説明

プリフォームの射出成形装置

【課題】プリフォームを射出成形する際、コールドスラグの発生を低減し、生産性などを向上させることができるプリフォームの射出成形装置の提供を目的とする。
【解決手段】プリフォームの射出成形装置1は、ボトムインサート3、ノズルインサート4及びニードルバルブ5を有し、ニードルバルブ5が、先端側に、円柱状のストレート部51、及び、ノズルインサート4のテーパ孔41と対応するテーパ角を有する截頭円錐状のテーパ部52を有し、溶融樹脂109の射出が閉じられるとき、テーパ部52の先端側の部分が、ボトムインサート3のゲート用孔31に挿入され、ストレート部51の先端側の部分が、ノズルインサート4のテーパ孔41に挿入される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームの射出成形装置に関し、特に、プリフォームを射出成形する際、コールドスラグの発生を低減し、生産性などを向上させることができるプリフォームの射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルなどのプラスチック容器は、広く普及しており、その生産数量は膨大である。このため、製造工程において不良品の発生を低減することは、生産性を向上させるために重要であるとともに、資源やエネルギーを有効利用する観点からも重要である。
上記のプラスチック容器は、射出成形された有底筒状のプリフォームをブロー成形することによって製造される。プリフォームを射出成形する工程において、慢性的な不良の一つとして、コールドスラグが挙げられる。このため、コールドスラグの発生を低減するための様々な技術が研究開発されてきた。
なお、ここで、コールドスラグとは、プリフォームにおける次の外観不良の呼称とする。すなわち、射出前の溶融樹脂の一部が結晶化あるいは半固化してから射出成形された結果、プリフォームのゲート部近傍などにおいて、白い異物が混入したように見えたり樹脂表面が凹凸になるなどの外観不良である。コールドスラグが発生すると、プリフォームをブロー成形する工程において、不均一な変形が起こり、穴あきや外観不良、寸法不良となる。
【0003】
(従来例)
次に、特許文献1に記載されたプリフォームの射出成形装置について、図面を参照して説明する。
図3は、従来例にかかる射出成形装置の要部の概略断面図を示している。
また、図4は、従来例にかかる射出成形装置の要部の概略拡大断面図を示している。なお、図4において、溶融樹脂109を省略してある。
図3,4に示すように、プリフォームの射出成形装置100は、ボトムキャビティ金型101に取り付けられ、ゲート用孔171の形成されたボトムインサート107、このボトムインサート107と対向するようにノズル103に取り付けられ、テーパ孔181を有し、ボトムインサート107と直接的に面接触するノズルインサート108、及び、ノズルインサート108のテーパ孔181に挿入されるニードルバルブ105などを備えている。
【0004】
ボトムインサート107は、ほぼ円板状の部材であり、中央にゲート102と連通するゲート用孔171が形成されている。このボトムインサート107は、ボトムキャビティ金型101に埋設されており、また、熱伝導率が低く機械的強度の高い材料(たとえば、チタンやチタン合金など)からなっている。また、ゲート用孔171の射出機側の直径D(図示せず)は、ニードルバルブ105の先端面の直径dとほぼ同じとしてある。
【0005】
ノズルインサート108は、ほぼ円板状の部材であり、中央にテーパ孔状の流路132と連通するテーパ孔181が形成されている。このノズルインサート108は、ノズル103の先端部に突設されており、また、熱伝導率が低く機械的強度の高い材料(たとえば、チタンやチタン合金など)からなっている。さらに、流路132とテーパ孔181は、ほぼ段差がないように連通しており、溶融樹脂109がスムースに流れるように、テーパを付けてある。また、ノズル103は、ヒータ106によって加温されている。
【0006】
また、テーパ孔181の射出機側の直径D(図示せず)は、流路132のプリフォーム側の直径とほぼ同じとしてある。
また、テーパ孔181のテーパ角を流路132のテーパ角とほぼ同じにしてある。
さらに、図示してないが、テーパ孔181のプリフォーム側の端部は、通常、面取り加工が施されている。
【0007】
ニードルバルブ105は、ほぼ円柱状としてあり、エアシリンダ(図示せず)などにより往復移動方向に移動する。このニードルバルブ105は、先端面の直径dをテーパ孔181のプリフォーム側の直径D(図示せず)とほぼ同じとしてあり、プリフォーム側に移動されると、テーパ孔181を塞ぎ、溶融樹脂109の射出が閉じられる。
また、ニードルバルブ105は、プリフォーム側に移動される際、ストッパ(図示せず)などにより、所定の位置(すなわち、ニードルバルブ105がテーパ孔181を塞ぎ、溶融樹脂109の射出が閉じられる位置)まで移動する。
【0008】
上記構成の射出成形装置100は、ボトムインサート107とノズルインサート108が直接的に面接触する状態で、ニードルバルブ105が射出機側に移動されると、溶融樹脂109が、流路131、流路132、テーパ孔181、ゲート用孔171及びゲート102を通って、ボトムキャビティ金型101とコア金型104とで挟まれた空間に射出され、冷却されてプリフォームを成形する。
ここで、ホット側のノズルインサート108とコールド側のボトムインサート107は、直接的に面接触しているが、ノズルインサート108及びボトムインサート107の材料として、熱伝導率が低く機械的強度の高い材料が用いられている。これにより、ノズルインサート108がボトムインサート107に接触した際、断熱効果によりテーパ孔181内の溶融樹脂109が、冷却により結晶化することなくボトムキャビティ金型101に供給され、コールドスラグの発生を低減する。
【0009】
なお、溶融樹脂109の射出終了後、プリフォームのゲート部の樹脂を固化するため、ボトムインサート107は、冷却されている。そして、射出された溶融樹脂109が固化すると、プリフォームは、離型される。
また、射出成形装置100は、射出終了からプリフォームを取り出すまでの間、ノズルインサート108とボトムインサート107が接触しているので、ノズルインサート108は、ボトムインサート107により冷却される状態にある。一方、ノズルインサート108のホットランナー側の樹脂は、次の射出に備えて溶融状態に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−283396号公報
【特許文献2】特開2002−1802号公報
【特許文献3】特開2002−79570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した射出成形装置100は、ホット側のノズルインサート108とコールド側のボトムインサート107が、直接的に(断熱材などを介することなく)面接触するので、ノズルインサート108の先端付近(ボトムインサート107との接触面付近)では温度が急激に低下し、また、ニードルバルブ105の先端部においても先端側(プリフォーム側)ほど温度が低下する状態となる。そして、プリフォームにコールドスラグが発生し、生産性などを向上させることができないといった問題があった。
【0012】
なお、特許文献2、3の技術は、二軸延伸ポリエステル容器の製法の技術であり、本発明に関連する技術ではあるものの、たとえば、ノズルチップ先端部に断熱材層を備えており、本発明とは基本的な構成が異なっていた。したがって、特許文献2、3の技術は、上記の課題を解決することができない技術であった。
【0013】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、プリフォームを射出成形する際、コールドスラグの発生を低減し、生産性などを向上させることができるプリフォームの射出成形装置の提供を目的とする。
【0014】
なお、製造工程における慢性不良は、通常、様々な要因が関係しており、慢性不良のなかには、不良率を効果的に低減することがほぼ不可能と思われるものもある。慢性不良であるコールドスラグも同様に、様々な要因(たとえば、ニードルバルブ105を閉じるタイミング、ノズルインサート108、ニードルバルブ105及びボトムインサート107の温度や形状など)が複雑に関係している。また、コールドスラグの発生率は、使用する樹脂の種類によっても異なり、さらに、同じ種類の樹脂であっても部分的な融点の違い、混練程度の違い、結晶性の違いなどにより影響されるものである。
【0015】
本発明者らは、鋭意、研究及び試験などを行うことにより、コールドスラグを効果的に低減することが可能な技術を確立したものである。すなわち、図4に示すように、ニードルバルブ105が閉じると(プリフォーム側に移動すると)、テーパ孔181に存在する溶融樹脂109(特に、テーパ孔181の先端側に存在する溶融樹脂109)の温度は、ノズルインサート108の温度の低下とともに低下する。そして、本発明者らは、温度の低下した溶融樹脂109が、部分的に固化や結晶化し、次の射出において、プリフォームの外表面近くかつゲート周辺部に移動し、白くなり、その周辺の樹脂流れを乱すため、コールドスラグが発生すると推定し、本発明を想到したものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のプリフォームの射出成形装置は、ボトムキャビティ金型のゲートに取り付けられ、ゲート用孔の形成されたボトムインサートと、このボトムインサートと面接触するようにノズルに取り付けられ、テーパ孔を有するノズルインサートと、このノズルインサートのテーパ孔内を進退するニードルバルブを有するプリフォームの射出成形装置において、前記ニードルバルブの先端側に、円柱状のストレート部と前記ノズルインサートのテーパ孔と対応するテーパ角を有する截頭円錐状のテーパ部を形成し、溶融樹脂の前記ボトムキャビティ金型への射出を停止するときに、前記ニードルバルブを前進させて、前記テーパ部の先端側の部分を前記ノズルインサートのテーパ孔から突出させ、前記ストレート部の先端側の部分を前記ノズルインサートのテーパ孔に挿入する構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプリフォームの射出成形装置によれば、プリフォームを射出成形する際、コールドスラグの発生を低減し、生産性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる射出成形装置の要部の概略拡大断面図を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる射出成形装置の要部の寸法を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図3】図3は、従来例にかかる射出成形装置の要部の概略断面図を示している。
【図4】図4は、従来例にかかる射出成形装置の要部の概略拡大断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[プリフォームの射出成形装置の実施形態]
図1は、本発明の実施形態にかかる射出成形装置の要部の概略拡大断面図を示している。なお、図1において、溶融樹脂109を省略してある。
図1において、本実施形態のプリフォームの射出成形装置1は、上述した従来例と比べると、ボトムキャビティ金型101、ボトムインサート107、ノズルインサート108及びニードルバルブ105の代わりに、ボトムキャビティ金型2、ボトムインサート3、ノズルインサート4及びニードルバルブ5を備えた点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、従来例とほぼ同様としてある。
したがって、図1において、図4と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、上記のプリフォームは、単層仕様としてある。また、ブロー成形された際の容器の容量、用途、形状などは、特に限定されるものではない。
【0020】
(ボトムキャビティ金型)
ボトムキャビティ金型2は、上述したボトムキャビティ金型101と比べると、ゲート21の直径がゲート102の直径より大きい点などが相違する。なお、他の構成は、ボトムキャビティ金型101とほぼ同様としてある。
【0021】
(ボトムインサート)
ボトムインサート3は、上述したボトムインサート107と比べると、ゲート用孔31の直径がゲート用孔171の直径より大きい点などが相違する。また、他の構成は、ボトムインサート107とほぼ同様としてある。
なお、ボトムインサート3やノズルインサート4の材料は、通常、熱伝導率が低く機械的強度の高い材料(たとえば、チタンやチタン合金など)が用いられるが、特に限定されるものではなく、たとえば、鋼などでもよい。
【0022】
(ノズルインサート)
ノズルインサート4は、上述したノズルインサート108とほぼ同様としてある。ただし、テーパ孔41の直径(プリフォーム側の直径)Dなど(図2参照)は、ニードルバルブ5の形状などに応じて設定される。
なお、テーパ孔41のテーパ角αは、流路132のテーパ角αとほぼ同じとしてある。
また、流路132とテーパ孔41との間に、段差が生じているが、この構造に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、テーパ孔41の射出機側を面取りし、流路132とテーパ孔41を滑らかに連通させる構造としてもよい。
さらに、図示してないが、テーパ孔41のプリフォーム側の端部は、通常、面取り加工が施されており、面取り加工の形状などは特に限定されるものではない。
【0023】
(ニードルバルブ)
ニードルバルブ5は、上述したニードルバルブ105と比べると、先端側(プリフォーム側)に、ほぼ円柱状のストレート部51、及び、ノズルインサート4のテーパ孔41と対応するテーパ角βを有するほぼ截頭円錐状のテーパ部52を有する点などが相違する。また、他の構成は、ニードルバルブ105とほぼ同様としてある。
ストレート部51は、直径がdの円柱状としてあり、直径dは、テーパ孔41の直径(プリフォーム側の直径)D及びテーパ孔41の直径(射出機側の直径)Dに対して、D<d<Dといった関係にある。これにより、溶融樹脂109の射出が閉じられるとき、すなわち、図1に示すように、ニードルバルブ5が閉じると(プリフォーム側に移動すると)、ストレート部51の先端側の部分(ストレート部51とテーパ部52の境界の段の部分(適宜、段と略称する。))が、ノズルインサート4のテーパ孔41に挿入される。
【0024】
また、テーパ部52は、ノズルインサート4のテーパ孔41と対応するテーパ角βを有する截頭円錐状としてある。すなわち、テーパ部52は、上面の直径がdであり、下面の直径がdであり、テーパ角がβである截頭円錐状である。また、直径d及び直径dは、テーパ孔41の直径(プリフォーム側の直径)Dに対して、d<D<dといった関係にある。これにより、溶融樹脂109の射出が閉じられるとき、すなわち、図1に示すように、ニードルバルブ5が閉じると(プリフォーム側に移動すると)、テーパ部52の先端側の部分が、ノズルインサート4のテーパ孔41から突き出る。
さらに、テーパ部52のテーパ面のテーパ角βは、テーパ孔41のテーパ角αとほぼ同じである。
【0025】
上述したテーパ孔41、ストレート部51及びテーパ部52を有する射出成形装置1は、ニードルバルブ5が閉じると(プリフォーム側に移動すると)、テーパ孔41のプリフォーム側においては、テーパ部52がテーパ孔41とほぼ接触し、テーパ部52とテーパ孔41との間に、ほとんど溶融樹脂109が存在しない。すなわち、この領域(温度の低下する領域)に、溶融樹脂109をほぼ存在させないことにより、結晶化して白くなる樹脂の発生をほぼ排除し、コールドスラグの発生を大幅に低減するものと推定される。
また、ニードルバルブ5が閉じると、テーパ孔41の射出機側においては、ストレート部51とテーパ孔41との間に、溶融樹脂109が存在するが、ノズルインサート4の射出機側の温度は、ノズルインサート4のプリフォーム側の温度より高温であり、また、ストレート部51の温度は、テーパ部52の温度より高温である。これにより、この領域の溶融樹脂109は、高温での溶融状態が維持されるので、コールドスラグの発生を大幅に低減するものと推定される。
このように、射出成形装置1は、射出成形装置100と比べると、テーパ部52とテーパ孔41との間の溶融樹脂109の量をほとんど存在しないレベルまで減少させ、かつ、ストレート部51とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の温度低下を効果的にかつ確実に防ぐことにより、コールドスラグの発生を大幅に低減するものと推定される。
【0026】
ここで、好ましくは、 テーパ孔41のテーパ角をα°とし、テーパ部52のテーパ角をβ°としたとき、α°+0.5°<β°<α°+2°としてもよい。このようにすると、テーパ孔41とテーパ部52との間に、微小な隙間が形成され、この隙間に溶融樹脂109が入るため、ニードルバルブ5とノズルインサート4のかじりやダメージ(損傷)などを効果的に防止することができる。
なお、上記の数値限定の理由は、テーパ角β°が、α°+0.5°以下であると、ニードルバルブ5とノズルインサート4のかじりやダメージ(損傷)などを効果的に防止することができなくなるからである。また、テーパ角β°がα°+2°以上であると、テーパ部52とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の量が多くなりコールドスラグが発生するおそれがあるからである。
【0027】
また、好ましくは、テーパ部52の端面に凸部53を形成するとよい。この凸部53は、ほぼ円錐形状としてある。このようにすると、プリフォームを離型する際、樹脂の糸引きを防止することができる。
なお、凸部53の形状は、上記に限定されるものではなく、たとえば、湾曲した形状(球形状の一部からなる形状)としてもよい。
【0028】
また、好ましくは、テーパ部52の先端側の部分(プリフォーム側の部分)が、ボトムインサート3のゲート用孔31に挿入される際、テーパ部52のゲート用孔31への突き出し量(h、図2参照)が、0.1mm以上1.5mm以下であることよい。このようにすると、テーパ部52とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の温度低下を抑制でき、コールドスラグの発生を低減することができる。
なお、上記の数値限定の理由は、hが、0.1mm未満であると、溶融樹脂109を確実に切れなくなるおそれがあるとともに、テーパ部52とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の温度が低下してコールドスラグが発生する危険がある。また、hが、1.5mmを超えるとゲート用孔31中の溶融樹脂が冷却不足となり糸引きが発生するおそれがある。
【0029】
また、好ましくは、ストレート部51の先端側の部分(プリフォーム側の部分)が、ノズルインサート4のテーパ孔41に挿入される際、ノズルインサート4の接触面(ボトムインサート3との接触面)からストレート部51の先端側の仮想端面までの距離h(図2参照)が、0.5mm以上3.5mm以下であるとよく、より好ましくは、0.6mm以上2.5mm以下であるとよい。このようにすると、コールドスラグの発生を低減することができる。
なお、上記の数値限定の理由は、hが、0.5mm未満であると、テーパ孔41とテーパ部52の嵌合がフィットせず、樹脂切れ不良(糸引き)を発生させるおそれがあるからである。また、hが、3.5mmを超えると、テーパ部52とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の温度低下が進みコールドスラグが発生するおそれがあるからである。
【0030】
また、ニードルバルブ5は、ストレート部51の射出機側に、直径dより大きい直径dの円柱部54(図1参照)を有しており、ニードルバルブ5の機械的強度を向上させてある。このニードルバルブ5は、エアシリンダ(図示せず)などにより往復移動方向に移動し、プリフォーム側に移動されると、テーパ孔41を塞ぎ、溶融樹脂109の射出が閉じられる。
また、ニードルバルブ5は、プリフォーム側に移動される際、ストッパ(図示せず)などにより、所定の位置まで移動する。
【0031】
上記構成の射出成形装置1は、ボトムインサート3とノズルインサート4が直接的に面接触する状態で、ニードルバルブ5が射出機側に移動されると、溶融樹脂109が、流路131、流路132、テーパ孔41、ゲート用孔31及びゲート21を通って、ボトムキャビティ金型2とコア金型104とで挟まれた空間に射出され、プリフォームを成形する。
また、図1に示すように、ニードルバルブ5が閉じると(プリフォーム側に移動すると)、テーパ部52のプリフォーム側の部分が、ボトムインサート3のゲート用孔31に挿入され、テーパ部52の射出機側の部分が、テーパ孔41とほぼ接触し、ストレート部51のプリフォーム側の部分が、ノズルインサート4のテーパ孔41に挿入される。これにより、溶融樹脂109の射出が閉じられる。
【0032】
ここで、テーパ部52のプリフォーム側の部分が、ボトムインサート3のゲート用孔31に挿入されることにより、テーパ部52とテーパ孔41との間に存在する溶融樹脂109の温度低下を抑制でき、コールドスラグの発生を低減することができる。
また、テーパ部52の射出機側の部分が、テーパ孔41とほぼ接触することにより、テーパ部52とテーパ孔41との間に、ほとんど溶融樹脂109が存在しない。すなわち、この領域に結晶化して白くなる樹脂がほとんど発生しないことにより、コールドスラグの発生を大幅に低減するものと推定される。
さらに、ストレート部51のプリフォーム側の部分が、ノズルインサート4のテーパ孔41に挿入されることにより、ストレート部51とテーパ孔41との間に存在する高温の溶融樹脂109の量が多くなるため溶融樹脂109の温度低下を抑制でき、コールドスラグの発生を低減することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のプリフォームの射出成形装置1によれば、プリフォームを射出成形する際、コールドスラグの発生を低減し、生産性を大幅に向上させることができる。
【0034】
以上、本発明のプリフォームの射出成形装置について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係るプリフォームの射出成形装置は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1、100 射出成形装置
2 ボトムキャビティ金型
3 ボトムインサート
4 ノズルインサート
5 ニードルバルブ
21 ゲート
31 ゲート用孔
41 テーパ孔
51 ストレート部
52 テーパ部
53 凸部
54 円柱部
101 ボトムキャビティ金型
102 ゲート
103 ノズル
104 コア金型
105 ニードルバルブ
106 ヒータ
107 ボトムインサート
108 ノズルインサート
109 溶融樹脂
131 流路
132 流路
171 ゲート用孔
181 テーパ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムキャビティ金型のゲートに取り付けられ、ゲート用孔の形成されたボトムインサートと、このボトムインサートと面接触するようにノズルに取り付けられ、テーパ孔を有するノズルインサートと、このノズルインサートのテーパ孔内を進退するニードルバルブを有するプリフォームの射出成形装置において、
前記ニードルバルブの先端側に、円柱状のストレート部と前記ノズルインサートのテーパ孔と対応するテーパ角を有する截頭円錐状のテーパ部を形成し、
溶融樹脂の前記ボトムキャビティ金型への射出を停止するときに、前記ニードルバルブを前進させて、前記テーパ部の先端側の部分を前記ノズルインサートのテーパ孔から突出させ、前記ストレート部の先端側の部分を前記ノズルインサートのテーパ孔に挿入することを特徴とするプリフォームの射出成形装置。
【請求項2】
前記ニードルバルブが、前記ストレート部の射出機側に円柱部を有しており、前記ストレート部の直径が前記円柱部の直径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のプリフォームの射出成形装置。
【請求項3】
前記テーパ部の端面に凸部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリフォームの射出成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−111067(P2012−111067A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259970(P2010−259970)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】