説明

ベルト装置、画像形成装置及びクリーニング手段着脱方法

【課題】トナー漏れを抑えつつクリーニング手段の取り外しを行えるベルト装置、画像形成装置、及び、クリーニング手段着脱方法を提供する。
【解決手段】無端状のベルト部材5と、ベルト部材を張架する複数の張架部材とからなり装置に対して着脱可能なベルトユニットと、ベルト部材の表面に臨んで下向きに開口された回収口を有し、ベルト部材表面の付着物を前記回収口から取り込むことで除去する、装置に対して着脱可能なクリーニング手段33とを備えたベルト装置において、ベルトユニットとクリーニング手段とを一体で装置から着脱可能であると共に、装置からベルトユニットとクリーニング手段とを一体で取り外した状態でベルトユニットに対してクリーニング手段が着脱可能であり、装置からクリーニング手段と一体で取り外され前記回収口が上を向いた状態で所定の設置箇所に設置されたベルトユニットの姿勢を維持するユニット姿勢維持手段100を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられるベルトユニット、そのベルトユニットを備えた画像形成装置、及び、クリーニング手段着脱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、無端ベルト状の中間転写ベルトの水平方向に張架された張架部に沿って4つの像担持体としての感光体ドラムを並設したタンデム型の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、4つの感光体ドラム上に互いに異なる色のトナー像を形成し、各感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルト上に重ね合わせて一次転写し、中間転写ベルト上に重ね合わせたトナー像を転写紙に一括転写するものである。中間転写ベルトから転写紙にトナー像を転写した後、中間転写ベルト上に残留したトナーはクリーニング装置によって中間転写ベルト表面から除去される。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、中間転写ベルト上面に対向させてクリーング装置が配置されている。この画像形成装置では、クリーニング装置の筐体に形成した開口からクリーニングブレードを外部に覗かせて、クリーニングブレードを中間転写ベルト上面に接触させている。クリーニングブレードにより中間転写ベルト上面から除去されたトナーは、前記開口を通ってクリーニング装置内に回収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寿命に達する前にクリーニング装置を画像形成装置本体から取り外して交換することで、良好なクリーニング性を確保することができる。しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置のように、クリーニング装置を中間転写ベルト上面に対向させて配置すると、クリーニングブレードを外部に覗かせるためにクリーニング装置の筐体に形成させた開口が下向きになる。そのため、画像形成装置本体からクリーニング装置を取り外すと、クリーニング装置内に回収したトナーが重力により前記開口からクリーニング装置外に漏れだしてしまうといった問題が生じる。
【0005】
また、ベルト状の潜像担持体である感光体ベルトや転写材を搬送する搬送ベルトをクリーニングするクリーニング装置においても、上述したのと同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、トナー漏れを抑えつつクリーニング手段の取り外しを行えるベルト装置、そのベルト装置を備えた画像形成装置、及び、クリーニング手段着脱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状のベルト部材と、前記ベルト部材を張架する複数の張架部材とからなり装置に対して着脱可能なベルトユニットと、前記ベルト部材の表面に臨んで下向きに開口された回収口を有し、ベルト部材表面の付着物を前記回収口から取り込むことで除去する、装置に対して着脱可能なクリーニング手段とを備えたベルト装置において、前記ベルトユニットと前記クリーニング手段とを一体で装置から着脱可能であると共に、装置から前記ベルトユニットと前記クリーニング手段とを一体で取り外した状態で前記ベルトユニットに対して前記クリーニング手段が着脱可能であり、装置から前記クリーニング手段と一体で取り外され前記回収口が上を向いた状態で所定の設置箇所に設置された前記ベルトユニットの姿勢を維持するユニット姿勢維持手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のベルト装置において、上記ベルトユニットに対して上記クリーニング手段を固定する固定手段を有しており、前記固定手段を前記ベルトユニットのベルト下面側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のベルト装置において、ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介してベルト部材を支持する支持部材を備えており、上記固定手段は、前記支持部材の底面に設けた切り欠きと、上記クリーニング手段に設けられ前記切り欠きと係合する係合部材とからなることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2のベルト装置において、ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介してベルト部材を支持する支持部材を備えており、上記固定手段は、前記支持部材の底面に設けた第1の穴と、上記クリーニング手段に設けられた第2の穴と、前記第1の穴と前記第2の穴とに挿入され前記支持部材と前記クリーニング手段とを締結する締結部材と、からなることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4のベルト装置において、上記支持部材は、上記固定手段による固定を外した状態で上記クリーニング手段をスライド移動可能に案内するガイド部を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5のベルト装置において、上記ユニット姿勢維持手段は、上記ベルトユニットを水平な設置箇所に置いたときに、前記ベルトユニットが略水平となるように姿勢を維持することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6のベルト装置において、ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介して前記ベルト部材を支持する支持部材を備えており、上記ユニット姿勢維持手段は、前記支持部材の一部が延設されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、自らのループ内側に配設された複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、前記ベルト部材の表面に付着している付着物をクリーニングするクリーニング手段とを有するベルト装置とを備えた画像形成装置において、前記ベルト装置として請求項1、2、3、4、5、6または7のベルト装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、複数の張架部材に張架された無端状のベルト部材を有するベルトユニットと、ベルト部材上面に対向して設けられ前記ベルト部材の表面に臨んで下向きに開口された回収口を有し、ベルト部材表面の付着物を前記回収口から取り込むことで除去するたクリーニング手段とを備えるベルト装置のクリーニング手段着脱方法において、前記ベルトユニットの姿勢をベルト装置装着時から上下逆転させて前記回収口を上に向け、所定の設置箇所に前記ベルトユニットをユニット姿勢維持手段により姿勢を維持させて設置してから、前記クリーニング手段を取り外すことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、装置からベルトユニットとクリーニング手段とを一体で取り外し、クリーニング手段の回収口が上を向いた状態で、ベルトユニットの姿勢をユニット姿勢維持手段により維持させて床などの設置箇所に置くことができる。これにより、装置からベルトユニットとクリーニング手段とを一体で取り外し前記回収口が上を向いた状態でベルトユニットを床などの設置箇所に置いてから、クリーニング手段をベルトユニットから取り外すことができる。よって、クリーニング手段を取り外した際に、クリーニング手段内に回収された前記付着物が重力により前記回収口から外部に漏れ出すのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、トナー漏れを抑えつつクリーニング手段の取り外しを行えるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】装置装着時の中間転写ユニットの姿勢である天地正常状態に対して中間転写ユニットの姿勢を天地逆にして水平部に置いたときの概略図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図3】実施形態に係る画像形成装置の要部の概略構成図。
【図4】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図5】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図6】クリーニングユニットの取り付け部を示す概念図。
【図7】クリーニングユニットがついた中間転写ユニットを天地逆にして平面においた場合の概念図。
【図8】クリーニングユニットの取り付け部を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図2は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図であり、図3は本実施形態に係る画像形成装置の要部の概略構成図である。
【0013】
この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット26Y,26M,26C,26Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット26Kを例にすると、潜像担持体たる感光体ドラム1K、ドラムクリーニング装置6K、除電装置(不図示)、帯電装置2K、現像装置4K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット26Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0014】
図2において、プロセスユニット26Y,26C,26M,26Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット3が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット3は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット26Y,26M,26C,26Kにおける感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを光走査する。この光走査により、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。かかる構成においては、光書込ユニット3と、プロセスユニット26Y,26M,26C,26Kとにより、3つ以上の潜像担持体にそれぞれ互いに異なる色の可視像たるY,M,C,Kトナー像を形成するトナー像形成手段として機能している。
【0015】
帯電装置2Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム1Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体ドラム1Kの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置4KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト5上に中間転写される。ドラムクリーニング装置6Kは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム1K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム1Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット26Y,26M,26Cにおいても、同様にして感光体ドラム1Y,1M,1C上にY,C,Mトナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト5上に中間転写される。
【0016】
プロセスユニット26Y,26C,26M,26Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト5を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめるベルト装置たる中間転写ユニット32が配設されている。
【0017】
ベルト装置を構成するサービスパーツたる中間転写ユニット32やクリーニングユニット33が一体で装置本体に対して着脱可能に設けられている。中間転写ユニット32は、画像形成装置本体に設けられた不図示の中間転写ユニット位置保持ガイドによって画像形成装置本体に対し略水平に着脱が可能となっている。
【0018】
中間転写ユニット32とは、中間転写ベルト5、二次転写対向ローラでもある駆動ローラ7、テンションローラ8、一次転写ローラ9Y,9M,9C,9K、一次転写ローラ9Y,9M,9C,9Kを軸支するそれぞれに対応させて設けられた図示しない一次転写ローラアーム、クリーニングブレード対向ローラ13b、ブラシ対向ローラ13a、及び、左右側板等で構成されたものである。
【0019】
また、クリーニングユニット33は、クリーニングブレード10、固形潤滑剤11、ブラシローラ12、廃トナー搬送スクリュー18、加圧ローラ17、及び、トナー漏れ出しを防ぐ不図示のシール部材などから構成されている。
【0020】
中間転写ベルト5は、無端状のベルトであり、張架部材である駆動ローラ7、テンションローラ8により張架されており、図示しない駆動モータによって駆動され、そのプロセス速度は150[mm/sec]に調整されている。中間転写ベルト5は画像形成装置本体に装着されている状態で、上側の面が上面であり、下側の面が下面である。
【0021】
中間転写ベルト5はまた、内側に従動ローラたる一次転写ローラ9、クリーニングブレード対向ローラ13bを持っている。また、各ローラは図示しない中間転写ユニット側板によって各軸受けやアームを介して中間転写ベルト5の両側より支持されている。つまり、中間転写ベルト5は、張架部材である駆動ローラ7やテンションローラ8を介して中間転写ユニット側板に支持されている。符号100は図示しない中間転写ユニット側板の一部を上方に延設させ、中間転写ユニット32を設置箇所に設置した際の中間転写ユニット32の姿勢を維持するユニット姿勢維持部材であり、クリーニングユニット33と同じ高さになっている。
【0022】
一次転写ローラ9は、感光体ドラム1と中間転写ベルト5との接触部に配置されており、一次転写ローラ9には所定の転写バイアスが印加される。本実施例では+1800[V]が印加されるように設定されている。
【0023】
中間転写ベルト5はPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10[Ωcm]〜1012[Ωcm]、且つ、表面抵抗率を10[Ωcm]〜1013[Ωcm]の範囲となるよう調整されている。
【0024】
なお、必要に応じて中間転写ベルト5の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、 PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0025】
中間転写ベルト5の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。中間転写ベルト5の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト5の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が上記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本発明における中間転写ベルト5の体積抵抗率および表面抵抗率は上記範囲内が好ましい。
【0026】
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタ)にHRSプローブ(内側電極直径5.9[mm]、リング電極内径11[mm])を接続し、中間転写ベルト5の表裏に100[V](表面抵抗率は500[V])の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0027】
ウレタンゴムよりなる、クリーニングブレード10(クリーニング部材)は中間転写ベルト5に押し当てられ、トナーを堰き止めて清掃する構成となっている。 クリーニングしやすくする為に、固形潤滑剤11をブラシローラ12により塗布する。潤滑剤には、直鎖状の炭化水素構造を持つ、脂肪酸金属塩を用いる。
【0028】
脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸から選択される少なくとも1種以上の脂肪酸を含有し、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウムから選択される少なくとも1種以上の金属を含有する脂肪酸金属塩が挙げられる。とりわけその中でもステアリン酸亜鉛は、工業的規模で生産されかつ多方面での使用実績があることから、コストと品質安定性とおよび信頼性で、最も好ましい材料である。
【0029】
ただし、一般に工業的に使われている高級脂肪酸金属塩は、その名称の化合物単体組成ではなく、多かれ少なかれ類似の他の脂肪酸金属塩、金属酸化物、および遊離脂肪酸を含むものであり、本発明での脂肪酸金属塩もその例外ではない。
【0030】
これらの潤滑剤は微量ずつ、粉体の形態で供給されるのであるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの潤滑剤塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って塗布する方法や、トナーに外添して供給する方法等がある。ただし、トナーに外添して潤滑剤を供給する場合、その供給量が出力する画像面積に依存し、常にベルト表面全面に供給することはできない為、簡易な装置構成で、かつ、ベルト表面全面に安定に潤滑剤を供給しようとした場合、本実施例のように固形潤滑剤をブラシで削り取って塗布する方法が良い。
【0031】
固形潤滑剤11をブラシローラ12で削り取る為に、スプリングのような弾性体である潤滑剤加圧手段により、固形潤滑剤を1[N]〜4[N]の力でブラシローラ12に圧接する。固形潤滑剤11の幅は、画像幅よりも広く設定する必要があるため、294[mm]以上とする。ブラシローラ12の幅は、固形潤滑剤11を均一に削り取る為に、固形潤滑剤11の幅よりも大きくとる必要がある。ブラシローラ12には中間転写ベルト5を介して対向して設けられたブラシ対向ローラ13aが設けられている。
【0032】
また、ブラシローラ12による中間転写ベルト5への振動を抑制するために、加圧ローラ17で中間転写ベルト5を加圧している。本実施例では加圧ローラ17を中間転写ベルト5のループ外側に設けているが、中間転写ベルト5のループ内側に加圧ローラ17を設けた場合でも同様の効果を得ることができる。
【0033】
クリーニングユニット33は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード10、ブラシローラ12、固形潤滑剤11、加圧ローラ17、さらに、クリーニングブレード10でかきとったトナーを受け入れるトナー入口35、トナー入口35から受け入れたトナーを収納するトナー収容部(不図示)、からなる。なお、潤滑剤を塗布するためのブラシローラ12等は無くてもよい。また加圧ローラ17も無くてもよい。
【0034】
さらに、クリーニングユニット33は、中間転写ベルト5の上面側に設けられている。これにより、従来のように、テンションローラ8に対向させて、中間転写ユニット32の横に設ける構成よりも、装置全体の横方向のコンパクト化が可能となる。また、ベルト下面5b側に設けずに、プロセスユニット26が設けられているベルト上面5a側に設けたので、装置の高さ方向のコンパクト化も可能となる。
【0035】
また、一次転写ローラ9K,9C,9M,9Yのうちカラー用の一次転写ローラ9C,9M,9Yは、従来と同様な接離機構(図示せず)で中間転写ベルト5と接離可能となっており、フルカラーモードに一次転写ローラ9C,9M,9Yがモノクロモード時の状態から図3で示すように中間転写ベルト5に当接し、中間転写ベルト5を押し伸ばした状態でそれぞれの感光体ドラム1に中間転写ベルト5が当接して巻き付くようになっている。モノクロ用の一次転写ローラ9Kは、前記の接離機構によらずして中間転写ベルト5が巻き付いている。
【0036】
中間転写ユニット32を引き抜く際は、モノクロモードにすることでカラー用の一次転写ローラ9C,9M,9Yが感光体ドラム1と接触することを回避している。なお、いつ中間転写ユニット32を引き抜かれてもいいよう、印刷停止時にはモノクロモードにして停止する方法を採用している。
【0037】
二次転写ローラ14はステンレス鋼等の金属製芯金上に、導電性材料によって10[Ω]〜1010[Ω]の抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで構成されている。
【0038】
ここで、二次転写ローラ14の抵抗値が上記範囲を超えると電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得る為にはより高電圧を印加しなければならなくなり、電源コストの増大を招く。また、高電圧を印加するため転写部ニップ前後の空隙にて放電が起こる為、ハーフトーン画像上に放電による白ポチ抜けが発生する。逆に、二次転写ローラ14の抵抗値が上記範囲を下回ると同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる。これは、二次転写ローラ14の抵抗値が低い為、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れるが、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると単色画像では転写電流過剰となり転写効率の低減を招く。
【0039】
なお、二次転写ローラ14の抵抗値測定は、導電性の金属製板に二次転写ローラ14を設置し、芯金両端部に片側4.9[N](両側で合計9.8[N])の荷重を掛けた状態にて、芯金と前記金属製板との間に1000[V]の電圧を印加した時に流れる電流値から算出した。
【0040】
また、二次転写ローラ14は駆動ギヤ(図示しない)によって駆動力が与えられており、その周速は中間転写ベルト5の周速に対して、略同一となるよう調整されている。二次転写は定電流で制御され、本実施例ではその設定値を+30[μA]とした。
【0041】
画像形成装置本体下部には転写紙15を収納する給紙トレイ41が設けられており、給紙トレイ41に収納された転写紙15を、給紙ローラ42やレジストローラ43,44によって、中間転写ベルト5上の4色重ね画像の先端部が二次転写位置に到達するタイミングに合わせて給紙する。転写紙15に転写された4色重ね画像は、上述したように除電手段によって除電された後に不図示の定着入口ガイドに沿って定着装置16へ搬送され、ヒータ45aを内包する加熱ローラ45と加圧ローラ47とで形成される定着ニップで熱と圧力により定着されたあと排紙ローラ対48によって排紙トレイ56に排紙される。
【0042】
なお、本実施例に用いたトナーは重合法によって生成された重合トナーである。更に本実施例に用いるトナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
【0043】
図4は形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図であり、図5は形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0044】
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記数1で表される。トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0045】
【数1】

【0046】
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0047】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記数2で表される。トナーを二次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0048】
【数2】

【0049】
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0050】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0051】
また、トナー粒径は体積平均粒径で4[μm]〜10[μm]の範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなったりする。
【0052】
逆にこれよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。本実例では、トナー粒径の体積平均粒径6.5[μm]のものを用いた。
【0053】
前記のような画像形成装置において、中間転写ユニット32やクリーニングユニット33が寿命に到達した場合などには、装置本体から脱着して、交換する必要がある。一般に中間転写ユニット32の寿命より、クリーニングユニット33の寿命のほうが短い場合が多い。このため、クリーニングユニット33のみをサービスマンにより交換可能な構成とすれば両者を同時に交換するよりもコストメリットは大きくなる。
【0054】
[実施例1]
図1、図6を用いて、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外す方法について説明する。
【0055】
図1は、装置本体から中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で取り外し、装置装着時の中間転写ユニット32の姿勢である天地正常状態に対して中間転写ユニット32の姿勢を天地逆にして床などの設置箇所である水平部に置いたときの概略図であり、図6は中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にして水平部に置いたときのクリーニングユニット33の取り付け部を示す概念図である。なお、クリーニングユニット33は、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしてもトナーがトナー入口35から漏れないように不図示のシール部材でシールが施されている。
【0056】
クリーニングユニット33は、ベルト幅方向左右計4箇所のネジ34及び左右計4箇所のクリーニングユニット固定爪33aにて中間転写ユニット32に固定されている。なお、図6においては、ベルト幅方向左右の一方側の2箇所にあるネジ34やクリーニングユニット固定爪33aを示している。これにより、クリーニングユニット固定爪33aによる仮止めと、ネジ34によるネジ止めとにより、組立て性が向上し、省スペースでクリーニングユニット33を中間転写ユニット32に固定できる。
【0057】
ネジ34は中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしない状態で上部からアクセス可能な位置で、強固にクリーニングユニット33を固定することができる。一方、クリーニングユニット固定爪33aは、中間転写ユニット32やクリーニングユニット33が画像形成装置本体に装着されており中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしない状態では、装置内のクリーニングユニット固定爪33aの位置まで指が入るスペースがないため、クリーニングユニット固定爪33aを外すことができず、クリーニングユニット固定爪33aは、装置本体から中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で取り外し、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にした状態にすることで、中間転写ユニット32から外すことができる。
【0058】
よって、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外す際には、まず中間転写ユニット32やクリーニングユニット33が画像形成装置本体に装着されており中間転写ユニット32の姿勢が天地正常状態にてクリーニングユニット33を固定している左右計4本のネジ34を外し、次に中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外して中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしてクリーニングユニット33のトナー入口35が上を向いた状態で、中間転写ユニット32の姿勢をユニット姿勢維持部材100により維持させて床などの設置箇所に置き、クリーニングユニット固定爪33aを中間転写ユニット側板200に設けられた左右計4箇所の切り欠き201から外すことでクリーニングユニット33の取り外しを行う。
【0059】
なお、クリーングユニット33を中間転写ユニット32に固定しているネジ34は、中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外した後に外すことも可能であるが、床などに置かず中間転写ユニット32を天地正常状態の姿勢で作業者が保持して作業を行ったり、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にして床などに置いてから作業を行ったりすると、ネジ34の取り外し作業が行い難くなる虞がある。
【0060】
切り欠き201は、中間転写ユニット側板200のクリーニングユニット33が設けられているベルト上面5aとは反対のベルト下面5b側に設けられている。ここで、クリーニングユニット固定爪33aと側板の切り欠き201が、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32に固定するための固定手段を構成する。よって、中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外して、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32から取り外すときは、ベルト下面5b側に設けたクリーニングユニット固定爪33aと切り欠き201の係合を解除するために、中間転写ユニット32を天地逆にひっくり返す必要がある。
【0061】
このため、クリーニングユニット33のトナー入口35が中間転写ユニット32から外れる際は、常に上方を向いているため、クリーニングユニット33外へのトナー漏れを防ぐことができ、画像形成装置内(中間転写ユニット32内を含む)にトナーが漏れることで、転写紙15を汚してしまったり、画像形成機の動作不良の原因になったり、機外にトナーが漏れることで床を汚してしまったりすることを防止することが可能となる。
【0062】
クリーニングユニット固定爪33aを外す際には、中間転写ユニット32を天地逆にして行うと指示したデカル(シール、マーク)等をクリーニングユニット33の周辺に貼付しておけば、より確実に中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしてクリーニングユニット固定爪33aを外させることが可能となり、よりトナー漏れを防ぐことが可能となる。
【0063】
また、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にして設置箇所である水平部に置いた際、中間転写ユニット32もしくはクリーニングユニット33が略水平になるようにしておけば、クリーニングユニット33を取り外して中間転写ユニット32を持ち上げた際にクリーニングユニット33の姿勢変化がないため、より効果的にトナーの漏出を防ぐことが可能となる。
【0064】
本実施例では、中間転写ユニット側板200の一部であるユニット姿勢維持部材100がクリーニングユニット33と略同じ高さまで設けられているので、ユニット姿勢維持部材100とクリーニングユニット33とを水平部に着けて置くことで、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にして略水平にできる。さらに、この構成によれば、画像形成装置本体から中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で取り外し床などの設置箇所に置いた場合に、中間転写ユニット32が傾いて中間転写ベルト5に傷を付けることを防ぐこともできる。
【0065】
また、本構成においては、クリーニングユニット33が中間転写ベルト5の折り返し点に近くない場合であっても、トナーの漏出を防ぐことが可能となる。
【0066】
また、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地を逆にしてクリーニングユニット33を取り外すのは、クリーニングユニット33などのメンテナンス時であると良い。本発明を適用することでユーザの使用場所でクリーニングユニット33を取り外してもトナーがこぼれない。
【0067】
[実施例2]
図7は、クリーニングユニット33がついた中間転写ユニット32を天地正常状態から天地逆の姿勢にして平面においた場合の概念図である。
【0068】
クリーニングユニット33は、中間転写ユニット32やクリーニングユニット33が画像形成装置本体に装着されており中間転写ユニット32の姿勢が天地正常状態ではアクセスが困難な位置にあるベルト幅方向左右の計4箇所で、ネジ34により締結されて中間転写ユニット32に強固に固定されている。なお、図7においては、ベルト幅方向左右の一方側の2箇所にあるネジ34を示している。
【0069】
中間転写ユニット側板200及びクリーニングユニット33の固定部33bには、それぞれ穴が設けられている。なお、中間転写ユニット側板200に設けられた穴は不図示であり、クリーニングユニット33の固定部33bに設けられた穴は符号33cである。これら穴とネジ34とが、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32に固定するための固定手段を構成する。固定手段は、天地正常状態における中間転写ベルト5のベルト下面5b側に設けられているので、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしなければ、固定手段による固定を解除してクリーニングユニット33を中間転写ユニット32から取り外すのが困難である。
【0070】
よって、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外す際に、中間転写ユニット32の姿勢が天地正常状態では、構成上クリーニングユニット33を外すことが困難であるため、中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外して中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしてクリーニングユニット33のトナー入口35が上を向いた状態で、中間転写ユニット32の姿勢をユニット姿勢維持部材100により維持させて床などの設置箇所に置き、クリーニングユニット33を固定している左右計4本のネジ34を外して、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32からベルト張架方向(図中矢印A方向)にスライドさせて取り外しを行う。また、中間転写ユニット側板200の端部には段差が設けられており、クリーニングユニット33を図中矢印A方向にスライド可能に案内する案内部となっている。
【0071】
このため、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32から取り外す際は、常にクリーニングユニット33のトナー入口35が上方を向いているため、クリーニングユニット33外へのトナーの漏出を防ぐことができ、画像形成装置内(中間転写ユニット32内を含む)にトナーが漏れることで、転写紙15を汚してしまったり、画像形成装置の動作不良の原因になったり、機外にトナーがもれることで床を汚してしまったりすることを防止することが可能となる。
【0072】
また、クリーニングユニット33の中間転写ユニット32への取り付け部を別部品にして、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32に対してスライドせずに取り外しが可能な構成にしてもよい。
【0073】
なお、その他の構成については実施例1と同様のため、その説明を省略する。
【0074】
[実施例3]
図8はクリーニングユニット33の取り付け部を示す概念図である。
実施例1と構成は似ているが、クリーニングユニット固定爪33aが中間転写ユニット側板200のベルト下面5b側ではなく側面に設けられている点が異なる。
【0075】
クリーニングユニット33は、ベルト幅方向左右計4箇所のネジ34及び左右計4箇所のクリーニングユニット固定爪33aにて中間転写ユニット32に対して固定されている。なお、図8においては、ベルト幅方向左右の一方側の2箇所にあるネジ34やクリーニングユニット固定爪33aを示している。
【0076】
ネジ34は、中間転写ユニット32の姿勢が天地正常状態で、上方からアクセス可能な位置で中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを締結しており、強固にクリーニングユニット33を中間転写ユニット32に固定することができる。一方、クリーニングユニット固定爪33aは、中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外し、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にした状態で、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外せるようにアクセスが可能となっている。
【0077】
すなわち、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外す際には、まず中間転写ユニット32を天地正常状態にてクリーニングユニット33を固定している左右計4本のネジ34を外し、次に中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置本体から取り外して中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にし、クリーニングユニット33のトナー入口35が上を向いた状態で、中間転写ユニット32の姿勢をユニット姿勢維持部材100により維持させて床などの設置箇所に置き、クリーニングユニット固定爪33aを外すことで中間転写ユニット32からクリーニングユニット33の取り外しを行う。
【0078】
このため、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32から取り外す際は、常にクリーニングユニット33のトナー入口35が上方を向いているため、クリーニングユニット33外へのトナーの漏出を防ぐことができ、画像形成装置内(中間転写ユニット32内を含む)にトナーが漏れることで、転写紙15を汚してしまったり、画像形成機の動作不良の原因になったり、機外にトナーがもれることで床を汚してしまったりすることを防止することが可能となる。
【0079】
また、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にして行うと指示したデカル(シール、マーク)等をクリーニングユニット33の周辺に貼付しておけば、より確実に中間転写ユニット32を天地逆にしてからクリーニングユニット固定爪33aを外させることが可能となり、よりトナー漏れを防ぐことが可能となる。
【0080】
なお、その他の構成については実施例1と同様のため、その説明を省略する。
【0081】
実施例1、実施例2及び実施例3では、ベルトユニットとして中間転写ベルト5を有する中間転写ユニット32について説明したが、これに限定されない。例えば、感光体ドラム1からトナー像が直接、転写紙15に転写されるように転写紙15を表面に担持して搬送する転写紙搬送ベルト(所謂直接転写型の画像形成装置に用いられる用紙搬送ベルト)を有するベルトユニットや、ベルト状の潜像担持体である感光体ベルトを有するベルトユニットにも適用できる。
【0082】
以上、本実施形態によれば、無端状のベルト部材である中間転写ベルト5と、中間転写ベルト5を張架する複数の張架部材とからなり装置に対して着脱可能なベルトユニットである中間転写ユニット32と、中間転写ベルト5の表面に臨んで下向きに開口された回収口であるトナー入口35を有し、中間転写ベルト表面の付着物である転写残トナーをトナー入口35から取り込むことで除去する、装置に対して着脱可能なクリーニング手段であるクリーニングユニット33とを備えたベルト装置において、中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で装置から着脱可能であると共に、装置から中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で取り外した状態で中間転写ユニット32に対してクリーニングユニット33が着脱可能であり、装置からクリーニングユニット33と一体で取り外されトナー入口35が上を向いた状態で所定の設置箇所に設置された中間転写ユニット32の姿勢を維持するユニット姿勢維持手段であるユニット姿勢維持部材100を有する。本実施形態では、装置から中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを一体で取り外し、クリーニングユニット33のトナー入口35が上を向いた状態で、中間転写ユニット32の姿勢をユニット姿勢維持部材100により維持させて床などの設置箇所に置くことができる。これにより、装置から中間転写ベルト32とクリーニングユニット33とを一体で取り外しトナー入口35が上を向いた状態で中間転写ユニット32を床などの設置箇所に置いてから、クリーニングユニット33を中間転写ベルト32から取り外すことができる。よって、クリーニングユニット33を取り外した際に、クリーニングユニット33内に回収された転写残トナーが重力によりトナー入口35から外部に漏れ出すのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ユニット32に対してクリーニングユニット33を固定する固定手段を有しており、前記固定手段を中間転写ユニット32のベルト下面5b側に設けたことで、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にしないと前記固定手段を取り外し難いので、中間転写ユニット32の姿勢を天地正常状態から天地逆にせずトナー入口35が下を向いた状態でクリーニングユニット33が取り外されてしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト幅方向で中間転写ベルト5より外側に設けられ、複数の張架部材を介して中間転写ベルト5を支持する支持部材である中間転写ユニット側板200を備えており、前記固定手段は、中間転写ユニット側板200の底面に設けた切り欠き201と、クリーニングユニット33に設けられ切り欠き201と係合する係合部材であるクリーニングユニット固定爪33aとからなることで、中間転写ユニット32からクリーニングユニット33を取り外す際に、中間転写ユニット32の天地を逆にして、クリーニングユニット固定爪33aを中間転写ユニット側板200に設けられた切り欠き201から外すことでクリーニングユニット33の取り外しを行うことができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト幅方向で中間転写ベルト5より外側に設けられ、複数の張架部材を介して中間転写ベルト5を支持する支持部材である中間転写ユニット側板200を備えており、前記固定手段は、中間転写ユニット側板200の底面に設けた第1の穴と、クリーニングユニット33に設けられた第2の穴と、前記第1の穴と前記第2の穴とに挿入され中間転写ユニット側板200とクリーニングユニット33とを締結する締結部材であるネジ34とからなることで、強固にクリーニングユニット33を中間転写ユニット側板200に固定することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ユニット側板200は、前記記固定手段による固定を外した状態でクリーニングユニット33をスライド移動可能に案内するガイド部を有することで、クリーニングユニット33を中間転写ユニット32からスライドさせて取り外すことができる。
また、本実施形態によれば、ユニット姿勢維持部材100は、中間転写ユニット32を水平な設置箇所に置いたときに、中間転写ユニット32が略水平となるように姿勢を維持することで、クリーニングユニット33を取り外して中間転写ユニット32を持ち上げた際にクリーニングユニット33の姿勢変化がないため、より効果的にトナーの漏出を防ぐことが可能となる。
また、本実施形態によれば、中間転写ユニット側板200の一部を延設させてユニット姿勢維持部材100を設ければ構成を簡単にすることができる。
また、本実施形態によれば、トナー像を形成するトナー像形成手段と、自らのループ内側に配設された複数の張架部材によって張架され無端移動せしめられる無端状のベルト部材である中間転写ベルト5と、中間転写ベルト5の表面に付着している付着物である転写残トナーを除去するクリーニング手段とを有するベルト装置とを備えた画像形成装置において、前記ベルト装置として本発明の中間転写ユニット32とクリーニングユニット33とを有するベルト装置を用いたことで、クリーニングユニット33を取り外した際にクリーニングユニット33内に回収されたトナーがトナー入口35から外部に漏れ出すのを抑えられ、画像形成装置内外にトナーが飛散するのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、複数の張架部材に張架された無端状のベルト部材である中間転写ベルト5を有するベルトユニットである中間転写ユニット32と、中間転写ベルト上面5aに対向して設けられ中間転写ベルト5の表面に臨んで下向きに開口された回収口であるトナー入口35を有し、中間転写ベルト表面の付着物である転写残トナーをトナー入口35から取り込むことで除去するたクリーニング手段であるクリーニングユニット33とを備えるベルト装置のクリーニング手段着脱方法において、中間転写ユニット32の姿勢を装置装着時から上下逆転させてトナー入口35を上に向け、所定の設置箇所に中間転写ユニット32をユニット姿勢維持手段により姿勢を維持させて設置してから、クリーニングユニット33を取り外す。本実施形態では、装置から中間転写ユニット32と一体で取り外したクリーニングユニット33のトナー入口35が上を向いた状態で中間転写ユニット32の姿勢をユニット姿勢手段により維持させて床などの設置箇所に設置することができる。これにより、クリーニングユニット33を設置箇所に設置してトナー入口35が上を向いた状態でクリーニングユニット33を中間転写ユニット32から取り外すことができる。よって、トナー入口35が下を向いた状態でクリーニングユニット33を取り外す場合よりも、トナー入口35が上を向いている分、クリーニングユニット33取り外した際にクリーニングユニット33内に回収されたトナーがトナー入口35から外部に漏れ出すのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 光書込ユニット
4 現像装置
5 中間転写ベルト
5a ベルト上面
5b ベルト下面
6 ドラムクリーニング装置
7 駆動ローラ
8 テンションローラ
9 一次転写ローラ
10 クリーニングブレード
11 固形潤滑剤
12 ブラシローラ
13a ブラシ対向ローラ
13b クリーニングブレード対向ローラ
14 二次転写ローラ
15 転写紙
16 定着装置
17 加圧ローラ
18 廃トナー搬送スクリュー
26 プロセスユニット
32 中間転写ユニット
33 クリーニングユニット
33a クリーニングユニット固定爪
33b 固定部
33c 穴
34 ネジ
35 トナー入口
41 給紙トレイ
42 給紙ローラ
43 レジストローラ
44 レジストローラ
45 加熱ローラ
45a ヒータ
47 加圧ローラ
48 排紙ローラ対
56 排紙トレイ
100 ユニット姿勢維持部材
200 中間転写ユニット側板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2008−40403号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルト部材と、前記ベルト部材を張架する複数の張架部材とからなり装置に対して着脱可能なベルトユニットと、
前記ベルト部材の表面に臨んで下向きに開口された回収口を有し、ベルト部材表面の付着物を前記回収口から取り込むことで除去する、装置に対して着脱可能なクリーニング手段とを備えたベルト装置において、
前記ベルトユニットと前記クリーニング手段とを一体で装置から着脱可能であると共に、装置から前記ベルトユニットと前記クリーニング手段とを一体で取り外した状態で前記ベルトユニットに対して前記クリーニング手段が着脱可能であり、
装置から前記クリーニング手段と一体で取り外され前記回収口が上を向いた状態で所定の設置箇所に設置された前記ベルトユニットの姿勢を維持するユニット姿勢維持手段を有することを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
請求項1のベルト装置において、
上記ベルトユニットに対して上記クリーニング手段を固定する固定手段を有しており、前記固定手段を前記ベルトユニットのベルト下面側に設けたことを特徴とするベルト装置。
【請求項3】
請求項2のベルト装置において、
ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介してベルト部材を支持する支持部材を備えており、
上記固定手段は、前記支持部材の底面に設けた切り欠きと、上記クリーニング手段に設けられ前記切り欠きと係合する係合部材とからなることを特徴とするベルト装置。
【請求項4】
請求項2のベルト装置において、
ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介してベルト部材を支持する支持部材を備えており、
上記固定手段は、前記支持部材の底面に設けた第1の穴と、上記クリーニング手段に設けられた第2の穴と、前記第1の穴と前記第2の穴とに挿入され前記支持部材と前記クリーニング手段とを締結する締結部材と、からなることを特徴とするベルト装置。
【請求項5】
請求項3または4のベルト装置において、
上記支持部材は、上記固定手段による固定を外した状態で上記クリーニング手段をスライド移動可能に案内するガイド部を有することを特徴とするベルト装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のベルト装置において、
上記ユニット姿勢維持手段は、上記ベルトユニットを水平な設置箇所に置いたときに、前記ベルトユニットが略水平となるように姿勢を維持することを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項6のベルト装置において、
ベルト部材幅方向で上記ベルト部材より外側に設けられ、複数の張架部材を介して前記ベルト部材を支持する支持部材を備えており、
上記ユニット姿勢維持手段は、前記支持部材の一部が延設されたものであることを特徴とするベルト装置。
【請求項8】
トナー像を形成するトナー像形成手段と、
自らのループ内側に配設された複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、前記ベルト部材の表面に付着している付着物をクリーニングするクリーニング手段とを有するベルト装置とを備えた画像形成装置において、
前記ベルト装置として請求項1、2、3、4、5、6または7のベルト装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
複数の張架部材に張架された無端状のベルト部材を有するベルトユニットと、ベルト部材上面に対向して設けられ前記ベルト部材の表面に臨んで下向きに開口された回収口を有し、ベルト部材表面の付着物を前記回収口から取り込むことで除去するたクリーニング手段とを備えるベルト装置のクリーニング手段着脱方法において、
前記ベルトユニットの姿勢をベルト装置装着時から上下逆転させて前記回収口を上に向け、所定の設置箇所に前記ベルトユニットをユニット姿勢維持手段により姿勢を維持させて設置してから、前記クリーニング手段を取り外すことを特徴とするクリーニング着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−108386(P2012−108386A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258220(P2010−258220)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】