説明

プロゲステロン受容体調節剤の精製

式I(式中、A、B、X、QおよびR1は、本明細書中で定義する)の化合物を精製するための方法を提供する。本方法は、式Iの化合物と溶媒とを混合すること;その溶媒に塩基を添加すること;および精製された式Iの化合物を沈殿させることを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロゲステロン受容体調節剤の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
プロゲステロン受容体(PR)調節剤の精製は、有機溶媒を使用する再結晶により実現されている。しかし、多くのPR調節剤は、有機溶媒への溶解度が不良であり、再結晶は、PR調節剤を溶解するために大量の有機溶媒を必要とし、それ故、その精製はあまり経済的でなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該技術分野において必要とされているのは、プロゲステロン受容体調節剤を精製するための代替法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において、本発明は、インドロン、インドール−チオン、インドール−イリデンシアナミド、ベンズオキサジノン、ベンズオキサジン−チオン、ベンズオキサジン−イリデンシアナミド、ベンゾチアジノン、ベンゾチアジン−チオン、ベンゾチアジン−イリデンシアナミド化合物、またはそれらの誘導体を精製するための方法を提供する。
【0005】
さらなる態様において、本発明は、インドール−2−オン、インドール−2−チオン、インドール−2−イリデンシアナミド、ベンズオキサジン−2−オン、ベンズオキサジン−2−チオン、ベンズオキサジン−2−イリデンシアナミド、ベンゾチアジン−2−オン、ベンゾチアジン−2−チオン、およびベンゾチアジン−2−イリデンシアナミド化合物、またはそれらの誘導体を精製するための方法を提供する。
【0006】
なお、さらなる態様において、これらの化合物は、プロゲステロン受容体調節剤である。
【0007】
もう1つの態様において、本発明は、式I:
【化3】

の化合物を精製するための方法を提供する。
【0008】
本発明の他の態様および利点は、それらの好ましい実施形態についての以下の詳細な説明において、さらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、プロゲステロン受容体調節剤(アゴニストおよびアンタゴニストを含む)、並びにそれらの中間体を精製するための方法を提供する。1つの実施形態において、本発明に従って調製されるプロゲステロン受容体調節剤は、酸性水素原子を含有する。さらなる実施形態において、本発明に従って調製されるプロゲステロン受容体調節剤は、酸性N−H基を含有する。なお、さらなる実施形態において、それらの化合物は、インドロン、インドール−チオン、インドール−イリデンシアナミド、ベンズオキサジノン、ベンズオキサジン−チオン、ベンズオキサジン−イリデンシアナミド、ベンゾチアジノン、ベンゾチアジン−チオン、ベンゾチアジン−イリデンシアナミド化合物もしくはこれらの誘導体、またはインドール−2−オン、インドール−2−チオン、インドール−2−イリデンシアナミド、ベンズオキサジン−2−オン、ベンズオキサジン−2−チオン、ベンズオキサジン−2−イリデンシアナミド、ベンゾチアジン−2−オン、ベンゾチアジン−2−チオン、ベンゾチアジン−2−イリデンシアナミド化合物もしくはこれらの誘導体である。
【0010】
本発明者は、塩基で式Iの化合物の粗製物形態を処理して塩基性塩を形成することにより、その塩基性塩を同化合物の精製形態に転化させることができることを発見した。スキーム1参照(このスキーム中のA、B、T、QおよびR1は以下で定義される)。
【化4】

I.定義
【0011】
用語「アルキル」は、1〜約10の炭素原子、または1〜約6の炭素原子を有する、直鎖と分枝鎖、両方の飽和脂肪族炭化水素基を指すために、本明細書において用いられる。用語「アルケニル」は、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有し、約2〜約10個の炭素原子を含有する、直鎖及び分枝鎖の両方のアルキル基を指すために、本明細書において用いられる。1つの実施形態において、用語アルケニルは、1つまたは2つの炭素−炭素二重結合を有し、2〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。用語「アルキニル」基は、1つまたはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有し、2〜約8個の炭素原子を有する、直鎖及び分枝鎖の両方のアルキル基を指すために、本明細書において用いられる。1つの実施形態において、用語アルキニルは、1つまたは2つの炭素−炭素三重結合を有し、2〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を指すために、本明細書において用いられる。
【0012】
用語「シクロアルキル」は、構造が環状であり、約3〜約10個の炭素原子、約4〜約8個の炭素原子または約5〜約8個の炭素原子を有する、前述したアルキル基を指すために本明細書において用いられる。
【0013】
用語「置換アルキル」、「置換アルケニル、「置換アルキニル」および「置換シクロアルキル」は、それぞれ、1個もしくはそれ以上の同一または異なる置換基を有するアルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキル基を指し、前記置換基としては、限定ではないが、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシおよびアリールチオが挙げられ、これらの基は、場合により、置換されていることがある。これらの置換基は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基のいずれの炭素に付いていてもよいが、但し、付いているものが安定な化学部分を構成することを条件とする。
【0014】
基または基の一部として本明細書において用いられる用語「アリール」は、単一の環、または互いに縮合もしくは連結している多くの芳香族環を包含し得、この場合、前記縮合もしくは連結環の少なくとも一部は、例えば6〜14個の炭素原子を有する、共役芳香族環構造を形成する。アリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、インデン、ベンゾナフチル、フルオレニルおよびカルバゾリルを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0015】
用語「置換アリール」は、1個もしくはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されているアリール基を指し、前記置換基としては、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキルおよびアリールチオが挙げられ、これらの基は、場合により、置換されていることがある。1つの実施形態において、置換アリール基は、1〜約4個の置換基で置換されている。
【0016】
用語「複素環(式)」は、本明細書において用いられる場合、飽和されている、部分的に不飽和である、または完全に不飽和である、安定な4〜10員単環式または多環式複素環を指す。複素環は、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄原子を含む1個またはそれ以上のヘテロ原子とを有する。1つの実施形態において、複素環は、その環の骨格に1〜約4個のヘテロ原子を有する。複素環が、その環の骨格に窒素または硫黄原子を含有するとき、その窒素または硫黄原子は、酸化されていることもある。用語「複素環(式)」は、複素環が、例えば炭素原子数6〜14のアリール環に縮合している、多環式の環も指す。複素環は、ヘテロ原子によってアリール環に付いていてもよいし、炭素原子によってアリール環に付いていてもよいが、但し、結果として生じる複素環構造が化学的に安定であることを条件とする。
【0017】
様々な複素環基が当該技術分野では公知であり、それらには、酸素含有環、窒素含有環、硫黄含有環、混合ヘテロ原子含有環、縮合ヘテロ原子含有環およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。酸素含有環としては、フリル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニルおよびジオキシニル環が挙げられるが、これらに限定されない。窒素含有環としては、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピペリジニル、2−オキソピペリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、アゼピニル、トリアジニル、ピロリジニルおよびアゼピニル環が挙げられるが、これらに限定されない。硫黄含有環としては、チエニルおよびジチオリル環が挙げられるが、これらに限定されない。混合ヘテロ原子含有環としては、オキサチオリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、オキサチオリル、オキサジニル、オキサチアジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、オキセピニル、チエピニルおよびジアゼピニル環が挙げられるが、これらに限定されない。縮合ヘテロ原子含有環としては、ベンゾフラニル、チオナフテン、インドリル、ベナザゾリル(benazazolyl)、プリンジニル、ピラノピロリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンズオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジアゾニル、ナフチリジニル、ベンゾチエニル、ピリドピリジニル、ベンズオキサジニル、キサンテニル、アクリジニルおよびプリニル環が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「置換複素環の(置換複素環式)」は、本明細書において用いられる場合、1個もしくはそれ以上の同一または異なる置換基を有する複素環基を指し、前記置換基としては、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキルおよびアリールチオが挙げられ、これらの基は、場合により、置換されていることがある。1つの実施形態において、置換複素環基は、1〜約4個の置換基で置換されている。
【0019】
用語「アルコキシ」は、本明細書において用いられる場合、O(アルキル)基を指し、この場合、結合点は、酸素原子により、アルキル基は、場合により、置換されている。
【0020】
用語「アリールオキシ」は、本明細書において用いられる場合、O(アリール)基を指し、この場合、結合点は、酸素原子により、アリール基は、場合により、置換されている。
【0021】
用語「アルキルオキシ」はヒドロキシアルキルを包含し、本明細書において用いられる場合、アルキルOH基を指す、この場合、結合点は、アルキル基による。
【0022】
用語「アリールチオ」は、本明細書において用いられる場合、S(アリール基)を指し、この場合、結合点は、硫黄原子により、アリール基は、場合により、置換されていることもある。
【0023】
用語「アルキルカルボニル」は、本明細書において用いられる場合、C(O)(アルキル)基を指し、この場合、結合点は、カルボニル部分の炭素原子により、アルキル基は、場合により、置換されている。
【0024】
用語「アルキルカルボキシ」は、本明細書において用いられる場合、C(O)O(アルキル)基を指し、この場合、結合点は、カルボキシ部分の炭素原子により、アルキル基は、場合により、置換されている。
【0025】
用語「アミノアルキル」は、「アルキルアミノ」を包含し、本明細書において用いられる場合、結合点が窒素原子により、アルキル基が、場合により、置換されている、第二および第三の両方のアミンを指す。前記アルキル基は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
用語「チオアルコキシ」または「チオアルキル」は、本明細書において用いられる場合、S(アルキル)基を指し、この場合、結合点は、硫黄原子により、アルキル基は、場合により、置換されている。
【0027】
用語「ハロゲン」は、本明細書において用いられる場合、Cl、Br、FまたはI基を指す。
【0028】
用語「エステル」は、本明細書において用いられる場合、C(O)Oを指し、この場合、結合点は、C原子およびO原子の両方による。エステル基の一方または両方の酸素原子が硫黄原子で置換され、その結果、「チオエステル」、すなわち、C(O)S、C(S)OまたはC(S)S基を形成していることもある。
【0029】
本発明において有用な「塩基」は、分子に結合している酸性水素原子を引き抜くことができる、16より大きいpKaを有する化学的化合物である。
【0030】
本発明において有用な「酸」は、16より小さいpKaを有する化学的化合物である。本発明においては多くの酸を利用することができ、水、無機酸および有機酸、特に、塩酸、酢酸、および塩酸または酢酸等を含有する溶液が挙げられる。1つの実施形態において、酸は、塩酸水溶液または酢酸水溶液である。
【0031】
用語「精製された」または「純粋な」は、本明細書において用いられる場合、約10%未満の不純物を含有する化合物を指す。1つの実施形態において、用語「精製された」または「純粋な」は、約5%未満の不純物、約2%未満の不純物、または約1%未満の不純物を含有する化合物を指す。用語「精製された」または「純粋な」は、ほぼ0%の不純物を含有する化合物を指すこともある。
【0032】
用語「粗製物」は、本明細書において用いられる場合、約10%より多い不純物を含有する化合物を指す。1つの実施形態において、用語「粗製物」は、約5%より多い不純物、約2%より多い不純物、または約1%より多い不純物を含有する化合物を指す。粗製物サンプル中に存在し得る不純物としては、未使用出発原料、またはその粗製化合物を形成する反応中に形成される望ましくない副生成物を挙げることができる。1つの実施形態において、そうした不純物は、固体として存在する。不純物としては、その粗製化合物中に存在するまたは捕捉されている溶媒も挙げることができる。
【0033】
用語「乾燥させる」または「乾燥」とは、有機溶媒、精製溶媒、可溶化溶媒もしくは水を含む捕捉された溶媒または揮発性固体を、サンプルから除去する手順を意味する。
【0034】
用語「電子求引性基」は、本明細書において用いられる場合、それが結合する化学的基から電子を引き抜く化学的置換基を表すことを意味を有する。電子求引性基の例としては、CN、SO3H、CO2H、CO2R、CHO、COR、NO2、NR3+、CF3、またはCCl3が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、電子求引性基は、CNである。

II.本発明の方法
【0035】
従って、本発明は、インドロン、インドール−チオン、インドール−イリデンシアナミド、ベンズオキサジノン、ベンズオキサジン−チオン、ベンズオキサジン−イリデンシアナミド、ベンゾチアジノン、ベンゾチアジン−チオン、ベンゾチアジン−イリデンシアナミド化合物、またはそれらの誘導体を精製するための方法を提供する。さらなる実施形態において、インドール−2−オン、インドール−2−チオン、インドール−2−イリデンシアナミド、ベンズオキサジン−2−オン、ベンズオキサジン−2−チオン、ベンズオキサジン−2−イリデンシアナミド、ベンゾチアジン−2−オン、ベンゾチアジン−2−チオン、およびベンゾチアジン−2−イリデンシアナミド化合物、またはそれらの誘導体が、本発明に従って調製される。
【0036】
1つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物を精製するための方法を提供する。
【化5】

式中、AおよびBは、独立して、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、置換C3−C8シクロアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、CORA、またはNRBCORAから選択される。あるいは、AとBが結合して、(i)炭素系3〜8員飽和スピロ環;(ii)骨格内に1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する炭素系3〜8員スピロ環;または(iii)骨格内にO、SおよびNからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜8員複素環を含む、環を形成する。前記の環は、場合により、フッ素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6チオアルキル、CF3、OH、CN、NH2、NH(C1−C6アルキル)、またはN(C1−C6アルキル)2の中から独立して選択される1〜4個の基により置換されている。1つの実施形態において、AおよびBは、C1−C6アルキルであるか、縮合して炭素系飽和スピロ環を形成している。RAは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルの中から選択される。RBは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルの中から選択される。Tは、O、Sの中から選択されるか、不在であり、Qは、O、S、またはNR3の中から選択される。R3は、電子求引性基であり得る。1つの実施形態において、R3は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、置換アリール、CN、C(O)R4、SO24、SCN、OR4、SR4、C(O)OR4、C(S)OR4、C(O)SR4、またはC(S)SR4の中から選択され、R4は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、または置換アリールの中から選択される。もう1つの実施形態において、R3は、CNである。
【0037】
1は、環のいずれの位置に位置していてもよい。1つの実施形態において、R1は、ハロゲンである。もう1つの実施形態において、前記ハロゲンは、臭素である。さらにも1つの実施形態において、R1は、以下に示す置換基X、YおよびZを含有する置換ベンゼン環:
【化6】

(式中、
Xは、H、ハロゲン、CN、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3チオアルコキシ、置換C1−C3チオアルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、置換C1−C3アミノアルキル、NO2、C1−C3ペルフルオロアルキル、骨格内に1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員複素環、SO2NH2、CORc、OCORc、またはNRDCORcの中から選択され;Rcは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルの中から選択され;RDは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルの中から選択され;YおよびZは、独立して、H、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、アミノアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アルキル、またはC1−C3チオアルコキシの中から選択される)
の中から選択される。
【0038】
もう1つの実施形態において、R1は、O、S、SO、SO2もしくはNR2を含む1、2もしくは3個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を含み、H、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、SO2NH2、COREもしくはNRFCOREの中から独立して選択される1または2個の置換基を含有する、5もしくは6員環複素環であり;REは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルの中から選択され;RFは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルの中から選択される。R2は、不在であるか、H、O、またはC1−C4アルキルの中から選択される。1つの実施形態において、R1は、ピロール環、またはシアノ置換基を有するピロール環である。
【0039】
もう1つの実施形態において、以下の化合物(これらの式中、A、BおよびR1は、上で定義したとおりである)を本発明に従って精製する。
【化7】

【0040】
さらなる実施形態において、以下の化合物を本発明に従って精製する。
【化8】

【0041】
1つの実施形態において、米国特許第6,509,334号、同第6,566,358号、同第6,391,907号、同第6,608,068号、同第6,466,648号、同第6,521,657号、同第6,583,145号、同第6,436,929号、同第6,407,101号、同第6,562,857号、同第5,171,851号および同第5,874,430号ならびにSingh(J. Med. Chem., 37: 248-254 (1994))に記載の方法に従って製造された化合物を本発明の方法に従って精製する。
【0042】
本発明の化合物を、精製溶媒の存在下、塩基で処理して、塩基性塩を形成させる。当業者は、その塩基性度および精製する化合物に従って、適する塩基を容易に選択することができる。本発明においては多くの塩基を使用することができ、特に、水酸化物、アルコキシド、アミン、アミジン、ケトン、アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン)、およびベタインを挙げることができる。水酸化物としては、水酸化2−ヒドロキシ−N,N,N−トリメチルエタミニウム(水酸化コリン)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウムを挙げることができるが、これらに限定されない。アルコキシドとしては、カリウム、ナトリウムおよびリチウムアルコキシド、例えば、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ペントキシド、およびカリウムtert−ペントキシドを挙げることができるが、これらに限定されない。アミンとしては、特に、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リシン、アルギニン、モルホリン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを挙げることができる。1つの実施形態において、アミンは、ジエチルアミンである。アミジンとしては、特に、テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロウンデセン、またはジアザビシクロノネンを挙げることができる。ケトンとしては、低級ケトン、例えば、アセトンおよびメチルエチルケトンなどの炭素原子数2〜7の低級ケトンを挙げることができる。
【0043】
本発明者らは、スキーム2に示すように、粗製親化合物と併用したとき、ジエチルアミンが複合体を形成することを発見した。
【0044】
一般に、1:1〜3:1またはそれ以上の、塩基対粗製形態の本発明の化合物のモル比を用いる。必要な場合には、このモル比は、少なくとも約1.5:1、少なくとも約2:1、または少なくとも約3:1である。塩基は、精製のための溶媒としの役割を果たすこともできる。当業者は、塩基性塩を形成するために必要な塩基の量を容易に決定することができる。
【0045】
幾つかの精製溶媒は、塩基性塩を形成するために利用することができ、特に、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)およびイソプロパノール(iPrOH)等の低級アルコールを含むアルコール;エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタン(DME);ジメチルスルホキシド(DMSO);ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルピリミドン;またはこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態において、精製溶媒は、低級アルコール、例えばメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)およびイソプロパノール(iPrOH)などの炭素原子数1〜6の低級アルコールを含むアルコール;エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタン(DME);またはこれらの組み合わせである。単独の、またはアルコール、アセトンもしくはTHFなどの水溶性溶媒と併用での水;および水酸化ナトリウムなどの水酸化物塩の水溶液も、溶媒として利用することができる。上述のように、溶媒は、塩基性塩を形成するために利用される塩基である場合もあり、それらには、場合により、加圧下でのジエチルアミン、アミジン塩基およびジメチルアミンを挙げることができる。さらなる実施形態において、精製溶媒は、MeOH、THF、およびこれらの組み合わせの中から選択される。しかし、当業者は、精製すべき化合物に依存して、適する精製溶媒または精製溶媒を含有する混合物を容易に選択することができる。
【化9】

【0046】
利用される溶媒の量は、反応の規模、すなわち利用される試薬の量に依存する。当業者は、インドロン、インドール−チオン、インドール−イリデンシアナミド、ベンズオキサジノン、ベンズオキサジン−チオン、ベンズオキサジン−イリデンシアナミド、ベンゾチアジノン、ベンゾチアジン−チオン、ベンゾチアジン−イリデンシアナミド化合物、またはこれらの誘導体を精製するために必要な溶媒の量を容易に決定することができる。
【0047】
本発明に従って調製される塩基性塩は、精製溶媒に可溶性である場合もある。可溶性塩基性塩に転化させた後に精製溶媒中になお存在する望ましくない材料を含む一切の固体を除去することができる。例えば、固体残留重金属、例えばパラジウム、固体無機化合物および固体有機化合物が不純物として存在することがあり、それらを除去することができる。
【0048】
あるいは、本発明の塩基性塩が精製溶媒に不溶性である場合もある。不溶性である場合には、塩基性塩はないが、なんらかの不純物を含有するその濾液を廃棄し、当業者には公知の技法を用いて塩基性塩を回収し、その後、さらなる反応において、または他の目的のために利用することができる。例えば、中性精製化合物より好適な物理特性を有する塩基性塩は、患者に投与するための製剤単位として利用することができる。
【0049】
1つの実施形態において、本発明の不溶性塩基性塩または不溶性不純物を含む、溶液中に存在する固体材料は、濾過によって単離することができる。しかし、当業者は、固体材料を単離するために他の方法を容易に利用することができ、それらには、遠心分離を挙げることができるが、これに限定されない。
【0050】
本発明は、精製化合物への塩基性塩の転化にも備えている。精製化合物に塩基性塩を転化させる方法としては、水、酸での、または熱による塩基性塩の処理が挙げられる。1つの実施形態において、ジエチルアミン塩基性塩は、ジエチルアミンおよび水などの精製溶媒中のそれらの溶液を加熱することにより、精製化合物に転化させる。
【0051】
精製溶媒に可溶性である塩基性塩を精製化合物に転化させるために、その可溶性塩基性塩を含有する精製溶媒を水で処理してもよいし、塩基性塩を中和し、精製溶媒中でのその沈殿に影響を及ぼすことができる酸で処理してもよい。
【0052】
塩基性塩が、精製溶媒へのその不溶性に起因して精製溶媒から固体として単離される場合、その塩基性塩は、可溶化溶媒には溶解することができ、そのために、水、酸または熱を利用してその可溶化溶媒から沈殿させることができる。塩基性塩を調製するために利用される精製溶媒に可溶性でない塩基性塩を溶解するために、様々な可溶化溶媒を使用することができる。1つの実施形態において、可溶性溶媒は、極性溶媒であり、それらには、アセトン、水、THF、ジエチルアミン、上で説明したような低級アルコール、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。当業者は、本発明の塩基性塩を溶解する際に使用するための可溶化溶媒を容易に選択することができる。
【0053】
塩基性塩を精製化合物に転化させるために利用される温度は、その塩基性塩または精製化合物の分解を避けるために十分に低くなければならず、当業者には容易に決定することができる。1つの実施形態において、有機または可溶化溶媒の沸点より低い温度が利用される。もう1つの実施形態において、利用される温度は、約100℃未満である。
【0054】
精製化合物に転化させたら、沈殿した精製化合物を、当業者には公知の技法を用いて単離することができ、特に、濾過および遠心分離が挙げられる。
【0055】
その後、その精製化合物は、当業者には公知の技法を用いてさらに精製することができ、そうした技法としては、クロマトグラフィー、蒸留、乾燥、再結晶またはこれらの組み合わせを挙げることができる。1つの実施形態において、精製化合物は、当業者には公知の方法を用いてその精製化合物を前に説明したような可溶化溶媒に溶解することにより、再結晶させることができる。さらなる実施形態では、精製化合物を最小限の量の前に説明したような可溶化溶媒に溶解し、その可溶化溶媒の一部を除去することによりその溶液の容積を濃縮し、その溶液の温度を低下させて、2回精製された化合物の沈殿を促進する。当業者は、精製化合物を再結晶させるために必要な可溶化溶媒の量を容易に決定することができる。その2回精製された沈殿化合物は、その後、前述した技法を用いて単離することができる。
【0056】
もう1つの実施形態において、精製化合物は、大気圧でまたは真空下で乾燥させることができる。当業者は、精製化合物の乾燥に適する真空度を容易に選択することができる。乾燥している間、精製化合物により高い温度をかけて、捕捉されている精製溶媒または可溶化溶媒を除去することもできる。そうした温度は、当業者には容易に選択することができる。
【0057】
従って、1つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物を精製するための方法を提供する。
【化10】

式中、AおよびBは、独立して、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、置換C3−C8シクロアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、CORA、およびNRBCORAからなる群より選択される。もう1つの実施形態において、AおよびBは、結合して、(i)炭素系3〜8員飽和スピロ環;(ii)骨格内に1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する炭素系3〜8員スピロ環;または(iii)骨格内にO、SおよびNからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜8員複素環、を含む環を形成し、この場合、前記(i)、(ii)および(iii)の環は、場合により、フッ素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6チオアルキル、CF3、OH、CN、NH2、NH(C1−C6アルキル)、およびN(C1−C6アルキル)2からなる群より選択される1〜4個の基により置換されている。RAは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、および置換C1−C3アミノアルキルからなる群より選択される。RBは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。Tは、O、S、または不在である。Qは、O、S、またはNR3である。R3は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、置換アリール、CN、C(O)R4、SO24、SCN、OR4、SR4、C(O)OR4、C(S)OR4、C(O)SR4、またはC(S)SR4の中から選択される。R1は、ハロゲンであってもよい。またR1は、以下に示す置換基X、YおよびZを含有する置換ベンゼン環であってもよい。
【化11】

式中、Xは、H、ハロゲン、CN、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3チオアルコキシ、置換C1−C3チオアルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、置換C1−C3アミノアルキル、NO2、C1−C3ペルフルオロアルキル、骨格内に1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員複素環、SO2NH2、CORc、OCORc、およびNRDCORcからなる群より選択される。Rcは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルである。RDは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。YおよびZは、独立して、H、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、アミノアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アルキル、およびC1−C3チオアルコキシからなる群より選択される。もう1つの実施形態において、R1は、骨格内にO、S、SO、SO2およびNR2からなる群より選択される1、2または3個のヘテロ原子を有し、ならびにH、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、SO2NH2、CORE、およびNRFCOREからなる群より独立して選択される1もしくは2個の置換基を含有する、5もしくは6員環である。REは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルである。RFは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。R2は、H、不在、O、またはC1−C4アルキルである。この方法は、式Iの化合物を塩基で処理して、塩基性塩を形成すること;およびその塩基性塩を式Iの精製化合物に転化させることを含む。
【0058】
もう1つの実施形態において、本発明はまた、式Iの化合物を精製するための方法を提供する。
【化12】

式中、AおよびBは、独立して、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、置換C3−C8シクロアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、CORA、およびNRBCORAからなる群より選択される。もう1つの実施形態において、AおよびBは、結合して、(i)炭素系3〜8員飽和スピロ環;(ii)骨格内に1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する炭素系3〜8員スピロ環;または(iii)骨格内にO、SおよびNからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜8員複素環、を含む環を形成し、この場合、前記(i)、(ii)および(iii)の環は、場合により、フッ素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6チオアルキル、CF3、OH、CN、NH2、NH(C1−C6アルキル)、およびN(C1−C6アルキル)2からなる群より選択される1〜4個の基により置換されている。RAは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、および置換C1−C3アミノアルキルからなる群より選択される。RBは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。Tは、O、S、または不在である。Qは、O、S、またはNR3である。R3は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、置換アリール、CN、C(O)R4、SO24、SCN、OR4、SR4、C(O)OR4、C(S)OR4、C(O)SR4、またはC(S)SR4の中から選択される。もう1つの実施形態において、R1は、ハロゲンである。さらにもう1つの実施形態において、R1は、以下に示す置換基X、YおよびZを含有する置換ベンゼン環である。
【化13】

式中、Xは、H、ハロゲン、CN、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3チオアルコキシ、置換C1−C3チオアルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、置換C1−C3アミノアルキル、NO2、C1−C3ペルフルオロアルキル、骨格内に1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員複素環、SO2NH2、CORc、OCORc、およびNRDCORcからなる群より選択される。Rcは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルである。RDは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。YおよびZは、独立して、H、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、アミノアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アルキル、およびC1−C3チオアルコキシからなる群より選択される。もう1つの実施形態において、R1は、骨格内にO、S、SO、SO2およびNR2からなる群より選択される1、2または3個のヘテロ原子を有し、ならびにH、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、SO2NH2、CORE、およびNRFCOREからなる群より独立して選択される1もしくは2個の置換基を含有する、5もしくは6員環である。REは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルである。RFは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルである。R2は、H、不在、O、またはC1−C4アルキルである。この方法は、式Iの化合物と溶媒を混合すること;その溶媒に塩基を添加すること;および酸、水または熱からなる群より選択される作用因子(agent)を利用して、式Iの精製化合物を沈殿させることを含む。

III.本発明の精製化合物の使用方法
【0059】
本発明の精製化合物は、プロゲステロン受容体調節剤(アゴニストおよびアンタゴニストを含む)として有用である。1つの実施形態において、本発明の精製化合物は、PRに結合するプロゲステロンの競合的阻害剤としての機能を果たし、従って、機能的モデルにおいて、インビトロおよびインビボのいずれにおいても/いずれかにおいて、アゴニストとしての機能を果たすことができる。
【0060】
従って、本精製化合物は、男性および女性の両方において経口避妊薬として有用である。本精製化合物は、ホルモン補充療法においても有用である。さらに、本精製化合物は、子宮内膜症、黄体期欠損、ホルモン依存性腫瘍疾患、発情の同期化、ならびに良性乳腺および前立腺疾患の治療に有用である。ホルモン依存性腫瘍疾患としては、子宮筋層フィブロイド、子宮内膜症、良性前立腺肥大、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺、下垂体、子宮の癌腫および腺癌、ならびに髄膜腫を挙げることができる。本精製化合物は、多毛症またはアクネの治療においても有用である。
【0061】
1つの実施形態において、本発明の精製化合物は、単独治療薬として単体で使用される。他の実施形態において、本発明の精製化合物は、エストロゲン、プロゲスチン、エストロンまたはアンドロゲンなどの他の薬剤と併用される。
【0062】
本発明の精製化合物は、本明細書において提供される構造の互変異性体形を包含し、該構造は記載された構造の生物活性により特徴付けられる。さらに、本発明の精製化合物は、薬学的にまたは生理学的に許容される酸、塩基、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から誘導される薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。
【0063】
生理学的に許容される酸としては、無機および有機酸から誘導されるものが挙げられる。多くの無機酸が当該技術分野では公知であり、特に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸が挙げられる。同様に、様々な有機酸が当該技術分野では公知であり、特に、乳酸、ギ酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン(panthenoic)酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸およびガラクツロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
生理学的に許容される塩基としては、無機および有機塩基から誘導されるものが挙げられる。多くの無機塩基が当該技術分野では公知であり、特に、硫酸またはリン酸アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛化合物が挙げられる。多くの有機塩基が当該技術分野では公知であり、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
生理学的に許容されるアルカリ塩およびアルカリ土類金属塩としては、エステルの形態でのナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩、ならびにカルバミン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。そうした形態で送達されたときにインビボで活性部分に転化する、他の従来どおりの「プロドラッグ」形態も利用することができる。
【0066】
これらの塩、ならびに本発明の他の精製化合物は、エステルであってもよいし、カルバミン酸塩であってもよいし、そうした形態で投与されたときにインビボで活性部分に転化する、他の従来どおりの「プロドラッグ」形態であってもよい。現在好ましい実施形態において、前記プロドラッグは、エステルである。例えば、B. Testa and J. Caldwell, "Prodrugs Revisited: The "Ad Hoc" Approach as a Complement to Ligand Design", Medicinal Research Reviews, 16(3): 233-241, ed., John Wiley & Sons (1996) 参照。
【0067】
本明細書において説明する精製化合物は、細胞または患者による本発明の化合物のプロセッシングにより形成される独特の産物である「代謝産物」も包含する。
【0068】
1つの実施形態において、本発明の精製化合物は、ニートで配合される。他の実施形態において、本発明の精製化合物は、投与のために医薬用担体を用いて配合され、その比率は、その化合物の溶解度および化学的性質、選択される投与経路、ならびに標準的な薬理学的実践のより決定される。医薬用担体は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
【0069】
固体担体としては、着香剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、潤滑剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤としての機能も果たすことができる1つまたはそれ以上の物質を挙げることができ、それは、封入材料であってもよい。粉末の場合、担体は、微粉活性成分との混合物の状態である微粉固体である。錠剤の場合、活性成分は、必要な圧縮特性を有する担体と適する比率で混合され、所望の形状およびサイズで圧縮される。粉末および錠剤は、99%以下の活性成分を含有することができる。適する固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジン、低融点ろうおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0070】
液体担体は、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ、エリキシルおよび加圧組成物を調製する際に使用される。活性成分は、薬学的に許容される液体担体、例えば水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容される油もしくは脂肪に溶解するか、懸濁させることができる。液体担体は、他の適する医薬品添加剤、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存薬、甘味料、着香剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤を含有し得る。経口および非経口投与のための液体担体の適する例としては、水(上記添加剤、例えばセルロース誘導体、を一部含有するもの、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびそれらの誘導体、レシチン(lethicins)、および油(例えば、ヤシ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与のための担体は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。滅菌液体担体は、滅菌液体形態の非経口投与用組成物において有用である。加圧組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素であってもよいし、他の薬学的に許容される噴射剤であってもよい。
【0071】
本発明の精製化合物は、経口経路、皮膚経路、気管支内経路、鼻腔内経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路、非経口経路、腹腔内経路、鼻腔内経路、経膣経路、直腸内経路、舌下経路、頭蓋内経路、硬膜外経路、気管内経路などの経路により、または持続放出により送達することができる。1つの実施形態において、送達は、経口送達または経皮送達である。
【0072】
もう1つの実施形態において、本組成物は、錠剤、カプセル、マイクロカプセル、分散性粉末、顆粒、懸濁液、シロップ、エリキシル、およびエーロゾルにより経口送達される。1つの実施形態において、本組成物が経口送達されるとき、送達は、錠剤および硬質または液体充填カプセルによる。
【0073】
さらにもう1つの実施形態において、本組成物は、容易な注射可能性が存在する程度に流動性である滅菌注射用溶液、懸濁液、分散液および粉末の形態で、静脈内送達、筋肉内送達、皮下送達、非経口送達および腹腔内送達される。こうした注射用組成物は、無菌であり、製造および保管条件下で安定であり、ならびに細菌および真菌などの微生物の汚染作用がない。
【0074】
注射用配合物は、本組成物を液体と併せることによって調製することができる。この液体は、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、油ならびにこれらの混合物の中から選択することができる。1つの実施形態において、液体担体は、水である。もう1つの実施形態において、油は、植物油である。液体担体は、場合により、懸濁化剤などを含有する。もう1つの実施形態において、液体担体は、等張性媒体であり、約0.05〜約5%の懸濁化剤を含有する。
【0075】
さらなる実施形態において、本組成物は、従来どおりの座剤の形態で直腸内送達される。
【0076】
もう1つの実施形態において、本組成物は、従来どおりの座剤、クリーム、ゲル、リングまたは被覆子宮内器具(IUD)の形態で経膣送達される。
【0077】
さらにもう1つの実施形態において、本組成物は、エアロゾルの形態で鼻腔内または気管支内送達される。
【0078】
さらなる実施形態において、本組成物は、本組成物と、本化合物(複数を含む)に対して不活性であり、皮膚に対して非毒性であり、本精製化合物(複数を含む)を全身に吸収されるように血流に送達することができる任意の担体とを含有する経皮パッチの使用により、経皮的にまたは持続放出によって送達される。そうした担体は、クリーム、軟膏、ペースト、ゲルまたは閉塞器具であり得る。クリームおよび軟膏は、粘稠液であってもよいし、半固体乳剤であってもよい。ペーストは、石油または親水性石油に分散された吸収性粉末を含むことができる。さらに、様々な閉塞器具を利用して、活性試薬を血流に放出することができ、そうした器具としては、活性試薬を収容しているレザバーを覆う半透過性膜、または活性試薬を含有するマトリックスが挙げられる。
【0079】
1つの実施形態において、患者が毎日投薬を受ける必要をなくすために、持続送達器具が利用される。用語「持続送達」は、活性薬剤、すなわち本発明の組成物の放出を送達環境への配置後まで遅らせ、その後にその薬剤を持続放出することを指すために、本明細書において用いられる。多くの持続送達器具が当該技術分野では公知であり、そうした器具としては、ヒドロゲル(米国特許第5,266,325号、同第4,959,217号、同第5,292,515号);浸透ポンプ(特に、米国特許第4,295,987号および同第5,273,752号、ならびに欧州特許第314,206号);疎水性膜材料、例えば、エチレンメタクリレート(EMA)およびエチレンビニルアセテート(EVA);生体吸収性ポリマーシステム(国際特許公開パンフレット第98/44964号および米国特許第5,756,127号および同第5,854,388号);および例えばポリエステル、ポリ無水物または乳酸/グリコール酸コポリマーからなる、他の生体吸収性移植装置(米国特許第5,817,343号)が挙げられる。こうした持続送達器具において使用するための本発明の組成物は、本明細書において説明するとおり配合することができる。米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号および同第4,008,719号参照。
【0080】
用量決定要件は、利用される特定の組成物、投与経路、提示される症状の重症度および治療する特定の被験者によって異なる。標準的な薬理試験手順で得られた結果に基づき、活性化合物の計画日用量は、約0.1〜約500mg/kg、約1〜約100mg/kg、約2〜約80mg/kg、約5〜約50mg/kg、または約5〜約25mg/kgとなる。治療は、一般に、本精製化合物の最適な用量より少ない小用量で開始されることとなる。その後、その環境下で最適な効果が達成されるまで、その用量を増加させる。
【0081】
有利なことに、特に強力なPR調節剤(例えば、式Iのもの)は、本明細書において提供する用量範囲の低限で有用であり得る。しかし、薬剤投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整することができる。例えば、幾つかに分割された用量(例えば、1日2〜4回の分割用量)を毎日投与してもよいし、治療状況の緊急性により示されるとおり、用量を比例的に減少させてもよい。あるいは、1回量を送達してもよい。一定の実施形態において、送達は、日単位であってもよいし、週単位であってもよいし、月単位であってもよい。1つの実施形態において、送達は、日単位である。周期的送達に基づき、日用量を減少させてもよいし、増加させてもよい。
【0082】
経口、非経口、経鼻または気管支内投与のための正確な用量は、治療する個々の被験者での経験を基に投与する医師により決定され得る。1つの実施形態において、本医薬組成物は、単位剤形での、例えば錠剤またはカプセルとしてのものである。そうした形態の組成物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量で小分けされる。単位剤形は、パッケージされた組成物、例えば、パッケージされた粉末、液体を収容しているバイアル、アンプル、充填済み注射器またはサッシェである場合もある。単位剤形は、例えば、カプセルもしくは錠剤それ自体である場合もあり、またはパッケージされた形態での適切な数の任意の組成物である場合もある。

IV.医薬キット
【0083】
本発明は、本明細書において説明する式Iの精製化合物を含む医薬配合物のキットまたはパッケージを提供する。式Iの精製化合物を継続して送達すべきである場合、パッケージまたはキットは、各錠剤中の精製化合物を含むことができる。本精製化合物を周期的に中止しながら送達すべきである場合、パッケージまたはキットは、精製化合物を送達しない日のプラシーボを含むことができる。
【0084】
1つの実施形態において、本キットは、その周期の各日に服用すべき単一の経口配合物または経口配合物の組み合わせを指示するようにも構成されている。さらなる実施形態において、本キットは、指定された各々の日に服用すべき経口錠剤を含む。さらにもう1つの実施形態では、1個の経口錠剤が、指示された各々の併用日用量を含有する。
【0085】
同様に、式Iの精製化合物を送達する、上で説明したタイプの他のキットを作製することができる。1つの実施形態において、式Iの精製化合物の日用量は、それが送達される各々の特定の期の間、固定されたままである。さらなる実施形態では、記載の日用量単位を第一期に続き、順に、第二期そして第三期と、記載の順序で送達することとなる。さらにもう1つの実施形態において、本キットは、各方式でのコンプライアンスの助長に役立つようにそのサイクルの最終日用に、記載のプラシーボを含んでいる。
【0086】
経口用の製剤の分配に使用するための多くのパッケージまたはキットが、当該技術分野では公知である。1つの実施形態において、パッケージは、各日用の指標を有し、ならびにラベル付ブリスターパッケージ、ダイヤル式ディスペンサーパッケージ、またはビンであり得る。
【0087】
以下の実施例は、本発明を例証するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例の中で特定の試薬および条件が概説されていても変更は可能であり、それらの変更が、本発明の精神および範囲に包含されることは、当業者において理解され得る。

実施例
【実施例1】
【0088】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

THF中のカリウムtert−ブトキシド(126g)のスラリーを、THF(0.50L)に溶解した粗製5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(171g;純度75% HPLC面積)に添加し、15℃に冷却した。さらにTHF(0.25L)を添加し、その懸濁液を1時間攪拌し、ブフナー漏斗で濾過し、THF(0.50L)でリンスした。そのケーキを一晩乾燥させた後、約5℃(約13〜約14のpHI)の1:1 アセトン:水混合物(0.70L)に溶解した。温度を維持しながら、10% HCL水溶液(0.35L)を滴下した(pH 約3〜約4)。その懸濁液を30分間攪拌した後、その攪拌懸濁液をブフナー漏斗で濾過した。ブフナー漏斗からのケーキを水(0.15および0.25L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、精製物(purified product)(90.0g)を黄色の固体として得た(純度>99% HPLC面積)。
【実施例2】
【0089】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

16%の不純物を含有する粗製5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(10.0g)をMeOH(25mL)に懸濁させ、その後、カリウムtert−ブトキシド(4.48g)を添加した。その懸濁液を、透明な溶液が得られるまで、65℃で攪拌した。約5℃に冷却したら、ジオキサン中の4M HCL溶液(12mL)を滴下した。黄色の沈殿を濾過し、1:1 アセトン:水混合物で洗浄した。アセトン:水混合物からの再結晶により、0.5%の不純物しか含有しない5.4gの生成物を生じた。
【実施例3】
【0090】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

粗製5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(10.8g)を1M NaOH水溶液(92mL)中で1時間攪拌した。不溶物を濾過によって除去し、酢酸(5.64g)を含有するMeOH(92mL)の溶液にその濾液をゆっくりと添加した。その結晶質生成物を濾過によって回収し、真空下、約50℃で乾燥させて、6.95g(収率65%;純度96.0% HPLC面積)を得た。
【実施例4】
【0091】
5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・ナトリウム塩の精製

MeOHまたはTHF中の5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの懸濁液は、カリウムtert−ブトキシド、テトラメチルグアニジンまたはジアザビシクロウンデセンを添加して、溶液化した。ジアザビシクロウンデセン中の溶液が、最も薄い色の溶液を生じた。5% HCl水溶液で酸性化すると、精製物の沈殿が起こった。
【0092】
そのHCl溶液を酢酸に変えても、結果的に精製化合物は沈殿しなかった。
【実施例5】
【0093】
6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン・ナトリウム塩の調製

6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン(2.59g)を周囲温度でTHF(50mL)に溶解し、その後、ナトリウムtert−ブトキシド(0.96g)を添加した。その混合物を、溶液が得られるまで、穏やかに加熱した。その溶液を蒸発させて、白色の固体(2.86g;定量収率)を得、これは、約40〜約50℃に加熱したN−メチルピロリジン(NMP)およびジメチルピリミドン(DMPU)に可溶性であった。1H−NMR(DMSO−d6)は、N−H基に対応するピークを示さなかった。
【実施例6】
【0094】
6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン・リチウム塩の調製

同様に、6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン(2.55g)をリチウムtert−ブトキシド(THF中1M溶液の10mL)と反応させた。蒸発後、褐色を帯びた固体を得(3.35g;定量収率)、これは、加熱せずともジメチルピリミドン(DMPU)に可溶性であった。1H NMR(DMSO−d6)は、N−H基に対応するピークを示さなかった。
【実施例7】
【0095】
5−ブロモ−スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール]−2’(1H)−オンの調製および精製

5−ブロモ−スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール]−2’(1H)−オンは、約0〜約5℃でTHF中の3当量のカリウムtert−ブトキシドを使用して、5−ブロモオキシインドール(150g)から調製した。反応が完了したら、そのカリウム塩を含有する反応混合物を希HCl(1L)でクエンチして約1のpHにした。有機相をブラインで洗浄し、蒸留して多少のTHFを除去した。アセトニトリルを添加しながら蒸留を継続した。沈殿生成物を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブンで乾燥させて、5−ブロモ−スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール]−2’(1H)−オン(158g;収率80%;純度98.1% HPLC面積)を得た。
【実施例8】
【0096】
5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド・コリン塩の調製

エタノール(20mL)中の5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(0.96g)を水酸化コリン(0.91g;メタノール中45%の溶液)と反応させて、冷却、濾過および乾燥により、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド・コリン塩(0.88g)を固体として形成した。
【0097】
DMF中の5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド・コリン塩の溶解度は、11mg/mLであり、一方、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドの溶解度は、3mg/mLであった。同様に、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド・コリン塩の融点は、205.5℃であり、一方、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドの融点は、270.5〜273.5℃であった。
【0098】
コリン塩は、約5〜30μmの個別粒子を有した。そのコリン塩を水中で併せてスラリーを形成したとき、親化合物の沈殿物は、約20〜50μmの粒子を有した。
【0099】
中性化合物(X=H)および塩(X=コリン)についての1H−NMRデータ(DMSO−d6)を得た。それを下の表1に示す。
【化14】

【実施例9】
【0100】
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(12.3g、純度98.7%)を沸騰ジエチルアミン(280mL)に溶解した。溶媒の一部を蒸発除去し、水(230mL)を添加して、懸濁液を形成した。固体を濾過により除去し、水で洗浄し、真空下、47℃で乾燥させて、11.25g(収率91.5%、純度99.1%、残留ジエチルアミン 0.52%)の精製物を得た。
【実施例10】
【0101】
5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドおよびその塩の化学シフトの比較

エタノール(20mL)中の5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(0.96g)を表2に示す塩基と反応させて、冷却、濾過および乾燥により、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド塩を固体として形成した。精製化合物(X=H)および単離塩(X=Na、K、コリン、およびEt2NH・H)の1H NMRスペクトル(DMSO−d6)を得、そのデータを表2にまとめた。
【化15】

【0102】
この実施例は、ジエチルアミンを塩基として使用したとき、そのジエチルアミン塩が、1H−NMRスペクトルにおいて中性親化合物またはそのナトリウム、カリウムもしくはコリン塩のピークと一致しないピークを生じることを例証するものである。具体的には、ジエチルアミン塩についての1H−NMRスペクトルにおけるピークは、中性のものとナトリウム、カリウムまたはコリン塩との間の化学シフトでのピークである。
【実施例11】
【0103】
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・ナトリウム塩の調製

5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.72g)を周囲温度でTHF(10mL)に溶解した。1mLのこの溶液を1N NaOH水溶液(0.22mL)と混合した。蒸発およびヘプタンとの研和によって、5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・ナトリウム塩を固体として得た(融点83.4℃)。
【実施例12】
【0104】
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・コリン塩の調製

5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.72g)を周囲温度でTHF(10mL)に溶解した。1mLのこの溶液を1N 水酸化コリン水溶液(62.1mg、MeOH中45%の溶液)と混合した。蒸発およびヘプタンとの研和によって、5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・ナトリウム塩を固体として得た(融点159℃)。
【実施例13】
【0105】
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・カリウム塩の調製

(i)手順A
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.72g)を周囲温度でTHF(10mL)に溶解した。1mLのこの溶液をカリウムtert−ブトキシド(25.3mg)と混合した。蒸発およびヘプタンとの研和によって、5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・ナトリウム塩を固体として得た(融点79.2℃)。
【0106】
(ii)手順B
5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.163g)をアセトン(3mL)に懸濁させた。無水325メッシュ炭酸カリウム(0.726g)を添加し、その混合物を窒素下で一晩攪拌した。その攪拌混合物を濾過し、アセトン(5mL)で洗浄し、濾液を蒸発させて、5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル・カリウム塩(0.185g)を固体として得た。1H−NMR(DMSO−d6,ppm):(N−H不在),7.64、7.25、7.05、7.0、6.27、3.72、2.1〜1.65、および1.1〜1.0。
【実施例14】
【0107】
ナトリウム塩経由での5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

粗製5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(1.0g、純度97.3% HPLC面積)をアセトン(6.6mL)および水(2mL)に懸濁させた。水酸化ナトリウム(0.33g、水中50%の溶液)を添加し、その混合物を15分間にわたって32〜35℃に温めた。温めた溶液を濾過し、水(2mL)で希釈し、5〜10℃に冷却した。冷却した溶液を、その後、HCl水溶液で5〜7のpHに中和し、30分間攪拌し、濾過し、アセトン−水(1:1)の混合物で洗浄して、精製5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.97g、純度98.7% HPLC面積)を得た。1H NMR(DMSO−d6,ppm):12.75(N−H)、7.82、7.44、7.15、7.04、6.35、3.72、2.0〜1.7、および1.4〜1.3。
【実施例15】
【0108】
セシウム塩経由での5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製

5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.204g、96.8% HPLC面積)をエタノールSDA3(5mL)中の炭酸セシウム(0.419g)と共に加熱して還流させて、透明な溶液を形成した。水(5mL)を添加し、その後、濃HCl(0.3mL)を添加してpH6にした。得られた固体を濾過し、水(3mL)で洗浄し、乾燥させて、精製5−(2’−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−5’−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル(0.176g、99.0% HPLC面積)を得た。
【実施例16】
【0109】
カリウム塩経由での5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドの精製

粗製5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(2.7g;純度90% HPLC面積)を60〜70℃でDMSO(11mL)に溶解し、その後、イソプロパノール(30mL)を添加した。その懸濁液を10℃に冷却した後、その冷却懸濁液を濾過し、イソプロパノールで洗浄した。残留DMSOを含有する、得られた湿潤ケーキを、イソプロパノール(10mL)に懸濁させ、カリウムtert−ブトキシド(1.9g)を添加した。得られた透明な溶液を5〜15℃に冷却し、10% HClでpH3〜4に酸性化して、懸濁液を形成した。その懸濁液を濾過し、濾液のサンプルがpHにより中性であると判明するまで、水で洗浄した。得られた固体を真空下で乾燥させて、精製5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(1.8g、粗製物を基準として収率67%;純度98.9% HPLC面積;DMSO 0.008%)。
【実施例17】
【0110】
カリウム塩経由での、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドからの残留パラジウムの除去

残留Pd(5100ppm)を含有する粗製5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(1.0g)をTHF(5mL)に懸濁させた。1M KOH水溶液(5mL)を添加することにより、透明な橙色の溶液を得た。N−アセチルシステイン(1.3g)を添加し、その混合物を1時間攪拌し、濾過した。HClの10パーセント水溶液(3mL)をその濾液に滴下すると、白色の沈殿が生じた。その溶液を濾過し、固体をメタノールで洗浄し、洗浄した固体を乾燥させて、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(0.6g;収率60%;96ppm Pd)。
【実施例18】
【0111】
5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド・ジエチルアミン塩/複合体の調製

THF(100mL)中の5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(16g)をジエチルアミン(37g)で処理し、溶液が得られるまで還流させた。周囲温度に冷却すると、白色の沈殿が形成された。その溶液を濾過し、沈殿をTHFで洗浄し、乾燥させて、18.0g(収率90%)のジエチルアミン塩/複合体を得た。1H NMR(DMSO−d6,ppm):7.58、7.21、7.05、7.00、6.5〜6(br)、6.27、3.71、2.80(q)、1.9〜1.7、1.5〜1.4、および1.10(t)。
【実施例19】
【0112】
5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミドのそのジエチルアミン塩/複合体経由での精製

THF(250mL)中の粗製5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(95.0g;純度78% HPLC面積)をジエチルアミン(105g)で処理し、溶解するまで、THF(3.35L)を同時添加しながら還流させた。溶媒を蒸留除去(2.5L)し、この間に沈殿が形成された。そのフラスコを周囲温度に冷却し、その白色の沈殿を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、58.0g(収率61%)の精製5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]インドール]−2’−イリデンシアナミド(純度>99% HPLC面積)を得た。
【0113】
本明細書中で列挙したすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の精神から逸脱することなく変更を行い得ることは理解される。そのような変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものと解釈する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
AおよびBは、独立して、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、置換C3−C8シクロアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、CORA、およびNRBCORAからなる群より選択されるか、
AとBとが結合して、(i)、(ii)または(iii):
(i)炭素系3〜8員飽和スピロ環、
(ii)骨格内に1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する炭素系3〜8員スピロ環、または
(iii)骨格内にO、SおよびNからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜8員複素環
を含む環を形成し;
前記(i)、(ii)および(iii)の環は、場合により、フッ素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6チオアルキル、CF3、OH、CN、NH2、NH(C1−C6アルキル)、およびN(C1−C6アルキル)2からなる群より選択される1〜4個の基により置換されており;
Aは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、および置換C1−C3アミノアルキルからなる群より選択され;
Bは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルであり;
Tは、O、S、または不在であり;
Qは、O、S、またはNR3であり;
1は、(iv)、(v)または(vi):
(iv)ハロゲン、
(v)以下に示す置換基X、YおよびZを含有する置換ベンゼン環:
【化2】

(式中、
Xは、H、ハロゲン、CN、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3チオアルコキシ、置換C1−C3チオアルコキシ、アミノ、C1−C3アミノアルキル、置換C1−C3アミノアルキル、NO2、C1−C3ペルフルオロアルキル、骨格内に1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員複素環、SO2NH2、CORc、OCORc、およびNRDCORcからなる群より選択され;
cは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルであり;
Dは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルであり;
YおよびZは、独立して、H、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、アミノアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アルキル、およびC1−C3チオアルコキシからなる群より選択される)
または
(vi)骨格内にO、S、SO、SO2およびNR2からなる群より選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有し、かつH、ハロゲン、CN、NO2、アミノ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、SO2NH2、CORE、およびNRFCOREからなる群より独立して選択される1もしくは2個の置換基を含有する、5もしくは6員環
であり;
Eは、H、C1−C3アルキル、置換C1−C3アルキル、アリール、置換アリール、C1−C3アルコキシ、置換C1−C3アルコキシ、C1−C3アミノアルキル、または置換C1−C3アミノアルキルであり;
Fは、H、C1−C3アルキル、または置換C1−C3アルキルであり;
2は、H、不在、O、またはC1−C4アルキルであり;
3は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、置換アリール、CN、C(O)R4、SO24、SCN、OR4、SR4、C(O)OR4、C(S)OR4、C(O)SR4、またはC(S)SR4であり;
4は、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、または置換アリールである]
の化合物を精製するための方法であって、
(a)式Iの化合物の粗製形態を溶媒の存在下、塩基で処理して、塩基性塩を形成する工程;および
(b)前記塩基性塩を式Iの化合物の精製された形態に転化させる工程
を含む方法。
【請求項2】
前記式Iの化合物が、インドール−2−オン、インドール−2−チオン、インドール−2−イリデンシアナミド;ベンズオキサジン−2−オン、ベンズオキサジン−2−チオン、ベンズオキサジン−2−イリデンシアナミド;ベンゾチアジン−2−オン、ベンゾチアジン−2−チオン、およびベンゾチアジン−2−イリデンシアナミドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メタノール、ジエチルアミン、アセトン、および水からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、アルコキシド塩、ジエチルアミン、水酸化物塩、テトラメチルグアニジン、およびジアザビシクロウンデセンからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水酸化物塩が、水酸化ナトリウム、水酸化コリン、または水酸化カリウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルコキシド塩が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ペントキシド、およびカリウムtert−ペントキシドからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基性塩が、前記溶媒に可溶性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基性塩が、前記溶媒に不溶性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基性塩を単離する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単離が、濾過を利用して行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記単離された塩基性塩が、可溶化溶媒に溶解される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記可溶化溶媒が、アセトンまたはアセトン水溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(a)の生成物を濾過する工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記精製された式Iの化合物を沈殿させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記沈殿が、酸を利用して行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸が、有機酸または無機酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸が、塩酸および酢酸からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記沈殿が、水を利用して行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記沈殿が、熱を利用して行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(b)が、前記塩基性塩を前記精製された式Iの化合物に転化させる作用因子で、前記塩基性塩を処理することを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記作用因子が、水、酸および熱からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記精製された式Iの化合物を単離することをさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記精製された式Iの化合物を再結晶させることをさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記精製された式Iの化合物を、その薬学的に許容される塩に転化させることをさらに含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記式Iの化合物が、6−(1−メチル−2−シアノ−ピロール−5−イル)5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン)−3−クロロ−ベンゾニトリル、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル、6−ブロモ−4,4−ジメチル−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン−2−オン、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン)−3−フルオロ−ベンゾニトリル、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−ベンズオキサジン)−3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリル、5−(2−チオキソスピロ[シクロヘキサン−1,3−[3H]−インドール]−1−メチル−2−ピロール−2−カルボニトリル、5−ブロモ−スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール−2(1H)−オン、および5−ブロモ−スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール−2(1H)−チオンからなる群より選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記塩基性塩が、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンズオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル ナトリウム塩、6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン ナトリウム塩、6−ブロモ−4,4−ジメチル−ベンズオキサジン−2−オン リチウム塩、5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール]−2’−イリデンシアナミド コリン塩、および5’−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)スピロ[シクロヘキサン−1,3’−[3H]−インドール]−2’−イリデンシアナミド コリン塩からなる群より選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記R3の電子求引性基が、CNである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれかに記載の方法により調製された式Iの精製化合物を含む、避妊、ホルモン補充療法、ホルモン依存性腫瘍疾患の治療もしくは予防、発情の同期化、アクネの治療、または多毛症の治療に有用な医薬キット。

【公表番号】特表2007−534760(P2007−534760A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510848(P2007−510848)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/013997
【国際公開番号】WO2005/104711
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】