説明

プロセスユニットおよび画像形成装置

【課題】現像ローラと感光体を平行に保持することができるプロセスユニットを提供する。
【解決手段】プロセスユニット5は、感光体を有する感光体ユニット100と、現像フレーム210に支持される現像ローラを有する現像ユニット200とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される。感光体ユニット100は、記録シートを搬送するピンチローラ120と、ピンチローラ120を回転可能に支持し、かつ、ピンチローラ120の軸方向に移動可能な軸受部材130とを有し、軸受部材130には、内側に向かって延び、現像フレーム210に設けられた被係止部212と係合可能な係止部133が設けられている。プロセスユニット5は、画像形成装置本体に装着されて位置決めされたとき、軸受部材130が内側に移動した状態で、係止部133が現像ユニット200を感光体ユニット100に押しつけるように被係止部212と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置で使用されるプロセスユニットとして、感光体ドラムを有する感光体ユニットと、現像ローラを有し、感光体ユニットに対して着脱可能に装着される現像ユニットとを備えたものが知られている。このようなプロセスユニットでは、例えば、特許文献1に示すように、感光体ドラムを支持するフレームに設けられたスリットに現像ユニット(現像ローラの軸)を挿入することで、現像ローラと感光体ドラムを平行に保持している。
【0003】
【特許文献1】特開平7−271141号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、感光体ドラムを支持するフレームのスリットに現像ローラの軸を挿入するだけの構成では、現像ローラが回転駆動したときに現像ローラが微動して、現像ローラと感光体ドラムを平行に保持できないという問題があった。現像ローラと感光体ドラムが平行に保持できなくなると、互いの押圧力を軸方向に関して均一にすることができなくなるので、現像ローラから感光体ドラム上に形成された静電潜像に対してトナーを均一に供給することが困難になり、結果として画像品質が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、現像ローラと感光体を平行に保持することができるプロセスユニットおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明のプロセスユニットは、感光体フレームに支持される感光体を有する感光体ユニットと、現像フレームに支持される現像ローラを有し、前記感光体ユニットに着脱可能に装着される現像ユニットとを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスユニットであって、前記感光体ユニットは、記録シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能支持し、かつ、前記搬送ローラの軸方向に移動可能なローラ支持部材とを有し、前記ローラ支持部材には、前記搬送ローラの軸方向内側に向かって延び、前記現像フレームに設けられた被係止部と係合可能な係止部が設けられ、前記画像形成装置本体に装着されて位置決めされたとき、前記ローラ支持部材が前記搬送ローラの軸方向内側に移動した状態で、前記係止部が前記現像ユニットを前記感光体ユニットに押しつけるように前記被係止部と係合することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、装置本体と、感光体フレームに支持される感光体を有する感光体ユニットと、現像フレームに支持される現像ローラを有し、前記感光体ユニットに着脱可能に装着される現像ユニットとを備え、前記装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスユニットと、前記装置本体に装着された前記プロセスユニットの両側に位置する一対の本体フレームと、を備えた画像形成装置であって、前記感光体ユニットは、記録シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能に支持し、かつ、前記搬送ローラの軸方向に移動可能なローラ支持部材とを有し、前記ローラ支持部材には、前記搬送ローラの軸方向内側に向かって延び、前記現像フレームに設けられた被係止部と係合可能な係止部が設けられ、前記一対の本体フレームは、前記プロセスユニットの装着時に前記現像ローラの軸を案内するとともに前記装置本体に対する前記現像ローラの位置を決める現像ローラ位置決め溝と、前記プロセスユニットの装着時に前記ローラ支持部材を案内するとともに前記装置本体に対する前記搬送ローラの位置を決める搬送ローラ位置決め溝とを有し、一対の前記搬送ローラ位置決め溝の溝底部には、前記プロセスユニットの装着方向に沿って、開口端側から延びる第1案内部と、前記搬送ローラの軸方向内側に向けて傾斜する第2案内部と、前記装置本体に対する前記搬送ローラの位置を決める位置決め部とが連続して設けられ、前記位置決め部には、前記被係止部と係合した前記係止部を前記被係止部に押しつける向きに前記ローラ支持部材を付勢するローラ付勢部材が設けられ、前記装置本体に対して前記プロセスユニットが装着されるとき、前記第2案内部によって前記ローラ支持部材が前記搬送ローラの軸方向内側に移動して前記係止部が前記被係止部と係合し、前記ローラ支持部材が前記位置決め部に達すると前記ローラ付勢部材によって前記係止部が前記被係止部に押しつけられて前記現像ユニットを前記感光体ユニットに押しつけることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明によれば、プロセスユニットが画像形成装置本体に装着されて位置決めされたとき(位置決め部に達したとき)に、係止部が現像ユニットを感光体ユニットに押しつけるように被係止部と係合するので、現像ユニットを感光体ユニット(画像形成装置本体)に対して強固に固定することができる。これにより、現像ローラが回転駆動したときの現像ローラの微動を抑制することができるので、現像ローラと感光体を平行に保持することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プロセスユニットが画像形成装置本体に装着されて位置決めされたときに、係止部が現像ユニットを感光体ユニットに押しつけるように被係止部と係合するので、現像ローラと感光体を平行に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<レーザプリンタの概略構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、方向はレーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0011】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスユニット5と、用紙P上に転写されたトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。本体筐体2の詳細な構成については後述する。
【0012】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32およびリフトレバー33と、ピックアップローラ34と、給紙ローラ35と、給紙パッド36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、リフトレバー33と用紙押圧板32によってピックアップローラ34に寄せられ、ピックアップローラ34によって送り出される。送り出された用紙Pは、給紙ローラ35と給紙パッド36によって1枚ずつ分離され、レジストローラ37を通り、感光体ドラム51と転写ローラ53との間に向けて搬送される。
【0013】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45とを主に備えている。レーザ発光部から出射された画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44、レンズ43、反射鏡45の順に反射または通過して、感光体ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0014】
プロセスユニット5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット5は、感光体ユニット100と、感光体ユニット100に対して着脱可能に装着される現像ユニット200とから構成されている。
【0015】
感光体ユニット100は、感光体フレーム110内に、感光体の一例としての感光体ドラム51と、帯電器52と、転写ローラ53とを主に備えている。また、現像ユニット200は、現像フレーム210内に、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56と、アジテータ57と、トナー収容部58とを主に備えている。プロセスユニット5の詳細な構成については後述する。
【0016】
プロセスユニット5では、感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部58内のトナーは、供給ローラ55を介して現像ローラ54に供給され、現像ローラ54と層厚規制ブレード56との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0017】
現像ローラ54上に担持されたトナーは、現像ローラ54から感光体ドラム51上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム51と転写ローラ53との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム51上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0018】
定着装置6は、プロセスユニット5の後方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ62とを主に備えている。用紙Pに転写されたトナー像は、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を用紙Pが搬送されることで熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、定着装置6から排出経路23に搬送され、排出経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0019】
次に、本発明の特徴部分を中心にプロセスユニット5および本体筐体2の詳細な構成について説明する。
<プロセスユニットの詳細構成>
図2は本実施形態に係るプロセスユニット5の構成を示す側面図であり、図3は図2のIII−III断面図であり、図4はピンチローラ周辺の構成を示す斜視図である。
【0020】
なお、以下の説明では、ピンチローラ(搬送ローラ)の一端側の構成を中心に詳細に説明するが、本実施形態では他端側についても一端側と対称ではあるが同様の構成が設けられている。また、以下の説明において、現像ローラおよびピンチローラの軸方向内側(図3の左側)を単に「内側」といい、軸方向外側(図3の右側)を単に「外側」という。
【0021】
図2に示すように、プロセスユニット5は、感光体ユニット100と、感光体ユニット100(感光体フレーム110)に着脱可能に装着される現像ユニット200とから構成されている。
【0022】
[感光体ユニットの構成]
感光体ユニット100は、感光体ユニット100の枠体を構成して感光体ドラム51(ドラム軸51A)などを支持する感光体フレーム110と、搬送ローラの一例としてのピンチローラ120と、ローラ支持部材の一例としての軸受部材130とを備えている。
【0023】
ピンチローラ120は、感光体フレーム110の下面前寄りに設けられている。このピンチローラ120は、本体筐体2にプロセスユニット5を装着したときに、レジストローラ37に対して上から接触し、回転駆動するレジストローラ37の駆動力によって従動回転することでレジストローラ37とともに用紙Pを搬送する(図1参照)。
【0024】
図3に示すように、軸受部材130は、ピンチローラ120の左右両端に設けられ、ピンチローラ120のローラ軸121を回転可能に受ける円筒状の軸受部131と、軸受部131の内側端部から上に向かって延びる延出部132と、延出部132の上端から内側に向かって延びる係止部133とから構成されている。
【0025】
この軸受部材130(軸受部131)は、感光体フレーム110の側面前寄りの下部に設けられた凹部111に配置されている。そして、軸受部材130は、図4に示すように、延出部132の前後に設けられた一対の凸部132Aが、感光体フレーム110に設けられた一対の規制部112に支持されることで、感光体フレーム110からの脱落が防止されている。また、軸受部材130は、延出部132が一対の規制部112によって挟まれることで、感光体フレーム110に対する回転が防止されている。このような構成により、軸受部材130は、感光体フレーム110に支持され、ピンチローラ120を感光体フレーム110に対して回転可能に支持する。
【0026】
軸受部材130は、感光体フレーム110に対してピンチローラ120の軸方向(左右方向)に移動可能となっている。なお、外側への移動は延出部132が感光体フレーム110に当接することで規制され、内側への移動は係止部133が後述する付勢部材220に当接する(現像ユニット200が装着されていない場合は、軸受部131がピンチローラ120のローラ本体122に当接する)ことで規制されるので、軸受部材130およびピンチローラ120が感光体フレーム110から抜けてしまうことはない。
【0027】
また、軸受部材130は、感光体フレーム110に対して上下方向(係止部133と後述する被係止部212との係合方向)に遊びを有した状態で支持されている(図2参照)。具体的に、軸受部材130は、凸部132Aが規制部112の上面に当接する最下方位置から、軸受部131が凹部111の上面に当接する最上方位置まで、上下方向に移動可能となっている。
【0028】
[現像ユニットの構成]
図2に示すように、現像ユニット200は、現像ユニット200の枠体を構成して現像ローラ54(ローラ軸54A)などを支持するとともに、トナー収容部58を形成する現像フレーム210と、本体筐体2からプロセスユニット5を離脱させたときに係止部133と被係止部212との係合を解除する付勢部材220とを備えている。
【0029】
図3に示すように、現像フレーム210の左右の側面には、感光体ユニット100に現像ユニット200を装着したときに係止部133と対向する位置に、付勢部材220を収容するための筒状の収容部211が設けられている。この収容部211の内周面のうち、下面は係止部133と上下に係合可能な被係止部212となっている。
【0030】
付勢部材220は、収容部211内に配置され、係止部133と当接可能な当接部221と、一端が当接部221に、他端が現像フレーム210(収容部211の底面)にそれぞれ取り付けられたコイルバネ222とから構成されている。
【0031】
この付勢部材220は、本体筐体2からプロセスユニット5を離脱させた状態(図3の状態)では、当接部221の先端が、被係止部212の端部よりも外側に位置している。そして、図4に示すように、当接部221の先端には、感光体ユニット100に対する現像ユニット200の装着方向における前方(本実施形態では先端の後部と下部)に、左斜め後方(内側)に向けて傾斜する傾斜面221Aと、左斜め下方(内側)に向けて傾斜する傾斜面221Bが形成されている。また、本実施形態では、係止部133の先端の上部に、左斜め下方(内側)に向けて傾斜する傾斜面133Aが形成されている。
【0032】
このような傾斜面221A,221B,133Aを設けることで、現像ユニット200を感光体ユニット100に装着するときに、係止部133と当接部221とが互いに引っかかることを抑制することができる。具体的には、現像ユニット200の装着時に、当接部221の傾斜面221A,221Bと係止部133の傾斜面133Aとが互いに摺接して、少なくとも係止部133(軸受部材130)を外側に向けて押す(逃がす)ので、係止部133と当接部221とが引っかかることを抑制することができる。これにより、感光体ユニット100に現像ユニット200をスムーズに装着することができるので、現像ユニット200の装着時の操作性を向上させることができる。
【0033】
<本体筐体の詳細構成>
図5(a)は本体フレームの構成を示す図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。なお、図5(a)では、各位置決め溝と、本体筐体2に装着されたプロセスユニット5の各ローラとの位置関係を示すため、感光体ドラム51、現像ローラ54、ピンチローラ120などを鎖線で示している。
【0034】
図5(a)に示すように、本体筐体2は、本体筐体2に装着されたプロセスユニット5の左右両側に位置する一対の本体フレーム25を備えている(図5では一方のみ図示)。
本体フレーム25には、前から後斜め下方(プロセスユニット5の装着方向)に向かって延びる、現像ローラ位置決め溝の一例としての上側位置決め溝300と、搬送ローラ位置決め溝の一例としての下側位置決め溝400とが設けられている。
【0035】
上側位置決め溝300は、プロセスユニット5の装着時に、挿入されたドラム軸51Aとローラ軸54Aを案内するとともに、本体筐体2に対する感光体ドラム51と現像ローラ54の位置を決める溝である。この上側位置決め溝300には、本体筐体2にプロセスユニット5を装着したときに、ドラム軸51Aを上側位置決め溝300の後端に向けて付勢することで感光体ドラム51の位置を固定するバネ301と、ローラ軸54Aをドラム軸51Aに向けて付勢することで現像ローラ54の位置を固定するバネ302とが設けられている。
【0036】
下側位置決め溝400は、プロセスユニット5の装着時に、挿入された軸受部材130を案内するとともに、本体筐体2に対する軸受部材130の位置を決めることで、本体筐体2に対するピンチローラ120の位置を決める溝である。この下側位置決め溝400は、開口端側(前側)から順に連続して延びる、第1案内部410と、第2案内部420と、位置決め部430とから構成されている。
【0037】
一対の本体フレーム25にそれぞれ設けられた各第1案内部410は、互いの溝底部401(左右方向に対向する面)が略平行となるように延びている。また、第1案内部の下側の溝側部402には、上方(後斜め上方)に向かって突出する山状の突出部411が設けられている。
【0038】
第2案内部420は、第1案内部410から連続して延びており、溝底部401が前方から後方に向かうにしたがって内側に向けて傾斜している(図5(b)参照)。これにより、一対の本体フレーム25にそれぞれ設けられた各第2案内部420は、互いの溝底部401の間隔が前方から後方に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。
【0039】
一対の本体フレーム25にそれぞれ設けられた各位置決め部430は、互いの溝底部401が略平行となるように延びている。ただし、第2案内部420の後端から連続して延びているため、各位置決め部430の溝底部401は、第1案内部410よりも互いの間隔が小さくなっている。この位置決め部430に軸受部材130が達することで、本体筐体2に対する軸受部材130(ピンチローラ120)の位置が決まる。
【0040】
また、位置決め部430の上方には、ローラ付勢部材の一例としてのトーションバネ431が設けられている。このトーションバネ431は、位置決め部430に達した軸受部材130を下方に向けて付勢することで、被係止部212と係合した係止部133を被係止部212に向けて押しつけるとともに、ピンチローラ120をレジストローラ37に向けて押しつける(図9参照)。
【0041】
<レーザプリンタの作用効果>
以上のように構成されたレーザプリンタ1の作用効果について説明する。図6は軸受部材が下側位置決め溝に挿入された様子を示す図であり、図7は軸受部材が第1案内部の突出部によって持ち上げられる様子を示す図であり、図8は軸受部材が第2案内部の溝底部によって内側に移動する様子を示す図であり、図9は軸受部材が位置決め部のトーションバネによって付勢される様子を示す図である。なお、各図において、(a)は本体筐体とプロセスユニットを内側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)はピンチローラ周辺の様子を示す図である。
【0042】
図6(a)〜(c)に示すように、本体筐体2にプロセスユニット5を装着するときには、ドラム軸51Aとローラ軸54Aを上側位置決め溝300に挿入するとともに、軸受部材130の軸受部131を下側位置決め溝400に挿入して、プロセスユニット5を後方に押し込んでいく。なお、軸受部材130を下側位置決め溝400(第1案内部410)に挿入したときには、係止部133の下端は上下方向において被係止部212と同じ位置にある。以下、軸受部材130の動作について詳細に説明する。
【0043】
図7(a)〜(c)に示すように、下側位置決め溝400に沿って後斜め下方に移動する軸受部材130は、突出部411によって上(係止方向において係止部133が被係止部212から離れる方向)に持ち上げられ、感光体フレーム110の凹部111内を上に移動する。これにより、突出部411よりも後方では、係止部133の下端を被係止部212よりも上方にある状態とすることができる。
【0044】
図8(a)〜(c)に示すように、係止部133の下端が被係止部212よりも上方に持ち上げられた軸受部材130は、第2案内部420の溝底部401に設けられた傾斜によって内側に向かって移動していく。これにより、係止部133が当接部221を内側に押し込んでいく。
【0045】
そして、図9(a)〜(c)に示すように、軸受部材130が位置決め部430に達すると、トーションバネ431によって軸受部材130が下方に向けて付勢されることで、係止部133が被係止部212に押しつけられて係合する。これにより、軸受部材130(ピンチローラ120)が、本体フレーム25(本体筐体2)に対して位置決めされて固定される。本実施形態では、第1案内部410に設けられた突出部411の作用によって、係止部133の下端が被係止部212よりも上方にあるので、内側に向かって移動する係止部133は、被係止部212と確実に係合することができる。
【0046】
また、ドラム軸51A(感光体ドラム51)とローラ軸54A(現像ローラ54)も、上側位置決め溝300の後端に達して、バネ301,302によって付勢されることで、本体筐体2に対して位置決めされて固定される。以上のようにして、プロセスユニット5は本体筐体2に対して装着され、位置決めされて固定される。
【0047】
本実施形態では、係止部133が被係止部212に押しつけられることで、現像ユニット200(現像フレーム210)を感光体ユニット100に向けて下方に押しつけることができる。そのため、現像ユニット200を感光体ユニット100および感光体ユニット100が固定される本体筐体2に対して強固に固定することができる。
【0048】
これにより、現像ローラの軸を位置決め溝(スリット)に挿入するだけの構成と比較して、現像ローラ54が回転駆動したときの現像ローラ54の微動を抑制することができるので、現像ローラ54と感光体ドラム51を平行に保持することができる。その結果、現像ローラ54から感光体ドラム51上の静電潜像にトナーを均一に供給することが可能となるので、レーザプリンタ1における画像品質を向上させることができる。
【0049】
なお、本体筐体2にプロセスユニット5を装着したときには、係止部133によって当接部221が内側に押し込まれているので、コイルバネ222は押し縮められた状態となっている(図9参照)。そのため、本体筐体2からプロセスユニット5を離脱させるとき(軸受部材130が位置決め部430から外れたとき)には、コイルバネ222が、当接部221を介して係止部133を外側に向けて押すことで、係止部133と被係止部212との係合を自動的に解除することができる。
【0050】
これにより、感光体ユニット100から現像ユニット200を離脱させるときには、係止部133と被係止部212との係合は解除された状態となっているので、そのまま現像ユニット200を感光体ユニット100から離脱させることができる。言い換えれば、現像ユニット200の離脱時において、ユーザ自身が係止部133と被係止部212との係合を解除する操作を行う手間を省くことができる。その結果、現像ユニット200の離脱時の操作性を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0052】
前記実施形態では、ローラ支持部材として、ピンチローラ120に設けられたローラ軸121を回転可能に受ける軸受部材130を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ローラ支持部材側に軸を設け、この軸を搬送ローラの端部に設けられた穴に挿入することで、搬送ローラを軸支する構成としてもよい。
【0053】
前記実施形態では、付勢部材220の当接部221および係止部133の両方が傾斜面221A,221B,133Aを有する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、当接部および係止部の一方だけが傾斜面を有する構成としてもよい。
【0054】
前記実施形態では、現像ユニットに設けられた付勢部材として、当接部221とコイルバネ222から構成された付勢部材220を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示す付勢部材230のような、収容部211内に配置された断面視略S形状をなす板バネを採用してもよい。これによれば、付勢部材を2部品以上の部材を組み合わせて構成する場合と比較して、コストの削減を図ったり、組み立て時の作業性を向上させたりすることができる。
【0055】
前記実施形態では、装置本体からプロセスユニットを離脱させたときに係止部と被係止部との係合を解除する付勢部材を現像ユニットに設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、付勢部材を感光体ユニットに設けてもよい。
【0056】
例えば、図11に示すように、感光体ユニット100に設けられた付勢部材140は、コイルバネであって、ピンチローラ120のローラ軸121に嵌められ、ローラ本体122と軸受部材130との間に配置されている。このような付勢部材140は、本体筐体2にプロセスユニット5を装着したときには、内側に移動した軸受部材130によって押し縮められて軸受部材130(軸受部131)を外側に向けて付勢する。本体筐体2からプロセスユニット5を離脱させるときには、付勢部材140が、軸受部材130を外側に向けて押すことで、係止部133と被係止部213との係合を解除することができる。
【0057】
なお、被係止部213は、前記した被係止部212(収容部211)の代わりに設けられるものであって、現像フレーム210の左右の側面から外側に向けて延びるリブ状に形成されている。係止部133と被係止部213の作用については、前記した係止部133と被係止部212の場合と同様であるから説明を省略する。
【0058】
付勢部材140(コイルバネ)は、内側の端部がローラ本体122ではなく、感光体フレーム110に当接していてもよい。例えば、図12に示すように、軸受部材130に軸受部131の側面(感光体フレーム110よりも外側)から下方に延びる当て壁部134を設け、付勢部材140を感光体フレーム110と当て壁部134との間に配設してもよい。これによれば、付勢部材140が、直接ピンチローラ120(ローラ本体122)を押さないので、ピンチローラ120をスムーズに回転させることができる。
【0059】
また、図13に示すように、軸受部材130に軸受部131の側面全周から外側に延びる当て壁部135を設け、付勢部材140を、軸受部材130に嵌めた状態で、感光体フレーム110と当て壁部135との間に配設してもよい。さらに、図14に示すように、感光体フレーム110にローラ本体122と軸受部材130(軸受部131)との間に位置する当て壁部113を設け、付勢部材140を、ローラ軸121に嵌めた状態で、当て壁部113と軸受部材130との間に配置してもよい。これらによれば、付勢部材140がローラ軸121と同軸上に配置されることになるので、ピンチローラ120をよりスムーズに回転させることができる。
【0060】
前記実施形態では、ローラ付勢部材としてトーションバネ431を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、板バネなどであってもよい。
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム51を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、感光体ベルトなどを採用してもよい。
【0061】
前記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、いわゆる普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロセスユニット5の構成を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】ピンチローラ周辺の構成を示す斜視図である。
【図5】(a)は本体フレームの構成を示す図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図6】軸受部材が下側位置決め溝に挿入された様子を示す図であり、(a)は本体筐体とプロセスユニットを内側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)はピンチローラ周辺の様子を示す図である。
【図7】軸受部材が第1案内部の突出部によって持ち上げられる様子を示す図であり、(a)は本体筐体とプロセスユニットを内側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)はピンチローラ周辺の様子を示す図である。
【図8】軸受部材が第2案内部の溝底部によって内側に移動する様子を示す図であり、(a)は本体筐体とプロセスユニットを内側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)はピンチローラ周辺の様子を示す図である。
【図9】軸受部材が位置決め部のトーションバネによって付勢される様子を示す図であり、(a)は本体筐体とプロセスユニットを内側から見た図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)はピンチローラ周辺の様子を示す図である。
【図10】現像ユニットに設けられる付勢部材の変形例を示す図である。
【図11】付勢部材を感光体ユニットに設けたプロセスユニットのピンチローラ周辺の構成を示す断面図である。
【図12】図11の変形例を示す図である。
【図13】図11の他の変形例を示す図である。
【図14】図11の別の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 レーザプリンタ
2 本体筐体
5 プロセスユニット
25 本体フレーム
51 感光体ドラム
54 現像ローラ
54A ローラ軸
100 感光体ユニット
110 感光体フレーム
120 ピンチローラ
121 ローラ軸
130 軸受部材
133 係止部
133A 傾斜面
200 現像ユニット
210 現像フレーム
212 被係止部
220 付勢部材
221 当接部
221A 傾斜面
221B 傾斜面
222 コイルバネ
300 上側位置決め溝
400 下側位置決め溝
401 溝底部
402 溝側部
410 第1案内部
411 突出部
420 第2案内部
430 位置決め部
431 トーションバネ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体フレームに支持される感光体を有する感光体ユニットと、現像フレームに支持される現像ローラを有し、前記感光体ユニットに着脱可能に装着される現像ユニットとを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスユニットであって、
前記感光体ユニットは、記録シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能支持し、かつ、前記搬送ローラの軸方向に移動可能なローラ支持部材とを有し、
前記ローラ支持部材には、前記搬送ローラの軸方向内側に向かって延び、前記現像フレームに設けられた被係止部と係合可能な係止部が設けられ、
前記画像形成装置本体に装着されて位置決めされたとき、前記ローラ支持部材が前記搬送ローラの軸方向内側に移動した状態で、前記係止部が前記現像ユニットを前記感光体ユニットに押しつけるように前記被係止部と係合することを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記現像ユニットは、前記画像形成装置本体からプロセスユニットを離脱させたときに前記係止部と前記被係止部との係合を解除するために前記係止部を前記搬送ローラの軸方向外側に向けて押す付勢部材を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記係止部と当接可能な当接部を有し、
前記当接部および前記係止部の少なくとも一方は、前記現像ユニットを前記感光体ユニットに装着するときに他方に摺接して前記ローラ支持部材を前記搬送ローラの軸方向外側に向けて押す傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記感光体ユニットは、前記ローラ支持部材を前記搬送ローラの軸方向外側に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記搬送ローラの軸方向内側の端部が前記感光体フレームに当接していることを特徴とする請求項4に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
装置本体と、
感光体フレームに支持される感光体を有する感光体ユニットと、現像フレームに支持される現像ローラを有し、前記感光体ユニットに着脱可能に装着される現像ユニットとを備え、前記装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスユニットと、
前記装置本体に装着された前記プロセスユニットの両側に位置する一対の本体フレームと、を備えた画像形成装置であって、
前記感光体ユニットは、記録シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能に支持し、かつ、前記搬送ローラの軸方向に移動可能なローラ支持部材とを有し、
前記ローラ支持部材には、前記搬送ローラの軸方向内側に向かって延び、前記現像フレームに設けられた被係止部と係合可能な係止部が設けられ、
前記一対の本体フレームは、前記プロセスユニットの装着時に前記現像ローラの軸を案内するとともに前記装置本体に対する前記現像ローラの位置を決める現像ローラ位置決め溝と、前記プロセスユニットの装着時に前記ローラ支持部材を案内するとともに前記装置本体に対する前記搬送ローラの位置を決める搬送ローラ位置決め溝とを有し、
一対の前記搬送ローラ位置決め溝の溝底部には、前記プロセスユニットの装着方向に沿って、開口端側から延びる第1案内部と、前記搬送ローラの軸方向内側に向けて傾斜する第2案内部と、前記装置本体に対する前記搬送ローラの位置を決める位置決め部とが連続して設けられ、
前記位置決め部には、前記被係止部と係合した前記係止部を前記被係止部に押しつける向きに前記ローラ支持部材を付勢するローラ付勢部材が設けられ、
前記装置本体に対して前記プロセスユニットが装着されるとき、前記第2案内部によって前記ローラ支持部材が前記搬送ローラの軸方向内側に移動して前記係止部が前記被係止部と係合し、前記ローラ支持部材が前記位置決め部に達すると前記ローラ付勢部材によって前記係止部が前記被係止部に押しつけられて前記現像ユニットを前記感光体ユニットに押しつけることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記ローラ支持部材は、前記感光体フレームに対して前記係止部と前記被係止部との係合方向に遊びを有した状態で支持され、
前記第1案内部の下側の溝側部には、前記係止方向において前記係止部が前記被係止部から離れる方向に前記ローラ支持部材を持ち上げる突出部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−156750(P2010−156750A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333813(P2008−333813)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】