説明

プラットホームゲート装置

【課題】駆動源からの影響を受けて制御装置が誤作動することを抑制することが可能なプラットホームゲート装置を提供する。
【解決手段】駆動モータ25が第一筐体12に囲繞されているので、駆動モータ12が発するノイズは第一筐体12によって減衰され、第一筐体12の外部へのノイズの漏洩を抑制することができる。一方、制御盤26a、26bは第二筐体14に囲繞されているので、外部から侵入しようとするノイズは第二筐体14によって減衰され、第二筐体14の外部からのノイズの侵入を抑制することができる。従って、動作安定手段としての第一筐体12及び第二筐体14によって、駆動モータ25から制御盤26a、26bへのノイズの伝達を充分に抑制することができる。その結果、駆動モータ25、25のノイズが制御盤26a、26bの動作に影響を与えないようにすることができ、プラットホームゲート装置11の誤作動の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームゲート装置に関し、特に、鉄道車両に乗降するためのプラットホームの縁端部に乗客保護のための塀を形成するプラットホームゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅のプラットホームには、線路への乗客の転落や鉄道車両との乗客の接触などを防止するために、鉄道車両の進行方向に沿って直列に複数のプラットホームゲート装置が連設されている。相互に隣接するプラットホームゲート装置同士の間に乗客の乗降用通路が形成される。各プラットホームゲート装置では、各戸袋体の収納空間からスライド移動によって突出する1対の扉体によって乗降用通路が閉鎖される。扉体は駆動モータによって駆動されており、駆動モータの駆動はコントローラによって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−239224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、駆動モータは戸袋体の収納空間内で扉体の上方に配置されている一方で、コントローラは駆動モータの上方で駆動モータに極めて近接して配置されている。その結果、扉体の駆動にあたって駆動モータに電力が供給されると、駆動モータからコントローラにノイズが乗り移る可能性がある。こうしたノイズは、制御装置の誤作動を引き起こすことがあるので、扉体すなわちプラットホームゲート装置の誤作動を引き起こしかねない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、駆動源からの影響を受けて制御装置が誤作動することを抑制することが可能なプラットホームゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によれば、
少なくとも複数連接され、鉄道車両に乗降するためのプラットホームの縁端部に乗客保護のための塀を形成するプラットホームゲート装置であって、
扉体と、
前記扉体を収納する収納部と、
前記収納部の外側に向かって前記扉体を進退自在に駆動する駆動源と、
前記扉体の進退移動を制御する制御装置と、
前記駆動源が発生するノイズが前記制御装置の動作に影響を与えないようにするための動作安定手段と、を備え、
前記動作安定手段は、前記駆動源及び前記収納部を囲繞する第一筐体と、前記制御装置を囲繞する第二筐体とを有するプラットホームゲート装置が提供される。
【0007】
このプラットホームゲート装置によれば、駆動源が第一筐体に囲繞されているので、駆動源が発するノイズは第一筐体によって減衰され、第一筐体の外部へのノイズの漏洩を抑制することができる。一方、制御装置は第二筐体に囲繞されているので、外部から侵入しようとするノイズは第二筐体によって減衰され、第二筐体の外部からのノイズの侵入を抑制することができる。従って、動作安定手段として第一筐体及び第二筐体を設けることで、駆動源から制御装置へのノイズの伝達を充分に抑制することができる。その結果、扉体の駆動源が発生するノイズが扉体の制御装置の動作に影響を与えないように構成することができ、制御装置の動作を安定させ、プラットホームゲート装置の誤作動の発生を抑制することができる。しかも、制御装置は、扉体を収納する収納部を囲繞する第一筐体とは別の第二筐体に囲繞されているので、雨や雪によって扉体に付着した水滴は第一筐体の内部に留まり、制御装置に水滴が付着することを確実に防止することができる。その結果、プラットホームゲート装置の動作安定性をより高めることができる。
【0008】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記第一筐体は前記プラットホームの縁端部に設置可能なように構成される一方で、前記第二筐体は前記第一筐体の上方に配置されることも好ましい。この構成によれば、第二筐体が第一筐体の上方に配置されているので、制御装置を収容する第二筐体を比較的高い位置に配置することができる。従って、係員は、第二筐体内の制御装置の保守管理や操作を比較的楽な姿勢で実施することができるので、プラットホームゲート装置のメンテナンス性および操作性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記第一筐体と前記第二筐体とは互いに当接するように配置されると共に、その当接する部分が共通の部材によって構成されることも好ましい。こうして第一筐体と第二筐体とが当接する部分が共通の部材によって構成されているので、第一筐体によるノイズ漏洩の抑制や第二筐体によるノイズ侵入の抑制という効果を発揮しつつ部材の使用を抑制することができる。
【0010】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記第二筐体には、前記制御装置を操作することが可能なように開口部が形成されており、その開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部が設けられることも好ましい。作業者は、第二筐体の開口部から制御装置を操作することができるので、制御装置の操作が容易なものとなり、プラットホームゲート装置のメンテナンス性を向上させることができる。さらに、開口部は蓋部によって開閉可能に塞がれるので、例えば、第二筐体内への雨や雪の進入を防止したり、制御装置への悪戯を防止したりすることができ、プラットホームゲート装置の動作安定性がより高まる。
【0011】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記開口部は、前記制御装置を前記第二筐体から取り外すことができない程度の開口面積となるように形成されることも好ましい。この構成によれば、たとえ開口部の蓋部が開けられたとしても、開口部は、第二筐体から制御装置を取り外すことができないように、開口部の開口面積に設定されている。従って、制御装置を故意に取り外す等の悪戯を防止することができ、プラットホームゲート装置の動作安定性がより高まる。
【0012】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記第二筐体は前記第一筐体に取り付けられるとともに、固定部材によって離脱不可能なように固定されており、前記固定部材は、前記第一筐体の内側空間からのみ操作することが可能なように構成されることも好ましい。こうした構成によれば、第二筐体を第一筐体から離脱させるためには、第一筐体の内側空間からアクセスしなければならないので、第一筐体から第二筐体を簡単に取り外すことができない。従って、第二筐体および制御装置を故意に取り外す等の悪戯を防止することができ、プラットホームゲート装置の動作安定性がより高まる。
【0013】
また、本発明のプラットホームゲート装置では、前記制御装置と、前記制御装置への指令を入力する入力装置とが一体化されることも好ましい。こうした構成によれば、装置の構成を簡略化することができる。しかも、第二筐体に開口部が形成される場合には、開口部を介して入力装置に容易にアクセスすることができるので、プラットホームゲート装置のメンテナンス時や緊急時等に各乗降用通路に設けられた扉体を個別に開閉操作する必要がある際に、入力装置によって扉体の駆動を簡単に制御することができる。その結果、プラットホームゲート装置のメンテナンス性および操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、駆動源からの影響を受けて制御装置が誤作動することを抑制することが可能であるとともに、動作安定性、メンテナンス性および操作性の向上を図ることが可能なプラットホームゲート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置の外観を概略的に示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置の外観を概略的に示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置の内部構造を概略的に示す部分透視正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置の内部構造を概略的に示す部分透視平面図である。
【図5】図1のV−V線に沿った部分拡大断面図である。
【図6】図5に対応し、蓋部を開ける様子を示す部分拡大断面図である。
【図7】図5に対応し、蓋部を開けた状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置11の構成を概略的に示す正面図である。例えば鉄道車両(図示せず)が進入してくる鉄道駅のプラットホームPの線路側の縁端部に沿って複数のプラットホームゲート装置11、11…が直列に連接されて配置される。こうして複数連接されたプラットホームゲート装置11、11…が線路側空間とプラットホーム側空間とを隔てる。本実施形態では、プラットホームゲート装置11の高さは例えば1300mm程度に設定される。
【0017】
各プラットホームゲート装置11は、戸袋体を構成する第一筐体12と、第一筐体12にスライド移動自在に支持される1対の扉体13a、13bと、第一筐体12の上方に配置される第二筐体14と、を備える。扉体13a、13bは相互に反対方向に第一筐体12から外側に突出することができる。第二筐体14は第一筐体12の上端に当接して配置される。第一筐体12や第二筐体14は例えば導電性の金属材料から形成される。第一筐体12は、プラットホームPの縁端部に設置可能なように構成されており、ここでは、その下端でプラットホームPに固定される。第一筐体12及び第二筐体14は本発明の動作安定手段を構成する。
【0018】
第一筐体12内には扉体13a、13bを収納する収納部が形成される。すなわち、第一筐体12は扉体13a、13bの収納部を囲繞する。ここでは、扉体13a、13bは、鉄道車両の進行方向に沿った方向に移動自在に第一筐体12に収納される。相互に隣接するプラットホームゲート装置11、11の第一筐体12、12同士の間には鉄道車両への乗客の乗降用通路Aが形成される。この乗降用通路Aが扉体13a、13bのスライド移動によって開閉される。こうして複数連接されたプラットホームゲート装置11、11…によって乗客保護のための塀が形成される。複数連設されたプラットホームゲート装置11、11…ごとに設けられる1対の扉体13a、13bは、通常は列車の編成両数および扉位置に対応する形で、一斉に開閉動作が行われる。
【0019】
第二筐体14には所定の位置に開口部15が形成される。本実施形態では、開口部15は鉄道車両の進行方向に沿って長尺に延びる。第二筐体14は、開口部15を開閉可能に塞ぐ蓋部16をさらに備える。蓋部16の開閉はロック機構17によってロックされる。ロック機構17のロックが後述の所定の鍵によって解除されると、蓋部16を開けることができ、第二筐体14の収納空間にアクセスすることができる。これら第二筐体14、開口部15、蓋部16及びロック機構17の詳細については後述する。
【0020】
図1は、扉体13a、13bが第一筐体12から最大限に突出した閉鎖位置に位置決めされた状態を示している。この状態では、任意のプラットホームゲート装置11の扉体13aが、この任意のプラットホームゲート装置11に隣接するプラットホームゲート装置11の扉体13bとともに乗降用通路Aを閉鎖する。その一方で、乗降用通路Aには鉄道車両の乗降ドアが位置決めされる。このとき、当該扉体13a、13bが、第一筐体12の収納空間内に完全に収納される開放位置に位置決めされると、乗降用通路Aが開放される。その結果、乗客は鉄道車両に対して乗り降りすることができる。
【0021】
第一筐体12は、プラットホーム側空間に面する第一筐体12の内側面に嵌め込まれる複数の正面パネル18を備える。ここでは、例えば4枚のパネル18によって第一筐体12の内側面の全面が形成される。正面パネル18は1対のロック機構19、19によって第一筐体12の本体に着脱自在に取り付けられる。ロック機構19のロックが後述の所定の鍵によって解除されると、第一筐体12の本体から正面パネル18を取り外すことができる。正面パネル18を取り外すことによって第一筐体12の収納部すなわち内側空間が開放される。本実施形態では、ロック機構19は例えば正面パネル18の上端縁に隣接して配置される。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るプラットホームゲート装置11の左側面図である。第二筐体14は、鉄道車両の進行方向に沿った方向に延びる角柱形状の輪郭を有しており、鉄道車両の進行方向に直交する断面は台形状に形成される。ここでは、第二筐体14の上面は、線路側空間からプラットホーム側空間に向かうにつれてプラットホームPに近づく傾斜面から形成される。なお、第二筐体14は、鉄道車両の進行方向に沿った方向に中心軸線を規定する半円筒形状の輪郭としても良い。その一方で、第一筐体12は平たい直方体形状の輪郭を有している。第一筐体12の側面には扉体13aを受け入れるスリット20が形成される。第一筐体12の他方の側面には扉体13bを受け入れるスリットが形成される。第一筐体12では、鉄道車両の進行方向に直交するとともにプラットホームPの表面に平行な方向に扉体13a、13bをずらして配置することによって、第一筐体12の収納部内で扉体13a、13b同士の相互の干渉を回避している。
【0023】
図3は、第一筐体12及び第二筐体14の内部を概略的に示す部分透視正面図である。本実施形態のプラットホームゲート装置11は、各扉体13a、13bごとに、第一筐体12の内側空間に配置される1対のガイドレール21、21と、各ガイドレール21上にスライド移動自在に支持される1対のブロック22、22と、を備える。ガイドレール21は鉄道車両の進行方向に平行に延びる。ブロック22、22は各扉体13a、13bに固定される。こうして扉体13a、13bのスライド移動が実現される。ガイドレール21には例えばLMガイドが用いられる。
【0024】
一方のガイドレール21には1対のプーリ23、23が固定される。プーリ23、23にはベルト24が巻きかけられ、ベルト24にはブロック22が連結される。また、一方のプーリ23には駆動源すなわち駆動モータ25が連結される。駆動モータ25は一方のガイドレール21に固定される。駆動モータ25は第一筐体12に囲繞される。駆動モータ25が一方のプーリ23を回転させると、ベルト24が1対のプーリ23、23間で送られる結果、ブロック22がガイドレール21上を移動する。こうして駆動モータ25は、収納部の外側に向かって扉体13a、13bを進退自在に駆動することができる。
【0025】
図4は、第二筐体14の内部を概略的に示す部分透視平面図である。図4を併せて参照すると、第二筐体14の収納空間には鉄道車両の進行方向に沿って1対の制御装置すなわち制御盤26a、26bが配列される。こうして第二筐体14は制御盤26a、26bを囲繞する。制御盤26aはマスタ側コントローラを構成する。制御盤26aは、当該プラットホームゲート装置11の扉体13aの駆動モータ25に接続されると同時に、扉体13aととともに乗降用通路Aを閉鎖する隣接のプラットホームゲート装置11の扉体13bの駆動モータ25に接続される。その結果、制御盤26aは、乗降用通路Aを開閉する1対の扉体13a、13bのスライド移動を制御することができる。
【0026】
さらに、制御盤26aと、制御盤26aへの指令を入力する入力装置すなわち操作盤(図示せず)とが一体化される。操作盤は例えば操作スイッチを備える。図4から明らかなように、第二筐体14の開口部15は、制御盤26a、26bを操作することが可能なように形成される。操作盤への入力によって、例えば当該プラットホームゲート装置11の扉体13aのスライド移動と、扉体13aととともに乗降用通路Aを閉鎖する隣接のプラットホームゲート装置11の扉体13bのスライド移動とが操作される。こうした操作盤は、例えばプラットホームゲート装置11の保守点検の際や、緊急時等において各乗降用通路Aごとに設けられた扉体13a、13bを個別に開閉操作する必要がある際に、係員が手動でプラットホームゲート装置11を作動させるために利用される。
【0027】
その一方で、制御盤26bはスレーブ側コントローラを構成する。制御盤26bは扉体13bの駆動モータ25に接続される。従って、制御盤26bは、扉体13b側に隣接するプラットホームゲート装置11の制御盤26aからの指令に基づいて扉体13bのスライド移動を制御する。この制御盤26bには操作盤は一体化されない。図4から明らかなように、蓋部16を開けて開口部15を開放すると、開口部15内には制御盤26aの一部と制御盤26bの一部とにアクセスすることができる。なお、制御盤26a、26bには個別に安全ブレーカが搭載される。前述の保守点検は、安全ブレーカがオフにされて制御盤26a、26bへの電力の供給が停止された時に実施される。
【0028】
図5は図1のV−V線に沿った部分拡大断面図である。図5から明らかなように、第一筐体12及び第二筐体14は、相互に当接する部分が共通の部材すなわちパネル27から構成されている。パネル27の上面は、線路側空間からプラットホーム側空間に向かうにつれてプラットホームPに近づく傾斜面から形成される。パネル27の上面は例えば前述の第二筐体14の上面に平行に広がる。このパネル27の上面に前述の制御盤26a、26bが固定される。第二筐体14は、その線路側の縁端で例えばヒンジ28を介して第一筐体12に取り付けられる。第二筐体14のプラットホーム側の縁端はパネル27と正面パネル18との間に挟み込まれる。こうして第二筐体14は第一筐体12に連結される。
【0029】
図5に示されるように、第二筐体14のプラットホーム側の縁端はパネル27に固定部材29によって離脱不可能なように固定されている。この固定部材29は、第一筐体12の内側空間からのみ操作することが可能なように構成されている。例えば第一筐体12において正面パネル18が取り外された後でのみ、固定部材29が外側に露出するように構成されている。固定部材29には例えばねじなどの締結部品が用いられる。こうした構成によれば、第二筐体14を第一筐体12から離脱させるためには、第一筐体12の内側空間からアクセスしなければならないので、第一筐体12から第二筐体14を簡単に取り外すことができない。従って、第二筐体14ごと制御盤26a、26bを持ち去られたり、すり替えられたりすることを防止することができ、プラットホームゲート装置11の動作安定性がより高まる。
【0030】
第二筐体14の開口部15は制御盤26a、26bの少なくとも一部に対向する。本実施形態では、開口部15の開口面積は、第二筐体14から制御盤26a、26bを外側に取り外すことができない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、例えば鉄道車両の進行方向に直交する方向に規定される開口部15の大きさが、同様に規定される制御盤26a、26bの大きさよりも小さく設定されている。また、第二筐体14内で制御盤26a、26bが姿勢を変化させることができないように寸法設定されている。こうした構成によれば、開口部15から制御盤26a、26bを取り出すことができないので、制御盤26a、26bを故意に取り外す等の悪戯を防止することができ、プラットホームゲート装置11の動作安定性がより高まる。
【0031】
開口部15を開閉可能に塞ぐ蓋部16は、開口部15の線路側の端縁に例えばヒンジ30を介して連結される。蓋部16の開閉にあたって前述のロック機構17が用いられる。ロック機構17は、所定の鍵の挿入を受け入れるシリンダ31と、シリンダ31に連結されてシリンダ31の軸線回りに回転する係止片32と、を備える。係止片32は、ロック状態の回転位置にある時に第二筐体14の内壁に係止して蓋部16の開放を規制する。
【0032】
その一方で、図6に示されるように、シリンダ31に鍵33が差し込まれて、シリンダ31がロック解除状態の回転位置まで回されると、係止片32と第二筐体14の内壁との係止が解除されて蓋部16の開放が許容される。蓋部16の開放時、鍵33は、シリンダ31から抜け落ちないように構成されている。図7は蓋部16が開放された状態を示す部分拡大断面図である。蓋部16の開放時、蓋部16がヒンジ30回りに回転すると、蓋部16は第二筐体14に対して所定の開放位置で停止する。
【0033】
この開放位置では、開口部15内に制御盤26a、26bの一部が露出する。制御盤26aでは少なくとも操作盤の部分が露出する。このとき、鍵33は蓋部16に取り付けられたままであるものの、線路側に位置する鍵33の一端の位置は、線路側の建築限界Lの位置よりもプラットホームPの内側に配置される。この建築限界Lは、例えばプラットホームPの縁端部から線路とは反対のプラットホームPの内側に向かって所定の距離に設定される。なお、鍵33は正面パネル18のロック機構19のロック解除にも共通に利用される。
【0034】
次に、保守点検時の作業を簡単に説明する。まず、前述のように蓋部16が開放される。その後、制御盤26a、26bの安全ブレーカがオフにされて、制御盤26a、26bへの電力の供給が遮断される。この状態で制御盤26a、26bの点検保守が実施される。
【0035】
その一方で、例えば制御盤26aの交換が必要であると判断されると、まず、すべての正面パネル18を取り外した後、前述の固定部材29が取り外される。こうして第二筐体14の取り外しが許容される。その後、第二筐体14のプラットホーム側の縁端を少し浮かせつつ第二筐体14のヒンジ28の軸が鉄道車両の進行方向に沿って抜かれる。その結果、第一筐体12から第二筐体14を取り外すことができる。こうして第二筐体14が取り外されると、パネル27上の制御盤26a、26bが外側に露出する。例えば配線やナット(図示せず)を取り外して制御盤26a、26bが取り外される。その後、新たな制御盤26a、26bが取り付けられ、第二筐体14や正面パネル18が前述と逆の手順で取り付けられる。
【0036】
以上のようなプラットホームゲート装置11によれば、駆動モータ25が第一筐体12に囲繞されているので、第一筐体12がシールドの機能を果たす結果、駆動モータ12が発するノイズは第一筐体12によって減衰され、第一筐体12の外部へのノイズの漏洩を抑制することができる。その一方で、制御盤26a、26bは第二筐体14に囲繞されているので、第二筐体14がシールドの機能を果たす結果、外部から侵入しようとするノイズは第二筐体14によって減衰され、第二筐体14の外部からのノイズの侵入を抑制することができる。従って、動作安定手段として第一筐体12及び第二筐体14を設けることで、駆動モータ25から制御盤26a、26bへのノイズの伝達を充分に抑制することができる。その結果、扉体13a、13bの駆動モータ25、25が発生するノイズが扉体13a、13bの制御盤26a、26bの動作に影響を与えないように構成することができ、制御盤26a、26bの動作を安定させ、プラットホームゲート装置11の誤作動の発生を抑制することができる。
【0037】
しかも、制御盤26a、26bは、扉体13a、13bを収納する収納部を囲繞する第一筐体12とは別の第二筐体14に囲繞されているので、雨や雪によって扉体13a、13bに付着した水滴は第一筐体12の内部に留まり、制御盤26a、26bに水滴が付着することを確実に防止することができる。その結果、プラットホームゲート装置11の動作安定性をより高めることができる。加えて、第一筐体12と第二筐体14とが当接する部分が共通のパネル27によって構成されているので、第一筐体12によるノイズ漏洩の抑制や第二筐体14によるノイズ侵入の抑制という効果を発揮しつつ部材の使用を抑制することができる。さらに、開口部15は蓋部16によって開閉可能に塞がれるので、例えば、第二筐体14内への雨や雪の進入を防止したり、制御盤26a、26bへの悪戯を防止したりすることができ、プラットホームゲート装置11の動作安定性がより高まる。
【0038】
しかも、制御盤26aには操作盤が一体化されるので、機器の配置を簡略化することができる。こうした操作盤26aを収納する第二筐体14が第一筐体12の上方に配置されているので、第二筐体14を比較的高い位置に配置することができる。従って、作業者は、第二筐体14内の制御盤26a、26bの保守管理および操作を比較的楽な姿勢で実施することができるので、プラットホームゲート装置11のメンテナンス性および操作性を向上させることができる。なお、例えば第二筐体14にはデジタルサイネージ装置を搭載することが可能である。このとき、制御盤26aはデジタルサイネージ装置の制御装置を兼ねてもよい。
【符号の説明】
【0039】
11 プラットホームゲート装置
13a、13b 扉体
12 第一筐体
14 第二筐体
15 開口部
16 蓋部
25 駆動源(駆動モータ)
26a、26b 制御装置(制御盤)
29 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数連接され、鉄道車両に乗降するためのプラットホームの縁端部に乗客保護のための塀を形成するプラットホームゲート装置であって、
扉体と、
前記扉体を収納する収納部と、
前記収納部の外側に向かって前記扉体を進退自在に駆動する駆動源と、
前記扉体の進退移動を制御する制御装置と、
前記駆動源が発生するノイズが前記制御装置の動作に影響を与えないようにするための動作安定手段と、を備え、
前記動作安定手段は、前記駆動源及び前記収納部を囲繞する第一筐体と、前記制御装置を囲繞する第二筐体とを有することを特徴とするプラットホームゲート装置。
【請求項2】
前記第一筐体は前記プラットホームの縁端部に設置可能なように構成される一方で、前記第二筐体は前記第一筐体の上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラットホームゲート装置。
【請求項3】
前記第一筐体と前記第二筐体とは互いに当接するように配置されると共に、その当接する部分が共通の部材によって構成されることを特徴とする請求項2に記載のプラットホームゲート装置。
【請求項4】
前記第二筐体には、前記制御装置を操作することが可能なように開口部が形成されており、その開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のプラットホームゲート装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記制御装置を前記第二筐体から取り外すことができない程度の開口面積となるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のプラットホームゲート装置。
【請求項6】
前記第二筐体は前記第一筐体に取り付けられるとともに、固定部材によって離脱不可能なように固定されており、
前記固定部材は、前記第一筐体の内側空間からのみ操作することが可能なように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のプラットホームゲート装置。
【請求項7】
前記制御装置と、前記制御装置への指令を入力する入力装置とが一体化されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラットホームゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52743(P2013−52743A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191975(P2011−191975)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(712004783)株式会社総合車両製作所 (40)
【Fターム(参考)】