説明

プラスチック廃棄物減容装置及びこの減容装置を備えた処理装置

【課題】 様々な形態で供給される使用済みのフィルム状や容器状等の嵩高なプラスチック廃棄物を、ほぼ確実に連続的に減容化して処理することができるようにすること。
【解決手段】 プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダとからなり、前記過熱蒸気供給装置が、前記スクリューフィーダの下方から過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置と、前記スクリューフィーダの上方から過熱蒸気を供給する第二の過熱蒸気供給装置とからなるプラスチック廃棄物減容装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチック廃棄物減容装置及びこの減容装置を備えた処理装置に関し、特に嵩高なフィルム状又は容器状のプラスチック廃棄物の処理に好適に用いられる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みのプラスチック廃棄物は、そのまま埋め立て処分されるか焼却処理されていた。
埋め立て処分する場合、フィルム状や容器状のプラスチック廃棄物は嵩高であるため、大量に排出されるこれらの廃棄物を処分するには広大な埋め立て処分地を必要とする。しかしながら、埋め立て処分地の確保は年々困難となっており、埋め立て処分を将来に亘ってこのまま続けていくことは実際上不可能である。
一方、焼却処理の場合、約10,000kcal/kgの高カロリーを有するプラスチックの燃焼には1kg当たり約12mの理論空気量が必要とされ、しかも実際の焼却処理においては20m以上の空気が使用されることから、周囲環境を大きく汚染してしまうという問題があった。また、余熱も殆ど利用されていないのが現状であり、エネルギー効率の面でも好ましくなかった。
また、小型の焼却炉は設置許可がおりにくいため、広く分散して発生するプラスチック廃棄物の処理には不向きであり、しかもダイオキシン発生の危険性が常に付きまとうという大きな問題も抱えていた。
【0003】
このような問題点に鑑みて、プラスチック廃棄物を熱分解油化して燃料油を回収する技術が数多く提案されている。
従来提案されている技術の多くは、融解したプラスチックを処理槽内に導入して、該処理槽を外部から加熱するという方法を採用している(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような方法では、槽内部にカーボンが堆積して熱伝導を阻害する等の問題があり、長時間の運転が難しいのが現状であった。
しかも、外熱による加熱方式では40〜60%の放熱があるため、熱効率が非常に悪く、経済的にも良好な方法とはいえなかった。
【0005】
そこで、このような問題点に鑑みて創出された技術として、下記特許文献2の開示技術が存在している。
特許文献2は、プラスチック廃棄物からなる被処理物に対して過熱蒸気を噴霧して減容化する減容装置と、過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生手段と、前記減容装置にて減容された被処理物を内部に収容するとともに前記過熱蒸気発生手段にて発生した過熱蒸気に接触させることにより熱分解する熱分解槽とを備えたプラスチック廃棄物の処理装置を開示している。
【0006】
この開示技術は、過熱水蒸気を処理槽内に導入して、該処理槽を内部から加熱する方法であるため、上述した外部加熱方式の問題点の多くを解決できる点において優れたものであった。
【0007】
しかしながら、この特許文献2の開示技術では、減容装置内に供給されるプラスチック廃棄物が、発泡スチロールのトレイ等の場合には簡単に溶融するが、大きな塊で供給されたPEフィルム等は簡単に溶解しないため、スクリューフィーダの上部においてブリッジする等して積み上がってしまうことがあった。そうなった場合、減容装置の底部から供給される過熱蒸気だけでは、プラスチック廃棄物を迅速に減容化することができなくなり、廃棄物の供給を一時的に停止しなくてはならない事態が生じていた。
このことから、特許文献2の処理装置では、様々な形態で供給される多様なプラスチック廃棄物を連続的に処理することは困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開平6−41546号公報
【特許文献2】特開2004−359897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、様々な形態で供給される使用済みのフィルム状や容器状等の嵩高なプラスチック廃棄物を、ほぼ確実に連続的に減容化して処理することができるプラスチック廃棄物減容装置及びこの減容装置を備えた処理装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダとからなり、前記過熱蒸気供給装置が、前記スクリューフィーダの下方から過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置と、前記スクリューフィーダの上方から過熱蒸気を供給する第二の過熱蒸気供給装置とからなることを特徴とするプラスチック廃棄物減容装置に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記第二の過熱蒸気供給装置が、第一の過熱蒸気供給装置よりも高圧で過熱蒸気を供給することを特徴とする請求項1記載のプラスチック廃棄物減容装置に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記収容槽内のスクリューフィーダ上方にある被処理物の量を検知するセンサが取り付けられ、該センサは被処理物の量が一定以上となったときに信号を発信し、前記第二の過熱蒸気供給装置は該信号に基づいて作動することを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック廃棄物減容装置に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、プラスチック廃棄物からなる被処理物を減容する減容装置と、該減容装置から取り出された溶融状態の被処理物を内部に取り入れて過熱蒸気に接触させることにより熱分解させる熱分解装置と、該熱分解装置から取り出された熱分解ガスを内部に取り入れてガス中に含まれるハロゲン成分を除去する脱ハロゲン装置と、該脱ハロゲン装置を通過したガスを内部に取り入れて液化するコンデンサとからなり、前記減容装置が請求項1乃至3いずれかに記載の減容装置からなることを特徴とするプラスチック廃棄物処理装置に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記スクリューフィーダの取出口と前記熱分解装置とを繋ぐ通路内に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給ノズルを有することを特徴とする請求項4記載のプラスチック廃棄物処理装置に関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記脱ハロゲン装置の内部に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給ノズルを有することを特徴とする請求項4又は5記載のプラスチック廃棄物処理装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、減容装置内に供給されたフィルム状や容器状のプラスチック廃棄物が、スクリューフィーダの上部においてブリッジする等して積み上がってしまった場合でも、積み上がった廃棄物に対して第二の過熱蒸気供給装置から直接に過熱蒸気を当てることで、これを確実且つ迅速に減容化してスクリューフィーダへと供給することができる。
これによって、嵩高なフィルム状や容器状等のプラスチック廃棄物を、減容装置内に溜まらせることなく確実に且つ迅速に連続的に減容化することが可能となり、処理効率を大きく向上させることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、第二の過熱蒸気供給装置が、第一の過熱蒸気供給装置よりも高圧で過熱蒸気を供給することによって、内部が高圧雰囲気となっている減容装置内に確実に過熱蒸気を送り込むことが可能となり、スクリューフィーダの上部に溜まった廃棄物に対して確実に過熱蒸気を接触させて減容化することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、第二の過熱蒸気供給装置が、収容槽内のスクリューフィーダ上方にある被処理物の量が一定値以上となったときに作動することにより、無駄なエネルギー消費を抑えることが可能となり、運転コストを低減させることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至3記載の減容装置を備えていることにより、使用済みのフィルム状や容器状等の嵩高なプラスチック廃棄物を連続的に減容化して処理することができる処理効率の高いプラスチック廃棄物処理装置となる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、スクリューフィーダの溶融樹脂を、熱分解装置に供給される前に高温過熱蒸気と接触させて一次熱分解を行うことができるので、熱分解装置内での熱分解処理の効率を向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、過熱蒸気によって、脱ハロゲン装置内に導入される未分解ガス及び被処理物を熱分解させることができるとともに、脱ハロゲン装置内部の金属触媒層を洗浄することができ、長期間にわたって触媒機能を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るプラスチック廃棄物減容装置及びこの減容装置を備えた処理装置の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明に係るプラスチック廃棄物減容装置を示す概略図であって、図1は正面断面図、図2は側面断面図である。
本発明に係る減容装置(1)は、プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽(2)と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置(3)と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダ(4)とを備えている。
【0023】
処理槽(2)の上方には被処理物を取り入れるための供給口(5)が設けられており、各種の供給設備(例えば図3に示すような昇降式設備)によって、供給口(5)から減容装置内に被処理物が供給される。
【0024】
スクリューフィーダ(4)は、処理槽(2)の下方寄り位置に配設されている。
処理槽(2)内のスクリューフィーダ(4)よりも上方の空間は、被処理物を過熱蒸気に接触させて溶融させるための処理空間となっており、溶融した被処理物はスクリューフィーダ(4)の内部に取り入れられて外部へと送り出される。
尚、本発明では、スクリューフィーダ(4)の入口にストレーナを取り付けて、未溶解物(空き缶、木くず、鉄等)がスクリューフィーダ内に供給されないようにすることが好ましい。
【0025】
本発明に係る減容装置(1)は、2つの過熱蒸気供給装置(31)(32)を備えている。
第一の過熱蒸気供給装置(31)は、スクリューフィーダ(4)の下方から過熱蒸気を供給するものであり、第二の過熱蒸気供給装置(32)は、スクリューフィーダ(4)の上方から過熱蒸気を供給するものである。
【0026】
第一及び第二の過熱蒸気供給装置の基本構造は同じであり、バーナー(3a)と、水を貯留した水槽(3b)と、水噴霧ノズル(3c)とを備えている。
バーナー(3a)は、1200〜1500℃の熱風(不活性高温ガス)を発生する。
水槽(3b)は、バーナー(3a)のダクトを冷却するために設けられている。
水噴霧ノズル(3c)は、バーナー(3a)のダクト出口において霧状に水を供給する。
【0027】
かかる構造からなる第一及び第二の過熱蒸気供給装置では、水噴霧ノズル(3c)から噴霧された水は、バーナー(3a)からの熱風によって加熱されることにより、高温の過熱蒸気となる。尚、過熱蒸気の温度は、第一の過熱蒸気供給装置(31)では350〜430℃、第二の過熱蒸気供給装置(32)では350〜500℃とされる。尚、第一の過熱蒸気供給装置(31)よりも第二の過熱蒸気供給装置(32)の方が高温となるようにすることが好ましい。
【0028】
第一の過熱蒸気供給装置(31)により得られた過熱蒸気は、スクリューフィーダ(4)の下方から処理槽(2)内に取り入れられて上昇し、処理槽(2)の内壁に沿ってスクリューフィーダ(4)の上方へと回り込むことにより、スクリューフィーダ(4)上方の被処理物に接触する。
一方、第二の過熱蒸気供給装置(32)により得られた過熱蒸気は、スクリューフィーダ(4)の上方から処理槽(2)内に取り入れられることによって、スクリューフィーダ(4)上方の被処理物に直接的に接触する。
【0029】
このような経路の相違により、第一の過熱蒸気供給装置(31)からの過熱蒸気は、高圧で被処理物に接触させることが困難であるが、第二の過熱蒸気供給装置(32)からの過熱蒸気は、高圧で被処理物に接触させることができる。
従って、処理槽(2)内に供給されたフィルム状や容器状のプラスチック廃棄物が、スクリューフィーダ(4)の上部においてブリッジする等して積み上がってしまった場合、第一の過熱蒸気供給装置(31)からの過熱蒸気ではこれを溶融させることは困難であるが、第二の過熱蒸気供給装置(32)からの過熱蒸気によれば、これを確実且つ迅速に溶融させてスクリューフィーダ(4)へと供給することができる。
【0030】
本発明においては、第二の過熱蒸気供給装置(32)のバーナー(3a)として高圧バーナー(ターボブロワー付バーナー)が用いられており、その結果、第二の過熱蒸気供給装置(32)が、第一の過熱蒸気供給装置(31)よりも高圧で過熱蒸気を供給するように構成されている。
具体的には、第一の過熱蒸気供給装置(31)の過熱蒸気供給圧力は50〜100mmHO程度、第二の過熱蒸気供給装置(32)の過熱蒸気供給圧力は1500mmHO程度とされる。
これによって、内部が高圧雰囲気となっている処理槽(2)内に確実に過熱蒸気を送り込むことが可能となり、スクリューフィーダ(4)の上部に溜まった廃棄物に対して確実に過熱蒸気を接触させて溶融させることができる。
【0031】
処理槽(2)の上部には、スクリューフィーダ(4)上方にある被処理物の量を検知するセンサ(6)が取り付けられている。
このセンサ(6)は超音波センサ等からなり、被処理物の量が一定以上となったことを検知したときに信号を発信する。
第二の過熱蒸気供給装置(32)は、センサ(6)から信号が発信されたときに作動し、作動によってスクリューフィーダ(4)上方に蓄積した被処理物を迅速に溶融減容化し、連続運転に支障がないようにする。
【0032】
処理槽(2)の上部及びスクリューフィーダ(4)の下方位置には、温度センサ(7)(8)が取り付けられており、処理槽(2)内の温度を測定している。
処理槽(2)の上部にある温度センサ(7)は、処理空間内部の温度が急激に上昇した場合に、火災の発生を防ぐために、バーナーを停止したり、水及び蒸気を供給したりするために設けられている。
【0033】
スクリューフィーダ(4)の下方にある温度センサ(8)は、温度制御盤(9)及び温度調整定量ポンプ(10)を介して、水噴霧ノズル(3c)と接続されており、温度センサ(8)にて検知された処理槽(2)内の温度が設定温度よりも高くなると、温度制御盤(9)は温度調整定量ポンプ(10)に信号を送って水噴霧ノズル(3c)から噴霧される水量を増加させる。
【0034】
以上が本発明に係る減容装置(1)の構成であり、次にこの減容装置を備えた本発明に係る処理装置について説明する。
図3は本発明に係る処理装置を示すフローシートである。
本発明に係る処理装置は、上記説明した減容装置(1)と、該減容装置から取り出された溶融状態の被処理物を内部に取り入れて過熱蒸気に接触させることにより熱分解させる熱分解装置(11)と、該熱分解装置から取り出された熱分解ガスを内部に取り入れてガス中に含まれるハロゲン成分を除去する脱ハロゲン装置(12)と、該脱ハロゲン装置を通過したガスを内部に取り入れて液化するコンデンサ(13)とから構成されている。
【0035】
減容装置(1)内にて溶融された被処理物を取り出すためのスクリューフィーダ(4)は、熱分解装置(11)への被処理物の供給装置となっており、スクリューフィーダ(4)の取出口が熱分解装置(11)に接続されている。
【0036】
図4は、スクリューフィーダ(4)の取出口近傍の構成を示す図である。
スクリューフィーダ(4)の取出口と熱分解装置(11)とを接続する通路(27)には、2つの過熱蒸気供給ノズル(28)(29)が取り付けられている。
2つの過熱蒸気供給ノズルのうち、一方のノズル(28)は、通路(27)の内部に直接過熱蒸気を供給するように構成され、他方のノズル(29)は、通路(27)の外面に沿って過熱蒸気を供給するように構成されている。
一方のノズル(28)は、熱分解装置(11)に供給される前の溶融樹脂に過熱蒸気を接触させて一次熱分解を行わせるために設けられ、他方のノズル(29)は、通路(27)を外部から加熱して溶融樹脂を保温しながら移送するために設けられている。
これらノズルにより供給される過熱蒸気の温度は550〜600℃とされ、この過熱蒸気によって、スクリューフィーダ(4)の取出口においては250℃程度であった溶融樹脂の温度は470℃程度まで上昇する。
【0037】
上記2つの過熱蒸気供給ノズル内には、過熱蒸気の温度を測定するための温度センサ(13)が夫々取り付けられており、これら温度センサ(13)は温度制御盤(14)を介して温度調整弁(15)と夫々接続されている。
【0038】
上記2つの過熱蒸気供給ノズルへと過熱蒸気を供給するための過熱蒸気発生装置(16)は、熱分解装置(11)と接続されて設けられている。
図5は、過熱蒸気発生装置(16)と熱分解装置(11)の内部構造を示す断面図である。
過熱蒸気発生装置(16)は、バーナー(17)と加熱コイル(18)によって加熱される空間(21)を有しており、蒸気は入口(19)からこの空間(21)内に取り入れられて過熱された後、出口(20)から取り出されて、上記2つの過熱蒸気供給ノズル及び後述する過熱蒸気供給ノズル(24)へと導かれる。
【0039】
空間(21)内の高温の排ガスは、熱分解装置(11)内へと供給される。
熱分解装置(11)は、過熱蒸気発生装置(16)にて発生した500〜650℃の過熱蒸気を内部に取り入れて、スクリューフィーダ(4)にて供給される溶融樹脂に対して接触させることにより、樹脂を熱分解させる。
【0040】
熱分解装置(11)の壁(22)は、ハロゲンガスによる腐食を防ぐためにセラミック又は耐火セメントから形成されており、壁(22)の内部には上記高温の排ガスが通過する螺旋状通路(26)が形成されている。
そして、高温の排ガスがこの螺旋状通路(26)内を通ることにより、内壁(22)が温められて輻射熱が利用できるようになる。
【0041】
図6は、脱ハロゲン装置(12)の断面図である。
脱ハロゲン装置(12)内には、酸化鉄などの金属触媒層(23)が内蔵されており、熱分解装置(11)から導入された熱分解ガス中に含まれる塩素や臭素等のハロゲン成分は、金属触媒層(23)を通過することによって塩化鉄や臭化鉄として回収される。
また、脱ハロゲン装置(12)の金属触媒層(23)よりも下方位置には、過熱蒸気供給ノズル(24)が取り付けられている。
過熱蒸気供給ノズル(24)により、過熱蒸気発生装置(16)から供給された過熱蒸気を脱ハロゲン装置(24)内部に取り入れて未分解ガス及び被処理物の熱分解を起こさせるとともに、金属触媒層(23)を通過させることによって、触媒効果による生成油の調整及び金属触媒層(23)の洗浄がなされ、長期間にわたって触媒機能を維持することができるようになる。
【0042】
図7は、コンデンサ(13)の断面図である。
コンデンサ(13)の内部には、冷却水噴霧ノズル(25)が設けられており、脱ハロゲン装置(12)から過熱蒸気と共に供給されてきた熱分解ガスに対して、冷却水を噴霧する。
これにより、熱分解ガスは凝縮されて、燃料油としてコンデンサの底部に回収される。
【0043】
本発明において処理対象となるプラスチック廃棄物の形態は特に限定されるものではないが、本発明は嵩高なフィルム状又は容器状のプラスチック廃棄物の処理に対して特に有効である。
また、本発明において処理対象となるプラスチック廃棄物の材質としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。また、従来の装置ではハロゲンガスによる腐食の問題が発生する塩化ビニル樹脂が多少混入していても問題ない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、プラスチック廃棄物を連続的に処理して燃料油を回収するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るプラスチック廃棄物減容装置を示す正面断面図である。
【図2】本発明に係るプラスチック廃棄物減容装置を示す側面断面図である。
【図3】本発明に係るプラスチック廃棄物処理装置を示すフローシートである。
【図4】スクリューフィーダの取出口近傍の構成を示す図である。
【図5】過熱蒸気発生装置と熱分解装置の内部構造を示す断面図である。
【図6】脱ハロゲン装置の断面図である。
【図7】コンデンサの断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 減容装置
2 収容槽
3 過熱蒸気供給装置
31 第一の過熱蒸気供給装置
32 第二の過熱蒸気供給装置
4 スクリューフィーダ
11 熱分解装置
12 脱ハロゲン装置
13 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダとからなり、前記過熱蒸気供給装置が、前記スクリューフィーダの下方から過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置と、前記スクリューフィーダの上方から過熱蒸気を供給する第二の過熱蒸気供給装置とからなることを特徴とするプラスチック廃棄物減容装置。
【請求項2】
前記第二の過熱蒸気供給装置が、第一の過熱蒸気供給装置よりも高圧で過熱蒸気を供給することを特徴とする請求項1記載のプラスチック廃棄物減容装置。
【請求項3】
前記収容槽内のスクリューフィーダ上方にある被処理物の量を検知するセンサが取り付けられ、該センサは被処理物の量が一定以上となったときに信号を発信し、前記第二の過熱蒸気供給装置は該信号に基づいて作動することを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック廃棄物減容装置。
【請求項4】
プラスチック廃棄物からなる被処理物を減容する減容装置と、該減容装置から取り出された溶融状態の被処理物を内部に取り入れて過熱蒸気に接触させることにより熱分解させる熱分解装置と、該熱分解装置から取り出された熱分解ガスを内部に取り入れてガス中に含まれるハロゲン成分を除去する脱ハロゲン装置と、該脱ハロゲン装置を通過したガスを内部に取り入れて液化するコンデンサとからなり、前記減容装置が請求項1乃至3いずれかに記載の減容装置からなることを特徴とするプラスチック廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記スクリューフィーダの取出口と前記熱分解装置とを繋ぐ通路内に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給ノズルを有することを特徴とする請求項4記載のプラスチック廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記脱ハロゲン装置の内部に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給ノズルを有することを特徴とする請求項4又は5記載のプラスチック廃棄物処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−45069(P2007−45069A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233464(P2005−233464)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505106829)株式会社サイエンスジャパン (3)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】