説明

プラスチック容器類の分離装置

【課題】自治体などで回収された使用済みとなったプラスチック容器とそれに装着されているラベル類とを正確かつ迅速に分離することが可能な装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のプラスチック容器類の分離装置は、ラベルが装着されたままのペットボトルを投入するための装入口と、ラベルが除去され破砕されたペットボトルを排出する第1排出口と、ペットボトルから剥離されたラベルを排出する第2排出口と、筐体上部の第3排出口と、第2排出口と筐体上部の第3排出口との間に配置する突出部と、を有する筐体を備えている。この筐体内部には、回転軸を中心として放射状に装着され回転軸の回転運動によりペットボトルを破砕し、かつ筐体の内部において第1排出口から第2排出口に気流を発生させる回転刃と、回転刃と干渉しないように配置したじゃま板とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルなどのプラスチック容器類を再資源化するときに、プラスチック容器類からそれに装着されているラベル類を除去して分離回収する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料を入れたポリエチレンテレフタレート製の瓶であって、いわゆるペットボトルと呼ばれる容器が広く流通している。ペットボトルが市場に流通する段階では、商品名や内容物の表示のために、ペットボトル容器とは異なる材質で形成され表面に印刷等が施されたラベル類が装着されている。
【0003】
使用済みとなったペットボトルは、自治体等で分別回収され、再資源化が図られることとなっている。再資源化は、回収されたペットボトルからポリエチレンテレフタレートを分離することで、繊維再生の原料とする利用法が推進されている。また、再生ペットボトルの原料として利用促進が図られることとなっている。
【0004】
ところで、資源ごみとして回収されるペットボトルは、容積がかさばらないように無作為に圧縮した状態で回収され運搬されて来る。その中にはペットボトル容器に紙やプラスチック製のラベル類が残って混在した状態のものがある。ペットボトルを有効に再資源化するためには、これらラベル類等の異種物質を分離する必要がある。それを行うには、カッターナイフ等を用いて人力でラベル類を取り除くしかないので、膨大な時間が必要となり、圧縮により極端に形状が変形してしまったものは焼却処分するしかなかった。機械化したものでは、ペットボトルを破砕した後、風選により分離する方法が行われているが(例えば、以下に示す特許文献に記載の技術を参照。)、これも能率が悪く残留物が出てしまい純度が悪いことが問題であった。
【特許文献1】特開2003−291144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ペットボトルなどのプラスチック容器類と、それに装着されているラベル類とを正確かつ迅速に分離することが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ラベル類が装着されたペットボトルなどのプラスチック容器類を破砕する手段と、破砕されることによって分離されたラベル類とプラスチック容器とを分別して回収する手段を備えたことを特徴とするプラスチック容器類の分離装置である。破砕する手段は、回転刃若しくは回転刃と、その先端部の回動軌道に対して干渉しないように配置した固定突起体(以下「じゃま板」ともいう。)とによって構成されている。分別して回収する手段は、気流を利用して剥離したラベル類を浮遊させる一方で、破砕されたプラスチック容器が落下するように構成されている。この場合において、気流はこの装置の下方から上方に向かって流れる上昇気流である。ペットボトルなどのプラスチック容器類を破砕する回転刃は、その回転によって上昇気流が発生するように構成することで、二つの機能を併存させることができる。
【0007】
すなわち、本発明のプラスチック容器類の分離装置は、筒状で底板と天板とで封止された筐体内に回転刃を備え、筐体の内壁に、回転刃の先端部分を上下から干渉しないように配置したじゃま板が設けられている。回転刃の先端部には気流を制御する羽根板を取り付けることも可能である。それにより、回転刃が一方向に回転することで、筐体内に渦流を伴う上昇気流をより効率よく発生させることを可能としている。筐体の上側にはプラスチック容器を投入する装入口が備え、筐体の下方には破砕したプラスチック容器を排出する排出口が設けられている。ラベル類の排出口は筐体上部に設けられている。
【0008】
本発明のプラスチック容器類の分離装置は、筐体内に設置した回転刃、および/または回転刃と固定刃との相乗作用によりプラスチック容器を破砕して、プラスチック容器に装着されたラベル類を剥がし取ると共に、筐体内において生じる渦流を伴う上昇気流によって剥離したラベル類を上方に浮遊させ、下方に落下する破砕されたプラスチック容器を分離して、それぞれを別の排出口から取り出すことができる。このようにして、プラスチック容器とそれに装着されている異種材料であるラベル類とを正確かつ迅速に分離することができる。
【0009】
すなわち、本発明のプラスチック容器類の分離装置は、ラベル類が付着した状態のプラスチック容器を投入するための装入口と、ラベル類が除去され破砕されたプラスチック容器を排出する第1排出口と、プラスチック容器から剥離されたラベル類を排出する第2排出口と、筐体上部の第3排出口と、第2排出口と筐体上部の第3排出口との間に配置する突出部と、を有する筐体を備えている。この筐体の内部には、回転軸を中心として放射状に装着され回転軸の回転運動によりプラスチック容器を破砕し、かつ筐体の内部において第1排出口から第2排出口に気流を発生させる回転刃と、回転刃と干渉しないように配置したじゃま板とが備えられている。
【0010】
筐体内部に回転軸を中心として放射状に装着された回転刃と、回転刃と干渉しないように配置したじゃま板とを備えることで、回転刃とじゃま板とによって、ラベル類が付着したままのプラスチック容器を破砕して、ラベル類とプラスチック容器とを分離すると共に、回転刃の回転により生じる気流によって風選して、それぞれを第1排出口及び第2排出口から排出するようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体内に設置した回転刃、若しくは回転刃とじゃま板とが協業することにより、さまざまな形状を有し、無差別に圧縮され提灯状や烏賊状に極度に変形圧縮したプラスチック容器を混合して投入しても、プラスチック容器とラベル類とを分離して回収することができる。それにより、リサイクルして再資源化するプラスチック容器のフレークの純度を高めることができる。また、プラスチック容器を破砕する回転刃とじゃま板とが筐体内に収められ、破砕されるプラスチック容器及びラベル類も周囲に飛散することが無いので、安全で効率良く作業をすることができる。
【0012】
本発明によれば、プラスチック容器類に比べ薄く形成されているラベル類は、渦流を伴う上昇気流の影響を受けて浮遊するのに対し、相対的に重いペットボトルは回転刃に破砕されながら落下する。そこで、本発明においては第2排出口と筐体上部の第3排出口との間に所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部として突出部を設けている。回転刃により生じる上昇気流の影響を受けて浮遊するラベル類に対し、相対的に重いペットボトルは回転刃に破砕されながら落下することになる。突出部を設けることにより確実にペットボトルの容器を第1排出口に、付着していたラベル類を第2排出口に分離して回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の本実施形態に係るプラスチック容器類の分離装置は、市販されているペットボトルで代表されるように、プラスチック製の容器類と、それに装着されていて内容物や製造元の表示若しくは商品名等が印刷されたラベル類とを分離して回収することのできる装置である。以下の説明では、ラベル類が装着されたペットボトルを一例として用いるが、本発明はそれに限定されず、目的や用途の異なるプラスチック容器類であっても、類似の形状若しくは構成を有したものであれば、さまざまなものに対して適用することができる。
【0014】
本発明の本実施形態に係るプラスチック容器類の分離装置は、筒型状に形成された筐体10にラベル類が付着した状態のペットボトルを投入する装入口12と、ラベル類が除去され破砕されたペットボトルを排出する第1排出口13と、ペットボトルから剥離されたラベル類を排出する第2排出口14と、筐体10上部の第3排出口28と、第2排出口14との間に配置する突出部21とが備えられている。ラベル類が付着したペットボトルを投入する装入口12及び剥離されたラベル類を排出する第2排出口14は、筐体10の中心よりも上側に設けられ、破砕されたペットボトルを排出する第1排出口13は筐体の下方に設けられている。
【0015】
本発明の本実施形態に係る筐体10の内部構成は、回転軸15を中心として放射状に装着された回転刃16と、回転刃16と干渉しないように配置されたじゃま板17とが備えられ、それらによりペットボトルを破砕する仕組みとなっている。じゃま板17は、回転刃16の先端部分を上下から挟むように設けられているが、互いに干渉しないように配置されている。本発明の本実施形態に係るプラスチック容器類の分離装置は、この回転刃16とじゃま板17とを有効に作用させることによって、ペットボトルからラベル類を剥離する。すなわち、回転刃16によってペットボトルを破砕することができ、それに加えて回転刃16とじゃま板17との間にペットボトルを挟み込むことによっても、圧縮変形したペットボトルまでも上手く破砕して、ラベル類を剥離することを可能としている。
【0016】
本発明の本実施形態に係る回転刃16は、回転軸15の長手方向に沿って複数個設けることが好ましく、互いに交差するように多段にして取り付けられている。多段に装着した回転刃16のうち、少なくとも一つの回転刃16には、その先端部に羽根板24が取り付けられていても良い。羽根板24を取り付けることにより、回転軸15を中心に回転刃16を回転させたときに、筐体10下方から上方に向かって渦流を伴う上昇気流を効率良く発生させることができる。このような回転刃16の構成には、上方に設置された回転刃16が主にペットボトルを破砕するために機能し、一方、下方に設置されて羽根板24が取り付けられている回転刃16は、十分に破砕されなかったペットボトルをさらに破砕すると共に気流を効率良く発生させる機能が備えられている。すなわち、回転刃16はペットボトルを破砕するために作用すると共に、渦流を伴う上昇気流を発生させる機能を併せ持っている。このとき、筐体10の下方に設けられた第1排出口13は、空気の吸気口となり、第2排出口14は空気の排気口としての役割をはたしている。
【0017】
本発明の本実施形態に係る回転刃16の断面形状は、端部が鋭利な刃状になっている必要は必ずしもなく、棒状や平板状等の形状であり、破砕されたペットボトルが落下するように、適宜な隙間を持って構成されるものであれば良い。回転により気流を発生させるためには、プロペラのようにねじりが入っていても良い。筐体10の内壁に固定されるじゃま板17も同様であり、回転刃16の回動を干渉しないように配置されるものであればその形状は特に限定されず、矩形状や円錐状などさまざまな形とすることができる。回転刃16とじゃま板17とによってペットボトルを挟み込み破砕する目的においては、それらの表面に微小な突起を形成しても良く、表面を梨地状にするなどしてペットボトルが回転刃16の表面ですべりにくくしておくことが好ましい。
【0018】
本発明の本実施形態に係る装入口12から投入されたペットボトルは、回転刃16の影響を受けて回転運動をすると共に、それに伴って遠心力により筐体10の内壁に向かって飛散する。筐体10の内壁に設けられたじゃま板17は回転刃16と協業して、遠心力で内壁に飛ばされたペットボトルを破砕して、ラベル類とペットボトルとを分離する。剥離されたラベル類は、回転刃16の回転により発生する気流により落下することなく浮遊し、その気流に乗って上方に集められ、第2排出口14から排出されることとなる。第2排出口14は、筐体10の内側から外側に向かってラベル類排出するように、筐体10に接続した連結管19の先端に配置しても良い。連結管19の途中に補助ブロワー20を併設することで、筐体10の内側から外側に向けて流れる気流をより効率的に発生させることができ、ラベル類の排出をより促進することができる。一方、破砕されたペットボトルは、その重量により筐体10内の気流では浮遊せずに落下することとなる。回転軸15の長手方向に沿って回転刃16を複数段設けておくことで、ペットボトルは落下しながら複数回にわたって回転刃16とじゃま板17との作用を受けて破砕が進み、より確実にラベル類とペットボトルとを分離することができる。これにより、極度に圧縮され、烏賊状になったペットボトルであっても、確実にラベル類を取り除くことができる。結局、ラベル類が剥離されたペットボトルは、筐体の下方に設けられた第1排出口13から排出されることとなる。
【0019】
第2排出口14と筐体10上部の第3排出口28との間に所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部として突出部21を設けている。回転刃16により生じる上昇気流の影響を受けて浮遊するラベル類に対し、相対的に重いペットボトルは回転刃16に破砕されながら落下することになる。突出部21を設けることにより、確実にペットボトルの容器を第1排出口13に、付着していたラベル類を第2排出口14に分離して回収することができる。
【0020】
本発明の本実施形態に係る第2排出口14と筐体10上部の第3排出口28との間に配置する突出部21は、回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされないように、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。なお、所定の空間は、回転刃16により衝撃を加えられたプラスチック容器が第2排出口14まで跳ね飛ばされないように所定の距離を有している。
【0021】
以上のように、本発明の本実施形態に係るプラスチック容器類の分離装置によれば、回転刃16の回転運動を利用して、破砕と気流による風選を筐体10内で行うことができ、筐体10に設けられた異なる二つの排出口より、ペットボトルなどの容器とそれに付着していたラベル類とを分離して回収することができる。突出部21を設けることにより回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされた場合に、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。
【0022】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。尚、以下で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0023】
第1の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の側面図を図1に示し、対応する上面図を図2に示す。従って、この実施の形態に係る以下の説明においては、図1及び図2の両者を参照することとする。
【0024】
投入したペットボトルが無為に飛散しないように、筒型状に成型された筐体10は、剛性の板で形成され、架台11によって固定されている。筐体10には、ペットボトルなどのプラスチック容器類を投入する装入口12、ラベル類が除去されて破砕されたペットボトルを排出する第1排出口13、ラベル類を排出する第2排出口14、筐体10上部の第3排出口28と、第2排出口14と筐体10上部の第3排出口28との間に配置する突出部21が備えられている。
【0025】
装入口12は筐体10の上部に設けられ、筒状の筐体10の側壁外周部に沿って渦巻き状に導入路23が設けられている。この渦巻き状の導入路23は、ペットボトルを破砕する際に、筐体10の中から飛沫が飛び出すのを防ぐ効果がある。それに加えて、筐体10の内部において渦流の発生を促進させる効果がある。
【0026】
ラベル類が除去されて破砕されたペットボトルを排出する第1排出口13は、筐体10の下部に設けられている。筐体10は架台11にボルトナット又は溶接等により固定されているので、筐体10の下方側部に取り付けられた第1排出口13は、床面より高い位置に配置することができ、開口部をやや下方に向けて設けることにより、破砕されたペットボトルの排出と回収を容易なものとしている。
【0027】
筐体10上部の第3排出口28と突出部21との上部に設けられた第2排出口14は、ペットボトルから剥離されたラベル類を排出し回収するところであり、筐体10の天板に取り付けた連結管19の先端に設けられており、ラベル類の回収を容易なものとしている。また、筐体10に接続した連結管19に補助ブロワー20を設置して、筐体10の内側から外側に向けて流れる気流を発生させることで、ラベル類の排出をより促進することを可能としている。
【0028】
第2排出口14と筐体10上部の第3排出口28との間に所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部として突出部21を設けている。回転刃16により生じる上昇気流の影響を受けて浮遊するラベル類に対し、相対的に重いペットボトルは回転刃16に破砕されながら落下することになる。突出部21を設けることにより、確実にペットボトルの容器を第1排出口13に、付着していたラベル類を第2排出口14に分離して回収することができる。
【0029】
第2排出口14と筐体10上部の第3排出口との間に配置する突出部21は、回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされた場合に、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。なお、所定の空間は、回転刃16により衝撃を加えられたプラスチック容器が第2排出口14まで跳ね飛ばされないように所定の距離を有している。
【0030】
突出部21の形状は、筐体10と同じように筒型状になっている必要は必ずしもなく、立方体状や楕円状を用いることができる。回転刃16により衝撃を加えられたプラスチック容器が第2排出口14に排出されないように、適宜な空間を持って構成されるものであればよい。本発明の本実施例においては、突出部21の高さ1100mm、半径350mm、である。筐体10の水平方向の断面積と突出部21の水平方向の断面積との割合は、30〜100%である。なお、筐体10及び突出部21の形状は、寸胴型であってもよい。この形状を有することで、回転刃16により衝撃を加えられ跳ね上げられたペットボトル容器は、突出部21により衝撃エネルギーを減衰し、第1排出口13に排出することになる。突出部21の材質は、筐体10と同じように剛性板で形成してもよい。なお、突出部21の材質は、鋼板を用いるとよい。
【0031】
回転刃16は回転軸15に放射状に取り付けられ、主モーター22により回転する。図3は回転軸15と回転刃16の詳細を説明する図であり、回転軸15に複数の回転刃16が交互に放射状に取り付けられている状態を示している。特に回転刃16は、回転軸15の長手方向において、互いに交差するように多段に取り付けられていると良い。一部の回転刃16の先端には、羽根板24が取り付けられていても良い。この羽根板24には反りが入っていて、回転軸15を中心に一方向に回転させることにより、下方から上方に向かって気流を効率良く発生させることを可能としている。
【0032】
図1で示すように、筐体10の内側には、回転刃16の先端を上下から挟むようにじゃま板17が設けられている。回転刃16を複数設ける場合には、じゃま板17と回転刃16が交互に配置されるようになっている。このように配置することで、筐体10内に投入されたペットボトルを回転刃16とじゃま板17との空隙に挟み込み、効率良く上手く破砕することができる。
【0033】
このようなプラスチック容器類の分離装置によれば、ラベル類付のペットボトルや、無差別に圧縮され提灯状や烏賊状に極度に変形圧縮したラベル類付のペットボトルを次のようにしてラベル類とペットボトル容器とを分離回収することができる。
【0034】
筐体10の中で回転する回転刃16は、少なくともその一部のものの先端に羽根板24が取り付けられていて、上昇気流を発生させている。すなわち、第1排出口13から空気を吸い込み、第2排出口14から空気を排出するような渦流を伴う上昇気流が生じている。装入口12から投入されたペットボトルは、回転刃16の影響を受けて回転運動をすると共に、それに伴って遠心力により筐体10の内壁に飛散する。筐体10の内壁には、じゃま板17が設けられていて、遠心力で内壁に飛ばされたペットボトルは、回転刃16若しくは回転刃16とじゃま板17によって破砕される。また、極度に圧縮され、烏賊状になったペットボトルは、じゃま板17に衝突した衝撃により、ラベル類が取り除かれる。
【0035】
ペットボトルに比べ薄く形成されているラベル類は、上昇気流の影響を受けて浮遊するのに対し、相対的に重いペットボトルは回転刃16に破砕されながらも落下する。破砕されたペットボトルは底板18まで落下して、第1排出口13より排出されることとなる。筐体10内の気流は、筐体10の天板に付けられた連結管19を通ってその先にある第2排出口14から流出する。この気流の流れに乗ってラベル類が搬出されるので、第2排出口14からそれを回収することができる。筐体10の上部に設けられた補助ブロワー20により、筐体10内部の気流を配管に集めることができるので、ラベル類を排出するのに有効に作用することができる。
【0036】
このように、第1の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置によれば、回転刃16の回転運動を利用して、破砕と気流による風選を行い、筐体10に設けられて異なる二つの排出口より、ペットボトルの容器類と、それに付着していたラベル類とを別々に取り出すことができる。突出部21を設けることにより回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされた場合に、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。
【実施例2】
【0037】
第2の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の側面図を図4に示し、対応する上面図を図5に示す。従って、この実施の形態に係る以下の説明においては、図4及び図5の両者を参照することとする。
【0038】
剛性板で筒型状に形成された筐体10は、架台11によって固定されている。筐体10の内側には、回転軸15とそれに取り付けられた回転刃16とが設けられている。回転軸15は、主モーター21の動力が伝達され回転するように構成されている。回転刃16の詳細は、実施例1において図3を参照して説明したものと同様であり、回転軸15を中心として回転刃16を放射状に複数設けることが好ましい形態となっている。筐体10の内壁には、回転刃16の先端を上下から挟むようにじゃま板17が設けられている。じゃま板17はブロック状の剛性体で形成され、回転刃16と交互に配置されるように、筐体10の内壁に溶接やボルトナット等の固定手段により装着されている。このような構成により、筐体に投入されたペットボトルを回転刃16とじゃま板17の空隙に挟み込み、効率良く上手く破砕することを可能としている。
【0039】
代表的な構成として、中心に貫通口が設けられた6枚の剛体板を回転軸15に貫設することで、実質的に12枚の回転刃16を設けることができる。すなわち、6段の回転刃16が形成されることとなる。そのうち下の2枚の先端に羽根板23を取り付ける。このような構成とすることで、上の4枚の回転刃16は、主にペットボトルを破砕するために機能し、下の2枚は、十分に破砕されなかったペットボトルをさらに破砕する補助的な機能の他に、回転刃16の回転で先端の羽根板23が渦流を伴う上昇気流を発生させる機能を並存させることができる。
【0040】
筐体10の上部にはペットボトルの装入口12が設けられている。装入口12には、第1定量搬入モーター25及び第2定量搬入モーター26が備えられており、第1定量搬入モーター25の回転軸に取り付けられた押圧板27により、装入口12から投入されたペットボトルを順次筐体10の内部に送り込む仕組みとなっている。これらの第1及び第2定量搬入モーターにより、装入口12から一度に大量のペットボトルを投入しても、それがそのまま筐体10の内部に送り込まれることがなく、順次定量が送り込まれることで、主モーター22に過負荷をかけて回転が止まってしまうことを防止することができる。
【0041】
筐体10の下部には底板18が設けられ、その近傍に貫通口を形成することによって形成された第1排出口13が設けられている。第1排出口13からは、筐体10の内部で回転刃16とじゃま板17とによって破砕されラベル類が剥離されたペットボトルが排出される。
【0042】
筐体10の上部には小径の貫通口が開けられて、その位置に合わせて連結管19が接続されている。連結管19は、ラベル類を筐体10の内側から外側に排出する経路に当たり、その先端がラベル類を排出する第2排出口14となっている。連結管19の途中には、補助ブロワー20を配置して、筐体10の内側から外側に向けて気流を発生させてラベル類の排出をより促進している。
【0043】
このようなプラスチック容器類の分離装置によれば、ラベル類付のペットボトルや、無差別に圧縮され提灯状や烏賊状に極度に変形圧縮したラベル類付のペットボトルを装入口12から適宜投入することで、自動的にラベル類とペットボトル容器とを分離回収することができる。すなわち、装入口12から投入されたラベル類付のペットボトルは、第1定量搬入モーター25及び第2定量搬入モーター26により、適量が順次筐体10の内部に搬送される。この仕組みにより、一度に多量のペットボトルが筐体10内部に搬入されることがないので、主モーター22にとって負荷の状態が一定となり、一定の回転速度を保持することができる。それにより、主モーター22の損傷を防止することができるという利点が備えられている。また、回転軸15や、回転軸15と主モーター22とを連結するベルトや歯車類の可動部に損傷を与えないで済ませることもできる。
【0044】
筐体10の中で回転する回転刃16は、少なくともその一部のものに先端に羽根板24が取り付けられていて、第1排出口13から空気を吸い込み、第2排出口14から空気を排出するような渦流を伴う気流が発生している。それにより筐体10の内部では、上昇気流が生じている。装入口12から投入されたペットボトルは、回転刃16の影響を受けて回転運動をすると共に、それに伴って遠心力により筐体10の内壁に向けて飛散する。そして、ペットボトルは回転刃16若しくは回転刃16とじゃま板17とによって破砕される。
【0045】
ラベル類は薄く軽いので、上昇気流の影響を受けて浮遊するのに対し、相対的に重いペットボトルは回転刃16に破砕されながらも落下する。回転刃16を複数枚設けて、回転軸15に多段に配置することで、ペットボトルは複数回、この回転刃16とじゃま板17の作用を受けて破砕され、より確実にラベル類とペットボトルとを分離することができる。これにより、極度に圧縮され、烏賊状になったペットボトルであっても、確実にラベル類を取り除くことができる。破砕に伴って発生する粉塵は、回転刃16によって発生する上昇気流によってラベル類と共に上昇する。補助ブロワー20の補助的な作用によって、ラベル類と粉塵は吸入口から連結管19を経て第2排出口14から排出される。第2排出口14には、紙製、布製又は不織布製など細孔を備えて空気を透過させて一定の大きさ以上の粉塵を捕集することのできる袋等の容器を備えておくことで、この処理によって発生する粉塵が周囲に拡散するのを防ぐことができる。
【0046】
第2排出口14と筐体10上部の第3排出口28との間に所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部として突出部21を設けている。回転刃16により生じる上昇気流の影響を受けて浮遊するラベル類に対し、相対的に重いペットボトルは回転刃16に破砕されながら落下することになる。突出部21を設けることにより、確実にペットボトルの容器を第1排出口13に、付着していたラベル類を第2排出口14に分離して回収することができる。
【0047】
第2排出口14と筐体10上部の第3排出口との間に配置する突出部21は、回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされた場合に、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。なお、所定の空間は、回転刃16により衝撃を加えられたプラスチック容器が第2排出口14まで跳ね飛ばされないように所定の距離を有している。
【0048】
突出部21の形状は、筐体10と同じように筒型状になっている必要は必ずしもなく、立方体状や楕円状を用いることができる。回転刃16により衝撃を加えられたプラスチック容器が第2排出口14に排出されないように、適宜な空間を持って構成されるものであればよい。本発明の本実施例においては、突出部21の高さ1000mm、半径350mm、である。筐体10の水平方向の断面積と突出部21の水平方向の断面積の割合は、30〜100%である。この形状を有することで、回転刃16により衝撃を加えられ跳ね上げられたペットボトル容器は、突出部21により衝撃エネルギーを減衰し、第1排出口13に排出することになる。突出部21の材質は、筐体10と同じように剛性板で形成してもよい。なお、突出部21の材質は、鋼板を用いるとよい。突出部21の材質は、筐体10と同じように剛性板で形成してもよい。
【0049】
このように、第2の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置によれば、回転刃16の回転運動を利用して、破砕と気流による風選を行い、筐体10に設けられて異なる二つの排出口より、ペットボトルの容器類と、それに付着していたラベル類とを分離して回収することができる。突出部21を設けることにより回転刃16により破砕され、衝撃を加えられたプラスチック容器が補助ブロワー20まで跳ね飛ばされた場合に、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部によりプラスチック容器の衝撃を減衰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の側面図を示す図である。
【図2】第1の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の上面図を示す図である。
【図3】第1の実施例における回転軸15と回転刃の詳細を説明する図である。
【図4】第2の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の側面図を示す図である。
【図5】第2の実施例におけるプラスチック容器類の分離装置の上面図を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 筐体
11 架台
12 装入口
13 第1排出口
14 第2排出口
15 回転軸
16 回転刃
17 じゃま板
18 底板
19 連結管
20 補助ブロワー
21 突出部
22 主モーター
23 導入路
24 羽根板
25 第1定量搬入モーター
26 第2定量搬入モーター
27 押圧板
28 第3排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル類が付着したままのプラスチック容器を投入するための装入口と、
前記ラベル類が除去され破砕された前記プラスチック容器を排出する第1排出口と、
前記プラスチック容器から剥離された前記ラベル類を排出する第2排出口と、
筐体上部の第3排出口と、
前記第2排出口と前記筐体上部の第3排出口との間に配置する突出部と、
を有する筐体と、
前記筐体の内部に、回転軸を中心として放射状に装着され前記回転軸の回転運動により前記プラスチック容器を破砕し、かつ前記筐体の内部において前記第1排出口から前記第2排出口に気流を発生させる回転刃と、
前記回転刃と干渉しないように配置したじゃま板と、
が備えられていることを特徴とするプラスチック容器類の分離装置。
【請求項2】
前記突出部は、所定の空間を有する衝撃エネルギー減衰部であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器類の分離装置。
【請求項3】
前記衝撃エネルギー減衰部は、前記回転刃により破砕された前記プラスチック容器の上方への運動を低減することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック容器類の分離装置。
【請求項4】
ラベル類が付着したままのプラスチック容器を投入するための装入口と、
前記ラベル類が除去され破砕された前記プラスチック容器を排出する第1排出口と、
前記プラスチック容器から剥離された前記ラベル類を排出する第2排出口と、
筐体上部の第3排出口と、
前記第2排出口と前記筐体上部の第3排出口との間に配置する突出部と、
を有する筐体と、
前記筐体の内部に、回転軸を中心として放射状に装着された回転刃と、前記回転刃と干渉しないように配置したじゃま板と、が備えられ、
前記回転刃と前記じゃま板とによって、前記ラベル類が付着したままの前記プラスチック容器を破砕して、前記ラベル類と前記プラスチック容器とを分離すると共に、前記回転刃の回転により生じる気流によって風選し、それぞれを前記第1排出口及び前記第2排出口から排出するようにしたことを特徴とするプラスチック容器類の分離装置。
【請求項5】
前記装入口に、定量搬入モーターと、それにより回動する押圧板が備えられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のプラスチック容器類の分離装置。
【請求項6】
前記回転軸の長手方向に沿って複数個設の回転刃が設けられ、互いに交差するように多段にして装着されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のプラスチック容器類の分離装置。
【請求項7】
前記複数個設の回転刃のうち、少なくとも一つの回転刃には、その先端部に羽根板が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック容器類の分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−254315(P2008−254315A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98893(P2007−98893)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(599052750)株式会社第一鈑金 (2)
【Fターム(参考)】