説明

プログラマブル表示器、その表示画面の拡大方法

【課題】簡単な構成で視野角が広い表示画面拡大装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル11、背面投影型スクリーン12、フレネルレンズ13、及び液晶ディスプレイ14から成る構成で、フレネルレンズ13は、液晶ディスプレイ14上に表示される画像を拡大して背面投影型スクリーン12の背面に投影する。ユーザは、背面投影型スクリーン12の正面側から、タッチパネル11を通して、上記拡大画面を見ることができ、これは液晶ディスプレイ14の視野角に関係なく、視野角が広いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に係わり、特にその表示画面を拡大表示すると共にタッチパネルにより入力させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プログラマブルコントローラ(PLC)に関するシステムとして、当該PLC自体(コントローラ本体)と、このPLC本体と接続して制御指示や各種センサデータ等の表示を行うプログラマブル表示器とを有するシステムが知られている。
【0003】
プログラマブル表示器は、コントローラ本体(PLC本体)と接続して、コントローラ本体に接続されている各種制御対象デバイスの稼動状況を表示する画面や、あるいは各デバイスへの制御指示を与えるための入力操作画面を表示して入力を受付ける機能等を備えた操作型表示器として知られている。
【0004】
一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示・入力機能を有しており、スイッチ、グラフ、メータ等のグラフィカル表示を行い、またタッチパネルによる入力操作を受け付けている。タッチパネルを用いることで、作業員等は、上記スイッチ等のグラフィカル表示の表示位置を指でタッチすることで、所望の操作を行うことができる。
【0005】
ここで、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4の従来技術が存在する。
特許文献1は、遊技機向け装置であり、ミラーを利用して映像を反射させている。
【0006】
特許文献1には、遊技盤において、この遊戯盤の前面側に位置した遊戯者が開口を通して見た視野内に、液晶ディスプレイの画像表示面に表示された画像の拡大反射画像を形成する、レンズ部材及びミラー部材を備える構成が開示されている。
【0007】
また、特許文献2の発明は、2倍程度の拡大画像を高品位で表示可能な表示装置を提供するものである。特許文献2の表示装置は、液晶パネル、表示スクリーンと、液晶パネルに表示された画像を拡大する複数のレンズアレイと、表示スクリーンに入射される画像光の特性を改善して視認性を高めるフレネルレンズ等を有する。特許文献2では、フレネルレンズを使用しているが、その他プリズムシート等を利用して光を屈折させている。
【0008】
また、特許文献3の発明は、リアプロジェクションテレビ受像機の色品質および/またはコントラストを高める保護パネルを提供するものである。特許文献3には、リアプロジェクションテレビ受像機の構成が開示されており、一組の内部投写管、鏡、画面アセンブリを有するものである。内部投写管は、CRT、レンズアセンブリ等を有する。画面アセンブリは、内部投写管が発する画像をさらに集光し得るフレネルレンズと、画像の指向性投射を補正/制御し得るレンチキュラースクリーンとを含んでいる。
【0009】
特許文献3の装置は、プロジェクターユニット、ミラー等を有しており、映像や光をミラーで反射させ、レンチキュラースクリーンに背面より映し出している。
また、特許文献4の発明は、タッチパネル付き液晶表示装置に係り、比較的小型の液晶表示器を装備した場合にも良好な操作性を実現する。この発明のタッチパネル付き液晶表示装置では、液晶表示器の画像表示面とタッチパネルの間に、両レンズ面が凸面及び平面から成る凸レンズが介在し、凸レンズは、液晶表示器の画像表示面よりも大きく形成されて、その上記凸面を液晶表示器側に向けて配置されている。また、タッチパネルは、凸レンズの画像拡大率に応じて、液晶表示器の画像表示面よりも大きく形成されて、凸レンズの上記平面に密着して取り付けられている。特許文献4では、凸レンズを利用しており、レンズを見ることで拡大しており、投影はさせていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−51265号公報
【特許文献2】特開2000−206616号公報
【特許文献3】特開2002−55392号公報
【特許文献4】特開平8−328741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
液晶ディスプレイは、基本的に、サイズが大きくなるほど値段が高くなり、また消費電力も大きくなる。この為、上記特許文献2,4のように液晶ディスプレイ画像を拡大することが考えられており、拡大方法は主にレンズを用いることになる。これによって、ユーザは実質的に液晶ディスプレイの画面サイズよりも大きいサイズの画面を見ることができるようになる。
【0012】
しかしながら、例えば特許文献4のような単純に凸レンズで画像を拡大させただけでは、斜めから見たときに画像が歪んでしまう(あるいは画像が見えなくなる)。
あるいは、特許文献2の発明の場合、複数のレンズアレイ等より成る多くの構成要素を必要とする為、幅(厚さ)が大きくなる(装置が大型化する)、コスト高となる等の問題が生じる。
【0013】
また、特許文献1,3の発明も、装置が大型であり、幅(厚さ)が非常に大きいものである。
また、特許文献1〜4は、プログラマブル表示器に関する発明ではない。
【0014】
上述したように、プログラマブル表示器では一般的にタッチパネルが備えられている。これに対して、上記特許文献4以外の特許文献1〜3では、タッチパネルを備えた構成は開示されていない。
【0015】
タッチパネルを備える構成の場合、通常は、液晶ディスプレイの画面サイズと略同様のサイズのタッチパネルを用意し、このタッチパネルを液晶ディスプレイに重ね合わせるように設置することになる。これに対して上記拡大を行う場合には、拡大画像と略同様のサイズのタッチパネルを用いることになる。つまり、液晶ディスプレイの画面サイズよりも大きいサイズのタッチパネルを用いることになる。
【0016】
本発明の課題は、タッチパネルと液晶ディスプレイ/有機ELディスプレイを有するプログラマブル表示器において、簡単な構成で液晶ディスプレイ上/有機ELディスプレイ上の表示画像を拡大させて、この拡大画像に対応してタッチパネル入力を問題なく行うことができ、更に斜めから見たときでも画像が歪んでしまうことがないプログラマブル表示器、その表示画面拡大装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のプログラマブル表示器は、任意の画像を表示する液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイと、該液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上に表示された画像を拡大するフレネルレンズと、該液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのサイズよりも大きいサイズのタッチパネルと、その正面側に該タッチパネルが配置されると共にその背面に前記フレネルレンズによる拡大画像が投影される、前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのサイズよりも大きいサイズの背面投影型スクリーンとを有する。
【0018】
フレネルレンズと背面投影型スクリーンとの簡単な構成により、拡大画像をユーザに提供できる。ユーザは、拡大画像を参照してタッチパネルを操作する。ユーザは、背面投影型スクリーンに背面から投影された拡大画像を、その正面側から見ることになる。
【0019】
また、上記プログラマブル表示器は、例えば、制御手段を更に有し、該制御手段は、前記タッチパネル上で任意の位置が指定操作されると、このタッチパネル上の位置座標を前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上の位置座標に変換する座標変換手段と、該座標変換手段による変換後の位置座標を用いて、前記指定操作に該当する前記画像を判別する指令判別手段とを有する。
【0020】
座標変換を行うことで、ユーザが拡大画像を参照してタッチパネルを操作しても問題なく操作できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプログラマブル表示器、その表示画面拡大装置等によれば、タッチパネルと液晶ディスプレイ/有機ELディスプレイを有するプログラマブル表示器において、簡単な構成で液晶ディスプレイ上/有機ELディスプレイの表示画像を拡大させて、この拡大画像に対応してタッチパネル入力を問題なく行うことができる。更に、斜めから見たときでも画像が歪んでしまうことがない。また、画面が投影された画面であるため、斜めから見たときでも色調に影響がなく、液晶ディスプレイ/有機ELディスプレイの視野角に関係なく実質的に視野角を広くとることがでできる。また、簡単な構成であるので、装置の小型化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本例のプログラマブル表示器における表示画面拡大装置の構成例を示す図である。
【図2】本例のプログラマブル表示器の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本例のプログラマブル表示器の構成例を示す。
これは、本例のプログラマブル表示器の構成の一部を示すものであり、入力と表示に係る構成を示し、特に簡単な構成で液晶ディスプレイ14における表示画像を拡大し、この拡大画像に対応して入力を行わせる構成例を示す。換言すれば、プログラマブル表示器における表示画面拡大装置の構成例を示す。
【0024】
但し、液晶ディスプレイ14は一例であり、この例に限らず、例えば有機ELディスプレイ等であってもよい。すなわち、本例のプログラマブル表示器は、有機ELディスプレイ等における表示画像を拡大し、この拡大画像に対応して入力を行わせる構成であってもよい。従って、以下の本説明では液晶ディスプレイ14の場合を例にして説明するが、以下の説明における液晶ディスプレイ14を有機ELディスプレイに置き換えて考えてもよいことになる。
【0025】
図1に示す例では、プログラマブル表示器(その表示画面拡大装置1)は、タッチパネル11、背面投影型スクリーン12、フレネルレンズ13、及び液晶ディスプレイ14から成る。尚、表示画面拡大装置1は、既存の液晶ディスプレイ14上の表示画像を拡大してユーザに提供する為の構成であり、その意味では液晶ディスプレイ14は表示画面拡大装置1に含まれないと考えることもできる。
【0026】
タッチパネル11と液晶ディスプレイ14との間に、背面投影型スクリーン12、フレネルレンズ13が設けられている。順番としては図示の通り、タッチパネル11→背面投影型スクリーン12→フレネルレンズ13→液晶ディスプレイ14の順である。
【0027】
概略的には、液晶ディスプレイ14上に表示される任意の画像が、フレネルレンズ13によって拡大されて背面投影型スクリーン12に投影される。ユーザは、タッチパネル11を通して、背面投影型スクリーン12上の拡大画像を見ることになる。尚、当然、タッチパネル11は、透明またはほぼ透明である。
【0028】
尚、タッチパネルは、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置とを組み合わせた電子部品と定義される場合もあり、この定義に従えばタッチパネル11はタッチパッドに相当することになるが、ここでは“タッチパネル”と記すものとする。
【0029】
背面投影型スクリーン12は、“背面投影スクリーン”、“リア投影型スクリーン”、“リアプロジェクションスクリーン”等と呼ばれる、背面から投影した画像が正面から高精細に見ることができるスクリーンである。図1においては、図上右側(フレネルレンズ13側)が背面であり、図上左側(タッチパネル11側)が正面である。
【0030】
一般的な一例としては“背面投影スクリーン”をショーウィンドウのガラス等に貼り、プロジェクター等によって任意の画像をスクリーン背後から水平投影する等の使い方をする。任意の店舗内に設置されたプロジェクター等によってスクリーン背後から画像をスクリーン背面に投影することで、例えばショーウィンドウの外側(通路等)を歩いている買い物客等が、この画像を“背面投影スクリーン”の正面側から見ることができる。
【0031】
フレネルレンズ13は、よく知られているように、レンズの曲率だけを平面状に並べたレンズであり、平面でありながらレンズとして機能するので、スペースと重量を節約でき、また球面レンズではできない、口径より短い焦点距離のレンズを作ることが出来る。
【0032】
上述したように、特許文献2の発明の場合、複数のレンズアレイ等より成る多くの構成要素を必要とする為、幅(厚さ)が大きくなる(装置が大型化する)、コスト高となる等の問題が生じる。これに対して、本構成では図1に示すように、1つのフレネルレンズ13のみの簡単な構成で、液晶ディスプレイ14上の表示画像の拡大を実現でき、背面投影型スクリーン12−フレネルレンズ13間の距離を短くすることもでき、表示画面拡大装置1の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0033】
尚、フレネルレンズ13は、例えばオーバヘッド・プロジェクターのコンデンサーレンズ、LED照明レンズ、光学センサ用レンズ等に利用されている。また、フレネルレンズ13は、拡大用に限らず、収束用(縮小)用その他、様々な用途に応じたものが存在するが、本例では、拡大用を用いる。
【0034】
背面投影型スクリーン12としては、例えばフィルム状の製品が知られている。この場合、背面投影型スクリーン12は、例えばその正面側をタッチパネル11の裏側に貼り付ける形で設置される。
【0035】
フレネルレンズ13は、液晶ディスプレイ14上に表示される画像を拡大して背面投影型スクリーン12の背面に投影する。
上記のように、ユーザは、背面投影型スクリーン12の正面側から(タッチパネル11を通して)拡大画像を見ることになる。この様にスクリーン12上に映し出される画像を見る場合、視野角が非常に広いものとなる。背面投影型スクリーン12は、160度〜180度の範囲まで見えるものが実際に確認されている。そして、これは、液晶ディスプレイ14の視野角とは何等関係のないものである。
【0036】
ここで、一般的に、従来は液晶ディスプレイは視野角が狭いものであった。最近は視野角が比較的広いものが開発されているが高価であり、比較的低価格な製品は従来通り視野角が狭いものである。
【0037】
しかしながら、上記の通り、背面投影型スクリーン12上の画像を見るユーザにとっては、液晶ディスプレイ14の視野角とは何等関係なく、実質的に視野角が広いものとなる。従って、液晶ディスプレイ14は、上記比較的低価格な製品(視野角が狭いもの)であっても構わないものとなる(低コストの(視野角が狭い)液晶ディスプレイを上記液晶ディスプレイ14として用いても、ユーザにとっては実質的に視野角が広いものとなる。)。この様に、狭い視野角の液晶ディスプレイでも広角化でき、以って低コスト化を図ることができる。
【0038】
また、上述したように、特許文献4のように単純に凸レンズで画像を拡大させただけでは、斜めから見たときに画像が歪んでしまう(あるいは画像が見えなくなる)。これに対して、本装置1では、上記の通り、フレネルレンズ13によって画像を拡大して背面投影型スクリーン12に投影し、ユーザは背面投影型スクリーン12上に映し出される拡大画像を見るので、斜めから見たときでも画像が歪んでしまう(あるいは画像が見えなくなる)ようなことはない。
【0039】
ここで、図1に示す一例では、液晶ディスプレイ14は5.7インチとなっており、背面投影型スクリーン12のサイズは10.4インチであり、フレネルレンズ13は、5.7インチの画像を10.4インチの画像に拡大するものである(X方向Y方向とも、1.83倍するものである)。尚、言うまでもないが、背面投影型スクリーン12−フレネルレンズ13間の距離は、この様な拡大が行われるように適宜調整されるものである。
【0040】
また、図1の構成であれば、タッチパネル11のサイズは、背面投影型スクリーン12のサイズとほぼ同じにするので、10.4インチとなっている。
上記の通り、ユーザは、背面投影型スクリーン12の正面側から(タッチパネル11を通して)上記10.4インチの拡大画像を見ることになる。画像の内容は、プログラマブル表示器の場合、上記のようにスイッチ、グラフ、メータ等のグラフィカル表示であり、任意の制御対象機器の状態(数値;例えば温度、圧力、回転数等)を示すグラフ、メータ等の部品画像が表示され、更に何らかの操作(制御指示)を行う為のスイッチ等の部品画像が表示されるものである。
【0041】
ここで、上記の通り、図1は本例のプログラマブル表示器の構成の一部を示すものであり、他の構成も存在するものであり、例えば図2に示す制御装置(プログラマブル表示器本体とも言える)を有する。
【0042】
図2は、本例のプログラマブル表示器の構成例である。
図2に示すように、本例のプログラマブル表示器の構成の一部である制御装置20は、タッチパネル11とのインタフェース部21、液晶ディスプレイ14とのインタフェース部22、外部インタフェース部23、制御部24、メモリ25等を有する。
【0043】
タッチパネル11とのインタフェース部21は、タッチパネル11と接続しており、ユーザによるタッチパネル11上での操作位置(タッチした位置)の座標(例えばX−Y座標等)を検出して、この位置座標を制御部24に渡す。
【0044】
液晶ディスプレイ14とのインタフェース部22は、液晶ディスプレイ14に接続しており、例えば制御部24等はこのインタフェース22を介して液晶ディスプレイ14上に任意の画像(画面)を表示する。
【0045】
外部インタフェース部23は、不図示の外部の装置や通信線と接続しており、制御部24等は外部インタフェース部23を介して外部の装置との通信を行う。
メモリ25には、任意の画像データ(上記各種部品画像等)が記憶されている。また、これら各種部品画像の上記液晶ディスプレイ14での表示位置座標が記憶されている。更に予め所定の各種アプリケーションプログラムが記憶されている。
【0046】
上記メモリ25に記憶された画像データ(各種部品画像)は、プログラマブル表示器に着脱可能な(あるいは通信線等を介して接続可能な)コンピュータ装置であって上記各種部品画像を作画するための作画装置により作成され、ダウンロードされたデータである。
【0047】
尚、一般的に、この様な作画装置においては、各種部品画像自体は予め作画装置側で用意されており、ユーザが任意の1以上の部品画像を選択してこれを画面上の任意の位置に配置することで、上記液晶ディスプレイ14上に表示させるべき任意の画像(画面)が作成され、この画像データがプログラマブル表示器にダウンロードされてメモリ25に格納されることになる。
【0048】
制御部24は、CPU/MPU等であり、上記メモリ25に記憶されているアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、図示の各種機能部の機能を実現する。すなわち、画面表示部31、座標変換部32、操作指令判別部(部品画像判別部)33等の各種機能部の機能を実現する。
【0049】
まず、画面表示部31は、液晶ディスプレイ14上に所定の画像(例えば監視・制御画面)を表示する。この監視・制御画面は、上述したメモリ25に記憶されているスイッチ、グラフ、メータ、ボタン等の各種部品画像を、それぞれ、メモリ25に記憶されている表示位置座標に従って液晶ディスプレイ14上の所定の位置に配置することで形成・表示されるものである。
【0050】
尚、各種部品画像の液晶ディスプレイ14での表示位置座標は、例えば、円形の部品画像であれば、中心のX,Y座標と半径であり、例えば長方形の部品画像であれば、左上角のX,Y座標とX方向、Y方向それぞれの長さ(あるいは右下角のX,Y座標)等である。何れにしても、表示位置座標は、部品画像が占める領域の範囲を示す情報である。
【0051】
また、座標変換部32は、上記タッチパネル11上でのユーザによる操作位置座標を、液晶ディスプレイ14の位置座標(X−Y座標等)に変換する。操作指令判別部(部品画像判別部)33は、座標変換部32によって変換後の位置座標(液晶ディスプレイ14上での位置座標)に基づいて、該当する部品画像を判別し、判別した部品画像(スイッチ、ボタン等)に割り当てられているコマンド等を判別する。つまり、ユーザによる操作指令を判別するものである。
【0052】
上記のようにメモリ25には予め上記各種部品画像の液晶ディスプレイ14での表示位置座標が記憶されている。まず、座標変換部32が、タッチパネル11上での操作位置座標を、液晶ディスプレイ14での位置座標に変換する。そして、操作指令判別部33は、この変換後の位置座標を上記各部品画像の表示位置座標と比較することで、該当する部品画像を判別する。
【0053】
ここで、従来であれば、液晶ディスプレイ14のサイズが仮に上記のように5.7インチであったならば、タッチパネル11のサイズも略同一(5.7インチ)となるはずである。しかしながら、本例では画像拡大されるため、上記の一例ではタッチパネル11のサイズは10.4インチとなり、サイズが大きく異なってしまう。
【0054】
この為、本例装置では上記の通り座標変換部32によって座標変換を行っている。この座標変換の一例について、簡単な例を用いて以下に説明する。
まず、液晶ディスプレイ14のディスプレイ解像度は、一般的には例えば800×600ピクセルや1024×768ピクセル等が知られているが、ここでは説明を簡単にする為に150×100ピクセルであるものとする。これより、液晶ディスプレイ14に関しては、(X,Y)=(0,0)〜(100,150)の100×150座標系であるものとする。
【0055】
同様に説明を簡単にする為、タッチパネル11は(X,Y)=(0,0)〜(200,300)の200×300座標系であるものとする(サイズが2倍であると考えてよい)。
この例の場合、座標変換部32は、200×300座標系で検出された座標(タッチ位置座標)を、100×150座標系(表示座標)に変換することになる。これは、この例ではタッチ位置座標を(X、Y)とし、表示座標を(X,Y)とした場合、
(X,Y) = (X/2,Y/2)
によって座標変換することができる。
【0056】
つまり、この例では変換倍率が‘1/2’に設定されており、この変換倍率(1/2)をタッチ位置座標に掛ける(乗算)ことで、表示座標が算出される。尚、従来のようにタッチパネルのサイズが液晶ディスプレイのサイズと同じであれば、変換倍率を‘1’(等倍)とすることで、同様に座標変換を行うことができる。
【0057】
尚、上記変換倍率‘1/2’の例において、例えば、ユーザがタッチパネル11上の座標(160,200)をタッチ操作した場合、操作指令判別部33は、これを表示座標(80,100)に変換したうえで、該当する部品画像を判別することになる。これは、逆に言えば、元々は表示座標(80,100)に任意の部品画像(仮にスイッチとする)が表示されているが、拡大表示される為、背面投影型スクリーン12上ではタッチパネル11上の座標(160,200)に相当する位置に上記スイッチが表示されることになる。ユーザがこのスイッチを操作する場合にはタッチパネル11上の座標(160,200)の位置をタッチすることになり、上記座標変換が行われることで、このスイッチが操作されたものと正しく判別することができるようになる。
【0058】
尚、上記の例(設定された変換倍率を用いて表示座標を算出する例)に限らず、例えば予め設計者等が200×300座標系の各座標と100×150座標系の各座標とを1対1で対応付けてメモリ25に記憶しておくようにしてもよい。
【0059】
この様にして、本例の表示画面拡大装置1を有するプログラマブル表示器では、液晶ディスプレイ14上の画像が拡大・投影されて成る拡大画像に対応したタッチパネル11を操作する場合でも、何等問題なく、間違えることなく、所望のコマンド等を指定操作することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 プログラマブル表示器(その表示画面拡大装置)
11 タッチパネル
12 背面投影型スクリーン
13 フレネルレンズ
14 液晶ディスプレイ
20 制御装置
21 タッチパネルとのインタフェース部
22 液晶ディスプレイとのインタフェース部
23 外部インタフェース部
24 制御部
25 メモリ
31 画面表示部
32 座標変換部
33 指令判別部(部品画像判別部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の画像を表示する液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイと、
該液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上に表示された画像を拡大するフレネルレンズと、
該液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのサイズよりも大きいサイズのタッチパネルと、
その正面側に該タッチパネルが配置されると共にその背面に前記フレネルレンズによる拡大画像が投影される、前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのサイズよりも大きいサイズの背面投影型スクリーンと、
を有することを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
請求項1に記載されたプログラマブル表示器において、
制御手段を更に有し、
該制御手段は、
前記タッチパネル上で任意の位置が指定操作されると、このタッチパネル上の位置座標を前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上の位置座標に変換する座標変換手段と、
該座標変換手段による変換後の位置座標を用いて、前記指定操作に該当する前記画像を判別する指令判別手段と、
を有することを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項3】
請求項2に記載されたプログラマブル表示器において、
該プログラマブル表示器は外部機器を制御する制御装置と接続され、
前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上の前記表示画像として、各種部品画像を所定の位置座標に配置して成る前記制御装置を監視・制御するための監視・制御画面を表示する画面表示手段をさらに備えることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項4】
請求項3に記載されたプログラマブル表示器において、
前記部品画像は、前記制御手段に備えられた記憶手段に予め記憶された画像データであることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項5】
請求項4に記載されたプログラマブル表示器において、
前記記憶手段に記憶された画像データは、プログラマブル表示器に着脱可能な前記部品画像を作画するための作画装置により作成され、ダウンロードされたデータであることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項6】
任意の画像を表示する液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを有するプログラマブル表示器における表示画面の拡大方法であって、
前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ上の表示画像をフレネルレンズにて拡大し、
この拡大された表示画像を前記液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイのサイズよりも大きいサイズの背面投影型スクリーンに投影し、
該背面投影型スクリーンと略同サイズのタッチパネルを該背面投影型スクリーンの正面側に配置することを特徴とするプログラマブル表示器の表示画面の拡大方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−3633(P2012−3633A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139876(P2010−139876)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(591016253)発紘電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】