説明

ベローズ機構

【課題】ベローズの伸縮方向に対して交差する方向の振動を吸収できるようにすること。
【解決手段】ベローズ機構10は、真空チャンバ408と真空チャンバに収納された収納ケーシング422との間に位置するベローズ101と、真空チャンバとベローズとを接続するフランジ102と、フランジにベローズの伸縮方向に沿って貫通した一対のスリット114同士の間に形成されてベローズに対して真空チャンバがベローズの伸縮方向に対して交差する方向へ振動するのを許容する薄肉部115と、スリットの開口端を塞いで真空チャンバの外部と内部を遮蔽するゴムシート107と、を備えている。圧力チャンバがベローズの伸縮方向へ振動するのをベローズで吸収し、圧力チャンバがベローズの伸縮方向に対して交差する方向へ振動するのを薄肉部で吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力チャンバと圧力チャンバ内の被収納体との間に設けられたベローズによって、圧力チャンバの外部と内部との圧力差を保持し、かつ圧力チャンバの振動が被収納体に伝達されるのを阻止するベローズ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部と外部に圧力差のある圧力チャンバを備えた装置は、その圧力差を保持しながら外部から内部の構造物(被収納体)を駆動等できるようにする場合がある。圧力チャンバには、内部を高圧にする高圧チャンバ、低圧にする低圧チャンバ、真空にする真空チャンバ等がある。このような装置において、圧力チャンバの振動が内部の構造物に伝わらないように、高精度に除振する除振器を圧力チャンバ内に備えている場合があった。高精度に除振及び低周波の除振にはアクティブ型の除振器がある。
【0003】
圧力チャンバ内に除振器を備えると、圧力チャンバを大きくする必要があるとともに、除振器に圧力チャンバ内の加圧力や真空圧に対応した圧力対応機能を備える必要がある。ところが、除振器は、圧力対応機能を付加されて圧力チャンバ内で使用されると、大気中で使用する場合と比較して、除振性能が劣ることがあった。
【0004】
そこで、除振器は、圧力チャンバの外に配置するのが望ましい。除振器が圧力チャンバの外に配置された場合、除振器と圧力チャンバとの間に構造物の一部分を内在させたベローズを設けていた。このベローズは、圧力チャンバの内部と外部とを遮断し、かつ圧力チャンバの振動や、除振器の変位を吸収して、圧力チャンバ内の構造物に伝達するのを防止するようになっている。
【0005】
一般に、ベローズは、圧力チャンバの内部と外部との圧力差に耐える金属製である。金属製のベローズは、ベローズの伸縮方向に対して交差する方向に弾性変形しにくい形状になっている。このため、ベローズは、伸縮方向に対して交差する方向の圧力チャンバの振動を吸収することが困難であった。
【0006】
そこで、図6に示す特許文献1に記載の部材A,B間に設けられたベローズ機構900のベローズ901は、伸縮方向の剛性を弱くして、伸縮方向に対して交差する方向に弾性変形をし易くしてある。そして、図6のベローズ機構900は、ベローズ901の伸縮方向の剛性が低いのを補助する支持部920を備えている。支持部920は、先端同士が突き合わされた一対の突片921,922で構成されて、ローズ機構の伸縮方向のへの最小限度の剛性を確保し、かつベローズ901が一対の突片921,922の接点を支点として回転できる構造になっている。このため、一対の突片921,922の一方の先端部921aはV字状の先鋭な先端に形成され、他方の先端922aは先鋭な先端を受け入れるV字状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−125309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のベローズ機構900は、一対の突片の一方の先端部921aをV字状の先鋭な先端に形成し、他方の先端922aを先鋭な先端を受け入れるV字状に形成しても、ベローズの伸縮方向に対して交差する方向への振動を許容するが困難であった。
【0009】
また、従来のベローズ機構900は、ベローズ901の伸縮方向の剛性を弱くし過ぎると、ベローズの伸縮方向の振動を吸収するが困難になる。また、剛性を強くし過ぎると、交差する方向の振動を吸収することが困難になる。このため、従来のベローズ機構900は、ベローズ901の剛性の設定が困難であった。
【0010】
本発明は、ベローズに圧力チャンバ内外の圧力差を保たせ、かつベローズに伸縮方向の振動を吸収させても、伸縮方向に対して交差する方向の振動を吸収できるベローズ機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のベローズ機構は、圧力チャンバと前記圧力チャンバに収納された被収納体との間に位置するベローズによって、前記圧力チャンバの外部と内部との圧力差を保持するようになっており、前記圧力チャンバと前記ベローズとを接続する接続部材と、前記接続部材に前記ベローズの伸縮方向に沿って貫通した一対の貫通部同士の間に形成されて前記ベローズに対して前記圧力チャンバが前記ベローズの伸縮方向に対して交差する方向へ振動するのを許容する薄肉部と、前記貫通部の開口端を塞いで前記圧力チャンバの外部と内部を遮蔽する遮蔽手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のベローズ機構は、圧力チャンバがベローズの伸縮方向へ振動するのをベローズで吸収し、圧力チャンバがベローズの伸縮方向に対して交差する方向へ振動するのを薄肉部で吸収することができる。このため、本発明のベローズ機構は、圧力チャンバの振動を振動方向に応じてベローズと薄肉部とで分担して吸収することができ、かつベローズの剛性を設定し易いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のベローズ機構の平面図である。
【図2】図1のD−D矢視断面図である。
【図3】本発明の実施形態のベローズ機構を備えた干渉計測装置の断面図である。
【図4】遮蔽手段としてのゴムシートの代わりにグリース保持部を使用した場合の図であり、図2に相当する図である。
【図5】遮蔽手段としてのゴムシートの代わりに磁性流体保持部を使用した場合の図であり、図2に相当する図である。
【図6】従来例の図である。(A)は、断面図である。(B)は、支持部を矢印C方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のベローズ機構を図1乃至図3の記載に基づいて説明をする。
【0015】
図1は、本発明の実施形態のベローズ機構の平面図である。図2は、図1のD−D矢視断面図である。図3は、本発明の実施形態のベローズ機構を備えた干渉計測装置の断面図である。
【0016】
図3に示すように、ベローズ機構10は、干渉計測装置400の外側に設けられている。ベローズ機構10は、圧力チャンバとしての真空チャンバ408と真空チャンバ408に収納された被収納体としての収納ケーシング422との間で、真空チャンバ408の外側に設けられている。ベローズ機構10は、真空チャンバ408の振動が干渉計システム411に伝達するのを阻止するようになっている。干渉計測装置400は、後述する。
【0017】
以下、図3に示す除振器409を介して真空チャンバ408と干渉計システム411との間に設けられているベローズ機構10を図1、図2に基づいて説明する。
【0018】
ベローズ機構10は、ベローズ101と、フランジ102及びゴムシート107等を備えている。
【0019】
除振器409(図3)のハウジング409Aには、干渉計システム411を支持する支柱413が設けられている。ベローズ101(図2)は、支柱413を収納して伸縮可能な金属製の筒状の部材である。ベローズ101の下端は、取付板103に隙間が生じないように接続されている。取付板103は、支柱413が貫通するリング状の平板であり、ボルト109によって除振器409のハウジング409Aに固定されている。したがって、ベローズ101の下端は、除振器409のハウジング409Aと支柱413を介して干渉計システム411の収納ケーシング422に接続されていることになる。支柱413(図3)は、真空チャンバ408の貫通孔415を貫通している。
【0020】
ベローズ101の上端は、接続部材としてのフランジ102に、中間部材116、ボルト110によって隙間なく接続されている。フランジ102は、ボルト108によって真空チャンバ403の収納ケーシング422に設けられている。中間部材116は、支柱413が貫通するリング状の平板である。
【0021】
フランジ102は、ベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xの離間した位置で真空チャンバ408とベローズ101とを接続している。フランジ102は、支柱413が貫通するリング状の平板である。フランジ102には、ベローズ101の伸縮方向Yに沿って貫通した一対の貫通部としてのスリット114が複数組形成されている。
【0022】
スリット114同士(貫通部同士)の間には、ベローズ101に対して真空チャンバ408がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xへ振動するのを許容する薄肉部115(図1、図2)が形成されている。スリット114と薄肉部115は、互いに交差する向きに複数形成されている必要がある。本実施形態のスリット114と薄肉部115は、図1において、左右方向X1に向いたスリット及び薄肉部と、左右方向に対して直角な方向X2に向いたスリット及び薄肉部とが、略4角形状に配置されている。
【0023】
これによって、図1において、X1方向の振動は、X2方向を向いた薄肉部が吸収し、X2方向の振動は、X1方向を向いた薄肉部で吸収し、その他の方向の振動は、両方の薄肉部で吸収するようになっている。本実施形態のスリット114と薄肉部115は、略4角形状に配置されているが、角数の多い多角形状程、あらゆるX方向の振動を吸収しやすい。このため、スリット114と薄肉部115の配置関係は、図1に示す略4角形状に限定しない。
【0024】
遮蔽手段、弾性シートとしてのゴムシート107は、スリット114の開口端114aを塞いで真空チャンバ408の外部と内部を遮蔽している(リークを防止している)。ゴムシート107は、支柱413が貫通するリング状の平板であり、外周端部107aと内周端部107bとが、フランジ102に隙間が無いように取り付けられている。ゴムシート107は、フランジ102がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xに弾性変形したとき、フランジ102の弾性変形に追従して伸縮し、スリット114の開口端114aを常時塞いでいるようになっている。
【0025】
受け止め部材としての受け止め板120は、真空チャンバ408に固定されて、支柱413が貫通するリング状の平板である。受け止め板120は、真空チャンバ408側から薄肉部115(図2)を越えて延長した延長端部120bを有し、延長端部120bでフランジ102に作用するベローズ101の弾力を受け止めるようになっている。
【0026】
また、受け止め板120は、ベローズ101の弾力を受け止めるとともに、真空チャンバ408内の圧力変化によってフランジ102が真空チャンバ408内に変形するのを防止する役目もしている。受け止め板120は、リング状の平板であるから、外周端部120a(図2)がボルト108によって、Oリング104を介在させて真空チャンバ408にフランジ102と共締めされている。Oリング104は、真空チャンバ408の密閉度を高めるために設けられている。
【0027】
また、受け止め板120の延長端部120bには、フランジ102に接触するリング状のボールガイド105が設けられている。ボールガイド105は、フランジ102がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xに弾性変形したとき、フランジ102が交差方向Xに弾性変形するのを許容するために設けられている。なお、受け止め板120は、ゴムと金属板を重ねた積層ゴムであってもよい。この場合、ボールガイド105は、必ずしも必要ない。
【0028】
図3は、干渉計測装置400の断面図である。干渉計測装置400は、真空チャンバ408とフィゾー干渉計システム411とで構成されている。干渉計測装置400は、測定環境を真空にすることで空気の揺らぎを抑えて、測定ワークWの形状を高精度に測定する装置である。
【0029】
干渉計本体401から出射されたレーザ光Lは、折り曲げミラー402によって90度屈折される。屈折されたレーザ光は、真空窓410とピエゾ機構412とを通過して、透過球面原器(TS)403で一部を反射され、残りは測定ワークWで反射される。透過球面原器(TS)403及び測定ワークWからの反射光は、再び真空窓410、折り曲げミラー402を通過して、干渉計本体401に戻る。この2つの反射光は、干渉計本体401内で干渉する。
【0030】
干渉計システム411は、2つの反射光の干渉状態を不図示のCCDカメラで撮像し、コンピュータ405で解析することで測定ワークWの形状を測定することができる。透過球面原器(TS)403は、ピエゾ機構412により光軸方向に一定量変化させることで、より高精度な測定を可能にしている。
【0031】
また、空気の揺らぎによる測定精度劣化を無くすために、透過球面原器43と測定ワークWは収納ケーシング422内に納められ、収納ケーシング422は真空チャンバ408内に収められて、真空環境に保たれている。干渉計システム411は、除振器409により除振され、ベローズ機構10により防振されている。
【0032】
以上の構成の内、干渉計本体401、折り曲げミラー402、透過球面原器(TS)403、収納ケーシング422、ピエゾ機構412及び測定ワークWは、干渉計システム411として一体化されている。収納ケーシング422内には、ピエゾ機構412と測定ワークWとが収納されている。
【0033】
ところで、真空チャンバ408は床Fに支柱416によって支持されている。除振器409、干渉計システム411、真空チャンバ408はベローズ機構10を介して接続されている。通常、真空チャンバ408の上下方向(伸縮方向)Yの振動や変位は、ベローズ101の収縮により吸収される。しかし、ベローズ101の横(水平)方向Xの剛性が非常に大きいため、真空チャンバ408の横(水平)方向Xの振動や変位はベローズ101で吸収することができない。
【0034】
このため、真空チャンバ408の振動は、干渉計システム411に直接伝わる。これにより、除振器409上の干渉計システム411が直接加振されて、除振器409は、真空チャンバ408の振動を除振することができず除振器本来の性能を発揮することができない。
【0035】
そこで、本発明のベローズ機構10(図2)は、真空チャンバ408の上下方向Yの振動をベローズ101が同方向Yに伸縮して吸収し、薄肉部115(図1、図2)で横(水平)方向Xへの振動を吸収するようになっている。
【0036】
図1、図2において、真空チャンバ408がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xに振動すると、フランジ102が薄肉部115で交差方向Xに弾性変形するため、薄肉部115によって交差方向Xの振動が吸収される。この場合、薄肉部115の厚みを変えることによって、交差方向Xの振動を最適に吸収することができる。これにより、ベローズ機構10は、除振器409に除振器本来の除振性能を発揮させることができて、干渉計測装置400の測定性能を向上させることができる。
【0037】
また、薄肉部115の弾性変形によってフランジ102がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xに弾性変形することがあっても、ゴムシート107がスリット114の開口端114aを塞いでいる。このため、ベローズ機構10は、真空チャンバ408内の圧を一定に保つことができる。
【0038】
さらに、真空チャンバ408の内外圧の差やベローズ101の弾力によってフランジ102が真空チャンバ408内へ撓むのを受け止め板120で受け止めて、フランジ102の撓みを防止している。この場合、受け止め板120は、ボールガイド105を介してフランジ102に接触している。
【0039】
このため、薄肉部115の弾性変形によってフランジ102がベローズ101の伸縮方向Yに対して交差する方向Xに弾性変形することがあっても、フランジ102の弾性変形を自由にさせることができる。よって、ベローズ機構10は、真空チャンバ408の振動を吸収する率が高い構成になっている。
【0040】
これらのことによって、真空環境下でも除振器409の性能を発揮でき、干渉計測装置400は、高精度な測定を行うことができる。
【0041】
以上説明したベローズ機構10は、干渉計本体401(図3)を支持する支持板420と、真空チャンバ408との間に設けてもよい。この場合も、ベローズ機構10のフランジ102は真空チャンバ408に設けられ、取付板103は支持板420に設けられている。支持板420は、干渉計システム411に支持軸421に支持されている。この場合のベローズ機構10も真空チャンバ408の振動を吸収して干渉計システム411に伝達するのを防止することができる。
【0042】
なお、以上説明したベローズ機構10は、真空チャンバ408内部と外部との圧力差によるスリット114を通じて外気が真空チャンバ408に侵入するのをゴムシート107(図2)で防いでいるが、他の機構によって防いでもよい。
【0043】
図4は、遮蔽手段としてのゴムシート107の代わりにグリース保持部200を使用した場合の図である。グリース保持部200は、フランジ102にボルト110で固定されてスリット114の開口端114aを覆って延長した延長板203と、フランジと延長板203の延長端部203aとの間に設けられてグリースGを保持するグリース溜204とで構成されている。
【0044】
延長板203は、支柱413が貫通するリング状の平板である。このため、延長端部203aは、延長板203の外周端部に相当する。グリース溜204は、延長板203の延長端部203aとフランジ102とに互いに入り組むように形成された櫛歯状部203c,102cと、櫛歯状部に溜められたグリースGとで構成されている。櫛歯状部203c,102cは、支柱413を中心にしてリング状に形成されている。
【0045】
なお、グリース保持部200は、延長板203の延長端部203aをフランジ102に固定し、延長端部としての内周端部203bとフランジ102との間にグリース溜204を設けてもよい。
【0046】
以上のグリース保持部200は、グリース溜204によって、真空チャンバ408の内部と外部とを遮断している。また、グリース保持部200は、フランジ102が薄肉部115の弾性変形にともなって矢印X方向に弾性変形しても、櫛歯状部203c,102c同士の隙間によってフランジ102の弾性変形を許容して、薄肉部115で振動を吸収しやすくすることができる。
【0047】
図5は、ゴムシート107の代わりに遮蔽手段としての磁性流体保持部300を使用した場合の図である。磁性流体保持部は、フランジ102にボルト110で固定されてスリット114の開口端114aを覆って延長した延長板303と、フランジ102と延長板303の延長端部303aとの間に設けられて磁性流体Jを保持する磁性流体溜304とで構成されている。延長板303は、支柱413が貫通するリング状の平板である。
【0048】
このため、延長端部303aは、延長板303の外周端部に相当する。磁性流体溜304は、フランジ102に設けられた磁石301と、磁石301と延長板303の延長端部303aとの間に磁石310の磁力によって保持されて溜められた磁性流体Jとで構成されている。磁石301は、支柱413を中心にしてリング状に形成されている。
【0049】
なお、磁性流体保持部300は、延長板303の延長端部303aをフランジ102に固定し、延長端部としての内周端部303bとフランジ102との間に磁性流体溜304を設けてもよい。
【0050】
以上の磁性流体保持部300は、磁性流体Jによって、真空チャンバ408の内部と外部とを遮断している。また、磁性流体保持部300は、フランジ102が薄肉部115の弾性変形にともなって矢印X方向に弾性変形しても、磁性流体Jによってフランジ102の弾性変形を許容して、薄肉部115で振動を吸収しやすくすることができる。
【0051】
以上の説明における圧力チャンバは、真空チャンバであったが、チャンバ内を大気圧より高くする高圧チャンバ、大気圧よりやや低くする低圧チャンバもあり、圧力チャンバは、真空チャンバに限定されるものではない。なお、高圧チャンバにチャンバ機構を適用する場合、遮蔽手段としてのゴムシート107、グリース保持部200及び磁性流体保持部300は、高圧ハウジング内に設ける必要がある。また、受け止め板120は、高圧ハウジングの外部に設ける必要がある。
【符号の説明】
【0052】
10:ベローズ機構、101:ベローズ、102:フランジ(接続部材)、107:ゴムシート(遮蔽手段、弾性シート)、114:スリット(貫通部)、114a:開口端、115:薄肉部、120:受け止め板(受け止め部材)、120a:外周端部、120b:延長端部、200:グリース保持部(遮蔽手段)、201:櫛歯形状、203:延長板、203a:延長端部、204:グリース溜、300:磁性流体保持部(遮蔽手段)、301:磁石
303:延長板、303a:延長端部、304:磁性流体溜、400:干渉計測装置、401:干渉計本体、405:コンピュータ、408:真空チャンバ(圧力チャンバ)、409:除振器、411:干渉計システム、422:収納ケーシング(被収納体)、G:グリース、J:磁性流体、L:レーザ光、X:ベローズの伸縮方向に対して交差する方向、Y:ベローズの伸縮方向、W:測定ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力チャンバと前記圧力チャンバに収納された被収納体との間に位置するベローズによって、前記圧力チャンバの外部と内部との圧力差を保持するベローズ機構において、
前記圧力チャンバと前記ベローズとを接続する接続部材と、
前記接続部材に前記ベローズの伸縮方向に沿って貫通した一対の貫通部同士の間に形成されて前記ベローズに対して前記圧力チャンバが前記ベローズの伸縮方向に対して交差する方向へ振動するのを許容する薄肉部と、
前記貫通部の開口端を塞いで前記圧力チャンバの外部と内部を遮蔽する遮蔽手段と、を備えた、
ことを特徴とするベローズ機構。
【請求項2】
前記薄肉部は、互いに交差する向きに複数形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベローズ機構。
【請求項3】
前記圧力チャンバに固定されて前記薄肉部を越えて延長した延長端部を有し、前記延長端部で前記接続部材に作用する前記ベローズの弾力を受け止める受け止め部材を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズ機構。
【請求項4】
前記遮蔽手段が、前記接続部材に固定されて前記貫通部の開口端を密閉する弾性シートである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズ機構。
【請求項5】
前記遮蔽手段が、前記接続部材に固定されて前記貫通部の開口端を覆って延長した延長板と、前記接続部材と前記延長板の延長端部との間に設けられてグリースを保持するグリース溜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズ機構。
【請求項6】
前記遮蔽手段が、前記接続部材に固定されて前記貫通部の開口端を覆って延長した延長板と、前記接続部材と前記延長板の延長端部との間に設けられて磁性流体を保持する磁性流体溜とを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−149676(P2012−149676A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7501(P2011−7501)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】