説明

プロジェクター

【課題】小型化および高出力を図ることができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明に係るプロジェクター1000では、利得領域180は、活性層108の積層方向から平面視して、直線状に、第1面107側の端面140から第2面109側の端面142まで、第1面140の垂線Pに対して傾いた所定の方向に向かって設けられ、第2面109側の端面142は、活性層108の積層方向から平面視して、所定の方向に対して直交し、第2面109側の端面142には、反射部150が設けられ、利得領域180に生じる光の一部は、第2面109側の端面142において反射して、第1面107側の端面から出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode、以下「SL
D」ともいう)は、発光ダイオードと同様に低コヒーレント性を示し、広帯域な発光スペクトルを示しながら、半導体レーザーと同程度の出力を得ることが可能な光半導体素子である。SLDは、一般的に、半導体レーザーから共振器構造を取り除いて、レーザー発振を抑制した構造を有している。レーザー発振を抑制するためには、素子端面における光反射率を抑制する必要がある。素子端面の光反射率を低減する方法としては、例えば、利得領域を素子端面の垂線に対して傾ける構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−273690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクターやディスプレイなどの表示装置の光源用の発光素子として、SLDを用いる場合、SLDの光出力が高いことが望ましい。光出力を高めるための1つの方法としては、例えば、誘導放出による増幅利得を増大させる方法がある。
【0005】
しかしながら、誘導放出による増幅利得を増大させるために、半導体レーザーの共振器長に相当する素子奥行き長を長くすることは、発光素子が大きくなってしまうため、プロジェクターが大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、小型化および高出力化を図ることができるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプロジェクターは、
発光素子を有する発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含み、
前記発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであって、第1クラッド層と第2クラッド層とに挟まれた活性層を備える積層構造体を有し、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、前記活性層の電流経路となる利得領域を構成し、
前記積層構造体において、前記活性層の露出する面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記利得領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、直線状に、前記第1面側の端面から前記第2面側の端面まで、前記第1面の垂線に対して傾いた所定の方向に向かって設けられ、
前記第2面側の端面は、前記活性層の積層方向から平面視して、前記所定の方向に対して直交し、
前記第2面側の端面には、反射部が設けられ、
前記利得領域に生じる光の一部は、前記第2面側の端面において反射して、前記第1面側の端面から出射される。
【0008】
このようなプロジェクターによれば、前記発光素子を備えるため、小型化および高出力化を図ることができる。
【0009】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記反射部は、分布ブラッグ反射型ミラーであることができる。
【0010】
このようなプロジェクターによれば、前記第2面側の端面の反射率を高くすることができる。
【0011】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記分布ブラッグ反射型ミラーは、所定の間隔で配置された複数の溝部で構成されていることができる。
【0012】
このようなプロジェクターによれば、簡易な工程で、前記反射部を形成することができる。
【0013】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記溝部は、前記第2クラッド層および前記活性層を貫通していることができる。
【0014】
このようなプロジェクターによれば、前記第2面側の端面の反射率をより高くすることができる。
【0015】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記分布ブラッグ反射型ミラーは、前記所定の方向に、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜で構成されていることができる。
【0016】
このようなプロジェクターによれば、前記第2面側の端面の反射率を高くすることができる。
【0017】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記反射部は、金属ミラーであることができる。
【0018】
このようなプロジェクターによれば、前記第2面側の端面の反射率を高くすることができる。
【0019】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記第1面側の端面には、反射防止膜が設けられていることができる。
【0020】
このようなプロジェクターによれば、前記第1面側の端面の反射率を低くすることができる。
【0021】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記利得領域は、複数配列されていることができる。
【0022】
このようなプロジェクターによれば、より高出力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子を模式的に示す斜視図。
【図3】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子を模式的に示す平面図。
【図4】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第1変形例の発光素子を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第2変形例の発光素子を模式的に示す平面図。
【図9】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第2変形例の発光素子を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第3変形例の発光素子を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第4変形例の発光素子を模式的に示す平面図。
【図12】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第5変形例の発光素子を模式的に示す断面図。
【図13】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第6変形例の発光素子を模式的に示す平面図。
【図14】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第6変形例の発光素子を模式的に示す断面図。
【図15】本実施形態に係るプロジェクターに用いる第6変形例の発光素子の製造工程を模式的に示す平面図。
【図16】本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
1. プロジェクター
まず、本実施形態に係るプロジェクター1000について、図面を参照しながら説明する。図1は、プロジェクター1000を模式的に示す図である。なお、図1では、便宜上、プロジェクター1000を構成する筐体は省略している。プロジェクター1000は、本発明に係る発光素子を有する発光装置を含む。以下では、本発明に係る発光装置として、発光装置900を用いた例について説明する。
【0026】
プロジェクター1000において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源(発光装置)900R,緑色光源(発光装置)900G、青色光源(発光装置)900Bは、上述した発光装置900である。
【0027】
プロジェクター1000は、光源900R,900G,900Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)1004R,1004G,1004Bと、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)1010に投射する投射レンズ(投射装置)1008と、を備えている。また、プロジェクター1000は、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bから出射された光を合成して投写レンズ1008に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)1006を備えていることができる。
【0028】
さらに、プロジェクター1000は、光源900R,900G,900Bから出射された光の照度分布を均一化させるため、各光源900R,900G,900Bよりも光路下流側に、均一化光学系1002R,1002G,1002Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bを照明している。均一化光学系1002R,1002G、1002Bは、例えば、ホログラム1002aおよびフィールドレンズ1002bによって構成される。
【0029】
各液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム1006に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ1006によりスクリーン1010上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0030】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0031】
また、発光装置900を、発光装置900からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の発光装置(光源装置)にも適用することが可能である。
【0032】
プロジェクター1000によれば、光源として、本発明に係る発光装置(発光素子)を用いることができるため、小型化および高出力化を図ることができる。プロジェクター1000に用いる発光素子および発光装置の構成等については、以下に説明する。
【0033】
2. 発光素子
次に、本実施形態に係るプロジェクター1000に用いる発光素子100について、図面を参照しながら説明する。図2は、発光素子100を模式的に示す斜視図である。図3は、発光素子100を模式的に示す平面図である。図4は、図3のIV−IV線断面図であり、図5は、図3のV−V線断面図である。なお、図2では、活性層108、反射部150、及び反射防止膜160以外の部材については、便宜上、その図示を省略している。また、ここでは、発光素子100がInGaAlP系(赤色)の半導体発光素子である場合について説明する。
【0034】
発光素子100は、図2〜図5に示すように、積層構造体113と、反射部150と、第1電極120と、第2電極122と、を含むことができる。積層構造体113は、基板102と、バッファー層104と、第1クラッド層106と、活性層108と、第2クラッド層110と、コンタクト層112と、を含むことができる。
【0035】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0036】
バッファー層104は、例えば図4に示すように、基板102上に形成されていることができる。バッファー層104は、例えば、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。バッファー層104としては、例えば、基板102よりも結晶性の良好な(例えば欠陥密度の低い)第1導電型(n型)のGaAs層、InGaP層などを用いることができる。
【0037】
第1クラッド層106は、バッファー層104上に形成されている。第1クラッド層106は、例えば、第1導電型の半導体からなる。第1クラッド層106としては、例えばn型AlGaP層などを用いることができる。
【0038】
活性層108は、第1クラッド層106上に形成されている。活性層108は、図示の例では、第1クラッド層106と第2クラッド層110とに挟まれている。活性層108は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0039】
活性層108の一部は、活性層106の電流経路となる利得領域を構成している。利得領域180には、光を生じさせることができ、この光は、利得領域180内で利得を受けることができる。活性層108の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層108は、図2及び図3に示すように、第1面107及び第2面109を有する。第1面107および第2面109は、活性層108の面のうち第1クラッド層106または第2クラッド層110に接していない面であり、積層構造体113において露出している面である。第1面107および第2面109は、活性層108の側面ともいえる。第1面107および第2面109は、互いに対向しており、図示の例では、平行である。
【0040】
利得領域180は、第1面107側の第1端面140と、第2面109側の第2端面142と、を有する。第1端面140は、第1面107に設けられることができる。第2端面142は、図2に示すように、活性層108の形成された領域の任意の場所に設けられている。すなわち、利得領域180は、図示の例では、第2面109に到達しておらず、第2端面142は、第2面109には設けられていない。第2端面142は、図3に示すように、活性層108の積層方向から平面視して(活性層108の厚み方向から平面視して)、後述する第1方向Aに対して、直交するように設けられている。利得領域180に生じる光の波長帯において、第2端面142の反射率は、第1端面140の反射率よりも高い。第2端面142の反射率は、100%あるいはそれに近いことが望ましい。これに対して、第1端面140の反射率は、0%あるいはそれに近いことが望ましい。第1端面140には、例えば、反射防止膜160が設けられていることにより、低い反射率を得ることができる。反射防止膜160は、図示の例のように、第1面107の全部に設けられていてもよいし、第1端面140にのみ設けられていてもよい。反射防止膜160としては、例えばAl単層、または、SiO層、SiN層、Ta層や、これらの多層膜などを用いることができる。第2端面142は、後述する反射部150を設けることにより、高い反射率を得ることができる。
【0041】
利得領域180は、図3に示すように、活性層108の積層方向から平面視して(活性層108の厚み方向から平面視して)、直線状に、第1端面140から第2端面142まで、第1面107の垂線Pに対して傾いた所定の方向に向かって設けられている。図示の例では、利得領域180は、垂線Pに対して角度θで傾いた第1方向Aに向かって設けられている。利得領域180が、第1面107の垂線Pに対して傾いた方向に向かって設けられていることにより、利得領域180に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することができる。すなわち、発光素子100は、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)であることができる。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0042】
反射部150は、利得領域180の第2端面142に設けられている。反射部150は、分布ブラッグ反射型(DBR)ミラー(以下、DBRミラーともいう)であることができる。反射部150は、図視の例では、所定の間隔で配置された複数の溝部152で構成されている。したがって、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて簡易な工程により形成することができる。溝部152の平面形状は、例えば、矩形である。図3に示すように、溝部152の対向する1組の辺(図3の例では、長辺)が、第2端面142に対して平行に設けられている。溝部152の底面の位置は、図5の例では、活性層108の下面の位置より下に設けられている。すなわち、溝部152は、第2クラッド層110および活性層108を貫通している。したがって、溝部152が活性層108を貫通していない場合と比べて、第2端面142の反射率をより高くすることができる。溝部152の内部は、空洞であってもよいし、絶縁材料で埋めこまれていてもよい。溝部152は、幅aが、(2m−1)λ/4nであり、間隔bが、(2m−1)λ/4nであるように配置されることができる。なお、m、mは、自然数であり、λは、利得領域180に生じる光の波長であり、nは、溝部152における屈折率であり、nは、活性層108における屈折率である。このように、所定の幅を有する溝部152が所定の間隔で設けられることにより、DBRミラーを構成することができる。溝部152は、図示の例では、5つ設けられているが、その数は限定されない。溝部152の数を増やすことで、より高い反射率を得ることができる。
【0043】
第2クラッド層110は、活性層108上に形成されている。第2クラッド層110は、例えば第2導電型(例えばp型)の半導体からなる。第2クラッド層110としては、例えばp型AlGaP層などを用いることができる。
【0044】
例えば、p型の第2クラッド層110、不純物がドーピングされていない活性層108、及びn型の第1クラッド層106により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層106及び第2クラッド層110の各々は、活性層108よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層108は、光を増幅する機能を有する。第1クラッド層106及び第2クラッド層110は、活性層108を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能を有する。
【0045】
発光素子100では、第1電極120と第2電極122との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層108の利得領域180において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域180内で光の強度が増幅される。例えば、図2に示すように、利得領域180に生じる光の一部10は、第2端面142において反射して、第1端面140から出射光130として出射されるが、その間に光強度が増幅される。なお、利得領域180に生じる光には、直接、第1端面140から出射光130として出射されるものもある。
【0046】
コンタクト層112は、例えば図4に示すように、第2クラッド層110上に形成されていることができる。コンタクト層112としては、第2電極122とオーミックコンタクトする層を用いることができる。コンタクト層112は、例えば第2導電型の半導体からなる。コンタクト層112としては、例えばp型GaAs層などを用いることができる。
【0047】
第1電極120は、例えば図4に示すように、基板102の下の全面に形成されている。第1電極120は、該第1電極120とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第1電極120は、基板102及びバッファー層104を介して、第1クラッド層106と電気的に接続されている。第1電極120は、発光素子100を駆動するための一方の電極である。第1電極120としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、第1クラッド層106とバッファー層104との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を露出させ、第1電極120を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。絶縁性の基板102としては、例えば、半絶縁性GaAs基板などが挙げられる。第2コンタクト層としては、例えばn型GaAs層などを用いることができる。また、図示しないが、例えば、エピタキシャルリフトオフ(ELO)法、レーザーリフトオフ法などを用いて、基板102とその上に設けられた部材とを切り離すことができる。即ち、発光素子100は、基板102を有しないこともできる。この場合には、例えばバッファー層104の直接下に第1電極120を形成することができる。この形態も、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0048】
第2電極122は、コンタクト層112上に形成されている。第2電極122は、コンタクト層112を介して、第2クラッド層110と電気的に接続されている。第2電極122は、発光素子100を駆動するための他方の電極である。第2電極122としては、例えば、コンタクト層112側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。第2電極122の下面は、図3に示すように、利得領域180と同様の平面形状を有している。図示の例では、第2電極122とコンタクト層112との接触面の平面形状によって、電極120,122間の電流経路が決定され、その結果、利得領域180の平面形状が決定されることができる。なお、図示しないが、例えば、第1電極120と基板102との接触面が、利得領域180と同じ平面形状を有していてもよい。
【0049】
発光素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0050】
発光素子100では、上述したように、利得領域180に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することができる。従って、スペックルノイズを低減させることができる。さらに、発光素子100では、利得領域180に生じる光は、利得領域180内において利得を受けながら進行して、外部に出射されることができる。従って、従来の一般的なLEDよりも高い出力を得ることができる。以上のように、発光素子100によれば、スペックルノイズを低減でき、かつ高い光出力を得ることができる。
【0051】
一般的に、レーザー光でない光を発する発光素子は、レーザー発振を抑制または防止するために、利得領域の出射部となる端面と対向する他方の端面には、吸収部が設けられる。発光素子100では、上述の通り、吸収部を有することなく、レーザー発振を抑制または防止することができる。したがって、発光素子100によれば、吸収部を設けることなくレーザー発振を抑制または防止することができるため、第2端面142に反射部150を設けることができる。
【0052】
発光素子100では、利得領域180に生じる光の一部10は、第2端面142において反射して、再び利得領域180内において、利得を受けながら進行することができる。従って、発光素子100によれば、例えば、第2端面142において積極的に反射させないような場合に比べ、光強度の増幅距離が長くなるため、高い光出力を得ることができる。
【0053】
発光素子100によれば、第2端面142において積極的に反射させないような場合に比べ、少なくとも同程度の光出力を保ちつつ、活性層108の第1面107と第2面109との間の距離を小さくすることができる。すなわち、光出力は、光が利得領域内を進行する距離に依存するため、第2端面142において積極的に反射させないような場合では、発光素子100と同じ光出力を得ようとすると、活性層108の第1面107と第2面109との間の距離が大きくなってしまう。したがって、発光素子100によれば、小型化を図ることができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0054】
発光素子100では、反射部150は、複数の溝部152で構成されたDBRミラーであることができる。したがって、反射部150を簡易な工程で形成することができる。また、発光素子100によれば、例えば、反射部が発光素子の外部に設けられた場合と比較して、装置を小型化することができ、さらに、利得領域180と反射部150との間の光の損失を抑制することができる。
【0055】
3. 発光素子の製造方法
次に、発光素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0056】
図6は、発光素子100の製造工程を模式的に示す断面図であり、図4に示す断面図に対応している。
【0057】
まず、例えば、図6に示すように、基板102上に、バッファー層104、第1クラッド層106、活性層108、第2クラッド層110、及びコンタクト層112を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0058】
次に、図5に示すように、第2端面142に反射部150を構成する溝部152を形成する。溝部152は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより形成される。
【0059】
次に、例えば、図2及び図3に示すように、第1端面140に反射防止膜160を形成することができる。反射防止膜160は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、イオンアシスト蒸着(Ion Assisted Deposition)法などにより形成される。
【0060】
次に、例えば、図4に示すように、コンタクト層112上に第2電極122を形成する。第2電極122は、例えば、真空蒸着法により全面に導電層を形成した後、該導電層をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより形成される。また、第2電極122は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法の組み合わせ等により、所望の形状に形成されることもできる。なお、溝部152は、電極材料が入り込まないように、例えば、マスク層(図示しない)で覆われていることができる。
【0061】
次に、例えば、図4に示すように、基板102の下面下に第1電極120を形成する。第1電極120の製法は、例えば、上述した第2電極122の製法の例示と同じである。なお、第1電極120及び第2電極122の形成順序は、特に限定されない。
【0062】
以上の工程により、発光素子100が得られる。
【0063】
4. 発光素子の変形例
次に本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光素子の変形例について説明する。なお、上述した図2〜図5に示す発光素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0064】
(1) 第1の変形例
まず、第1の変形例について説明する。
【0065】
図7は、本変形例に係る発光素子200を模式的に示す断面図である。なお、図7に示す断面図は、図5に対応している。
【0066】
発光素子100の例では、図5に示すように、溝部152の底面の位置が、活性層108の下面の位置より下に設けられている場合について説明した。これに対し、本変形例では、例えば、図7に示すように、溝部152の底面の位置は、活性層108の上面の位置より上に設けられていることができる。本変形例によれば、発光素子100の例と同様に、反射部150が、溝部152で構成されたDBRミラーであることができる。
【0067】
(2) 第2の変形例
次に、第2の変形例について説明する。
【0068】
図8は、本変形例に係る発光素子300を模式的に示す平面図である。図9は、図8のIX−IX線断面図である。
【0069】
発光素子100の例では、反射部150が、複数の溝部152によって構成されたDBRミラーである場合について説明した。これに対し、本変形例では、反射部150が、第1方向Aに、高屈折率層352Hと低屈折率層352Lが交互に積層された誘電体多層膜352で構成されたDBRミラーであることができる。高屈折率層352Hとしては、例えば、SiN層、Ta層、TiO層、ZrO層を用いることができる。低屈折率層352Lとしては、例えば、SiO層、MgF層を用いることができる。高屈折率層352Hと低屈折率層352Lを1ペアとした場合、図示の例では、4ペアであるが、そのペア数は特に限定されない。高屈折率層352Hの膜厚は、(2m−1)λ/4nであることができる。低屈折率層352Lの膜厚は、(2m−1)λ/4nであることができる。なお、m、mは、自然数であり、λは、利得領域180に生じる光の波長であり、nは、高屈折率層352Hの屈折率であり、nは、低屈折率層352Lの屈折率である。
【0070】
本変形例によれば、反射部150が、誘電体多層膜352で構成されたDBRミラーであることができる。これにより、発光素子100と同様に、第2端面142の反射率を高くすることができる。
【0071】
発光素子300の製造方法について説明する。
【0072】
まず、発光素子100の場合と同様に、基板102上に、バッファー層104、第1クラッド層106、活性層108、第2クラッド層110、及びコンタクト層112を、この順でエピタキシャル成長させる。
【0073】
次に、図8に示すように、第2面109から平面的に見て、少なくとも第2端面142となる領域を露出させるように、第2端面142から第2面109まで、第1方向Aに沿った領域をエッチングする。エッチングの深さは、図9の例では、第1クラッド層106の下面だが、少なくとも第1クラッド層106の上面に達する深さであればよい。エッチングは、例えば、ドライエッチングにより行われる。
【0074】
次に、図9に示すように、誘電体多層膜352を形成する。具体的には、第2面109側から、低誘電体層352L、高誘電体層352Hを交互に成膜することにより形成することができる。成膜は、例えば、第2端面142に対して均一に積層されるような向きに基板102を固定して行うことができる。成膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法を用いることができる。
【0075】
その他の工程については、発光素子100と同様に行うことができるため、その詳細な説明は、省略する。
【0076】
以上の工程により、本変形例の発光素子300が得られる。
【0077】
(3) 第3の変形例
次に、第3の変形例について説明する。
【0078】
図10は、本変形例に係る発光素子400を模式的に示す断面図である。図10に示す断面図は、図5に対応している。
【0079】
発光素子100の例では、反射部150が、複数の溝部152によって構成されたDBRミラーである場合について説明した。これに対し、本変形例では、反射部150が、金属ミラーであることができる。金属ミラーは、第2端面142に設けられた金属薄膜452からなることができる。金属薄膜452は、少なくとも第2端面142を覆うように設けられている。金属薄膜452の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金などを用いることができる。
【0080】
金属薄膜452は、例えば、スパッタ法で成膜される。本変形例に係る発光素子300の製造方法は、発光素子100,200と同様の製造方法で製造できるためその詳細な説明を省略する。
【0081】
本変形例によれば、反射部150が、誘電体多層膜352で構成されたDBRミラーであることができる。これにより、発光素子100と同様に、第2端面142の反射率を高くすることができる。
【0082】
(4) 第4の変形例
次に、第4の変形例について説明する。
【0083】
図11は、本変形例に係る発光素子500を模式的に示す平面図である。図11に示す平面図は、図3に対応している。
【0084】
発光素子100の例では、利得領域180が1つである場合について説明した。これに対し、本変形例では、利得領域180が、複数(図11の例では5つ)設けられていることができる。複数の利得領域180の第2端面142の各々には、反射部150が設けられていることができる。図示の例では、反射部150が溝部152で構成されたDBRミラーであるが、反射部150は、例えば、上述した変形例に係る誘電体多層膜352からなるDBRミラーおよび金属薄膜452からなる金属ミラーであってもよい。複数の利得領域180の設けられている方向は、利得領域180ごとに同じ方向(図示の例)であってもよいし、異なる方向であってもよい。
【0085】
本変形例によれば、発光素子100の例に比べ、発光素子全体の高出力化を図ることができる。
【0086】
(5) 第5の変形例
次に、第5の変形例について説明する。
【0087】
図12は、本変形例に係る発光素子600を模式的に示す断面図である。なお、図12に示す断面図は、図4に示す断面図に対応している。
【0088】
発光素子100の例では、図3及び図4に示すように、第2電極122の上面も下面も、利得領域180と同じ平面形状を有する場合について説明した。これに対し、本変形例では、図12に示すように、第2電極122の上面は、利得領域180と異なる平面形状を有することができる。本変形例では、コンタクト層112上に、開口部を有する絶縁層602を形成し、該開口部を埋め込む第2電極122を形成することができる。第2電極122は、開口部内および絶縁層(開口部含む)602上に形成されている。本変形例では、第2電極122の下面は、利得領域180と同じ平面形状を有し、第2電極122の上面は、絶縁層602上の全面である。
【0089】
絶縁層602としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁層602は、例えば、CVD法、塗布法などにより成膜される。
【0090】
本変形例によれば、発光素子100の例に比べ、第2電極122の体積が増えるため、放熱性に優れた発光素子600を提供することができる。
【0091】
(6) 第6の変形例
次に、第6の変形例について説明する。
【0092】
発光素子100の例では、InGaAlP系の場合について説明したが、本変形例では、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、InGaN系、GaAs系、InGaAs系、GaInNAs系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。本変形例では、基板102として、例えばGaN基板などを用いることができる。また、本変形例では、例えば有機材料などを用いることもできる。
【0093】
(7) 第7の変形例
次に、第7の変形例について説明する。
【0094】
図13は、発光素子700を模式的に示す平面図であり、図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
【0095】
発光素子100の例では、図4に示すように、利得領域180がそのまま導波領域となる利得導波型について説明した。これに対し、本変形例では、図14に示すように、絶縁部702と、絶縁部702が形成されていない領域、すなわち柱状部710を形成している領域に屈折率差を設けて、光を閉じ込める屈折率導波型であることができる。
【0096】
コンタクト層112は、図13の例では、第2端面142より第2面109側の領域(溝部152を除く)に形成されていることができる。さらに、コンタクト層112は、第2電極122が形成された領域において、利得領域180と同じ平面形状を有していることができる。図14に示すように、例えば、少なくともコンタクト層112のうちの第2電極122との接触面側の部分(コンタクト層112の上部)が、柱状の半導体堆積体(以下「柱状部」という)710を構成することができる。例えば、第1クラッド層106、活性層108、第2クラッド層110、及びコンタクト層112が、柱状部710を構成することもできる。また、図14に示すように、第2クラッド層110、及びコンタクト層112が、柱状部710を構成することもできる。
【0097】
絶縁部702は、図14に示すように、柱状部710の側方に設けられている。絶縁部702は、例えば、柱状部710の第2電極122側とは反対側に接する層(図示の例では第2クラッド層110)の上に形成されている。絶縁部702は、図14に示すように、柱状部710の側面に接している。電極120,122間の電流は、絶縁部702を避けて、該絶縁部702に挟まれた柱状部710を流れることができる。例えば、柱状部710の平面形状によって、電極120,122間の電流経路が決定され、その結果、利得領域180の平面形状が決定される。なお、図示しないが、柱状部710及び絶縁部702は、基板102側に形成されることもできる。絶縁部702としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁部702は、平面的に見て、少なくとも柱状部710の周辺の領域に設けられることができる。絶縁部702は、図13の例では、柱状部710の領域を除いた電極122と同様の領域に設けられていることができる。
【0098】
絶縁部702は、例えば、少なくとも活性層108の側面(但し、利得領域180の第1端面140及び第2端面142以外の面)を覆うこともできる。例えば、柱状部710の側面のうち、第1端面140側および第2端面142側以外の側面は、絶縁部702により覆われていることができる。絶縁部702は、活性層108の屈折率よりも低い屈折率を有することができる。これにより、活性層108内に効率良く光を閉じ込めることができる。
【0099】
第2電極122は、例えば図13および図14に示すように、柱状部710及び絶縁部702の上の全面に形成されている。これにより、上述した発光素子100の例に比べ、第2電極122の体積が増えるため、放熱性に優れた発光素子700を提供することができる。
【0100】
本変形例によれば、発光素子100と同様に、小型化および高出力化を図ることができる発光素子を提供することができる。
【0101】
次に、発光素子700の製造方法について説明する。
【0102】
図15は、発光素子700の製造工程を模式的に示す断面図であり、図15に示す断面図に対応している。
【0103】
まず、基板102上に、バッファー層104、第1クラッド層106、活性層108、第2クラッド層110、及びコンタクト層112を形成する。
【0104】
次に、図15に示すように、第2クラッド層110、及びコンタクト層112をパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術などを用いて行われる。本工程により、柱状部710を形成することができる。
【0105】
次に、例えば、図13に示すように、溝部152を形成する。溝部152の形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術などを用いて行われる。
【0106】
次に、図14に示すように、柱状部710の側面を覆うように絶縁部702を形成する。具体的には、まず、例えば、CVD法、塗布法などにより、第2クラッド層110の上方(コンタクト層112上を含む)に絶縁層(図示せず)を成膜する。次に、例えば、エッチング技術などを用いて、コンタクト層112の上面を露出させる。以上の工程により、絶縁部702を得ることができる。なお、溝部152は、絶縁層の成膜工程で埋め込まれてもよいし、埋め込まれなくてもよい。例えば、溝部152の領域をレジスト等でマスク(図示しない)することで溝部152に絶縁層を埋め込まないことができる。
【0107】
次に、第1電極120、及び第2電極122を形成する。第2電極122は、図13に示すように、柱状部710及び絶縁部702の上に成膜されればよいため、微細なパターニングが不要となり、第2電極122の断線リスクを低減することができる。
【0108】
以上の工程により、発光素子700が得られる。
【0109】
5. 発光装置
次に、本実施形態に係るプロジェクター1000に用いる発光装置900について、図面を参照しながら説明する。図16は、発光装置900を模式的に示す断面図である。
【0110】
発光装置900は、図16に示すように、例えば発光素子100と、ベース910と、サブマウント920と、を有することができる。
【0111】
ベース910は、例えば、サブマウント920を介して、間接的に発光素子100を支持することができる。ベース910としては、例えば、板状(直方体形状)の部材を用いることができる。ベース910の材質としては、例えば、セラミックス、銅、アルミニウムなどを列挙することができる。ベース910は、例えば、ヒートシンクとして機能してもよい。ベース910は、例えば、ペルチェ素子であってもよい。サブマウント920は、ベース910上に設けられ、発光素子100を支持している。
【0112】
サブマウント920は、例えば、銅、アルミニウムなどの導電性材料からなることができる。これにより、発光素子100の電極120,122に電流を供給することができる。発光素子100は、サブマウント920に挟まれて、ベース910上に支持されている。図示の例では、発光素子100は、発光素子100の厚み方向(活性層106の厚み方向)に、2つ配列されているが、その数は特に限定されない。複数の発光素子100は、例えば、同じ方向に光130を出射することができる。
【0113】
発光装置900によれば、発光素子100を備えるため、小型化および高出力化を図ることができる。
【0114】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0115】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0116】
100 発光装置、102 基板、104 バッファー層、106 第1クラッド層、
107 第1面、108 活性層、109 第2面、110 第2クラッド層、
112 コンタクト層、113 積層構造体、120 第1電極、122 第2電極、
130 出射光、140 第1端面、142 第2端面、150 反射部、
152 溝部、160 反射防止膜、180 利得領域、200 発光装置、
300 発光装置、352 誘電体多層膜、400 発光装置、452 金属薄膜、
500 発光装置、600 発光装置、602 絶縁層、700 発光装置、
702 絶縁部、710 柱状部、
900 発光装置、910 ベース、920 サブマウント、
1000 プロジェクター、1002 均一化光学系、1002a ホログラム、
1002b フィールドレンズ、1004 液晶ライトバルブ、
1006 クロスダイクロイックプリズム、1008 投写レンズ、
1010 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含み、
前記発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであって、第1クラッド層と第2クラッド層とに挟まれた活性層を備える積層構造体を有し、
前記活性層のうちの少なくとも一部は、前記活性層の電流経路となる利得領域を構成し、
前記積層構造体において、前記活性層の露出する面のうちの第1面および第2面は、互いに対向する位置関係であり、
前記利得領域は、前記活性層の積層方向から平面視して、直線状に、前記第1面側の端面から前記第2面側の端面まで、前記第1面の垂線に対して傾いた所定の方向に向かって設けられ、
前記第2面側の端面は、前記活性層の積層方向から平面視して、前記所定の方向に対して直交し、
前記第2面側の端面には、反射部が設けられ、
前記利得領域に生じる光の一部は、前記第2面側の端面において反射して、前記第1面側の端面から出射される、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1において、
前記反射部は、分布ブラッグ反射型ミラーである、プロジェクター。
【請求項3】
請求項2において、
前記分布ブラッグ反射型ミラーは、所定の間隔で配置された複数の溝部で構成されている、プロジェクター。
【請求項4】
請求項3において、
前記溝部は、前記第2クラッド層および前記活性層を貫通している、プロジェクター。
【請求項5】
請求項2において、
前記分布ブラッグ反射型ミラーは、前記所定の方向に、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜で構成されている、プロジェクター。
【請求項6】
請求項1において、
前記反射部は、金属ミラーである、プロジェクター。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記第1面側の端面には、反射防止膜が設けられている、プロジェクター。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、
前記利得領域は、複数配列されている、プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−66137(P2011−66137A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214611(P2009−214611)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】