説明

プリント基板の製造装置および製造方法

【課題】アンダーフィル液を用いたときと同等の効果が得られ基板と半導体チップ間の充填方法を実現する。
【解決手段】プリント基板33の複数の電極部にハンダバンプ39を形成し、この複数のハンダバンプを介して半導体チップ41をプリント基板に搭載する。その際、プリント基板のハンダバンプが形成された面側を覆うアンダーフィル用の熱可塑性のフィルム30を準備する。このフィルムは、ハンダバンプ部分が取り除かれているとともに半導体チップが搭載される部分の周縁部が突起状に形成されており、フィルムでプリント基板を覆った後にフィルムを基板に貼り合せ、次いで半導体チップをプリント基板に搭載してリフロー炉に搬送し、このリフロー炉において加熱および加圧HPして、ハンダバンプを溶融する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の製造装置および製造方法に係り、特にプリント基板上に半導体チップを取り付けるのに好適なプリント基板の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板におけるフリップチップボンディングにおいては、プリント基板に形成された接続パッドにソルダーボールを付着し、このソルダーボールを介して半導体チップを実装している。このフリップチップボンディング法によりプリント基板に半導体チップを実装すると、接続パッドに付着されたソルダーボールの高さに応じて、半導体チップとプリント基板の間にギャップGが発生する。そのため、半導体チップの支持力が低くなり、ソルダーボールのソルダーリング部位でクラックが発生するおそれがある。特に、大きな温度変化が生じると、半導体チップとプリント基板の間の熱膨張係数が互いに異なるので、ソルダーボールに熱応力が発生し、この熱応力によりソルダーボールでクラックが発生する。
【0003】
そこで従来、特許文献1に記載のように、半導体チップを安定的に支持するために、半導体チップとプリント基板の間で発生したギャップGに、ディスペンサー(dispenser)を利用して、液状物質のアンダーフィル液を注入している。アンダーフィル液を注入することとしたので、この液が外部に漏れ出ることを防止する必要があり、そのため基板の縁部に流れ防止用ダムを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−118634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のプリント基板においては、流れ防止用ダムの形成にディスペンサを用いている。従来のバンプの間隔は、ディスペンサを用いるのに十分な間隔であった。しかしながら、チップの微細化に伴いバンプ間隔が狭くなり、ディスペンサを用いてアンダーフィル液を注入できなくなってきている。そのため、アンダーフィルを形成できず、半導体チップと基板間に作用する熱応力に起因するクラックの発生が困難になっており、ディスペンサを用いたアンダーフィル液注入法の代替案が求められている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、アンダーフィル液を用いたときと同等の効果が得られる基板と半導体チップ間の隙間をうめて両者を固定することにある。また、クラックの発生を防止した精度の良いプリント基板を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、プリント基板の複数の電極部にハンダバンプを形成し、この複数のハンダバンプを介して半導体チップを前記プリント基板に搭載するプリント基板の製造方法において、前記プリント基板の前記ハンダバンプが形成された面側を覆うアンダーフィル用の熱可塑性のフィルムを準備し、このフィルムは前記ハンダバンプ部分が取り除かれているとともに前記半導体チップが搭載される部分の周縁部が突起状に形成されており、前記フィルムで前記プリント基板を覆った後に前記フィルムを前記基板に貼り合せ、次いで前記半導体チップを前記プリント基板に搭載してリフロー炉に搬送し、このリフロー炉において加熱および加圧して前記ハンダバンプを溶融することを特徴とする。
【0008】
そしてこの特徴において、前記フィルムの準備段階では、ロール状に巻かれた前記フィルムを所定の大きさに切断した後、フィルム搬送治具を用いてフィルム穴開け部に搬送し、このフィルム穴開け部で前記プリント基板に形成された前記ハンダバンプに相当する部分を穴開け加工し、次いで前記フィルム搬送治具と前記フィルムを一緒に反転させるのが好ましい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のプリント基板の製造装置は、アンダーフィル用の熱可塑性のフィルムがロール状に巻きつけられたフィルム供給部と、このフィルム供給部から供給された前記フィルムについて、プリント基板に形成したハンダバンプの位置に相当する箇所に穴開け加工する穴開け加工部と、前記フィルムを保持するフィルム搬送治具と前記フィルムとを一緒に反転させるフィルム反転部と、反転された前記フィルムを前記プリント基板に貼付するフィルム貼合部とを備え、前記フィルム貼合部は、反転後のフィルム搬送治具および前記フィルムを保持する上テーブルと、前記プリント基板を載置し前記プリント基板を加熱するヒータを有する下テーブルと、前記上テーブルおよび下テーブルを上下方向に移動させる駆動装置とを備える。
【0010】
そして、このプリント基板の製造装置は、前記フィルム貼合部で前記フィルムが貼り合わされた前記プリント基板に半導体チップを搭載し、前記ハンダバンプを溶融して前記半導体チップを前記プリント基板に固定するリフロー炉を備えるのが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アンダーフィルを可塑性フィルムで形成したので、基板と半導体チップ間をアンダーフィル液を用いたときと同等の効果が得られるように固定できる。また、半導体チップとプリント基板間をアンダーフィルで確実に固定することができるので、熱応力等によるクラックの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る半導体チップをプリント基板に取付ける概略工程を説明する図である。
【図2】本発明に係るプリント基板の製造装置の一部を示す模式図であり、アンダーフィルに使用するフィルムをフィルム搬送治具に受け渡す部分を示す図である。
【図3】本発明に係るプリント基板の製造装置の一部を示す模式図であり、アンダーフィルに使用するフィルムを基板に貼り合せる部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るプリント基板の製造装置および製造方法を、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るプリント基板33の製造方法の一実施例を説明する図であり、半導体チップ41をプリント基板33に取付ける工程を示している。図1では図示を省略したが、前工程でハンダボール印刷機を用いてハンダバンプ39をプリント基板33の表面上に印刷し、リフローしてプリント基板33面上に固定している。
【0014】
図1(a)に示すように、ハンダバンプ39が形成されたプリント基板33は、アンダーフィル形成部に搬入され、下テーブル34上に搭載される(ステップS1)。下テーブル34上にプリント基板33が搭載されると、予めハンダバンプ39の形状に合わせてCVD装置で穴開け加工が施こされたフィルム状のアンダーフィル膜(以後フィルムとも称す)30が、図示しないアンダーフィル膜供給装置から供給される。
【0015】
また、フィルム30の周縁部には、突起(凸部)40が形成されている。突起40は、半導体チップ41をプリント基板33上に搭載したまま移動させるときに、振動等がプリント基板33に加えられても半導体チップ41がプリント基板33上を移動しないように設けられている。
【0016】
フィルム30は、厚みが5〜20μmで、熱可塑性である。フィルム30に熱を加えると粘着性が発生し、プリント基板33と半導体チップ41とが接着される。フィルム30とプリント基板33には、それぞれ位置合わせ用のマークが設けられている。アンダーフィル形成部50には、これらマークを検出するために撮像用のカメラ32が設けられており、カメラ32でそれぞれのマーク位置を撮像する。カメラ32が撮像した画面は、図示しない制御部に送られ、制御部で画像処理される。そして、マーク位置のズレ量が求められ、下テーブル35を水平方向に移動させて位置合わせする。
【0017】
図1(b)に示すように、フィルム30とプリント基板33との位置合わせが終了したら、フィルム30をプリント基板33面に降下させる。そして、ハンダバンプ39の部分を除いて、フィルム30でプリント基板33を覆う(ステップS2)。図1(c)に示すように、フィルム30でプリント基板33を覆った後は、ハンダバンプ39上に半導体チップ41を搭載する(ステップS3)。
【0018】
半導体チップ41とハンダバンプ39を位置合わせするときもカメラ32で、位置合わせマークを撮像する。そして、フィルム30の位置合わせ時と同様に、位置ズレ量を計測し、そのズレ量に応じて半導体チップ41の把持部を水平移動させて位置合わせする。半導体チップ41を搭載した後にプリント基板33を移動させると、半導体チップ41はハンダバンプ39上に単に載置されているだけなので、位置ズレを生ずる可能性が大きい。そのため、フィルム30の半導体チップ41を搭載する端部側に、凸部が形成されている。この凸部を、フィルム30の穴開け加工時に一緒に形成することも可能である。
【0019】
プリント基板33上に半導体チップ41を搭載して搭載状態を検査し終えたら、プリント基板33をリフロー炉に搬送する。図1(d)に示すように、リフロー炉では、アンダーフィル膜30を矢印方向に上から下へ加圧する。それとともに、加熱する。この加熱・加圧HPにより、プリント基板33と半導体チップ41が接着固定される(ステップS4)。プリント基板33上に半導体チップ41を固定し終えると、プリント基板33を検査工程に搬送する。
【0020】
図2に、アンダーフィル膜(フィルム)30の形成装置45を示す。この図2では、フィルム30はシート状の巻物として形成されている。フィルムロール11は、カバーフィルム12およびアンダーフィル膜30を有しており、内側から順に、カバーフィルム12、アンダーフィル膜30が積層されている。
【0021】
フィルムロール11からフィルム30を搬送面に搬送するために、フィルムロール11の下方にガイドロール13が配置されている。ガイドロール13は、カバーフィルム12を剥離するのに用いられる。剥離されたカバーフィルム12は、フィルムロール11に隣接して設けられた巻き取りロール14に巻き取られる。フィルムロール11及び巻き取りロール14の駆動部には、フィルム30の残量に応じてトルクを調整する図示しないトルク調整装置が設けられている。トルク調整装置の調整により、フィルム30の張力を一定にして搬送することが可能になる。
【0022】
ガイドロール13の下側には、フィルム30の先端部の所定領域または後端部の所定領域を吸引吸着して搬送する先端保持部材15と後端保持部材16が配置されている。先端保持部材15の内部には真空室が、上面には吸着孔が設けられている。真空室は図示しない真空ポンプに接続されている。真空ポンプを駆動すると、先端保持部材15の上面にフィルム先端が吸引吸着される。すなわち、真空吸着機構を用いて、先端保持部材15上にフィルム30を保持する。
【0023】
また、先端保持部材15は、先端保持部材15の下方に配置されたボールネジ20の可動部21に支持されている。ボールネジ20はサーボモータ19に直結されている。サーボモータ19を駆動することにより、ボールネジ20の可動部21に支持された先端保持部材15は、左右方向(フィルム搬送方向)に移動する。さらに、可動部21にはエアシリンダ17が接続されている。エアシリンダ17は、フィルム30圧着部を構成する一対の圧着ローラ23のうちの一方の圧着ローラ23に隣接する位置まで、フィルム30の先端を搬送させることができる。
【0024】
後端保持部材16でも先端保持部材15の場合と同様に、内部に真空室が、上面に吸着孔が設けられている。また、幅方向に延びる溝が形成されており、この溝はカッタ機構18を用いてフィルム30を幅方向に切断するときのカッタ受け台としても用いられる。カッタ機構18は、後端保持部材16の上側に設けられており、ロッドレスシリンダ等により幅方向に移動できるようになっている。カッタ機構18は、フィルム30を幅方向に切断するのに用いられる。
【0025】
ボールネジ20の可動部21が先端保持部材15を支持しているので、フィルム30は正確に搬送される。また、可動部21に設けたロータリアクチュエータを駆動して連結材22を回転させているので、後端保持部材16をフィルム搬送面から下側に退避できる。
【0026】
圧着ロール23は、金属製のロールの外周側を耐熱性に優れたゴム(シリコンゴム等)で厚さ1.2mm程度に被覆した構成となっている。なお、静電気発生装置28が備える電極26からフィルム30に電圧が印加されると、圧着ロール23は静電吸着により表面にフィルム30を保持する。そのため、外周を被覆しているゴムがシリコンゴムであれば電気抵抗は大きくなる。しかしながら、外周被覆ゴムの厚さが1.2mm程度と薄いので、静電吸着に対する影響は軽微である。なお、耐熱性のある導電性ゴムを用いれば、静電吸着効果が増すことは言うまでもない。
【0027】
一対の圧着ロール23は、搬送ローラ25により搬送されたフィルム搬送治具24を上下方向から挟むように上下に配置されている。さらに、上下に配置した各圧着ロール23には図示しないエアシリンダが連結されており、エアシリンダを駆動すれば、圧着ロール23は上下方向に移動する。ここで、圧着ロール23の金属部分は、接地されている。
【0028】
次に、フィルム貼り付け動作について説明する。フィルム30を貼り付ける準備として、手動でフィルムロール11からフィルム30を引き出して、ガイドロール13に渡す。上述したように、ガイドロール13ではカバーフィルム12が剥離される。剥離されたカバーフィルム12は、巻き取りロール14に巻き取られる。残りのフィルム30は後端保持部材16の先端まで引き出され、背面側を先端保持部材15及び後端保持部材16が吸引吸着する。
【0029】
このとき、フィルムロール11及び巻き取りロール14に接続した駆動手段であるモータを動作させ、フィルム30に一定の張力を作用させる。上記説明の状態で、後端保持部材16の溝部分をカッタ機構18のカッタ刃が通過するように位置決めする。次いで、カッタ機構18を幅方向に移動させ、フィルム30を切断する。フィルム30の切断作業が終了したら、フィルム30を吸着していた後端保持部材16の吸引吸着を停止し、フィルム30の切れ端を廃棄処分する。その際、フィルム30の先端部が先端保持部材15の先端部から10mm程度はみ出した状態で、先端保持部材15がフィルム30を吸引吸着する。これにより、フィルム30の貼付動作の準備が完了する。
【0030】
フィルム30の貼付準備が完了した状態では、基板搬送面の上下に位置する圧着ロール23は共に上昇位置にある。そして、内部に設けたヒータで加熱された状態で基板搬送方向に回転している。なお、下側の圧着ロール23の上面は、フィルム搬送治具24と接触しており、フィルム搬送治具24を図2では左側から右側へ搬送する。
【0031】
フィルム30の貼付動作においては、初めにサーボモータ19を作動させて、ボールネジ20の可動部21を圧着ロール23近くまで移動させる。後端保持部材16に設けたロータリアクチュエータを駆動すると連結材22が回転し、後端保持部材16をフィルム搬送面より下側に退避させる。
【0032】
次いで、エアシリンダ17を作動させて、フィルム30の先端が圧着ロール23の上面中央付近に位置するまで、先端保持部材15を移動させる。フィルム30が上述の所定位置に位置決めされたら、図示しない静電気発生用電源から電極26に高電圧を印加する。このとき、フィルム30の先端部は、電極26と上側の圧着ロール23の間に位置している。そのため、先端保持部材15からはみ出しているフィルム先端部分が帯電され、接地されている上側の圧着ロール23に吸着される。
【0033】
上側の圧着ロール23はフィルム搬送治具24の搬送方向に回転しており、吸着したフィルム30を下側(搬送治具側)に搬送する。このとき、先端保持部材15の吸引吸着を解除すると、フィルム30は上側の圧着ロール23の回転とともにプリント基板33側に搬送される。次いで、エアシリンダ17及び可動部21を作動させて、フィルム30を圧着ロール23に受け渡した先端保持部材15を、ガイドロール13の下側位置に戻す。それとともに、ロータリアクチュエータを駆動して連結材22を回転させ、退避していた後端保持部材16もフィルム搬送面の位置に戻す。
【0034】
フィルム30が圧着ロール23の真下(搬送されてきたフィルム搬送治具24面と接触する位置)まで搬送されたら、圧着ロール23の回転を停止する。そして、先端保持部材5及び後端保持部材16の上側に位置するフィルム30を、それぞれの保持部材15、16に吸引吸着して保持する。カッタ機構18を駆動して、フィルム30を幅方向に切断する。このとき、切断したフィルム30の長さがプリント基板33に貼り付ける長さになるように、カッタ機構18の位置と後端保持部材16の位置を調整する。
【0035】
なお、圧着ロール23の回転を停止せずに、カッタ機構18および先端保持部材15、後端保持部材16をフィルム30の搬送に同期させ、フィルム30を吸着保持して切断してもよい。フィルム搬送治具24は、実際にフィルム30を貼り付けるプリント基板33より長めに形成する。
【0036】
フィルム30が所定長さに切断されたので、搬送ローラ25がフィルム搬送治具24をフィルム貼付位置に搬送する。フィルム搬送治具24がフィルム貼付位置に到達したら、下側の圧着ロール23の高さ方向位置はそのままにして、上側の圧着ロール23だけを下降(下側圧着ロール23に近づけ)させる。フィルム30がフィルム搬送治具24面へ接触し次いで圧着が開始される。この工程では、フィルム30はフィルム搬送治具24と共に圧着ロール23により搬送されるが、フィルム30の搬送と同期して後端保持部材16も圧着ロール23側に移動するので、張力が一定になる。
【0037】
圧着ロール23の回転に伴い、フィルム30がフィルム搬送治具24に圧着されて行く。一方、フィルム30を吸着している後端保持部材16が圧着ロール23付近に到達すると、先端保持部材15から圧着ロール23にフィルム30の先端を受け渡す場合と同様に、静電気発生装置18の電極26に高電圧を印加する。高電圧が印加されると、電極26の下方に位置するフィルム30の後端が帯電し、圧着ロール23に静電吸着される。
【0038】
フィルム30の後端がすべて圧着ロール23に受け渡されたら、後端保持部材16の吸引吸着力を解除する。そして、連結材22を回転させて下方に退避させる。一方、先端保持部材15は、次に貼付するフィルム30の先端を吸引吸着しており、フィルム30を吸引吸着したまま圧着ロール23近傍まで移動する。
【0039】
フィルム30の後端は圧着ロール23に静電吸着されているため、フィルム搬送治具24面に垂れ下がることなくフィルム搬送治具24に密着させることが可能であり、圧着において、しわや気泡等が貼り付け部分に混入することはない。なお、下側の圧着ロール23は接地されているので、上側の圧着ロール23に保持されているフィルム30の静電気は、フィルム搬送治具24に接触すると放電される。
【0040】
フィルム30の全面をフィルム搬送治具24面に圧着した後は、上側の圧着ロール23を上昇させ、先端吸着部材15から次のフィルム30を受け渡す。フィルム30の先端を圧着ロール23に受け渡したら、先端保持部材15はガイドロール13の下方に移動する。それとともに、退避していた後端保持部材16もフィルム搬送面の位置に戻される。これにより、一連の貼付動作が完了する。
【0041】
上記実施例では、フィルム30を圧着ロール23に受け渡すために、フィルム30の先端部及び後端部を静電吸着していたが、フィルム30の全面を静電帯電させて圧着ロール23に吸着させてもよい。また、フィルム30を圧着ロール23に吸着させる手段と同様に、先端保持部材15及び後端保持部材16のフィルム保持機構を、真空吸着機構に代えて静電吸着保持機構としてもよい。
【0042】
フィルム搬送治具24上に取付けたフィルム30は図示しない穴開け加工部に送られ、穴開け加工部で、プリント基板33上の電極部(ハンダバンプ39形成部に相当する箇所)に相当する箇所を穴開け加工する。この穴開け加工は図示しない穴開け装置で実施する。なお、穴開け加工を行う前に、プレスを用いてフィルム30の端部に突起を設ける。突起が形成されているので、プリント基板33上に半導体チップ41を載置しただけで固定しなくても、プリント基板30を移動するときに半導体チップ41が振動等で移動しない。なお、プリント基板33上にフィルム30を貼り付けるときに、突起を加工してもよい。
【0043】
穴開け加工されたフィルム30をプリント基板30上に搭載するために、穴開け加工されたフィルム30をフィルム貼付装置50に搬送する。図3にフィルム貼付装置50の概略構成を示す。フィルム貼付装置50では、架台31上にプリント基板33を載置する下テーブル34が配置されている。
【0044】
下テーブル34は、下テーブル34を水平面内で移動させる図示しないXYθテーブルと、このXYθテーブルの駆動機構36とを有している。また架台31の4隅に支持柱が設けられており、支持柱の上部に上テーブル35を保持する上テーブル支持梁37が取付けられている。支持梁37上部には、上テーブル35を上下に移動させるための駆動装置38が設けられている。上テーブル35は、駆動装置38に取付けられている。上テーブル35と下テーブル34の間には、上下2視野カメラ32が水平方向に移動可能に設けられている。
【0045】
フィルム貼付装置50に、フィルム30を取付けたフィルム搬送治具24を搬入する前に、図示しない反転装置で、フィルム搬送治具24ごとフィルム30の保持面を反転させる。フィルム搬送治具24は、反転された状態でフィルム貼付装置50に搬入される。そして、プリント基板33を搭載した下テーブル34に対向して設けた上テーブル35にフィルム面を下向きにして保持される。このとき、図示しない上テーブル35面に負圧を供給して、真空吸着によりフィルム搬送治具24ごとフィルム30を上テーブル35に保持する。
【0046】
フィルム30面とプリント基板33面とに予め設けた位置合わせマークを、上下2視野カメラ32で撮像する。図示しない制御部は、撮像された画面を画像処理して、フィルム30面と基板33との位置合わせマークのズレ量を求める。このズレ量に基づいてて、下テーブル34を水平移動させ位置合わせする。なお、下テーブル34にはヒータが設けられているので、プリント基板33を所定の温度に加熱できる。下テーブル34にプリント基板33が載置されると、ヒータがオンされプリント基板33を温める。また、位置合わせマークの撮像が終了すると、上下2視野カメラ32を上下テーブル34、35面から退避させる。
【0047】
位置合わせが終了すると、テーブル上下駆動機構38を動作させてフィルム30を支持している上テーブル35を下降させる。プリント基板33面上に所定の圧力を加えながら、フィルム30をプリント基板33面上に貼り合せる。すなわち加熱・加圧してアンダーフィル膜(フィルム)30を、プリント基板33の電極部を除いてプリント基板33面上に仮固定する。なお、以上の説明では、フィルム30の端部(半導体チップの回収に相当する部分)に突起40を設ける工程を、フィルム30に穴開けする工程の前に実行しているが、プリント基板33にフィルム30を貼り付ける工程時に、半導体チップ41端部を固定する突起を設けてもよい。
【0048】
フィルム30の貼合が完了すると、プリント基板33上に半導体チップ41を搭載する工程に移る。半導体チップ41をプリント基板33上に搭載する際は、半導体チップ41の電極位置を、予めカメラ32を用いて計測しておく。従来から用いられているロボットハンドを備えたチップマウンタを使用して、アンダーフィル膜30の形成されたプリント基板33面上に半導体チップ41を搭載する。
【0049】
半導体チップ42を搭載したプリント基板33は、リフロー炉に搬送されてハンダチップが溶融・固着される。なおこの搬送時には半導体チップ41とプリント基板33間は何等固定されていないので、半導体チップ41が移動しないようにアンダーフィル膜30の端部に突起40を形成し、半導体チップ41の端部を保持している。
【0050】
上記実施例においては、プリント基板上に半導体チップを搭載してその後にプリント基板と半導体チップ間にアンダーフィル液を注入する従来の方法に代えて、半導体チップをプリント基板に圧着する前に、プリント基板形状から電極部を除いた形状にアンダーフィルのフィルム膜を形成し、このフィルム膜をプリント基板面に貼り付け半導体チップを所定位置に搭載している。これにより、微細化による電極間隔の狭小化に対応可能になる。すなわち、液状のアンダーフィルで利用する毛細管現象も発生しないようなプリント基板と半導体チップ間の狭い隙間であっても、半導体チップをプリント基板に強固に固定することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
11 フィルムロール
12 カバーフィルム
13 ガイドロール
14 巻き取りロール
15 先端保持部材
16 後端保持部材
17 エアシリンダ
18 カッタ機構
19 サーボモータ
20 ボールネジ
21 可動部
22 連結材
23 圧着ローラ
24 フィルム搬送治具
25 搬送ローラ
26 電極
28 静電気発生装置
30 アンダーフィル膜(フィルム)
31 架台
32 上下2視野カメラ
33 プリント基板
34 下テーブル
35 上テーブル
36 テーブル駆動機構
37 上テーブル支持梁
38 (上テーブル)駆動装置
39 ハンダバンプ
40 突起(凸部)
41 半導体チップ
45 アンダーフィル膜形成装置
50 フィルム貼付装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の複数の電極部にハンダバンプを形成し、この複数のハンダバンプを介して半導体チップを前記プリント基板に搭載するプリント基板の製造方法において、
前記プリント基板の前記ハンダバンプが形成された面側を覆うアンダーフィル用の熱可塑性のフィルムを準備し、このフィルムは前記ハンダバンプ部分が取り除かれているとともに前記半導体チップが搭載される部分の周縁部が突起状に形成されており、前記フィルムで前記プリント基板を覆った後に前記フィルムを前記基板に貼り合せ、次いで前記半導体チップを前記プリント基板に搭載してリフロー炉に搬送し、このリフロー炉において加熱および加圧して前記ハンダバンプを溶融することを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記フィルムの準備段階では、ロール状に巻かれた前記フィルムを所定の大きさに切断した後、フィルム搬送治具を用いてフィルム穴開け部に搬送し、このフィルム穴開け部で前記プリント基板に形成された前記ハンダバンプに相当する部分を穴開け加工し、次いで前記フィルム搬送治具と前記フィルムを一緒に反転させることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項3】
アンダーフィル用の熱可塑性のフィルムがロール状に巻きつけられたフィルム供給部と、このフィルム供給部から供給された前記フィルムについて、プリント基板に形成したハンダバンプの位置に相当する箇所に穴開け加工する穴開け加工部と、前記フィルムを保持するフィルム搬送治具と前記フィルムとを一緒に反転させるフィルム反転部と、反転された前記フィルムを前記プリント基板に貼付するフィルム貼合部とを備え、前記フィルム貼合部は、反転後のフィルム搬送治具および前記フィルムを保持する上テーブルと、前記プリント基板を載置し前記プリント基板を加熱するヒータを有する下テーブルと、前記上テーブルおよび下テーブルを上下方向に移動させる駆動装置とを備えることを特徴とするプリント基板の製造装置。
【請求項4】
前記フィルム貼合部で前記フィルムが貼り合わされた前記プリント基板に半導体チップを搭載し、前記ハンダバンプを溶融して前記半導体チップを前記プリント基板に固定するリフロー炉を備えたことを特徴とする請求項3に記載のプリント基板の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−204570(P2012−204570A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67147(P2011−67147)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】