説明

プログラマブル表示器、プログラマブル表示器のためのプログラムおよびそれを記録した記録媒体、ならびに制御システム、制御システムのためのプログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】汎用コンピュータが有するアプリケーションプログラムやデータファイルを利用することができるプログラマブル表示器を提供する。
【解決手段】プログラマブル表示器2におけるVNCクライアント部211は、ユーザによる入力操作などのトリガ条件をサーバコンピュータ3に送信する。サーバコンピュータ3におけるイベントマネージャ32は、予め定められているバッチコマンドから、その入力イベントに応じたバッチコマンドを実行して指定されアプリケーション部33のアプリケーションプログラムを起動する。起動されたアプリケーションプログラムは、記憶装置37のデータファイルを開く。VNCサーバ部36は、表示処理部38によって表示された画像データをVNCクライアント部211に送信する。VNCクライアント部211は、受信した画像データを表示処理部212に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバコンピュータとネットワーク接続されたプログラマブル表示器にサーバコンピュータに表示される情報を表示させることができるプログラマブル表示器およびそれを備えた制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、ホストコントローラ(PLC、インバータ、温調計など)とのインタフェースを備えており、ホストコントローラに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯などを表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。
【0003】
このようなプログラマブル表示器は、例えば、生産現場においては、一般に生産業務に携わるオペレータなどによって操作される。制御システムに何らかの問題が生じた場合には、問題によってはオペレータで対処することが難しい場合があるため、そのような場合に制御システムの管理責任者が問題の解決に当ることがある。しかしながら、管理責任者は、解決すべき問題が生じる度に現場に出向いて、プログラマブル表示器に表示された画面で制御システムの状況を確認しなければならないという煩わしさがある。
【0004】
あるいは、生産ラインの管理責任者が生産ラインの稼働状況を監視したい場合にも同様に、管理責任者が現場に出向いて、プログラマブル表示器に表示された画面で制御システムの状況を確認しなければならないという煩わしさがある。
【0005】
このような不都合を解消するため、例えば、特許文献1に開示されたように、プログラマブル表示器が設置された現場から離れた場所で、プログラマブル表示器に表示される画面と同じ画面を見ることや、表示された画面上でプログラマブル表示器と同様に操作することができる技術が開示されている。この技術では、サーバコンピュータにおいて、画面データを変換して作成したアプレット(Java(登録商標)アプレット)をインターネットを介してクライアント装置に送信する。クライアント装置は、受信したアップレットを実行することにより、プログラマブル表示器で表示する画面と同じ画面をブラウザで表示し、表示した画面上でプログラマブル表示器と同様にPLCへの指示などの操作することができる。
【特許文献1】特開2002−91510号公報(2002年3月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術では、クライアント装置のようなプログラマブル表示器と離間して配置されたコンピュータにおいて、プログラマブル表示器と同様の画面表示や操作を実現することができる。しかしながら、逆に、上記の技術では、プログラマブル表示器から上記のコンピュータを操作することはできない。
【0007】
プログラマブル表示器は、LANなどのネットワークと接続可能に構成されることから、ネットワークが構築された環境下において、汎用のパーソナルコンピュータなどで構成されるサーバコンピュータとデータ通信を行うように設置されることがよくある。ところが、プログラマブル表示器は、サーバコンピュータとデータの送受信を行うのみであり、サーバコンピュータにインストールされている各種のアプリケーションプログラムやデータファイルを利用することができない。
【0008】
このため、プログラマブル表示器が設置されている現場に、アプリケーションプログラムやデータファイルを有するパーソナルコンピュータをやむを得ず設置することがある。一般の電子機器にとって環境が良好であるとはいえない生産現場においては、耐環境性を備えたプログラマブル表示器が支障なく動作するが、耐環境性を備えていないパーソナルコンピュータは故障や誤動作が生じ易いという不都合がある。
【0009】
また、狭い現場においては、プログラマブル表示器以外の機器を設置することになり、作業環境の悪化を招くという不都合もある。プログラマブル表示器は、操作盤として装置に組み込まれることが多いので、水平面の設置スペースをあまり必要としないが、パーソナルコンピュータは、小型であっても机のような設置台を必要とする。このため、省スペース化や制御システムの維持管理コスト低減を図る上でも、パーソナルコンピュータを生産現場に持ち込むことは好ましくない。
【0010】
また、このような余分な機器を導入しないように、パーソナルコンピュータで用いるアプリケーションプログラムをプログラマブル表示器に移植することも考えられるが、パーソナルコンピュータとのハードウエア構成の相違によって、多大な開発工数を必要とする。また、アプリケーションプログラムをプログラマブル表示器に移植できたとしても、CPUの能力やメモリ容量の制限が影響して、正常に使用できないことが多い。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、汎用コンピュータが有するアプリケーションプログラムやデータファイルを利用することができるプログラマブル表示器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るプログラマブル表示器は、制御装置と相互に通信することによって、画面上での操作にしたがって制御装置への制御指示を与えるとともに、当該制御装置の制御状態を表示するプログラマブル表示器において、上記の課題を解決するために、ネットワークを介した接続が確立した状態で表示している画像の画像データを接続先の機器に送信するとともに、当該機器から送信されたトリガに応じて指定されたアプリケーションプログラムを動作させる機能を有するサーバコンピュータへ接続要求するとともに、受け付けたトリガを前記サーバコンピュータに送信する送信手段と、前記サーバコンピュータにおいて前記アプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像の画像データを前記サーバコンピュータから受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを表示する表示処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成では、プログラマブル表示器の送信手段によって、サーバコンピュータに送信要求が送信されると、サーバコンピュータが、プログラマブル表示器との接続を確立することにより、表示している画像の画像データをプログラマブル表示器に送信する。また、プログラマブル表示器の送信手段によって、トリガがサーバコンピュータに送信されると、サーバコンピュータが、当該トリガに応じて指定されたアプリケーションプログラムを動作させて、アプリケーションプログラムの動作によって表示される画像の画像データをプログラマブル表示器に送信する。プログラマブル表示器において、受信手段によって当該画像データが受信されると、その画像データが表示処理手段によって表示される。
【0014】
これにより、サーバコンピュータにおいてアプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像、すなわちアプリケーションプログラムによって開かれたファイルの画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。
【0015】
上記のアプリケーションプログラムは、例えば、下記の(1)ないし(4)のいずれかのアプリケーションプログラムであることが好ましい。
(1)前記画面を作成する画面作成プログラム
(2)前記制御装置による制御手順を定めるシーケンスプログラムを作成するエディタプログラム
このエディタプログラムは、前記制御装置によるシーケンスプログラムの実行状況をモニタする機能を有することが好ましい。
(3)データファイルを表示するための表示プログラム
(4)プログラマブル表示器に備えられた、所定の配信条件を満たすと前記制御装置からのデータを前記サーバコンピュータに配信するデータ配信手段からサーバコンピュータに配信されたデータを処理するデータ処理プログラム
アプリケーションプログラムが(2)ないし(4)のアプリケーションプログラムであるプログラマブル表示器については、前記トリガが前記制御装置において生じたもの(例えば制御状態の変化)であることが好ましい。これにより、制御装置が稼働中に発生したトリガによって自動的にアプリケーションプログラムを動作させることができる。この結果、例えば、制御装置で発生したアラームをトリガとして、アラームに対処するためのマニュアルを記載したドキュメントを表示するためのアプリケーションプログラムを動作させて、マニュアルを表示させるといったことが可能となる。
【0016】
また、アプリケーションプログラムが(1)のアプリケーションプログラムであるプログラマブル表示器については、前記トリガが前記画面作成プログラムに前記画面を前記制御装置へダウンロードさせる指示であることが好ましい。これにより、例えば、プログラマブル表示器におけるユーザの操作をトリガとして、画面を画面作成プログラムからプログラマブル表示器にダウンロードすることができる。
【0017】
また、アプリケーションプログラムが(2)のアプリケーションプログラムであるプログラマブル表示器については、前記トリガが前記エディタプログラムに前記ラダープログラムを前記制御装置へダウンロードさせる指示であることを特徴とすることが好ましい。これにより、例えば、プログラマブル表示器におけるユーザの操作をトリガとして、ラダープログラムをエディタプログラムから制御装置にダウンロードすることができる。
【0018】
また、アプリケーションプログラムが(3)のアプリケーションプログラムであるプログラマブル表示器については、前記トリガが前記表示プログラムに前記データファイルを前記プログラマブル表示器または前記制御装置へダウンロードさせる指示であることが好ましい。これにより、例えば、プログラマブル表示器におけるユーザの操作をトリガとして、データファイルを表示プログラムからプログラマブル表示器または制御装置にダウンロードすることができる。
【0019】
本発明のプログラマブル表示器のためのプログラムは、前述のように構成される各プログラマブル表示器を実現するコンピュータを前記各手段として機能させるためのプログラムである。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。これにより、プログラマブル表示器が当該プログラムにしたがって動作することにより、前述のように、サーバコンピュータにおいてアプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。
【0020】
本発明の制御システムは、前記データ配信手段を備えたプログラマブル表示器を除く前記のいずれかの構成のプログラマブル表示器と、前記制御装置と、前記ネットワークと、前記サーバコンピュータとを備え、前記サーバコンピュータが、前記トリガとしての入力イベントに応じて指定された前記アプリケーションプログラムを動作させるプログラム制御手段と、動作するアプリケーションプログラムによって開かれたファイルを表示するファイル表示処理手段と、前記送信手段からの接続要求に応じて表示処理手段によって表示されたファイルの内容を示す画像の画像データを前記受信手段に送信するサーバ手段とを備えていることを特徴としている。
【0021】
この制御システムにおいては、入力イベント、例えばユーザによる入力操作がプログラマブル表示器の送信手段からサーバコンピュータに送信されると、サーバコンピュータのプログラム制御手段によって、入力イベントに応じて指定されたアプリケーションプログラムが動作する。アプリケーションプログラムが動作することによってファイルがファイル表示処理手段によって表示される。また、接続要求がプログラマブル表示器の送信手段からサーバコンピュータに送信されると、サーバコンピュータのサーバ手段によって、表示されているファイルの画像の画像データをプログラマブル表示器に送信する。プログラマブル表示器においては、前述のように、受信手段によって当該画像データが受信されると、その画像データが表示処理手段によって表示される。
【0022】
このような動作によって、前述のように、サーバコンピュータにおいてアプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。
【0023】
また、他の制御システムは、前記データ配信手段を備えたプログラマブル表示器と、前記制御装置と、前記ネットワークと、前記サーバコンピュータとを備え、前記サーバコンピュータが、前記プログラマブル表示器からのデータの配信を前記トリガとして、前記プログラマブル表示器から配信されてきたデータを前記データ処理プログラムに処理させる処理制御手段と、動作する前記データ処理プログラムによって開かれているファイルを表示するファイル表示処理手段と、前記送信手段からの接続要求に応じて表示処理手段によって表示されたファイルの内容を示す画像の画像データを前記受信手段に送信するサーバ手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】
この制御システムにおいては、データがプログラマブル表示器のデータ配信手段からサーバコンピュータに配信されると、サーバコンピュータの処理制御手段によって、配信されてきたデータがデータ処理プログラムによって処理される。すると、動作しているデータ処理プログラムによって開かれたファイルがファイル表示処理手段によって表示される。また、接続要求がプログラマブル表示器の送信手段からサーバコンピュータに送信されると、サーバコンピュータのサーバ手段によって、表示されているファイルの画像の画像データをプログラマブル表示器に送信する。プログラマブル表示器においては、前述のように、受信手段によって当該画像データが受信されると、その画像データが表示処理手段によって表示される。
【0025】
このような動作によって、前述のように、サーバコンピュータにおいてデータ処理プログラムがデータを処理することによって表示される画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。
【0026】
本発明の制御システムのためのプログラムは、前記の2つの制御システムのいずれかにおける前記サーバコンピュータを実現するコンピュータを前記サーバコンピュータの各手段として機能させる。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。これにより、前述のように、サーバコンピュータにおいてアプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るプログラマブル表示器は、以上のように、前述の送信手段と、受信手段と、表示処理手段とを備えることによって、サーバコンピュータにおいてアプリケーションプログラムが動作することで表示される画像をプログラマブル表示器においても表示することができる。これにより、アプリケーションプログラムを利用するために、プログラマブル表示器が設置された現場にアプリケーションプログラムをインストールしたコンピュータを別途設置する必要がない。この結果、省スペース化や制御システムの維持管理コスト低減を図ることができるという効果を奏する。また、アプリケーションプログラムをプログラマブル表示器に移植する必要もないため、そのために多大な開発工数を生じさせることや、移植後のアプリケーションプログラムが正常に使用できないことを回避できる。この結果、プログラマブル表示器を含むメンテナンスを効率的に行うことができるという効果をも併せて奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、プログラマブル表示器2と、サーバコンピュータ3と、ネットワーク4と、PLC5とを備えている。
【0030】
プログラマブル表示器2は、ネットワーク4を介してサーバコンピュータ3と接続されている。ネットワーク4は、共通の通信プロトコル(共通通信プロトコル)で通信を行うことが可能なイーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットを含むような通信ネットワークである。
【0031】
PLC5は、ユーザが作成したシーケンスプログラム(ラダープログラムなど)にしたがって、例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力ユニットを介して入力用のデバイス6の状態を取り込むとともに、出力用のデバイス6に制御指示を与える。
【0032】
入力用のデバイス6としては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力用のデバイス6としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス6は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置されて、制御システム1の一部を構成している。
【0033】
なお、デバイス6は、後述するタッチパネル25から手動で入力されたデータを格納するためのデータメモリ(図示せず)における特定の領域であってもよい。また、デバイス6は、PLC5内のメモリにおける特定の領域であってもよい。
【0034】
PLC5内のメモリ(デバイスメモリ)は、デバイス6の状態(デバイス6からの出力値やデバイス6への設定値)を示すデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで特定される領域に格納している。上記メモリにおいて、ワードデバイスとビットデバイスとが設定される。ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータを格納する領域として設定され、ワードアドレス(デバイスアドレス)で指定される。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを格納する領域として設定され、ビットアドレス(デバイスアドレス)で設定される。このような設定により、メモリ内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをデバイスアドレスを指定してアクセスするだけでデバイス6を制御し、またはその状態に関する情報を個別に取り出すことができる。
【0035】
以降の説明では、デバイスアドレスを適宜、アドレスと称する。
【0036】
プログラマブル表示器2は、CPUなどの演算処理装置を備えており、ユーザが作成した入力操作および表示用の画面データを表示することによりプログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータである。制御システム1のHMI機器として好適に使用されるプログラマブル表示器2は、後述する処理規定情報(タグ)を組み合わせて決定される画面データに基づいて、デバイス6の状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイス6の状態を制御するときの動作を特定する。
【0037】
このプログラマブル表示器2は、通信ケーブル7を介したPLC5との通信により、PLC5を介して表示画面に状態を表示する各デバイス6の状態を取得し、例えば、後述のディスプレイ24に各デバイス6の状態を表示する機能を有する。また、プログラマブル表示器2は、後述のタッチパネル25への操作に応じて、デバイス6へデバイスの状態制御を指示する機能を有する。
【0038】
なお、デバイス6の状態の取得/変更は、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器2内に一時的なメモリ空間を用意し、取得/変更時には、当該メモリ空間へアクセスするとともに、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC5と通信して各々のアドレスが割り当てられた実体と同期を取ってもよい。
【0039】
プログラマブル表示器2は、上記の機能を実現するために、HMI制御部21と、メモリ部22と、VRAM23と、ディスプレイ24と、タッチパネル25と、入力装置26と、インターフェース部(図中、I/F)27,28と、パススルー機能部29とを備えている。以下、プログラマブル表示器2の主要各部について詳細に説明する。
【0040】
VRAM23は、メモリ部22のデータメモリ222から呼び出された画面データのイメージをディスプレイ24に表示するために、水平方向に表示される順にドットデータとして格納する。ディスプレイ24は、プログラマブル表示器2を薄型に構成するために、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどのような平板型ディスプレイが好適に用いられる。タッチパネル25は、ディスプレイ24の表示画面上でタッチ入力を行うために設けられている。
【0041】
入力装置26は、キーボードやマウスなどのプログラマブル表示器2に着脱可能に外部接続される入力装置である。この入力装置26は、サーバコンピュータ3における後述のアプリケーション部33の各アプリケーションプログラムを実行したときに行う操作のために好適に用いられる。
【0042】
インターフェース部27は、プログラマブル表示器2がサーバコンピュータ3およびサーバコンピュータ3との間の通信を行うための通信制御部であり、ネットワーク4に接続されている。このインターフェース部27は、サーバコンピュータ3のIPアドレスに基づくネットワーク通信を行うことができるように構成される。
【0043】
一方、インターフェース部28は、プログラマブル表示器2がPLC5との間の通信を行うための通信制御部である。このインターフェース部28は、PLC5がシリアル通信を行う機種である場合にシリアル通信制御を行う一方、PLC5がネットワーク通信を行う機種である場合にネットワーク通信を行うように構成されている。インターフェース部28は、シリアル通信制御を行う場合、PLC5のメーカや機種に応じた通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0044】
パススルー機能部29は、PLC5とサーバコンピュータ3との間の通信(シリアル通信やネットワーク通信など)をプログラマブル表示器2内でパススルーして行う通信ポートである。このパススルー機能部29は、プログラマブル表示器2がPLC5からインターフェース部28を介して受信したデータをそのままサーバコンピュータ3に送信するので、サーバコンピュータ3から見て、あたかもPLC5の通信ポートであるかのように振る舞う。
【0045】
メモリ部22は、作業メモリ221と、データメモリ222とを含んでいる。
【0046】
作業メモリ221は、例えば、DRAMによって構成されており、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC5との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。特に、DRAMは、PLC5のメモリに格納されるデバイス6の状態(デバイスアドレスの内容)をPLC5のメモリとの間で受け渡しするための状態メモリ領域を有している。
【0047】
また、作業メモリ221は、サーバコンピュータ3から伝送された画像データを一時的に退避・複写する領域としても利用される。ここで、この特定の領域はリングバッファ状に配され、一定の容量で最新の画像データを退避・複写している。
【0048】
データメモリ222は、画面データ、上記の通信プロトコルなどを格納するためのメモリであり、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)が用いられる。FEPROMは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであるので、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0049】
画面データは、プログラマブル表示器2に表示される1つ以上のユーザ画面(1フレーム分の画面データによって構成される単位画面)のデータをまとめた画面ファイルである。画面データは、通常、ターゲットシステムやターゲットシステムで製造される製品などに応じた一連の関連する複数の画面データがひとまとまりのプロジェクトファイルとして用意される。
【0050】
プログラマブル表示器2は、上記のプロジェクトファイルから各画面番号に付与される固有の画面番号に基づいて1つの画面データを選択して、その画面データに基づいてユーザ画面を表示する。
【0051】
上記の画面データは、ディスプレイ24に表示すべきベース画面や部品のデータおよび各部品に付与された後述する処理規定情報などを含んでいる。この画面データは、図形データ部およびアドレスデータ部を含んでいる。図形データ部は、ユーザが作成したマークについての図形データや選択された部品を格納し、アドレスデータ部は、図形データ部に対応するように、入力されたマークや部品について、前記のアドレスおよびアドレスに対応するコメントを格納している。具体的には、図形データ部におけるマークや部品の個々は、アドレスデータ部においてそれぞれ対応するコメントおよびアドレスと対応付けられている。
【0052】
コメントとしては、デバイス6の動作状態(起動、停止等)のような事象名や、スイッチに対応するSWやランプに対応するLAMPのようなデバイス6に対応する符号や、操作指示や、制御対象となる物理量などが挙げられる。また、コメントは、変数として扱うこともできる。このように定義されるコメントは、デバイス6に対応する所望のデバイスアドレスに予め対応付けられている。
【0053】
上記の処理規定情報(タグ)は、ユーザ画面に関連して行われる各種の処理を規定する。この処理規定情報は、ベース画面上で実行されるべき事象毎に作成されており、基本的には、表示処理を実行すべきベース画面のファイル番号(画面番号)と、このベース画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名と、各実行事象毎に参照される1または複数のデータからなる参照情報とを一組として備えている。
【0054】
本実施の形態に係るプログラマブル表示器2では、上記のタグとして、ベース画面上の領域(表示範囲)とその領域への表示に対応するデバイスのデバイスアドレスとの対応を示す表示タグ、および画面上の領域(入力範囲)とその領域へのタッチ入力に対応するアドレスとの対応を示すタッチ入力タグが規定されている。さらに、本実施形態では、各タグは、複数のユーザ画面の少なくとも1つと関連付けることができる。
【0055】
さらに、画面データは、サーバコンピュータ3の後述するVNCサーバ36から取得した画像データを表示するための領域(VNC表示領域)を定める座標などの表示領域データを含んでいる。また、この画面データは、VNC表示領域に画像データを表示するためのトリガの条件(トリガ条件)などを含んでいる。トリガ条件としては、例えば、ユーザ画面上の所定のスイッチがタッチされることや、PLC5の所定のビットアドレスのビットデータの変化などが挙げられる。
【0056】
HMI制御部21は、HMI制御プログラムをプログラマブル表示器2が備えるCPUなどの演算処理手段に実行させることにより実現される機能ブロックである。上記のHMI制御プログラムは、プログラマブル表示器2と分離可能に構成される記録媒体にも記録可能であり、その記録媒体からプログラマブル表示器2にインストールされてもよい。HMI制御プログラムは、プログラマブル表示器2の機種に応じた機能を発揮させるために、機種毎に個別に用意されている。
【0057】
上記の記録媒体は、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0058】
また、本制御システム1が、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能に構成されていれば、当該通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めプログラマブル表示器2に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0059】
このHMI制御部21は、ユーザ画面の表示制御、ユーザ画面を介した入力操作の制御、PLC5などの接続機器との通信の制御といったHMI機能の中心的な制御動作を行う。また、HMI制御部21は、VNC(Virtual Network Conputing)クライアント部211、表示処理部212、入力処理部213およびデータ配信部214を有している。
【0060】
VNCクライアント部211は、サーバコンピュータ3と通信可能に接続して、サーバコンピュータ3の後述するVNCサーバ36と通信を行う。VNCクライアント部211は、この通信によって、VNCサーバ36へ接続を要求したり、VNCサーバ36から取得した画像データを表示処理部212に渡したり、入力処理部213からのトリガ条件をVNCサーバ36へ送信したり、プログラマブル表示器2のIDを送信したりする。VNCクライアント部211は、上記の処理を行うために、サーバコンピュータ3を遠隔操作するためのVNCのクライアント機能を有している。プログラマブル表示器2は、上記のVNCクライアント部211を備えることにより、リモートアクセスクライアントとして機能する。
【0061】
表示処理部212は、デバイス6の状態を取得してユーザ画面に表示する処理を行う。この表示処理部212は、PLC5内のメモリに設定される前述のビットデバイスまたはワードデバイスが示す状態情報のうち、必要な情報を適時に作業メモリ221に読み込む一方、上記の表示タグを繰り返し読み出して、表示タグで指定された表現形式の部品を読み出した値に応じた形態で画面上の指定された領域へディスプレイ24に表示させる。これによって、ビットデバイスまたはワードデバイスの状態の変化に応じて変化する表示動作が実行され、PLC5から取得したデバイス6の状態がユーザ画面における部品の表示状態に反映される。また、表示処理部212は、VNCクライアント部211が受信したVNCサーバ36からの画像データを画面データに設けられた前述のVNC表示領域に表示する。
【0062】
入力処理部213は、ユーザ画面上でのタッチパネル25を介した入力(タッチ入力や数値入力)によってデバイス6に制御指示を与える処理を行う。この入力処理部213は、前述の入力タグを繰り返し読み出して、入力タグにおける参照情報に含まれる、ユーザ画面の所定の領域における入力位置を特定するための範囲(入力が有効となる有効入力座標範囲)、およびタッチパネル25の操作(数値入力操作、ON/OFF操作など)を特定する事象名などで特定される内容の動作をPLC5内のメモリにビットデバイスまたはワードデバイスとして設定する。例えば、数値入力操作であれば、ワードデバイスに制御指示として数値データなどが書き込まれ、ON/OFF操作であれば、ビットデバイスに制御指示として新たなビットの状態が書き込まれる。これによって、PLC5において、設定された制御指示が上記の動作として実行され、デバイス6の状態が変化する。また、入力処理部213は、サーバコンピュータ3から画像データを取得するための前述のトリガ条件をVNCクライアント部211に渡す。
【0063】
データ配信部214は、予め指定された条件が満たされると、指定されたデータ配信元からデータ配信先にデータを配信する。データ配信元およびデータ配信先となる機器は、例えば、PLC5、プログラマブル表示器2(自機または他機)、サーバコンピュータ3を含むネットワーク4に接続される機器である。配信条件としては、例えば、所定時間毎、ビットデバイスのビットの変化(ONからOFFまたはOFFからON)、プログラマブル表示器2の電源投入時などが挙げられる。
【0064】
また、データ配信部214は、PLC5がシリアル通信をする機種である場合、PLC5の通信プロトコルをネットワーク4での通信プロトコルに変換する。具体的には、データ配信部214は、データメモリ222などに格納されているプロトコル変換データを参照しながら、送信データにおける命令コードの変換や引数の変換あるいは伝送時の制御コードの変換などのプロトコル変換を行って、サーバコンピュータ3とプログラマブル表示器2に接続されたPLC5との通信を中継する。
【0065】
続いて、サーバコンピュータ3について説明する。サーバコンピュータ3は、一般の汎用パーソナルコンピュータと同様に、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有している。また、サーバコンピュータ3は、インターフェース部(図中、I/F)31、イベントマネージャ32、アプリケーション部33、データコレクタ34、データ処理プログラム35、VNCサーバ36、記憶装置37、表示処理部38、VRAM39および仮想COM40を備えている。
【0066】
インターフェース部31は、プログラマブル表示器2との間の通信を行うためにネットワーク4に接続されている。
【0067】
イベントマネージャ32は、予め定められているバッチコマンドから、プログラマブル表示器2のVNCクライアント部211から送信されてくるトリガ条件を入力イベントとしてとらえ、その入力イベントに応じたバッチコマンドを指定して実行する。具体的には、イベントマネージャ32は、バッチコマンドを実行することによって、アプリケーション部33における各アプリケーションプログラムのうち指定されたアプリケーションプログラムを起動する。例えば、プログラマブル表示器2において表示されているユーザ画面上でのタッチ入力によって指定されたPDFファイルを開くといった処理を行う。
【0068】
アプリケーション部33は、イベントマネージャ32によって起動される各種のアプリケーションプログラムとして、画面エディタ331、ラダーエディタ332、ビューワ333、ブラウザ334を含んでいる。
【0069】
画面エディタ331は、ユーザ独自の画面であるユーザ画面を作成できるように、スイッチ、ランプ、テンキー、各種表示器(例えば、数値表示器、メータ表示器およびグラフ表示器)などの部品、各種のタグ設定機能、描画機能、テキスト入力機能などを備えている。画面エディタ331は、ユーザによって作成された画面データを記憶装置37にファイル形式で保存し、必要に応じてプログラマブル表示器2にダウンロードする。
【0070】
また、画面エディタ331は、ユーザのマウス操作などによってベース画面上に指定された範囲を前述のVNC表示領域として定め、これによって決定した座標などの表示領域データを画面データに持たせる。また、画面エディタ331は、ユーザによって設定された前述のトリガ条件も画面データに持たせる。
【0071】
ラダーエディタ332は、デバイス6が所望のシーケンスにしたがって動作するようにPLC5の制御手順を定める前述のラダープログラムを作成するためのプログラミングソフトウェアである。このラダーエディタ332は、サーバコンピュータ3の図示しないディスプレイの表示画面上でデバイス6に対応するラダー記号や演算処理などの各種処理を表すラダー記号を配置してラダー図(ラダープログラム)を作成できるように構成されている。また、ラダーエディタ332は、アドレスとユーザにより設定されたコメント(変数)との対応付けを行う。この割り付けの結果は、ラダープログラムの一部として保存される。ラダーエディタ332は、ユーザによって作成されたラダープログラムを記憶装置37にファイル形式で保存し、必要に応じてPLC5にダウンロードする。
【0072】
また、ラダーエディタ332は、PLC5におけるラダープログラムの実行状況を表示するラダーモニタ機能を有している。このため、ラダーエディタ332は、サーバコンピュータ3の仮想COM40とプログラマブル表示器2のパススルー機能部29とを介してPLC5と通信を行って、PLC5からデバイスデータを取得する。
【0073】
ビューワ333は、記憶装置37に保存されているデータファイルの内容を表示するソフトウエアである。ビューワ333としては、PDFファイル、CADファイル、テキストファイルなどの各種のデータファイルを表示するためのソフトウエアが用意されている。
【0074】
ブラウザ334は、インターネット上のWebサーバで公開されているデータファイルをダウンロードして、表示したり再生したりするためのソフトウエアである。
【0075】
データコレクタ34は、プログラマブル表示器2のデータ配信部214から配信されたデータを収集するため、データ処理プログラム35に収集したデータを処理させて、配信データファイルとして記憶装置37に保存させる。また、データコレクタ34は、ポーリングを行って、プログラマブル表示器2などからの送信要求の有無を問い合わせる。
【0076】
データ処理プログラム35は、データコレクタ34から渡されたデータを処理するためのアプリケーションプログラムである。データ処理プログラム35としては、例えば、表計算プログラムなどが用意されている。表計算プログラムをデータ処理プログラム35として用いる場合、データコレクタ34によって収集されたデータを指定されたセルに指定された順で書き込んだり、データをグラフ化したりといった処理が行われる。
【0077】
表示処理部38は、イベントマネージャ32によって起動されたアプリケーションプログラムによって開かれたファイルを表示したり、データコレクタ35によって起動されたデータ処理プログラムによって開かれた配信データファイルを表示したりするために、ファイル内容の画像をVRAM39に展開して表示する。
【0078】
仮想COM40は、ラダーエディタ332がPLC5と接続(ハンドシェイク)するときに、通常の通信経路ではなくプログラマブル表示器2のパススルー機能部29を介して通信を行うようにデータ伝送を制御する。この仮想COM40を用いることにより、ラダーエディタ332とPLC5との間で、仮想COM40、パススルー機能部29およびインターフェース部28を介した通信が行われる。
【0079】
VNCサーバ36は、前述のVNCクライアント部211とVNCプロトコルで通信する。このVNCサーバ36は、VNCクライアント部211からの画像データの送信要求に応じて、現在表示している画像のうち指定された領域の画像の画像データをVRAM39から読み出してVNCクライアント部211に送信する。また、VNCサーバ36は、表示内容が更新された場合、変化分(差分)の画像データのみをVNCクライアント部211に送信する。
【0080】
上記のイベントマネージャ32、データコレクタ34、VNCサーバ36、表示処理部38および仮想COM40はプログラムであり、サーバコンピュータ3が実行することによって実現される機能ブロックである。イベントマネージャ32、データコレクタ34、VNCサーバ36、表示処理部38および仮想COM40は、サーバコンピュータ3と分離可能に構成される記録媒体に記録可能であり、この記憶媒体からサーバコンピュータ3にインストールすることが可能である。この記録媒体は、前述のHMI制御プログラムが記録される記録媒体と同様なコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。なお、表示処理部38は、サーバコンピュータ3のOS(オペーティングシステム)によって実現される機能であってもよい。
【0081】
ここで、上記のように構成される制御システム1におけるプログラマブル表示器2によるサーバコンピュータ3のリモートアクセスの動作について図2の処理フローを参照して説明する。
【0082】
まず、プログラマブル表示器2とPLC5とは、非同期で繰り返しのデータ送受信を行う。プログラマブル表示器2(HMI制御部21)は、PLC5にハンドシェイクの要求を送信すると、PLC5はハンドシェイクが確立したことをプログラマブル表示器2に送信する。これにより、プログラマブル表示器2とPLC5との間でデータの送受信が可能となる。この状態で、プログラマブル表示器2から指定されたデバイスのデータが要求されると、PLC5は当該デバイスのデータをプログラマブル表示器2に送信する。また、プログラマブル表示器2が指定されたデバイスのデータを書き込むために当該データをPLC5に送信すると、PLC5は該当するデバイスアドレスに受信したデータを書き込む。
【0083】
このようにして、プログラマブル表示器2とPLC5との間でデータの送受信が行われる。
【0084】
プログラマブル表示器2において、表示されている画面上でユーザによるタッチ操作や、PLC5における指定ビットデバイスの変化などによるトリガ条件が成立すると、そのトリガ条件が入力イベントとしてVNCクライアント部211からサーバコンピュータ3に送信される。サーバコンピュータ3のイベントマネージャ32は、その入力イベントを受けると、バッチコマンドを実行することにより、バッチコマンドで指定されているアプリケーション部33のアプリケーションプログラムを起動して、バッチコマンドで指定されている処理をアプリケーションプログラムに実行させる。
【0085】
この結果、起動したアプリケーションが記憶装置37のファイルやWebサーバのファイルが開かれて、そのファイルの内容を示す画像が表示処理部38によってVRAM39に展開されて表示される。
【0086】
また、プログラマブル表示器2(データ配信部214)からデータが配信されると、サーバコンピュータ3のデータコレクタ34は、データ処理プログラム35を起動して、受信したデータをデータ処理プログラム35に処理させる。データ処理プログラム35は、処理した結果を配信データファイルとして記憶装置37に保存する。また、データ処理プログラム35が起動されて配信データファイルが開かれている状態では、その内容を示す画像が表示処理部38によってVRAM39に展開されて表示される。
【0087】
この状態で、プログラマブル表示器2(VNCクライアント部211)からサーバコンピュータ3のVNCサーバ36に対して接続が要求されると、VNCサーバ36は、プログラマブル表示器2対してID(例えばプログラマブル表示器2のIPアドレス)の送信を要求する。VNCサーバ36は、プログラマブル表示器2からIDが送信されると、現在表示されている画像の指定された領域の画像データをプログラマブル表示器2に送信する。
【0088】
プログラマブル表示器2においては、VNCクライアント部211が受信した画像データを表示処理部212に渡して表示させる。表示処理部212は、受け取った画像データをVRAM23に展開してディスプレイ24に表示する。この結果、プログラマブル表示
器2においても、サーバコンピュータ3で表示される画像と同じ画像が表示される。
【0089】
また、サーバコンピュータ3での表示内容が変更されると、変更分の画像データがVNCサーバ36からVNCクライアント部211に送信される。この結果、プログラマブル表示器2においては、サーバコンピュータ3での表示の変更が同様に反映される。
【0090】
例えば、アプリケーションプログラムとして画面エディタ331が起動されているときには、図3に示すように、サーバコンピュータ3において、作画ウインドウ101が表示されており、当該作画ウインドウ101上でユーザ画面102の作成や編集を行うことが可能である。また、上記のような動作により、プログラマブル表示器2においても、ユーザ画面102を含む作画ウインドウ101が表示されており、ユーザが入力装置26を用いて作画ウインドウ101上のユーザ画面102に対して編集操作を行うと、その操作が入力イベントとしてサーバコンピュータ3に送信される。イベントマネージャ32が、その入力イベントに応じたバッチコマンドを実行することにより、画面エディタ331は上記の入力イベントに応じた処理を行う。
【0091】
このようにして、プログラマブル表示器2において表示された作画ウインドウ101上でユーザ画面102を作成したり編集したりするだけでなく、作成後のユーザ画面102(画面データ)をプログラマブル表示器2にダウンロードすることができる。それゆえ、プログラマブル表示器2が設置されている現場でユーザ画面102を修正することができる。
【0092】
また、アプリケーションプログラムとしてラダーエディタ332が起動されているときには、図4に示すように、サーバコンピュータ3において、ラダーウインドウ201が表示されており、当該ラダーウインドウ201上でラダープログラム202の作成や編集を行うことが可能である。また、プログラマブル表示器2においても、ラダープログラム202を含むラダーウインドウ201が表示されており、ユーザが入力装置26を用いてラダーウインドウ201上のラダープログラム202に対して編集操作を行うと、その操作が入力イベントとしてサーバコンピュータ3に送信される。イベントマネージャ32が、その入力イベントに応じたバッチコマンドを実行することにより、ラダーエディタ332は上記の入力イベントに応じた処理を行う。
【0093】
このようにして、プログラマブル表示器2において表示されたラダーウインドウ201上でラダープログラム202を作成したり編集したりするだけでなく、作成後のラダープログラ202ムをPLC5にダウンロードすることができる。それゆえ、プログラマブル表示器2が設置されている現場でラダープログラム202を修正することができる。
【0094】
ラダーエディタ332が起動されている状態でラダーモニタを行うときには、サーバコンピュータ3の仮想COM40とプログラマブル表示器2のパススルー機能部29とを介して、ラダーエディタ332とPLC5との間でデータの送受信が行われる。このとき、モニタするラダープログラム202が記憶装置37から読み出されて、作成時と同様に、ラダーウインドウ201に表示され、PLC5から取得したデバイスデータによる変化がラダープログラム202に反映させる。これにより、ラダープログラムの実行状況をリアルタイムに確認することができる。この画像は、勿論、VNCサーバ36とVNCクライアント部211との間の通信によって、プログラマブル表示器2でも表示される。
【0095】
また、アプリケーションプログラムとしてビューワ333が起動されているときには、データファイルが開かれており、表示処理部38によってその内容の画像が表示される。この画像の指定された領域の部分の画像データは、VNCサーバ36からVNCクライアント部211に送信されることにより、プログラマブル表示器2においても表示される。具体的には、図5に示すように、ユーザ画面103がプログラマブル表示器2に表示されているとき、ユーザ画面103に設けられたVNC表示領域103aに上記の部分画像データの画像が表示される。この画像は、例えば、PDFファイル(データファイル)に記載された操作手順であったり、トラブル発生時の回避マニュアルであったりする。
【0096】
また、アプリケーションプログラムとしてブラウザ334が起動されているときには、ブラウザ334がインターネット上のWebサーバからサーバコンピュータ3の作業メモリ(図示せず)にダウンロードしたデータファイルが表示処理部38によって表示される。その表示画像も、ビューワ333で表示した画像と同様に、プログラマブル表示器2において、上記のVNC表示領域103aに表示される。これにより、ユーザ画面103を表示しているときに、VNC表示領域103aに表示されたWebページを見ることができ、プログラマブル表示器2のメーカが公開するWebページからプログラマブル表示器2のメンテナンスなどの情報を得ることができる。
【0097】
また、データコレクタ34の指示によってデータ処理プログラム35が起動しているときには、配信データファイルが開かれており、表示処理部38によってその内容の画像が表示される。この画像の指定された領域の部分の画像データは、VNCサーバ36からVNCクライアント部211に送信されることにより、プログラマブル表示器2においても、VNC表示領域103aに表示される。これにより、データ処理プログラム35によって配信データを基に作成されたグラフなどの画像をVNC表示領域103aに表示させることができる。それゆえ、上記のようなグラフもあたかもユーザ画面103の一部であるかのように扱うことができる。
【0098】
以上のように、本実施の形態の制御システム1は、プログラマブル表示器2がVNCクライアント部211を備えるとともに、サーバコンピュータ3が、イベントマネージャ32、データコレクタ34およびVNCサーバ36を備えている。これにより、プログラマブル表示器2からの要求に応じてサーバコンピュータ3において指定したアプリケーションプログラムを起動して指定したファイルを開き、そのファイルの内容の画像をプログラマブル表示器2でも表示することができる。また、プログラマブル表示器2における操作に応じて、アプリケーションプログラムに処理を行わせることができる。
【0099】
このように、プログラマブル表示器2がサーバコンピュータのリソースを利用して、その結果をPLC5の制御に反映させることができる。それゆえ、プログラマブル表示器2が設置された現場にパーソナルコンピュータを別途設置する必要がなく、生産現場の省スペース化を図ることができる。また、余分な機器を導入する必要がなくなり、制御システム1の維持管理コストの増大を抑えることも可能となる。さらに、プログラマブル表示器2にアプリケーションプログラムを移植する必要もなくなり、そのための多大な開発工数や、移植後のアプリケーションプログラムが正常に動作しなくなるといった不都合も生じることはない。
【0100】
したがって、プログラマブル表示器2を含む制御システム1のメンテナンス性を大幅に向上させることが可能となる。
【0101】
なお、本実施の形態では、制御装置としてPLC5を用いた例について説明したが、制御装置としてはPLC5に限定されない。例えば、制御装置は、インバータや温調計のように、プログラマブル表示器2とデータ通信可能である制御機器であればよい。
【0102】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のプログラマブル表示器は、サーバコンピュータにアクセスすることによって、サーバコンピュータにおいて、アプリケーションプログラムを起動されて、アプリケーションプログラムが開くデータファイルの表示画像がプログラマブル表示器に送信されるので、プログラマブル表示器からサーバコンピュータのリソースを有効に利用する制御システムなどに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムにおいてプログラマブル表示器がサーバコンピュータを操作するリモートアクセスの動作を行うときの各部の通信の処理フローを示す図である。
【図3】上記制御システムのサーバコンピュータの画面エディタによって表示される作画ウインドウを示す図である。
【図4】上記制御システムのサーバコンピュータのラダーエディタによって表示されるラダーウインドウを示す図である。
【図5】上記制御システムのサーバコンピュータのビューワによって表示される画像が組み込まれた、プログラマブル表示器で表示されるユーザ画面を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1 制御システム
2 プログラマブル表示器
3 サーバコンピュータ
4 ネットワーク
5 PLC(制御装置)
21 HMI制御部
23 VRAM
24 ディスプレイ
25 タッチパネル
32 イベントマネージャ(プログラム制御手段)
33 アプリケーション部
34 データコレクタ(処理制御手段)
35 データ処理プログラム
36 VNCサーバ(サーバ手段)
37 記憶装置
38 表示処理部(ファイル表示処理手段)
39 VRAM
211 VNCクライアント部(送信手段,受信手段)
212 表示処理部(表示処理手段)
213 入力処理部
331 画面エディタ(アプリケーションプログラム)
332 ラダーエディタ(アプリケーションプログラム)
333 ビューワ(アプリケーションプログラム)
334 ブラウザ(アプリケーションプログラム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と相互に通信することによって、画面上での操作にしたがって制御装置への制御指示を与えるとともに、当該制御装置の制御状態を表示するプログラマブル表示器において、
ネットワークを介した接続が確立した状態で表示している画像の画像データを接続先の機器に送信するとともに、当該機器から送信されたトリガに応じて指定されたアプリケーションプログラムを動作させる機能を有するサーバコンピュータへ接続要求するとともに、受け付けたトリガを前記サーバコンピュータに送信する送信手段と、
前記サーバコンピュータにおいて前記アプリケーションプログラムが動作することによって表示される画像の画像データを前記サーバコンピュータから受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された画像データを表示する表示処理手段とを備えていることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記アプリケーションプログラムが前記画面を作成する画面作成プログラムであることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
前記アプリケーションプログラムが前記制御装置による制御手順を定めるシーケンスプログラムを作成するエディタプログラムであることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項4】
前記エディタプログラムが前記制御装置によるシーケンスプログラムの実行状況をモニタする機能を有することを特徴とする請求項3に記載のプログラマブル表示器。
【請求項5】
前記アプリケーションプログラムがデータファイルを表示するための表示プログラムであることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項6】
前記トリガが前記画面作成プログラムに前記画面を前記プログラマブル表示器へダウンロードさせる指示であることを特徴とする請求項2に記載のプログラマブル表示器。
【請求項7】
前記トリガが前記エディタプログラムに前記シーケンスプログラムを前記制御装置へダウンロードさせる指示であることを特徴とする請求項3に記載のプログラマブル表示器。
【請求項8】
前記トリガが前記表示プログラムに前記データファイルを前記プログラマブル表示器または前記制御装置へダウンロードさせる指示であることを特徴とする請求項5に記載のプログラマブル表示器。
【請求項9】
所定の配信条件を満たすと前記制御装置からのデータを前記サーバコンピュータに配信するデータ配信手段を備え、
前記アプリケーションプログラムが前記データ配信手段からサーバコンピュータに配信されたデータを処理するデータ処理プログラムであることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項10】
前記トリガが前記制御装置において生じたものであることを特徴とする請求項3ないし9のいずれか1項に記載のプログラマブル表示器。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のプログラマブル表示器を実現するコンピュータを前記各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプログラマブル表示器と、
前記制御装置と、
前記ネットワークと、
前記サーバコンピュータとを備え、
前記サーバコンピュータは、
前記トリガとしての入力イベントに応じて指定された前記アプリケーションプログラムを動作させるプログラム制御手段と、
動作するアプリケーションプログラムによって開かれたファイルを表示するファイル表示処理手段と、
前記送信手段からの接続要求に応じて表示処理手段によって表示されたファイルの内容を示す画像の画像データを前記受信手段に送信するサーバ手段とを備えていることを特徴とする制御システム。
【請求項14】
請求項9に記載のプログラマブル表示器と、
前記制御装置と、
前記ネットワークと、
前記サーバコンピュータとを備え、
前記サーバコンピュータは、
前記プログラマブル表示器からのデータの配信を前記トリガとして、前記プログラマブル表示器から配信されてきたデータを前記データ処理プログラムに処理させる処理制御手段と、
動作する前記データ処理プログラムによって開かれたファイルを表示するファイル表示処理手段と、
前記送信手段からの接続要求に応じて表示処理手段によって表示されたファイルの内容を示す画像の画像データを前記受信手段に送信するサーバ手段とを備えていることを特徴とする制御システム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の制御システムにおける前記サーバコンピュータを実現するコンピュータを前記サーバコンピュータにおける各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−33575(P2008−33575A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205442(P2006−205442)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】