説明

プローブカード用配線基板およびそれを用いたプローブカード

【課題】バーンインテストで温度を変える場合にプローブカード用配線基板が反ってウエハ上の端子とプローブが電気的に接続されない問題がおきやすく、そのためにバーンインテストにかかる時間を短縮できないので、バーンインテストを短縮できるプローブカード用配線基板とするためには改善が必要なものであった。
【解決手段】プローブカード用配線基板3において、ダミービア2bを含むビア2とを備えており、表層部1aの横断面における絶縁基体1に対するビア2の面積比は、内層部1bの横断面における絶縁基体に対するビア2の面積比より高くなっていることによって、プローブカード用配線基板3の上下の表層部1aから内層部1bには接続用ビア2aに加えてダミービア2bによって効率的に熱が伝導されるようになるので、バーンインテスト時に短時間で定常な温度分布状態となるので、バーンインテストにかかる時間を短縮することに関して向上されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカード用配線基板およびそれを用いたプローブカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子装置の使用量が増大するに伴い、従来は電子部品(半導体部品を含む)等の素子をパッケージに実装した後に電気的なテストをしていたが、不良の素子を実装するコストや時間が省けると共にウエハが大型化するに伴いテストの効率も高まるため、素子をウエハの状態で電気テストを行うことが一般的になっている。この素子をウエハの状態でテストするプローブカード用に、セラミック製のプローブカード用配線基板が用いられている。
【0003】
このようなプローブカード用配線基板に使用される絶縁基体としては、熱膨張係数がウエハの熱膨張係数に比較的近く、また、強度が比較的高いアルミナ質セラミックスやウエハの熱膨張係数に近いムライト質セラミックスを用いたプローブカード用配線基板が好適に使用されている。(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-160356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、常温でのテストだけでなく低温や高温で行われるバーンインテストも同じプローブカードを用いて行おうとすると、プローブカードを常温から高温に加熱したり低温に冷却する場合に、プローブカード用配線基板は、プローブカードを構成している他の材料に比べて熱容量が大きく、比較的熱伝導率が低いために、加熱や冷却してプローブカード用配線基板が定常な温度分布となるまでに時間がかかり、定常な状態になる前はプローブカード用配線基板が反ってウエハ上の端子とプローブが電気的に接続されない等の問題がおきやすく、そのためにバーンインテストにかかる時間を短縮できないので、バーンインテストを短縮できるプローブカード用配線基板とするためには改善が必要なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によるプローブカード用配線基板は、セラミックスからなり、表層部および内層部を有する絶縁基体と、前記表層部および前記内層部に設けられた複数の接続用ビアと前記表層部に設けられた複数のダミービアとを含むビアとを備えており、前記表層部の横断面における前記絶縁基体に対する前記複数のビアの面積比が、前記内層部の横断面における前記絶縁基体に対する前記複数のビアの面積比より高いことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、上記構成において、前記表層部の横断面において、前記複数の接続用ビアを設けられた第1の領域が多角形状であり、前記第1の領域が前記複数のダミービアが設けられた第2の領域によって囲まれていることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、上記構成において、前記第2の
領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第1の領域における前記絶縁基体に対する前記複数の接続用ビアの面積比と同等であることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、上記各構成において、前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む円形状の第3の領域と該第3の領域を囲む第4の領域とを有しており、前記第3の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第1の領域における前記絶縁基体に対する前記複数の接続用ビアの面積比と同等であり、前記第4の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第3の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様によるプローブカードは、上記構成のプローブカード用配線基板と、前記複数の接続用ビアに電気的に接続された複数のプローブとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一つの態様によるプローブカード用配線基板において、セラミックスからなり、表層部および内層部を有する絶縁基体と、表層部および内層部に設けられた複数の接続用ビアと表層部に設けられた複数のダミービアとを含むビアとを備えており、表層部の横断面における絶縁基体に対する複数のビアの面積比が、内層部の横断面における絶縁基体に対する複数のビアの面積比より高くなっている。本発明の一つの態様によるプローブカード用配線基板は、このような構成を含んでいることによって、プローブカード用配線基板の上下の表層から内層部には接続用ビアに加えてダミービアによって効率的に熱が伝導されるようになるので、バーンインテスト時にプローブカード用配線基板に外部から熱が加えられたり、冷却された場合に、ダミービアのない場合に比べ短時間で定常な温度分布状態となるので、バーンインテストにかかる時間を短縮することに関して向上されている。
【0012】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、表層部の横断面において、複数の接続用ビアを設けられた第1の領域が多角形状であり、第1の領域が複数のダミービアが設けられた第2の領域によって囲まれている。本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、このような構成を含んでいることによって、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより、複数の接続用ビアが設けられた第1の領域の角部に集中しやすい応力を緩和させて、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができる。
【0013】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、表層部の横断面において、第2の領域における絶縁基体に対する複数のダミービアの面積比が、第1の領域における絶縁基体に対する複数の接続用ビアの面積比と同等である。本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、このような構成を含んでいることによって、より効果的に応力の集中を緩和でき、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができる。
【0014】
本発明の他の態様によるプローブカード用配線基板は、表層部の横断面において、第2の領域が、第1の領域を囲む円形状の第3の領域と第3の領域を囲む第4の領域とを有しており、第3の領域における絶縁基体に対する複数のダミービアの面積比が、第1の領域における絶縁基体に対する複数の接続用ビアの面積比と同等であり、第4の領域における絶縁基体に対する複数のダミービアの面積比が、第3の領域における絶縁基体に対する複数のダミービアの面積比よりも小さくなっている。本発明の他の態様によるプローブカー
ド用配線基板は、このような構成を含んでいることによって、第1の領域および第3の領域において、複数の接続用ビアと複数のダミービアとを含むビアが円形状で、絶縁基体に対するビアの面積比が同様であるため、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより発生しやすい応力がより効果的に緩和されるとともに、平面視で第1の領域および第3の領域から外側に向かって段階的に絶縁基体に対するビアの面積比を小さいものとして、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより発生しやすい応力を分散させ、より効果的に応力の集中を緩和でき、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができる。
【0015】
本発明の他の態様によるプローブカードは、上記構成のプローブカード用配線基板と、複数の接続用ビアに電気的に接続された複数のプローブとを備えていることによって、バーンインテスト時にプローブカード用配線基板に外部から熱が加わったり、冷却された場合に、ダミービアのない場合に比べ短時間で定常な温度分布状態となるので、バーンインテストにかかる時間を短縮することに関して向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施形態におけるプローブカード用配線基板を示す平面図であり、(b)は(a)に示されたプローブカード用配線基板のA−A線における縦断面図である。
【図2】図1(b)に示されたプローブカード用配線基板において符号Bによって示された部分の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態におけるプローブカード用配線基板の他の例の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるプローブカード用配線基板の他の例の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】(a)は図2に横断面で示されたプローブカード用配線基板の要部の一例の上面図であり、(b)は同様に要部のC−C線による表層部1aの横断面の一例の上面図であり、(c)は同様に要部のD−D線による内層部1bの横断面の一例の上面図である。
【図6】(a)は図2に断面図で示されたプローブカード用配線基板の要部の一例のE−E線による横断面の上面図であり、(b)は同様に腰部のF−F線による横断面の上面図であり、(c)は同様に要部の一例の下面図である。
【図7】(a)は図2に断面図で示されたプローブカード用配線基板の要部の他の例のE−E線による横断面の上面図であり、(b)は同様に要部の他の例のF−F線による横断面の上面図であり、(c)は同様に要部の他の例の下面図である。
【図8】(a)は図2に断面図で示されたプローブカード用配線基板の要部の他の例のE−E線による横断面の上面図であり、(b)は同様に要部の他の例のF−F線による横断面の上面図であり、(c)は同様に要部の他の例の下面図である。
【図9】(a)、(b)は本発明の実施形態におけるプローブカード用配線基板の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1(a)、(b)および、図2に示されているように、本発明の実施形態におけるプローブカード用配線基板3は、複数層の絶縁層1cからなる絶縁基体1と、絶縁層1cの各層の表裏面に信号、電源、接地等の各役割を持った内部配線層6、絶縁層1cを貫通するビア2、絶縁基体1の上部および下部にプローブや外部回路と接続するためのランド4とを含んでいる。また、ビア2は、電気的な接続を主な目的とした接続用ビア2aと、熱伝導性の向上を主な目的としたダミービア2bを含んでいる。
【0019】
図1(a)、(b)および、図2に示された本実施形態によるプローブカード用配線基板3において、セラミックスからなり、表層部1aおよび内層部1bを有する絶縁基体1と、表層部1aおよび内層部1bに設けられた複数の接続用ビア2aと表層部1aに設けられた複数のダミービア2bとを含むビア2とを備えており、表層部1aの横断面における絶縁基体1に対する複数のビア2の面積比が、内層部1bの横断面における絶縁基体に対する複数のビア2の面積比より高くなっている。本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、このような構成を含んでいることによって、プローブカード用配線基板3の上下の表層部1aから内層部1bには接続用ビア2aに加えてダミービア2bによって効率的に熱が伝導されるようになるので、バーンインテスト時にプローブカード用配線基板3に外部から熱が加えられたり、冷却された場合に、ダミービア2bのない場合に比べ短時間で定常な温度分布状態となるので、バーンインテストにかかる時間を短縮することに関して向上されている。
【0020】
絶縁基体1の絶縁層1cは、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,炭化珪素(SiC)質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックスから成るものである。プローブカードに用いる場合は、熱膨張係数がウエハを形成するシリコン(Si)に近い、酸化アルミニウム(Al)質焼結体、ムライト質(3Al・2SiO)焼結体またはガラスセラミックスが好ましい。
【0021】
プローブカード用配線基板3のビア2、内部配線層6および下部ランド4は、絶縁層1cと同時焼成により形成される、タングステン(W),モリブデン(Mo),モリブデン−マンガン(Mo−Mn)合金,銀(Ag),銅(Cu),金(Au),銀−パラジウム(Pd)合金等の金属を主成分とするメタライズから成るものである。
【0022】
このようなプローブカード用配線基板3は、例えば、絶縁層1cが酸化アルミニウム質焼結体で形成される場合には、以下の方法により製作される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムの原材料粉末に適当な有機バインダおよび溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法等によってシート状に成形し、絶縁層1cとなる複数のセラミックグリーンシートを作製する。
【0023】
次に、セラミックグリーンシートのビアが形成される所定位置に金型等を用いた打ち抜き加工やレーザ加工によって貫通孔を形成するとともに、貫通孔に導体ペーストを充填する。また、スクリーン印刷法等によってセラミックグリーンシートの所定位置に内部配線層6あるいは必要に応じて下部のランド4となる導体ペースト層を10〜20μmの厚みに形成する。導体ペーストは、タングステン,モリブデン,モリブデン−マンガン合金等の融点の高い金属粉末と適当な樹脂バインダおよび溶剤とを混練することにより作製される。レーザ加工によって貫通孔を形成する場合は、金型による加工のように耐久性を考慮した形状とする必要が無く、用途に応じて最適の形状を決定することができるので好ましい。
【0024】
ダミービア2bもしくはダミー内部配線層6bは上記導体ペーストを用いて形成しても良いが、電気的な接続の必要はないので熱伝導性の高い窒化アルミニウム粉末や炭化珪素粉末等の絶縁体粉末と適当な樹脂バインダおよび溶剤とを混練することにより作製される絶縁性のダミー導体ペーストを用いて、ダミー貫通孔にダミー導体ペーストを充填したり、スクリーン印刷法等によってセラミックグリーンシートの所定位置に内部ダミー配線層6bとなるダミー導体ペースト層を10〜20μmの厚みに形成すると、導体ペーストに比べて絶縁層1cに近い焼成時の挙動のペーストとすることができるのでダミービア2bの密度を高めても絶縁層1cの焼成時の変形が大きくなることを抑えたり、導体ペーストの焼成時の挙動を補完することで、接続用ビア2aの密度の高い部分で絶縁層1cの焼成時の
変形を小さくすることができたりするので好ましい。なお、絶縁性のダミー導体ペーストに金属粉末を添加すると熱伝導率をより高めることができるので熱伝導性を高めるためには好ましい。
【0025】
次に、これらセラミックグリーンシートを重ね合わせて圧着して積層体を作製し、この積層体を1500℃〜1600℃程度の高温で焼成することによって配線基板が作製される。
【0026】
絶縁層1cがガラスセラミックスから成る場合であれば、セラミックグリーンシートが焼結する温度では焼結収縮しない、アルミナ等を主成分とする拘束グリーンシートを積層体の両面に積層して焼成すると、拘束グリーンシートによりセラミックグリーンシートの積層面方向の焼結収縮が抑えられて収縮ばらつきの小さいプローブカード用配線基板3が得られる。これによって、ビア2の位置ばらつきを小さいものとできるので、表面のランド4をより小型化でき、また高密度に形成できるので好ましい。
【0027】
また、絶縁層1cが1300℃程度で焼成できる低温焼成基板の場合には、銅粉末や銀粉末をダミー導体ペーストに添加して、銅や銀の融点以上の焼成温度で焼成する場合は、ダミービア2b中の銅粉末もしくは銀粉末は互いに溶融し溶着しあうために、接触抵抗が減少することで熱伝導率がより高くなるので好ましい。
【0028】
表層部1aに形成されたダミービア2bは図2に断面図で示す例のように、内層部1bの内部接続用配線層6aおよび接続用ビア2aと独立して形成すると、プローブカード用配線基板3の電気特性に与える影響が少ないので、設計が容易である。
【0029】
また、表層部1aに形成されたダミービア2bは図3に断面図で示す例のように、内層部1bの内部接続用配線層6aおよび接続用ビア2aと独立している内部ダミー配線層6bと接続させて形成すると、プローブカード用配線基板3の電気特性に与える影響が少なく、内層部1bの絶縁層1cへの伝熱性が向上するので好ましい。
【0030】
そして、表層部1aに形成されたダミービア2bは図4に断面図で示す例のように、内層部1bの内部接続用配線層6aおよび接続用ビア2aと接続させて形成すると内層部1bの絶縁層1cへの伝熱性が向上する。接地用配線層にダミービア2bおよび内部ダミー配線層6bを接続するとプローブカード用配線基板3の電気特性に与える影響が少ないので好ましい。ダミービア2bおよび内部ダミー配線層6bが絶縁性のものであれば、内部配線層の部位を気にしないで接続することができるようになるので、設計の自由度が高まるので好ましい。
【0031】
ダミービア2b用は表面まで形成されていると、外部から加えた熱の熱伝導性が向上するので好ましい。また、ダミー貫通孔2bによって、焼成時にグリーンシート中のバインダを外部に導出させることができる様にもなるので、この点でも表層部1aに形成されたダミービア2bは表面まで形成されていることが好ましい。さらに、図4に示す例中にあるように、プローブカード用配線基板3の上下を貫通して形成されている構造が熱伝導の点でも、焼成時にグリーンシート中のバインダを外部に導出させる点でもダミービア2bとしては最も好ましい構造である。ダミービアに内部ダミー配線層を接続させるとより熱伝導の点で好ましい構造となる。
【0032】
プローブカード用配線基板3の上部のランド4は、上記のようにして焼成した配線基板の上面を研磨するなどして平坦にした後に、蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法等の薄膜形成法によって形成する。下面のランド4も同様にして、薄膜形成法によって形成してもよい。具体的には、配線基板の上面の全面に、0.1μm〜3μm程度の
厚みの、例えばクロム(Cr)−銅(Cu)合金層やチタン(Ti)−銅(Cu)合金層
から成る下地導体層を形成し、その上にランド4のパターン形状の開口を有するレジスト膜を形成して、このレジスト膜をマスクとしてめっき等で銅や金等の金属から成る、2μm〜10μm程度の厚みの主導体層を形成する。そして、レジスト膜を剥離除去し、下地導体層の露出した部分をエッチングにより除去することでランド4が形成される。その表面には、さらに、めっき法によりニッケルや金のめっき層を形成するとよい。以上のようにして、プローブカード用配線基板3が形成される。
【0033】
なお、表層部1aはプローブカード用配線基板3の表面から接地導体層もしくは電源層が上面に形成された層の1層手前までの層を示し、内層部1bは上下を接地層体層もしくは電源層が上面に形成された層を含む挟まれた層のうち広い方を言う。局所的に接地層もしくは電源層が分かれている場合は主に使用されている接地層もしくは電源層が上面に形成された層で挟まれている層を内部層1cとする。
【0034】
図5(a)は図2に横断面で示されたプローブカード用配線基板3の要部の一例の上面図である。ダミービア2bはプローブカード用配線基板3の上部に露出していることが熱伝導性の点で好ましい。またダミービアが露出していると、焼成時の脱バイ性も向上するので焼成時間を短くすることができるので好ましい。プローブカードでプローブカード用配線基板3のランド4以外に導体が露出していないことが電気的に必要な場合は、表面のダミービア2bは絶縁性のものとするか、表面のダミービア2b上に薄い絶縁膜を形成すれば良い。
【0035】
図5(b)は図2のC−C線による表層部1aの横断面の一例の上面図であり、(c)は同様に図2のD−D線による内層部1bの横断面の一例の上面図である。(b)と(c)を比べれば分るように、接続用貫通孔2aは表層部1aに比べて内層部1bの横断面が多いにもかかわらず,ダミー貫通孔2bによって、貫通孔2トータルでは表層部1aが内
層部1bの横断面より多くなっており、横断面における絶縁基体1に占める貫通孔2の面積は内層部1bに比べ表層部1aが多くなっている。
【0036】
図6(a)は図2に断面図で示されたプローブカード用配線基板の要部の一例のE−E線による表層部1aの横断面の上面図である。(b)は同様に要部の一例のF−F線による表層部1aの横断面の上面図である。図6(a)、(b)と図5(c)を比べれば分るように、接続用貫通孔2aは表層部1aに比べて内層部1bの横断面が多いにもかかわらず、ダミー貫通孔2bによって、貫通孔2トータルでは表層部1aが内層部1bの横断面より多くなっており、横断面における絶縁基体1に占める貫通孔2の面積は内層部1bに比べ表層部1aが多くなっている。
【0037】
図6(c)は図2に断面図で示されたプローブカード用配線基板の要部の一例の下面図である。ダミービア2bはプローブカード用配線基板3の下部に露出している。上面と同様プローブカード用配線基板3のランド4以外に導体が露出していないことが電気的に必要な場合は、表面のダミービア2bは絶縁性のものとするか、表面のダミービア2b上に薄い絶縁膜を形成すれば良い。
【0038】
図7(a)は図2に示されたプローブカード用配線基板の要部の他の例のE−E線による横断面の上面図であり、(b)は同様に要部の他の一例のF−F線であり、(c)は同様に図2示されたプローブカード用配線基板の要部の他の例の下面図である。図7(a)の表層部1aのF−F線による横断面のビア2は図6(a)におけるビア2と同じであるが、図7(b)の表層部1aのE−E線による横断面のビア2は図6(b)に比べて多くなっており、表層部1aの表面に近づくにつれてビア2が増えている。表層部1aの表面に近づくにつれてビア2が増えると、表面に近づくほどプローブカード用配線基板の熱伝導率が高くなるため、より早く基板表面付近で熱が平衡状態になりやすいことで、プローブ
カード用配線基板の反りが小さく収まりやすくなると共に、中心まで熱が届きやすくなり定常状態になりやすいために、より短時間でバーンインテストができるようになるので好ましい。
【0039】
ダミービア2bは図8(a)に例で示すように、接続用ビア2aに比べて径を大きくすると、熱伝導率が向上するので好ましい。更に、図8(a)に比べ、(b)のダミービア2bを大きくする、つまりダミービア2bは表面に近づくほど径を大きく形成すると、図7(b)のように、ダミービア2bの数を増やさなくとも表面に近づくほどプローブカード用配線基板の熱伝導率が高くなるため、より短時間でバーンインテストができるようになるので好ましいと共に、貫通孔の数が増えないので工数が増えないので好ましい。
【0040】
図7および図8の各(a)、(b)においては、各々下部の表層部1aのE−E線やF−F線での横断面を示しているが、上部の表層部1aにおいても同様に表面に近づくほどプローブカード用配線基板の熱伝導率が高くなるような構造としても同様の効果があるので好ましい。
【0041】
また、内部ダミー配線層6bはダミービア2bの付近だけでなく、電気的特性に悪影響を与えない範囲で広い面積に形成されていると、ダミービア2bで絶縁層1cを貫通して伝えた熱を広い範囲の絶縁層1cに伝えることができるようになるので、熱定常状態に早くなりやすくなるので好ましい。特に内部ダミー配線層6bがプローブカード用配線基板の側面に露出していると、焼成時に内部ダミー配線層6bの露出した側面を介して脱バイされやすくなるので好ましい。
【0042】
更に、ダミービア2bは接続用ビア2a付近に形成するだけでなく、図1(a)に示す例のように、好ましくはダミービア2bはプローブカード用配線基板3を上面視した場合にほぼ同じ密度で形成されて、プローブカード用配線基板の外周部にも形成すると、ビア2や内部配線層6で使用されている導体ペーストの焼成時の収縮が絶縁層1cの収縮と多少異なることによる局部的な基板の変形が発生し難くなるので好ましい。
【0043】
図9(a)、(b)に示された例において、本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、表層部1aの横断面において、複数の接続用ビア2aを設けられた第1の領域7aが多角形状であり、第1の領域7aが複数のダミービア2bが設けられた第2の領域7bによって囲まれている。本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、このような構成を含んでいることによって、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより、複数の接続用ビアが設けられた第1の領域の角部に集中しやすい応力を緩和させて、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができるとともに、プローブカード用配線基板3の熱伝導率が高くなり昇温降温の時間もより短縮される。
【0044】
図9(a)、(b)に示された例において、本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、表層部1aの横断面において、第2の領域7bにおける絶縁基体1に対する複数のダミービア2bの面積比が、第1の領域7aにおける絶縁基体1に対する複数の接続用ビア2aの面積比と同等である。本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、このような構成を含んでいることによって、より効果的に応力の集中を緩和でき、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができるとともに、プローブカード用配線基板3の熱伝導率が高くなり昇温降温の時間もより短縮される。
【0045】
図9(a)、(b)に示された例において、本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、表層部1aの横断面において、第2の領域7bが、第1の領域7aを囲む円形状の第3の領域7cと第3の領域7cを囲む第4の領域7dとを有しており、第3の領域7
cにおける絶縁基体1に対する複数のダミービア2bの面積比が、第1の領域7aにおける絶縁基体1に対する複数の接続用ビア2aの面積比と同等であり、第4の領域7dにおける絶縁基体1に対する複数のダミービア2bの面積比が、第3の領域7cにおける絶縁基体1に対する複数のダミービア2bの面積比よりも小さくなっている。本実施形態によるプローブカード用配線基板3は、このような構成を含んでいることによって、第1の領域および第3の領域において、複数の接続用ビアと複数のダミービアとを含むビアが円形状で、絶縁基体に対するビアの面積比が同様であるため、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより発生しやすい応力がより効果的に緩和されるとともに、平面視で第1の領域および第3の領域から外側に向かって段階的に絶縁基体に対するビアの面積比を小さいものとして、ビアと絶縁基体の熱挙動の違いにより発生しやすい応力を分散させ、より効果的に応力の集中を緩和でき、プローブカード用配線基板において、変形ならびにクッラクが発生しにくいものとすることができる。また、プローブカード用配線基板3の熱伝導率が高くなり昇温降温の時間もより短縮される。
【0046】
なお、平面視でプローブカード用配線基板3の接続用ビア2aが形成されていない領域において、図9(a)に示す例のように、プローブカード用配線基板3の外周端部にダミービア2bが形成されていない領域があるものに比べて、図1(a)や図9(b)に示す例のようにダミービア2bが全面に形成されたものとすると、プローブカード用配線基板3の熱伝導率が高くなり、プローブカード用配線基板3は短時間で温度ばらつきが小さくなり易いので好ましい。
【0047】
また、図9(a)、(b)に示す例においては、プローブカード用配線基板3の上面における平面図を示しているが、下面においても同様に複数の接続用ビアを設けられた第1の領域が多角形状であり、第1の領域が複数のダミービアが設けられた第2の領域によって囲まれているような構造としても同様の効果があるので好ましい。
【0048】
本実施形態によるプローブカードは、上記構成のプローブカード用配線基板3と、複数の接続用ビア2aに電気的に接続された複数のプローブとを備えてなることによって、バーンインテスト時にプローブカード用配線基板3に外部から熱が加わったり、冷却されたりしても、ダミービア2bのない場合に比べ短時間で定常な温度分布状態となるので、バーンインテストにかかる時間を短縮することに関して向上されている。
【0049】
プローブは、例えば、以下のようにして作製され、本発明のプローブカード用配線基板3に接続される。まず、シリコンウエハの1面にエッチングにより複数のプローブの雌型を形成する。ついで、雌型を形成した面にめっき法によりニッケルから成る金属を被着させるとともに雌型をニッケルで埋め込み、埋め込まれた部分以外のウエハ上のニッケルをエッチング等の加工を施すことにより除去して、ニッケル製のプローブが埋設されたシリコンウエハを作製する。このシリコンウエハに埋設されたニッケル製プローブをプローブカード用配線基板3の上部のランド4にはんだ等の接合材で接合する。そして、シリコンウエハを水酸化カリウム水溶液で除去することによって、プローブカード用配線基板3の上部のランド4にプローブが接続されたプローブカードが得られる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・・絶縁基体
1a・・・・表層部
1b・・・・内層部
1c・・・・絶縁層
2・・・・・ビア
2a・・・・接続用ビア
2b・・・・ダミービア
3・・・・・プローブカード用配線基板
4・・・・・ランド
6・・・・・内部配線層
6a・・・・内部接続用配線層
6b・・・・内部ダミー配線層
7a・・・・第1の領域
7b・・・・第2の領域
7c・・・・第3の領域
7d・・・・第4の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスからなり、表層部および内層部を有する絶縁基体と、
前記表層部および前記内層部に設けられた複数の接続用ビアと前記表層部に設けられた複数のダミービアとを含むビアとを備えており、
前記表層部の横断面における前記絶縁基体に対する前記複数のビアの面積比が、前記内層部の横断面における前記絶縁基体に対する前記複数のビアの面積比より高いことを特徴とするプローブカード用配線基板。
【請求項2】
前記表層部の横断面において、前記複数の接続用ビアを設けられた第1の領域が多角形状であり、前記第1の領域が前記複数のダミービアが設けられた第2の領域によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載のプローブカード用配線基板。
【請求項3】
前記第2の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第1の領域における前記絶縁基体に対する前記複数の接続用ビアの面積比と同等であることを特徴とする請求項2に記載のプローブカード用配線基板。
【請求項4】
前記第2の領域が、前記第1の領域を囲む円形状の第3の領域と該第3の領域を囲む第4の領域とを有しており、
前記第3の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第1の領域における前記絶縁基体に対する前記複数の接続用ビアの面積比と同等であり、
前記第4の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比が、前記第3の領域における前記絶縁基体に対する前記複数のダミービアの面積比よりも小さいことを特徴とする請求項2記載のプローブカード用配線基板。
【請求項5】
請求項1に記載のプローブカード用配線基板と、
前記複数の接続用ビアに電気的に接続された複数のプローブとを備えていることを特徴とするプローブカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84885(P2013−84885A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69574(P2012−69574)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】