説明

プリント基板組立体

【課題】高さ方向のサイズ増大とプリント基板上の配索領域の制限とを何れも抑えつつ、相互に接続されて直交配置された二枚のプリント基板を安定して保持することのできる、新規な構造のプリント基板組立体を提供すること。
【解決手段】基板連結部材16において第一のプリント基板12の端縁部22が重ね合わされて固定される載置固定部48,48と、第二のプリント基板14が差し入れられて保持される一対のガイドレール50,50を設けると共に、該一対のガイドレール50,50における前記第二のプリント基板14の差し入れ方向を前記載置固定部48,48における前記第一のプリント基板12の重ね合わせ面56,56に対して直交させることにより、前記第二のプリント基板14の前記ガイドレール50,50への差し入れ側の端縁部34を、前記第一のプリント基板12の端縁部22の外方に離隔位置させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路を構成するプリント基板組立体に関し、特に、二枚のプリント基板が直交配置されて接続端子により接続されているプリント基板組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一のプリント基板上に第二のプリント基板を立設して、夫々の導電路を接続端子で接続することにより電気回路を構成したプリント基板組立体が知られている。例えば、特開平9−330754号公報(特許文献1)や特開平10−154886号公報(特許文献2)に記載のものがそれである。
【0003】
このような従来構造のプリント基板組立体では、第一のプリント基板上に垂直に配設される第二のプリント基板を支持するために、第一のプリント基板上に絶縁性の保持部材を突設して、当該保持部材により第二のプリント基板の外縁部を保持することが行われている。
【0004】
ところが、このような従来構造では、第一のプリント基板の実装面上に第二のプリント基板が載置されて直交方向に突設されていることから、プリント基板組立体のサイズが高さ方向に大きくなってしまう問題があった。また、第一のプリント基板上に第二のプリント基板が載置されると共に、第二のプリント基板を保持する保持部材も載置されることから、第一のプリント基板の配索領域が制限されてしまい、近年のプリント基板の高密度化に対応し難い問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−330754号公報
【特許文献2】特開平10−154886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、高さ方向のサイズ増大とプリント基板上の配索領域の制限とを何れも抑えつつ、相互に接続されて直交配置された二枚のプリント基板を安定して保持することのできる、新規な構造のプリント基板組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、第一のプリント基板と第二のプリント基板が基板連結部材で連結されており、該基板連結部材において前記第一のプリント基板の端縁部が重ね合わされて固定される載置固定部と前記第二のプリント基板が差し入れられて保持される一対のガイドレールとが設けられていると共に、該一対のガイドレールにおける前記第二のプリント基板の差し入れ方向が、前記載置固定部における前記第一のプリント基板の重ね合わせ面から外れた位置で該重ね合わせ面に対して直交されることにより、前記ガイドレールに保持された前記第二のプリント基板が、前記一対のガイドレールへの差し入れ側の端縁部を前記第一のプリント基板における前記端縁部の外方に離隔位置して、前記第一のプリント基板に対して直交して配設されている一方、前記第一のプリント基板と前記第二のプリント基板における前記各端縁部に形成されたスルーホールに挿通されて半田付けされることにより前記第一のプリント基板の導電路と前記第二のプリント基板の導電路とを導通する複数の接続端子が設けられていることを特徴とするプリント基板組立体にある。
【0008】
本発明に従う構造とされたプリント基板組立体によれば、基板連結部材の載置固定部を第一のプリント基板に固定すると共に、載置固定部に対して直交するガイドレールで第二のプリント基板を保持することによって、第一のプリント基板と第二のプリント基板を、相互に直交配置して安定的に保持することが出来る。
【0009】
そして、基板連結部材におけるガイドレールへの第二のプリント基板の差し入れ方向が、基板連結部材において第一のプリント基板が載置固定される載置固定部から外れて直交していることにより、ガイドレールに保持された第二のプリント基板が、第一のプリント基板の実装面上から外周側に離隔して、第一のプリント基板に対して直交して配設される。これにより、第二のプリント基板の配設位置を、第一のプリント基板の実装面に対して直交する高さ方向で自由に設定することが出来る。その結果、第二のプリント基板を、第一のプリント基板の実装面に直交する高さ方向で、実装面と反対側に突出させて配設することも可能となり、プリント基板組立体の高さ寸法を抑えることが出来る。それと共に、第二のプリント基板の配設スペースを第一のプリント基板の実装面上に確保することが不要とされることから、第一のプリント基板の実装面をより有効に確保することが出来て、高密度配索にも有利に対応することが出来る。
【0010】
また、基板連結部材が、載置固定部において第一のプリント基板に固定状態で位置精度良く組み付けられることから、第一のプリント基板に半田付けされた接続端子を第二のプリント基板のスルーホールに対して確実且つ安定して位置決めすることが可能となり、半田付け精度の向上が図られ得る。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記一対のガイドレールの少なくとも一方には、前記第二のプリント基板に係合されて該第二のプリント基板の抜け出しを阻止する係止部が設けられているものである。
【0012】
本態様によれば、係止部を第二のプリント基板に係合させることによって、第二のプリント基板を基板連結部材で固定的に支持することが出来る。これにより、第一のプリント基板と第二のプリント基板を、基板連結部材を介してより安定的に連結することが出来る。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記基板連結部材において、前記載置固定部に対する前記第一のプリント基板の重ね合わせ位置を規定する第一の位置決め部が設けられていると共に、前記一対のガイドレールに対する前記第二のプリント基板の差し入れ方向での保持位置を規定する第二の位置決め部が設けられているものである。本態様によれば、第一のプリント基板と第二のプリント基板の位置決めを、一層容易且つ安定的に行なうことが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板連結部材を用いて、第二のプリント基板を、第一のプリント基板の実装面上の外周側に離隔して、第一のプリント基板に直交して配設するようにした。これにより、第一のプリント基板の実装面を有効に確保することが出来ると共に、第一のプリント基板の高さ方向で第二のプリント基板の配設位置を自由に設定することが出来る。その結果、第二のプリント基板における第一のプリント基板の高さ方向での突出を抑えて、プリント基板組立体の高さ方向のサイズの増大を抑えることが出来る。また、基板連結部材におけるガイドレールで第二のプリント基板を保持しつつ、基板連結部材を載置固定部で第一のプリント基板に固定したことによって、これら第一のプリント基板と第二のプリント基板を安定して保持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態としてのプリント基板組立体の要部の斜視図。
【図2】図1に示した要部の分解斜視図。
【図3】図1に示したプリント基板組立体を構成する基板連結部材の上面図。
【図4】図3に示した基板連結部材の正面図。
【図5】図3におけるV−V断面図。
【図6】図3におけるVI−VI断面図。
【図7】図1に示したプリント基板組立体を構成する接続端子の斜視図。
【図8】図1におけるXIII−XIII断面に相当する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としてのプリント基板組立体10の要部を示すと共に、図2に、該プリント基板組立体10の要部の分解斜視図を示す。プリント基板組立体10は、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14が、基板連結部材16で連結されて、複数の接続端子18で電気的に接続された構造とされている。
【0018】
第一のプリント基板12は略長手矩形の板形状とされており、実装面20上には、バッテリや外部電気機器との接続のための図示しないコネクタ等や、図示しない導電路としてのプリント配線等が設けられている。第一のプリント基板12における長手方向一方の端縁部22には、複数のスルーホール24が、第一のプリント基板12の外周面26に沿って所定間隔を隔てた配列状態で貫設されており、これら各スルーホール24が、それぞれ、実装面20上に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続されている。また、端縁部22における両角部28,28には、それぞれ、ネジ挿通孔30, 30が貫設されている。更に、第一のプリント基板12は、四隅部の角が落とされており、外周面26の長さ方向両端縁部には、傾斜面31, 31がそれぞれ形成されている。これにより、後述する位置決め壁部62,62間への端縁部22の嵌め込みが容易とされている。
【0019】
一方、第二のプリント基板14は略長手矩形の板形状とされている。第二のプリント基板14は例えばECUユニット等であり、実装面32上に図示しない半導体部品等が設けられている。第二のプリント基板14において長手方向に直交する幅方向の一方の端縁部34には、複数のスルーホール36が、第二のプリント基板14の外周面38に沿って、第一のプリント基板12に形成された複数のスルーホール24の配列ピッチと略等しい間隔を隔てた配列状態で貫設されている。そして、これら各スルーホール36が、それぞれ、実装面32上に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続されている。なお、第二のプリント基板14は、後述するプリント基板組立体10の高さ寸法を抑えるために、第一のプリント基板12よりも小さいことが好ましい。また、外部電気機器との接続のためのコネクタは、第一のプリント基板12にのみ設けられていることが好ましい。このようにすれば、コネクタ接続時の押圧力に対する支持構造等の設計事項を簡素化することが出来る。
【0020】
更に、第二のプリント基板14における長手方向の両端縁部39, 39には、長手方向両端縁部に位置する外周面40, 40に開口する矩形状の係合切欠42, 42がそれぞれ形成されている。係合切欠42, 42は、外周面40, 40の長さ方向で、外周面38側に偏倚した位置に形成されている。また、第二のプリント基板14は、四隅部の角が落とされており、外周面38の長さ方向両端縁部には、傾斜面44, 44がそれぞれ形成されている。これにより、後述するガイドレール50,50への挿入が容易とされている。
【0021】
そして、これら第一のプリント基板12と第二のプリント基板14が、基板連結部材16で互いに連結されている。図3〜図6に、基板連結部材16を示す。基板連結部材16は、非導電性の合成樹脂からなる一体成形品とされている。基板連結部材16は、直線状に延びる梁部46の両端部に、一対の載置固定部48, 48および一対のガイドレール50, 50がそれぞれ一体形成された構造とされている。
【0022】
梁部46は、略一定の幅寸法(図3中、上下方向寸法)をもって延びる長手板形状を有する、第二の位置決め部としての載置板部52の幅方向一方の端縁部に、載置板部52の略全長に亘って補強リブ54が突出形成された略L字の断面形状をもって直線状に延び出されている。
【0023】
また、一対の載置固定部48, 48は、基板連結部材16において梁部46の長さ方向両端部分に位置して配設されており、梁部46の長さ方向中央部分に対して互いに対称形状とされている。載置固定部48は略矩形の板形状を有しており、図4等に示すように、後述するガイドレール50の立設壁64aの延出方向において梁部46側に偏倚した位置から、立設壁64aに対して直交して突出するように配設されている。そして、載置固定部48において梁部46と反対側に位置する表面が、第一のプリント基板12の重ね合わせ面56とされている。なお、載置固定部48において、重ね合わせ面56と反対側の面の、立設壁64aとの接続部分は、三角板状の補強リブ58で補強されている。また、載置固定部48には、ネジ孔60が貫通状態で形成されている。
【0024】
さらに、重ね合わせ面56には、第一の位置決め部としての位置決め壁部62が突出されている。位置決め壁部62は、矩形状とされた重ね合わせ面56において、梁部46側の辺縁部と、梁部46の長さ方向外方に位置する辺縁部とに亘って延びるL字形状の突出壁とされている。なお、図4に示すように、位置決め壁部62の重ね合わせ面56からの突出寸法:hは、第一のプリント基板12の厚さ寸法と略等しくされている。また、図3に示すように、一対の載置固定部48, 48の位置決め壁部62, 62において、梁部46の長さ方向での離隔距離:d1は、第一のプリント基板12において長手方向に直交する幅方向の寸法と略等しくされている。また、重ね合わせ面56において梁部46の長さ方向の外方の端縁部に形成された位置決め壁部62は、重ね合わせ面56と反対側にも突出されおり、第一のプリント基板12の端縁部22や接続端子18を保護すると共に、取り扱い性の向上が図られている。
【0025】
一方、一対のガイドレール50, 50は、梁部46の長さ方向両端部に位置して形成されており、梁部46の長さ方向中央部分に対して互いに対称形状とされている。ガイドレール50には、梁部46の長手方向に直交する幅方向(図3中、上下方向)で対向して、梁部46の延出方向に対して垂直に立ち上がる一対の立設壁64a,64bが形成されている。なお、一方の立設壁64aは、梁部46の補強リブ54の長さ方向両端部から突出されており、他方の立設壁64bは、後述するガイドリブ68bの端縁部が載置板部52に連結されることにより、ガイドリブ68bを介して梁部46と連結されている。そして、これら立設壁64a,64bが、梁部46の長さ方向の外側の端縁部において、後述する係止壁72で連結されることにより、ガイドレール50は、梁部46と反対側に開口部66を有する略矩形筒形状とされている。なお、立設壁64a,64bの延出寸法は、第二のプリント基板14において長手方向に直交する幅方向寸法よりも小さく、幅方向寸法の半分よりも大きな寸法とされている。これにより、第二のプリント基板14の保持効果を有効に確保しつつ、基板連結部材16の形成材料の削減が図られている。
【0026】
そして、これら一対の立設壁64a,64bの対向面において、梁部46の長さ方向中央部分側の端縁部には、他方の立設壁64a,64bに向けて突出して立設壁64a,64bの延出方向に延びるガイドリブ68a,68bが形成されている。図5に示すように、ガイドリブ68a,68bは、互いに所定の隙間寸法:d2を隔てて延び出されており、これらガイドリブ68a,68bによって、梁部46の載置板部52から梁部46の延出方向に直交して延びると共に、開口部66側に開口するガイドスリット70が形成されている。そして、ガイドスリット70の幅寸法を規定するガイドリブ68a,68bの隙間寸法:d2が、第二のプリント基板14の厚さ寸法と略等しくされている。なお、ガイドリブ68a,68bにおける開口部66側の端縁部は開口部66に向けて拡開するテーパ面とされており、後述する第二のプリント基板14の挿入が容易とされている。このガイドスリット70の延出方向によって、第二のプリント基板14のガイドレール50,50への差し入れ方向が規定されることとなり、ガイドスリット70は、梁部46の載置板部52から延び出されることによって、載置固定部48の重ね合わせ面56に交わることの無い直線上で、重ね合わせ面56に対して直交して延び出されている。
【0027】
さらに、立設壁64a,64bにおいて、梁部46の長さ方向で外側に位置する端縁部は、係止壁72で互いに連結されている。係止壁72は立設壁64a,64bと同方向に延びる略長手矩形の板形状とされている。係止壁72は、長手方向で開口部66側の端部が連結部74, 74において立設壁64a,64bの開口部66側の端部と連結されており、梁部46側は、立設壁64a,64bに対して隙間を隔てて位置されている。そして、係止壁72において立設壁64a,64bの対向方向の中央部分には、ガイドレール50の内方に突出して、係止壁72の延出方向に延びるガイドリブ76が形成されている。これにより、図5に示すガイドレール50の正面視において、ガイドリブ76は、ガイドリブ68a,68bの対向面間に位置されている。
【0028】
そして、図6に示すように、一対のガイドレール50, 50に形成されたガイドリブ76, 76が、梁部46の長さ方向で所定距離:d3を隔てて互いに平行に延び出されており、該所定距離:d3が、第二のプリント基板14の長手方向寸法よりも僅かに大きくされている。なお、ガイドリブ76における開口部66側の端縁部は開口部66に向けて拡開するテーパ面とされており、後述する第二のプリント基板14の挿入が容易とされている。
【0029】
また、ガイドリブ76の長さ方向で、梁部46側の端縁部には、ガイドレール50の内方に突出する係止部78が形成されている。係止部78は、第二のプリント基板14に形成された係合切欠42に入り込む大きさの突片とされている。なお、係止部78において開口部66側の端縁部はテーパ面とされて、後述する第二のプリント基板14の挿入に際する係止壁72の拡開が容易とされている。
【0030】
このような基板連結部材16を介して互いに連結される第一のプリント基板12と第二のプリント基板14は、図7に示す接続端子18の複数により、互いに電気的に接続される。接続端子18は、銅や鉄等の導電性金属材料からなる母材の全表面に亘って、錫や金等の導電性金属材料からなるめっき層が被着された金属線材が、所定長さで切断されて形成されている。接続端子18の断面形状は、正方形や長方形等の矩形状や多角形状、楕円を含む円形状や、その他任意の形状が適宜に採用可能である。本実施形態における接続端子18は、略全長に亘って略正方形断面形状とされている。
【0031】
接続端子18において長さ方向一方の端部には、側面視において略U字形状に湾曲形成された嵌合部80が形成されている。これにより、嵌合部80に形成された接続端子18の長さ方向一方の端部82aは、他方の端部82bに対して直交して延び出されている。そして、端部82aからの延出部分が、円弧状に折り返されることによって湾曲部84が形成されており、湾曲部84からの延出部分が、直線状に延び出された当接部86とされることによって、U字形状の嵌合部80が形成されている。これにより、端部82aと当接部86は、互いに略等しい長さ寸法をもって、所定距離を隔てて略平行に延び出されている。さらに、端部82aと当接部86の離隔距離:d4は、端部82aを第一のプリント基板14のスルーホール24に挿通した状態で、当接部86が第一のプリント基板14の外周面26に対して接触或いは僅かな隙間を隔てて位置して、嵌合部80が、第一のプリント基板14におけるスルーホール24と外周面26の間の外周部分に外嵌可能な大きさに設定されている。
【0032】
そして、他方の端部82bが、当接部86の延出端縁部から、当接部86の延出方向に直交して延び出されている。端部82bにおける長さ方向の略中間部分には、軸直角方向で互いに反対側に突出する一対の係止突部88,88が潰し加工等により形成されている。係止突部88,88は互いに同形状とされており、端部82bの軸直角方向の外側に突出する略矩形板形状とされている。これにより、端部82bの軸直角方向寸法は、係止突部88,88の形成部分において、第二のプリント基板14のスルーホール36の内径寸法よりも大きくされている。
【0033】
なお、端部82bの長さ方向で、係止突部88,88よりも内方に位置する部位には、係止突部88, 88と同様の形状とされた一対の連結突部90, 90が潰し加工等により形成されている。図示は省略するが、本実施形態における接続端子18は、複数が帯状の金属製のキャリアに連結された接続端子連結体として提供することが可能とされており、連結突部90, 90の少なくとも一方が、該キャリアに切り起こされたフック状の押え片に係止されることによって、接続端子18が端部82bにおいてキャリアに係止固定可能とされている。
【0034】
そして、このような構造とされた複数の接続端子18の端部82aが、第一のプリント基板12の複数のスルーホール24にそれぞれ挿通されて、半田付けされることにより、接続端子18が、実装面20上に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続される。なお、好適には、これら複数の接続端子18は、図示しないキャリアに対して、スルーホール24の配列ピッチと同ピッチで配列して連結されており、キャリアへの連結状態で、各スルーホール24に対して一度に纏めて挿通された後に、キャリアが取り外される。このようにすれば、優れた組付効率を得ることが出来る。
【0035】
図8にも示すように、スルーホール24に挿通された端部82aから、湾曲部84が第一のプリント基板12の外周面26に向けて延び出されることによって、当接部86が実装面20から外れた外周側に位置されて、外周面26に対する接触状態又は僅かに隙間を隔てた状態に位置される。これにより、第一のプリント基板12におけるスルーホール24と外周面26の間の外周部分が、端部82aと当接部86で挟まれて、接続端子18の嵌合部80が第一のプリント基板12の外周部分に嵌め合わされる。なお、図8においては、理解を容易とするために、接続端子18は外形を示している。
【0036】
また、当接部86の延出端部は、第一のプリント基板12の厚さ方向で実装面20と反対の裏面92側に突出位置される。そして、裏面92側に突出された当接部86の延出端部から、端部82bが外周面26に対して略垂直に、第一のプリント基板12における長手方向(図8中、左右方向)の外方に突出される。
【0037】
一方、基板連結部材16における一対のガイドレール50, 50のガイドスリット70, 70に対して、開口部66, 66側から第二のプリント基板14が挿入される。第二のプリント基板14は、スルーホール36が形成された側の端縁部34を差し込み方向の前方にして、長手方向の両端縁部39, 39において、ガイドスリット70, 70にそれぞれ挿入される。これにより、第二のプリント基板14は、各ガイドレール50, 50のそれぞれに形成されたガイドリブ68a,68bで、両端縁部39, 39が厚さ方向の両側から挟まれると共に、一対のガイドレール50, 50に形成されたガイドリブ76, 76で長手方向の両側から挟まれて、これら一対のガイドレール50, 50で基板連結部材16に位置決め保持される。そして、端縁部34の外周面38が梁部46の載置板部52に接触することによって、第二のプリント基板14の差し込み方向での保持位置が規定される。
【0038】
また、ガイドスリット70, 70への挿入に際して、第二のプリント基板14の長手方向両側の外周面40, 40(図2参照)が、ガイドリブ76, 76の係止部78, 78に接触することによって、係止壁72, 72が基板連結部材16の外方に押し広げられる。そして、第二のプリント基板14が挿入端に位置した際に、係止壁72, 72が部材弾性で復帰することにより、外周面40, 40に開口された係合切欠42, 42に係止部78, 78がそれぞれ入り込まされる。これにより、係合切欠42, 42と係止部78, 78がそれぞれ係合状態とされて、第二のプリント基板14の基板連結部材16からの抜け出しが阻止される。
【0039】
そして、第二のプリント基板14を保持した状態で、基板連結部材16における載置固定部48, 48の重ね合わせ面56, 56と、第一のプリント基板12の端縁部22の裏面92が、互いの縁部で重ね合わされる。これにより、基板連結部材16に保持された第二のプリント基板14の各スルーホール36が、第一のプリント基板12から突出された各接続端子18の端部82bの延出方向の延長線上にそれぞれ位置決めされる。そして、重ね合わせ面56, 56と裏面92との重ね合わせ状態を維持しつつ、第一のプリント基板12の端縁部22を一対の位置決め壁部62,62の間に嵌め入れるようにして、基板連結部材16を第一のプリント基板12側に接近させることによって、接続端子18の端部82bが第二のプリント基板14の各スルーホール36にそれぞれ挿通される。
【0040】
なお、載置固定部48, 48に対する第一のプリント基板12の重ね合わせ位置は、第一のプリント基板12が位置決め壁部62,62に接触することによって、長手方向および長手方向に直交する方向で位置決めされるようになっている。この位置決め状態において、第一のプリント基板12のネジ挿通孔30, 30と載置固定部48, 48のネジ孔60, 60が重ね合わされる。そして、第一のプリント基板12の実装面20側から固定ネジ94, 94がネジ挿通孔30, 30に挿通されてネジ孔60, 60に螺着されることによって、第一のプリント基板12の端縁部22が、載置固定部48, 48の重ね合わせ面56,56に重ね合わされた状態でネジ固定される。さらに、第二のプリント基板14のスルーホール36に挿通された接続端子18の端部82bが半田付けされることにより、各接続端子18が、実装面32上に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続される。このようにして、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14が基板連結部材16を介して互いに連結されると共に、複数の接続端子18で電気的に接続されることによって、プリント基板組立体10が構成されている。
【0041】
本実施形態に従う構造とされたプリント基板組立体10によれば、基板連結部材16において一対のガイドレール50, 50で第二のプリント基板14を保持して、基板連結部材16を第一のプリント基板12にネジ固定することから、これら第一のプリント基板12と第二のプリント基板14を安定して保持することが出来る。特に、第二のプリント基板14をガイドレール50,50に差し入れて保持することによって、第二のプリント基板14のネジ固定を不要とすることが出来る。それと共に、第一のプリント基板12に対して基板連結部材16の載置固定部48,48をネジ固定することによって、基板連結部材16の組み付け強度と位置精度を確保することが可能とされている。
【0042】
そして、第二のプリント基板14を差し込むガイドスリット70, 70が、第一のプリント基板12の端縁部22に固定される載置固定部48, 48の重ね合わせ面56, 56から外れた位置で直交されていることにより、第二のプリント基板14の端縁部34を、第一のプリント基板12の端縁部22の外方に離隔位置させて、第二のプリント基板14を第一のプリント基板12に対して直交して配設することが出来る。これにより、第一のプリント基板12の実装面20を有効に確保することが出来る。
【0043】
それと共に、第二のプリント基板14を第一のプリント基板12の実装面20の外方に離隔して配設することによって、実装面20に直交する高さ方向(図8中、上下方向)で、第二のプリント基板14の配設位置を自由に設定することが出来る。その結果、本実施形態のように、第二のプリント基板14の端縁部34を、第一のプリント基板12の高さ方向で裏面92側に突出位置させることが可能となり、プリント基板組立体10の高さ寸法のサイズのコンパクト化を図ることが出来る。特に本実施形態においては、接続端子18の端部82bが、第一のプリント基板12の裏面92側に位置されていることから、第二のプリント基板14のスルーホール36を、実装面32上において外周面38により近い端部に形成することが可能とされており、第二のプリント基板14の実装面32をより有効に確保することが出来る。
【0044】
さらに、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14のそれぞれにおいて、基板連結部材16との連結部分が端縁部22、端縁部39,39に限定されていることから、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14の実装面20,32を何れも有効に確保することが出来る。それと共に、両プリント基板12,14への接続端子18の半田付け部が基板連結部材16で覆われることを回避することが出来て、半田付け部の視認性を向上することが出来る。
【0045】
加えて、第一のプリント基板12の端縁部22を載置固定部48の位置決め壁部62に接触させることによって、第一のプリント基板12を基板連結部材16に対して平面方向で精度良く位置決めすることが出来ると共に、端縁部22を重ね合わせ面56に重ね合わせることによって、厚さ方向でも精度良く位置決めすることが出来る。一方、第二のプリント基板14は、ガイドレール50に形成されたガイドリブ68a,68bを端縁部39, 39に接触させることによって、基板連結部材16に対して平面方向および厚さ方向で精度良く位置決めすることが出来る。これにより、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14を、基板連結部材16に対してそれぞれ精度良く位置決めすることが出来、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14を互いに精度良く位置決めすることが出来る。その結果、両プリント基板12,14の位置ずれに起因する半田クラックの発生等を抑えることが出来る。
【0046】
特に、第二のプリント基板14を保持した基板連結部材16の重ね合わせ面56を第一のプリント基板12の裏面92に重ね合わせることによって、第二のプリント基板14の複数のスルーホール36を、第一のプリント基板12から突出された各接続端子18の端部82bに対して、容易に且つ精度良く位置合わせすることが出来る。そして、スルーホール36を端部82bに位置合わせした状態で、重ね合わせ面56と裏面92の重ね合わせ状態を維持しつつ第二のプリント基板14を第一のプリント基板12側にスライドさせることによって、多数の接続端子18を、各スルーホール36に容易に且つ安定的に挿通することが出来る。
【0047】
さらに、接続端子18の端部82bに形成された係止突部88,88で第二のプリント基板14が係止されることによって、第二のプリント基板14の挿通端位置を精度良く規定することが出来る。そして、第二のプリント基板14が係止突部88,88に接触することにより、接続端子18に対して第二のプリント基板14の挿通方向(図8中、右から左方向)の外力が及ぼされた場合には、当接部86が第一のプリント基板12の外周面26に接触することによって、かかる外力が外周面26で支持されて、第一のプリント基板12に半田付けされた端部82aへの応力の伝達が抑えられる。また、当接部86が外周面26から僅かに離隔して位置されている場合には、嵌合部80の変形による応力緩和効果も図られる。これにより、端部82aにおける半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、載置固定部の第一のプリント基板への固定方法は、ネジ固定に限定されるものではなく、接着して固定する等しても良いし、重ね合わせ面に突部を形成して、該突部を第一のプリント基板に貫設した貫通孔に嵌め込んで固定したり、載置固定部をスリット形状として、第一のプリント基板の端縁部を差し込んで固定するなどしても良い。また、重ね合わせ面を第一のプリント基板の実装面側に重ね合わせるようにしても良い。
【0049】
さらに、基板連結部材において、第二のプリント基板の抜け出しを阻止する係止部は必ずしも必要ではないが、一対のガイドレールの何れか一方のみに設けても良い。また、例えば、前記実施形態において、第二のプリント基板14に係合切欠42,42を設けることなく、ガイドレール50を第二のプリント基板14における外周面38と反対側の外周面にまで延び出させて、該延出端部に形成した係止部で外周面38と反対側の外周面を係止する等しても良い。
【0050】
加えて、前記一対のガイドレール50,50の強度と離隔距離を確保するために、これらガイドレール50,50を互いに連結する梁状の連結部を適宜に設ける等しても良い。
【0051】
また、接続端子の具体的形状は前記実施形態の如き形状に限定されるものではなく、互いに直交配置された第一のプリント基板と第二のプリント基板を相互に接続する単純なL字形状等であっても良い。更に、前記嵌合部80は、側面視においてコの字形状等であっても良い。加えて、前記係止突部88や連結突部90は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0052】
10:プリント基板組立体、12:第一のプリント基板、14:第二のプリント基板、16:基板連結部材、18:接続端子、22:端縁部(第一のプリント基板)、24:スルーホール、34:端縁部(第二のプリント基板)、36:スルーホール、48:載置固定部、50:ガイドレール、52:載置板部(第二の位置決め部)、56:重ね合わせ面、62:位置決め壁部(第一の位置決め部)、78:係止部、82a,b:端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のプリント基板と第二のプリント基板が基板連結部材で連結されており、該基板連結部材において前記第一のプリント基板の端縁部が重ね合わされて固定される載置固定部と前記第二のプリント基板が差し入れられて保持される一対のガイドレールとが設けられていると共に、該一対のガイドレールにおける前記第二のプリント基板の差し入れ方向が、前記載置固定部における前記第一のプリント基板の重ね合わせ面から外れた位置で該重ね合わせ面に対して直交されることにより、前記ガイドレールに保持された前記第二のプリント基板が、前記一対のガイドレールへの差し入れ側の端縁部を前記第一のプリント基板における前記端縁部の外方に離隔位置して、前記第一のプリント基板に対して直交して配設されている一方、前記第一のプリント基板と前記第二のプリント基板における前記各端縁部に形成されたスルーホールに挿通されて半田付けされることにより前記第一のプリント基板の導電路と前記第二のプリント基板の導電路とを導通する複数の接続端子が設けられていることを特徴とするプリント基板組立体。
【請求項2】
前記一対のガイドレールの少なくとも一方には、前記第二のプリント基板に係合されて該第二のプリント基板の抜け出しを阻止する係止部が設けられている請求項1に記載のプリント基板組立体。
【請求項3】
前記基板連結部材において、前記載置固定部に対する前記第一のプリント基板の重ね合わせ位置を規定する第一の位置決め部が設けられていると共に、前記一対のガイドレールに対する前記第二のプリント基板の差し入れ方向での保持位置を規定する第二の位置決め部が設けられている請求項1又は2に記載のプリント基板組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−124520(P2011−124520A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283441(P2009−283441)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】