプッシュプル増幅器。
【請求項8】
前記第1の基準値を発生する第1基準値発生回路と、前記第2の基準値を発生する第2基準値発生回路と、をさらに備え、
前記第1基準値発生回路は、ダイオード接続されたP型のMOSトランジスタと、定電流源とを正負の電源間に直列に接続させ、前記P型のMOSトランジスタのドレイン端子に発生する電圧を前記第1基準値として出力するようになっており、
前記第2基準値発生回路は、ダイオード接続されたN型のMOSトランジスタと、定電流源とを正負の電源間に直列に接続させ、前記N型のMOSトランジスタのドレイン端子に発生する電圧を前記第2基準値として出力するようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のプッシュプル増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−71690(P2009−71690A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239509(P2007−239509)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】