説明

ベルト搬送装置及び画像形成装置

【課題】無端ベルトの交換に際して、無端ベルトを張架する複数の張架ローラ間における無端ベルトの搬送方向に直交する方向の従動ローラの位置を正確に復元する。
【解決手段】中間転写ユニット50は、シャフト21、ジョイント部材23、装置フレーム22、及び支持部材24を備える。ジョイント部材23は、シャフト21の長手方向93の第1端部211がシャフト21の第1軸芯95回りの複数の角度で嵌合自在な第1凹部231、及び第1軸芯95に対して平行かつ同一直線上にない第2軸芯96を有する第1外周部232を含む。装置フレーム22は、貫通孔221を有する。支持部材24は、第1外周部232が第2軸芯96回りの複数の角度で着脱自在な第2凹部241を有し、貫通孔22に対して長手方向93に挿脱自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無端ベルトを交換可能に構成されたベルト搬送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト搬送装置の中には、駆動ローラ及び従動ローラを含む複数の張架ローラによって張架された無端ベルトを回転させることで、ループ状の移動経路を形成するものがある。このようなベルト搬送装置は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において、複数の画像形成部のそれぞれから各色相のトナー像を中間転写ベルトへ順次に重ね合わせるように一次転写され、重ね合わされたフルカラーのトナー像を、用紙に二次転写する二次転写位置へ向けて搬送する中間転写ユニットや、二次転写位置へ用紙を搬送する二次転写ベルトを備えた二次転写ユニット等に適用される。
【0003】
ベルト搬送装置では、用紙に対する画像の位置ずれを防ぐために、無端ベルトの蛇行を抑制することが重要である。無端ベルトの蛇行は、無端ベルトが駆動ローラと従動ローラとに張架されている場合、従動ローラの一方の端部を、駆動ローラと従動ローラとの間における無端ベルトの搬送方向に沿って変位させるよりも、前記搬送方向に直交する方向に変位させることの方が、大きく影響する。
【0004】
従来のベルト搬送装置の中には、水平方向に張架された無端ベルトの蛇行を抑制するために、無端ベルトの蛇行量をセンサによって検出し、検出結果に応じて、無端ベルトを張架する従動ローラの一方の端部の上下方向の位置を調整するものがある。従動ローラの一方の端部の上下方向の位置を調整する構成として、従動ローラのシャフトの一方の端部に下方から当接する偏心カムの回転角度を変更する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−260590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のベルト搬送装置では、無端ベルトの交換に際してベルト搬送装置の本体部から偏心カムを取り外す必要があり、偏心カムが一旦取り外されると、ベルト交換後に再度組み付けられても、偏心カムの回転角度が正確に復元されず、取り外し前に比べて従動ローラの一方の端部の上下方向の位置がずれてしまう場合がある。従動ローラの一方の端部の上下方向の位置がずれてしまうと、無端ベルトが蛇行する。
【0007】
この発明の目的は、無端ベルトの交換に際して、無端ベルトを張架する複数の張架ローラ間における無端ベルトの搬送方向に直交する方向の従動ローラの位置を正確に復元できる、ベルト搬送装置及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のベルト搬送装置は、シャフト、ジョイント部材、装置フレーム、及び支持部材を備える。シャフトは、無端ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つである従動ローラを回転自在に支持する。ジョイント部材は、シャフトの長手方向の一方の端部がシャフトの第1軸芯回りの複数の角度で嵌合自在な第1凹部、及び第1軸芯に対して平行かつ同一直線上にない第2軸芯を有する第1外周部を含む。装置フレームは、前記長手方向に貫通する貫通孔を有する。支持部材は、第1外周部が第2軸芯回りの複数の角度で着脱自在な第2凹部を有し、貫通孔に対して長手方向に挿脱自在であって貫通孔に挿入時に、複数の張架ローラ間における無端ベルトの搬送方向に直交する方向において装置フレームの所定位置に保持される。
【0009】
この構成では、ジョイント部材の第1凹部に、従動ローラのシャフトの一方の端部が嵌合される。嵌合後には、ジョイント部材は、シャフトに対して第1軸芯回りの回転を規制される。第1凹部の軸芯とシャフトの第1軸芯とは一致する。ジョイント部材の第1外周部の第2軸芯と、第1凹部の第1軸芯とは、平行ではあるが、同一直線上にはない。即ち、第1凹部と第1外周部とは、互いに偏心している。また、支持部材は、貫通孔に挿入時に、複数の張架ローラ間における無端ベルトの搬送方向に直交する方向において装置フレームの所定位置に保持される。さらに、従動ローラと対向する張架ローラは変位しないので、ジョイント部材は、シャフトに嵌合した状態では第1軸芯回りに回転しない。このため、第1軸芯回りにおけるいかなる角度でシャフトが第1凹部に嵌合されるかによって、前記直交する方向における従動ローラの一方の端部の位置が調整される。即ち、第1軸芯回りにおいて、シャフトの一方の端部に対する第1凹部の角度を調整した上で、シャフトの一方の端部と第1凹部とを嵌合し、第1外周部を第2凹部に挿着することで、前記直交する方向における従動ローラの一方の端部の位置が調整され、無端ベルトの蛇行が抑制される。
【0010】
また、無端ベルトの交換の際は、ジョイント部材は、シャフトに嵌合されたままの状態で支持部材から脱抜され、無端ベルトの交換後に再び支持部材に挿着される。この際、ジョイント部材とシャフトとは分解されず、ジョイント部材はシャフトに嵌合した状態では第1軸芯回りに回転しないので、無端ベルトの交換の前後において、前記直交する方向におけるシャフトの位置が変更されない。
【0011】
上述の構成において、ジョイント部材は、第1外周部を有する第1ジョイント部、並びに長手方向において第1ジョイント部に隣接配置されて第1外周部と異なる径の第2外周部及び第1凹部を有する第2ジョイント部を備えるように構成することができる。
【0012】
第1軸芯回りの角度を調整した上で第2ジョイント部をシャフトに嵌合させ、第1ジョイント部を支持部材に挿着することで、前記直交する方向におけるシャフトの位置が調整される。無端ベルトの交換に際しては、第2ジョイント部がシャフトに嵌合したままの状態で第1ジョイント部が支持部材に対して着脱される。第1ジョイント部と第2ジョイント部とは偏心しており、それぞれの外周部の径が異なるので、ジョイント部材の偏心の方向がユーザに認識され易くなり、前記直交する方向におけるシャフトの位置調整が容易になる。
【0013】
また、第2外周部は、第1外周部と同心円状に形成することができる。第2外周部に対して第1凹部が偏心しており、シャフトにジョイント部材を第1軸芯回りのいかなる角度で嵌合させるかによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置が調整される。
【0014】
さらに、第2外周部は、前記第1凹部と同心円状に形成することができる。第2外周部に対して第1外周部が偏心しており、シャフトにジョイント部材を第1軸芯回りのいかなる角度で嵌合させるかによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置が調整される。
【0015】
また、第1凹部は、シャフトが第1軸芯回りの段階的な複数の角度で嵌合自在に構成することができる。これによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置を段階的に調整することができる。
【0016】
さらに、第1凹部に前記長手方向に一様な断面を有する係合突起部を設け、シャフトの端部の第1軸芯回りの複数の位置に係合突起部と係合する係合凹部を設けることができる。これによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置を段階的に調整することができ、シャフトに対する第1凹部の第1軸芯回りの回転が、確実に規制される。
【0017】
また、第1凹部は、シャフトが第1軸芯回りの連続する複数の角度で嵌合自在に構成することができる。これによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置をより微細に調整することができる。
【0018】
さらに、第1凹部に雌ネジが切られ、シャフトの端部に雌ネジと噛み合う雄ネジが切られるように構成することができる。この構成では、第1軸芯回りの所望の角度になるまで第1凹部にシャフトをねじ込んだ状態で、接着剤等によってジョイント部材とシャフトとが固着される。これによって、前記直交する方向におけるシャフトの位置をより微細に調整することができる。
【0019】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかの構成のベルト搬送装置を備える。無端ベルトの交換の際は、ジョイント部材は、シャフトに嵌合されたままの状態で支持部材から脱抜され、無端ベルトの交換後に再び支持部材に挿着される。この際、ジョイント部材とシャフトとは分解されず、ジョイント部材はシャフトに嵌合した状態では第1軸芯回りに回転しないので、無端ベルトの交換の前後において、前記直交する方向におけるシャフトの位置が変更されない。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、無端ベルトの交換に際して、無端ベルトを張架する複数の張架ローラ間における無端ベルトの搬送方向に直交する方向の従動ローラの位置を正確に復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のベルト搬送装置の実施形態に係る中間転写ユニットを備えた画像形成装置の概略の正面断面図である。
【図2】中間転写ユニットの概略の平面図である。
【図3】(A)は、中間転写ユニットに備えられた従動ローラのシャフトの背面図であり、(B)は、係合突起部が下側に配置された状態のジョイント部材の側面断面図であり、(C)は、係合突起部が上側に配置された状態のジョイント部材の側面断面図である。
【図4】中間転写ユニットの一部の分解された状態の断面図である。
【図5】(A)は、係合突起部を下側にして組み立てられた中間転写ユニットの一部の断面図であり、(B)は、係合突起部を上側にして組み立てられた中間転写ユニットの一部の断面図である。
【図6】他の実施形態に係る中間転写ユニットの一部の分解された状態の断面図である。
【図7】図6に示す中間転写ユニットの組み立てられた状態の一部の断面図である。
【図8】さらに他の実施形態に係る中間転写ユニットの一部の分解された状態の断面図である。
【図9】図8に示す中間転写ユニットの組み立てられた状態の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿から生成した画像データ又は外部から入力した画像データに基づいて、用紙に単色又は多色の画像を形成する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。
【0023】
画像形成装置100は、画像読取部120、画像形成部110、給紙部80、及び排紙部90を備えている。
【0024】
画像読取部120は、原稿の画像を読み取って画像データを生成し、画像形成部110へ供給する。
【0025】
画像形成部110は、露光ユニット3、4個の画像形成ステーション31,32,33,34、中間転写ユニット50、二次転写ユニット60、及び定着装置70を備え、用紙に画像形成処理を行う。中間転写ユニット50は、この発明のベルト搬送装置の一例である。
【0026】
中間転写ユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、及び中間転写ベルトテンションローラ54を有している。中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、及び中間転写ベルトテンションローラ54は、互いに平行に配置されている。中間転写ベルト51は、無端ベルトであり、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53との間に張架されてループ状の移動経路を形成している。中間転写ベルト51の張力は、中間転写ベルトテンションローラ54によって変更自在である。中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、及び中間転写ベルトテンションローラ54のそれぞれは、中間転写ベルト51を張架する張架ローラである。
【0027】
画像形成部110は、画像データに基づいて、ブラック、並びに、カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン、マゼンタ及びイエローの4色の各色相のトナー像を、画像形成ステーション31〜34において形成する。画像形成ステーション31〜34は、中間転写ベルト51の移動経路に沿って一列に配置されている。画像形成ステーション32〜34は、画像形成ステーション31と実質的に同様に構成されている。
【0028】
ブラックの画像形成ステーション31は、感光体ドラム1、帯電器2、現像器4、中間転写ローラ5、及びクリーナユニット6を備えている。
【0029】
感光体ドラム1は、静電潜像担持体であり、図示しない駆動源から駆動力を伝達されることで所定方向に回転する。帯電器2は、感光体ドラム1の周面を所定の電位に帯電させる。
【0030】
露光ユニット3は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビームを、画像形成ステーション31〜34のそれぞれの感光体ドラム1にそれぞれ照射する。4個の感光体ドラム1の周面には、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0031】
現像器4は、感光体ドラム1の周面に、画像形成ステーション31の色相であるブラックのトナーを供給し、静電潜像をトナー像に顕像化する。
【0032】
中間転写ベルト51の外周面は、4個の感光体ドラム1に順に対向する。中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム1に対向する位置に、中間転写ローラ5が配置されている。中間転写ベルト51と感光体ドラム1とが互いに対向する位置のそれぞれが、一次転写位置である。
【0033】
中間転写ローラ5には、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。画像形成ステーション32〜34においても同様である。これによって、感光体ドラム1のそれぞれに形成された各色相のトナー像が中間転写ベルト51の外周面に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト51の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0034】
但し、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの色相の一部のみの画像データが入力された場合は、4個の感光体ドラム1のうち、入力された画像データの色相に対応する一部のみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行われ、一部の色相のトナー像のみが中間転写ベルト51の外周面に一次転写される。
【0035】
クリーナユニット6は、一次転写の後に感光体ドラム1の周面に残留したトナーを回収する。
【0036】
一次転写位置のそれぞれにおいて中間転写ベルト51の外周面に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト51の回転によって、中間転写ベルト51と、二次転写ユニット60に備えられた二次転写ベルト61との対向位置である二次転写位置へ搬送される。
【0037】
給紙部80は、給紙カセット81、手差しトレイ82、第1用紙搬送路83、及び第2用紙搬送路84を備えている。給紙カセット81及び手差しトレイ82のそれぞれには、用紙が収容される。第1用紙搬送路83は、給紙カセット81及び手差しトレイ82のそれぞれから二次転写位置及び定着装置70を経由して排紙部90へ至るように形成されている。第2用紙搬送路84は、両面印刷用の用紙搬送路であり、一方の面に画像を形成された用紙が表裏を反転された状態で再び二次転写位置へ搬送されるように形成されている。
【0038】
二次転写ユニット60は、二次転写ベルト61の他に、二次転写ローラ62を備えている。二次転写ローラ62は、二次転写ベルト61及び中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト駆動ローラ52に所定のニップ圧で圧接している。二次転写ローラ62と中間転写ベルト駆動ローラ52とのニップ圧を所定値に維持するために、二次転写ローラ62又は中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方が硬質材料(例えば、金属又は樹脂)で構成され、他方が軟質材料(例えば、弾性ゴム又は発泡性樹脂)で構成されている。
【0039】
用紙が二次転写位置を経由する際に、二次転写ローラ62に、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の二次転写バイアスが定電圧制御によって印加され、これによって、中間転写ベルト51の外周面に担持されたトナー像が、用紙に二次転写される。
【0040】
トナー像が用紙に転写された後の中間転写ベルト51上に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって回収される。
【0041】
トナー像が転写された用紙は、定着装置70へ送られる。定着装置70は、定着ローラ71、及び加圧ローラ72を備えている。定着装置70は、定着ローラ71と加圧ローラ72との間に用紙を挟んで回転することで、用紙を加熱及び加圧してトナー像を用紙に堅牢に定着させる定着処理を行う。
【0042】
排紙部90は、排紙トレイ91及び排紙ローラ92を備えている。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ92によって排紙トレイ91へ排出される。用紙は、トナー像が定着した面を下にして、排紙トレイ91に収容される。
【0043】
図2に示すように、中間転写ベルト51は、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53とに張架されている。一例として、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53とは、ともに略水平方向に配置されており、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53との間における中間転写ベルト51の搬送方向94は、水平方向である。
【0044】
中間転写ベルト駆動ローラ52は、駆動モータ56から駆動力を伝達されることで回転する。中間転写ベルト従動ローラ53は、シャフト21に回転自在に支持されている。シャフト21は、長手方向93の第1端部211及び第2端部212を装置フレーム22に支持されている。中間転写ベルト駆動ローラ52が回転することで、中間転写ベルト51が回転する。中間転写ベルト51の回転に従動して中間転写ベルト従動ローラ53がシャフト21を中心に回転する。なお、シャフト21自体は回転しない。
【0045】
図3(A)〜図3(C)及び図4に示すように、シャフト21の第1端部211には、シャフト21の第1軸芯95回りの複数箇所に、係合凹部213が設けられている。一例として、係合凹部213は、第1軸芯95回りに30度間隔で、最上部から最下部まで180度の範囲内に7個設けられている。係合凹部213は、シャフト21の長手方向93に一様な断面を有する。また、シャフト21の第1端部211には、長手方向93に突出する突出部214が設けられている。突出部214の径は、シャフト本体部の径よりも小さい。突出部214とシャフト本体部との軸芯は一致している。
【0046】
シャフト21の第1端部211は、ジョイント部材23及び支持部材24によって装置本体22に支持されている。
【0047】
ジョイント部材23は、第1凹部231及び第1外周部232を有している。第1凹部231は、長手方向93において真円形の断面を有している。第1凹部231の軸芯は、第1軸芯95と一致している。第1凹部231は、シャフト21の第1端部211が第1軸芯95回りの複数の角度で嵌合自在に構成されている。第1凹部231には、係合突起部233が設けられている。係合突起部233は、長手方向93に一様な断面を有しており、係合凹部213と係合自在に構成されている。一例として、係合突起部233は、1個設けられる。
【0048】
第1外周部232は、長手方向93において真円形の断面を有している。第1外周部232の第2軸芯96は、第1軸芯95に対して平行かつ同一直線上にない。即ち、第1凹部231と第1外周部232とは、互いに偏心している。このため、図3(B)及び図3(C)に示すように、ジョイント部材23は、第2軸芯96回りのいかなる角度に配置されるかによって、第1凹部231の高さが変位する。具体的には、係合突起部233を複数の係合凹部213のうちのいずれの係合凹部213に係合させるかによって、第1凹部231の高さが変位する。一例として、係合突起部233は、第1凹部231内において第2軸芯96から最も遠い箇所に配置されている。
【0049】
装置フレーム22には、シャフト21の長手方向93に貫通する貫通孔221が設けられている。
【0050】
支持部材24は、第2凹部241を有している。第2凹部241は、長手方向93において真円形の断面を有し、第1外周部232が第2軸芯96回りの複数の角度で着脱自在に構成されている。支持部材24は、貫通孔221に対して長手方向93に挿脱自在である。支持部材24は、貫通孔221に挿入時に、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53との間における中間転写ベルト51の搬送方向94に直交する調整方向97において、装置フレーム22の所定位置に保持される。この実施形態では、調整方向97は高さ方向に相当する。
【0051】
また、支持部材24は、長手方向93において装置フレーム22に対してシャフト21の反対側の端部に、拡径部242を有している。拡径部242は、支持部材24がシャフト21の反対側から装置フレーム22に挿入されたときに、支持部材24が装置フレーム22からシャフト21側へ抜け落ちるのを防止する。
【0052】
図5(A)及び図5(B)に示すように、ジョイント部材23の第1凹部231に、中間転写ベルト従動ローラ53のシャフト21の第1端部211が嵌合する。第1凹部231とシャフト21との嵌合後には、係合突起部233と係合凹部213とが係合することで、ジョイント部材23は、シャフト21に対して第1軸芯95回りの回転を規制される。
【0053】
また、上述のように、第1凹部231と第1外周部232とは、互いに偏心している。支持部材24は、貫通孔221に挿入時に調整方向97において装置フレーム22の所定位置に保持される。さらに、中間転写ベルト駆動ローラ52は装置フレーム22に対して変位しない。よって、ジョイント部材23は、シャフト21に嵌合した状態では第1軸芯95回りに回転しない。
【0054】
このため、第1軸芯95回りにおけるいかなる角度でシャフト21が第1凹部231に嵌合されるかによって、調整方向97におけるシャフト21の第1端部211の位置が調整される。即ち、第1軸芯95回りにおいて、シャフト21の第1端部211に対する第1凹部231の角度を調整した上で、シャフト21の第1端部211と第1凹部231とを嵌合し、第1外周部232を第2凹部241に挿着することで、調整方向97におけるシャフト21の第1端部211の位置が調整され、中間転写ベルト51の蛇行が抑制される。
【0055】
また、中間転写ベルト51の交換の際は、ジョイント部材23は、シャフト21に嵌合されたままの状態で支持部材24から脱抜され、中間転写ベルト51の交換後に再び支持部材24に挿着される。この際、ジョイント部材23とシャフト21とは分解されず、ジョイント部材23はシャフト21に嵌合した状態では第1軸芯95回りに回転しないので、中間転写ベルト51の交換の前後において、調整方向97におけるシャフト21の第1端部211の位置が変更されない。したがって、中間転写ベルト51の交換に際して、中間転写ベルト駆動ローラ52と中間転写ベルト従動ローラ53との間における中間転写ベルト51の搬送方向94に直交する調整方向97において、中間転写ベルト従動ローラ53の位置を正確に復元することができる。
【0056】
よって、中間転写ベルト51が蛇行しないように調整方向97における中間転写ベルト従動ローラ53の位置を調整すれば、中間転写ベルト51の交換に際して中間転写ベルト従動ローラ53の位置がずれることがなく、中間転写ベルト51の蛇行を抑制できる。
【0057】
また、第1凹部231は、シャフト21が第1軸芯95回りの段階的な複数の角度で嵌合自在に構成されていることで、調整方向97におけるシャフト21の位置を段階的に調整することができ、シャフト21に対する第1凹部231の第1軸芯95回りの回転が、確実に規制される。
【0058】
さらに、シャフト21の調整方向97の位置を再調整する必要が生じた場合は、ジョイント部材23を一旦シャフト21から分解し、ジョイント部材23の第1軸芯95回りの角度を変更した上で再度シャフト21に嵌合させることで、シャフト21の調整方向97の位置を容易に再調整することができる。なお、シャフト21の調整方向97の位置の再調整を必要としない場合は、ジョイント部材23とシャフト21とを接着剤等によって固着させることで、中間転写ベルト51の交換に際して、誤った作業によってシャフトとジョイント部材23とを分解してしまう事態が防止される。
【0059】
次に、ジョイント部材23の変形例について説明する。
【0060】
図6及び図7に示すように、第1の変形例に係るジョイント部材23Aは、第1ジョイント部234A及び第2ジョイント部235Aを備えている。第1ジョイント部234Aは、第1外周部232Aを有する。第2ジョイント部235Aは、長手方向93において第1ジョイント部234Aに隣接配置され、第1外周部232Aと異なる径の第2外周部236A、及び第1凹部231Aを有している。第1凹部231Aには、係合凹部213と係合自在な係合突起部233Aが設けられている。一例として、第1外周部232Aの径は、第2外周部236Aの径よりも小さい。ジョイント部材23Aでは、第2外周部236Aは、第1外周部232Aと同心円状に形成されている。即ち、第2外周部236Aに対して第1凹部231Aが偏心している。
【0061】
第1軸芯95回りの角度を調整した上で第2ジョイント部235Aをシャフト21に嵌合させ、第1ジョイント部234Aを支持部材24に挿着することで、調整方向97におけるシャフト21の位置が調整される。中間転写ベルト51の交換に際しては、第2ジョイント部235Aがシャフト21に嵌合したままの状態で第1ジョイント部234Aが支持部材24に対して着脱される。第1ジョイント部234Aと第2ジョイント部235Aとは偏心しており、それぞれの外周部232A,236Aの径が異なるので、ジョイント部材23Aの偏心の方向がユーザに認識され易くなり、調整方向97におけるシャフト21の位置調整が容易になる。
【0062】
図8及び図9に示すように、第2の変形例に係るジョイント部材23Bは、第1ジョイント部234B及び第2ジョイント部235Bを備えている。第1ジョイント部234Bは、第1外周部232Bを有する。第2ジョイント部235Bは、長手方向93において第1ジョイント部234Bに隣接配置され、第1外周部232Bと異なる径の第2外周部236B、及び第1凹部231Bを有している。第1凹部231Bには、係合凹部213と係合自在な係合突起部233Bが設けられている。一例として、第1外周部232Bの径は、第2外周部236Bの径よりも小さい。
【0063】
即ち、ジョイント部材23Bは、第2外周部236Bと第1凹部231Bとが同心円状に形成され、第1外周部232Bと第2外周部236Bとが互いに偏心していることを除いて、ジョイント部材23Aと同様に構成されている。
【0064】
第2外周部236Bに対して第1外周部232Bが偏心しており、シャフト21にジョイント部材23Bを第1軸芯95回りのいかなる角度で嵌合させるかによって、調整方向97におけるシャフト21の位置が調整される。
【0065】
なお、第1凹部231,231A,231Bは、シャフト21が第1軸芯95回りの連続する複数の角度で嵌合自在に構成することができる。これによって、調整方向97におけるシャフトの位置をより微細に調整することができる。
【0066】
例えば、第1凹部231,231A,231Bに雌ネジが切られ、シャフト21の第1端部211に雌ネジと噛み合う雄ネジが切られるように構成することができる。この構成では、第1軸芯95回りの所望の角度になるまで第1凹部231,231A,231Bにシャフト21をねじ込んだ状態で、接着剤等によってジョイント部材23,23A,23Bとシャフト21とが固着される。これによって、調整方向97におけるシャフト21の位置をより微細に調整することができる。
【0067】
また、第2凹部241は、貫通孔であってもよい。
【0068】
さらに、この発明のベルト搬送装置は、二次転写ユニット60や、その他の複数の張架ローラで張架された無端ベルトを回転させるベルト搬送装置に適用することができる。
【0069】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
21 シャフト
211 第1端部
213 係合凹部
22 装置フレーム
221 貫通孔
23,23A,23B ジョイント部材
231,231A,231B 第1凹部
232,232A,232B 第1外周部
233,233A,233B 係合突起部
234A,234B 第1ジョイント部
235A,235B 第2ジョイント部
236A,236B 第2外周部
24 支持部材
241 第2凹部
50 中間転写ユニット(ベルト搬送装置)
93 長手方向
94 搬送方向
95 第1軸芯
96 第2軸芯
97 調整方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの1つである従動ローラを回転自在に支持するシャフトと、
前記シャフトの長手方向の一方の端部が前記シャフトの第1軸芯回りの複数の角度で嵌合自在な第1凹部、及び前記第1軸芯に対して平行かつ同一直線上にない第2軸芯を有する第1外周部を含むジョイント部材と、
前記長手方向に貫通する貫通孔を有する装置フレームと、
前記第1外周部が前記第2軸芯回りの複数の角度で着脱自在な第2凹部を有し、前記貫通孔に対して前記長手方向に挿脱自在であって前記貫通孔に挿入時に、前記複数の張架ローラ間における前記無端ベルトの搬送方向に直交する方向において前記装置フレームの所定位置に保持される支持部材と、を備えるベルト搬送装置。
【請求項2】
前記ジョイント部材は、前記第1外周部を有する第1ジョイント部、並びに前記長手方向において前記第1ジョイント部に隣接配置されて前記第1外周部と異なる径の第2外周部及び前記第1凹部を有する第2ジョイント部を備える、請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記第2外周部は、前記第1外周部と同心円状に形成される、請求項2に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
前記第2外周部は、前記第1凹部と同心円状に形成される、請求項2に記載のベルト搬送装置。
【請求項5】
前記第1凹部は、前記シャフトが前記第1軸芯回りの段階的な複数の角度で嵌合自在に構成される、請求項1から4のいずれかに記載のベルト搬送装置。
【請求項6】
前記第1凹部に前記長手方向に一様な断面を有する係合突起部が設けられ、前記シャフトの前記端部の前記第1軸芯回りの複数の位置に前記係合突起部と係合する係合凹部が設けられる、請求項5に記載のベルト搬送装置。
【請求項7】
前記第1凹部は、前記シャフトが前記第1軸芯回りの連続する複数の角度で嵌合自在に構成される、請求項1から4のいずれかに記載のベルト搬送装置。
【請求項8】
前記第1凹部に雌ネジが切られ、前記シャフトの前記端部に前記雌ネジと噛み合う雄ネジが切られる、請求項7に記載のベルト搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のベルト搬送装置を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−88788(P2013−88788A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232413(P2011−232413)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】