説明

プラズマエッチング装置

【課題】プラズマエッチング装置を提供すること。
【解決手段】チャンバーと、前記チャンバー内に位置して基板を支える基板支持部と、前記基板の中心部上にプラズマが生じないほどの間隔を隔てて配設される遮蔽部と、前記チャンバーの外壁の一部に配設されて前記基板の端部とチャンバーの内壁との間の領域にプラズマ電源を印加するアンテナと、前記基板支持部にバイアスを印加するバイアス印加部と、を備えるプラズマエッチング装置を提供する。これにより、遮蔽部と基板支持部により基板の周縁部を除く領域でのプラズマ生成を防ぎ、誘導結合型プラズマ放電を用いて高密度のプラズマを生じさせて、基板の端部領域のパーチクル及び薄膜を除去することができ、誘導結合型プラズマ放電により基板の端部のエッチング率を高めることができる。さらには、低い工程圧力でエッチング工程のプロファイルを調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマエッチング装置に係り、さらに詳しくは、基板の端部の膜質を除去するために、誘導結合型プラズマ放電(ICP;Inductively Coupled Plasma)を用いるプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子及び液晶表示素子は、基板上に多数の薄膜の蒸着とエッチングを行うことにより形成される。すなわち、基板の中心部に薄膜を蒸着し、エッチングマスクを用いたエッチング工程により基板中心部の薄膜の一部を除去して所定の薄膜パターンを持つ素子を製造する。しかしながら、薄膜の蒸着に際しては基板の全面に薄膜を形成し、エッチングに際しては基板の中心部の薄膜をエッチングターゲットとするため、基板の周縁部には薄膜が除去されずに残留し、しかも、エッチング工程時に基板の周縁部にパーチクルが溜まるような現象が生じる。この基板の周縁部に残留している薄膜または溜まったパーチクルを除去しない状態で工程を行い続けると、基板が反ったり、基板の整列が困難になったりするという数多くの問題点が発生する。
【0003】
そこで、この基板の周縁部をエッチングする目的で、基板の周縁部のみを露出させ、露出された基板の周縁部のみをエッチングする装置の開発が盛んになされている。
【0004】
かかる基板の周縁部の薄膜及びパーチクルを除去するための方法として、ウェットエッチングとドライエッチングが挙げられる。ウェットエッチングの場合、工程の管理が困難になり、基板の周縁部のみを局部的に除去するためには多くの難点があるだけではなく、膨大な化工薬品(化学薬品)の使用によるコスト増大の問題、廃水処理の問題などの環境問題を引き起こす原因となる。
【0005】
これに対し、ドライエッチングの場合、プラズマを用いて基板の周縁部の薄膜またはパーチクルを除去することから、上述したウェットエッチングの問題点を解消できるというメリットがある。
【0006】
ここで、プラズマは、イオンや電子、ラジカルなどよりなるイオン化されたガスの状態を意味するものであって、極めて高温や強い電界、若しくは、高周波電磁界によって生成される。特に、グロー放電によるプラズマの生成は、直流や高周波電磁界により励起された自由電子により行われるが、励起された自由電子はガス分子と衝突してイオン、ラジカル、電子などの活性族を生成する。かかる活性族は、物理・化学的に物質の表面に働きかけて表面の特性を変化させる。
【0007】
このプラズマを用いたエッチング装置は、処理用のガスが存在する処理容器内においてグロー放電によりプラズマを生じさせ、このプラズマを用いて基板などの被処理体に所定のエッチングを行う装置である。
【0008】
このプラズマを用いて基板の周縁部をエッチングする従来のプラズマエッチング装置については、例えば、下記の特許文献1に開示されている。下記の特許文献1に記載のプラズマエッチング装置は、ステージの直径をウェーハの直径よりも小さくし、ステージとインシュレーターは、それぞれその外周に取り付けられるカソードリング及びアノードリングとの間隔よりも狭く設定されており、インシュレーターの外周に設けられるアノードリングの外周には、周縁部が前記カソードリングの周りに近づくように伸びるビューリングが同心状に取り付けられて、カソードリングの外周面間に形成される所定のギャップを除いて前記ステージの周りをシールドし、前記カソードリングには、RF出力端が接続されている。
【0009】
このようにウェーハよりも小径のステージとインシュレーターの外周にそれぞれカソードリングとアノードリングを設けて両者間の放電によりプラズマを生じさせ、カソードリングの周りにビューリングを設けてウェーハの周縁部の下面までプラズマを及ぼさせ、ウェーハの周縁部の下面までプラズマを用いてエッチングを行っている。
【特許文献1】大韓民国特許第10−0433008号登録公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来、基板の周縁部のエッチングのためのプラズマエッチング装置は、相対する両電極端子間の放電を通じてプラズマを生じさせる容量性プラズマ放電(Capacitive coupled plasma;CCP)型の装置であって、プラズマ密度が低くてエッチング率が低いという欠点がある。また、ステージとインシュレーターの外周に電極が取り付けられており、高圧下でプラズマを生じさせる必要があるため、ウェーハの周縁部をエッチングする場合に、ウェーハの中心部までプラズマが拡散してウェーハの中心部のパターンに損傷を与えるという不都合が生じることになる。
【0011】
また、カソードリングとアノードリング、そして、エッチング後に、ビューリングにより形成される空間からのガス抜きが円滑に行われず、エッチング時に生じるパーチクルを効率よく除去できなくなり、パーチクルが基板の下部に溜まるという問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消するために、誘導結合型プラズマ放電を用いて高密度のプラズマを生じさせてエッチング率を高めることができ、低い工程圧力でエッチング工程のプロファイルを調節することのできるプラズマエッチング装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、チャンバーと、前記チャンバー内に位置して基板を支える基板支持部と、前記基板の中心部上にプラズマが生じないほどの間隔を隔てて配設される遮蔽部と、前記チャンバーの外壁の一部に配設されて前記基板の端部とチャンバーの内壁との間の領域にプラズマ電源を印加するアンテナと、前記基板支持部にバイアスを印加するバイアス印加部と、を備えるプラズマエッチング装置を提供する。
【0014】
ここで、前記基板支持部は前記遮蔽部と同じ直径を有し、前記基板の下端部領域を露出させることが好ましい。このとき、前記露出された基板の上側及び下端部の幅は、それぞれ1〜4mmであることが好適である。
【0015】
前記基板支持部が昇降自在に、前記基板支持部の下部に前記駆動部が設けられていることが好ましい。そして、前記遮蔽部内に、前記遮蔽部と前記基板との間の領域にカーテンガスを吹き付けるカーテンガス流路と、前記遮蔽部の側面と前記チャンバーの内壁との間の領域に反応ガスを吹き付ける反応ガス供給流路及びガス噴射ノズルが形成されていてもよい。
【0016】
前記アンテナは、前記チャンバーの内壁と前記遮蔽部との間の前記チャンバーの上壁、下壁、または前記チャンバーの外壁に円形の帯状または螺旋状に配設されることが好ましい。
【0017】
もちろん、前記遮蔽部内に前記遮蔽部と前記基板との間の領域にカーテンガスを吹き付けるカーテンガス流路を形成して前記チャンバーの外壁を介して反応ガスを供給する反応ガス供給手段を設けてもよい。
【0018】
前記バイアス印加部と前記アンテナは共通電源を用いるものであり、前記共通電源と前記バイアス印加部との間に第1の整合回路が、且つ、前記共通電源と前記アンテナとの間に第2の整合回路がそれぞれ接続されていても良い。
【0019】
前記アンテナが設けられる前記チャンバーの内壁に絶縁物質が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遮蔽部と基板支持部により基板の周縁部を除く領域でのプラズマ生成を防ぎ、誘導結合型プラズマ放電を用いて高密度のプラズマを生じさせて、基板の端部領域のパーチクル及び薄膜を除去することができる。
【0021】
また、誘導結合型プラズマ放電により基板の端部のエッチング率を高めることができ、低い工程圧力でエッチング工程のプロファイルの性能を増大させることができる。
【0022】
さらに、遮蔽部を介して基板の上部中心領域にカーテンガスを吹き付け、遮蔽部の側面にバリア部を配設して基板と遮蔽部との間にプラズマが流れ込む現象を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。しかし、本発明は後述する実施の形態に限定されるものではなく、相異なる形で実現可能であり、これらの実施の形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、且つ、この技術分野における通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。なお、図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図であり、図2は、この実施の形態によるプラズマエッチング装置の平面図である。
【0025】
図1及び図2を参照すると、この実施の形態によるプラズマエッチング装置は、チャンバー10と、基板20が載置される基板支持部30と、前記基板20の端部21を除く基板20の上部領域のプラズマ生成を防ぐ遮蔽部40と、前記基板20の端部21領域にプラズマを生成するプラズマ生成部50と、前記基板支持部30にバイアスを印加するバイアス印加部60と、を備える。
【0026】
また、この実施の形態においては、エッチング時に生じるパーチクルなどの反応副産物とガスを抜き出すための排気部70をさらに備える。
【0027】
さらに、チャンバー10の一側に基板出入口(図示せず)が形成されている。また、基板支持部30が昇降して基板20を出納(搬出及び搬入)し易くするために、基板支持部30の下部に駆動部31をさらに設ける。基板支持部30の内部には別途のリフトピンがさらに設けられてもよい。すなわち、駆動部31により基板支持部30が下降した後、出入口を介して基板20が搬入され、さらに基板支持部30が上昇して搬入された基板20を基板支持部30の上に載置し、基板20の搬入を容易にできる。また、駆動部31の上昇運動により基板20と遮蔽部40との間隔を調節することができる。基板支持部30は、基板20の直径よりも小径を持つ円板状に形成されて基板20の中心部の下側領域が密着される。これにより、基板支持部30により基板20の下端部21領域が露出される。基板支持部30は、遮蔽部40と同じ直径を有し、基板20の上側と下側に露出される端部21領域は同じサイズである。すなわち、基板支持部30により露出される基板20の上側及び下端部21は(図1におけるT1)、基板20の端から内方に向けてその幅が1〜4mmであることが好ましい。これにより、基板20の端部21とチャンバー10の内壁12との間にプラズマの生成のための空間ができる。基板支持部30は、外部のバイアスを印加されて基板20にバイアス電源を印加可能な導電性の材質から形成することが好ましい。以上では、基板支持部30と遮蔽部40が同じ直径を持つように形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基板支持部30が一層小径に形成されてもよい。
【0028】
上記の遮蔽部40は、基板20の直径よりも小径を持つ円板状または円柱状に形成して、基板20の中心部の上側パターンが形成される領域は遮蔽させ、基板20の上端部21領域は露出させる。すなわち、遮蔽部40は、所定のプラズマ放電において、一定の間隔内ではプラズマが生じない原理を用い、基板20の上端部21領域を除く領域における基板20と遮蔽部40との間隔を一定にする。基板20の上端部21とチャンバー10の内壁12との間にプラズマの生成のための空間ができる。
【0029】
ここで、基板20の上端部とは(図1におけるT2)、素子形成用のパターンが形成されていない領域をいい、基板20の端から内方に向けての幅が1〜4mmとなる領域である。基板20の端部21には、所定の整列キーが設けられても良い。ここで、基板20と遮蔽部40との間隔(図1におけるT3)は、0.1〜3mmであることが好ましい。基板20と遮蔽部40との間隔が上記の間隔よりも狭い場合、基板20の上部のパターンが損傷を受ける問題が発生し、その一方、前記間隔よりも広い場合には、プラズマが基板20と遮蔽部40との間の領域に浸透したり、その間からプラズマが生じたりすることがある。
【0030】
上記の遮蔽部40は、図1に示すように、チャンバー10の上壁13と一体に製作されてもよく、チャンバー10の上壁13とは別体に製作されても良い。上記の遮蔽部40が上壁13とは別体に形成される場合、遮蔽部40が上下運動をして基板20の搬入及び搬出を一層容易に行うことができ、基板20と遮蔽部40との間隔の調節が一層容易になる。
【0031】
そして、遮蔽部40内には多数の流路が形成されていて、外部のガスをチャンバー10の内部に供給することもできる。すなわち、図1に示すように、遮蔽部40の内部には遮蔽部40と基板20との間にカーテンガスを吹き付けるカーテンガス流路41が設けられる。上記のカーテンガス流路を介して遮蔽部40と基板との間の領域にカーテンガスを吹き付けることにより、遮蔽部40の側面、すなわち、基板20の端部21領域において生じたプラズマが遮蔽部40と基板20との間の領域に流れ込む現象を防ぐことができる。また、遮蔽部40の側面、すなわち、チャンバー10の内壁12間の領域に反応ガスを供給する反応ガス供給流路42及びガス噴射ノズル43を備える。このとき、反応ガスとしては、Ar、CF、SF、Clなどが用いられる。ガス噴射ノズル43は、円形の遮蔽部40の周りに沿って多数形成されている。
【0032】
上述したように、チャンバー10の内壁12と遮蔽部40及び基板支持部30の側面との間の領域に基板20の端部21が露出され、露出された基板20の端部21とチャンバー10の上壁13、内壁12及び下壁11とは、プラズマを生成するのに十分な空間を保持する。
【0033】
上述したプラズマ生成部50を介して露出された基板20の端部21領域にプラズマを生じさせて、露出された基板20の周縁部領域をエッチングする。
【0034】
このために、プラズマ生成部50は、誘導結合型プラズマ放電を用いる装置を用いる。このため、プラズマ生成部50は、高周波電源を生成する高周波電源生成部51と、高周波電源のインピーダンス整合のためのインピーダンス整合部52と、インピーダンス整合された高周波電源を供給されるアンテナ53と、を備える。
【0035】
上記のアンテナ53は、図2に示すように、チャンバー10の内壁12と遮蔽部40との間のチャンバーの上壁13に円形の帯状に形成されて基板20の端部21が露出された領域にプラズマの生成のための電源を供給する。このとき、アンテナ53は、螺旋状にも形成できる。この誘導結合型プラズマ放電を用いる場合、従来の技術の欄で上述した容量性プラズマ放電に比べて、相対的に広い空間において高密度のプラズマを生じさせることができる。誘導結合プラズマによりプラズマ密度を高め、容量結合プラズマによりイオンがウェーハに達するときのエネルギーを増大させて、エッチングプロファイルを調節することができ、エッチング率を高めることができる。
【0036】
前記アンテナ53が配設された領域のチャンバー10の上壁13は絶縁体物質22よりなることが好ましい。これにより、アンテナ53を介して印加される高周波電源を損失無しにチャンバー10の内部に印加して、基板20の周縁部領域にプラズマを生じさせることができる。そして、チャンバー10の上壁13を除く側壁は接地される。
【0037】
もちろん、上記の絶縁体物質22は上壁13とは一体に形成されず、上壁13の内におけるアンテナ53が配設される領域だけを絶縁体物質で充填してもよい。さらに、図示のごとく、上壁13の下部に別途の絶縁体物質22が形成されても良い。ここで、絶縁体物質としては、セラミックが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0038】
上記のバイアス印加部60は、バイアス電源を生成するバイアス電源生成部61と、前記バイアス電源をインピーダンス整合して基板支持部30に伝えるインピーダンス整合部62と、を備える。バイアス印加部60は、インピーダンス整合されたバイアス電源を基板支持部30を介して基板20に伝え、バイアスによりプラズマイオンのエネルギーが加速化されてプラズマによるエッチング率を高めることができる。
【0039】
上述のプラズマエッチング装置の動作を簡略に説明すると、下記の通りである。
【0040】
チャンバー10の内部の基板支持部30に基板20が搬入され、遮蔽部40と基板20との距離をプラズマが生じないほどに調節する。この後、チャンバー10の内圧を50mTorr〜2Torrに維持した状態で、遮蔽部40を介して反応ガスとカーテンガスを供給する。インピーダンス整合されたプラズマ電源は、チャンバー10の上壁13に配設されたアンテナ53を介してチャンバー10の内部に印加されて、基板10の端部21、すなわち、チャンバー10の内壁12と遮蔽部40の側面及び基板支持部30の側面との間でプラズマを生じさせる。バイアス印加部60から基板支持部30を介して基板20にバイアス電圧を印加すると、プラズマのイオンが加速化され、加速化されたイオンが基板20の端部21を打撃してエッチングが行われる。また、エッチング後にできるパーチクルを基板支持部30の下部に配設された排気部70を介して外部に容易に抜き出す。ここで、遮蔽部40と基板20との間の領域においてはカーテンガスが吹き付け続けられ、プラズマが遮蔽部40と基板20との間の領域には拡散されなくなる。カーテンガスとしては、Nまたは不活性ガスが用いられる。
【0041】
上述の実施の形態においては、反応ガスを遮蔽部40ではなく、別途の噴射手段を介して前記チャンバー10の内部に供給してもよい。この反応ガス供給手段は、チャンバーの外壁を介して反応ガスをチャンバーの内部に供給することが好ましい。もちろん、チャンバー10の上壁13に設けられている絶縁体物質22に反応ガス供給手段(図示せず)が配設されてもよい。これにより、プラズマ電源が印加されるアンテナの下部に反応ガス噴射手段が配設され、その結果、プラズマの生成が容易になる。
【0042】
また、前記プラズマの生成のためのプラズマ電源をチャンバー内に供給するアンテナの配設と、カーテンガスの噴射のための流路の配設及び電力供給方法などは種々に変形可能である。以下、添付図面に基づき、これを説明する。
【0043】
図3から図5は、この実施の形態によるプラズマエッチング装置の変形例を示す概念断面図である。図6は、図5の遮蔽部の背面図である。
【0044】
図3を参照すると、アンテナ53は、チャンバー10の外壁12を取り囲む螺旋状に配設可能である。チャンバー10の外壁12に配設されたアンテナ53にプラズマ電源を印加してチャンバー10の内部にプラズマを生じさせることができる。このとき、チャンバー10の外壁12に絶縁性物質22を形成することが好ましい。図示の例では、単一のアンテナ53でチャンバー10の外壁12を多数回取り囲むように配設されているが、これとは異なり、チャンバー10を1回取り囲む円形の帯状をなす1以上のアンテナが直列または並列に接続されてもよい。なお、チャンバー10の側壁12を除く領域は接地される。
【0045】
さらに、図4に示すように、アンテナ53は、チャンバー10の下壁11に円形の帯状に形成できる。このとき、アンテナ53は、螺旋状に形成してもよい。チャンバー10の下壁11に配設されたアンテナ53にプラズマ電源51を印加してチャンバー10の内部にプラズマを生じさせてもよい。ここで、チャンバー10の下壁11には絶縁体物質22を形成する。
【0046】
そして、アンテナ53がチャンバー10の下壁11に配設された場合、反応ガスがチャンバー10の下壁11を介して供給されてもよく、排気部70がチャンバー10の上壁領域に配設されてチャンバー10の上部領域にパーチクルが抜け出てもよい。
【0047】
また、図5及び図6に示すように、前記遮蔽部40は、遮蔽部40と基板20との間の領域にカーテンガスを吹き付けるための多数のカーテンガス流路41が形成されている。カーテンガス流路41は、図6に示すように、遮蔽部40の中心に形成された第1カーテンガス流路41aと、遮蔽部40の周縁部に形成された第2のカーテンガス流路41cと、第1及び第2のカーテンガス流路41a、41cの間に形成された第3のカーテンガス流路41bと、を備える。ここで、第2及び第3のカーテンガス流路41b、41cの噴射口を円形の帯状に形成して基板20の中心部の全体の領域にカーテンガスを吹き付け、基板20の端部21領域で生じたプラズマが基板20の中心部に拡散することを抑える。前記カーテンガス流路41は、上述の説明に何ら限定されるものではなく、プラズマが基板の中心に拡散されることを防止可能であれば、各種の形状が採用可能である。上述のカーテンガス流路だけではなく、反応ガス噴射流路42、43もまた、上述のように、多数の流路を備えることができる。
【0048】
さらに、単一の電源生成部80を介して基板20の端部21とチャンバーの内壁との間にプラズマを生じさせるための電源をアンテナ53に供給し、基板支持部30にバイアスを印加するための電源を基板支持部に供給することができる。すなわち、単一の電源生成部80に第1及び第2の整合回路81、82が接続され、第1の整合回路81はアンテナ53に接続され、第2の整合回路82は基板支持部30に接続される。これにより、共通電源生成部80からの電源は第1の整合回路81を介してアンテナ53にプラズマの生成のための電源を印加し、第2の整合回路82を介して基板支持部30にバイアス印加のための電源を供給することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、この技術分野における通常の知識を持った者にとって、特許請求の範囲の技術的な思想から逸脱しない限り、本発明を種々に変形及び修正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図。
【図2】この実施の形態によるプラズマエッチング装置の平面図。
【図3】この実施の形態によるプラズマエッチング装置の変形例を示す概念断面図。
【図4】この実施の形態によるプラズマエッチング装置の変形例を示す概念断面図。
【図5】この実施の形態によるプラズマエッチング装置の変形例を示す概念断面図。
【図6】図5によるプラズマエッチング装置の遮蔽部の背面図。
【符号の説明】
【0051】
10:チャンバー
20:基板
30:基板支持部
40:遮蔽部
50:プラズマ生成部
53:アンテナ
60:バイアス印加部
70:排気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバー内に位置して基板を支える基板支持部と、
前記基板の中心部上に、プラズマが生じないほどの間隔を隔てて配設される遮蔽部と、
前記チャンバーの外壁の一部に配設されて前記基板の端部とチャンバーの内壁との間の領域にプラズマ電源を印加するアンテナと、
前記基板支持部にバイアスを印加するバイアス印加部と、を備えるプラズマエッチング装置。
【請求項2】
前記基板支持部は、前記遮蔽部と同じ直径を有し、前記基板の下端部領域を露出させる請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項3】
前記露出された基板の上側及び下端部の幅は、それぞれ1〜4mmである請求項2に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項4】
前記基板支持部が昇降自在に、前記基板支持部の下部に駆動部が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。
【請求項5】
前記遮蔽部内に、前記遮蔽部と前記基板との間の領域にカーテンガスを吹き付けるカーテンガス流路と、前記遮蔽部の側面と前記チャンバーの内壁との間の領域に反応ガスを吹き付ける反応ガス供給流路及びガス噴射ノズルが形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。
【請求項6】
前記アンテナは、前記チャンバーの内壁と前記遮蔽部との間の前記チャンバーの上壁、下壁、または前記チャンバーの外壁に円形の帯状または螺旋状に配設される請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。
【請求項7】
前記遮蔽部内に、前記遮蔽部と前記基板との間の領域にカーテンガスを吹き付けるカーテンガス流路を形成して前記チャンバーの外壁を介して反応ガスを供給する反応ガス供給手段を設ける請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。
【請求項8】
前記バイアス印加部と前記アンテナは共通電源を用いるものであり、前記共通電源と前記バイアス印加部との間に第1の整合回路が、且つ、前記共通電源と前記アンテナとの間に第2の整合回路がそれぞれ接続されている請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。
【請求項9】
前記アンテナが設けられる前記チャンバーの内壁に絶縁物質が形成される請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−43148(P2007−43148A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203029(P2006−203029)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(504210651)チュサン エンジニアリング コー リミテッド (7)
【Fターム(参考)】