説明

プロテアーゼ変異体の使用

本発明はプロテアーゼ変異体に関する。本発明は、前記プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクト、ベクター及び宿主細胞、並びに、前記変異体を洗濯及び洗剤組成物に使用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親サブチラーゼに比して、洗浄性能、熱安定性、保存安定性又は触媒活性を含む1又は2以上の特性において改変を示す、新規なサブチラーゼ(subtilase)変異体に関する。本発明の変異体は、例えば清浄又は洗剤組成物、例えば洗濯洗剤組成物及び食器洗い用組成物、例えば自動食器洗浄機用組成物における使用に適する。また、本発明は、前記変異体をコードする単離DNA配列、発現ベクター、宿主細胞、及び本発明の変異体を生成及び使用する方法にも関する。さらに、本発明は、本発明の変異体を含む清浄及び洗剤組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤業界において、酵素は30年以上も洗剤処方に利用されてきた。斯かる処方に使用される酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンノシダーゼ、並びにその他の酵素、又はそれらの混合物が挙げられる。商業上最も重要な酵素はプロテアーゼである。
【0003】
商業上使用されているプロテアーゼの中でも増加しているのは、タンパク質工学により合成された天然野生型プロテアーゼの変異体である。例としては、DURAZYM(R)、RELASE(登録商標)、ALCALASE(登録商標)、サビナーゼ(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURALASE(登録商標)、ESPERASE(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、RELASE(R)及びKANNASE(登録商標)(Novozymes A/S)、AXAPEM(R)(Gist-Brocades N.V.)、PURAFECT(R)(Genencor International, Inc.)、MAXATASETM、MAXACALTM、MAXAPEMTM、PROPERASETM、PURAFECTTM、PURAFECT OxPTM、FN2TM、FN3TM及びFN4TM(Genencor International, Inc.)等が挙げられる。
【0004】
他にも当業界では数々の変異体が報告されている。例えば国際公開第04/041979号(NOVOZYMES A/S)は、親サブチラーゼと比べて、例えば洗浄性能、熱安定性、保存安定性又は触媒活性等において改変を示すサブチラーゼ変異体を記載する。これらの変異体は、例えば清浄又は洗剤組成物に適している。
【0005】
これまで有用なプロテアーゼ変異体が数々報告されており、その多くが種々の洗剤において改善された活性、安定性、溶解性を示す。しかし、様々な要因ゆえに、プロテアーゼの更なる改善が望ましい。温度やpH等について言えば、洗浄条件は変化し続けており、多くの菌株は依然として、従来の洗浄条件下における完全な除去は困難である。よって、プロテアーゼ開発における徹底的な研究にもかかわらず、新規の改良されたプロテアーゼが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、親酵素と比較して改善された性能を有するサブチリシンの変異体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、親サブチリシンの変異体に関する。親サブチリシンは、例えば配列番号1に示すサブチリシンである。
【0008】
一観点によれば、本発明の変異体は、親サブチリシン、例えば配列番号1に示すサブチリシンと比較して少なくとも1つの改善された特性を有する。前記改善された特性は、例えば、改善された洗浄性能、例えば改善されたしみ除去能力、硬質表面洗浄における改善された洗浄性能、例えば改善された食器洗い性能、改善された安定性、例えば貯蔵又は熱安定性又は改善された触媒活性である。本発明の一観点によれば、変異体は、改善された卵除去能力、例えば硬質表面からゆで卵卵黄の改善された除去能力を有する。
【0009】
すなわち、本発明の一観点によれば、置換9{R,K,H}、15{G,A,S,T,M}、68{G,A,S,T,M}、218{D,S,G,V}及び245{R,K,H}を含む、親サブチリシンの変異体に関し、前記変異体はさらに、修飾61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、97aG、98{G,S}、99G、101G、120{V,Q,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261Dのうち少なくとも1つを含み、ここで前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する。
【0010】
一観点によれば、本発明の変異体はさらに、置換G61Eを含む。
【0011】
一観点によれば、本発明の変異体はさらに、置換A98Sを含む。
【0012】
一観点によれば、本発明の変異体はさらに、置換S99Gを含む。
【0013】
一観点によれば、本発明の変異体はさらに、次の置換S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245Rを含む。
【0014】
一観点によれば、親サブチリシンは、配列番号1に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0015】
別の観点によれば、変異体は、親サブチリシンと比較して改善された1又は2以上の特性を有し、改善された特性は、洗浄性能、安定性、触媒活性及び食器洗い性能を含む。
【0016】
更なる観点によれば、改善された特性は、改善された洗浄性能、例えば改善されたしみ除去能力、硬質表面洗浄、例えば食器洗浄における改善された洗浄性能、改善された安定性、例えば貯蔵又は熱安定性、又は改善された触媒活性を含む。本発明の一観点によれば、前記変異体は、改善された卵除去能力、例えば硬質表面からゆで卵卵黄の改善された除去能力を有する。
【0017】
別の観点は、変異体を生成する方法であって、親サブチリシンに対して、以下の置換:
i)位置9の{R,K,H}による置換;
ii)位置15の{G,A,S,T,M}による置換、
iii)位置68の{G,A,S,T,M}による置換、
iv)位置245の{R,K,H}による置換、及び
v)位置218の{D,S,G又はV}による置換、
並びに、以下の修飾のうち1又は2以上:
位置61の{D,E}による置換、
位置62の{D,E}による置換、
位置76の{D,E}による置換、
位置97へのGの挿入、
位置98の{G,S}による置換、
位置99のGによる置換、
位置101のGによる置換、
位置120の{V,Q,D}による置換、
位置131の{T,S}による置換、
位置137のHによる置換、
位置194のPによる置換、
位置228のVによる置換、
位置230のVによる置換、及び
位置261のDによる置換(前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド
[BPN’]の位置に相当する)、
を導入することによる方法に関する。
【0018】
本発明の別の観点は、変異体サブチリシンをコードする単離されたポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む核酸コントラクト、ベクター及び宿主細胞に関する。
【0019】
本発明の一観点は、清浄又は洗剤組成物、好ましくは本発明の変異体を含む洗濯又は食器洗い用組成物に関する。本発明の一観点は、洗剤、例えば洗濯又は食器洗いへの変異体の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
・タンパク分解活性(proteolytic activity):この用語は、本明細書において、タンパク分解によりタンパク質を分解する(break down)能力をいう。ここでタンパク分解(proteolysis)とは、タンパク質を形成するポリペプチド鎖内のアミノ酸を連結するペプチド結合を加水分解することにより、タンパク質を代謝することをいう。すなわち、タンパク分解活性を有するプロテアーゼによって、タンパク質はアミノ酸に分解される。用語「プロテアーゼ活性」(protease activity)及び「タンパク分解活性」は相互交換可能に用いられる。以下の「プロテアーゼ」の定義も参照。
【0021】
・変異体:本明細書において「変異体」(variant)とは、1又は2以上(数個)の特定の位置における1又は2以上(数個)のアミノ酸残基の(1又は2以上の)改変又は修飾(例えば置換、挿入及び/又は欠失)を含むポリペプチドとして定義される。改変ポリヌクレオチドは、人間の介入によりポリヌクレオチド配列を修飾して得られる。斯かる変異体としてはサブチリシン変異体、即ち、サブチリシン(subtilisin)(例えば配列番号1に開示されるポリヌクレオチド配列又はその相同配列)の変異体が挙げられる。用語「プロテアーゼ変異体」及び「サブチリシン変異体」は相互交換可能に用いられる。本発明の変異体はプロテアーゼ活性又はタンパク分解活性を有することが好ましい。用語「1又は2以上(one or more)」、「1又は数個(one or several)」、及び、少なくとも1つ(at least one)、は相互交換可能に用いられる。
【0022】
・修飾:本明細書において「修飾」(modification(s))とは、サブチラーゼの化学修飾と、親プロテアーゼをコードするDNAの遺伝子操作とを包含するものとして定義される。斯かる修飾としては、(1又は2以上の)アミノ酸側鎖の(1又は2以上の)置換、所望の(1又は2以上の)アミノ酸の(1又は2以上の)置換、欠失及び/又は挿入が挙げられる。
【0023】
・野生型酵素:「野生型」(wild-type)プロテアーゼ変異体とは、天然微生物(例えば自然界に見られる細菌、酵母又は糸状菌等)により発現されるプロテアーゼ変異体を指す。即ち、斯かるプロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドは、人間の介入によりポリヌクレオチド配列を修飾して得られるものではない。
【0024】
・親酵素:本明細書において「親」(parent)プロテアーゼ変異体、例えば「親」サブチリシン変異体とは、本発明の酵素変異体を作製するべく修飾(例えば(1又は2以上の)置換、挿入、欠失及び/又は切断)を加える対象となるプロテアーゼ(例えばサブチリシン)を意味する。また、この用語は、変異体の比較・アラインメントの対象となるポリペプチドも意味する。斯かる親としては、天然(野生型)ポリペプチド又は変異体が挙げられる。例えば、斯かる親ポリペプチドとしては、天然ポリペプチドのアミノ酸配列を修飾又は改変した変異体が挙げられる。親は対立遺伝子多型であってもよい。対立遺伝子多型(allelic variant)とは、同一の染色体座を択一的に占める一遺伝子の複数形態の何れかによってコードされるポリペプチドである。
【0025】
単離変異体又はポリペプチド:本明細書において「単離変異体」(isolated variant)又は「単離ポリペプチド」(isolated polypeptide)とは、出所源から単離された変異体又はポリペプチドを指す。一側面によれば、斯かる変異体又はポリペプチドは、SDS−PAGEにより決定される純度において、少なくとも1%の純度、好ましくは少なくとも5%の純度、より好ましくは少なくとも10%の純度、より好ましくは少なくとも20%の純度、より好ましくは少なくとも40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、より一層好ましくは少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度を有する。
【0026】
実質的に純粋な変異体又はポリペプチド:本明細書において「実質的に純粋な変異体」(substantially pure variant)又は「実質的に純粋なポリペプチド」(substantially pure polypeptide)とは、天然又は組換により混在する他のポリペプチド材料の含有率が、重量基準で最大10%、好ましくは最大8%、より好ましくは最大6%、より好ましくは最大5%、より好ましくは最大4%、より好ましくは最大3%、より一層好ましくは最大2%、最も好ましくは最大1%、とりわけ好ましくは最大0.5%であるポリペプチド調製物を指す。従って、実質的に純粋な変異体又はポリペプチドは、調製物中の総ポリペプチド材料に対して、重量基準で少なくとも92%の純度、好ましくは少なくとも94%の純度、より好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも96%の純度、より好ましくは少なくとも96%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度、より好ましくは少なくとも98%の純度、より一層好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは少なくとも99.5%の純度、とりわけ好ましくは100%の純度を有することが好ましい。本発明の変異体及びポリペプチドは、実質的に純粋な形態であることが好ましい。これは例えば、周知の組換え法や従来の精製法を用いて変異体又はポリペプチドを調製することにより達成される。
【0027】
・成熟ポリペプチド:本明細書において「成熟ポリペプチド」(mature polypeptide)とは、翻訳及び任意の翻訳後修飾(例えばN末端プロセシング、C末端切断、グリコシル化、リン酸化等)を経た最終形態にある、プロテアーゼ変異体活性を有するポリペプチドとして定義される。一側面によれば、成熟ポリペプチドは、配列番号3又は配列番号4のポリペプチドである。シグナルプログラムSignalIP3.0を用いて成熟ポリペプチドを予測してもよい。
【0028】
・成熟ポリペプチドコーディング配列:本明細書において「成熟ポリペプチドコーディング配列」(mature polypeptide coding sequence)とは、プロテアーゼ変異体活性を有する成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列として定義される。一側面によれば、成熟ポリペプチドコーディング配列は、配列番号3又は配列番号4をコードするヌクレオチドである。
【0029】
・同一性:2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性を、「同一性」(identity)というパラメーターで表す。
【0030】
本発明の目的においては、2つのアミノ酸配列間の同一性の度合いは、Needleman-Wunsch アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443-453)を、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16:276-277;http://emboss.org)のNeedleプログラム(好ましくはバージョン3.0.0以降)で実行することにより決定される。任意パラメーターは、ギャップ・オープン・ペナルティー(gap open penalty)が10、ギャップ・エクステンション・ペナルティー(gap extension penalty)が0.5であり、また、EBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスを使用する。「最長同一性」(longest identity)と表示されたNeedleの出力値(-nobriefオプションを用いて得られるもの)を%同一性として使用する。これは以下の式に従い算出される。
(同一残基数 × 100)/(アラインメント長 − アラインメント中のギャップ総数)
【0031】
本発明の目的においては、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の同一性の度合いは、Needleman-Wunsch アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970、同上)を、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000、同上;http://emboss.org)のNeedleプログラム(好ましくはバージョン3.0.0以降)で実行することにより決定される。任意パラメーターは、ギャップ・オープン・ペナルティー(gap open penalty)が10、ギャップ・エクステンション・ペナルティー(gap extension penalty)が0.5であり、また、EDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスを使用する。「最長同一性」(longest identity)と表示されたNeedleの出力値(-nobriefオプションを用いて得られるもの)を%同一性として使用する。これは以下の式に従い算出される。
(同一デオキシリボヌクレオチド数 × 100)/(アラインメント長 − アラインメント中のギャップ総数)
【0032】
・相同配列:本明細書において「相同配列」(homologous sequence)とは、tfastyサーチ(Pearson, W.R., 1999, in Bioinformatics Methods and Protocols, S. Misener and S. A. Krawetz, ed., pp.185-219)において、ミクロドキウム・ニバレ(Micrododhium nivale)プロテアーゼ変異体CBS 100236とのE値(又は予測値:expectancy score)が0.001未満と予測されるポリペプチドとして定義される。
【0033】
・ポリペプチド断片:本明細書において「ポリペプチド断片」(polypeptide fragment)とは、成熟ポリペプチドのアミノ及び/又はカルボキシル末端から1又は2以上(数個)のアミノ酸が欠失してなるポリペプチド、又はその相同配列をいう。斯かる断片はプロテアーゼ変異体活性を有する。
【0034】
・下位配列:本明細書において「下位配列」(subsequence)とは、成熟ポリペプチドコーディング配列の5'及び/又は3'末端から1又は2以上(数個)のヌクレオチドが欠失してなるポリヌクレオチド配列、又はその相同配列をいう。斯かる下位配列はプロテアーゼ変異体活性を有するポリペプチド断片である。
【0035】
・対立遺伝子多型(対立遺伝子変異体):本明細書において「対立遺伝子多型(対立遺伝子変異体)」(allelic variant)とは、同一の染色体座を択一的に占める一遺伝子の複数形態の夫々を指す。対立遺伝子変異(allelic variation)は自然界において突然変異により生じる。これにより個体集団内に多型が生じる場合もある。遺伝子の突然変異はサイレントである(コードされるポリペプチドは変化しない)場合もあるが、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に変化が生じる場合もある。ポリペプチドの対立遺伝子多型とは、遺伝子の対立遺伝子多型によりコードされるポリペプチドである。
【0036】
・単離ポリヌクレオチド:本明細書において「単離ポリヌクレオチド」(isolated polynucleotide)とは、出所源から単離されたポリヌクレオチドを指す。一側面によれば、斯かる単離ポリヌクレオチドは、アガロース電気泳動により決定される純度において、少なくとも1%の純度、好ましくは少なくとも5%の純度、より好ましくは少なくとも10%の純度、より好ましくは少なくとも20%の純度、より好ましくは少なくとも40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、より一層好ましくは少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度、とりわけ好ましくは少なくとも95%の純度を有する。
【0037】
・実質的に純粋なポリヌクレオチド:本明細書において「実質的に純粋なポリヌクレオチド」(substantially pure polynucleotide)とは、他の外因性又は不所望のヌクレオチドを含まず、遺伝子組換えポリペプチド生産系における使用に適した形態にあるポリヌクレオチド調製物を指す。すなわち、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然又は組換により混在する他のポリペプチド材料の含量が、重量基準で最大10%、好ましくは最大8%、より好ましくは最大6%、より好ましくは最大5%、より好ましくは最大4%、より好ましくは最大3%、より一層好ましくは最大2%、最も好ましくは最大1%、とりわけ好ましくは最大0.5%である。しかし、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然の5’及び3’非翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含んでいてもよい。実質的に純粋なポリヌクレオチドは、重量基準で少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも92%の純度、より好ましくは少なくとも94%の純度、より好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも96%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度、より一層好ましくは少なくとも98%の純度、最も好ましくは少なくとも99%、とりわけ好ましくは少なくとも99.5%の純度を有することが好ましい。本発明のポリヌクレオチドは、実質的に純粋な形態であることが好ましい。即ち、天然又は組換により混在する他のポリペプチド材料を本質的に含まないポリヌクレオチド調製物であることが好ましい。斯かるポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成の何れに由来するものでもよく、これらの任意の組み合わせでもよい。
【0038】
・コーディング配列:本明細書において使用される場合、「コーディング配列」(coding sequence)とは、そのポリペプチド産物のアミノ酸配列を直接規定するポリヌクレオチドを意味する。コーディング配列の境界は通常、オープン・リーディング・フレーム(open reading frame)により画定される。オープン・リーディング・フレームは通常、ATG開始コドン、又はGTGやTTG等の代替開始コドンから開始し、TAA、TAG、TGA等の停止コドンで停止する。コーディング配列は、DNA、cDNA、合成、組換えポリヌクレオチドの何れでもよい。
【0039】
・cDNA:本明細書において「cDNA」とは、真核細胞から得られるスプライス後の成熟mRNA分子から逆転写により調製されるDNA分子として定義される。cDNAは、対応するゲノムDNA中に通常存在するイントロン配列を有さない。初期一次RNA転写産物がmRNAの前駆体となり、これが一連の処理工程を経て、最終的にスプライス後の成熟mRNAを生じる。これらの工程には、スプライシングと呼ばれるプロセスによるイントロン配列の除去が含まれる。よって、mRNAから得られるcDNAは、イントロン配列を有さない。
【0040】
・核酸コンストラクト:本明細書において「核酸コンストラクト」(nucleic acid construct)とは、天然遺伝子から単離され、或いは天然では存在しない核酸のセグメントを含むように修飾され、或いは合成された、一本鎖又は二本鎖の核酸分子を指す。核酸コンストラクトが本発明のコーディング配列の発現に必要な調節配列を含む場合、核酸コンストラクトは「発現カセット」(expression cassette)と同義となる。
【0041】
・調節配列:本明細書において「調節配列」(control sequence)とは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な全ての構成要素を含むものとして定義される。各調節配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して同種でも外来でもよく、互いに同種でも外来でもよい。斯かる調節配列としては、これらに限定されるものではないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターが挙げられる。少なくとも、調節配列はプロモーターと、転写及び翻訳停止シグナルとを含む。特定の制限部位を導入する目的で、調節配列にリンカーを付加してもよい。これにより斯かる調節配列と、ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドのコーディング領域との連結が容易になる。
【0042】
・作動式に連結され:本明細書において「作動式に連結され」(operably linked)との記載は、ポリペプチドのコーディング配列が調節配列により発現されるように、ポリヌクレオチド配列の調節配列がコーディング配列に対して適切な位置に配置された構成を意味する。
【0043】
・発現:「発現」(expression)との語は、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを意味する。斯かるステップとしては、これらに制限されるものではないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌が挙げられる。
【0044】
・発現ベクター:本明細書において「発現ベクター」(expression vector)とは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むとともに、その発現を可能とする更なるヌクレオチドと作動式に連結された、線状又は環状DNA分子として定義される。
【0045】
・宿主細胞:本明細書において「宿主細胞」(host cell)とは、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクト又は発現ベクターにより形質転換(transformation)、トランスフェクション(transfection)、形質導入(transduction)等が可能な任意の細胞型を含む。「宿主細胞」という語には、親細胞の任意の子孫であって、複製時に生じた突然変異により親細胞とは同一ではなくなったものも含まれる。
【0046】
・改善された特性:本明細書において「改善された特性」(improved property)とは、変異体に伴う特性であって、親プロテアーゼ変異体と比較して改善されたものをいう。斯かる改善された特性としては、これらに限定されるものではないが、よごれ等の洗浄性能、例えばタンパク質含有よごれに対する性能、よごれ除去、例えば卵汚れの除去、安定性、例えば熱安定性、酸化安定性、化学安定性、pH安定性、或いは粉末、液体又はゲル上の洗剤処方又は食器洗い組成物中での安定性等が挙げられる。本発明の変異体は、改変された温度依存活性プロファイル、pH活性、基質特異性、生成物特異性等を有していてもよい。一実施形態によれば、改善された特性としては、改善された食器洗い性能及び改善された安定性、並びに改善された食器洗い性能と改善された安定性との組み合わせ等が挙げられる。一実施形態によれば、改善された特性としては、改善された洗浄又は食器洗い性能、例えばタンパク質性よごれ等の除去、例えば卵汚れ等の除去等が挙げられる。
【0047】
・洗浄性能:本記載中「洗浄性能」(wash performance)とは、例えば洗浄又は硬表面清浄時に洗浄対象物に存在するタンパク質又は有機物によるよごれを除去する酵素の能力を指すものとして用いられる。洗浄性能の改善は、例えば本明細書実施例3において定義されるいわゆる強度値(intensity value:Int)を算出することにより定量化することができる。本明細書実施例3の洗浄性能試験も参照のこと。洗浄性能と食器洗い性能とは相互交換可能に用いられる。
【0048】
・改善された洗浄性能:本明細書において「改善された洗浄性能」(improved wash performance)とは、親プロテアーゼ変異体の洗浄性能と比較して、例えばよごれ除去の向上等によるプロテアーゼ変異体の洗浄性能の改変を示す酵素変異体として定義される。「洗浄性能」には洗濯物の洗浄性能の他、例えば食器洗いにおける洗浄性能も含まれる。
【0049】
・硬表面清浄(hard surface cleaning):本用語は「食器洗い」(dish wash)を含み、硬物体の清浄、例えば典型的な食器洗いの対象の清浄を指す。斯かる食器洗いの対象としては、これらに制限されるものではないが、皿類、カップ類、グラス類、ボウル類、並びに食事用器具類、例えばスプーン類、ナイフ類、フォーク類、給仕用具類、セラミック類、プラスチック類、金属類、陶器類、ガラス類、及びアクリル類等が挙げられる。
【0050】
・食器洗い用組成物:「食器洗い用組成物」(dish wash composition)とは、硬表面を清浄するためのあらゆる形態の組成物を指す。本発明は、如何なる種類の食器洗い用組成物にも、又は如何なる特定の洗剤にも限定されない。
【0051】
・プロテアーゼ(proteases)
タンパク質基質中のアミド結合を開裂する酵素は、プロテアーゼに、或いは(ほぼ同義である)ペプチターゼ(peptitases)に分類される(Walsh, 1979, Enzymatic Reaction Mechanisms. W. H. Freeman and Company, San Francisco, Chapter 3参照)。
【0052】
アミノ酸の位置/残基の番号付け
別途記載がない限り、本明細書で使用するアミノ酸の番号付けは、サブチラーゼBPN’(BASBPN)配列の番号に従う。BPN’配列の更なる説明は、配列番号2又は Siezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737 を参照のこと。
【0053】
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼはペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、その活性部位には重要なセリン残基が存在する(White, Handler and Smith, 1973 "Principles of Biochemistry," Fifth Edition, McGraw-Hill Book Company, NY, pp.271-272)。
【0054】
細菌セリンプロテアーゼは、20,000から45,000ダルトンの範囲の分子質量を有し、ジイソプロピルフルオロリン酸類により阻害される。単純に末端エステルを加水分解し、真核細胞のキモトリプシン、更にはセリンプロテアーゼと同様の活性を有する。サブグループを意味するより狭義の語であるアルカリプロテアーゼは、pH9.0〜11.0という高い最適pHを有する一部のセリンプロテアーゼを表す(概説につき、Priest (1977) Bacteriological Rev. 41 711-753 を参照のこと)。
【0055】
サブチラーゼ
セリンプロテアーゼのサブグループである仮称サブチラーゼは、Siezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737 及び Siezen et al., Protein Science 6 (1997) 501-523 により提案された。サブチラーゼは、従前はサブチリシン様プロテアーゼと呼ばれていたセリンプロテアーゼの170超のアミノ酸配列のホモロジー分析により定義された。サブチリシンは従前、グラム陽性細菌又は真菌により産生されるセリンプロテアーゼとして定義される場合が多かったが、Siezen et al. によれば、現在はサブチラーゼのサブグループとされている。様々なサブチラーゼが同定され、また、数々のサブチラーゼのアミノ酸配列が決定されてきた。サブチラーゼ及びそのアミノ酸配列のより詳しい解説については、Siezen et al. (1997) を参照のこと。
【0056】
サブチラーゼのサブグループの一つであるI-S1、別称「真」(true)サブチリシンには、「旧知の」(classical)サブチリシン類、例えばサブチリシン168(BSS168)、サブチリシンBPN’、サブチリシンCarlsberg(ALCALASE(登録商標)、NOVOZYMES A/S)、及びサブチリシンDY(BSSDY)が含まれる。
【0057】
サブチラーゼの別のサブグループであるI-S2、別称、高アルカリサブチリシンは、Siezen et al. により認められた(同上)。サブグループI-S2 プロテアーゼは、高アルカリ性のサブチリシンとして規定され、例としてはサブチリシンPB92(BAALKP)(MAXACAL(登録商標)、Genencor International Inc.)、サブチリシン309(サビナーゼ(登録商標)、NOVOZYMES A/S)、サブチリシン147(BLS147)(ESPERASE(登録商標)、NOVOZYMES A/S)、及びアルカリ性エラスターゼYaB(BSEYAB)等の酵素が挙げられる。
【0058】
「サビナーゼ(登録商標)
サビナーゼ(登録商標)は、NOVOZYMES A/Sが販売するB.レンタス(B. Lentus)由来のサブチリシン309であり、BAALKPとの差異は一箇所のみ(N87S)である。サビナーゼ(登録商標)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0059】
親サブチラーゼ
「親サブチラーゼ」(parent subtilaze)という語は、Siezen et al. により定義されるサブチラーゼをいう(1991及び1997)。更なる詳細については、上記「サブチラーゼ」の欄を参照のこと。親サブチラーゼは、天然物から単離されたサブチラーゼに対して、サブチラーゼの特性を保持しつつ修飾を加えたものであってもよい。更には、例えばJ.E. Ness et al., Nature Biotechnology, 17, 893-896 (1999) 等に記載のDNAシャフリング(DNA shuffling)法により調製されたサブチラーゼであってもよい。
【0060】
或いは、「親サブチラーゼ」を「野生型サブチラーゼ」(wild type subtilaze)と称する場合もある。
【0061】
参考のために、本明細書記載の種々のサブチラーゼの同義語を以下の表に示す。更なる同義語については、Siezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737 及び Siezen et al, Protein Science 6 (1997) 501-523 を参照のこと。
【0062】
【表1】

【0063】
サブチラーゼの修飾
本明細書において「修飾」(modification(s))とは、サブチラーゼの化学修飾に加えて、サブチラーゼをコードするDNAの遺伝子操作をも含むものとして定義される。1又は2以上の修飾としては、1又は2以上のアミノ酸側鎖の1又は2以上の置換、1又は2以上の所望のアミノ酸における1又は2以上の置換、欠失及び/又は挿入が挙げられる。
【0064】
サブチラーゼ変異体
「変異体」という語及び「サブチラーゼ変異体」という語は上述の通りである。
【0065】
相同サブチラーゼ配列
本明細書において、2つのアミノ酸配列間のホモロジーは、「同一性」というパラメーターにより記載される。本発明の目的においては、2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は、上述の Needleman-Wunsch アルゴリズムを用いて決定される。上記ルーチンにより、アミノ酸アラインメントに加えて、2つの配列間の「%同一性」が出力される。
【0066】
本明細書に基づき、当業者であれば定型の操作により、本発明に従い修飾し得る適切な相同サブチラーゼを特定することが可能である。
【0067】
一側面によれば、親プロテアーゼは、配列番号1に対し、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0068】
実質的に相同な親プロテアーゼ変異体は、1又は2以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を有していてもよい。本明細書において「1又は2以上」(one or more)と「数個」(several)は相互交換可能に用いられる。これらの変更は軽微なものであることが好ましい。即ち、上述の保存アミノ酸の置換や、タンパク質又はポリペプチドの三次元フォールディング又は活性に実質的な影響を与えないその他の置換;微小な欠失、通常は1から約30のアミノ酸の欠失;並びに、アミノ末端又はカルボキシル末端の微小な伸長、例えばアミノ末端のメチオニン残基や、最大20〜25残基程度の微小なリンカーペプチド、或いは精製を容易にする微小な伸長(アフィニティータグ)、例えばポリヒスチジントラクトやタンパク質A等である(Nilsson et al., 1985, EMBO J. 4:1075;及びNilsson et al., 1991, Methods Enzymol. 198:3。また、概要について、Ford et al., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107 も参照のこと)。
【0069】
上述の変更は軽微なものであることが好ましいが、斯かる変更は本質的なものであってもよい。例えば、アミノ酸数が最大300又はそれ以上のより大きなポリペプチドを、アミノ又はカルボキシル末端の双方に連結、伸長してもよい。
【0070】
親プロテアーゼは、例えば、配列番号1のアミノ酸配列、又はその対立遺伝子多型、又はプロテアーゼ活性を有するその断片を含み、又はこれらの何れかから構成される。一側面によれば、親プロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、又は配列番号1のアミノ酸配列から構成される。
【0071】
サブチラーゼ変異体
本発明は、親サブチラーゼに対し、以下の1又は2以上の特性が改変された新規サブチラーゼ変異体に関する。洗浄性能、例えば改善されたしみの除去能力、硬質表面洗浄、例えば食器洗いにおける洗浄性能、安定性、例えば貯蔵又は熱安定性及び触媒活性。本発明の一観点によれば、前記変異体は、改善された卵除去能力、例えば硬質表面からのゆで卵卵黄の改善された除去能力を有する。
【0072】
本発明のサブチラーゼ変異体の洗剤組成物における洗浄性能は、洗浄実験により決定することができる。酵素変異体は、実施例3に詳細に説明するように、自動機械負荷分析(Automated Mechanical Stress Assay:AMSA)を用いて試験することができる。
【0073】
本発明の変異体の触媒活性は、実施例に詳細に説明するように、“Kinetic Suc AAPF-pNA”アッセイを用いて決定することができる。
【0074】
一態様によれば、本発明の一部として想定される変異体は、親サブチラーゼと比較して1又は2以上のアミノ酸残基が置換、欠失又は挿入されている変異体であって、置換9{R,K,H}、15{G,A,S,T,M}、68{G,A,S,T,M}、218{D,S,G,V}及び245{R,K,H}を含み、更に修飾61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、97aG、98{G,S}、99G、101G、120{V,Q,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261Dのうち少なくとも1つを含む(前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する)。
【0075】
本発明の一態様によれば、変異体は更に、改変G61E、A98S又はS99Gのうち少なくとも1つを含む。
【0076】
本発明の特定の態様によれば、変異体は、置換S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245Rを含む。
【0077】
天然由来又は人工多様化合成により得られた酵素の場合も、或いは親サブチラーゼから変異体を設計して産生する場合も、親サブチラーゼはサブグループI−S1又はI−S2、特にサブグループI−S2に属することが好ましい。
【0078】
サブグループI−S1由来の変異体に関しては、BSS168(BSSAS、BSAPRJ、BSAPRN、BMSAMP)、BASBPN、BSSDY、BLSCAR(BLKERA、BLSCA1、BLSCA2、BLSCA3)、BSSPRC(セリンプロテアーゼC)、及びBSSPRD(セリンプロテアーゼD)、或いはサブグループI−S1の特性を保持するその機能的変異体からなる群より選択される親サブチラーゼを選択するのが好ましい。
【0079】
サブグループI−S由来の変異体に関しては、BSAPRQ、BLS147(BSAPRM、BAH101)、BLSAVI(BSKSMK、BAALKP、BLSUBL)、BYSYAB、BAPB92、TVTHER、及びBSAPRS、或いはサブグループI−S2の特性を保持するその機能的変異体からなる群より選択される親サブチラーゼを選択するのが好ましい。
【0080】
例えば、親サブチラーゼはBLSAVI(サビナーゼ(登録商標)、NOVOZYMES A/S)であり、従って本発明の好ましいサブチラーゼ変異体は、サビナーゼ(登録商標)(配列番号1)の変異体である。
【0081】
変異体の設計上の規約
本発明の目的においては、配列番号2に記載のBPN’のアミノ酸配列を用いて、別のプロテアーゼ又はプロテアーゼ変異体の対応するアミノ酸残基を決定する。別のプロテアーゼ又はプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を、配列番号2に開示のプロテアーゼのアミノ酸配列とアラインし、このアラインメントに基づいて、配列番号2に開示のプロテアーゼ変異体のアミノ酸配列における任意のアミノ酸残基に対応するアミノ酸位置の番号を決定することができる。
【0082】
ポリペプチド配列のアラインメントは、例えば「ClustalW」を用いて実施することができる(Thompson, J.D., Higgins, D.G. and Gibson, T.J., 1994, CLUSTAL W:Improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, sites-specific gap penalties and weight matrix choice, Nucleic Acids Research 22:4673-4680)。DNA配列のアラインメントは、例えば、ポリペプチドアラインメントをテンプレートとして用い、アミノ酸をDNA配列の対応するコドンに置き換えることにより実施される。
【0083】
配列同一性がおよそ20〜30%を超えない程度のポリペプチド配列間の類似性を検出するには、常用の配列対比較アルゴリズムで十分である(Doolittle, 1992, Protein Sci. 1:191-200; Brenner et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 6073-6078)。しかし、同程度且つ同様の生物学的機能を有する真に相同なポリペプチドであっても、従来の配列に基づく比較ではその関連性を検出できない程度にまで分化したものも多々存在する(Lindahl and Elofsson, 2000, J. Mol. Biol. 295:613-615)。ポリペプチドファミリー(プロファイル)の確率的表現を用いてデータベースを検索する検索プログラムを用いることにより、より高い感度で配列に基づく検索を行うことができる。例えば、PSI-BLAST プログラムは、反復データベース検索プロセスを通じてプロファイルを生成するもので、遠縁のホモログを検出することが可能である(Atschul et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)。着目するポリペプチドのファミリー又はスーパーファミリーが1又は2以上(数個)の表現がタンパク質構造データベースに存在する場合には、更に高い感度が達成可能である。例えばGenTHREADER(Jones 1999, J. Mol. Biol. 287:797-815; McGuffin and Jones, 2003, Bioinformatics 19:874-881)等のプログラムは、種々のソース由来の情報(PSI-BLAST、二次構造予測(secondary structure prediction)、構造アラインメントプロファイル(structural alignment profiles)、及び溶媒和ポテンシャル(solvation potentials))をニューラルネットワークに入力し、クエリー配列の折り畳み構造を予測する。同様に、Gough et al., 2000, J. Mol. Biol. 313:903-919 の方法を用いれば、未知の構造の配列を SCOP データベースに存在するスーパーファミリーモデルとアラインすることができる。これらのアラインメントを用いれば、更に着目するポリペプチドのホモロジーを生成することができる。斯かるモデルの精度を検証するには、その目的で開発された種々のツールを用いればよい。
【0084】
構造既知のタンパク質の場合、構造的アラインメントの検索及び生成に、幾つかのツールやリソースが利用できる。例えばタンパク質の SCOP スーパーファミリーは構造的にアラインメントがなされており、斯かるアラインメントはアクセス及びダウンロード可能である。2以上のタンパク質構造のアラインメントには、種々のアルゴリズム、例えばディスタンス・アラインメント・マトリックス(distance alignment matrix)(Holm and Sander, 1998, Proteins 33:88-96)又はコンビナトリアル・エクステンション(combinatorial extension)(Shindyalov and Bourne, 1998, Protein Eng. 11:739-747)が使用できる。更には、これらのアルゴリズムを実行し、着目する構造について構造データベースにクエリーすれば、可能性のある構造的ホモログを発見することも可能である(例えば Holm and Park, 2000, Bioinformatics 16:566-567)。これらの構造的アラインメントを用いて、同一の構造的スーパーファミリーに属するタンパク質中の、構造的及び機能的に対応するアミノ酸残基を予測することもできる。斯かる情報を、ホモロジーモデリング及びプロファイル検索から得られた情報と組み合わせれば、所望の突然変異によりあるタンパク質を近縁又は遠縁のホモログに移行させるためには、どの残基を変異させればよいかを予測することが可能となる。
【0085】
本発明の種々のプロテアーゼ変異体を記述するにあたり、参照の便宜のため、以下に記載の命名法を採用する。いずれの場合も、アミノ酸の略称としては、周知のIUPACによる1文字又は3文字の略称を用いる。
【0086】
本発明に従って製造又は設計される種々のサブチラーゼ酵素変異体を記述するに当たり、参照の便宜のため、以下の命名法及び規約を採用する。
【0087】
基準系は、単離酵素又は親酵素を最初に上述のサブチリシンBPN’(BASBPN)配列番号2とアラインすることにより定義する。
【0088】
親プロテアーゼ変異体
置換 アミノ酸置換については、以下の命名法を使用する:原アミノ酸、位置、置換アミノ酸。従って、位置226におけるスレオニンのアラニンによる置換は、「Thr226Ala」又は「T226A」と表す。多重突然変異については、例えば加算記号(「+」)により区切って表記する。例えば「Gly205Arg+Ser411Phe」又は「G205R+S411F」は、位置205のグリシン(G)をアルギニン(R)に置換し、位置411のセリン(S)のフェニルアラニン(F)に置換する突然変異を表す。或いは、多重突然変異をスペースで区切り、例えばG205R S411Fのように表記し、又はカンマ(,)で区切り、例えばG205R,S411Fのように表記してもよい。
【0089】
欠失 アミノ酸欠失については、以下の命名法を使用する:原アミノ酸、位置*。従って、位置195におけるグリシンの欠失は、「Gly195*」又は「G195*」と表す。多重欠失については、置換の場合と同様に、例えばカンマ(,)で区切り、「Gly195*、Ser411*」又は「G195*、S411*」のように表記すればよい。
【0090】
挿入 アミノ酸挿入については、以下の命名法を使用する:原アミノ酸、位置、原アミノ酸、新たに挿入されるアミノ酸。従って、位置195のグリシンの後へのリシンの挿入は、「Gly195GlyLys」又は「G195GK」又は「*195aK」と表す。アミノ酸の多重挿入は、[原アミノ酸、位置、原アミノ酸、新たに挿入されるアミノ酸#1、新たに挿入されるアミノ酸#2;等]と表す。例えば、位置195のグリシンの後にリシン及びアラニンを挿入する場合、「Gly195GlyLysAla」又は「G195GKA」と表す。
【0091】
斯かる場合において、挿入される(1又は2以上の)アミノ酸残基の番号付けは、挿入される(1又は2以上の)アミノ酸残基に先立つアミノ酸残基の位置番号に対し、小文字を付加することにより行う。すなわち、上記例の場合、配列は以下のようになる。
【表2】

【0092】
親プロテアーゼ変異体は、任意の材料から取得できる。例としては微生物材料、例えば真菌、例えば糸状菌又は酵母が挙げられる。或いは、既知の核酸又はアミノ酸配列情報から調製した人工配列でもよい。
【0093】
斯かる菌株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zelikulturen GmbH(DSM)及びCentraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)等の菌株保存機関から、一般に容易に入手可能である。
【0094】
本発明の一側面によれば、親サブチリシンは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0095】
本発明の一側面によれば、親プロテアーゼは、配列番号1に対するアミノ酸配列同一性が、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であるアミノ酸配列を含む。
【0096】
別の側面によれば、親プロテアーゼは、配列番号1に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であり、プロテアーゼ活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0097】
本発明の一側面によれば、変異体は、配列番号1との差異が30アミノ酸、29アミノ酸、28アミノ酸、27アミノ酸、26アミノ酸、25アミノ酸、24アミノ酸、23アミノ酸、22アミノ酸、21アミノ酸、20アミノ酸、19アミノ酸、18アミノ酸、17アミノ酸、16アミノ酸、15アミノ酸、14アミノ酸、13アミノ酸、12アミノ酸、11アミノ酸、10アミノ酸、9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸、又は1アミノ酸であるアミノ酸配列を有する。
【0098】
本発明の特定の側面によれば、本発明の変異体は、配列番号1との差異が12アミノ酸、より好ましくは11アミノ酸、より好ましくは10アミノ酸、より一層好ましくは9アミノ酸、最も好ましくは8アミノ酸であるアミノ酸配列を有する。
【0099】
一側面によれば、親(例えば配列番号1に示すアミノ酸配列を有する親プロテアーゼ変異体)との比較における、本発明の変異体中のアミノ酸改変の数は、20改変、19改変、18改変、17改変、16改変、15改変、14改変、13改変、12改変、11改変、10改変、9改変、8改変、7改変、6改変、5改変、4改変、より好ましくは3改変、より一層好ましくは2改変、最も好ましくは1改変からなり、或いはこれらを含む。別の側面によれば、本発明の変異体中のアミノ酸改変の数は、好ましくは20改変、19改変、18改変、17改変、16改変、15改変、14改変、13改変、12改変、11改変、10改変、9改変、8改変、7改変、6改変、5改変、4改変、3改変、2改変、又は1改変からなる。
【0100】
一側面によれば、親(例えば配列番号1に示すアミノ酸配列を有する親プロテアーゼ変異体)との比較における、本発明の変異体中のアミノ酸改変の数は、20置換、19置換、18置換、17置換、16置換、15置換、14置換、13置換、12置換、11置換、10置換、9置換、8置換、7置換、6置換、5置換、4置換、より好ましくは3置換、より一層好ましくは2置換、最も好ましくは1置換からなり、或いはこれらを含む。別の側面によれば、本発明の変異体中のアミノ酸改変の数は、20置換、19置換、18置換、17置換、16置換、15置換、14置換、13置換、12置換、11置換、10置換、9置換、8置換、7置換、6置換、5置換、4置換、3置換、2置換、又は1置換からなる。
【0101】
一側面によれば、変異体は、配列番号1に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であるアミノ酸配列を含む。
【0102】
一側面によれば、変異体は、配列番号1に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であり、プロテアーゼ活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0103】
一側面によれば、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列又はその対立遺伝子多型、又はプロテアーゼ変異体活性を有するその断片等からなり、或いはこれを含む変異体の使用に関する。一側面によれば、斯かる変異体は、配列番号3のアミノ酸配列からなり、或いはこれを含む。別の側面によれば、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列、又は対立遺伝子多型からなり、或いはこれを含む変異体の硬表面清浄における使用に関する。更に、本発明は、タンパク質性の汚れ、特にゆで卵による汚れを、硬表面又は洗濯物布地から除去する方法であって、卵よごれを含む硬表面又は卵よごれを含む洗濯物布地を、配列番号3のアミノ酸配列又はその対立遺伝子多型からなり、或いはこれを含むサブチリシン変異体を含む清浄又は洗剤組成物、好ましくは洗濯又は食器洗い用組成物に接触させることを含む方法にも関する。
【0104】
一側面によれば、変異体は、配列番号3に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であるアミノ酸配列を含む。
【0105】
一側面によれば、変異体は、配列番号3に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であり、プロテアーゼ活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0106】
一側面によれば、変異体は、配列番号3との差異が30アミノ酸、29アミノ酸、28アミノ酸、27アミノ酸、26アミノ酸、25アミノ酸、24アミノ酸、23アミノ酸、22アミノ酸、21アミノ酸、20アミノ酸、19アミノ酸、18アミノ酸、17アミノ酸、16アミノ酸、15アミノ酸、14アミノ酸、13アミノ酸、12アミノ酸、11アミノ酸、10アミノ酸、9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸、又は1アミノ酸であるアミノ酸配列を有する。
【0107】
一側面によれば、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列又はその対立遺伝子多型、又はプロテアーゼ変異体活性を有するその断片等からなり、或いはこれを含む変異体の使用に関する。一側面によれば、斯かる変異体は、配列番号4のアミノ酸配列からなり、或いはこれを含む。別の側面によれば、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列、又は対立遺伝子多型からなり、或いはこれを含む変異体の硬表面清浄における使用に関する。更に、本発明は、タンパク質性の汚れ、特にゆで卵による汚れを、硬表面又は洗濯物布地から除去する方法であって、卵よごれを含む硬表面又は卵よごれを含む洗濯物布地を、配列番号4のアミノ酸配列又はその対立遺伝子多型からなり、或いはこれを含むサブチリシン変異体を含む清浄又は洗剤組成物、好ましくは洗濯又は食器洗い用組成物に接触させることを含む方法にも関する。
【0108】
一側面によれば、変異体は、配列番号4に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であるアミノ酸配列を含む。
【0109】
一側面によれば、変異体は、配列番号4に対するアミノ酸配列同一性が好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%、とりわけ好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、更には100%であり、プロテアーゼ活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0110】
一側面によれば、変異体は、配列番号4との差異が30アミノ酸、29アミノ酸、28アミノ酸、27アミノ酸、26アミノ酸、25アミノ酸、24アミノ酸、23アミノ酸、22アミノ酸、21アミノ酸、20アミノ酸、19アミノ酸、18アミノ酸、17アミノ酸、16アミノ酸、15アミノ酸、14アミノ酸、13アミノ酸、12アミノ酸、11アミノ酸、10アミノ酸、9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸、又は1アミノ酸であるアミノ酸配列を有する。
【0111】
実質的に相同な変異体は、1又は2以上のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有していてもよい。これらの変更は軽微なものであることが好ましい。即ち、上述の保存アミノ酸の置換や、タンパク質又はポリペプチドの三次元フォールディング又は活性に実質的な影響を与えないその他の置換;微小な欠失、通常は1から約30のアミノ酸の欠失;並びに、アミノ末端又はカルボキシル末端の微小な伸長、例えばアミノ末端のメチオニン残基や、最大20〜25残基程度の微小なリンカーペプチド、或いは精製を容易にする微小な伸長(アフィニティータグ)、例えばポリヒスチジントラクトやタンパク質A等である(Nilsson et al., 1985, EMBO J. 4:1075;及びNilsson et al., 1991, Methods Enzymol. 198:3。また、概要について、Ford et al., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107 も参照のこと)。
【0112】
上述の変更は軽微なものであることが好ましいが、斯かる変更は本質的なものであってもよい。例えば、アミノ酸数が最大300又はそれ以上のより大きなポリペプチドを、アミノ又はカルボキシル末端の双方に連結、伸長してもよい。
【0113】
変異体の調製
親プロテアーゼの変異体は、当業界で周知の任意の突然変異誘発法、例えば部位特異的突然変異誘発法、合成遺伝子構築法、半合成遺伝子構築法、ランダム突然変異誘発法、シャッフリング等を用いて調製可能である。
【0114】
部位特異的突然変異誘発法(site-directed mutanogenesis)は、親プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド分子内の所定の部位に1又は数個の突然変異を形成する手法である。インビトロ(in vitro)でもインビボ(in vivo)でも実施可能である。
【0115】
合成遺伝子構築法(synthetic gene construction)は、所望のポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチド分子を設計し、これをインビトロで合成するものである。遺伝子合成は数々の手法を用いて実施可能である。例としては、Tian, et. al.が報告する多重マイクロチップ法(multiplex microchip-based technology)(Tian, et. al., Nature 432:1050-1054)や、類似の手法が挙げられる。これらの手法は、光プログラム可能なマイクロ流体チップ上で、オリゴヌクレオチドを合成、構築するものである。
【0116】
部位特異的突然変異誘発法は、所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRにより、インビトロで実施可能である。また、親プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド内の部位を制限酵素で切断し、次いで当該ポリヌクレオチド中に所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチドを連結する工程を含むカセット突然変異誘発法によっても、部位特異的突然変異誘発法をインビトロで実施することができる。通常、プラスミド及びオリゴヌクレオチドを同一の制限酵素で消化することにより、プラスミド及び挿入物の付着末端を互いに連結することが可能となる。例えばScherer and Davis, 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:4949-4955;及び Barton et al., 1990, Nucleic Acids Research 18:7349-4966 等を参照のこと。
【0117】
部位特異的突然変異誘発法は、当業界で周知の任意の手法により、インビボでも実施可能である。例えば、米国特許出願第2004/0171154号;Storici et al., 2001, Nature Biotechnology 19:773-776; Kren et al., 1998, Nat. Med. 4: 285-290;及び Calissano and Macino, 1996, Fungal Genet. Newslett. 43:15-16 等を参照のこと。
【0118】
本発明では任意の部位特異的突然変異誘発法を使用できる。親プロテアーゼ変異体の変異体の調製に使用し得るキットは多々市販されている。
【0119】
単一又は多重のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を形成・検証するには、公知の突然変異誘発法、組換え、及び/又はシャッフリングを用いた後、適切なスクリーニング法、例えば Reidhaar-Olson and Sauer, 1988, Science 241:53-57;Bowie and Sauer, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-2156;国際公開第95/17413号;又は国際公開第95/22625号等に開示の手法を用いればよい。他の使用可能な方法としては、error-pr1 PCR、ファージ・ディスプレイ(phage display)(例えば Lowman et al., 1991, Biochem. 30:10832-10837;米国特許第5,223,409号;国際公開第92/06204号等)及び領域特異的突然変異誘発法(Derbyshire et al., 1986, Gene 46:145;Ner et al., 1988, DNA 7:127)等が挙げられる。
【0120】
突然変異誘発法/シャッフリング法をハイスループット自動スクリーニング法と組み合わせることにより、宿主細胞により発現されるクローン化突然変異ポリペプチドの活性を検出することが可能となる。当業界の標準法により、活性ポリペプチドをコードする突然変異DNA分子を宿主細胞から回収し、即時に配列決定することができる。これらの手法により、着目するポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性を、迅速に決定することが可能となる。
【0121】
半合成遺伝子構築法(semi-synthetic gene construction)は、合成遺伝子構築法、及び/又は部位特異的突然変異誘発法、及び/又はランダム突然変異誘発法、及び/又はシャッフリングの態様を組み合わせることにより実施される。半合成構築法の代表的なプロセスは、合成ポリヌクレオチド断片をPCR法と組み合わせたものである。すなわち、例えば遺伝子の所定の領域を新規合成し、他の領域は部位特異的突然変異プライマー等を用いて増幅し、更に別の領域についてはerror-pr1 PCR や non-error-pr1 PCR増幅等を用いることができる。その後、ポリヌクレオチド断片をシャッフルしてもよい。
【0122】
本発明の別の側面は、変異体を生成する方法であって、親サブチリシン中に、以下の置換:
i)位置9の{R,K,H}による置換;
ii)位置15の{G,A,S,T,M}による置換、
iii)位置68の{G,A,S,T,M}による置換、
iv)位置245の{R,K,H}による置換、及び
v)位置218の{D,S,G又はV}による置換、
並びに、以下の修飾のうち1又は2以上:位置61の{D,E}による置換、位置62の{D,E}による置換、位置76の{D,E}による置換、位置97へのGの挿入、位置98の{G,S}による置換、位置99のGによる置換、位置101のGによる置換、位置120の{V,Q,D}による置換、位置131の{T,S}による置換、位置137のHによる置換、位置194のPによる置換、位置228のVによる置換、位置230のVによる置換、及び位置261のDによる置換(前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する)、を導入することによる方法に関する。
【0123】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、68、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、68、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、68、218及び245に相当する位置でのR、T、A、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、V68A、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0124】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、68、120、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、68、120、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、68、120、218及び245に相当する位置でのR、T、A、V、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、V68A、H120V、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0125】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、68、120、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、68、120、218及び245に相当する位置でのQ、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、68、120、218及び245に相当する位置でのR、T、A、Q、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、V68A、H120Q、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0126】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、68、76、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、68、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、68、76、218及び245に相当する位置でのR、T、A、D、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、V68A、N76D、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0127】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、61、68、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、6168、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、61、68、218及び245に相当する位置でのR、T、E、A、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、G61E、V68A、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0128】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、61、68、98、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、9、15、61、68、98、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、61、68、98、218及び245に相当する位置でのR、T、E、A、S、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、G61E、V68A、A98S、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0129】
一側面によれば、前記方法は、位置9、15、61、68、98、99、218及び245に相当する位置での置換を含む。別の側面によれば、前記方法は9、15、61、68、98、99、218及び245に相当する位置でのR、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、それぞれ、位置9、15、61、68、98、99、218及び245に相当する位置でのR、T、E、A、S、G、D及びRの置換を含む。別の側面によれば、前記方法は、配列番号1の成熟ポリペプチド中へのS9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245Rの置換を含む。
【0130】
ある特定の側面は、親サブチリシンに対して、下記の置換:
i)位置9のSのRによる置換、
ii)位置15のAのTによる置換、
iii)位置68のVのAによる置換、
iv)位置245のQのRによる置換、及び
v)位置218のNのD、S、G又はVによる置換、
並びに、以下の修飾のうち1又は2以上:
位置61のGのEによる置換、位置62のNのDによる置換、位置76のNのDによる置換、位置97へのGの挿入、位置98のAのSによる置換、位置99のSのGによる置換、位置101のSのGによる置換、位置120のHのD、V又はQによる置換、位置131のPのTによる置換、位置139のQのHによる置換、位置194のAのPによる置換、位置228のAのVによる置換、位置230のAのVによる置換、及び位置261のNのDによる置換、を導入する方法に関する。
【0131】
変異体:
一側面によれば、本発明は、置換9{R,K,H}、15{G,A,S,T,M}、68{G,A,S,T,M}、218{D,S,G,V}及び245{R,K,H}、並びに次の修飾:61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、97aG、98{G,S}、99G、101G、120{V,Q,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261Dのうち少なくとも1つを含む、親サブチラーゼの変異体に関する(前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する)。
【0132】
一側面によれば、変異体は、位置9に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9に対応する位置に、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9に対応する位置に、Rによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対し、置換S9Rを含む。
【0133】
一側面によれば、変異体は、位置15に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15に対応する位置に、Tによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対し、置換A15Tを含む。
【0134】
一側面によれば、変異体は、位置61に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、61に対応する位置に、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置61に対応する位置に、Eによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換G61Eを含む。
【0135】
一側面によれば、変異体は、位置62に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、62に対応する位置に、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置62に対応する位置に、Dによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換N62Dを含む。
【0136】
一側面によれば、変異体は、位置68に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、68に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置68に対応する位置に、Aによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換V68Aを含む。
【0137】
一側面によれば、変異体は、位置76に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、76に対応する位置に、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置76に対応する位置に、Dによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換N76Dを含む。
【0138】
一側面によれば、変異体は、位置97に対応する位置に挿入を含む。別の側面によれば、変異体は、97に対応する位置に、Gの挿入を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、*97aGの挿入を含む。
【0139】
一側面によれば、変異体は、位置98に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、98に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置98に対応する位置に、Sによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A98Sを含む。
【0140】
一側面によれば、変異体は、位置99に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、99に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、99に対応する位置に、Gによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S99Gを含む。
【0141】
一側面によれば、変異体は、位置101に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、101に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、101に対応する位置に、Gによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S101Gを含む。
【0142】
一側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、120に対応する位置に、Q、V、N、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に、Dによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換H120Dを含む。
【0143】
一側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、120に対応する位置に、Q、N、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置120Nに対応する位置に、による置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換H120Nを含む。
【0144】
一側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、120に対応する位置に、Q、V、N、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に、Vによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換H120Vを含む。
【0145】
一側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、120に対応する位置に、Q、N、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置120に対応する位置に、Qによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換H120Qを含む。
【0146】
一側面によれば、変異体は、位置131に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、131に対応する位置に、T又はSによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置131に対応する位置に、Sによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換P131Sを含む。
【0147】
一側面によれば、変異体は、位置137に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、137に対応する位置に、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置137に対応する位置に、Hによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換Q137Hを含む。
【0148】
一側面によれば、変異体は、位置194に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、194に対応する位置に、Pによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A194Pを含む。
【0149】
一側面によれば、変異体は、位置218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、218に対応する位置に、E、D、L、I、V、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置218に対応する位置に、Vによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換N218Dを含む。
【0150】
一側面によれば、変異体は、位置228に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、228に対応する位置に、L、I又はVによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置228に対応する位置に、Vによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A228Vを含む。
【0151】
一側面によれば、変異体は、位置230に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、230に対応する位置に、L、I又はVによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置230に対応する位置に、Vによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A230Vを含む。
【0152】
一側面によれば、変異体は、位置245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、245に対応する位置に、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置245Rに対応する位置に、による置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換Q245Rを含む。
【0153】
一側面によれば、変異体は、位置261に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、261に対応する位置に、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置261に対応する位置に、Dによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換N261Dを含む。
【0154】
一側面によれば、変異体は、位置9及び15に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9及び15に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9及び15に対応する位置に、夫々R及びTによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R及びA15Tを含む。
【0155】
一側面によれば、変異体は、位置9及び68に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9及び68に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9及び68に対応する位置に、夫々R及びAによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R及びV68Aを含む。
【0156】
一側面によれば、変異体は、位置9及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9及び218に対応する位置に、R、K、H、E、D、L、I、V、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9及び218に対応する位置に、夫々R及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R及びN218Dを含む。
【0157】
一側面によれば、変異体は、位置9及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9及び245に対応する位置に、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9及び245に対応する位置に、夫々Rによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R及びQ245Rを含む。
【0158】
一側面によれば、変異体は、位置15及び68に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15及び68に対応する位置に、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15及び68に対応する位置に、夫々T及びAによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T及びV68Aを含む。
【0159】
一側面によれば、変異体は、位置15及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15及び218に対応する位置に、E、D、L、I、V、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15及び218に対応する位置に、夫々T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T及びN218Dを含む。
【0160】
一側面によれば、変異体は、位置15及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15及び245に対応する位置に、G、A、S、T、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15及び245に対応する位置に、夫々T及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T及びQ245Rを含む。
【0161】
一側面によれば、変異体は、位置68及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、68及び218に対応する位置に、E、D、L、I、V、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置68及び218に対応する位置に、夫々A及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換V68A及びN218Dを含む。
【0162】
一側面によれば、変異体は、位置68及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、68及び245に対応する位置に、G、A、S、T、R、K又はHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置68及び245に対応する位置に、夫々A及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換V68A及びQ245Rを含む。
【0163】
一側面によれば、変異体は、位置218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、218及び245に対応する位置に、E、D、R、K、Hによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置218及び245に対応する位置に、夫々D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換N218D及びQ245Rを含む。
【0164】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び61に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び61に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、D又はEによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び61に対応する位置に、夫々R、T及びEによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T及びG61Eを含む。
【0165】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び62に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び62に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、D又はEによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び62に対応する位置に、夫々R、T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T及びN62Dを含む。
【0166】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び68に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び68に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び68に対応する位置に、夫々R、T及びAによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68Aを含む。
【0167】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び76に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び76に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、D又はEによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び76に対応する位置に、夫々R、T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T及びN76Dを含む。
【0168】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び97に対応する位置に修飾を含む。別の側面によれば、変異体は、9及び15に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含み、97に対応する位置に挿入を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9及び15に対応する位置に、夫々R及びTによる置換を含み、位置97に対応する位置に、Gの挿入を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、修飾S9R、A15T及び*97aGを含む。
【0169】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び98に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び98に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び98に対応する位置に、夫々R、T及びSによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びA98Sを含む。
【0170】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び99に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び99に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び99に対応する位置に、夫々R、T及びGによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びS99Gを含む。
【0171】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び120に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、N、Q、V、D、E又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に、夫々R、T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びH120Dを含む。
【0172】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び120に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、N、Q、V、D、E又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に、夫々R、T及びNによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びH120Nを含む。
【0173】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び120に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、N、Q、V、D、E又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に、夫々R、T及びVによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びH120Vを含む。
【0174】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び120に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、N、Q、V、D、E又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び120に対応する位置に、夫々R、T及びQによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びH120Qを含む。
【0175】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び131に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び131に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び131に対応する位置に、夫々R、T及び{S、T}による置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びP131{S、T}を含む。
【0176】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び137に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び137に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び137に対応する位置に、夫々R、T及びHによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T及びQ137Hを含む。
【0177】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び194に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び194に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び194に対応する位置に、夫々R、T及びPによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T及びA194Pを含む。
【0178】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び218に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び218に対応する位置に、夫々R、T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、N218Dを含む。
【0179】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び228に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び228に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、L、I、V又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び228に対応する位置に、夫々R、T及びVによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びA228Vを含む。
【0180】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び230に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び230に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、L、I、V又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び230に対応する位置に、夫々R、T及びVによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びA230Vを含む。
【0181】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び245に対応する位置に、夫々R、T及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、Q245Rを含む。
【0182】
一側面によれば、変異体は、位置9、15及び261に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15及び261に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、D、E又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15及び261に対応する位置に、夫々R、T及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T及びN261Dを含む。
【0183】
一側面によれば、変異体は、位置15、68及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15、68及び218に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15、68及び218に対応する位置に、夫々T、A及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T、V68A及びN218Dを含む。
【0184】
一側面によれば、変異体は、位置15、68及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15、68及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15、68及び245に対応する位置に、夫々T、A及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T、V68A及びQ245Rを含む。
【0185】
一側面によれば、変異体は、位置68、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、68、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置68、218及び245に対応する位置に、夫々A、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換V68A、N218D及びQ245Rを含む。
【0186】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68及び218に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68及び218に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68及び218に対応する位置に、夫々R、T、A及びDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A及びN218Dを含む。
【0187】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T又はMによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68及び245に対応する位置に、夫々R、T、A及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A及びQ245Rを含む。
【0188】
一側面によれば、変異体は、位置15、68、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、15、68、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置15、68、218及び245に対応する位置に、夫々T、A、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換A15T、V68A、N218D及びQ245Rを含む。
【0189】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、A、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A、N218D及びQ245Rを含む。
【0190】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68、120、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68、120、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、N、L、I、V、Q、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、A、Q、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A、H120Q、N218D及びQ245Rを含む。
【0191】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68、120、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68、120、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、N、L、I、V、Q、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、A、V、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A、H120V、N218D及びQ245Rを含む。
【0192】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、68、76、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、68、76、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、68、76、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、A、D、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、V68A、H76D、N218D及びQ245Rを含む。
【0193】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、61 68、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、E、A、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して、置換S9R、A15T、G61E、V68A、N218D及びQ245Rを含む。
【0194】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、98、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、98、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、98、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、E、A、S、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、N218D及びQ245Rを含む。
【0195】
一側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、98、99、218及び245に対応する位置に置換を含む。別の側面によれば、変異体は、9、15、61、68、98、99、218及び245に対応する位置に、R、K、H、G、A、S、T、M、L、I、V、E又はDによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、位置9、15、61、68、98、99、218及び245に対応する位置に、夫々R、T、E、A、S、G、D及びRによる置換を含む。別の側面によれば、変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドに対して置換S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245Rを含む。
【0196】
更なる実施形態によれば、本明細書に記載のサブチラーゼ変異体は、以下の何れかの位置に、1又は2以上の修飾を有するのが有利である。
27、36、56、87、95、96、100、102、103、104、123、159、167、170、206、222、224、232、235、236、245、248、252及び274。
【0197】
具体的には、以下のBLSAVI、BLSUBL、BSKSMK及びBAALKP修飾が、組み合わせに適している。
K27R、*36D、S56P、S87N、S103A、V104A、V104I、V104N、V104Y、S106A、N123S、G159D、Y167A、R170S、R170L、N204D、V205I、Q206E、L217D、M222S、M222A、T224S、A232V、K235L、Q236H、N248D、N252K及びT274A。
【0198】
更に有用な変異体として、S101G+V104N、S87N+S101G+V104N、K27R+V104Y+N123S+T274A、N76D+S103A+V104I、S99D+S101R+S103A+V104I+G160S、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+A194P+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V205I又はN76D+V104Aのうち何れかの修飾を、或いは他の修飾の組み合わせとして、K27R、*36D、S56P、S87N、G97N、S99SE、S101G、S103A、V104A、V104I、V104N、V104Y、S106A、N123S、G159D、Y167A、R170S、R170L、N204D、V205I、Q206E、L217D、M222S、M222A、T224S、A232V、K235L、Q236H、N248D、N252K又はT274Aを、上述の1又は2以上の修飾との組み合わせで有するものが、改善された特性を発揮する。
【0199】
ある側面によれば、変異体は、配列番号3の成熟ポリペプチドの位置61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、*97aG、98{G,S}、99G、101G、120{N,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261Dの1又は2以上に対応する位置に修飾を含む。
【0200】
ある側面によれば、変異体は、配列番号4の成熟ポリペプチドの位置61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、*97aG、98{G,S}、99G、101G、120{N,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261D1又は2以上に対応する位置に修飾を含む。
【0201】
更に、本発明の主側面に係るサブチラーゼ変異体を、位置61、62、76、97、98、99、101、120、131、137、194、228、230及び261の何れかの位置における1又は2以上の修飾、好ましくは61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、*97aG、98{G,S}、99G、101G、120{D,N,V,Q}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V、261D、より一層好ましくは61E、62D、76D、*97aG、98S、99G、101G、120D、131T、137H、194P、228V、230V、261Dと組み合わせることが好ましい。これらの修飾は何れも、サブチラーゼ変異体の生産において、その発現レベルを増大させることが期待される。
【0202】
特に興味ある変異体は、本発明の修飾の他に、次の置換を含む変異体である。
S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245R。
【0203】
更に興味深い変異体の例を以下に挙げる。
【表3】

【0204】
本発明の選択された変異体の洗浄性能は、例えば本明細書の実施例3に示す洗浄性能試験により検証することができる。斯かる洗浄性能試験により、例えば変異体を標準的な洗剤組成物又は市販の洗剤組成物に組み込んだ上で、硬表面からタンパク質性の汚れを除去する能力を、基準となる系との対比で、即ち親サブチラーゼ又は(同一の洗剤系に組み込んで同一条件下で試験した場合に)より優れた洗浄性能を示す同様のサブチラーゼとの比較において検証することができる。本発明の酵素変異体は、自動機械負荷分析(Automated Mechanical Stress Assay:AMSA)を用いて試験された。AMSA試験を用いれば、少量の酵素洗剤溶液が多数存在する場合でも、その洗浄性能を迅速に検証することができる。この試験を用いて選択された変異体の洗浄性能をまず検査し、選択された変異体が親サブチラーゼと比べて顕著な改善を示さない場合には、通常それ以上の実験を実施する必要はない。
【0205】
従って、本明細書に記載の目的において特に興味深い変異体は、市販の洗剤組成物 例えば欧州系の食器洗い用洗剤、米国系の食器洗い用洗剤、アジア系の洗濯用洗剤、欧州系の洗濯用洗剤、又はラテンアメリカ系の洗濯用洗剤(一部の例を洗浄性能試験(実施例3)に示す)において試験した場合に、同一条件下で試験された親サブチラーゼと比べて改善された洗浄性能を示すような変異体である。
【0206】
もちろん、本発明の変異体は、上記基準を少なくとも上記記載の最低レベルで充足すればよいが、最高レベルで充足することがより好ましい。
【0207】
核酸コンストラクト
本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドと、これと作動式に連結された1又は2以上の調節配列とを含む核酸コンストラクトであって、適切な宿主細胞中において、調節配列に適合する条件下、前記調節配列により前記コーディング配列が発現されるような核酸コンストラクトにも関する。
【0208】
本発明のプロテアーゼ変異体の発現を可能とするべく、当該変異体をコードする単離ポリヌクレオチドを、種々の手法により操作してもよい。発現ベクターの種類によっては、ベクターへの挿入前にポリヌクレオチドを操作することが好適又は必要な場合がある。組換えDNA法を用いてポリヌクレオチドを修飾する手法は、当業者には周知である。
【0209】
調節配列としては、ポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞に認識される、適切なプロモーター配列が挙げられる。プロモーター配列は、変異プロテアーゼ変異体の発現を媒介する転写調節配列を含む。プロモーターは、選択された宿主細胞内で転写活性を示すものであれば、如何なる核酸配列であってもよく、突然変異型、切断型、ハイブリッド型等のプロモーターであってもよい。また、宿主細胞に対して同種又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする何れの遺伝子から取得されたものでもよい。
【0210】
細菌宿主細胞において本発明の核酸コンストラクトの転写を引き起こすのに適したプロモーターの例としては、大腸菌(E. coli)乳糖オペロン(lac operon)、ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)xylA 及び xylB 遺伝子、及び原核β−ラクタマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroff et al., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:3727-3731)由来のプロモーター、並びに tac プロモーター(DeBoer et al., 1983, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80:21-25)が挙げられる。更なるプロモーターは"Useful proteins from recombinant bacteria", Scientific American, 1980, 242:74-94;及び Sambrook et al., 1989(同上)に記載されている。
【0211】
糸状菌宿主細胞において本発明の核酸コンストラクトの転写を引き起こすのに適したプロモーターの例としては、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKA アミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ (国際公開第00/56900号)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Daria(国際公開第00/56900号)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Quinn(国際公開第00/56900号)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(国際公開第96/00787号)、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)β−グルコシダーゼ、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼ II、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIV、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)β−キシロシダーゼ由来のプロモーター、並びに NA2-tpiプロモーター(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ及びアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ由来のプロモーターのハイブリッド);並びにこれらの突然変異型、切断型、ハイブリッド型プロモーターが挙げられる。
【0212】
酵母宿主の場合、有用なプロモーターとしては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アルコール デヒドロゲナーゼ/グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1、ADH2/GAP)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)メタロチオネイン(CUP1)、及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)3−ホスホグリセリン酸キナーゼ由来のプロモーターが挙げられる。酵母宿主細胞に有用な他のプロモーターは、Romanos et al., 1992, Yeast 8:423-488 に記載されている。
【0213】
調節配列としては、転写を停止するために宿主細胞に認識される、適切な転写ターミネーター配列も挙げられる。ターミネーター配列は、変異プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドの3’末端に作動式に連結される。本発明では、選択された宿主細胞において機能し得る任意のターミネーターを使用することができる。
【0214】
糸状菌宿主細胞の場合、ターミネーターとしては、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKA アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルコシダーゼ、及びフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ由来のターミネーターが好ましい。
【0215】
酵母宿主細胞の場合、ターミネーターとしては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)シトクロームC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ由来のターミネーターが好ましい。酵母宿主細胞に有用な他のターミネーターは、Romanos et al., 1992(同上)に記載されている。
【0216】
調節配列としては、適切なリーダー配列も挙げられる。リーダー配列は、宿主細胞による翻訳に重要な役割を果たすmRNAの非翻訳領域である。リーダー配列は、変異プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドの5’末端に作動式に連結される。リーダー配列本発明では、選択された宿主細胞において機能し得る任意のリーダー配列本を使用することができる。
【0217】
糸状菌宿主細胞の場合、リーダー配列としては、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKA アミラーゼ、及びアスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)トリオースリン酸イソメラーゼ由来のリーダー配列が好ましい。
【0218】
酵母宿主細胞に適したリーダー配列としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α−因子、及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)由来のリーダー配列が挙げられる。
【0219】
調節配列としては、ポリアデニル化配列も挙げられる。ポリアデニル化配列は、ポリペプチドをコードする配列の3’末端に作動式に連結され、転写時に宿主細胞によって、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するシグナルとして認識される。本発明では、選択された宿主細胞において機能し得る任意のポリアデニル化配列を使用することができる。
【0220】
糸状菌宿主細胞の場合、ポリアデニル化配列としては、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKA アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ、及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルコシダーゼ由来のポリアデニル化配列が好ましい。
【0221】
酵母宿主細胞において有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15:5983-5990 に記載されている。
【0222】
調節配列としては、シグナルペプチドコーディング領域も挙げられる。これは、変異プロテアーゼ変異体のアミノ末端に連結され、コードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に誘導するためのアミノ酸配列をコードする配列である。ポリヌクレオチドのコーディング配列の5’末端が、翻訳リーディングフレーム内において、分泌される変異プロテアーゼ変異体をコードするコーディング領域のセグメントと当初から連結された、固有のシグナルペプチドコーディング領域を有していてもよい。或いは、コーディング配列の5’末端が、コーディング配列に対して外来のシグナルペプチドコーディング領域を有していてもよい。外来のシグナルペプチドコーディング領域が必要となるのは、例えば、コーディング配列が生来のシグナルペプチドコーディング領域を有さない場合である。或いは、変異プロテアーゼ変異体の分泌を促進するために、外来のシグナルペプチドコーディング領域により、生来のシグナルペプチドコーディング領域をそのまま置換してもよい。しかしながら、本発明では、発現されたポリペプチドを選択された宿主細胞の分泌経路に誘導し得るものであれば、任意のシグナルペプチドコーディング領域を使用できる。
【0223】
糸状菌宿主細胞において有効なシグナルペプチドコーディング配列としては、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKA アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)エンドグルカナーゼV及びフミコラ・ランギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ由来の配列が挙げられる。
【0224】
酵母宿主細胞において有用なシグナルペプチドとしては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α−因子及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)インベルターゼが挙げられる。他の有用なシグナルペプチドコーディング配列は、Romanos et al., 1992(同上)に記載されている。
【0225】
調節配列としては、プロペプチドコーディング領域も挙げられる。これは、変異プロテアーゼ変異体のアミノ末端に配置されるアミノ酸配列をコードする配列である。得られるポリペプチドは酵素前駆体(proenzyme)又はプロポリペプチド(propolypeptide)(或いは場合によりチモーゲン(zymogen))と呼ばれる。プロポリペプチドは通常不活性であるが、触媒又は自己触媒によりプロペプチドがプロポリペプチドから切断されると、成熟活性ポリペプチドに変換される。プロペプチドコーディング領域としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α−因子、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、及びミセリオフィソラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(国際公開第95/33836号)由来の配列が挙げられる。
【0226】
ポリペプチドのアミノ末端にシグナルペプチド及びプロペプチド領域の双方が存在する場合には、ポリペプチドのアミノ末端の隣にプロペプチド領域が配置され、プロペプチド領域のアミノ末端の隣にシグナルペプチド領域が配置される。
【0227】
また、宿主細胞の生育との関連において、変異プロテアーゼ変異体の発現調節を可能にする調節配列を付与することも望ましい。調節系の例としては、調節化合物の存在等の化学又は物理刺激に応答して遺伝子の発現を開始又は停止させる系が挙げられる。原核細胞系における調節系としては、lac、tac、及びtrp オペレータ系が挙げられる。酵母においては、例えば ADH2 系又はGAL1 系が使用できる。糸状菌においては、例えば TAKA α−アミラーゼプロモーター、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーター、及びアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモーターを調節配列として使用できる。他の調節配列の例としては、遺伝子の増幅を可能にする系が挙げられる。真核細胞系における斯かる調節配列としては、メトトレキサートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子や、重金属により増幅されるメタロチオネイン遺伝子が挙げられる。これらの場合、変異プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドは、斯かる調節配列に作動式に連結される。
【0228】
発現ベクター
本発明は、本発明の変異プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドと、プロモーターと、転写及び翻訳停止シグナルとを含む組換え発現ベクターにも関する。上述の種々のヌクレオチド及び調節配列を組み合わせ、1又は2以上(数個)の制限部位を含む組換え発現ベクターを構築すれば、前記変異体をコードするポリヌクレオチドを斯かる部位に挿入又は置換することができ、好適である。或いは、前記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクトを、発現に適したベクターに挿入することにより、ポリヌクレオチドを発現させてもよい。発現ベクターを作製する際には、発現に適した調節配列とコーディング配列とが作動式に連結されるように、コーディング配列をベクター内に配置する。
【0229】
組換え発現ベクターは、組換えDNA法に好適に利用でき、且つポリヌクレオチドの発現を生じ得るものであれば、任意のベクター(例えばプラスミド又はウイルス)が使用できる。ベクターの選択は、通常はベクターを導入する宿主細胞と、ベクターとの適合性に依存する。ベクターは線状でも閉環状プラスミドでもよい。
【0230】
ベクターは自己複製ベクター、即ち、染色体外成分として存在し、染色体複製とは独立に複製するベクターであってもよい。例としては、プラスミド、染色体染色体要素、ミニ染色体、又は人工染色体等が挙げられる。斯かるベクターは、自己複製を促進する任意の手段を含んでいてもよい。或いは、ベクターは、宿主細胞内に導入されるとゲノム内に組み込まれ、統合された染色体と一緒に複製されるものであってもよい。なお、宿主細胞のゲノムに導入されるDNA群は、単一のベクター又はプラスミドが含んでいてもよく、或いは2以上のベクター又はプラスミドが共同で含んでいてもよい。
【0231】
本発明のベクターは、形質転換、トランスフェクション、形質導入等を生じた細胞の選択を容易にする、1又は2以上(数個)の選択マーカーを含むことが好ましい。選択マーカーは、殺生物剤、ウイルス耐性、重金属耐性、原栄養又は栄養要求性等を付与する物質を産生する遺伝子である。
【0232】
酵母宿主細胞に適したマーカーとしては、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3 が挙げられる。糸状菌宿主細胞に使用される選択マーカーとしては、これらに限定されるものではないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチン カルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、並びにこれらの同等物が挙げられる。アスペルギルス(Aspergillus)細胞での使用には、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)又はアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)の amdS 及び pyrG 遺伝子、並びにストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)の bar 遺伝子が好適である。
【0233】
本発明のベクターは、ベクターの宿主細胞ゲノムへの組み込み、又は、細胞内におけるゲノムとは独立したベクターの自律的な複製を可能にする(1又は2以上の)要素を含むことが好ましい。
【0234】
宿主細胞ゲノムへの組み込みの場合、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、或いはベクターのその他の要素に基づく相同又は非相同組換えにより、ゲノムへの組み込みを生じさせてもよい。或いは、宿主細胞ゲノムの(1又は2以上の)染色体内の(1又は2以上の)正確な位置に対して、相同組換えによるベクターの組み込みを生じさせるような更なるヌクレオチド配列を、ベクターが含んでいてもよい。正確な位置に組み込まれる確率を高めるべく、組み込み要素は、相同組換えの可能性を高めるよう、対応する標的配列と高い同一性を有する十分な数の核酸(例えば100〜10,000塩基対、好ましくは400〜10,000塩基対、最も好ましくは800〜10,000塩基対)を有することが好ましい。斯かる組み込み要素は、宿主細胞のゲノムの標的配列に相同な配列であれば、任意の配列でよい。更に、斯かる組み込み要素は、非コーディング配列でもコーディング配列ヌクレオチド配列でもよい。一方、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞ゲノムに組み込まれてもよい。
【0235】
自律的な複製の場合、ベクターは更に、所期の宿主細胞内でのベクターの自律的な複製を可能にする複製起点を含んでいてもよい。複製起点としては、自律的複製を生じさせるプラスミド複製子であって、細胞内で機能し得る任意の配列が挙げられる。本明細書において「複製起点」(origin of replication)又は「プラスミド複製子」(plasmid replicator)とは、プラスミド又はベクターのインビボでの複製を可能にするヌクレオチド配列として定義される。
【0236】
酵母宿主細胞に使用される複製起点の例としては、2ミクロン複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組み合わせ、及び、ARS4とCEN6との組み合わせが挙げられる。
【0237】
糸状菌細胞において有用な複製起点の例としては、AMA1 及び ANS1 が挙げられる(Gems et al., 1991, Gene 98:61-67;Cullen et al., 1987, Nucleic Acids Research 15:9163-9175;国際公開第00/24883号)。AMA1 遺伝子の単離、及び、当該遺伝子を含むプラスミド又はベクターの構築は、国際公開第00/24883号に開示の手法により達成することができる。
【0238】
本発明のポリヌクレオチドを2コピー以上、宿主細胞に挿入することにより、プロテアーゼ変異体の産生を増進してもよい。ポリヌクレオチドのコピー数の増大は、前記配列の少なくとも1つの更なるコピーを宿主細胞ゲノム内に組み込むことにより、或いは、増幅可能な選択マーカー遺伝子をポリヌクレオチド内に含め、適切な選択物質の存在下で細胞を培養した場合に、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、更には前記ポリヌクレオチドの更なるコピーを含む細胞が選択できるようにすることにより達成される。
【0239】
実質的に純粋なプロテアーゼ変異体を得るべく、上述の要素を連結して本発明の組換え発現ベクターを構築する手法は、当業者には周知である(例えば Sambrook et al., 1989(同上)参照)。
【0240】
宿主細胞
本発明は、変異プロテアーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、当該変異体の組換え産生に有利に使用される組換え宿主細胞にも関する。本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞に導入し、ベクターが上述の染色体組み込み体として、或いは自己複製染色体外ベクターとして維持されるようにする。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子及びその起源に大きく依存する。
【0241】
宿主細胞としては、変異プロテアーゼ変異体の組換え産生に有用な任意の細胞が挙げられる。宿主細胞は真核細胞、例えば哺乳類、虫、植物、又は真菌の細胞であってもよい。
【0242】
一側面によれば、宿主細胞は真菌細胞である。本明細書において「真菌」(fungi)とは、子嚢菌(Ascomycota)門、担子菌(Basidiomycota)門、ツボカビ(Chytridiomycota)門、及び接合菌(Zygomycota)門を含む(Hawksworth et al., In, Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UK の定義による)とともに、卵菌類(Oomycota)(Hawksworth et al., 1995(同上)171頁に言及あり)及び全ての分生子形成菌(Hawksworth et al., 1995(同上))をも含む。
【0243】
別の側面によれば、真菌宿主細胞は酵母細胞である。本明細書において「酵母」(yeast)とは、有子嚢胞子酵母(Endomycetales)、担子胞子形成酵母、及び不完全菌に属する酵母(Blastomycetes)を含む。酵母の分類は今後変更される可能性があるが、本発明の目的においては、酵母はBiology and Activities of Yeast(Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980)に記載の定義に従うものとする。
【0244】
別の側面によれば、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウイア(Yarrowia)細胞である。
【0245】
別の側面によれば、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。別の側面によれば、酵母宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)細胞である。別の側面によれば、酵母宿主細胞は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0246】
別の側面によれば、真菌宿主細胞は、糸状菌細胞である。「糸状菌」は(Hawksworth et al., 1995(同上)に定義のとおり)全ての真菌亜門(Eumycota)及び卵菌亜門(Oomycota)の線状体を含む。糸状菌は通常、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、及び他の複合多糖類からなる菌糸壁を特徴とする。栄養増殖は菌糸伸長により、炭素代謝は偏性好気性である。対して酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)による栄養増殖は、単細胞性葉状体の出芽により、炭素代謝は醗酵でも可能である。
【0247】
別の側面によれば、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ブイェルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、フレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プレウロタス(Pleurotus)、スキゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、テルモアスカス(Thermoascus)、ティエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)、又はトリコデルマ(Trichoderma)細胞である。
【0248】
別の側面によれば、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)細胞である。別の側面によれば、糸状菌宿主細胞は、フザリウム・バクトリディオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium グラムinearum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium グラムinum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネガンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクララム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブキナム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコキロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロサム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、又はフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)細胞である。別の側面によれば、糸状菌宿主細胞は、ブイェルカンデラ・アジュスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレジエナ(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ジルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロザ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・ケラチノフィラム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・トロピカム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・パニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クィーンズランディカム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・ゾナタム(Chrysosporium zonatum)、コプリナス・シネレウス(Coprinus cinereus)、コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアタ(Phlebia radiata)、プレウロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロール(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
【0249】
真菌細胞は、公知の手法により、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、及び細胞壁の再生を含むプロセスにより形質転換してもよい。アスペルギウス(Aspergillus)及びトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞の形質転換に適した手法は、欧州特許第238023号及び Yelton et al., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81:1470-1474 に記載されている。フサリウム(Fusarium)属の形質転換に適した手法は、Malardier et al., 1989, Gene 78:147-156、及び国際公開第96/00787号に記載されている。酵母は、例えばBecker and Guarente, In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York;Ito et al., 1983, Journal of Bacteriology 153:163;及び Hinnen et al., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1920 に記載の手法により形質転換される。
【0250】
サブチラーゼ変異体を製造する方法
本発明は、本発明に係る単離酵素を製造する方法を提供する。この手法によれば、酵素をコードするDNA配列で形質転換された適切な宿主細胞を、酵素の産生を可能とする条件下で培養し、得られた酵素を培養物から回収する。
【0251】
酵素をコードするDNA配列を含む発現ベクターを異種宿主細胞に形質転換すれば、本発明の酵素の異種組換え産生が可能となる。これにより、同種の不純物を含まない、高度に精製されたサブチラーゼ組成物を産生することが可能となる。
【0252】
形質転換宿主細胞を培養するのに使用される培地としては、対象となる宿主細胞の成育に適した培地であれば、従来の任意の培地を使用できる。発現されたサブチラーゼは培地に分泌されるのが好適であり、周知の手法、例えば遠心分離又は濾過による培地からの細胞の分離や、硫酸アンモニウム等の塩を用いた培地中のタンパク質成分の沈殿等を用いて培地から回収した後、イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法に供してもよい。
【0253】
清浄及び洗剤組成物
本発明の酵素を洗剤組成物に添加してもよい。すなわち、本発明の酵素を洗剤組成物の構成要素としてもよい。清浄及び洗剤組成物については当業界では概して詳しく報告されているとおりであるが、適切な清浄及び洗剤組成物の更なる説明については、国際公開第96/34946号;国際公開第97/07202号;国際公開第95/30011号を参照のこと。
【0254】
本発明の洗剤組成物は、例えば手洗い用又は洗濯機用洗剤組成物として、例えば汚れた布地の前処理に適した洗濯用添加剤組成物や、リンスを添加した柔軟剤組成物として調製することができる。また、家事全般における硬表面清浄作業用の洗剤組成物として、又は手洗い又は食器洗い機用に調製することができる。
【0255】
特定の形態によれば、本発明は、本発明の酵素を含む洗剤添加剤を提供する。洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は2以上の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼ、及び/又はペルオキシダーゼ等を含んでいてもよい。
【0256】
一般に、選択される酵素の特性は、選択される洗剤と適合性を有すべきであり(即ち最適pH、他の酵素系及び非酵素系成分との適合性等)、また、酵素は有効量で存在すべきである。
【0257】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼとしては、動物由来、植物由来又は微生物由来のものが挙げられる。微生物由来のものが好ましい。化学修飾された変異体や、タンパク質工学により操作された変異体も含まれる。プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼが挙げられるが、アルカリ性微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼが好ましい。アルカリ性プロテアーゼの例としては、サブチリシン、特にバシラス(Bacillus)由来のもの、例えば、サブチリシンNovo、サブチリシンCarlsberg、サブチリシン309、サブチリシン147及びサブチリシン168(国際公開第89/06279号に記載)が挙げられる。トリプシン様プロテアーゼの例としては、トリプシン(例えば豚又は牛由来のもの)、及び、国際公開第89/06270号及び国際公開第94/25583号に記載のフサリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。
【0258】
有用なプロテアーゼの例としては、国際公開第92/19729号、国際公開第98/20115号、国際公開第98/20116号、及び国際公開第98/34946号に記載の変異体、特に位置27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235及び274のうち1又は2以上の位置に置換を有する変異体が挙げられる。
【0259】
好ましい市販のプロテアーゼ酵素としては、ドゥラジム(Durazym)(登録商標)、リラーゼ(Relase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、サビナーゼ(登録商標)、プリマーゼ(Primase)(登録商標)、ドゥララーゼ(Duralase)(登録商標)、エスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、オボザイム(Ovozyme)(登録商標)及びカンナーゼ(Kannase)(登録商標)(Novozymes A/S)、マキサターゼ(Maxatase)(登録商標)、マキサセル(Maxacal)(登録商標)、マキサペム(Maxapem)(登録商標)、プロペラーゼ(Properase)(登録商標)、プラフェクト(Purafect)(登録商標)、プラフェクトOxP(Purafect OxP)(登録商標)、FN2(登録商標)、FN3(登録商標)及び FN4(登録商標)(Genencor International、Inc.)が挙げられる。
【0260】
リパーゼ:適切なリパーゼとしては、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学修飾された変異体や、タンパク質工学により操作された変異体も含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコラ(Humicola)(別名テルモミセス(Thermomyces))由来のリパーゼ、例えばH.ラヌギノザ(H. lanuginosa)(T.ラヌギノザ(T. lanuginosus))由来のもの(欧州特許出願第258 068号及び欧州特許出願第305 216号に記載)、又はH.イソレンス(H. insolens)由来のもの(国際公開第96/13580号に記載)、フュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、例えばP.アルカリ(P. alcali)遺伝子又はP.フュードアルカリ(P. pseudoalcali)遺伝子(欧州特許出願第218 272号)、P.セパシア(P. cepacia)(欧州特許出願第331 376号)、P.スツツゼリ(P. stutzeri)(英国特許出願第1,372,034号)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)、フュードモナス株(Pseudomonas sp. strain)SD705(国際公開第95/06720号及び国際公開第96/27002号)、P.ウィスコンシネンシス(P. wisconsinensis)(国際公開第 号 96/12012)、バチラス(Bacillus)リパーゼ、例えばB.サブチリス(B. subtilis)由来のもの(Dartois et al. (1993), (Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B.ステアロテルモフィラス(B. stearothermophilus)(特開昭64−744992)又はB.プミラス(B. pumilus)由来のもの(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0261】
他の例としては、例えば国際公開第92/05249号、国際公開第94/01541号、欧州特許出願第407 225号、欧州特許出願第260 105号、国際公開第95/35381号、国際公開第96/00292号、国際公開第95/30744号、国際公開第94/25578号、国際公開第95/14783号、国際公開第95/22615号、国際公開第97/04079号及び国際公開第97/07202号に記載のリパーゼ変異体が挙げられる。
【0262】
好ましい市販のリパーゼ酵素としては、リペックス(Lipex)(登録商標)、リポラーゼ(Lipolase)(登録商標)及びリポラーゼウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0263】
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(α及び/又はβ)としては、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学修飾された変異体や、タンパク質工学により操作された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、バチラス(Bacillus)から得られるα−アミラーゼ、例えばB.リケニフォルミス(B. licheniformis)の特別株由来のものが挙げられる。詳細は英国特許出願第1,296,839号に記載されている。
【0264】
有用なアミラーゼの例としては、国際公開第94/02597号、国際公開第94/18314号、国際公開第96/23873号、及び国際公開第97/43424号に記載の変異体、特に位置15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408、及び444のうち1又は2以上の位置に置換を有する変異体が挙げられる。
【0265】
市販のアミラーゼとしては、ドゥラミル(Duramyl)(登録商標)、テルマミル(Termamyl)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S)、ラピダーゼ(Rapidase)(登録商標)及びピュラスター(Purastar)(登録商標)(Genencor International Inc.)が挙げられる。
【0266】
セルラーゼ:適切なセルラーゼとしては、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学修飾された変異体や、タンパク質工学により操作された変異体も含まれる。適切なセルラーゼとしては、バシラス(Bacillus)属、フュードモナス(Pseudomonas)属、フミコラ(Humicola)属、フサリウム(Fusarium)属、チエラビア(Thielavia)属、アクレモニウム(Acremonium)属由来のセルラーゼ、例えばフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフィソラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)及びフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)由来の真菌セルラーゼ(米国特許第4,435,307号、米国特許第5,648,263号、米国特許第5,691,178号、米国特許第5,776,757号及び国際公開第89/09259号に開示)が挙げられる。
【0267】
特に適切なセルラーゼは、色彩上の利点を有するアルカリ性又は中性のセルラーゼである。斯かるセルラーゼの例としては、欧州特許出願第0 495 257号、欧州特許出願第0 531 372号、国際公開第96/11262号、国際公開第96/29397号、国際公開第98/08940号に記載のセルラーゼが挙げられる。他のセルラーゼ変異体の例としては、例えば国際公開第94/07998号、欧州特許出願第0 531 315号、米国特許第5,457,046号、米国特許第5,686,593号、米国特許第5,763,254号、国際公開第95/24471号、国際公開第98/12307号及び国際出願PCT/DK98/00299号に記載のものが挙げられる。
【0268】
市販のセルラーゼとしては、セルザイム(Celluzyme)(登録商標)及びケアザイム(Carezyme)(登録商標)(Novozymes A/S)、クラジナーゼ(Clazinase)(登録商標)及びピュラダックスHA(Puradax HA)(登録商標)(Genencor International Inc.)、並びにKAC-500(B)(登録商標)(Kao Corporation)が挙げられる。
【0269】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、植物、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学修飾された変異体や、タンパク質工学により操作された変異体も含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、コプリナス(Coprinus)由来、例えばC.シネレウス(C. cinereus)由来のペルオキシダーゼ、及びその変異体(国際公開第93/24618号、国際公開第95/10602号、及び国際公開第98/15257号に記載)が挙げられる。市販の ペルオキシダーゼとしては、ガードザイム(Guardzyme)(登録商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0270】
洗剤酵素を洗剤組成物に含めるには、1又は2以上の酵素を含む個別の添加剤を加えてもよく、これら全ての酵素を含む組み合わせ添加剤を加えてもよい。本発明の洗剤添加剤、即ち個別の添加剤又は組み合わせ添加剤は、例えば粉末、液体、スラリー等として調製することができる。好ましい洗剤添加剤処方は、顆粒、特に非粉化顆粒、液体、特に安定化した液体、又はスラリーである。
【0271】
非粉化顆粒は、例えば米国特許第4,106,991号及び同第4,661,452号に開示の方法によって調製することができる。周知の方法により被覆してもよい。ワックス被覆材料の例としては、平均モル重量1000〜20000のポリ(エチレンオキシド)製品(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェノール;アルコール部分が12〜20の炭素原子を含み、15〜80のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドが挙げられる。流動床法による適用に適した膜形成被覆材料の例は、英国特許出願第1483591号に記載のとおりである。液体酵素調製物を、確立された方法に従い、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール、糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸等を添加することにより安定化してもよい。保護された酵素は、例えば欧州特許出願第238,216号に開示の方法に従い調製することができる。
【0272】
本発明の洗剤組成物は、任意の便宜な形態とすることができる。例としては、棒状、錠剤状、粉末状、顆粒状、ペースト状、液状、粒状又は細粒状の、汎用又は「強力」(heavy-duty)洗浄剤、特に洗濯用洗剤;液状、ゲル状又はペースト状の汎用洗浄剤、特に所謂「強力」(heavy-duty)液剤;液状高級布地用洗剤;手洗い用食器洗い洗剤又は簡易(light duty)食器洗い洗剤、特に泡立ち型のもの;家庭用及び業務用の食器洗浄機用洗浄剤、例えば種々の錠剤状、粒状、液状及び濯ぎ補助型のものが挙げられる。組成物は単位毎の個別包装としてもよい。例としては、当業界に周知のものや、水溶性及び/又は透水性のものが挙げられる。液体洗剤としては、水性のもの、典型的には最大70%の水と0〜30%の有機溶媒を含むものでもよく、非水性のものでもよい。
【0273】
本発明の洗剤組成物は更に、界面活性剤、洗浄助剤(builders)、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、着色剤、漂白増強剤、キレート剤、染料移動剤、付着助剤(deposition aids)、分散剤、更なる酵素、及び酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、光学的光沢剤、光活性化剤、蛍光剤、柔軟材、予調製過酸、ポリマー状分散剤、土壌粘土除去/再付着防止剤(anti-redeposition agents)、充填剤塩、ヒドロトロープ(hydrotropes)、漂白剤、消泡剤、可塑剤、柔軟剤、加水分解性界面活性剤、保存料、抗酸化剤、縮み防止剤、殺菌剤、殺真菌剤、変色防止剤、防腐剤、アルカリ源、溶解剤、担体、処理助剤、顔料、染料、香料、及びpH調整剤、他の酵素、酵素安定化系を含んでいてもよい。
【0274】
すなわち、洗剤組成物は、1又は2以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、非イオン性(半極性含む)、及び/又は、アニオン性、及び/又は、カチオン性、及び/又は、双イオン性、及び/又は、両イオン性、及び/又は、半極性非イオン性、及び/又は、これらの混合の何れでもよい。界面活性剤は通常、洗剤組成物に対して0.1〜60重量%の範囲の量で存在するが、別の実施形態では、約1%〜約50%の量であり、更に別の実施形態では、約5%〜約40%の量である。
【0275】
場合により、洗剤は通常、約1%〜約40%のアニオン性界面活性剤、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩(脂肪アルコール硫酸塩)、アルコールエトキシ硫酸塩、2級アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニルコハク酸、又は石鹸を含む。
【0276】
更なる適切なアニオン性界面活性剤としては、石鹸、及び、スルフェート又はスルホン酸基を含むものが挙げられる。スルホン酸型の界面活性剤の中で考慮されるものとしては、(C9−C13−アルキル)ベンゼンスルホン酸塩及びオレフィンスルホン酸塩が挙げられる。後者は、アルケンスルホン酸塩及びヒドロキシアルカンスルホン酸塩、並びに同ジスルホン酸塩の混合物であると理解される。これは例えば、末端又は内部に二重結合を有するC12−C18モノオレフィンのスルホン酸化により得られる。他に適切なものとしては、(C12−C18)アルカンスルホン酸塩、及び、α−スルホ脂肪酸(エステルスルホン酸塩)のエステル、例えばココナッツ、パーム核又は獣脂の脂肪酸の水素添加物のα−スルホン酸化メチルエステルが挙げられる。MESの鹸化により得られるα−スルホカルボン酸も使用できる。
【0277】
更に適切なアニオン性界面活性剤としては、モノ−、ジ−及びトリ−エステル並びにそれらの混合物を含む、スルホン酸化脂肪酸グリセロールエステルが挙げられる。
【0278】
好適なアルキル(アルケニル)硫酸塩は、例えばココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチル若しくはステアリルアルコール等のC12−C18脂肪アルコール又はC10−C20オキソアルコールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩及びナトリウム塩、又は同鎖長の2級アルコールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩及びナトリウム塩が挙げられる。洗浄技術の観点からは、とりわけ好適なのはC12−C16アルキルスルホン酸塩、C12−C15アルキルスルホン酸塩、特にC14−C15アルキルスルホン酸塩である。適切なアニオン性界面活性剤としては、例えば米国特許第3,234,258号又は米国特許第5,075,041号に従って調製されるアルカン−2,3−ジイルビス(硫酸塩)も挙げられる。
【0279】
他に適切なのは、1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシ化された直鎖又は分岐のC7−C21アルコール硫酸モノエステル、例えば平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)による2−メチル−分岐C9−C11アルコール、又は、1〜4EOによるC12−C18脂肪アルコールが挙げられる。これらは高発泡特性を有するため、通常は洗浄及び清浄組成物に少量、例えば1〜5重量%加えられる。
【0280】
アニオン性界面活性剤は更に、スルホコハク酸とC8−C18脂肪アルコール残基とのジエステル、及び/又は、そのモノエステルの塩、或いはそれらの混合物を含んでいてもよい。とりわけ好ましいのは、脂肪アルコール残基の鎖長分布が小さいスルホコハク酸塩である。また、好ましくはアルキル(アルケニル)鎖内に8〜18C原子を有するアルキル(アルケニル) スルホコハク酸又はその塩を使用することも可能である。
【0281】
考慮に値する他のアニオン性界面活性剤としては、アミノ酸の脂肪酸誘導体、例えばメチルタウリン(タウリド(taurides))及び/又はメチルグリシン(サルコシド(sarcosides))の誘導体である。考慮すべき他のアニオン性界面活性剤は石鹸である。飽和脂肪酸石鹸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸及びベヘン酸の塩、並びに、天然脂肪酸由来の石鹸混合物、例えばココナッツ、パーム核又は獣脂脂肪酸由来のもの。アニオン性界面活性剤(石鹸を含む)は、そのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩の形態で存在していてもよく、有機塩基(例えばモノ−、ジ−又はトリエタノールアミン)との可溶塩の形態で存在してもよい。アニオン性界面活性剤はそのナトリウム又はカリウム塩の形態で存在してもよい。
【0282】
非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化された(好適にはエトキシ化及び/又はプロポキシ化された)1級アルコールであって、8〜18C原子を有し、アルコール1モルに対して平均1〜12モルのエチレンオキシド(EO)及び/又は1〜10モルのプロピレンオキシド(PO)を有するものを用いることが好ましい。とりわけ好ましいのは、C8−C16アルコールアルコキシレート、好適にはエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたC10−C15アルコールアルコキシレート、特にC12−C14アルコールアルコキシレートであって、エトキシ化度が2〜10、又は3〜8、及び/又は、プロポキシ化度が1〜6、又は1.5〜5のものである。アルコール残基は、直鎖であるか、特に2位にメチル分岐鎖を有することが好ましいが、通常のオキソアルコールのように、直鎖とメチル分岐鎖との混合物であってもよい。しかしながら、とりわけ好ましいのは、12〜18のC原子を有する天然由来の直鎖アルコール(例えばココナッツ、パーム及び獣脂脂肪アルコール又はオレイルアルコール等)と、アルコール1モルあり平均2〜8のEOとからなるアルコールエトキシレートである。エトキシ化アルコールとしては、例えば、3EO又は4EOを有するC12−C14アルコール、7EOを有するC9−C11アルコール、3EO、5EO、7EO又は8EOを有するC13−C15アルコール、3EO、5EO又は7EOを有するC12−18アルコール、これらの混合物、例えば3EOを有するC12−C14アルコールと5EOを有するC12−C18アルコールとの混合物が挙げられる。上述のエトキシ化及びプロポキシ化度は統計平均値であって、製品によって整数の場合も小数の場合もある。アルコールエトキシレート及びプロポキシレートは、同族体分布が制限されていることが好ましい(狭い範囲のエトキシレート/プロポキシレート、NRE/NRP)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12超のEOを有する脂肪アルコールエトキシレートを使用してもよい。例としては、14EO、25EO、30EO又は40EOを有する獣脂脂肪アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0283】
他に適切なものとしては、アルコキシル化(エトキシ化及び/又はプロポキシ化)されたアミンであって、1アルキル鎖当たり1〜18のC原子を有し、アミン1モル当たり平均で1〜12モルのエチレンオキシド(EO)及び/又は1〜10モルのプロピレンオキシド(PO)を有する1級及び2級アミンが挙げられる。
【0284】
加えて、更なる非イオン性界面活性剤として、一般式RO(G)のアルキルポリグリコシドも使用できる。式中、Rは、C原子数8〜22、好ましくは12〜18の1級直鎖又はメチル分岐(特に2位メチル分岐鎖)アルキル基であり、記号「G」は、C原子数5又は6のグリコース(単糖)単位である。Gとしてはグルコースが好ましい。重合度xは、グリコース単位の平均数を表し、通常は1〜10の範囲であるが、1.2〜1.4が好ましい。
【0285】
単独の非イオン性界面活性剤として、又は他の非イオン性界面活性剤との組み合わせとして使用可能な、更なる非イオン性界面活性剤の種類としては、アルコキシル化(好ましくはエトキシ化、又は、エトキシ化及びプロポキシ化)脂肪酸アルキルエステル、であって、アルキル鎖が1〜4のC原子を有するもの、特に脂肪酸メチルエステル(例えば特開昭58−217598に記載のもの)が挙げられる。
【0286】
アミンオキシド型の非イオン性界面活性剤、例えばN−(ココアルキル)−N,N−ジメチルアミンオキシド及びN−(獣脂−アルキル)−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシド、並びに脂肪酸アルカノールアミド又はエトキシ化脂肪酸アルカノールアミド型の非イオン性界面活性剤も適切である。
【0287】
より好適な実施形態によれば、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、4級アンモニウム化合物、ヨウ化アルキルピリジニウム、Tween 80、Tween 85、Triton X-100、Brij 56、生物学的界面活性剤、ラムノリピド(rhamnolipid)、サーファクチン(surfactin)、ビスコンシン(visconsin)、又はスルホン酸である。
【0288】
場合により、洗剤は通常、約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニル-フェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(「グルコサミド」)を有していてもよい。
【0289】
ある実施形態によれば、本発明は、布地1グラム当たり、少なくとも1つの界面活性剤の濃度が、0〜500、0.00001〜100、0.0001〜50、0.0001〜40、0.001〜30、0.01〜20、0.1〜15、1〜10ミリグラムである方法に関する。
【0290】
ある実施形態によれば、本発明は、溶液1L当たり、少なくとも1つの界面活性剤の濃度が、0〜50、0.0001〜40、0.001〜30、0.01〜20、0.1〜10、又は1〜5gである方法に関する。
【0291】
洗剤は、0〜65%の洗浄助剤(detergent builder)又は錯化剤(complexing agent)、例えばゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩、例えばMGDA(メチルグリシン二酢酸)、又は代わりにGLDA(L−グルタミン酸、N,N−二酢酸、四ナトリウム塩)を含んでいてもよい。洗剤組成物は、洗浄助剤による補助を受けない(unbuilt)、即ち本質的に洗浄助剤を含まないものであってもよい。
【0292】
洗浄助剤の量は、例えば5%超、10%超、20%超、30%超、40%超又は50%超であり、また、80%未満、65%未満である。食器洗い用洗剤の場合、洗浄助剤の量は通常40〜65%、特に50〜65%である。
【0293】
洗浄助剤としては特に、Ca及びMgと水溶性錯体を形成するキレート剤であってもよい。洗浄助剤とCa++及び/又はMg++とにより形成される錯体の強度は、logK値により(平衡又は安定度定数として、又は所与のpHでの条件安定度定数として)表され、3〜8の範囲、特に5〜8の範囲である。安定度定数は、例えば25℃で、イオン強度0.1Mで測定され、条件安定度定数は、例えば同じ条件で、pH8.5又は9で測定される。
【0294】
洗浄助剤はアミノ基を有していてもよく、例えばアミノカルボキシレート、アミノポリカルボキシレート又はホスフェートであってもよい。1、2又は3つのアミノ基(通常は2級又は3級アミノ基)を含むモノマー分子であってもよく、2、3、4又は5つのカルボキシル基を有していてもよい。適切な洗浄助剤の例としては、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N−二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩、GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−D,L−アスパラギン酸(IDS)及びN−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、及びそれらの塩が挙げられる。
【0295】
洗浄助剤の緩衝能(別名余アルカリ度(reserve alkalinity))は4超であることが好ましい(緩衝定数における酸及び塩の総量を一定とした場合に、1リットルの緩衝溶液のpHを1単位変更するのに必要な強酸の当量数)。
【0296】
洗浄助剤は、例えば国際公開第09/102854号に記載される、環境配慮型の抑制剤(sequesterant)であってもよい。適切な環境配慮型の抑制剤としては、1又は2以上のアミノ酸系抑制剤、コハク酸系抑制剤、クエン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0297】
適切なアミノ酸系化合物の例としては、MGDA(メチルグリシン二酢酸)並びにその塩及び誘導体、GLDA(グルタミン−N,N−二酢酸)並びにその塩及び誘導体が挙げられる。他の適切な洗浄助剤は、米国特許第6426229号に記載されている。特定の適切な洗浄助剤としては、例えば、アスパラギン酸−N−モノ酢酸(ASMA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸−N−モノプロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDA)、N−(2−スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N−(2−スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N−(2−スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N−(2−スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α−アラニン−N,N−二酢酸(α−ALDA)、セリン−N,N−二酢酸(SEDA)、イソセリン−N,N−二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン−N,N−二酢酸(PHDA)、アントラニル酸−N,N−二酢酸(ANDA)、スルファニル酸−N、N−二酢酸(SLDA)、タウリン−N、N−二酢酸(TUDA)及びスルホメチル−N,N−二酢酸(SMDA)、並びにこれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。一側面によれば、GLDA塩及びその誘導体も使用できる。一側面によれば、GLDAの四ナトリウム塩が使用できる。
【0298】
適切な洗浄助剤の更なる例としては、N−(ヒドロキシエチル)−エチリデンジアミントリアセテート(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ジエチレントリアミンン五(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミン四(メチレンホスホン酸)(EDTMPA)及びアミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)が挙げられる。
【0299】
適切なコハク酸化合物の例は、米国特許第5977053号に記載されている。一側面によれば、適切なコハク酸化合物としてイミノコハク酸四ナトリウムが挙げられる。
【0300】
洗浄助剤の分類は、M.K.Nagarajan et al., JAOCS, Vol. 61, no. 9 (September 1984), pp. 1475-1478 に記載の方法により行うことができる。この方法は、濃度0.200%の仮想的な洗剤溶液において、pH10.5における水硬度を200ppm(CaCO換算)から10ppmまで下げるのに必要な洗浄助剤の最低濃度を決定し、仮想的な洗剤中における重量%で表す。或いは、現代の一般的な洗濯用洗剤がより低いpHを有することを反映して、pH8.5で実施してもよい。この方法を何れかのpHで実施した場合に求められるレベルは0〜25%(強)、25〜35%(中)又は>35%(弱)である。より好ましいのは、強及び中の洗浄助剤を含む組成物であり、最も好ましいのは、強程度の洗浄助剤を含む組成物である。
【0301】
洗浄助剤は、強洗浄助剤、例えばメチルグリシン二酢酸(「MGDA」)又はN,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)等であってもよく、中洗浄助剤、例えばナトリウムトリ−ポリリン酸(STPP)等であってもよく、弱洗浄助剤、例えばナトリウムクエン酸塩等であってもよい。より好ましいのは、強及び中の洗浄助剤を含む組成物であり、最も好ましいのは、強程度の洗浄助剤を含む組成物である。他の洗浄助剤の例としては、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンン五酢酸、アルキル又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩及び層状ケイ酸塩(例えば Hoechst 製 SKS-6)等が挙げられる。
【0302】
洗剤は1又は2以上のポリマーを含んでいてもよい。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニル−ピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート、例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー等が挙げられる。
【0303】
洗剤は、漂白系、又は、1又は2以上の漂白剤を含んでいてもよい。これらはH源、例えば過ホウ酸塩又は過カルボン酸塩等を含んでいてもよく、更にはこれらとの組み合わせで、過酸形成漂白活性化剤、例えば四アセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホン酸等を含んでいてもよい。或いは、漂白系は、例えばアミド、イミド、又はスルホン形のペルオキシ酸を含んでいてもよい。更に適切な漂白剤としては、その他の光漂白剤、予調製過酸、過酸化水素源、漂白活性化剤、過酸化水素、漂白触媒、及びこれらの混合物が挙げられる。一般に、漂白剤を使用する場合、本発明の組成物は、清浄組成物に対する重量比で、例えば約0.1%〜約50%、更には約0.1%〜約25%の漂白剤を含有する。
【0304】
洗剤は、他の従来の洗剤成分を含んでいてもよい。例えば、粘土を含む柔軟材、発泡増強剤、消泡剤、防腐剤、汚れ成分懸濁剤、汚れ成分再付着防止剤(anti-soil redeposition agents)、染料、抗細菌剤、光学的光沢剤、ヒドロトロープ(hydrotropes)、変色防止剤、又は香料等が挙げられる。
【0305】
地方や地域によって、例えば水硬度や洗浄温度等の条件にばらつきがあるため、地域用の洗剤組成物も求められる。洗剤例1及び2は夫々、一般的な欧州の自動食器洗浄機(ADW)用洗剤及び一般的な欧州の粉末洗剤の組成範囲である。
【0306】
洗剤例1:一般的な欧州のADW洗剤組成物
【表4】

【0307】
洗剤例2:一般的な欧州の粉末洗剤組成物
【表5】

【0308】
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定化剤及びプロテアーゼ阻害剤により安定化されていてもよい。例としては、ポリオール、例えばプロピレングリコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、異なる塩、例えばNaCl;KCl;乳酸、ギ酸、ホウ酸、又はホウ酸誘導体、例えば芳香族ホウ酸エステル等、又はフェニルホウ酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニルホウ酸、又はペプチドアルデヒド、例えばジ−、トリ−又はテトラペプチドアルデヒド又はアルデヒド類似物(式B1−B0−Rで表されるもの(式中、RはH、CH、CX、CHX、又はCHX(X=ハロゲン)であり、B0は単一のアミノ酸残基(好ましくは、置換されていてもよい脂肪族又は芳香族側鎖を有するもの)であり;B1は1又は2以上(好ましくは1、2又は3つ)のアミノ酸残基からなり、N末端保護基を有していてもよい)、又は、国際公開第09118375号及び国際公開第98/13459号に記載のもの)、又はタンパク質型のプロテアーゼ阻害剤、例えばRASI、BASI、WASI(米、大麦及び小麦由来の二官能型α−アミラーゼ/サブチリシン阻害剤)又は CI2 又は SSI が挙げられる。組成物は、例えば国際公開第92/19709号、国際公開第92/19708号及び米国特許6,472,364号の記載に従って調製される。ある実施形態によれば、本明細書で使用される酵素は、最終的に調製された組成物中において、水溶性の亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオン源の存在により安定化される。これにより、前述のイオンや、その他の他の金属イオン(例えばバリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、錫(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV)等)が酵素に提供される。
【0309】
現時点では、洗剤組成物に対し、任意の単一の酵素、特に本発明の酵素を、例えば洗浄液1リットル当たり酵素タンパク質0.01〜200mg、好ましくは洗浄液1リットル当たり酵素タンパク質0.05〜50mg、特に洗浄液1リットル当たり酵素タンパク質0.1〜10mg加えることが考えられる。
【0310】
通常、本発明の洗剤組成物は、本発明により提供される少なくとも1つの酵素を、例えば、少なくとも0.0001重量%、約0.0001〜約10、約0.001〜約1、又は約0.01〜約0.1、又は約0.05〜約15%、又は約0.05〜約20%、又は約1〜約20%、又は約1〜約15%の濃度で含んでいればよい。好ましい実施形態によれば、本明細書において提供される洗剤組成物は通常、水を用いた清浄操作において、洗浄水のpHが約5.0〜約11.5となるように調製され、別の実施形態によれば、約6.0〜約10.5となるように調製される。好ましい実施形態によれば、粒状又は液状洗濯製品は、pHが約6〜約8となるように調製される。所望の使用レベルとなるようにpHを調整する手法としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられ、当業者には周知である。
【0311】
更に、本発明の酵素を、国際公開第97/07202号に開示の洗剤処方に配合してもよい。本公報は引用により本明細書に組み込まれる。
【0312】
材料及び方法
プロテアーゼ変異体活性の決定方法
【0313】
布地:
標準布片はEMPA St. Gallen, Lerchfeldstrasse 5, CH-9014 St.Gallen, Switzerlandから入手される。特にタイプEMPA117(血液、ミルク及びインク汚れ付着ポリエステル/綿布地)。標準布片はCenter For Testmaterials BV, P.O. Box 120, 3133 KT Vlaardingen, the Netherlandsから入手される。特にタイプC-10(オイル/ミルク/色素汚れ付着綿)及びPC-03(チョコレートミルク/すす汚れ付着ポリエステル/綿布地)。
【0314】
メラミンタイル:
標準的なメラミンタイルはCenter For Testmaterials BV, P.O. Box 120, 3133 KT Vlaardingen(オランダ)から入手される。特にタイプDM-21(卵黄)。
【0315】
菌種及びプラスミド:
バシラス・レンタス(Bacillus lentus)株309はNCIBに寄託され、受託番号NCIB10309を受けているもので、米国特許第3,723,250号に記載されている。本公報は引用により本明細書に組み込まれる。親サブチラーゼ309又はサビナーゼ(登録商標)は、株309から取得される。発現宿主生物はバシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)である。
【0316】
プラスミドpSX222を、大腸菌(E. coli)−バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)シャトルベクター及びバシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)発現ベクターとして使用する(国際公開第96/34946号に記載のとおり)。
【0317】
一般的な分子生物学的手法:
別途記載しない限り、DNA操作及び形質転換は、分子生物学の標準的な手法を用いて行う(Sambrook et al. (1989) Molecular cloning:A laboratory manual, Cold Spring Harbor lab., Cold Spring Harbor, NY;Ausubel, F. M. et al. (eds.) "Current protocols in Molecular Biology". John Wiley and Sons, 1995; Harwood, C. R., and Cutting, S. M. (eds.) "Molecular Biological Methods for Bacillus". John Wiley and Sons, 1990)。
【0318】
DNA操作のための酵素:
別途記載しない限り、DNA操作のための酵素(例えば制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼ等)は全て、New England Biolabs, Inc. から入手する。DNA操作用の酵素は、サプライヤーの説明書に従って使用する。
【0319】
醗酵:
サブチラーゼ酵素の産生のための醗酵は、50ml試験管内に15mlの二重TY培地(double TY media)を入れて、pH7.3、37℃で、回転振盪台を用いて225rpmで2〜3日かけて行う。
【0320】
TY培地の説明については、"Current protocols in Molecular Biology". John Wiley and Sons, 1995; Harwood, C. R., and Cutting, S. M. (eds.) の1.1.3「Media Preparation and Bacteriological Tools」の欄を参照のこと。
【0321】
精製:
宿主細胞から分泌されるサブチラーゼ変異体は、周知の手法により培地から好適に回収できる。例としては、遠心分離又は濾過により細胞を培地から分離し、又は、例えば硫酸アンモニウム等の塩を用いて培地中のタンパク質成分を沈殿させた後、イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法にかける手法が挙げられる。
【0322】
触媒活性
本発明の変異体の触媒活性は、例えば以下の「Kinetic Suc AAPF-pNA」アッセイを用いて決定することができる。
pNA基質:Suc-AAPF-pNA(Bachem L-1400)。
温度:室温。
アッセイ緩衝剤:50mM Tris/HCl、1mM CaCl、pH9.0。
【0323】
20mlプロテアーゼ(0.01% Triton X-100で希釈)を100mlのアッセイ緩衝剤と混合する。100mlのpNA基質(50mgを1.0mlのDMSOに溶解させ、更に0.01%の Triton X-100 で45倍に希釈する)を加えてアッセイを開始する。OD405の増加をモニターし、プロテアーゼ活性の指標とする。
【0324】
洗浄性能試験:
選択されたサブチラーゼ変異体の洗剤組成物中における洗浄性能を調べるには、洗浄実験を実施する。本発明の酵素変異体は自動機械負荷アッセイ(Automated Machine Stress Assay:AMSA)で試験する。AMSA試験により、少量の酵素洗剤溶液の洗浄性能を、多数調べることが可能になる。詳細は実施例3を参照のこと。
【0325】
洗剤:
本発明のサブチラーゼ酵素の洗浄性能試験のための洗剤は、完成品である市販の洗剤を市場で購入し、熱処理(水溶液中85℃で5分間)によって酵素成分を不活性化することにより、得ることができる。また、酵素を含まない市販の洗剤基材を製造者から直接購入することも可能である。更には、本明細書の記載に従い、適切なモデル洗剤を調製し、洗浄性能試験に使用してもよい。
【実施例】
【0326】
実施例1
酵素変異体の構築及び発現:
本発明の変異体は、当業者に周知の手法で構築し、発現させることが可能である。下記は本発明に係る変異体の作製法の例である。
【0327】
部位特異的突然変異誘発法:
特定の挿入/欠失/置換を含む本発明のサブチリシン309(サビナーゼ(登録商標))の位置特異的変異体は、所望の突然変異を含むオリゴを用いたPCRで作製したDNA断片を従来法でクローニングすることにより作製される(Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor, 1989)。
【0328】
テンプレートプラスミドDNAとしてはpSX222、又はサブチリシン309変異体を含有するその類似体が使用し得る。オリゴを用いた突然変異誘発法によって、変異体のコンストラクトに突然変異を導入する。
【0329】
サブチリシン309変異体を大腸菌(E. coli)に形質転換する。斯かる形質転換体の一晩培養物から精製されたDNAを、制限エンドヌクレアーゼ消化、DNA断片の精製、連結、B.サブチリス(B. subtilis)の形質転換という手順により、B.サブチリス(B. subtilis)に形質転換する。B.サブチリス(B. subtilis)の形質転換は、Dubnau et al., 1971, J. Mol. Biol. 56, pp. 209-221 に記載の手法で実施する。
【0330】
特定の領域に突然変異を導入するための部位特異的突然変異誘発法:
変異原性プライマー(オリゴヌクレオチド)は、突然変異部位の側位に存在し、挿入/欠失/置換を定義するDNA塩基対により分離されるDNA配列に対応するように合成する。
【0331】
続いて、得られた変異原性プライマーを用いて、修飾されたプラスミドpSX222のPCR反応を実施する。得られたPCR断片を精製し、第2のPCR反応により伸長し、得られたPCR産物を精製し、第3のPCR反応により伸長した後、エンドヌクレアーゼで消化し、大腸菌(E. coli)−B.サブチリス(B. subtilis)シャトルベクターpSX222にクローン化する。PCR反応は通常の条件下で実施する。プラスミドDNAは常法により大腸菌(E. coli)に形質転換し、大腸菌(E. coli)コロニーの一つの配列を決定して計画通りの突然変異が生じていることを確認する。
【0332】
本発明のサブチラーゼ変異体を精製するために、本発明の変異体を含むpSX222発現プラスミドをコンピテントなB.サブチリス(B. subtilis)株に形質転換し、上述の手法で醗酵した。
【0333】
実施例2
酵素の精製及び濃度測定:
醗酵後、サブチリシン変異体の精製は、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(Hydrophobic Charge Induction Chromatography:HCIC)及びそれに続く真空濾過により行う。
【0334】
酵素を捕捉するために、HCICには、4−メルカプト−エチル−ピリジン(4−MEP)を結合したセルロースマトリックスを使用する。
【0335】
80〜100μmサイズのセルロースマトリックスのビーズを、酵母エキス及びサブチリシン変異体分泌能を有する形質転換B.サブチリス(B. subtilis)を含む培地と混合し、Unifilter(登録商標)マイクロプレート中、pH9.5でインキュベートする。
【0336】
4−MEPはpH>7で疎水性であり、サブチリシン変異体はpH9.5で疎水性であるので、分泌された酵素とビーズ上の4−MEPとの間に疎水性会合が形成される。インキュベーション後、培地及び細胞残屑を真空濾過で除去し、ビーズ及び酵素をフィルター上に回収する。
【0337】
酵素をビーズから溶出させるために、フィルターを溶出緩衝液(pH5)で洗浄してpHを低下させる。こうしてビーズから離れた酵素を、緩衝液から回収することができる。
【0338】
精製されたサブチリシン酵素変異体の濃度を、活性部位滴定(active site titration:AST)により決定する。
【0339】
精製された酵素を、様々な量の活性部位を阻害する異なる濃度の高親和性阻害剤CI−2Aとともにインキュベートする。プロテアーゼと阻害剤とは1:1の比率で互いに結合するので、酵素濃度は全プロテアーゼを不活性化する阻害剤濃度と直接関係することになる。残存プロテアーゼ活性の測定は、阻害剤とのインキュベーション後に基質(Tris/HCl緩衝液中0.6mM Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−pNA)を加え、続く4分間の間に生じる分解産物pNA(パラニトロフェノール)を、Elisa Readerを用いて405nmで周期的に測定することにより行う。
【0340】
実施例3
本発明の変異体の硬表面に対する洗浄性能をAMSAで評価した。方法及び結果を以下に示す。
【0341】
硬表面に対するサブチリシン変異体の洗浄性能:
AMSA試験法の説明:
食器洗い用洗剤組成物、即ちMGDA添加ADWモデル洗剤及びSTPP添加ADWモデル洗剤中における、選択されたプロテアーゼ変異体の洗浄性能を評価するために洗浄実験を実施する。自動機械負荷分析(Automated Mechanical Stress Assay:AMSA)を用いて本発明のプロテアーゼを試験する。AMSAによれば、少量ずつ多数の酵素洗剤溶液の洗浄性能を調べることができる。AMSAプレートは、試験溶液用の多数のスロットと、食器洗いサンプル、即ち洗浄対象のメラミンタイルを、スロットの全開口部に対して硬く締め付けるリッドとを有する。洗浄期間の間、プレート、試験溶液、メラミンタイル及びリッドを烈しく振盪し、試験溶液を汚れたメラミンタイルに接触させると共に、定期的且つ周期的な振動による機械的応力を印加する。更なる説明については、国際公開第02/42740号、特に23〜24頁の「Special Method Examples」のパラグラフを参照のこと。
【0342】
実験は以下に示す実験条件下で行った。
【表6】

【0343】
【表7】

【0344】
異なる変異体についてのADW試験の結果を以下に示す。結果中、インデックスは1である。サビナーゼの性能試験を1の値とし、変異体の結果をこの値と比較する。
【0345】
【表8】

【0346】
【表9】

【0347】
これらの結果は、本発明の変異体が、タンパク質性よごれ、例えばゆで卵による汚れに対して、有効に作用することを示している。
【0348】
更なるサブチリシン変異体の硬表面に対する洗浄性能
本発明の更なる変異体についても、硬表面に対する洗浄性能を、AMSAにより、上述と同様の条件下で評価した。
【0349】
【表10】

【0350】
【表11】

【0351】
これらの結果は、本発明の変異体が、タンパク質性よごれ、例えばゆで卵による汚れに対して、有効に作用することを示している。
【0352】
布地に対するサブチリシン変異体の洗浄性能
市販の洗剤基材組成物中における選択されたサブチラーゼ変異体の洗浄性能を評価するべく、洗浄実験を実施した。本発明の酵素変異体を、自動機械負荷分析(AMSA)を用いて試験した。AMSAによれば、少量ずつ多数の酵素洗剤溶液の洗浄性能を調べることができる。AMSAプレートは、試験溶液用の多数のスロットと、食器洗いサンプル、即ち洗浄対象のメラミンタイルを、スロットの全開口部に対して硬く締め付けるリッドとを有する。洗浄期間の間、プレート、試験溶液、メラミンタイル及びリッドを烈しく振盪し、試験溶液を前記布地に接触させ、機械的応力を印加する。
【0353】
AMSA試験法の説明:
食器洗い用洗剤組成物、即ちMGDA添加ADWモデル洗剤及びSTPP添加ADWモデル洗剤中における、選択されたプロテアーゼ変異体の洗浄性能を評価するために洗浄実験を実施する。自動機械負荷分析(Automated Mechanical Stress Assay:AMSA)を用いて本発明のプロテアーゼを試験する。AMSAによれば、少量ずつ多数の酵素洗剤溶液の洗浄性能を調べることができる。AMSAプレートは、試験溶液用の多数のスロットと、食器洗いサンプル、即ち洗浄対象のメラミンタイルを、スロットの全開口部に対して硬く締め付けるリッドとを有する。洗浄期間の間、プレート、試験溶液、メラミンタイル及びリッドを烈しく振盪し、試験溶液を前記布地に接触させると共に、定期的且つ周期的な振動による機械的応力を印加する。更なる説明については、国際公開第02/42740号、特に23〜24頁の「Special Method Examples」のパラグラフを参照のこと。
【0354】
実験は以下に詳述する実験条件下で行った。
【表12】

【0355】
試験系にCaCl、MgCl及びNaHCO(Ca2+:Mg2+=4:1:7.5)を加えて、水硬度を15°dHに調節した。洗浄後、布地を水道水で漱ぎ、乾燥した。
【0356】
酵素変異体の性能は、個々のプロテアーゼにより洗浄された布地の色の明度として測定する。明度は、白色光照射時の光の反射強度として表すこともできる。汚れた試料からの反射光強度は、きれいな試料からの反射光強度よりも低い。よって、反射光強度を用いて、プロテアーゼの洗浄性能を測定することができる。
【0357】
測色は、専用フラットベッドスキャナー(Kodak iQsmart、Kodak、Midtager 29、DK-2605 Brandby、Denmark)を用い、洗浄された布地を撮像して行う。
【0358】
スキャン撮像からの光強度値の抽出は、例えば、特別設計のソフトウェアアプリケーション(Novozymes Color Vector Analyzer)を使用し、画像からの24ビットピクセル値を、赤、緑及び青(RGB)値に転換して行う。強度値(Int)の算出は、RGB値をベクトルとして加算し、得られたベクトルの長さを求めることにより行う。
【数1】

【0359】
布地
C-10及びPC-03は、Center For Testmaterials BV, P.O. Box 120, 3133 KT Vlaardingen, Netherlandsから入手し、EMPA117は、EMPA Testmaterials AG Movenstrasse 12, CH-9015 St. Gallen, Switzerlandから入手する。
【0360】
種々の変異体のAMSA洗濯試験の結果を以下に示す。サビナーゼの性能結果を1の値とし、変異体の結果をこの値と比較する。
【表13】

【0361】
種々の変異体のAMSA洗濯試験の更なる結果を以下に示す。親(即ち置換N218D不含有)の性能結果を1の値とし、変異体の結果をこの値と比較する。
【表14】

【0362】
結果は、本発明の変異体が、親と比較して、洗濯布地における高められた洗浄性能を有することを明白に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換9{R,K,H}、15{G,A,S,T,M}、68{G,A,S,T,M}、218{D,S,G,V}及び245{R,K,H}を含む、親サブチリシンの変異体であって、
変異体が更に、修飾61{D,E}、62{D,E}、76{D,E}、*97aG、98{G,S}、99G、101G、120{V,Q,D}、131{T,S}、137H、194P、228V、230V及び261Dのうち少なくとも1つを含み、
前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する、変異体。
【請求項2】
変異体が置換G61Eを含む、請求項1に記載の変異体。
【請求項3】
変異体が置換A98Sを含む、請求項1又は2に記載の変異体。
【請求項4】
変異体が置換S99Gを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の変異体。変異体が置換S9R、A15T、G61E、V68A、A98S、S99G、N218D及びQ245Rを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の変異体。
【請求項5】
親サブチリシンが、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項1〜4の何れか一項に記載の変異体。
【請求項6】
親サブチリシンがサブグループI−S2に属する、請求項1〜5の何れか一項に記載の変異体。
【請求項7】
変異体が、親サブチリシンと比較して改善された1又は2以上の特性を有し、
改善された特性が、洗浄性能、安定性、触媒活性及び食器洗い性能を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の変異体。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の変異体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクト。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸コンストラクトを含む発現ベクター。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸コンストラクトを含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項1〜8の何れか一項に記載の変異体を含む清浄又は洗剤組成物、好ましくは洗濯又は食器洗い用組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の変異体を作製する方法であって、
親サブチリシンに対して、以下の置換:
i)位置9の{R,K,H}による置換、
ii)位置15の{G,A,S,T,M}による置換、
iii)位置68の{G,A,S,T,M}による置換、
iv)位置245の{R,K,H}による置換、及び
v)位置218の{D、S、G又はV}による置換、
並びに、以下の修飾のうち1又は2以上:
位置61の{D,E}による置換、
位置62の{D,E}による置換、
位置76の{D,E}による置換、
位置97へのGの挿入、
位置98の{G,S}による置換、
位置99のGによる置換、
位置101のGによる置換、
位置120の{V、Q,D}による置換、
位置131の{T,S}による置換、
位置137のHによる置換、
位置194のPによる置換、
位置228のVによる置換、
位置230のVによる置換、及び、
位置261のDによる置換、
を導入することを含み、
前記位置は配列番号2の成熟ポリペプチド[BPN’]の位置に相当する、方法。
【請求項14】
親サブチリシンに対して、以下の置換:
i)位置9のSのRによる置換、
ii)位置15のAのTによる置換、
iii)位置68のVのAによる置換、
iv)位置245のQのRによる置換、及び
v)位置218のNの{D、S、G又はV}による置換、
並びに、以下の修飾のうち1又は2以上:
位置61のGのEによる置換、
位置62のNのDによる置換、
位置76のNのDによる置換、
位置97へのGの挿入、
位置98のAのSによる置換、
位置99のSのGによる置換、
位置101のSのGによる置換、
位置120のHのDによる置換、
位置131のPのTによる置換、
位置137のQのHによる置換、
位置194のAのPによる置換、
位置228のAのVによる置換、
位置230のAのVによる置換、及び、
位置261のNのDによる置換、
を導入する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
親サブチリシンがI−S2サブグループに属し、
好ましくは、親サブチリシンが、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項13又は14に記載の方法。

【公表番号】特表2013−505711(P2013−505711A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530276(P2012−530276)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064171
【国際公開番号】WO2011/036263
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】