説明

プロピレン系重合体の製造方法

【課題】耐衝撃性、剛性および成型加工性に優れるプロピレン系重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記工程(I)〜(III)からなるプロピレン系重合体の製造方法;
(I)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、下式(i)で表される外部電子供与体と、(ii)で表される外部電子供与体とを接触させて、重合触媒を生成させる工程;
(II)該重合触媒の存在下に、プロピレンを単独重合させて、またはプロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位90重量%以上を含有し、極限粘度[η]1が1.0dl/g以下である重合体成分(1)を生成させる工程;および
(III)重合体成分(1)の存在下に、プロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位10〜90重量%を含有し、極限粘度[η]2が1〜10dl/gであって且つ[η]1の3倍以上である重合体成分(2)を生成させる工程:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前段の重合工程により製造される重合体成分と、後段の重合工程により製造される重合体成分とからなるプロピレン系重合体の製造方法として、例えば、特許文献1には、Si−O結合を有するケイ素化合物の存在下に、Ti−O結合を含有するチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元することにより得られ、その平均粒子径が25ミクロン以上である固体触媒成分前駆体と、ハロゲン化化合物と電子供与体とを接触させて得られる固体触媒成分を使用することが開示されている。また、特許文献2には、アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物を使用する製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−182981号明細書
【特許文献2】特開2006−22208号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロピレン系重合体を射出成形体として用いる場合、成型加工性や剛性は第一工程で製造されるプロピレン系重合体成分の分子量が低いことが好ましく、耐衝撃性は第二工程で製造されるプロピレン系重合体成分の分子量が高いことが好ましい。しかしながら、上記の製造方法は、耐衝撃性、剛性および成型加工性のバランスに優れたプロピレン系重合体を、十分に満足し得る生産性で得られるものではない。
【0005】
本発明の目的は、耐衝撃性、剛性および成型加工性に優れるプロピレン系重合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記工程(I)〜(III)からなるプロピレン系重合体の製造方法の製造方法である:
(I)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、下式(i)で表される外部電子供与体と、(ii)で表される外部電子供与体とを接触させて、重合触媒を生成させる工程;
(II)該重合触媒の存在下に、プロピレンを単独重合させて、またはプロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位90重量%以上を含有し、極限粘度[η]1が1.0dl/g以下である重合体成分(1)を生成させる工程(重合体成分(1)の全量を100重量%とする);および
(III)重合体成分(1)の存在下に、プロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位10〜90重量%を含有し、極限粘度[η]2が1〜10dl/gであって且つ[η]1の3倍以上である重合体成分(2)を生成させる工程(重合体成分(2)の全量を100重量%とする):
1Si(OC (i)
式(i)中、R1は、Siに結合する炭素原子が2級炭素である炭素原子数3〜20のハイドロカルビル基を表す。
Si(OC4−n (ii)
式(ii)中、RはSiに結合する炭素原子が1級炭素である炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、nは0あるいは1の数を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
チタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分は、剛性の高いプロピレン系重合体を効率良く得る観点から、Si−O結合を有するケイ素化合物の存在下において、下式(iii)で表されるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元することにより得られる固体触媒成分前駆体と、ハロゲン含有化合物と、内部電子供与体とを接触させて得られる固体触媒成分であることが好ましい:

式中、Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す;Xはハロゲン原子又は炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基を表し、全てのXは同一であっても異なっていてもよい;aは1〜20の数を表す。
【0008】
固体触媒成分は、公知の固体触媒成分であってもよい。該固体触媒成分として、特公昭46−34092号公報、特公昭47−41676号公報、特公昭55−23561号公報、特公昭57−24361号公報、特公昭52−39431号公報、特公昭52−36786号公報、特公平1−28049号公報、特公平3−43283号公報、特開平4−80044号公報、特開昭55−52309号公報、特開昭58−21405号公報、特開昭61−181807号公報、特開昭63−142008号公報、特開平5−339319号公報、特開昭54−148093号公報、特開平4−227604号公報、特開昭64−6006号公報、特開平6−179720号公報、特公平7−116252号公報、特開平8−134124号公報、特開平9−31119号公報、特開平11−228628号公報、特開平11−80234号公報、特開平11−322833号公報および特開平2004−182981号公報のような特許文献に記載された固体触媒成分を例示することができる。
【0009】
固体触媒成分は好ましくは、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子の他に内部電子供与体を含有する。該内部電子供与体は、好ましくは、後述の有機酸のエステル類もしくはエーテル類である。
【0010】
固体触媒成分の製造方法として、以下(1)〜(5)の公知の方法を例示することができ、中でも方法(5)が好ましく、該方法において更に有機酸ハライドをも接触させる方法が特に好ましい:
(1)ハロゲン化マグネシウム化合物とチタン化合物とを接触させる方法;
(2)ハロゲン化マグネシウム化合物と、内部電子供与体と、チタン化合物とを接触させる方法;
(3)ハロゲン化マグネシウム化合物とチタン化合物とを電子供与性溶媒に溶解させて溶液を得、次いで、該溶液を担体物質に含浸させる方法;
(4)ジアルコキシマグネシウム化合物と、ハロゲン化チタン化合物と、内部電子供与体とを接触させる方法;
(5)マグネシウム原子、チタン原子およびハイドロカルビルオキシ基を含有する固体成分と、ハロゲン含有化合物と、内部電子供与体とを接触させる方法。
【0011】
上式(iii)で表されるチタン化合物として、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、n−ブトキシチタントリクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド、テトラ−n−ブチルチタニウムダイマー、テトラ−n−ブチルチタニウムテトラマー、およびこれら化合物の2種以上の組合せを例示することができる。中でも、好ましくは上式におけるaが1、2または4であるチタン化合物であり、特に好ましくは、テトラ−n−ブトキシチタンである。
【0012】
上記のSi−O結合を有するケイ素化合物として、テトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、テトラiso−プロポキシシラン、ジ(iso−プロポキシ)−ジ(iso−プロピル)シラン、テトラプロポキシシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、テトラブトキシシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジシクロペントキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、シクロヘキシロキシトリメチルシラン、フェノキシトリメチルシラン、テトラフェノキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ヘキサメチルジシロヘキサン、ヘキサエチルジシロヘキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、オクタエチルトリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルヒドロポリシロキサン、およびフェニルヒドロポリシロキサンを例示することができる。
【0013】
上記の有機マグネシウム化合物として、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムクロライド、iso−プロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムクロライド、tert−ブチルマグネシウムクロライド、iso−アミルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、2−エチルヘキシルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド、およびベンジルマグネシウムクロライドを例示することができる。
【0014】
上記のハロゲン含有化合物とはハロゲン化する能力を有する化合物のことである。ハロゲン含有化合物として、テトラハロゲン化チタン(例えば四塩化チタン、四臭化チタンおよび四ヨウ化チタン)、トリハロゲン化アルコキシチタン(例えばメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、フェノキシチタントリクロライド、およびエトキシチタントリブロマイド)、ジハロゲン化ジアルコキシチタンテトラクロロメタン(例えばジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド、ジフェノキシチタンジクロライド、およびジエトキシチタンジブロマイド)、トリクロロメタン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシラン、ノルマルブチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、パラトリルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、モノクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、テトラクロロゲルマン、トリクロロゲルマン、メチルトリクロロゲルマン、エチルトリクロロゲルマン、フェニルトリクロロゲルマン、ジクロロゲルマン、ジメチルジクロロゲルマン、ジエチルジクロロゲルマン、ジフェニルジクロロゲルマン、モノクロロゲルマン、トリメチルクロロゲルマン、トリエチルクロロゲルマン、トリノルマルブチルクロロゲルマン、テトラクロロ錫、メチルトリクロロ錫、ノルマルブチルトリクロロ錫、ジメチルジクロロ錫、ジノルマルブチルジクロロ錫、ジiso−ブチルジクロロ錫、ジフェニルジクロロ錫、ジビニルジクロロ錫、メチルトリクロロ錫、フェニルトリクロロ錫、ジクロロ鉛、メチルクロロ鉛、ならびにフェニルクロロ鉛を例示することができる。
【0015】
上記の内部電子供与体として、フタル酸、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルプロピル、フタル酸ジiso−プロピル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジiso−ブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ジノルマルヘプチル、フタル酸ジiso−ヘプチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルデシル、フタル酸ジiso−デシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル、およびフタル酸ジクロライドのようなフタル酸誘導体;2,2−ジ(iso−ブチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−(iso−ペンチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−ジメチルオクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ(iso−プロピル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−(iso−ブチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−(iso−ペンチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ(iso−プロピル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ノルマルヘプチル−2−(iso−ペンチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−(iso−ブチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(iso−プロピル)−2−(iso−ペンチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ(iso−ブチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ(iso−プロピル)−1,3−ジメトキシプロパン及び2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパンのような1,3−ジエーテル化合物;ならびにジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジiso−プロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジiso−ブチルエーテル、ジn−アミルエーテル、ジiso−アミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−(n−ブチル)エーテル、およびメチルシクロヘキシルエーテルのようなジアルキルエーテル化合物を例示することができる。
【0016】
上記の有機酸ハライドとして、モノおよび多価のカルボン酸ハライドを例示することができ、具体例として脂肪族カルボン酸ハライド、脂環式カルボン酸ハライド、および芳香族カルボン酸ハライドを例示することができる。より具体的な例として、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、塩化ベンゾイル、トルイル酸クロライド、アニス酸クロライド、コハク酸クロライド、マロン酸クロライド、マレイン酸クロライド、イタコン酸クロライド、およびフタル酸クロライドを例示することができる。
【0017】
有機アルミニウム化合物とは、分子内に少なくとも一つのAl−炭素結合を有する化合物のことである。有機アルミニウム化合物として、下式で表される化合物を例示することができる。
【0018】
AlY3‐w
Al−O−AlR
式中、R〜Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し;Yはハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表し;wは2≦w≦3を満足する数である。
【0019】
上式で表される有機アルミニウム化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、およびトリヘキシルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライドおよびジイソブチルアルミニウムハイドライドのようなジアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムクロライドのようなジアルキルアルミニウムハライド;トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物のようなトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物;ならびにテトラエチルジアルモキサンおよびテトラブチルジアルモキサンのようなアルキルアルモキサンを例示することができる。中でも、重合触媒の活性と重合体成分(1)の立体規則性の観点から、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンが好ましく、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンが特に好ましい。
【0020】
式(i)で表される外部電子供与体は下式で表される化合物である。
1Si(OC (i)
式(i)中、R1はSiに結合する炭素原子が2級炭素である炭素原子数3〜20、好ましくは炭素原子数3〜10のハイドロカルビル基を表す。Rとして、iso−プロピル基、sec−ブチル基、sec−ヘキシル基およびsec−イソアミル基のような分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ならびにシクロペンテニル基のようなシクロアルケニル基を例示することができる。
式(i)で表される外部電子供与体として、iso−プロピルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ヘキシルトリエトキシシラン、sec−アミルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−メチルシクロヘキシルトリエトキシシラン、2−エチルシクロヘキシルトリエトキシシラン、2,6−ジメチルシクロヘキシルトリエトキシシラン、2,6−ジエチルシクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリエトキシシラン、2−エチルシクロペンチルトリエトキシシラン、2,5−ジメチルシクロペンチルトリエトキシシラン、および2,5−ジエチルシクロペンチルトリエトキシシランを例示することができる。中でも、好ましくは、sec−ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシランである。
【0021】
式(ii)で表される外部電子供与体は下式で表される化合物である。
Si(OC4−n (ii)
式(ii)中、RはSiに結合する炭素原子が1級炭素である炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜7、より好ましくは1〜3のハイドロカルビル基を表し、nは0あるいは1の数を表す。Rとして、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基のような直鎖状アルキル基;ならびにiso−ブチル基、iso−アミル基、iso−ヘキシル基のような分岐鎖状アルキル基を例示することができる。
【0022】
式(ii)で表される外部電子供与体として、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ノルマルプロピルトリエトキシシラン、ノルマルブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、ノルマルアミルトリエトキシシラン、iso−アミルトリエトキシシラン、ノルマルヘキシルトリエトキシシラン、2−メチルペンチルトリエトキシシラン、3−メチルペンチルトリエトキシシラン、4−メチルペンチルトリエトキシシラン、ノルマルヘプチルトリエトキシシラン、およびノルマルオクチルトリエトキシシラン、を例示することができる。中でも、好ましくは、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ノルマルプロピルトリエトキシシランである。
工程(I)においては更に、−C−O−C−O−C−なる結合を有する化合物をも接触させてもよい。該化合物として、下式で表される化合物を例示することができる:

式中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくは炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基であり、それらの任意の組み合わせは互いに結合していてもよい。
【0023】
また、上式における結合「−C−O−C−O−C−」を形成する3個の炭素原子の中の任意の2個が相互に結合して環を形成してなる化合物を例示することができる(この場合、それら2個の炭素原子のそれぞれは、R〜R16なる基を有さない)。例えば、RおよびR16のそれぞれが結合している2個の炭素原子が相互に結合して環を形成してなる5員環状の化合物を例示することができる(この場合、RおよびR16なる基は存在しない)。
〜R16として、水素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、iso−プロピル基、ノルマルブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ノルマルペンチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ノルマルヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノルマルヘプチル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノルマルデシル基、iso−デシル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、iso−プロポキシ基、ノルマルブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ノルマルペントキシ基、iso−ペントキシ基、ネオペントキシ基、ノルマルヘキソキシ基、およびiso−ヘキソキシ基を例示することができる。
【0024】
上式で表される化合物として、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、プロピレンアルデヒドジメチルアセタール、ノルマルオクチルアルデヒドジメチルアセタール、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、2,2−ジメトキシプロパン、3,3−ジメトキシヘキサン、および2,6−ジメチル−4,4−ジメトキシヘプタンを例示することができる。
【0025】
〜R16の任意の組み合わせが互いに結合して環を形成している化合物として、または、上式における結合「−C−O−C−O−C−」を形成する3個の炭素原子の中の任意の2個が相互に結合して環を形成してなる化合物として、1,1−ジメトキシシクロペンタン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、1,1−ジエトキシシクロペンタン、1,1−ジエトキシシクロヘキサン、2−メトキシトリメチレンオキシド、2−エトキシトリメチレンオキシド、2,4−ジメトキシトリメチレンオキシド、2,4−ジエトキシトリメチレンオキシド、2−メトキシテトラヒドロフラン、2−エトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロピラン、2−エトキシテトラヒドロピラン、2,6−ジメトキシテトラヒドロピラン、2,6−ジエトキシテトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−メトキシ−1,3−ジオキソラン、4−メトキシ−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメトキシ−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキサン、2−メトキシ−1,3−ジオキサン、4−メトキシ−1,3−ジオキサン、2,2−ジメトキシ−1,3−ジオキサン、2,4−ジメトキシ−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、2−メチル−1,3−ジオキセパン、4−メチル−1,3−ジオキセパン、5−メチル−1,3−ジオキセパン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2,5−ジメチル−1,3−ジオキセパン、2−メトキシ−1,3−ジオキセパン、4−メトキシ−1,3−ジオキセパン、5−メトキシ−1,3−ジオキセパン、およびs−トリオキサンを例示することができる。
【0026】
中でも、RとR16とが互いに結合して環を形成している化合物、または、RおよびR16のそれぞれが結合している2個の炭素原子が相互に結合して環を形成してなる5員環状の化合物が好ましい。特に好ましいのは、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、またはs−トリオキサンである。
【0027】
工程(I)における成分を接触させる方法として、以下の方法を例示することができる:
(1)それら成分を混合して接触させた後、重合槽に供給する方法;
(2)それら成分を別々に重合槽に供給して重合槽中で接触させる方法;
(3)それら成分の一部を混合して接触させ、それと残りの成分とを接触させた後、重合槽に供給する方法;
(4)それら成分の一部を混合して接触させ、それと残りの成分を別々に重合槽に供給する方法。
接触に供される固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、外部電子供与体および任意成分のそれぞれは、溶媒と組合せてもよい。
上記の重合槽への供給は通常、窒素やアルゴンのような不活性ガス雰囲気下、かつ、水分のない状態で実施される。
【0028】
本発明の重合触媒の製造方法は、良好な粉体性状を有するα−オレフィン重合体を製造する観点から、上記の方法より、以下の工程からなる方法の方が好ましい場合がある:
(1)固体触媒成分および有機アルミニウム化合物の存在下、少量のオレフィン(本来の重合(通常、本重合と言われる)で使用されるα−オレフィンと同一または異なる)を重合させ(生成される重合体の分子量を調節するために水素のような連鎖移動剤を用いてもよいし、上記の、外部電子供与体や−C−O−C−O−C−なる結合を有する化合物を用いてもよい)、該オレフィンの重合体で表面が覆われた触媒成分を生成させる工程(該重合は通常、予備重合と言われ、したがって該触媒成分は通常、予備重合触媒成分と言われる);
(2) 予備重合触媒成分と、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体とを接触させる工程。
すなわち上記の方法は、工程(I)において以下の工程(i)および(ii)を有するプロピレン系重合体の製造方法である:
(i) チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体とを接触させて、接触生成物を生成させる工程;および
(ii)該接触生成物の存在下にα―オレフィンを重合させて、予備重合された、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を生成させる工程。
【0029】
予備重合は好ましくは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエンのような不活性ハイドロカルビルを溶媒とするスラリー重合である。
【0030】
上記工程(1)で用いられる有機アルミニウム化合物の量は、工程(1)で用いられる固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、通常0.5〜700モル、好ましくは0.8〜500モル、特に好ましくは1〜200モルである。
【0031】
予備重合されるオレフィンの量は、工程(1)で用いられる固体触媒成分1g当たり通常0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。
【0032】
上記工程(1)のスラリー重合における固体触媒成分のスラリー濃度は、好ましくは1〜500g−固体触媒成分/リットル−溶媒、特に好ましくは3〜300g−固体触媒成分/リットル−溶媒である。
【0033】
予備重合の温度は、好ましくは−20〜100℃、特に好ましくは0〜80℃である。予備重合における気相部のオレフィンの分圧は、好ましくは0.01〜2MPa、特に好ましくは0.1〜1MPaであるが、予備重合の圧力や温度において液状であるオレフィンについては、この限りではない。予備重合の時間は特に制限されず、好ましくは2分間から15時間である
予備重合における、固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及びオレフィンを重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを供給した後、オレフィンを供給する方法;および
(2)固体触媒成分とオレフィンとを供給した後、有機アルミニウム化合物を供給する方法。
【0034】
予備重合における、オレフィンを重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)重合槽内の圧力を所定の圧力に維持するようにオレフィンを順次供給する方法;および
(2)オレフィンの所定量の全量を一括して供給する方法。
【0035】
予備重合では外部電子供与体を使用することが好ましい。
【0036】
予備重合で用いられる外部電子供与体の量は、固体触媒成分中に含まれるチタン原子1モルに対して、通常0.01〜400モル、好ましくは0.02〜200モル、特に好ましくは、0.03〜100モルであり、有機アルミニウム化合物1モルに対して、通常0.003〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜2モルである。
【0037】
予備重合における、外部電子供与体を重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1) 外部電子供与体を単独で供給する方法;および
(2) 外部電子供与体と有機アルミニウム化合物との接触物を供給する方法。
予備重合については例えば、米国特許6,187,883や米国特許6,903,041に記載されている。
【0038】
工程(II)で生成される重合体成分(1)中のプロピレン単位の含有量は、得られるプロピレン系重合体の剛性の観点から、重合体成分(1)の総重量を100重量%として、90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。重合体成分(1)は、プロピレンの単独重合体であることが特に好ましい。工程(II)及び後述の工程(III)で用いられるプロピレン以外のオレフィンとして、エチレンや、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンのような炭素原子数4〜10のα−オレフィンを例示することができる。重合体成分(1)の示差走査熱量計(DSC)によって測定される融点は、得られるプロピレン系重合体の剛性の観点から、160℃以上であることが好ましい。重合体成分(1)の、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]1は、得られるプロピレン系重合体の成型加工性、特に射出成形加工の観点から、1.0dl/g以下であり、好ましくは0.7〜0.9dl/gである。
工程(III)で生成される重合体成分(2)中のプロピレン単位の含有量は、得られるプロピレン系重合体の耐衝撃性の観点から、重合体成分(2)の総重量を100重量%として、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。重合体成分(2)の含有量は、得られるプロピレン系重合体の耐衝撃性と剛性とのバランスの観点から、得られるプロピレン系重合体の総重量を100重量%として、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。重合体成分(2)の、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]2は、得られるプロピレン系重合体の耐衝撃強度の観点から、1〜10dl/g、好ましくは2〜9dl/g、より好ましくは3〜8dl/gである。本発明において、極限粘度[η]2は、得られるプロピレン系重合体の成型加工性、剛性および耐衝撃性の観点から、極限粘度[η]1の3倍以上、好ましくは4以上である。
【0039】
工程(I)における有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、通常1〜1000モル、好ましくは5〜600モルである。
【0040】
工程(I)において用いられる外部電子供与体および−C−O−C−O−C−なる結合を有する化合物の使用量は、固体触媒成分中に含まれるチタン原子1モルに対し、通常0.1〜2000モル、好ましくは0.3〜1000モル、特に好ましくは、0.5〜800モルであり、有機アルミニウム化合物1モルに対し、通常0.001〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜1モルである。式(i)で表される外部電子供与体の使用量に対する、式(ii)で表される外部電子供与体の使用量は、通常0.01〜10、好ましくは0.05〜7、特に好ましくは0.1〜5.0(モル比)である。
【0041】
工程(II)及び(III)における重合温度は、通常−30〜300℃、好ましくは20〜180℃、より好ましくは50〜95℃である。重合圧力は特に制限されず、工業的かつ経済的であるという観点から、一般に常圧〜10MPa、好ましくは0.2〜5MPa程度である。重合形式はバッチ式でも連続式でもよい。重合方法として、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような不活性ハイドロカルビル溶媒を用いるスラリー重合法、該溶媒を用いる溶液重合法、重合温度において液状であるオレフィンを媒体とするバルク重合法、および、気相重合法を例示することができる。良好な粉体性状を得る観点からは、重合工程(III)は気相重合法であることが好ましい。
【0042】
工程(II)及び(III)は、水素のような連鎖移動剤を用いて、生成する重合体成分(1)および(2)の分子量を、それぞれ調節してもよい。
【0043】
本発明においては、重合反応を安定に行うために、また、得られるプロピレン系重合体からなる成形体の外観や耐衝撃性を高めるために、下式で表されるアルコキシシラン化合物(vi)を、工程(III)の前に又は工程(III)の実施中に添加してもよい:
16Si(OR174−b (vi)
式(vi)中、R16は炭素数1〜20の脂肪族ハイドロカルビル基;R17は炭素数1〜20のハイドロカルビル基;bは0≦b<4の数を表す。
【0044】
アルコキシシラン化合物(vi)として、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびエチルトリブトキシシランのようなアルキルトリアルコキシシラン;ならびにテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、およびテトラ−n−ブトキシシランのようなテトラアルコキシシランを例示することができる。
【0045】
アルコキシシラン化合物は、ブタン、ヘキサンおよびヘプタンのような不活性ハイドロカルビル溶媒と組み合わせて用いても良い。
【0046】
アルコキシシラン化合物の使用量は、重合反応を安定に行うために、また、得られるプロピレン系重合体からなる成形体の外観や耐衝撃性を高めるために、固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、通常1〜500モル、好ましくは10〜200モルである。
【0047】
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
実施例1
工程(I)
内容積3リットルの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを減圧乾燥させた後、アルゴン置換を行い、冷却した。その後、当該オートクレーブ内を真空とした。トリエチルアルミニウム(有機アルミニウム化合物)4.4ミリモル、シクロペンチルトリエトキシシラン(外部電子供与体(i))0.44ミリモル、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))0.22ミリモル、及び特開2004−182981実施例1(2)記載の固体触媒成分8.0ミリグラムを、ガラスチャージャー内のヘプタン中で接触させて重合触媒を生成させた。
工程(II)
重合触媒をオートクレーブ内に一括で投入した。次に、液化プロピレン780gをオートクレーブ内に供給し、更に、水素1MPaを供給した。その後、オートクレーブを80℃まで昇温し重合を開始した。重合開始10分後、未反応プロピレンを重合系外へパージした。その後、オートクレーブ内をアルゴンで置換し、生成した重合体成分(1)をサンプリングした。重合体成分(1)の、極限粘度[η]1は0.71dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積30リットルのオートクレーブ内を真空として、水素0.0040MPa、プロピレン580g、エチレン140gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして40分間重合を行った。40分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体127gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.13dl/gであった。重合体成分(2)の含量は18.8重量%であり(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.94dl/gであり、重合体成分(2)のエチレン含量は35.6重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0049】
上記の極限粘度[η]1および[η]Tは、以下の手順からなる方法で測定した:
(1)ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒とし、135℃にて、濃度0.1、0.2及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する;
(2)「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法に従い、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によってした。極限粘度を推算する。
【0050】
上記の極限粘度[η]2は、[η]1と[η]Tと重合体成分(2)の含量(X)とに基づき、[η]2=[η]T/X−(1/X−1)[η]1なる式から計算した。
【0051】
上記の重合体成分(1)の20℃キシレン可溶部量(CXS)は、20℃の冷キシレンに可溶な分量を百分率(wt%)で表した。
【0052】
上記の重合体成分(2)の含量(X)および重合体成分(2)のエチレン含量は、以下の手順からなる方法で測定した:
(1)10mmΦの試験管中で、サンプル約200mgをオルソジクロロベンゼン3mlに均一に溶解させ、溶液を調整する;
(2)該溶液の13C−NMRスペクトルを、以下の条件で測定する;
測定温度 135℃
パルス繰り返し時間 10秒
パルス幅 45°
積算回数 2500回
(3)該の13C−NMRスペクトルに基づき、Kakugoらの報告(Macromolecules1982年、15号、1150ページ〜1152ページ)に記載の方法に準拠して、含量(X)及びエチレン単位含量求める。プロピレン単位含量は100−Xとした。
【0053】
実施例2
工程(I)
固体触媒成分の使用量を9.5ミリグラムとしたこと以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.69dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン140gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして100分間重合を行った。100分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体143gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.27dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は27.4重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.81dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.9重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0054】
実施例3
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.0ミリグラムとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))の添加量を0.44ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.64dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン140gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして90分間重合を行った。90分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体142gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.27dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は25.7重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は3.09dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は35.9重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0055】
比較例1
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.5ミリグラムとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))を添加しなかったこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.74dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
重合時間を60分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体163gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.24dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は25.0重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.74dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.1重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0056】
実施例4
工程(I)
固体触媒成分の使用量を8.9ミリグラム、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.66dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.3重量%であった。
工程(III)
重合時間を70分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。70分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体142gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.21dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は28.0重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.62dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は31.6重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0057】
実施例5
工程(I)
固体触媒成分の使用量を8.2ミリグラム、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.70dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン140gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして70分間重合を行った。70分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体114gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.33dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は27.3重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は3.01dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は36.9重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0058】
実施例6
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.3ミリグラム、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))の添加量を0.44ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.60dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン140gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして90分間重合を行った。90分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体126gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.12dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は26.6重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.55dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は35.8重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0059】
比較例2
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.7ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))を添加しなかったこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.74dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.3重量%であった。
工程(III)
重合時間を60分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体137gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.17dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は25.9重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.40dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は32.7重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0060】
実施例7
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.9ミリグラム、外部電子供与体(i)をs−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.63dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
プロピレン量を590グラム、エチレン量を130グラムとしたこと、重合時間を70分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。70分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体159gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.08dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は22.6重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.62dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は31.7重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0061】
実施例8
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.6ミリグラム、外部電子供与体(i)をs−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.65dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン590g、エチレン130gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして90分間重合を行った。90分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体136gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.30dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は25.9重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は3.16dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.4重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0062】
実施例9
工程(I)
固体触媒成分の使用量を11.0ミリグラム、外部電子供与体(i)をs−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))の添加量を0.44ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.62dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン590g、エチレン130gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして120分間重合を行った。120分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体137gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.23dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は27.8重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.81dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.7重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0063】
比較例3
工程(I)
固体触媒成分の使用量を14.0ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をs−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))を添加しなかったこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.70dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
プロピレン量を590グラム、エチレン量を130グラムとしたこと、重合時間を120分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。120分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体147gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.34dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は34.9重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.53dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は29.4重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0064】
比較例4
工程(I)
固体触媒成分の使用量を9.3ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.94dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は0.84重量%であった。
工程(III)
エチレン量を150グラム、重合時間を50分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。50分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体165gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.20dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は23.1重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.07dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は31.6重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0065】
比較例5
工程(I)
固体触媒成分の使用量を11.2ミリグラム、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.93dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は0.80重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン150gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして70分間重合を行った。70分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体177gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.43dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は29.1重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.65dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は31.4重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0066】
比較例6
工程(I)
固体触媒成分の使用量を8.6ミリグラム、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシランとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))の添加量を0.44ミリモルとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.89dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は0.90重量%であった。
工程(III)
次いで、上記3リットルオートクレーブを減圧した。テトラエトキシシラン(アルコキシシラン化合物(iv))0.08ミリモルのヘプタン溶液をガラスチャージャーに添加し、オートクレーブ内に一括で投入した。その後、10分間攪拌した。さらに、上記3リットルオートクレーブと連結した内容積24リットルのボンベ内を真空として、水素0.004MPa、プロピレン580g、エチレン150gを添加した後80℃に昇温することで調製した混合ガスを上記3リットルオートクレーブへ連続的にフィードし、重合圧力を0.8MPaとして60分間重合を行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体129gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.41dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は27.4重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.79dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は35.3重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0067】
比較例7
工程(I)
固体触媒成分の使用量を8.6ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシランとしたこと、テトラエトキシシラン(外部電子供与体(ii))を添加しなかったこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.98dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.0重量%であった。
工程(III)
エチレン量を150グラム、重合時間を30分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体168gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.15dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は18.7重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は1.89dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.7重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0068】
実施例10
工程(I)
固体触媒成分の使用量を11.0ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(ii)をiso−ブチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.70dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.0重量%であった。
工程(III)
重合時間を50分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。50分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体185gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.21dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は22.2重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は3.00dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は32.6重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0069】
実施例11
工程(I)
固体触媒成分の使用量を9.9ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、外部電子供与体(ii)をiso−ブチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.68dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
重合時間を60分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体158gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.13dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は21.3重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.79dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は34.4重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0070】
実施例12
工程(I)
固体触媒成分の使用量を11.7ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をsec−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、外部電子供与体(ii)をiso−ブチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.65dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.0重量%であった。
工程(III)
プロピレン量を590グラム、エチレン量を130グラムとしたこと、重合時間を40分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。40分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体182gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.03dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は18.5重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.70dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は31.4重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0071】
比較例8
工程(I)
固体触媒成分の使用量を11.3ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシランとしたこと、外部電子供与体(ii)をiso−ブチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.95dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は0.78重量%であった。
工程(III)
エチレン量を150グラムとしたこと、重合時間を60分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。60分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体178gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.31dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は24.2重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.44dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は33.2重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0072】
実施例13
工程(I)
固体触媒成分の使用量を9.9ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(ii)をメチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.61dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
重合時間を80分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。80分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体133gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.12dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は22.8重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.85dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は36.8重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0073】
実施例14
工程(I)
固体触媒成分の使用量を7.6ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルトリエトキシシランとしたこと、外部電子供与体(ii)をメチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.59dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.1重量%であった。
工程(III)
重合時間を70分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。70分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体98gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.02dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は22.3重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.52dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は40.1重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0074】
実施例15
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.8ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をsec−ブチルトリエトキシシラン0.88ミリモルとしたこと、外部電子供与体(ii)をメチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.62dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は1.2重量%であった。
工程(III)
プロピレン量を590グラム、エチレン量を130グラムとしたこと、重合時間を90分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。90分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体123gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.11dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は24.0重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.66dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は35.7重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0075】
比較例9
工程(I)
固体触媒成分の使用量を10.7ミリグラムとしたこと、外部電子供与体(i)をシクロヘキシルエチルジメトキシシランとしたこと、外部電子供与体(ii)をメチルトリエトキシシランとしたこと、以外は実施例1と同様に行った。
工程(II)
実施例1と同様に行った。サンプリングしたポリマーの極限粘度[η]1は0.88dl/gであり、20℃キシレン可溶部量(CXS)は0.86重量%であった。
工程(III)
エチレン量を150グラムとしたこと、重合時間を80分としたこと、以外は実施例1と同様に行った。80分後オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で5時間減圧乾燥して、パウダー状のプロピレン系重合体175gを得た。得られた共重合の極限粘度[η]Tは1.35dl/gであり、分析の結果、重合体成分(2)の含量は28.7重量%であった(プロピレン系重合体の全量を100重量%とする)。これにより、重合体成分(2)の極限粘度[η]2は2.52dl/gと推算された。また、重合体成分(2)のエチレン含量は34.3重量%であった(重合体成分(2)の全量を100重量%とする)。結果を表1及び2に示す。
【0076】
【表1】

表1中、重合活性は、固体触媒成分(A)の重量に対する生成したプロピレン系重合体の重量を示す。
【0077】


【表2】

【0078】
以上のように、実施例で使用されたα−オレフィン重合用触媒は、比較例で使用されたα−オレフィン重合用触媒よりも、重合体成分(1)を製造する際に少量の水素添加量でも[η]の低い重合体を生成し、さらに、重合体成分(2)を製造する際に同一水素添加量で[η]の高い重合体を生成した。すなわち、本発明のプロピレン系重合体の製造方法によれば、成型加工性が良好で剛性と耐衝撃性に優れるプロピレン系重合体の製造負荷を低減できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(I)〜(III)からなるプロピレン系重合体の製造方法。
(I)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、下式(i)で表される外部電子供与体と、(ii)で表される外部電子供与体とを接触させて、重合触媒を生成させる工程;
(II)該重合触媒の存在下に、プロピレンを単独重合させて、またはプロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位90重量%以上を含有し、極限粘度[η]1が1.0dl/g以下である重合体成分(1)を生成させる工程(重合体成分(1)の全量を100重量%とする);および
(III)重合体成分(1)の存在下に、プロピレンとその他のオレフィンとを共重合させて、プロピレン単位10〜90重量%を含有し、極限粘度[η]2が1〜10dl/gであって且つ[η]1の3倍以上である重合体成分(2)を生成させる工程(重合体成分(2)の全量を100重量%とする):
1Si(OC (i)
式(i)中、R1はSiに結合する炭素原子が2級炭素である炭素原子数3〜20のハイドロカルビル基を表す。
Si(OC4−n (ii)
式(ii)中、RはSiに結合する炭素原子が1級炭素である炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、nは0あるいは1の数を表す。
【請求項2】
式(i)で表される外部電子供与体の使用量に対する、式(ii)で表される外部電子供与体の使用量が0.1〜5.0(モル比)である請求項1記載のプロピレン系重合体の製造方法。
【請求項3】
は、Siに結合する炭素原子が1級炭素である炭素原子数1〜3のハイドロカルビル基である請求項1または2記載のプロピレン系重合体の製造方法。
【請求項4】
重合体成分(1)の極限粘度[η]1に対する、重合体成分(2)の極限粘度[η]2が4倍以上である請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系重合体の製造方法。

【公開番号】特開2011−184538(P2011−184538A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50298(P2010−50298)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】