説明

プリフォームおよび容器

【課題】製造工程における搬送中に落下することがなく、かつ開栓後にリングが口部から脱落しにくいプリフォームを提供する。
【解決手段】プリフォーム10は、口部11と、プリフォーム本体12と、口部11とプリフォーム本体12との間に形成されたフランジ部13とを有している。口部11外周にキャップ20内面の雌ねじ部25に係合する雄ねじ部14が形成されている。口部11外周のうち雄ねじ部14とフランジ部13との間の位置に、キャップ20のリング22内面の突起部28に円周方向に係合してリング22をキャップ本体21から破断させるラチェット爪15が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられている。口部11外周のうちラチェット爪15とフランジ部13との間に、口部11全周にわたってラチェット爪15間の領域より内方へ引込む円周溝部17が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部と、プリフォーム本体と、口部とプリフォーム本体との間に形成されたフランジ部とを有するプリフォーム、およびこのようなプリフォームから作製される容器に係り、とりわけキャップを開栓する際、小さい回転角度でキャップ本体とリングとを破断させることができるプリフォームおよび容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、射出成形により作製されたプリフォーム(予備成形体)を2軸延伸ブロー成形することにより、PET等からなるプラスチックボトル容器を製造することが行なわれている。このようなプリフォームとしては、従来、例えば図17に示すようなものが用いられている(従来例1)。図17において、プリフォーム100は、口部101と、プリフォーム本体102と、フランジ部103とを有している。図17において、フランジ部103上方に環状突部(カブラ部)104が口部101全周にわたって形成されている。
【0003】
図17に示すプリフォーム100(従来例1)は、口部101全周に環状突部104が設けられているため、キャップの開栓後にキャップのリングが口部101から脱落することがない。しかしながら、開栓の際、キャップのキャップ本体とリングとを破断するためにキャップを大きな角度回転させる必要がある。
【0004】
これに対して、図18および図19に示すプリフォーム110(従来例2)は、フランジ部113上方に口部111外周に沿って4つのラチェット爪114が設けられている。このような構造により、開栓の際、キャップのリング内面の突起部とラチェット爪114とを係合させ、小さい回転角度でキャップ本体とリングとを破断させることができる。
【0005】
しかしながら、図19に示すように、プリフォーム110の各ラチェット爪114の円周方向長さLXは、各ラチェット爪114間の間隔LYより短い。このため、製造工程における搬送中に、フランジ部113とラチェット爪114との間に挿入されたネックグリッパーから容器が落下しやすいという問題がある。またキャップの開栓後、キャップのリングがラチェット爪114を乗り越えて口部111から脱落しやすいという問題もある。
【特許文献1】特開2006−263948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、開栓の際、小さな回転角度でキャップ本体とリングとを破断させることができ、製造工程における搬送中に落下することがなく、かつ開栓後にリングが口部から脱落しにくいプリフォームおよび容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、口部と、プリフォーム本体と、口部とプリフォーム本体との間に形成されたフランジ部とを有するプリフォームにおいて、口部外周に、キャップ内面の雌ねじ部に係合する雄ねじ部が形成され、口部外周のうち雄ねじ部とフランジ部との間の位置に、キャップのリング内面の突起部に円周方向に係合してリングをキャップ本体から破断させるラチェット爪が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられ、口部外周のうちラチェット爪とフランジ部との間に、口部全周にわたってラチェット爪間の領域より内方へ引込む円周溝部を設けたことを特徴とするプリフォームである。
【0008】
本発明は、各ラチェット爪は、口部の外周壁面から外方に突出する円周突部上に配置されていることを特徴とするプリフォームである。
【0009】
本発明は、円周突部は、雄ねじ部側からフランジ部側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部を有することを特徴とするプリフォームである。
【0010】
本発明は、各ラチェット爪の下面と円周溝部の溝上面とは、互いに同一平面上に位置することを特徴とするプリフォームである。
【0011】
本発明は、各ラチェット爪の下面は、円周溝部の溝上面から離間していることを特徴とするプリフォームである。
【0012】
本発明は、口部と、容器本体と、口部と容器本体との間に形成されたフランジ部とを有する容器において、口部外周に、キャップ内面の雌ねじ部に係合する雄ねじ部が形成され、口部外周のうち雄ねじ部とフランジ部との間の位置に、キャップのリング内面の突起部に円周方向に係合してリングをキャップ本体から破断させるラチェット爪が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられ、口部外周のうちラチェット爪とフランジ部との間に、口部全周にわたってラチェット爪間の領域より内方へ引込む円周溝部を設けたことを特徴とする容器である。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、口部外周のうちラチェット爪とフランジ部との間に、口部全周にわたってラチェット爪間の領域より内方へ引込む円周溝部を設けたので、キャップを開栓する際、小さい回転角度でキャップ本体とリングとを破断させることができる。また製造工程における搬送中にプリフォームが落下することがなく、かつ開栓後に、破断されたリングがラチェット爪を乗り越えて口部から脱落することがない。
【0014】
また本発明によれば、各ラチェット爪は、口部の外周壁面より外方に突出する円周突部上に配置され、かつ円周突部は、雄ねじ部側からフランジ部側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部を有する。これにより、閉栓の際、突起部が円周突部を容易に乗り越えるので、リングを円周溝部内に容易に収容することができるとともに、一旦円周溝部内に収容されたリングは円周溝部から外れない。
【0015】
さらに本発明によれば、各ラチェット爪の下面は、円周溝部の溝上面から離間しているので、開栓後、円周溝部内に収容されたリングが上下方向に動くことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態によるプリフォームを示す正面図であり、図2は、本実施の形態によるプリフォームを示す上面図(図1のII方向矢視図)である。図3は、本実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(図2のIII−III線断面図)であり、図4は、本実施の形態によるプリフォームを示す水平断面図(図1のIV−IV線断面図)である。図5は、図1のV部拡大図であり、図6は、キャップの垂直断面図である。図7は、本実施の形態による容器および組合体を示す垂直断面図であり、図8は、プリフォーム、容器、および組合体の製造方法を示す図である。図9は、容器を搬送するネックグリッパーを示す図であり、図10は、キャップ本体とリングとが破断される前における、容器およびキャップを示す部分拡大断面図である。図11は、キャップ本体とリングとが破断された後における、容器およびキャップを示す部分拡大断面図である。
【0017】
プリフォームの構成
まず、図1乃至図5により本実施の形態によるプリフォームの概要について説明する。
【0018】
図1乃至図3に示すプリフォーム10は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるプラスチック製ペレットを射出成形することにより作製されるものである。このプリフォーム10は、上端に円形の開口部11aが形成された口部11と、有底円筒状のプリフォーム本体12と、口部11とプリフォーム本体12との間に形成され、外方に突出するフランジ部13とを有している。
【0019】
このうち口部11の外周に、後述するキャップ20内面の雌ねじ部25に係合する雄ねじ部14が形成されている。
【0020】
また口部11外周のうち雄ねじ部14とフランジ部13との間に、一端に係合面15sを有するラチェット爪15が円周方向に所定間隔をおいて複数(本実施の形態においては4箇所)設けられている(図4参照)。このラチェット爪15は、後述するようにキャップ20のリング22内面の突起部28に円周方向に係合してこのリング22をキャップ本体21から破断させるものである。
【0021】
各ラチェット爪15は、口部11の外周壁面11bから外方に突出するとともに口部11全周にわたって設けられた円周突部16上に配置されている。図5に示すように、円周突部16は、雄ねじ部14側からフランジ部13側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部16aを有している。
【0022】
さらに図1および図3に示すように、口部11外周のうちラチェット爪15とフランジ部13との間に、口部11全周にわたってラチェット爪15間の領域(本実施の形態では円周突部16)より内方へ引込む円周溝部17が設けられている。
【0023】
図5に示すように、円周溝部17は、溝上面17aと、フランジ部13の上面13aに連続する溝下面17cと、溝上面17aと溝下面17cとの間に位置する溝底面17bとを有している。また各ラチェット爪15の下面15kと円周溝部17の溝上面17aとは、互いに同一平面上に位置している。
【0024】
なお図5において、円周溝部17の幅d1、すなわち各ラチェット爪15の下面15kとフランジ部13との間隔d1は、2mm≦d1≦5mmとなることが好ましい。また円周溝部17の深さd2、すなわち円周突部16の先端部16bと円周溝部17の溝底面17bとの間の距離d2は、0.25mm≦d2≦1.5mmとなることが好ましい。
【0025】
キャップの構成
次に、図6によりキャップの構成について説明する。
【0026】
キャップ20は、キャップ本体21と、キャップ本体21に破断自在に取付けられたリング22とを有している。これらキャップ本体21およびリング22はPE等の合成樹脂により一体成形されている。キャップ本体21とリング22との間には、周囲より薄肉となる環状の破断部20aが形成され、この破断部20aに沿ってキャップ本体21とリング22とを破断可能になっている。
【0027】
キャップ本体21は、平板状の天面部23と、天面部23から延びる筒部24と、筒部24内面に形成された雌ねじ部25とを有している。またキャップ本体21の天面部23内面に、円形突起26が設けられている。この円形突起26は、キャップ20をプリフォーム10(または後述する容器30)に取付けた際、プリフォーム10(または容器30)の口部11内面に係合するものである。
【0028】
一方リング22は、キャップ本体21の筒部24に連続するリング本体27と、リング本体27内面に設けられ、リング本体27下端から斜め内方に延びる突起部28とを有している。このうち突起部28は、上述したようにラチェット爪15の係合面15sに係合するものであり、ラチェット爪15に対応して円周方向に所定間隔をおいて複数(本実施の形態においては4箇所)設けられている。
【0029】
容器および組合体の構成
次に、図7により本実施の形態による容器および組合体の構成について説明する。
【0030】
図7において、容器30は、容器本体31の形状が上述したプリフォーム本体12の形状と異なるものであり、他の構成は上述したプリフォーム10と同一である。また組合体40は、容器30と、図6に示すキャップ20とを組合せたものである。図7において、図1乃至図6と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
図7に示す容器30は、図1乃至図3に示すプリフォーム10を2軸延伸ブロー成形することにより作製されるものである。この容器30は、キャップ20が装着される口部11と、プリフォーム本体12を延伸することにより形成された容器本体31と、口部11と容器本体31との間に形成されたフランジ部13とを有している。
【0032】
なお容器本体31の形状は、プリフォーム本体12を2軸延伸ブロー成形することにより形成されるものであればどのような形状であっても良く、図7に示す形状に限定されない。
【0033】
また組合体40は、図6に示すキャップ20と、上述した容器30とから構成されている。すなわち、キャップ本体21の雌ねじ部25を口部11の雄ねじ部14に螺合させることにより、キャップ20が容器30に取付けられている。また図7において、リング22の各突起部28は、それぞれ各ラチェット爪15間の円周突部16上に位置している。
【0034】
すなわち組合体40は、雌ねじ部25を有するキャップ本体21と、キャップ本体21に破断自在に取付けられたリング22とを有するキャップ20と、このキャップ20が装着される口部11と、容器本体31と、口部11と容器本体31との間に形成されたフランジ部13とを有する容器30とを有する組合体40において、容器30の口部11外周に、キャップ20内面の雌ねじ部25に係合する雄ねじ部14が形成され、口部11外周のうち雄ねじ部14とフランジ部13との間の位置に、キャップ20のリング22内面の突起部28に円周方向に係合してリング22をキャップ本体21から破断させるラチェット爪15が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられ、口部11外周のうちラチェット爪15とフランジ部13との間に、口部11全周にわたってラチェット爪15間の領域より内方へ引込む円周溝部17を設けている。
【0035】
本実施の形態の作用
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0036】
はじめに、図1乃至図3に示すプリフォーム10、図7に示す容器30、および図7に示す組合体40の製造方法について、図8乃至図10を用いて説明する。
【0037】
まず、射出成形機を用いて例えばPET樹脂からなるペレットを射出成形することにより、図1乃至図3に示すプリフォーム10を作製する(図8の符号51)。
【0038】
次に、このプリフォーム10を加熱した後、ブロー成形機によって2軸延伸ブロー成形することにより、図7に示す容器30を作製する(図8の符号52)。
【0039】
その後、容器30は、図9に示すように、一対のアーム61、62を有するネックグリッパー(搬送装置)60によって搬送される。搬送の際、ネックグリッパー60の一対のアーム61、62は、容器30のフランジ部13とラチェット爪15(円周突部16)との間に設けられた円周溝部17内に差し込まれる。ネックグリッパー60は、この状態で円周突部16を保持して容器30を搬送する。この場合、上述したように円周溝部17が、フランジ部13とラチェット爪15(円周突部16)との間に口部11全周にわたって設けられている。これにより、アーム61、62と円周突部16との接触面積を大きくし、各ラチェット爪15がどのような位置にあっても、ネックグリッパー60によって確実に容器30を搬送することができる。
【0040】
他方、容器30を作製することと並行して、射出成形により、キャップ本体21とリング22とを有するキャップ20を別途作製する(図8の符号53)。
【0041】
その後、このキャップ20を容器30に対して容器上方から見て時計方向に回転させながら押し込むことにより、キャップ20を容器30取付け、組合体40を作製する(図8の符号54)。この際、キャップ本体21の雌ねじ部25が容器30の雄ねじ部14に螺合されるとともに、リング22内面の各突起部28が各ラチェット爪15間の円周突部16上に配置される(図10)。
【0042】
次に、キャップ20を容器30から開栓する際の作用について、図10および図11を用いて説明する。
【0043】
まず図10に示す状態で、キャップ20を容器30に対して容器上方から見て反時計回りに回転させる。この際、キャップ本体21は、その雌ねじ部25が容器30の雄ねじ部14に沿うように回転する。これに対して、リング22は、その各突起部28が各ラチェット爪15の係合面15sに円周方向に係合することにより停止する。さらにキャップ20が回転されると、キャップ本体21とリング22とは破断部20aにおいて破断する(図11)。その後キャップ本体21は、容器30から取り外される。
【0044】
このようにしてキャップ20が開栓された後、リング22は容器30のフランジ部13とラチェット爪15との間に設けられた円周溝部17内に残存する。この場合、口部11全周にわたって設けられた円周突部16によって、リング22は、ラチェット爪15を乗り越えて口部11から脱落することがない。
【0045】
このように本実施の形態によれば、口部11外周のうちラチェット爪15とフランジ部13との間に、口部11全周にわたってラチェット爪15間の領域(円周突部16)より内方へ引込む円周溝部17を設けている。これにより、キャップ20を開栓する際、小さい回転角度でキャップ本体21とリング22とを破断させることができるとともに、製造工程における搬送中に容器30がネックグリッパー60から落下することがない。さらにキャップ20の開栓後に、リング22がラチェット爪15を乗り越えて容器30の口部11から脱落することがない。
【0046】
また本実施の形態によれば、各ラチェット爪15は、口部11の外周壁面11bから外方に突出する円周突部16上に配置され、かつ円周突部16は、雄ねじ部14側からフランジ部13側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部16aを有する。これにより、閉栓の際、突起部28が円周突部16を容易に乗り越えるので、リング22を円周溝部17内に容易に収容することができるとともに、一旦円周溝部17内に収容されたリング22は円周溝部17から外れない。
【0047】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について図12乃至図16を参照して説明する。
ここで、図12は、本実施の形態によるプリフォームを示す正面図であり、図13は、本実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(図12のXIII−XIII線断面図)である。図14は、図12のXIV部拡大図であり、図15は、本実施の形態による容器および組合体を示す垂直断面図である。図16は、キャップ本体とリングとが破断された後における容器およびキャップを示す部分拡大断面図である。図12乃至図16に示す第2の実施の形態は、各ラチェット爪の下面が円周溝部の溝上面から離間している点が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図12乃至図16において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図12乃至図14に示すように、各ラチェット爪15の下面15kは、円周溝部17の溝上面17aから離間している。すなわち各ラチェット爪15の下面15kは、円周溝部17の溝上面17aより上方に位置している。
【0049】
また図14に示すように、円周突部16は、雄ねじ部14側からフランジ部13側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部16aと、傾斜部16aから下方に延びる垂直部16cとを有している。このうち垂直部16cの高さ方向の幅d3、すなわち各ラチェット爪15の下面15kと円周突部16の先端部16bとの距離d3は、0.1mm≦d3≦2mmとなることが好ましい。
【0050】
なお図14において、円周溝部17の幅d4、すなわち各ラチェット爪15の下面15kとフランジ部13の上面13aとの間隔d4は、2mm≦d4≦5mmとなることが好ましい。また円周溝部17の深さd5、すなわち円周突部16の先端部16bと円周溝部17の溝底面17bとの間の距離d5は、0.25mm≦d5≦1.5mmとなることが好ましい。
【0051】
次に、図15により本実施の形態による容器および組合体の構成について説明する。
【0052】
図15において、容器30は、図12乃至図14に示すプリフォーム10を2軸延伸ブロー成形することにより作製されるものである。この容器30は、キャップ20が装着される口部11と、プリフォーム本体12を延伸することにより形成された容器本体31と、口部11と容器本体31との間に形成されたフランジ部13とを有している。
【0053】
また図15に示すように、図6に示すキャップ20と上述した容器30とから、組合体40が構成される。
【0054】
このように本実施の形態によれば、各ラチェット爪15の下面15kは、円周溝部17の溝上面17aから離間しているので、開栓後、円周溝部17内に収容されたリング22が脱落することがない。すなわち図16に示すように、リング22が円周溝部17内に収容された状態で、リング22内面の突起部28が円周溝部17の溝上面17aに当接して係合するので、リング22が脱落することを防止することができる。
【0055】
(実施例)
次に、本発明の具体的実施例を説明する。
【0056】
まず図1に示すプリフォーム10および図12に示すプリフォーム10を以下の条件に基づいて射出成形により作製した(30個)。また比較例として、図18に示すプリフォーム110を同様の条件で作製した(30個)。
【0057】
射出材料:SHINPET 5015W
射出成形機:FE160(メーカ:日精樹脂工業)
【0058】
次に、図1に示す各プリフォーム10を以下の条件に基づいてブロー成形することにより、容器30(実施例1)を作製した。また、図12に示す各プリフォーム10を以下の条件に基づいてブロー成形することにより、容器30(実施例2)を作製した。さらに、同様にして各プリフォーム110(比較例)をブロー成形することにより、比較例としての容器を作製した。
【0059】
ブロー成形機:LB−01(SIG Corpoplast)
容器の重量:約21g
【0060】
次に、各容器(実施例1および実施例2の容器30ならびに比較例の容器、以下同様)にキャップ20を取付けた後、直ちに開栓した。これによりキャップ20のリング22がキャップ本体21から破断され、リング22は各容器に残存した。その後、これらの容器を10個ずつの組に分け、それぞれ3℃、22℃、40℃の条件下で1週間放置した。その後、各容器からリング22が脱落するか否かを確認する試験を行なった。この試験の方法は、京都技研製「AUTOMATIC TORQUE ANALYZER KE−10」の開栓・閉栓計を使用して、150N・cmの力で容器30にキャップ20を締め付け、同装置を使用して開栓したものである。
【表1】

【0061】
この結果、比較例としての容器は、全ての温度条件で全てのリング22が脱落したのに対して、実施例1の容器30および実施例2の容器30は、全ての温度条件でリング22の脱落は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプリフォームを示す正面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるプリフォームを示す上面図(図1のII方向矢視図)。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(図2のIII−III線断面図)。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるプリフォームを示す水平断面図(図1のIV−IV線断面図)。
【図5】図1のV部拡大図。
【図6】キャップの垂直断面図。
【図7】本発明の第1の実施の形態による容器および組合体を示す垂直断面図。
【図8】プリフォーム、容器、および組合体の製造方法を示す図。
【図9】容器を搬送するネックグリッパーを示す図。
【図10】キャップ本体とリングとが破断される前における、第1の実施の形態による容器の口部周囲を示す部分拡大断面図。
【図11】キャップ本体とリングとが破断された後における、第1の実施の形態による容器の口部周囲を示す部分拡大断面図。
【図12】本発明の第2の実施の形態によるプリフォームを示す正面図。
【図13】本発明の第2の実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(図12のXIII−XIII線断面図)。
【図14】図12のXIV部拡大図。
【図15】本発明の第2の実施の形態による容器および組合体を示す垂直断面図。
【図16】キャップ本体とリングとが破断された後における、第2の実施の形態における容器およびキャップを示す部分拡大断面図。
【図17】従来のプリフォームを示す正面図。
【図18】他の従来のプリフォームを示す正面図。
【図19】図18のXIX−XIX線断面図。
【符号の説明】
【0063】
10 プリフォーム
11 口部
11b 外周壁面
12 プリフォーム本体
13 フランジ部
14 雄ねじ部
15 ラチェット爪
15k 下面
16 円周突部
16a 傾斜部
17 円周溝部
17a 溝上面
20 キャップ
21 キャップ本体
22 リング
25 雌ねじ部
27 リング本体
28 突起部
30 容器
31 容器本体
40 組合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、プリフォーム本体と、口部とプリフォーム本体との間に形成されたフランジ部とを有するプリフォームにおいて、
口部外周に、キャップ内面の雌ねじ部に係合する雄ねじ部が形成され、
口部外周のうち雄ねじ部とフランジ部との間の位置に、キャップのリング内面の突起部に円周方向に係合してリングをキャップ本体から破断させるラチェット爪が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられ、
口部外周のうちラチェット爪とフランジ部との間に、口部全周にわたってラチェット爪間の領域より内方へ引込む円周溝部を設けたことを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
各ラチェット爪は、口部の外周壁面から外方に突出する円周突部上に配置されていることを特徴とする請求項1記載のプリフォーム。
【請求項3】
円周突部は、雄ねじ部側からフランジ部側に向けて徐々にその外径が拡大する傾斜部を有することを特徴とする請求項2記載のプリフォーム。
【請求項4】
各ラチェット爪の下面と円周溝部の溝上面とは、互いに同一平面上に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のプリフォーム。
【請求項5】
各ラチェット爪の下面は、円周溝部の溝上面から離間していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のプリフォーム。
【請求項6】
口部と、容器本体と、口部と容器本体との間に形成されたフランジ部とを有する容器において、
口部外周に、キャップ内面の雌ねじ部に係合する雄ねじ部が形成され、
口部外周のうち雄ねじ部とフランジ部との間の位置に、キャップのリング内面の突起部に円周方向に係合してリングをキャップ本体から破断させるラチェット爪が円周方向に所定間隔をおいて複数設けられ、
口部外周のうちラチェット爪とフランジ部との間に、口部全周にわたってラチェット爪間の領域より内方へ引込む円周溝部を設けたことを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−226831(P2009−226831A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77428(P2008−77428)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】