説明

プリント回路基板構造体、放電ランプ点灯装置および照明装置

【課題】2枚のプリント回路基板を交差するように組合せて両者の接続パターンをはんだにより電気接続した場合の接続強度が向上するようにしたプリント回路基板構造体を提供する。
【解決手段】第1のプリント回路基板の挿通孔162に第2のプリント回路基板30の接続片302が貫通した状態で第1および第2のプリント回路基板16,30の接続パターン164,304間にはんだSを塗布して電気的な接続が行われる。このとき挿通孔162内部の接続パターン164に形成された溝部165にはんだが流入して挿通孔162内の接続パターンにも良好にはんだが付着され、はんだの被着面積が大きくなって、第1および第2のプリント回路基板16,30の接続強度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の回路基板を組合せて回路部品の電気接続を図ったプリント回路基板構造体およびこの構造体を備えた放電ランプ点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント回路基板の小形化や回路ユニットの共通化のために複数の回路基板を組合せて構成されたプリント回路基板構造体が知られている。複数の回路基板を3次元的に組合せると、プリント回路基板の幅寸法を抑えることができ、小形化が図れる。また、回路ユニット毎にプリント回路基板を構成し、回路ユニットの組合せを可変とすることで多品種のプリント回路基板構造体を製造することができ、回路ユニットも共通化できるためコスト的にもメリットがある。
【0003】
プリント回路基板構造体は、各プリント回路基板に接続コネクタをそれぞれ取付け、この接続コネクタ同士を接続することで機械的に接続するようにした構成が知られている。しかし、接続コネクタを設けた場合にはコネクタの実装スペースが必要となってその分回路基板が大形化するとともに、接続コネクタの部品コストも無視できない。
【0004】
そこで、接続コネクタを必要とせず、各プリント回路基板に形成された配線パターンの一部をはんだによって接続することで各プリント回路基板を電気的および機械的に接続した構成が知られている(特許文献1および2参照。)このプリント回路基板構造体は、2枚のプリント回路基板のうち、一方の基板に挿通溝を形成し、他方の基板に挿通溝を貫通する接続片を形成するとともに、一方の基板に挿通溝および他方の基板の接続片に接続パターンを形成して、一方の基板の挿通溝に他方の基板の接続片を貫通させたときに近接される接続パターンの間にはんだを塗布して2枚のプリント回路基板間の電気的接続を行うようにしたものである。
【特許文献1】特開平7−273444号公報
【特許文献2】特開2006−237176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献に記載されたプリント回路基板構造体は、各プリント回路基板に形成された接続パターン同士が交差するように近接して外方へ露出する部分のみにはんだが付着されるだけであるので、はんだの付着面積が限られてしまい、十分な接続強度を確保することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、2枚のプリント回路基板を交差するように組合せて両者の接続パターンをはんだにより電気接続した場合の接続強度が向上するようにしたプリント回路基板構造体およびこの構造体を備えた放電ランプ点灯装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のプリント回路基板構造体は、挿通孔が形成された基板部、この基板部に実装された回路部品、基板部に形成された配線パターン、挿通孔の内部にスルーホール状に形成されて配線パターンの一部に接続された接続パターンおよびこの接続パターンに深さ方向に沿って形成された溝部を有する第1のプリント回路基板と;この第1のプリント回路基板の挿通孔への挿入によって第1のプリント回路基板に対して直交方向に貫通する接続片が一端側に一体形成された基板部、この基板部に実装された回路部品、基板部に形成された配線パターン、この配線パターンの一部に接続されて接続片に形成された接続パターンを有する第2のプリント回路基板と;を具備しており、第1のプリント回路基板の挿通孔に第2のプリント回路基板の接続片が挿入されて貫通した状態で第1および第2のプリント回路基板の接続パターン間にはんだ付けを行うことで電気的な接続が行われることを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1記載のプリント回路基板構造体において、第2のプリント回路基板の接続片には貫通孔が形成されており、この接続片に形成された接続パターンがこの貫通孔の内部にスルーホール状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1または2記載のプリント回路基板構造体において、第1のプリント回路基板の板厚寸法aが第2のプリント回路基板の板厚寸法bよりも大きいことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1または2記載のプリント回路基板構造体において、第1および第2のプリント回路基板には、一方に放電ランプ点灯回路の主回路部が、他方にこの主回路部を制御する制御回路部が配設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の放電ランプ点灯装置は、放電ランプ点灯回路として機能する請求項4記載のプリント回路基板構造体と;このプリント回路基板構造体を収容するケースと;このケースの外側に設けられ、プリント回路基板構造体と電気的に接続された接続部と;を具備していることを特徴とする。
【0012】
請求項6の照明器具は、請求項5記載の放電ランプ点灯装置と;この放電ランプ点灯装置が収容された器具本体と;この器具本体に装着された放電ランプと;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプリント回路基板構造体は、第1のプリント回路基板の挿通孔に第2のプリント回路基板の接続片を挿入して貫通した状態で第1および第2のプリント回路基板の接続パターンにはんだ付けを行うと、挿通孔内部の接続パターンに形成された溝部にはんだが流入して挿通孔内の接続パターンにも良好にはんだが付着される。これにより、はんだの被着面積が大きくなり、第1および第2のプリント回路基板の接続強度を向上させることができる。
【0014】
また、第2のプリント回路基板の接続片に貫通孔を形成すると、この貫通孔にもはんだが流入してはんだの被着面積がさらに大きくなり、第1および第2のプリント回路基板の接続強度をより一層向上させることができる。
【0015】
さらに、第1のプリント回路基板の板厚寸法aが第2のプリント回路基板の板厚寸法bよりも大きいので、第1のプリント回路基板の横方向および縦方向の線膨張率と第2のプリント回路基板との線膨張率の差を小さくすることが可能となり、熱膨張によってはんだ接続部にかかるストレスを軽減させることができる。
【0016】
さらにまた、第1および第2のプリント回路基板には、一方に放電ランプ点灯回路の主回路部を、他方にこの主回路部を制御する制御回路部を配設することによって、ノイズが発生しやすく、発熱量が大きい放電ランプ点灯回路の主回路部から弱電系の電子回路から構成されている制御回路部を離間させることができるので、ノイズや熱の影響を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1および図2に本発明の第1の実施形態であるプリント回路基板構造体を示す。図1(a)はプリント回路基板構造体の要部を示す一部切欠き斜視図、図1(b)は第1のプリント回路基板の要部を拡大した一部切欠き斜視図、図2はプリント回路基板構造体の接続パターンの断面図をそれぞれ示す。
【0019】
第1のプリント回路基板16は、厚さ約1.6mmの平板状のプリント配線基板部161を有し、この基板部161の所望の位置に表裏面を貫通する挿通孔162が長さ60mm、幅1.8mmの寸法で形成されている。基板部161には、半導体スイッチやコイルインダクタ、コンデンサなどの図示しない回路部品が実装されており、この回路部品を接続する配線パターン163が基板部の少なくとも一面側に形成されている。
【0020】
挿通孔162の内部には、スルーホール状に形成されて配線パターン163に接続された接続パターン164が形成されている。接続パターン164には、挿通孔162の貫通深さ方向に沿って接続パターン164のほぼ中央に基板部161の表裏面を貫通するように連続して形成された溝部165が形成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、接続パターン164および溝部165が挿通孔162の内側で対向する一対の辺縁面のそれぞれに形成されているが、どちらか一方の辺縁面のみに接続パターン164および溝部165が形成されたものであってもよい。しかし、はんだによる接続強度を高くするためには、本実施形態のように一対の辺縁面の両者に接続パターン164および溝部165を形成するのが好ましい。
【0022】
第2のプリント回路基板30は、厚さ約1.6mmの平板状のプリント配線基板部301を有し、この基板部301の一端側(下端縁)から一体的に突出する接続片302が形成されている。この接続片302の幅寸法は約60mmであり、基板部301の一端側からの突出長は約7mmである。接続片302は、第1のプリント回路基板16の挿通孔162への挿入によって第1のプリント回路基板16に対して直交方向に貫通する。
【0023】
第2のプリント回路基板30の基板部301には、半導体集積回路30aや抵抗、チップコンデンサなどの面実装タイプの回路部品が実装されており、この回路部品を接続する配線パターン303が基板部301の少なくとも一面側に形成されている。
【0024】
第2のプリント回路基板30の接続片302には、配線パターン303に接続された接続パターン304が形成されている。この配線パターン304は、接続片302が第1のプリント回路基板16の挿通孔162へ貫通したときに、第1のプリント回路基板16の接続パターン164と同じ位置に配置されるように形成されている。この接続パターン304のほぼ中央部分には、接続片302の厚み方向に貫通する貫通孔としてのスルーホール305が形成されており、このスルーホール305の内面にも接続パターン304が連続的に形成されている。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。第1のプリント回路基板16の挿通孔162には、第2のプリント回路基板30の接続片302が挿入され、貫通した状態で第1および第2のプリント回路基板の接続パターン164、304のそれぞれにはんだSを被着して、電気的、機械的な接続が行われる。このとき、挿通孔162内部の接続パターン164に形成された溝部165にはんだSが流入し、挿通孔162内の接続パターンにも良好にはんだSが付着される。したがって、はんだSの被着面積が大きくなり、第1および第2のプリント回路基板16,30の接続強度を向上させることができる。
【0026】
また、第2のプリント回路基板30の接続片302に貫通孔としてのスルーホール305が形成されているので、このスルーホール305にもはんだSが流入することにより、はんだSの被着面積がさらに大きくなり、第1および第2のプリント回路基板16、30の接続強度をより一層向上させることができる。
【0027】
さらに、第1および第2のプリント回路基板には、一方に放電ランプ点灯回路の主回路部を、他方にこの主回路部を制御する制御回路部を配設することによって、ノイズが発生しやすく、発熱量が大きい放電ランプ点灯回路の主回路部から弱電系の電子回路から構成されている制御回路部を離間させることができるので、ノイズや熱の影響を軽減することができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図3および図4は、第2の実施形態を示し、図3は放電ランプ用点灯装置の概略分解斜視図、図4は図3のIII−III線断面図である。
【0029】
放電ランプ用点灯装置1は、ケース2、点灯装置本体3、防水パッキン4および端板5を有して構成されている。ケース2は、例えばアルミニウム(Al)等の導電性金属材料により押し出し成形されたケース本体6およびケース蓋体7からなっている。ケース本体6は、両端側に開口8,8、上部に長手方向に沿う開口9および中空を有する断面略コ字状に形成され、上部端面に長手方向に沿って凹溝10,10が形成されているとともに、外面6aに長手方向に沿って複数の放熱フィン11が形成されている。
【0030】
また、ケース蓋体7は、断面略円弧状に形成され、長手方向両端部にケース本体6の凹溝10,10に嵌入される凸部12,12が長手方向に沿って形成されているとともに、内面7bに長手方向に沿って内部フィン13がそれぞれ複数形成されている。内部フィン13は、表面積が広くなるように長方形状に形成され、ケース蓋体7の内面7bからケース2の内部に突出している。
【0031】
そして、ケース本体6の凹溝10,10にケース蓋体7の凸部12,12が嵌入したときに、ケース本体6およびケース蓋体7は一体化されて、角筒状のケース2が形成される。このとき、凹溝10および凸部12の箇所からケース2内に雨水や湿気が侵入しないように、凹溝10および凸部12の間が隙間なく形成されている。そして、ケース本体6の外面6aおよび内面6bとケース蓋体7の外面7aおよび内面7bは、それぞれ防錆のためのアルマイト15が形成されており、このアルマイト15により黒色に着色されている。
【0032】
点灯装置本体3は、回路基板16およびこの回路基板16に実装された放電ランプを高周波点灯させる点灯回路17の電子部品および回路部品等を備えて形成されている。例えば、電界効果トランジスタ(FET)、ダイオード、ノイズフィルタ用のコンデンサおよびインダクタ、全波整流器、平滑用コンデンサ、突入電流防止用の抵抗またはインダクタ、チョークバラスト、直流カット用コンデンサ、共振用コンデンサ、共振用インダクタ、トランスおよびサイリスタ等のスイッチング素子などを備えている。
【0033】
第1のプリント回路基板16は長方形状の例えばガラスエポキシ材やポリブチレンテレフタレート(PBT)材などからなり、ケース本体6の内面6bに設けられた凹溝18に挿入されている。凹溝18の両端部は、ケース2の両端側の開口8,8に臨んで開口している。第1のプリント回路基板16は、ケース2の開口8,8のいずれか一方側から凹溝18に挿入される。点灯回路17は、放電ランプを高周波点灯させる周知の回路で形成されている。そして、放電ランプを点灯させているとき、点灯回路17の電子部品および回路部品等は発熱する。この発熱によりケース2の内部温度が上昇する。
【0034】
防水パッキン4,4は、ケース2の長手方向と直交する断面の略外形の大きさに形成され、ケース2の開口8,8において、端板5,5によりケース2の端面6c,7cに密着される。これにより、ケース2の内部に水分や湿気が侵入しにくくなる。また、回路基板16の両端部が凹溝18の両端部に位置するようになり、第1のプリント回路基板16は、凹溝18での移動が制限され、ほとんど移動しなくなるか、移動範囲が小さくなる。こうして、点灯装置本体3は、ケース2に収納されている。
【0035】
そして、端板5,5は、防水パッキン4,4と略同一の大きさに形成され、防水パッキン4,4を介してケース2の両端側の端面6c,7cに開口8,8を閉塞するようにそれぞれ配設される。すなわち、ケース2には、端面6c,7cに臨むねじ部19が複数設けられており、ねじ20が端板5,5に形成された複数の孔21をそれぞれ挿通し、防水パッキン4,4のねじ貫通部22を貫通して、ねじ部19に螺着される。これにより、ケース2は、防水形に形成される。
【0036】
そして、一方の端板5には挿通孔23,23が形成され、一方の防水パッキン4にはリード線貫通部24,24が形成されている。そして、点灯装置本体3の入力端子に接続されていて、外部電源に接続される図示しない入力リード線、点灯装置本体3の出力端子に接続されていて、放電ランプの電極側に接続される図示しない出力リード線および図示しないアース線が防水パッキン4のリード線貫通部24,24を貫通し、端板5の挿通孔23,23から外部に引き出されている。
【0037】
点灯回路17は、複数のFET14,14,…や高圧トランス29a、電解コンデンサ29b等を備え、比較的大電流が流れ、発熱量が多い大電流回路部29と、IC(集積回路)30aや抵抗、コンデンサ、小信号トランジスタ等を備えた第2のプリント配線基板30に配設された制御回路部を具備しており、これら大電流回路部29と第2のプリント配線基板30の制御回路部とは、ケース2内の短手方向両側にそれぞれ区分して配設し、かつケース2の長手方向に沿って並設されている。
【0038】
複数のFET14,14からなるスイッチング素子等の発熱部品17cは、アルミニウム製等の放熱板31に取付用ねじ32により取り付けられている。放熱板31は、ケース2の内面6bの一側面の内側にて、ケース2の長手方向に延在し、長手方向に長い細長形状の平板により形成されており、放熱板31とケース2の内側面との間には所要の間隙gが形成されている。
【0039】
ケース2は、その内面6bの一側面6bには、その横方向内方へ突出する角柱状の凸部2a,2bをそれぞれ一体に突設しており、これら凸部2a,2bの内端に放熱板31の一側面を当接させている。各凸部2a,2bは図3中上下方向に所要大の間隙2bを置いてケース2の長手方向のほぼ全長に亘って形成されている。この間隙2bにはFET14やトランジスタ等の発熱部品17cを放熱板31に取り付ける取付ねじ32の軸先端部32aが突出し、このねじ軸先端部32aと凸部2aが干渉しないようになっている。
【0040】
また、放熱板31は図3中、上下方向に所要の間隔を置いてケース2に配設された放熱板固定ねじ33,33によりケース2に固定されている。各固定ねじ33はケース2の図3中右側面の外面6aからこのケース2の図3中右側面の挿通孔2c,2cを挿通して、放熱板31に形成されたねじ穴(雌ねじ)31aにねじ込まれて放熱板31をケース2の凸部2a,2b上に固定している。これら上下一対の放熱板固定ねじ33,33はケース2の長手方向に所要の間隔を置いて複数対配設されている。
【0041】
点灯装置本体3の入力端子27a,27bに入力線27を介して外部電源が供給されると、点灯回路17が動作し、出力端子28a,28bから高周波電圧が出力される。この高周波電圧が図示しない放電ランプの電極間に印加され、放電ランプが点灯する。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施形態であるプリント回路基板構造体の要部を示す一部切欠き斜視図である。なお、図1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
第3の実施形態のプリント回路基板構造体は、第1の実施形態と比較して、第1のプリント回路基板16の板厚寸法aと第2のプリント回路基板30の板厚寸法bとが異なっている点が相違している。
【0044】
すなわち、第3の実施形態のプリント回路基板構造体では、第1のプリント回路基板16の平板状プリント配線基板部161の板厚寸法aは約1.6mmであるのに対し、第2のプリント回路基板30の基板部301の板厚寸法bは約0.8mmであって、a=2bの関係となっている。半導体集積回路30aや抵抗、チップコンデンサなどの面実装タイプの回路部品が実装されており、この回路部品を接続する配線パターン303が基板部301の少なくとも一面側に形成されている。
【0045】
一般的にプリント回路基板の線膨張率は、平面方向(縦および横方向)と厚さ方向とでは厚さ方向の方が2倍以上大きい。また、プリント回路基板の板厚寸法が大きくなるほど膨張度合いが大きくなる。このため、挿入孔162が形成された第1のプリント回路基板16が挿入孔162に挿入固定された第2のプリント回路基板30の厚さ方向の熱膨張によって受ける応力は大きい。この応力が大きいと、はんだ接続部にかかるストレスによってはんだ接続部にクラックが発生し、電気的または機械的な接続が低下するおそれがある。
【0046】
このため、第2のプリント回路基板30の板厚寸法bを小さくし、熱膨張の度合いを極力小さくすることによってはんだ接続部にクラックが発生を軽減することが可能となる。この効果を得るには、板厚寸法aおよびbの関係を、0.3≦b/a≦0.8の範囲とするのが好ましい。
【0047】
本実施形態のプリント回路基板構造体によれば、第1のプリント回路基板16の板厚寸法aが第2のプリント回路基板30の板厚寸法bよりも大きく形成されているので、熱膨張によってはんだ接続部にかかるストレスを軽減させることが可能となり、ヒートサイクルが多い使用条件であってもはんだ接続部の強度が低下しにくくなる。また、第1のプリント回路基板16の挿入孔162をスルーホール状に形成しなくても電気接続を図ることも可能となるので、安価な基板実装方法を採用することも可能となる。
【0048】
図6は、本発明の第4の実施形態を示す。図5は段付ポールに取り付けられた状態の照明器具の外観図である。照明器具38は、街路灯である。街路灯38は、器具本体としての街路灯本体39がジョインターアーム40を介して中空の段付ポール41に取り付けられている。そして、段付ポール41は、地中42に一部埋設されたコンクリート基礎43に立設されている。
【0049】
段付ポール41は、開閉蓋44の部位の内部に図2に示す放電ランプ用点灯装置1または放電ランプ用点灯装置25A〜25Dのいずれかが収納されている。そして、電源用穴45を介して外部より図示しない電源線およびアース線が導入され、段付ポール41内において、放電ランプ用点灯装置1から導出されている入力線27およびアース線にそれぞれ接続されている。そして、放電ランプ用点灯装置1の出力線28が街路灯本体39に配線されている。
【0050】
街路灯本体39は、下面に開口を有する略箱状に形成されており、ソケット台46、ランプソケット47、放電ランプとしての高圧放電ランプ48および反射板49などを配設している。ランプソケット47は、放電ランプ用点灯装置1の出力線28と接続されている。高圧放電ランプ48は、例えばメタルハライドランプが用いられている。
【0051】
そして、放電ランプ用点灯装置1に入力線27(電源線)を介して外部電源が投入されると、メタルハライドランプ48が点灯する。メタルハライドランプ48より放射された直接光および反射板49で放射された反射光は、街路灯本体39の開口から路面に出射される。こうして、街路灯38は、路面を照明する。
【0052】
放電ランプ用点灯装置1によりメタルハライドランプ48が点灯されると、放電ランプ用点灯装置1の点灯装置本体3に発生した熱がケース2から段付ポール41の内部空間に放熱される。そして、当該熱は、段付ポール41に伝熱して、段付ポール41から大気中に放熱される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態のプリント回路基板構造体を示し、(a)はプリント回路基板構造体の要部を示す一部切欠き斜視図、(b)は第1のプリント回路基板の要部を拡大した一部切欠き斜視図。
【図2】図1のプリント回路基板構造体の接続パターンの断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態である放電ランプ用点灯装置の概略分解斜視図。
【図4】図3のIII−III線断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態のプリント回路基板構造体を示す一部切欠き斜視図。
【図6】本発明の第4の実施形態である照明器具の外観図。
【符号の説明】
【0054】
16・・・第1のプリント回路基板、162・・・挿通孔、161・・・基板部、163・・・配線パターン、164接続パターン、165・・・溝部、30・・・第2のプリント回路基板、302・・・接続片、301・・・基板部、303・・・配線パターン、304・・・接続パターン、305・・・貫通孔としてのスルーホール、S・・・はんだ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔が形成された基板部、この基板部に実装された回路部品、基板部に形成された配線パターン、挿通孔の内部にスルーホール状に形成されて配線パターンの一部に接続された接続パターンおよびこの接続パターンに深さ方向に沿って形成された溝部を有する第1のプリント回路基板と;
この第1のプリント回路基板の挿通孔への挿入によって第1のプリント回路基板に対して直交方向に貫通する接続片が一端側に一体形成された基板部、この基板部に実装された回路部品、基板部に形成された配線パターン、この配線パターンの一部に接続されて接続片に形成された接続パターンを有する第2のプリント回路基板と;
を具備しており、第1のプリント回路基板の挿通孔に第2のプリント回路基板の接続片が挿入されて貫通した状態で第1および第2のプリント回路基板の接続パターン間にはんだ付けを行うことで電気的な接続が行われることを特徴とするプリント回路基板構造体。
【請求項2】
第2のプリント回路基板の接続片には貫通孔が形成されており、この接続片に形成された接続パターンがこの貫通孔の内部にスルーホール状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント回路基板構造体。
【請求項3】
第1のプリント回路基板の板厚寸法aが第2のプリント回路基板の板厚寸法bよりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載のプリント回路基板構造体。
【請求項4】
第1および第2のプリント回路基板には、一方に放電ランプ点灯回路の主回路部が、他方にこの主回路部を制御する制御回路部が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のプリント回路基板構造体。
【請求項5】
放電ランプ点灯回路として機能する請求項4記載のプリント回路基板構造体と;
このプリント回路基板構造体を収容するケースと;
このケースの外側に設けられ、プリント回路基板構造体と電気的に接続された接続部と;
を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項6】
請求項5記載の放電ランプ点灯装置と;
この放電ランプ点灯装置が収容された器具本体と;
この器具本体に装着された放電ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−109067(P2008−109067A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43847(P2007−43847)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】