説明

プラスチックボトル搬送装置

【課題】成形した直後のボトルをエア搬送路に受け渡す際にボトル同士が衝突して変形するのを防止する。
【解決手段】ブロー成形機1からボトルを搬出するシステムは、回転式のボトル取り出し機1によって各成形型2から取り出されたボトル10がスターホイール18を介してネック式エア搬送路17に送り出される。スターホイール18の凹所27には、その深部を規定する面29の進み側に窪み50が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトル搬送装置に関し、典型的には、内容物をプラスチックボトルに充填する同じ施設内でボトルの成形を行うインラインボトル成形充填システムにおいて成形直後のボトルを搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォータやお茶などの飲料などの内容物を市場に提供するのに軽量ボトルであるPETボトルを用いるのが一般化している。このPETボトルは、これを製造するに際して1本当たりのプラスチック材料を減じて薄肉化する傾向にあり、1.5リットル入りボトルや2リットル入りボトルを50g以下、例えば40〜50gのプラスチック材料から作ることが検討されている。
【0003】
ところで、飲料などの内容物をPETボトルに充填する業者はボトル成形業者から成形済みのボトルの供給を受けるのが通例であるが、特許文献1及び2は、内容物をPETボトルに充填する同じ施設内でボトルを成形することを提案している。
【0004】
特許文献1は、ボトルの予備成形体であるプリフォームからボトルを次々とブロー成形し、次いで、これを充填装置に供給して飲料を充填するインラインボトル成形充填システムを開示している。特許文献2は、樹脂材料から射出成形によりプリフォームを作るプリフォーム成形工程を更に含むインラインボトル成形充填システムを開示している。
【0005】
このように同一施設内でプラスチックボトルの成形を行うと共に内容物の充填を行うインラインボトル成形充填システムによれば、ボトル成形業者が製造した空のボトルを内容物充填工場まで搬送する物流コストを大幅に削減できるという経済的なメリットがある。
【特許文献1】特開平11−198916号公報
【特許文献2】特開平11−291331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インラインボトル成形充填システムに限らず、ボトル成形業者から空のボトルの供給を受けて、これに内容物を充填する従来のシステムでは、軽量ボトルであるプラスチックボトルの搬送ラインとして、一般的に、プラスチックボトルの口部フランジをスライドさせながらエアによって搬送するネック式エア搬送法が採用されている。
【0007】
ところで、特許文献1に添付の図面(図6)を見ると、回転式ブロー成形機に隣接して回転式のボトル取り出し機が配設され、このボトル取り出し機に臨んでネック式エア搬送路が配設されている。すなわち、回転式ブロー成形機で成形したボトルは、回転式のボトル取り出し機によって成形型から取り出され、このボトル取り出し機によって成形直後のボトルをネック式エア搬送路に受け渡す構成が採用されている。このような構成によれば、ブロー成形した直後のボトルが回転式取り出し機によって次々とエア搬送路の入口に投入され、このエア搬送路の入口に投入されたボトルは次の内容物充填に関連した工程までエア搬送されることになる。
【0008】
エア搬送路の入口にボトルが投入されると同時にエア搬送が開始されるのが理想であるが、エア搬送路はエア流によってボトルを搬送するものであることからエア搬送を開始するタイミングが不確実であり、これに加えて短いタクトで次々とボトルがエア搬送路の入口に投入されるため、何らかの原因でボトルが僅かな時間であってもエア搬送路の入口で停滞すると、この停滞しているボトルに対して、次に投入されたボトルが衝突してしまうという問題がある。成形直後の未だ冷め切っていない状態でのボトル同士の衝突はボトルの変形を招く可能性があるが、特にプラスチック材料の量を減じた薄肉ボトルの場合には、衝突によりボトルが変形してしまう可能性が大きくなる。
【0009】
本発明の目的は、成形機で成形したボトルを次の工程に移行させるために、成形直後のボトルをエア搬送路に受け渡す過程でボトル同士が衝突してボトルの変形を招く可能性を低減することのできるプラスチックボトル搬送装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更なる目的は、特許文献1や特許文献2のようにボルト成形工程を含むインラインボトル成形充填システムにおいて、成形直後のボトルをエア搬送路に受け渡す過程でボトル同士が衝突してボトルの変形を招く可能性を低減することのできるプラスチックボトル搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題は、本発明の第1の観点によれば、
プラスチックボトルの成形を行った直後に、該成形したプラスチックボトルを次の工程に搬送するプラスチックボトル搬送装置において、
円周上の等間隔に配置された複数の成形型を有し、一方向に回転しながら各成形型でプラスチックボトルを成形する成形機と、
該成形機とは反対方向に回転しながら、該成形機で成形したプラスチックボトルを各成形型から取り出すための複数のハンドを備えた回転式ボトル取り出し機と、
該回転式ボトル取り出し機とは反対方向に回転しながら該回転式ボトル取り出し機の各ハンドから受け渡されるボトルを受け入れる複数の凹所を周方向に等間隔に備えると共に隣接する凹所間にガイド突起を備えた回転式のスターホイールと、
該スターホイールが回転移動することにより各凹所から送り出されるボトルを受け入れる入口を備え、前記ボトルのネックと係合して次の工程までエア流により前記ボトルを搬送するネック式エア搬送路とを有し、
前記スターホイールの前記凹所を規定する面には、該スターホイールの回転方向進み側に窪み又は弾性体が設けられており、
前記ネック式エア搬送路の入口は、前記スターホイールから送り出された前記ボトルを該スターホイールから受け取ることができるように、平面視したときに、前記スターホイールと干渉する位置に配設されていることを特徴とするプラスチックボトル搬送装置を提供することにより達成される。
【0012】
上記の技術的課題は、また、本発明の第2の観点によれば、
内容物をプラスチックボトルに充填する同じ施設内でボトルの成形を行うインラインボトル成形充填システムのプラスチックボトル搬送装置において、
円周上の等間隔に配置された複数の成形型を有し、一方向に回転しながら各成形型でプラスチックボトルを成形する成形機と、
該成形機とは反対方向に回転しながら、該成形機で成形したプラスチックボトルを各成形型から取り出すための複数のハンドを備えた回転式ボトル取り出し機と、
該回転式ボトル取り出し機とは反対方向に回転しながら該回転式ボトル取り出し機の各ハンドから受け渡されるボトルを受け入れる複数の凹所を周方向に等間隔に備えると共に隣接する凹所間にガイド突起を備えた回転式のスターホイールと、
該スターホイールが回転移動することにより各凹所から送り出されるボトルを受け入れる入口を備え、前記ボトルのネックと係合して次の工程までエア流により前記ボトルを搬送するネック式エア搬送路とを有し、
前記スターホイールの前記凹所を規定する面には、該スターホイールの回転方向進み側に窪み又は弾性体が設けられており、
前記ネック式エア搬送路の入口は、前記スターホイールから送り出された前記ボトルを該スターホイールから受け取ることができるように、平面視したときに、前記スターホイールと干渉する位置に配設されていることを特徴とするプラスチックボトル搬送装置を提供することにより達成される。
【0013】
すなわち、本発明では、ボトル成形機の各成形型から取り出したボトルを直接的にネック式エア搬送路に送り出すのではなく、スターホイールを介在させて、このスターホイールによってボトルの姿勢を整えると共に次々とボトル成形機から取り出されたボトルをスターホイールを介してネック式エア搬送路に送り出すようにしてある。このことから、ネック式エア搬送路の入口には、スターホイールによって適当な間隔を隔てた状態でボトルが次々に送り込まれることになる。
【0014】
このように、ボトルが停滞する可能性を含むネック式エア搬送路の入口にボトルを投入するのではなく、ボトル間の間隔を機械的に規定した状態でネック式エア搬送路の入口にボトルを供給するようにしてあることから、エア搬送路の入口でボトル同士が衝突することはなく、或いは、ボトル同士が衝突したとしてもその衝撃力を緩和した状態にすることができるため、ネック式エア搬送路の入口でボトル同士の衝突によるボトルの変形を抑制することができる。プラスチックボトルは、上述したように、その材料の量を減じて薄肉化するほど上記の変形の問題が顕在化し易いが、本発明は薄肉ボトルの変形に対して極めて効果的な利点を提供することができる。
【0015】
また、本発明では、更に、スターホイールの凹所を規定する面の進み側に窪み又は弾性体を有するため、ボトル取り出し機からスターホイールの凹所にボトルが受け渡される際に、ボトルが凹所を規定する面と衝突する衝撃を窪み又は弾性体によって緩和することができ、これによりボトルが変形するのを防止することができる。PETボトルには、断面円形のボトルと断面矩形のボトルとが知られているが、特に断面矩形のボトルに対して、凹所の進み側に、特に凹所の深部を規定する面における回転方向進み側に窪み又は弾性体を設けることでスターホイールとの干渉による断面矩形のボトルの変形を効果的に抑制することができ、また、このスターホイールによって、後の工程のために断面矩形のボトルの姿勢つまりボトルの向きを整えることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態では、前記スターホイールの凹所に対向した位置に前記ボトルの側面と摺接して該ボトルを案内するガイド面を有し、該ガイド面によって前記ボトルが前記エア搬送路の入口まで案内される。この好ましい実施の形態によれば、スターホイールの凹所と対向するガイド面によって、このガイド面と凹所とが協働してボトルの向き及び姿勢を整えた状態でエア搬送路にボトルを送り込むことができる。この効果は、特にボトルの本体が矩形断面を備えている場合に顕著である。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態では、更に、前記スターホイールから送り出されるボトルのネックと係合して該ボトルを前記エア搬送路の入口まで案内するガイドスリットを有する。このガイドスリットは、エア搬送路がネック式である場合にエア搬送路でネックを受け入れるための搬送路スリットと連続しているのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0019】
図1は、ミネラルウォータなどの飲料を軽量ボトルつまりプラスチックボトルに充填するインラインボトル成形充填システムに組み込まれたボトル成形機及びこれに付随した設備の概要を示す図である。同図において、参照符号1は回転式のブロー成形機であり、このブロー成形機1は、同心円上に等間隔に配置された数多くの成形型2を有し、回転軸3を中心にして矢印で示す反時計方向に回転しながらブロー成形するものである。
【0020】
ブロー成形機1には、図2に示すプリフォーム5が供給される。図2を参照して、プリフォーム5は、図示しない蓋を螺合するためのネジ部6と、ネジ部6に隣接したフランジ7とを有し、フランジ7の直下方にネック8を残して本体部分9がブロー成形され、これにより図3に示すプラスチックボトル10になる。プラスチックボトル10の素材は典型的にはポリエチレンテレフタレート(PET)である。プラスチックボトル10は、図3から分かるように、その本体部分の断面形状は略矩形の多角形である。
【0021】
図1に戻って、ブロー成形機1にプリフォーム5を供給するシステムは、プリフォーム供給路11からプリフォーム5を受け取って、これを加熱室12に供給する回転式のプリフォーム受渡機13と、このプリフォーム受渡機13から一つずつプリフォーム5を受け取って加熱室12内を通過させる無端搬送機14とを有し、無端搬送機14はプリフォーム5を整列させた状態で加熱室12内を矢印方向に移動させる。プリフォーム5は、加熱室12内を移動しながら、ブロー成形する前の準備として所定の温度まで加熱される。
【0022】
無端搬送機14は、加熱したプリフォーム5を回転式のプリフォーム装着機15に引き渡し、このプリフォーム装着機15は、受け取ったプリフォーム5をブロー成形機1の各成形型2に装着する。ブロー成形機1の各成形型2は、水平方向に左右に型開きした状態でプリフォーム装着機15からプリフォーム5を受け入れた後に型閉じして矢印方向(反時計方向)に回転しながらブロー成形を行う。
【0023】
ブロー成形機1から成形後のボトルを搬出するシステムは、プリフォーム装着機15に隣接して配置された回転式のボトル取り出し機16を有する。ブロー成形機1の各成形型2は、約一周しながらボトル10をブロー成形し、ブロー成形が終わると、ボトル10はボトル取り出し機16によって取り出される。そして、各成形型2から取り出されたボトル10はスターホイール18を介してネック式エア搬送路17に供給される。
【0024】
すなわち、ブロー成形機1から成形後のボトル10を取り出して次の工程まで搬送するシステムは、ブロー成形機1の各成形型2からボトル10を取り出すボトル取り出し機16と、ボトル10を次の工程に搬送するネック式エア搬送路17の他に、ボトル取り出し機16とネック式エア搬送路17との間に介装されたスターホイール18を含んでいる。なお、ブロー成形機1と、ボトル取り出し機16と、スターホイール18とを含むボトル成形エリアは、仕切り100によって外部と区画されている。
【0025】
ボトル取り出し機16は、図4に示すように、円周方向に等間隔に配置された複数のハンド20を有し、各ハンド20はその向き及び回転中心21からの離間距離が可変であり、各ハンド20の開閉、向き並びに回転中心21からの離間距離は、2本のカム溝22、23によって制御される。ボトル取り出し機16は、ハンド20を開いた状態でブロー成形機1の回転する成形型2に接近し、対応する成形型2が型開きし始める前に、ハンド20を閉じてボトル10のネジ部6を把持し、成形型2が完全に型開きするのと同期して成形型2からボトル10を取り出す。そして、この取り出したボトル10を把持した状態で矢印方向(時計方向)に約半周してスターホイール18に受け渡す。
【0026】
スターホイール18は、図5に示すように、上下に離間して配置された一対のホイール25、26を有し、この上下のホイール25、26は一緒に反時計方向に回転する。上側ホイール25及び下側ホイール26は、円周方向に等間隔に離間して径方向外方に向けて開放した複数の凹所27を備え、この凹所27は、プラスチックボトル10の断面矩形の形状に対応した形状を有している。すなわち、上側ホイール25及び下側ホイール26は、径方向外方に向けて突出した複数のガイド突起28と、互いに隣接するガイド突起28、28間を連結する周面29を有する。複数のガイド突起28は円周方向に等間隔に配置されており、隣接するガイド突起28の間隔はプラスチックボトル10の幅寸法に対応している。隣接するガイド突起28、28間を連結する周面29つまり凹所27の深部を規定する面は、スターホイール18の凹所27の数にも依るが、スターホイール18の回転軸心30(図4)を中心とした円弧面又はこれに類した湾曲面であるのが好ましい。
【0027】
実施例では、上述したように、ブロー成形機1は反時計方向に回転し、ボトル取り出し機20は時計方向に回転し、スターホイール18は反時計方向に回転しながら、ブロー成形機1の各成形型2から取り出したボトル10がボトル取り出し機20によってスターホイール18の凹所27に受け渡される。
【0028】
スターホイール18は、ボトル取り出し機20から次々とボトル10を受け取り、受け取ったボトル10をネック式エア搬送路17に受け渡す。
【0029】
図5と図7を参照して、ネック式エア搬送路17のフレームFは、スターホイール18と干渉しない位置に配置され、エア搬送路17の入口17aはフレームFからスターホイール18側に延長されて、上方から見たときにスターホイール18と干渉する位置までスターホイール18に接近して配置されている。そして、入口17aは、実質的にスターホイール18の周面29の接線方向に指向して配置されている。図5から分かるように、スターホイール18とエア搬送路17の入口17aとの間には、ガイドスリット32とガイド面33が設けられており、ボトル10は、両者32、33によってスターホイール18からネック式エア搬送路17に案内される。
【0030】
スリット32は、互いに対向するガイドプレート34、34で形成されている。ボトル10のフランジ7の下面は、左右のガイドプレート34、34の互いに対向する縁部と摺接し、この状態で、ボトル10のネック89がガイドスリット32に沿って移動することにより、ボトル10は、ネック式エア搬送路17の入口17aまで案内される。
【0031】
ガイド面33は、フッ素系樹脂のような滑り易い帯状部材によって構成されている。このガイド面33は、ほぼ下側ホイール26に対向して配置され、このガイド面33にボトル10の矩形断面の本体部分9aの一つの平面が摺接することによりボトル10がネック式エア搬送路17の入口17aまで案内される。
【0032】
図6から理解できるように、フロアから起立するフレームFに固定されたネック式エア搬送路17は、4つの壁面を備えた断面四角形の細長い通路36で構成されている。細長い通路36は仕切りプレート37によって、上下に、エア室38とボトル本体室39とに区画され、仕切りプレート37の下面には、上述した第1ガイドプレート34、34に連続した第2ガイドプレート40、40が配設され、この第2のガイドプレート40、40によって搬送路スリット41が形成されている。この搬送路スリット41は上述したガイドスリット32に連続しており、ガイドスリット32に案内されてエア搬送路17の入口17aに進入したボトル10は、そのフランジ7の下面が第2ガイドプレート40、40の縁部に摺接した状態で、この第2ガイドプレート40、40で形成される搬送路スリット41の中にネック8が受け入れられる。
【0033】
ネック式エア搬送路17は、ブロー成形機1が設置されたボトル成形エリアを区画する仕切り100に連結され、ネック式エア搬送路17のエア室38及びボトル本体室39がボトル成形エリアと連通しているが、このうちエア室38は、スターホイール18に接近する方向にボトル成形エリア内で更に延長されて、エア室38の端部は、平面視したときにスターホイール18と干渉する位置まで延びている。他方、ボトル本体室39は、スターホイール18と干渉しないように仕切り100からボトル成形エリア内に延長されておらず、ボトル本体室39の端は実質的に仕切り100で終端している。
【0034】
エア室38には、搬送路スリット41を囲むドライビングエア室43が設けられ、このドライビングエア室43を画成する左右一対の側壁44には、その長手方向に間隔を隔てて数多くのエア吐出口45が形成されている。
【0035】
ドライビングエア室43には、エア吐出口45からエアが流入し、この流入するエア流によりボトル10がエア搬送路17の下流側に向けて搬送される。エア搬送路17のボトル本体室39には、ボトル本体10aの両側に上下に離間して位置する上下のガイドロッド46が配設され、これより搬送過程でボトル10が左右に揺動するのを防止する。
【0036】
スターホイール18の好ましい態様として、各凹所27の深部を規定する周面29には、その回転方向進み側に窪み50を有するのがよい。この窪み50は、限定するものではないが、ガイド突起28の回転方向遅れ側の面28a(図5)に沿って滑らかな曲線で切り欠いた形状であるのがよい。
【0037】
上記の実施例において、ブロー成形機1の各成形型2で成形されたボトル10は、回転式のボトル取り出し機16のハンド20によって取り出され、次いで、スターホイール18の各凹所27に取り込まれた後に、このスターホイール18によって隣接するボトル10、10間の間隔を規制しながらネック式エア搬送路17の入口17aに送り出され、ネック式エア搬送路17の入口17aに入ったボトル10はエア流によって次の工程に搬送される。
【0038】
このように、上記の実施例では、回転式ボトル取り出し機16とネック式エア搬送路17との間にスターホイール18を介装してあるため、このスターホイール18によって、ボトル10の向き及び姿勢を整え且つ隣接するボトル10、10間の間隔を機械的に規制しながらネック式エア搬送路17にボトル10を送り込むことができる。そして、これにより、ブロー成形直後の未だ冷え切っていないボトル10同士が衝突するのを防止することができ、特に、ネック式エア搬送路17の入口17aでボトル10同士が衝突するのを防止して、ボトル10同士が衝突することに伴うボトル10の変形を抑えることができる。
【0039】
図4、図7を参照して回転式ボトル取り出し機16からネック式エア搬送路17に至るまでのボトル10の挙動を説明する。ブロー成形機1で成形されたボトル10は、ネジ部6を含む口部が回転式取り出し機16のハンド20で把持された状態で各成形型2から取り出され、ハンド20は時計方向に回転しながらボトル10の向きを調整してスターホイール18の凹所27にボトル10を受け渡す。スターホイール18は、図7(A)に示すように、反時計方向に回転しながらガイド突起28でボトル10を受け止めて、このボトル10を凹所27に収容し、スターホイール18に対向するガイド面33と協働してボトル10の姿勢及び向きを整える(図7(B))。スターホイール18が更に反時計方向に回転すると、図7(C)に示すように、このボトル10を収容している凹所27の遅れ側のガイド突起28でボトル10を機械的に押しながらボトル10をガイドスリット32に送り出し、ボトル10はガイドスリット32及びガイド面33に案内されてエア搬送路17の入口17aに供給される。
【0040】
回転式取り出し機16からスターホイール18にボトル10を受け渡す過程で、図7(A)から分かるように、時計方向に移動するハンド20からスターホイール18がボトル10を受け取る際に、反時計方向に移動するガイド突起28でボトル10を受け止めつつボトル10を凹所27に収容することになるが、このときボトル10の角部が凹所27の深部を規定する面つまり周面29と衝突して変形してしまう虞がある。これに対して実施例では、凹所27の周面29の進み側に窪み50が設けられているため、ボトル10の角部が周面29と衝突する衝撃を緩和することができ、これによりボトル10が変形するのを抑制することができる。この変形抑制効果は、ボトル10が薄肉ボトルであるときに効果的になる。
【0041】
変形例として、スターホイール18の凹所27の深部を規定する周面29の進み側に窪み50を設ける代わりに、当該部位を比較的柔らかい弾性体を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】インラインボトル成形充填システムに含まれるボトル成形機及びこれに付随した設備の概要を示す図である。
【図2】PETボトルを成形するためのプリフォームの側面図である。
【図3】図2のプリフォームから成形したPETボトルの側面図である。
【図4】ボトルを成形するブロー成形機からボトルを取り出すためのボトル取り出し機の動作を説明するための平面図である。
【図5】ボトル取り出し機からボトルを受け取って、これをネック式エア搬送路の入口まで送り出すためのスターホイールの部分斜視図である。
【図6】ネック式エア搬送路の構成を説明するための図である。
【図7】スターホイールの回転動作に伴うボトルの挙動を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ブロー成形機
2 成形型
6 ボトル又はプリフォームのネジ部
7 ボトル又はプリフォームのフランジ
8 ボトル又はプリフォームのネック
10 プラスチック(PET)ボトル
10a ボトル本体
16 ボトル取り出し機
17 ネック式エア搬送路
17a ネック式エア搬送路の入口
18 スターホイール
20 ボトル取り出し機のハンド
27 スターホイールのボトルを受け入れる凹所
28 スターホイールのガイド突起
29 スターホイールの凹所の周面(深部を規定する面)
32 ガイドスリット
33 ガイド面
50 スターホイールの凹所の周面(深部を規定する面)の進み側に設けられた窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックボトルの成形を行った直後に、該成形したプラスチックボトルを次の工程に搬送するプラスチックボトル搬送装置において、
円周上の等間隔に配置された複数の成形型を有し、一方向に回転しながら各成形型でプラスチックボトルを成形する成形機と、
該成形機とは反対方向に回転しながら、該成形機で成形したプラスチックボトルを各成形型から取り出すための複数のハンドを備えた回転式ボトル取り出し機と、
該回転式ボトル取り出し機とは反対方向に回転しながら該回転式ボトル取り出し機の各ハンドから受け渡されるボトルを受け入れる複数の凹所を周方向に等間隔に備えると共に隣接する凹所間にガイド突起を備えた回転式のスターホイールと、
該スターホイールが回転移動することにより各凹所から送り出されるボトルを受け入れる入口を備え、前記ボトルのネックと係合して次の工程までエア流により前記ボトルを搬送するネック式エア搬送路とを有し、
前記スターホイールの前記凹所を規定する面には、該スターホイールの回転方向進み側に窪み又は弾性体が設けられており、
前記ネック式エア搬送路の入口は、前記スターホイールから送り出された前記ボトルを該スターホイールから受け取ることができるように、平面視したときに、前記スターホイールと干渉する位置に配設されていることを特徴とするプラスチックボトル搬送装置。
【請求項2】
内容物をプラスチックボトルに充填する同じ施設内でボトルの成形を行うインラインボトル成形充填システムのプラスチックボトル搬送装置において、
円周上の等間隔に配置された複数の成形型を有し、一方向に回転しながら各成形型でプラスチックボトルを成形する成形機と、
該成形機とは反対方向に回転しながら、該成形機で成形したプラスチックボトルを各成形型から取り出すための複数のハンドを備えた回転式ボトル取り出し機と、
該回転式ボトル取り出し機とは反対方向に回転しながら該回転式ボトル取り出し機の各ハンドから受け渡されるボトルを受け入れる複数の凹所を周方向に等間隔に備えると共に隣接する凹所間にガイド突起を備えた回転式のスターホイールと、
該スターホイールが回転移動することにより各凹所から送り出されるボトルを受け入れる入口を備え、前記ボトルのネックと係合して次の工程までエア流により前記ボトルを搬送するネック式エア搬送路とを有し、
前記スターホイールの前記凹所を規定する面には、該スターホイールの回転方向進み側に窪み又は弾性体が設けられており、
前記ネック式エア搬送路の入口は、前記スターホイールから送り出された前記ボトルを該スターホイールから受け取ることができるように、平面視したときに、前記スターホイールと干渉する位置に配設されていることを特徴とするプラスチックボトル搬送装置。
【請求項3】
前記スターホイールの凹所に対向した位置に前記ボトルの側面と摺接して該ボトルを案内するガイド面を有し、該ガイド面によって前記ボトルが前記エア搬送路の入口まで案内されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル搬送装置。
【請求項4】
前記スターホイールから送り出されるボトルのネックと係合して該ボトルを前記エア搬送路の入口まで案内するガイドスリットを更に有することを特徴とする請求項3に記載のプラスチックボトル搬送装置。
【請求項5】
前記ボトルの本体が矩形断面を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチックボトル搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−98792(P2007−98792A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292449(P2005−292449)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】