説明

プリント配線基板の製造方法、プリント配線基板の製造装置及びプリント配線基板

【課題】基板と部材とが誤った相対向きでセットされたことを検知する。
【解決手段】プリント配線基板を製造する際に、部材20,30と相対位置が設定される基板本体1の主面1Aの処理領域Pの中心を対称点Qとする点対称、又は対称点Qと処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸Ra,Rbとする線対称の関係にある処理領域Pに形成された複数の位置合わせ用マーク13,14と、これらのいずれとも点対称の関係及び線対称の関係に無い非対称領域に表裏判定用マーク11,12が形成された基板本体1を所定の位置にセットする工程と、表裏判定用マーク11,12の対向位置に部材側表裏判定用マーク21,32が形成された部材20,30を基板本体1の対向位置にセットする工程と、表裏判定用マーク11,12と部材側表裏判定用マーク21,32との位置関係に基づいて基板本体1と部材20,30の相対向きの正誤を判定する判定工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の主面に部材を用いて処理が行われるプリント配線基板の製造方法、プリント配線基板の製造装置及びプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に設けられたアライメントマークをCCDカメラにより撮像するとともに、フォトマスクに設けられたマスクアライメントマークをCCDカメラにより撮像し、両者の位置を比較してフォトマスクと基板との位置合わせを行う手法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−333721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フォトマスクなどの部材を用いてプリント配線基板の主面に処理を行う場合には、プリント配線基板と部材の向きと位置の両方を正しくセットする必要があり、作業者が基板又は部材の向き(表裏及び/又は上下左右の方向)を間違えると、接点や回路の位置がずれるため、所望のプリント配線基板を得ることができない。
【0005】
また、部材を用いてプリント配線基板の両主面に処理を行う場合には、一方主面の加工を終えた後に基板を裏返して他方主面の処理を行うが、作業者が基板の表と裏を間違えると、基板と部材が誤った組み合わせでセットされたり、一方主面に重ねて接点や回路が形成されたりするので、所望のプリント配線基板を得ることができない。
【0006】
同様に、部材を用いてプリント配線基板の両主面に処理を行う場合に、作業者が基板を裏返す方向を間違えると、基板が誤った向きでセットされるため、一方主面に形成された接点や回路の位置と他方主面に形成された接点や回路の位置がずれるので、所望のプリント配線基板を得ることができない。
【0007】
しかしながら、こうしたヒューマンエラーの発生を完全に防ぐことは困難であり、ヒューマンエラーが発生した場合には所望のプリント配線基板を得ることができず、基板や処理に用いられた材料や処理作業に費やされた労力などが無駄になるという問題がある。
【0008】
ちなみに、接点や回路の位置ずれを防ぐためにアライメントマークを基板に設けることが行われている。しかし、アライメントマークが基板の中心に対して点対称又は基板の中心線に対して線対称に設けられている場合には、基板と部材の向きに誤りがあってもアライメントマークの位置は変わらない。したがって、基板と部材が誤った向きでセットされたことを検知することができないという不都合がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、基板や部材が誤った向きでセットされたことを検知できるプリント配線基板の製造方法とその製造装置及びプリント配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プリント配線基板の基板本体の主面に部材を用いて処理が行われるプリント配線基板の製造方法であって、前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークと、が形成された基板本体を所定の位置にセットする工程と、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に部材側表裏判定用マークが形成された前記部材を、前記基板本体の対向位置にセットする工程と、前記表裏判定用マークと前記部材側表裏判定用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材の相対向きの正誤を判定する判定工程と、を有するプリント配線基板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0011】
上記発明において、前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、前記部材には、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に前記貫通孔の直径よりも小さい遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されており、前記判定工程は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークの前記表裏判定用マークを含む領域を撮像する工程と、前記撮像された画像に含まれる前記表裏判定用マークの像と部材側表裏判定用マークの像に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する工程とを有するようにすることができる。
【0012】
上記発明において、前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、前記部材には、前記基板本体の前記表裏判定用マークに応じた位置に透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されるとともに、当該透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークに対して、前記基板本体と相対位置が設定される前記部材の処理領域の中心を対称点とする点対称、若しくは前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に、前記表裏判定用マークに応じた位置の部材側表裏判定用マークとは逆の遮光性又は透光性の部材側表裏判定用マークが形成され、前記判定工程は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークに光を照射する工程と、前記表裏判定用マークに光を照射したときに、前記表裏判定用マークを通過する光を検出する工程と、前記光の検出結果に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する工程と、を含むようにすることができる。
【0013】
上記発明において、前記部材には、前記基板本体の位置合わせ用マークに応じた位置に部材側位置合わせ用マークが形成されており、前記部材を前記基板本体の対向位置にセットする工程の後に、前記位置合わせ用マークと前記部材側位置合わせ用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材との相対位置の適否を判定する工程と、を有するようにすることができる。
【0014】
本発明は、プリント配線基板の基板本体の主面に部材を用いた処理を行うプリント配線基板の製造装置であって、前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークが形成された基板本体を、所定の位置に保持する第1保持手段と、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に部材側表裏判定用マークが形成された前記部材を、前記基板本体の対向位置に保持する第2保持手段と、前記表裏判定用マークと前記部材側表裏判定用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材の相対向きの正誤を判定する表裏判定手段と、を有するプリント配線基板の製造装置を提供することにより、上記課題を解決することができる。
【0015】
上記発明において、前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、前記部材には、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に前記貫通孔の直径よりも小さい遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されており、前記判定手段は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークの前記表裏判定用マークを含む領域を撮像するカメラと、前記撮像された画像に含まれる前記表裏判定用マークの像と部材側表裏判定用マークの像に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する表裏判定部と、を有するようにすることができる。
【0016】
上記発明において、プリント配線基板の製造前記表裏判定用マークと対向する第1の位置と、前記位置合わせ用マークと対向する第2の位置との間で、前記カメラを往復移動させる移動機構をさらに備えるようにすることができる。
【0017】
上記発明において、前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、前記部材には、前記基板本体の前記表裏判定用マークに応じた位置に透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されるとともに、当該透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークに対して、前記基板本体と相対位置が設定される前記部材の処理領域の中心を対称点とする点対称、若しくは前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に、前記表裏判定用マークに応じた位置の部材側表裏判定用マークとは逆の遮光性又は透光性の部材側表裏判定用マークが形成され、前記判定手段は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークに光を照射する照射装置と、前記表裏判定用マークに光を照射したときに、前記表裏判定用マークを通過する光を検出する透光センサと、前記光の検出結果に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する表裏判定部と、を含むようにすることができる。
【0018】
上記発明において、前記部材には、前記基板本体の位置合わせ用マークに応じた位置に部材側位置合わせ用マークが形成されており、前記判定手段は、前記部材を前記基板本体の対向位置にセットした状態における、前記位置合わせ用マークと前記部材側位置合わせ用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材との相対位置の適否を判定する位置判定部をさらに有するようにすることができる。
【0019】
本発明は、基板本体を備え、前記基板本体が、前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点と、を含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークと、を有するプリント配線基板を提供することにより、上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、基板本体の主面の処理領域に複数の位置合わせ用マークのいずれとも非対称な非対称領域に設けられた表裏判定用マークと、表裏判定用マークに応じた位置に部材側に設けられた部材側表裏判定用マークとの位置関係に基づいて、基板本体と部材の向きの正誤を判定することができる。
【0021】
つまり、本発明に係る表裏判定用マークは非対称領域に設けられているので、基板本体の表裏や上下左右の配置方向を間違えると表裏判定用マークの位置が正規の検出位置に来ないし、位置合わせマークも表裏判定用マークの正規の検出位置には来ない。すなわち、基板本体と部材の向き(表裏及び/又は上下左右の方向、以下本明細書において同じ)が正しい場合は表裏判定用マークと部材側表裏判定用マークとが対向し、基板本体と部材の向きが誤っている場合は表裏判定用マークと部材側表裏判定用マークが対向せず、しかも位置合わせ用マークと部材側表裏判定用マークも対向しないので、この表裏判定用マークと部材側表裏判定用マークとの位置関係の違いを観察することにより、基板本体と部材の向きの正誤を検知することができる。その結果、人為的なミスによって基板本体と部材が誤った向きにセットされたことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る露光装置の概要図である。
【図2】図1の矢印II方向から見た基板本体とフォトマスクの図である。
【図3】基板本体に設けられる位置合わせ用マークの配置例を示す図である。
【図4】図2のA領域に対応する基板本体の一方主面を示す図である。
【図5】図2のA領域に対応する基板本体の他方主面を示す図である。
【図6】図4のA領域を覆うフォトマスクの一方主面を示す図である。
【図7】図5のA領域を覆うフォトマスクの他方主面を示す図である。
【図8】図4のA領域に対応する基板本体及びフォトマスクの一方主面を示す図である。
【図9】図5のA領域に対応する基板本体及びフォトマスクの他方主面を示す図である。
【図10】図8のX-X線に沿う断面図である。
【図11】図9のXI-XI線に沿う断面図である。
【図12】表裏判定用マークを含む領域の撮像画像の一例を示す図である。
【図13】フォトマスクの向きが誤ってセットされた場合の図8のX-X線に沿う断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る基板本体及びフォトマスクの、図8のX-X線に沿う断面図に相当する断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る基板本体及びフォトマスクの、図9のXI-XI線に沿う断面図に相当する断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る表裏判定用マークを含む領域の撮像画像の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るフォトマスクの向きが誤ってセットされた場合の図8のX-X線に沿う断面図に相当する断面図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係るフォトマスクの、部材側位置合わせ用マークと部材側表裏判定用マークの配置例(一方主面側を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係るフォトマスクの、部材側位置合わせ用マークと部材側表裏判定用マークの配置例(他方主面側)を示す図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る基板本体の一方主面にフォトマスクが対向配置された状態を示す図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る基板本体の他方主面にフォトマスクが対向配置された状態を示す図である。
【図22】図20のXXII-XXII線に沿う断面図である。
【図23】図21のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
【図24】本発明の第3実施形態に係るフォトマスクの表裏が誤ってセットされた場合の図20のXXII-XXII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態に係るプリント配線基板の製造方法、プリント配線基板の製造装置、及びプリント配線基板を説明する。
【0024】
本発明の第1実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、プリント配線基板の基板本体の主面に部材を用いて行われる処理工程を含むものである。本実施形態では、基板本体にフォトマスクを用いて露光処理工程を行う露光装置に、本発明に係るプリント配線基板の製造装置を適用した例を説明する。
【0025】
まず、本発明の第1実施形態に係る露光装置1000について説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態に係る露光装置1000の概要図である。本実施形態の露光装置1000は、ベースプレート101と、このベースプレート101上に設置された筐体102とを備えている。筐体102内には暗室102aが形成されており、その上面には露光処理のための照光装置140が設けられている。
【0027】
本実施形態の露光装置1000は、帯状の基板本体1を所定の搬送方向Tに沿って搬送する搬送装置103を備えている。搬送装置103は、帯状の基板本体1を搬送方向Tに沿って送り出す送り出しローラ104と、送り出された帯状の基板本体1を巻き取る巻き取りローラ105と、帯状の基板本体1に搬送のための力を作用させる駆動ローラ107と、送り出しローラ104と巻き取りローラ105との間の搬送経路に沿って帯状の基板本体1を支持するガイドローラ106a〜106lとを備えている。これらの送り出しローラ104、巻き取りローラ105、駆動ローラ107、及びガイドローラ106a〜106lは、帯状の基板本体1を保持する基板用フレーム(第1保持手段)110を構成する。ガイドローラ106eと106fは、基板本体1を所定の位置に保持する。
【0028】
本実施形態における基板本体は、厚さが10μm〜250μmの可撓性を有するポリイミド(PI)などの絶縁性基材の両主面に、銅などの金属箔が張り付けられた導体張積層板である。絶縁性基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエステル(PE)とすることができる。なお、搬送装置103により搬送される基板本体1の主面には感光材層が形成されている。
【0029】
また、本実施形態の露光装置1000は、フォトマスク20,30などの部材を保持するマスク用フレーム121と、このマスク用フレーム121を保持する第2保持手段120と、その位置を調節する位置調節装置130を備えている。本実施形態の位置調節装置130は、基板本体1の主面と平行に配置された第2保持手段120を移動させる駆動機構を有しており、図示しない制御装置の指令に基づいて、基板本体1に対する第2保持手段120の相対位置を調節する。これにより、マスク用フレーム121によって保持されているフォトマスク20,30などの部材を所望の位置にセットすることができる。
【0030】
本実施形態では、基板本体1の一方主面の露光処理に用いられる第1フォトマスク20と、基板本体の他方主面の露光処理に用いられる第2フォトマスク30の2つの異なるフォトマスクが準備されている。本実施形態において、フォトマスク20,30は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製又はガラス製である。また、本実施形態のフォトマスク20,30は透明である。
【0031】
ちなみに、本実施形態における「部材」は、フォトマスク20,30以外にも、プリント配線基板の製造工程において基板本体1と相対位置が設定されるものを含む。たとえば、本実施形態で例示するフォトマスク20,30のように露光装置1000を含むプリント配線基板製造装置の製造用部材(治具を含む)に加えて、基板本体1を補強する補強板や、基板本体1の所定領域を保護するカバーレイなどの製品の部品や、製造工程において用いられるドライレジストなどの製品の加工用材料をも含む。
【0032】
本実施形態の搬送装置103は、駆動ローラ107を駆動させることにより、帯状の基板本体1が巻回された送り出しローラ104から基板本体1を搬送方向Tに沿って送り出す。送り出された基板本体1の他端側は巻き取りローラ105に巻き取られる。搬送装置103は、基板本体1の処理領域(本例では露光領域)がフォトマスク20,30に対向する位置に来たら駆動ローラ107を停止させる。
【0033】
また、本実施形態の露光装置1000は、第2保持手段120の上方に設けられたカメラ50を備えている。具体的に、本実施形態のカメラ50は、露光処理時において、後述する基板本体1の位置合わせ用マーク13,14や表裏判定用マーク11,12などのアライメントマークに応じた位置に設けられている。基板本体1の処理領域(本例では露光領域)がフォトマスク20,30に対向する位置に来たら、カメラ50は、フォトマスク20,30と基板本体1の各マークを含む所定領域を撮像する。このカメラ50の撮像した各マークの画像データに基づいて画像処理を行い、その結果に基づいてフォトマスク20,30と基板本体1との位置合わせをすることができる。
【0034】
図2は、基板本体1の処理領域Pがフォトマスク20,30に対向する位置に来たときに、図1の矢印II方向から見た基板とフォトマスク20,30を示す図である。図2に示すように、帯状の基板本体1の長手方向には露光処理がされる複数の処理領域Pが所定間隔で形成されており、搬送装置103によって、順次フォトマスク20,30に対向する位置に送り出される。なお、本実施形態では、複数の処理領域Pが連続して設けられた帯状の基板本体1を処理する例を説明するが、一つの処理領域のみが設けられた基板本体1をバッチ処理する場合でも本実施形態に係る手法を適用することができる。
【0035】
図2に示すように、基板本体1の処理領域Pの各頂点の近傍には4つの円形の第1位置合わせ用マーク13が形成されている(図4も参照)。なお、この裏面の同じ位置にも4つの円形の第2位置合わせ用マーク14が形成されている(図5も参照)。
【0036】
位置合わせ用マーク13,14の態様は特に限定されず、基板本体1の一方主面の所定位置に凹形状の第1位置合わせ用マーク13を形成するとともに、基板本体1の他方主面の所定位置に凹形状の第2位置合わせ用マーク14を別々に形成することができる。具体的には、基板本体1の表面の金属箔の所定領域をエッチング処理で除去することにより凹部を形成することができる。
【0037】
また、基板本体1の所定位置に貫通孔を設けて第1位置合わせ用マーク13と第2位置合わせ用マーク14を同時に形成することができる。具体的には、ドリルやレーザを用いて基板本体1の所定位置を穿孔することにより貫通孔を形成することができる。
【0038】
図2の位置合わせ用マーク13,14の内側に示された部材側位置合わせ用マーク23,34は、フォトマスク20,30に設けられた位置合わせ用のマークである(図7,8も参照)。なお、フォトマスク20,30は、所定のレジストパターンが形成された処理領域を有しており、この処理領域は基板本体1の処理領域PとXY座標において同じ位置に設定されている。
【0039】
次に、図3に基づいて、基板本体1に設けられた位置合わせ用マーク13,14について説明する。図3は、位置合わせ用マーク13,14の配置例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、本実施形態の位置合わせ用マーク13,14は、フォトマスク20,30と相対位置が設定される基板本体1の主面の処理領域Pの中心を対称点Qとする点対称、又は対称点Qと処理領域Pの対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸Ra,Rbとする線対称の関係にある対称領域に形成されている。
【0041】
本実施形態では、複数の位置合わせ用マーク13,14を設けることが好ましく、これら複数の位置合わせ用マーク13,14は点対称又は線対称の関係にある一群のマーク群として構成される。図3は、位置合わせ用マーク13,14を設けることが可能な候補位置を例示するものであり、上記関係にある位置であれば図3の態様に限定されず、その数も限定されない。
【0042】
一般に、位置合わせ用マーク13,14は、互いに点対称又は線対称の位置に設けられるが、これは以下の理由による。フォトマスク20,30などの部材を用いて処理を行う場合、ワーク(基板本体1の処理領域P)の中心を基準に位置決めがなされることが望ましい。しかし、ワークの中心にアライメントマークを設けるわけにはいかないので、幾何学的にワークの中心を求めることができる位置合わせ用マーク13,14群を設定しなければならない。そうすると、位置合わせ用マーク13,14群は、ワークの中心や中心を通る軸に対して点対称又は線対称の位置に必然的に設定されることになる。
【0043】
さらに、基板本体1の位置合わせ用マーク13,14の近傍には、基板本体1とフォトマスク20,30の相対向きを判定するための表裏判定用マーク11,12が形成されている。これら表裏判定用マーク11,12の内側に示された、部材側表裏判定用マーク21,32は、フォトマスク20,30に設けられた表裏判定に用いられるマークである。ちなみに、本実施形態における基板本体1とフォトマスク20,30の「相対向きの正誤」とは、対向配置されるフォトマスク(部材)20,30と基板本体1とが向き合う面の表裏の正誤、及び対向配置されるフォトマスク(部材)20,30と基板本体1との上下左右の方向の正誤のいずれをも含む概念である。
【0044】
フォトマスク20,30が基板本体1の対向位置にセットされたときに、照光装置140が基板本体1の主面に光を照射する。これにより、基板本体1の主面に塗布された感光材が露光される。この露光処理により、フォトマスク20,30にそれぞれ描かれたパターンが基板本体1の主面に転写され、アルカリ性水溶液で現像処理が可能なレジストが形成される。
【0045】
ちなみに、本実施形態の露光装置1000は、基板本体1の両主面に処理を行う装置である。まず、露光装置1000は、基板本体1の一方主面に一方主面用の第1フォトマスク(第1部材)20を用いて第1処理を行う。次に、作業者が、第1処理がされて巻き取りローラ105に巻き取られた基板本体1を、処理面の表裏が反対になるように裏返して、再び送り出しローラ104にセットする。さらに、作業者は、一方主面用の第1フォトマスク20を、他方主面用の第2フォトマスク30に取り換える。その後、露光装置1000は、再度、基板本体1の他方主面に第2フォトマスク(第2部材)30を用いて第2処理を行う。
【0046】
作業者が、巻き取りローラ105を裏返して再び送り出しローラ104の位置にセットする場合に、基板本体1の向き(表裏及び/又は上下左右の方向)を間違えてセットしてしまう場合がある。このように、作業者が基板の表と裏を間違えると、基板と部材が誤った組み合わせでセットされたり、一方主面に重ねて接点や回路が形成されたりするので、所望のプリント配線基板を得ることができない。
【0047】
特に、基板本体1が帯状のものではなく、矩形のシート状のものである場合は、作業者がハンドリング中に基板本体1を回転させてしまい、基板本体1の上下左右の方向が変わってしまう場合がある。このように、作業者が基板又は部材の向き(表裏及び/又は上下左右の方向)を間違えると、接点や回路の位置がずれるため、所望のプリント配線基板を得ることができない。
【0048】
また、作業者が一方主面用の第1フォトマスク20と他方主面用の第2フォトマスク30とを取り違えてセットしても、接点や回路の位置がずれるため、所望のプリント配線基板を得ることができない
【0049】
この種のヒューマンエラーの発生を完全に防ぐことは困難である一方で、このようなヒューマンエラーが発生した場合には所望のプリント配線基板を得ることができず、基板や処理に用いられた材料や処理作業に費やされた労力などが無駄になるという大きな損失をもたらす。
【0050】
このため、本実施形態では、ヒューマンエラーが発生した場合でも、表裏判定用マーク11,12及び部材側表裏判定用マーク21,32に基づいて、基板本体1と部材20,30の向き(表裏及び/又は上下左右の方向)の誤りを検知する方法及び装置を提案する。
【0051】
以下において、本実施形態における基板本体1とフォトマスク20,30の相対位置の正誤及び相対向きの正誤を判定する手法を、図4〜13に基づいて説明する。
【0052】
まず、図4及び図5に基づいて、基板本体1に設けられた位置合わせ用マーク13,14及び表裏判定用マーク11,12について説明する。
【0053】
図4及び図5は、ともに図2のA領域に対応する基板本体1の主面を示す図である。図4は、基板本体1の一方主面に設けられた第1位置合わせ用マーク13と第1表裏判定用マーク11を示す図であり、図5は、基板本体1の他方主面に設けられた第2位置合わせ用マーク14と第2表裏判定用マーク12を示す図である。
【0054】
図4及び図5に示すように、本実施形態の基板本体1の一方主面には、処理領域Pの頂点付近に同一の形状及び大きさの4つの第1位置合わせ用マーク13が設けられており、他方主面の同じ位置に第2位置合わせ用マーク14が設けられている。
【0055】
本実施形態の基板本体1には、さらに、表裏判定用マーク11,12が設けられている。表裏判定用マーク11,12は、位置合わせ用マーク13,14のいずれとも点対称の関係及び線対称の関係に無い非対称領域に設けられている。同図に示す例では、基板本体1の一方主面に一つの第1表裏判定用マーク11が形成されているとともに、他方主面に一つの第2表裏判定用マーク12が形成されている。第1表裏判定用マーク11と第2表裏判定用マーク12は、表裏に別々に形成することができ、貫通孔のように表裏に同時に形成することもできる。
【0056】
図4と図5を比較すると、基板本体1の一方主面に形成された第1位置合わせ用マーク13の位置と、基板本体1の他方主面に形成された第2位置合わせ用マーク14の位置は同一である。つまり、基板本体1の一方主面の第1位置合わせ用マーク群13が示す配置パターンと、基板本体1の他方主面の第2位置合わせ用マーク群14が示す配置パターンとが一致する。これは、表裏を裏返した場合のみならず、対称点Qを中心に基板本体1をXY平面に沿って180度回転させた場合も同様である。
【0057】
本実施形態では、第1位置合わせ用マーク13及び第2位置合わせ用マーク14の位置、形状、大きさが同じであるため、第1位置合わせ用マーク13及び第2位置合わせ用マーク14によっては基板本体1の表裏や回転の有無といった基板本体1の向きを検知することはできない。
【0058】
他方、図4及び図5の第1表裏判定用マーク11と第2表裏判定用マーク12の位置を比較すると、基板本体1の一方主面に形成された第1表裏判定用マーク11のXY座標上の位置と、基板本体1の他方主面に形成された第2表裏判定用マーク12のXY座標上の位置が異なる。これは、表裏を裏返した場合のみならず、対称点Qを中心に基板本体1をXY平面に沿って180度回転させた場合も同様である。つまり、第1表裏判定用マーク11と第2表裏判定用マーク12の位置を観察することにより、基板本体1の表裏や回転の有無といった基板本体1の向きを検知することができる。
【0059】
なお、第1表裏判定用マーク11と第2表裏判定用マーク12は、それぞれ複数設けることも可能である。ただし、その場合は、同一主面に形成される表裏判定用マーク11,12が互いに非対称の関係にあることが好ましい。言い換えると、2つの表裏判定用マーク11,12の位置が、基板本体1の主面の処理領域Pの中心を対称点Qとする点対称、又は対称点Qと処理領域Pの対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸Ra,Rbとする線対称の関係に無いこと、並びに対称点Q及び対称軸Ra,Rb上に無いことが好ましい。
【0060】
2つの表裏判定用マーク11,12を対称領域に形成すると、基板本体1を裏返した場合や対称点Qを中心に基板本体1を180度回転させた場合に、上述した位置合わせ用マーク13,14と同様に、2つの表裏判定用マーク11,12の位置が一致してしまい、本実施形態の表裏判定用マーク11、12としての機能が果たせなくなるからである。
【0061】
以上に説明した位置合わせ用マーク13,14の位置は、後述するフォトマスク20,30に形成された部材側位置合わせ用マーク23,34の位置と比較され、表裏判定用マーク11,12の位置は、後述するフォトマスク20,30に形成された部材側表裏判定用マーク21,32の位置と比較される。
【0062】
次に、図6及び図7に基づいて、フォトマスク20,30に設けられた部材側位置合わせ用マーク23,34及び部材側表裏判定用マーク21,32について説明する。図6及び図7は、図4及び図5のA領域を覆うフォトマスク20,30の主面を示す図である。なお、フォトマスク20,30処理領域Pは、基板本体1の処理領域PとXY平面上において同じ位置である。
【0063】
図6は、フォトマスク20,30の一方主面に設けられた第1部材側位置合わせ用マーク23と第1部材側表裏判定用マーク21を示す図、図7は、フォトマスク20,30の他方主面に設けられた第2部材側位置合わせ用マーク34と第2部材側表裏判定用マーク32を示す図である。
【0064】
本実施形態における部材側位置合わせ用マーク23,34と部材側表裏判定用マーク21,32は、インク等で印刷により形成されている。フォトマスク20,30が透明である場合には、黒色のインクを用いることが好ましい。
【0065】
図6及び図7に示すように、部材側位置合わせ用マーク23,34は、露光装置1000の露光処理を行う基準位置に、図4及び5に示す位置合わせ用マーク13,14と、XY平面上において同じ位置になるように設けられている。このため、基板本体1に対してフォトマスク20,30を正しい対向位置にセットすると、上記基準位置において、部材側位置合わせ用マーク23,34と基板本体1の位置合わせ用マーク13,14とは対向する。
【0066】
同様に、部材側表裏判定用マーク21,32は、露光装置1000の露光処理を行う基準位置に、図4及び5に示す基板本体1の表裏判定用マーク11,12と、XY平面上において同じ位置になるように設けられている。このため、基板本体1に対してフォトマスク20,30を正しい対向位置にセットすると、上記基準位置において、部材側表裏判定用マーク21,32と基板本体1の表裏判定用マーク11,12とは対向する。
【0067】
次に、図8及び図9に基づいて、基板本体1にフォトマスク20,30が対向配置された場合の置合せ用マーク13,14と部材側位置合わせ用マーク23,34、及び表裏判定用マーク11,12と部材側表裏判定用マーク21,32について説明する。図8及び図9は、図4及び図5の基板本体1のA領域を覆うフォトマスク20,30の主面を示す図である。
【0068】
図8は基板本体1の一方主面に第1フォトマスク20が対向配置された状態の上面図、図9は基板本体1の他方主面に第2フォトマスク30が対向配置された状態の上面図である。
【0069】
基板本体1の一方主面に対して第1フォトマスク20が正しい位置(図中XY座標上の位置)にセットされた場合は、図8に示すように、第1部材側位置合わせ用マーク23と基板本体1の第1位置合わせ用マーク13とが重畳する。また、基板本体1の一方主面に対して第1フォトマスク20が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、図8に示すように、第1部材側表裏判定用マーク21と基板本体1の第1表裏判定用マーク11とが重畳する。
【0070】
同様に、基板本体1の他方主面に対して第2フォトマスク30が正しい位置(図中XY座標上の位置)にセットされた場合は、図9に示すように、第2部材側位置合わせ用マーク34と基板本体1の第2位置合わせ用マーク14とが重畳する。また、基板本体1の他方主面に対して第2フォトマスク30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、図9に示すように、第2部材側表裏判定用マーク32と基板本体1の第2表裏判定用マーク12とが重畳する。
【0071】
この状態の断面図を図10及び図11に示す。図10は図8のX-X線に沿う断面図であり、図11は図9のXI-XI線に沿う断面図である。
【0072】
図10及び図11に示す第1表裏判定用マーク11及び第2表裏判定用マーク12は、基板本体1の表面に形成された凹部で構成されている。この凹部を含む領域に光を照射すると、凹部に当たった光の反射光の強さと、その周囲の主面1A,1Bに当たった光の反射光の強さに変化が出る。光を照射した状態で、第1表裏判定用マーク11及び第2表裏判定用マーク12を含む領域を矢印A1,B1の方向に沿ってカメラ50で撮像すると、第1表裏判定用マーク11と第1部材側表裏判定用マーク21を含む撮像画像、及び第2表裏判定用マーク12と第2部材側表裏判定用マーク32を含む撮像画像を得ることができる。この撮像画像を分析することにより、両マークの位置関係に関する情報を得ることができる。
【0073】
本実施形態の露光装置1000は、撮像画像から得られた第1位置合わせ用マーク13と第1部材側位置合わせ用マーク23との位置関係、及び第2位置合わせ用マーク14と第2部材側位置合わせ用マーク34との位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対位置(図8,9中XY座標上の位置)の正誤を判定することができる。
【0074】
また、本実施形態の露光装置1000は、撮像画像から得られた第1表裏判定用マーク11と第1部材側表裏判定用マーク21との位置関係、及び第2表裏判定用マーク12と第2部材側表裏判定用マーク32の位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)の正誤を判定することができる。
【0075】
図12は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合に得られた、表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像である。基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置(図中XY座標上の位置)にセットされた場合にも、図12と同様の、位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像を得ることができる。
【0076】
なお、図12は、図10、図11に示す矢印A1に沿う方向から見た位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像、又はB1に沿う方向から見た表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像である。
【0077】
図12に示すように、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合には、表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像が重畳している旨の分析結果、又は位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像が重畳している旨の分析結果を得ることができる。
【0078】
このように、表裏判定用マーク11,12の位置と部材側表裏判定用マーク21,32の位置が重畳している場合は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向きにセットされていると判定でき、位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像が重畳している場合は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置にセットされていると判定できる。
【0079】
他方、図13に示すように、基板本体1にフォトマスク20,30の表裏が誤ってセットされた場合は、位置が合っていれば位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像が重畳した図12に示すような像を得ることができるものの、表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像が重畳した図12に示すような像を得ることはできない。
【0080】
このような場合には、基板本体1に対してフォトマスク20,30が誤った向きにセットされたと判定できる。なお、図13には、基板本体1にフォトマスク20,30の表裏が誤ってセットされた場合を例示したが、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30の上下左右の方向が相対的に誤ってセットされた場合も同様である。
【0081】
本実施形態の露光装置1000では、表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像との位置関係に基づいて、基板本体1に対してフォトマスク20,30が正しい向きにセットされたと判断してから、位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像の位置関係により、基板本体1に対するフォトマスク20,30の位置を合わせることができる。
【0082】
その結果、基板本体1を裏返す作業を含む場合に、作業者が、基板本体1に対してフォトマスク20,30の向き(表裏及び/又は上下左右の方向)を誤ってセットした場合であっても、その誤りを検知することができる。
【0083】
以上のとおり、本実施形態における表裏判定用マーク11,12は非対称領域に設けられているので、基板本体1とフォトマスク20,30の向きが正しい場合には表裏判定用マーク11,12と部材側表裏判定用マーク21,32とが対向し、基板本体と部材の向きが誤っている場合は表裏判定用マーク11、12と部材側表裏判定用マーク21,32が対向しない。したがって、この表裏判定用マーク11,12と部材側表裏判定用マーク21,32との位置関係の違いを観察することにより、基板本体と部材の向きの正誤を検知することができる。その結果、人為的なミスによって基板本体と部材が誤った向きにセットされたことを検知することができる。
【0084】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係る露光装置1000、及びプリント配線基板の製造方法を説明する。本実施形態の露光装置1000及びプリント配線基板の製造方法は、基本的に第1実施形態と共通する。重複した説明を避けるため、ここでは異なる点を中心に説明し、共通する点については第1実施形態の詳細な説明及び図面を援用する。
【0085】
図14及び図15は、本発明の第2実施形態に係る基板本体1とフォトマスク20,30の断面図であり、図14は第1実施形態において説明した図8のX-X線に沿う断面図に相当する断面図、図15は同図9のXI-XI線に沿う断面図に相当する断面図である。
【0086】
図14及び図15に示すように、第2実施形態における表裏判定用マーク11,12及び位置合わせ用マーク13,14は、断面が円形の貫通孔により形成されている。貫通孔はドリル加工やレーザ加工などの一般的な手法により形成することができる。
【0087】
また、フォトマスク20,30には、表裏判定用マーク11,12に応じた位置に貫通孔の直径よりも小さい円形の遮光性の部材側表裏判定用マーク21,32が形成されているとともに、位置合わせ用マーク13,14に応じた位置に貫通孔の直径よりも小さい円形の遮光性の部材側位置合わせ用マーク23,34が形成されている。
【0088】
本実施形態では、透明なフォトマスク20,30の所定領域を遮光するため、黒色のインクにより部材側表裏判定用マーク21,32及び部材側位置合わせ用マーク23,34が形成されている。
【0089】
フォトマスク20,30を基板本体1の対向位置に正しくセットすると、表裏判定用マーク11,12と部材側表裏判定用マーク21,32が対向し、位置合わせ用マーク13,14と部材側位置合わせ用マーク23,34とが対向する。
【0090】
基板本体1の表裏判定用マーク11,12及び位置合わせ用マーク13,14は貫通孔で構成されているので、この貫通孔を含む領域を図14及び図15に示す矢印A1及びA2の方向からカメラ50で撮像すると、貫通孔の輪郭と貫通孔の内縁よりも内側に部材側表裏判定用マーク21,32又は部材側位置合わせ用マーク23,34が存在する画像を得ることができる。具体的には、第1表裏判定用マーク11と、その内側に位置する第1部材側表裏判定用マーク21を含む二重円の撮像画像、第2表裏判定用マーク12と、その内側に位置する第2部材側表裏判定用マーク32を含む二重円の撮像画像を得ることができる。この撮像画像を分析することにより、その位置関係の情報を得ることができる。
【0091】
本実施形態の露光装置1000の判定装置70は、撮像画像から得られた第1位置合わせ用マーク13と第1部材側位置合わせ用マーク23との位置関係、及び第2位置合わせ用マーク14と第2部材側位置合わせ用マーク34との位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対位置(図8,9中XY座標上の位置)の正誤を判定することができる。
【0092】
また、本実施形態の露光装置1000の判定装置70は、撮像画像から得られた第1表裏判定用マーク11と第1部材側表裏判定用マーク21との位置関係、及び第2表裏判定用マーク12と第2部材側表裏判定用マーク32の位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)の正誤を判定することができる。
【0093】
図16は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合に得られた、表裏判定用マーク11,12の貫通孔の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像である。基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置(図中XY座標上の位置)にセットされた場合にも、図16と同様の、位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像を得ることができる。
【0094】
なお、図16は、図14、図15に示す矢印A1に沿う方向から見た位置合わせ用マーク13,14の像と部材側位置合わせ用マーク23,34の像、又はB1に沿う方向から見た表裏判定用マーク11,12の像と部材側表裏判定用マーク21,32の像である。
【0095】
図16に示すように、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合には、表裏判定用マーク11,12の貫通孔の輪郭の像の内側に部材側表裏判定用マーク21,32の像が内在する二重円を観察することができる。同様に、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置にセットされた場合には、位置合わせ用マーク13,14の貫通孔の輪郭の像の内側に部材側位置合わせ用マーク23,34の像が内在する二重円を観察することができる。
【0096】
このように、表裏判定用マーク11,12の内側に部材側表裏判定用マーク21,32が内在する場合は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向きにセットされていると判定できる。また、位置合わせ用マーク13,14の内側に部材側位置合わせ用マーク23,34の像が内在する場合は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置にセットされていると判定できる。
【0097】
他方、図17に示すように、基板本体1にフォトマスク20,30の表裏が誤ってセットされた場合は、位置合わせ用マーク13,14の内側に部材側位置合わせ用マーク23,34の像が内在する像(図16を参照)を得ることができるものの、表裏判定用マーク11,12の貫通孔の輪郭の内側に部材側表裏判定用マーク21,32の像が内在する像(図16を参照)を得ることができない。
【0098】
このような場合には、基板本体1に対してフォトマスク20,30が誤った向き(表裏又は上下左右の向き)にセットされたと判定できる。なお、図17には、基板本体1にフォトマスク20,30の表裏が誤ってセットされた場合を例示したが、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30の上下左右の方向が誤ってセットされた場合も同様である。
【0099】
また、本実施形態に係る露光装置1000は、表裏判定用マーク11,12と対向する第1の位置K1と、位置合わせ用マーク13,14と対向する第2の位置K2との間で、カメラ50を手動で往復移動させる移動機構をさらに備えている。移動機構は、具体的に、本実施形態における移動機構は、スライドレール51と、カメラ50を支持してスライドレール51を往復移動する支持体52とを有する。支持体52は、図外のロックピンを備え、位置決めされたカメラ50を少なくとも一時的に固定する。
【0100】
このように、カメラ50の移動機構を備えることにより、表裏判定用マーク11,12を撮像するカメラ50と、位置合わせ用マーク13、14を撮像するカメラ50とを共用することができるので、表裏判定用マーク11,12用のカメラ50を増設する必要がなく、設備コストを低減させることができる。
【0101】
また、スライドレール51と支持体52との簡単な手動構造の移動機構によって、カメラ50の位置を変更できるので、カメラ50の位置を自動的に変更するためのアクチュエータや制御回路などの駆動機構を必要とせず、設備コストを低減させることができる。加えて、多くの部品を備える駆動機構から生じる塵によって製品品質に悪影響を与えることも防止できる。
【0102】
図示はしないが、カメラ50には、カメラ50の位置を認識する位置センサが併設されている。カメラ50は、基板本体1の一方主面が処理面(撮像面)であるときのカメラ50の位置及び基板本体の他方主面が処理面(撮像面)であるときのカメラの位置を予め記憶している。本実施形態のカメラ50は、位置センサにより検出されたカメラ50の位置と、製造ラインの管理システムを介して入力された基板本体1の処理面の特定情報(一方主面又は他方主面の特定情報)に基づいて、予め記憶している処理面とカメラ位置との対応関係を参照して、カメラ50の位置の適否を判断する。カメラ50の位置が適当でない場合には、その旨の警報を図外のスピーカなどの出力装置を介して出力する。
【0103】
以上のように構成される本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果も奏することができる。
【0104】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態に係る露光装置1000、及びプリント配線基板の製造方法を説明する。本実施形態の露光装置1000及びプリント配線基板の製造方法は、基本的に第1実施形態と共通する。重複した説明を避けるため、ここでは異なる点を中心に説明し、共通する点については第1実施形態及び第2実施形態の詳細な説明及び図面を援用する。
【0105】
第3実施形態において、基板本体1に形成される表裏判定用マーク11,12及び位置合わせ用マーク13,14は、貫通孔により形成されている。貫通孔は第1実施形態と同様の手法により形成することができる。表裏判定用マーク11,12及び位置合わせ用マーク13,14が形成される位置は、図4及び図5に示す第1実施形態と共通する。
【0106】
図18及び図19は、本実施形態に係る、フォトマスク20,30に形成される部材側表裏判定用マーク21,32及び部材側位置合わせ用マーク23,34の配置例を示す図である。図18はフォトマスク20,30の一方主面側を示し、図19はフォトマスク20,30の他方主面側を示す。図18及び図19は、図4及び図5のA領域を覆うフォトマスクの主面を示す図である。
【0107】
同図に示すように、本実施形態に係るフォトマスク20,30には、基板本体1の表裏判定用マーク11,12に応じた位置に透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32aが形成されている。
【0108】
また、本実施形態に係るフォトマスク20,30には、透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32aに対して、基板本体1と相対位置が設定されるフォトマスク20,30の処理領域の中心を対称点Qとする点対称、若しくは対称点Qと処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸Ra,Rbとする線対称の関係にある対称領域に、遮光性の部材側表裏判定用マーク21b,32bが形成されている。
【0109】
つまり、透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32aと遮光性の部材側表裏判定用マーク21b,32bとは、対称点Qに対して点対称、又は対称軸Ra,Rbに対して線対称の関係にある。なお、第1実施形態と同様に、透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32a及び遮光性の部材側表裏判定用マーク21b,32bは、対称軸Ra,Rb上に配置しないことが好ましい。
【0110】
本実施形態においては、表裏判定用マーク11,12に応じた位置に設けられている部材側表裏判定用マーク21a,32aと、これらに対して対称領域に設けられている部材側表裏判定用マーク21b,32bと、を区別できればよいので、部材側表裏判定用マーク21a,32aと部材側表裏判定用マーク21b,32bとは、透光性/遮光性について反対の性質を備えていればよい。
【0111】
具体的には、本実施形態に係るフォトマスク20,30には、基板本体1の表裏判定用マーク11,12に応じた位置に遮光性の部材側表裏判定用マーク21a,32aを形成し、この遮光性の部材側表裏判定用マーク21a,32aに対して、基板本体1と相対位置が設定されるフォトマスク20,30の処理領域の中心を対称点Qとする点対称、若しくは対称点Qと処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸Ra,Rbとする線対称の関係にある対称領域に、透光性の部材側表裏判定用マーク21b,32bを形成してもよい。
【0112】
また、遮光性の部材側表裏判定用マーク21b,32bは、基板本体1に形成される貫通孔の開口部を覆うように貫通孔の直径よりも大きく形成されている。本実施形態では、遮光性の部材側表裏判定用マーク21b,32b及び部材側位置合わせ用マーク23b,34bを、透明なフォトマスク20,30の所定領域を遮光する黒色のインクを印刷することにより形成する。他方、透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32a及び部材側位置合わせ用マーク23a,34aを形成するにあたっては、透明なフォトマスク20,30の所定領域を透光させるために、何も設けないことにより透光性の部材側表裏判定用マーク21a,32a及び部材側位置合わせ用マーク23a,34aを形成する。
【0113】
図20は、基板本体1の一方主面1Aに第1フォトマスク20が対向配置された状態の上面図、図21は基板本体1の他方主面1Bに第2フォトマスク30が対向配置された状態の上面図である。
【0114】
図20及び図21に示すように、基板本体1の一方主面に対して第1フォトマスク20が正しい位置(図中XY座標上の位置)にセットされた場合は、第1実施形態と同様に、第1部材側位置合わせ用マーク23と基板本体1の第1位置合わせ用マーク13とが重畳する。
【0115】
また、図20に示すように、基板本体1の一方主面に対して第1フォトマスク20が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、透光性の第1部材側表裏判定用マーク21aと基板本体1の第1表裏判定用マーク11とが重畳するとともに、遮光性の第1部材側表裏判定用マーク21bと基板本体1の第1表裏判定用マーク11とは重畳しない。
【0116】
同様に、図21に示すように、基板本体1の他方主面に対して第2フォトマスク30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、透光性の第2部材側表裏判定用マーク32aと基板本体1の第2表裏判定用マーク12が重畳するとともに、遮光性の第2部材側表裏判定用マーク32bと基板本体1の第2表裏判定用マーク12は重畳しない。
【0117】
本状態の断面の状態を図22及び図23に示す。図22は図20のXXII-XXII線に沿う断面図であり、図23は図21のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。図22及び図23に示す第1表裏判定用マーク11及び第2表裏判定用マーク12は、基板本体1の表裏を貫通する貫通孔で構成されている。この貫通孔を含む領域に光L1を照射すると、貫通孔に入射した光が透明なフォトマスク20の透光性の第1部材側表裏判定用マーク21aが透過するので、光源とは反対側で貫通孔を通過した光を検知することができる。光L1は、照光装置140により照射することができる。
【0118】
本実施形態では、第1表裏判定用マーク11及び第2表裏判定用マーク12となる貫通孔の開口部に対向する位置に透光センサ60を設けているので、貫通孔を通過した光の有無を検出することができる。
【0119】
図22に示すように、基板本体1の一方主面に対して第1フォトマスク20が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、透光性の第1部材側表裏判定用マーク21aと基板本体1の第1表裏判定用マーク11とが重畳するため、光L1を照射すると、貫通孔を介して入射した光が、透光性の第1部材側表裏判定用マーク21aを透過し、透光センサ60が光を検知することができる。
【0120】
同様に、図23に示すように、基板本体1の他方主面に対して第2フォトマスク30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされた場合は、透光性の第2部材側表裏判定用マーク32aと基板本体1の第2表裏判定用マーク12とが重畳するため、光L1を照射すると、貫通孔を介して入射した光が、透明なフォトマスク20の透光性の第2部材側表裏判定用マーク32aを透過し、透光センサ60が光を検知することができる。
【0121】
このように、透光センサ60が表裏判定用マーク11、12を透過する光を検知できた場合は、基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい向きにセットされていると判定できる。基板本体1の主面に対してフォトマスク20,30が正しい位置にセットされているか否かは第1実施形態及び第2実施形態と同様の手法により判定できる。
【0122】
他方、基板本体1の他方主面に対してフォトマスク20,30が正しい向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)にセットされていない場合は、遮光性の第2部材側表裏判定用マーク32bと基板本体1の第2表裏判定用マーク12とが重畳するため、光L1を照射しても、貫通孔を介して入射した光が、遮光性の第2部材側表裏判定用マーク32bで遮光され、透光センサ60が光を検知することができない。
【0123】
具体的には、図24に示すように、基板本体1にフォトマスク20,30の表裏が誤ってセットされた場合は、位置合わせ用マーク13,14と部材側位置合わせ用マーク23,34との位置が合致するものの、光L1は遮光性の第2部材側表裏判定用マーク32bに遮られるので、透光センサ60が光を検知することができない。
【0124】
本実施形態の露光装置1000は、透光センサ60の光の検出結果から第1表裏判定用マーク11と第1部材側表裏判定用マーク21aとの位置関係、及び第2表裏判定用マーク12と第2部材側表裏判定用マーク32aの位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対向き(表裏及び/又は上下左右の方向を含む)の正誤を判定することができる。
【0125】
加えて、第1実施形態と同様に、本実施形態の露光装置1000は、透光センサ60から得られた第1位置合わせ用マーク13と第1部材側位置合わせ用マーク23との位置関係、及び第2位置合わせ用マーク14と第2部材側位置合わせ用マーク34との位置関係に基づいて、基板本体1とフォトマスク20,30の相対位置(図20,21中XY座標上の位置)の正誤を判定することができる。
【0126】
以上のように構成される本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果をも奏することができる。
【0127】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0128】
1000…露光装置,プリント配線基板の製造装置
101…ベースプレート,102…筺体,102a…暗室
103…搬送装置,104…送り出しローラ,105…巻き取りローラ,
106a〜106l…ガイドローラ,107…駆動ローラ
110…基板用フレーム,第1保持手段
120…第2保持手段
121…マスク用フレーム
130…位置調節装置
140…照光装置
1…基板本体,帯状の基板本体
1A…基板本体の一方主面
1B…基板本体の他方主面
P…処理領域
Q…対称点
Ra,Rb…対称軸
11…第1表裏判定用マーク,貫通孔
12…第2表裏判定用マーク,貫通孔
13…第1位置合わせ用マーク
14…第2位置合わせ用マーク
20…第1部材,第1フォトマスク
21,21a,21b…第1部材側表裏判定用マーク
23…第1部材側位置合わせ用マーク
30…第2部材,第2フォトマスク
32…第2部材側表裏判定用マーク
34…第2部材側位置合わせ用マーク
50…カメラ
51…スライドレール
52…支持体
60…透光センサ
70…判定装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板の基板本体の主面に部材を用いて処理が行われるプリント配線基板の製造方法であって、
前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークとが形成された基板本体を所定の位置にセットする工程と、
前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に部材側表裏判定用マークが形成された前記部材を、前記基板本体の対向位置にセットする工程と、
前記表裏判定用マークと前記部材側表裏判定用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材の相対向きの正誤を判定する判定工程と、を有するプリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法において、
前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、
前記部材には、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に前記貫通孔の直径よりも小さい遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されており、
前記判定工程は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークの前記表裏判定用マークを含む領域を撮像する工程と、前記撮像された画像に含まれる前記表裏判定用マークの像と部材側表裏判定用マークの像に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法において、
前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、
前記部材には、前記基板本体の前記表裏判定用マークに応じた位置に透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されるとともに、当該透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークに対して、前記基板本体と相対位置が設定される前記部材の処理領域の中心を対称点とする点対称、若しくは前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に、前記表裏判定用マークに応じた位置の部材側表裏判定用マークとは逆の遮光性又は透光性の部材側表裏判定用マークが形成され、
前記判定工程は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークに光を照射する工程と、前記表裏判定用マークに光を照射したときに、前記表裏判定用マークを通過する光を検出する工程と、前記光の検出結果に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する工程と、を含むプリント配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のプリント配線基板の製造方法において、
前記部材には、前記基板本体の位置合わせ用マークに応じた位置に部材側位置合わせ用マークが形成されており、
前記部材を前記基板本体の対向位置にセットする工程の後に、前記位置合わせ用マークと前記部材側位置合わせ用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材との相対位置の適否を判定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
プリント配線基板の基板本体の主面に部材を用いた処理を行うプリント配線基板の製造装置において、
前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークが形成された基板本体を、所定の位置に保持する第1保持手段と、
前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に部材側表裏判定用マークが形成された前記部材を、前記基板本体の対向位置に保持する第2保持手段と、
前記表裏判定用マークと前記部材側表裏判定用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材の相対向きの正誤を判定する表裏判定手段と、を有するプリント配線基板の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプリント配線基板の製造装置において、
前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、
前記部材には、前記基板本体の表裏判定用マークに応じた位置に前記貫通孔の直径よりも小さい遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されており、
前記判定手段は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークの前記表裏判定用マークを含む領域を撮像するカメラと、前記撮像された画像に含まれる前記表裏判定用マークの像と部材側表裏判定用マークの像に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する表裏判定部と、を有するプリント配線基板の製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載のプリント配線基板の製造装置において、
前記表裏判定用マークと対向する第1の位置と、前記位置合わせ用マークと対向する第2の位置との間で、前記カメラを往復移動させる移動機構をさらに備えるプリント配線基板の製造装置。
【請求項8】
請求項5に記載のプリント配線基板の製造装置において、
前記表裏判定用マークは、前記基板本体に貫通孔を設けることにより形成され、
前記部材には、前記基板本体の前記表裏判定用マークに応じた位置に透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークが形成されるとともに、当該透光性又は遮光性の部材側表裏判定用マークに対して、前記基板本体と相対位置が設定される前記部材の処理領域の中心を対称点とする点対称、若しくは前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に、前記表裏判定用マークに応じた位置の部材側表裏判定用マークとは逆の遮光性又は透光性の部材側表裏判定用マークが形成され、
前記判定手段は、前記基板本体の、前記表裏判定用マークに光を照射する照射装置と、前記表裏判定用マークに光を照射したときに、前記表裏判定用マークを通過する光を検出する透光センサと、前記光の検出結果に基づいて、前記基板本体と部材との相対向きの正誤を判定する表裏判定部と、を含むプリント配線基板の製造装置。
【請求項9】
請求項5〜8の何れか一項に記載のプリント配線基板の製造装置において、
前記部材には、前記基板本体の位置合わせ用マークに応じた位置に部材側位置合わせ用マークが形成されており、
前記判定手段は、前記部材を前記基板本体の対向位置にセットした状態における、前記位置合わせ用マークと前記部材側位置合わせ用マークとの位置関係に基づいて、前記基板本体と部材との相対位置の適否を判定する位置判定部をさらに有するプリント配線基板の製造装置。
【請求項10】
基板本体を備え、
前記基板本体が、前記部材と相対位置が設定される前記基板本体の主面の処理領域の中心を対称点とする点対称、又は前記対称点と前記処理領域の対向する2辺の中点とを含む直線を対称軸とする線対称の関係にある対称領域に形成された複数の位置合わせ用マークと、前記位置合わせ用マークのいずれとも前記点対称の関係及び前記線対称の関係に無い非対称領域に一つ以上の表裏判定用マークと、を有することを特徴とするプリント配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−155183(P2011−155183A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16563(P2010−16563)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】