説明

ベンゾトリフルオリド類の製造方法

【課題】 ベンゾトリフルオリド類の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 フッ化カリウムおよび銅塩存在下、トリアルキルトリフルオロメチルシラン類をヨードベンゼン誘導体と反応させ医農薬や機能性材料などの製造中間体として有用なベンゾトリフルオリド類を製造する方法において、ニトリル系溶媒中ピリジン誘導体を用いて効率よく製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾトリフルオリド類の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベンゾトリフルオリド類は、医農薬や機能性材料などの製造中間体として極めて重要な化合物である。トリアルキルトリフルオロメチルシランを用いて、ハロゲン化アリールのハロゲン原子をトリフルオロメチル基で置換するベンゾトリフルオリド類の製造方法はいくつか報告されている。
【0003】
非特許文献1には、トリエチルトリフルオロメチルシランと銅塩存在下ヨウ化アリール類をトリフルオロメチル化する方法が開示されている。この方法は、化学両論量以上の銅塩を使用し、触媒量の銅塩では収率が低下することから経済的にも非効率な方法である。さらに、工業的に入手が不可能なトリエチルトリフルオロメチルシランを使用していること、反応には極性溶媒を使用しており後処理等が煩雑であることから、本方法は実用的(工業的)な方法とは言い難い。
【0004】
非特許文献2には、トリエチルトリフルオロメチルシランと触媒量の塩化銅および1、10−フェナントロリン存在下ヨウ化アリール類をトリフルオロメチル化する方法が開示されている。しかしながら、本方法は工業的に入手が不可能なトリエチルトリフルオロメチルシランを使用していること、反応基質が電子吸引性基を有するヨウ化アリール類に限定されておりかつ収率が50%程度であること、さらにジメチルアセトアミド中、高温(110℃)での反応が必要としていることから、工業的製造方法としては経済性に欠ける。
【非特許文献1】Tetrahderon Letters、32巻、91−94ページ、1991年
【非特許文献2】日本化学会第88春季年会講演要旨集、1317ページ、2008年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、医農薬や機能性材料などの製造中間体として有用なベンゾトリフルオリド類の簡便で効率のよい経済的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討を重ねた結果、トリアルキルトリフルオロメチルシラン、フッ化カリウムおよび銅塩を用いたヨードベンゼン類のトリフルオロメチル化反応が、ピリジン誘導体存在下に効率的に進行することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、一般式(1)
【0007】
【化6】

【0008】
[式中、R、R及びRは各々独立に炭素数1から4のアルキル基を示す。]で表されるトリアルキルトリフルオロメチルシラン類を、フッ化カリウム、及び下記一般式(2)
【0009】
【化7】

【0010】
[式中、Xはハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数2から4のアシルオキシ基を示す。]で表される一価の銅塩存在下、一般式(3)
【0011】
【化8】

【0012】
[式中、nは1または2を示し、Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2から4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2から4のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、置換されていてもよい炭素数2から5のアシル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nが2の時、Yは同一または相異なっていてもよい。]で表されるヨードベンゼン誘導体とを反応させ、一般式(4)
【0013】
【化9】

【0014】
[式中、Yおよびnは前記と同じ内容を示す。]で表されるベンゾトリフルオリド類の製造方法において、一般式(5)
【0015】
【化10】

【0016】
[式中、Rは置換されていてもよい4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基または炭素数3から7のN,N−ジアルキルアミノメチル基を示す。Rは水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基または炭素数3から7のN,N−ジアルキルアミノメチル基を示す。R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数2から6のジアルキルアミノ基を示す。]で表されるピリジン誘導体の共存下でニトリル系溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式(4)で表されるベンゾトリフルオリド類の製造方法に関するものである。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0017】
、R及びRで示される炭素数1から4のアルキル基としては、直鎖状、環状もしくは分岐状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基等を例示することができる。R、R及びRは収率がよい点でメチル基またはエチル基が望ましく、メチル基がさらに望ましい。
【0018】
、R、R及びRで示される置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基としては、直鎖状、環状もしくは分岐状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基等を例示することができる。また、これらのアルキル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等が例示できる。
【0019】
Yで示される置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基としては、直鎖状、環状もしくは分岐状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基等を例示することができる。また、これらのアルキル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等が例示できる。
【0020】
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示できる。収率がよい点でヨウ素原子または臭素原子が望ましく、ヨウ素原子がさらに望ましい。
【0021】
Yで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示できる。
【0022】
Xで示される置換されていてもよい炭素数2から4のアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基等を例示することができる。
【0023】
Yで示される置換されていてもよい炭素数2から4のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等を例示することができる。また、これらのアルケニル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、1,2,2−トリクロロビニル基、1,2,2−トリフルオロビニル基、1,1,2,3,3−ペンタクロロアリル基、1,1,2,3,3−ペンタフルオロビニル基等が例示できる。
【0024】
Yで示される置換されていてもよい炭素数2から4のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、1−ブチン−3−イル基、2−ブチニル基等を例示することができる。また、これらのアルキニル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、1,1−ジクロプロパルギル基、1,1−ジフルオロプロパルギル基等が例示できる。
【0025】
、R及びRで示される置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基等が例示できる。また、これらのアルコキシは、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が例示できる。
【0026】
Yで示される置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基等が例示できる。また、これらのアルコキシ基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が例示できる。
【0027】
Yで示される置換されていてもよい炭素数2から5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を例示することができる。また、これらのアルコキシカルボニル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基等が例示できる。
【0028】
Yで示される置換されていてもよい炭素数2から5のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等を例示することができる。また、これらのアシル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、具体的には、2,2,2−トリクロロアセチル基、2,2,2−トリフルオロアセチル基、3,3,3−トリフルオロプロピオニル基等が例示できる。
【0029】
及びRで示される置換されていてもよい4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基の置換基としては、炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基等を例示することができる。具体的には、4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、4−イソプロピル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、4−tert−ブチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、4−メチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基等を例示することができる。収率がよい点で、4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基が望ましい。
【0030】
及びRで示される炭素数3から7で示されるN,N−ジアルキルアミノメチル基としては、直鎖状、環状もしくは分岐状のいずれであってもよく、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジエチルアミノメチル基、N,N−ジプロピルアミノメチル基、N,N−ジイソプロピルアミノメチル基、ピロリジン−1−イルメチル基、ピペリジン−1−イルメチル基等を例示することができる。収率がよい点でN,N−ジメチルアミノメチル基が望ましい。
【0031】
、R及びRで示される炭素数2から6のジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基等を例示することができる。
【0032】
ピリジン誘導体(5)として、2,6−ビス(4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)ピリジン、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)−6−メチルピリジン、2,6−ビス(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジンを用いることが望ましい。
【0033】
Yとして、電子求引性置換基を用いることが望ましい。具体的には、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基を例示できる。
【0034】
次に、本発明の製造方法について、詳しく述べる。
【0035】
本発明の原料であるトリアルキルトリフルオロメチルシラン(1)は一部市販されているが、文献記載の方法またはそれに準じた方法により調製することができる。(非特許文献−3)。
【非特許文献3】Tetrahderon Letters、25巻、2195−2198ページ、1984年 本発明の原料であるピリジン誘導体は一部市販されているが、文献記載の方法またはそれに準じた方法により調製することができる。(非特許文献−4、5)。
【非特許文献4】Organometallics、10巻、500−508ページ、1991年
【非特許文献5】Organometallics、13巻、3244−3258ページ、1994年
【0036】
本反応はニトリル系溶媒中で行うことが必須であり、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ピバロニトリル等のニトリル系溶媒を例示でき、上記の溶媒のうち2種類以上を混合しても差し支えない。収率がよい点で、アセトニトリルを用いることが望ましい。ニトリル系溶媒中で反応を行うと、従来法より温和な条件で収率よく目的物が得られる。非特許文献2に開示されているジメチルアセトアミド中で本製造工程を行うと、収率の極端な低下が起こることより、本願の製造方法は、温和な条件で反応目的物を効率的に得られる製造方法と言える(比較例2−3参照。)
ヨードベンゼン誘導体(3)とトリアルキルトリフルオロメチルシラン(1)とのモル比は、1:1から1:10が望ましく、収率がよい点で1:1から1:2がさらに望ましい。
【0037】
ヨードベンゼン誘導体(3)とフッ化カリウムとのモル比は、1:1から1:10が望ましく、収率がよい点で1:1から1:2がさらに望ましい。
【0038】
ヨードベンゼン誘導体(3)と銅塩(2)とのモル比は、1:1から1:0.01が望ましく、収率がよい点で1:0.2から1:0.01がさらに望ましい。
【0039】
ヨードベンゼン誘導体(3)とピリジン誘導体(5)とのモル比は、1:1から1:0.01が望ましく、収率がよい点で1:0.2から1:0.01がさらに望ましい。本製造方法においてピリジン誘導体(5)の使用は必須条件である。非特許文献2に開示されている1、10−フェナントロリンと比して、ピリジン誘導体(5)を使用する本願の製造方法は、反応の条件が温和であり、目的物の収率が上昇することから効率的な製造方法と言える(比較例1参照)。また、非特許文献2に開示されている、アセトアミド溶媒中、1,10−フェナントロリンを使用するという溶媒−リガンドの組み合わせに比して、本願のニトリル系溶媒中、ピリジン誘導体を使用するという溶媒−リガンドの組み合わせは、温和な条件で反応目的物を効率的に得られる製造方法と言える(比較例4−5参照。)
【0040】
反応温度は、0℃から100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。収率がよい点で20℃以上から80℃の範囲が望ましい。
【0041】
反応は、大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素等の不活性ガスでもよいが、空気中でも充分に進行する。
【0042】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、医農薬や機能性材料などの製造中間体として有用なベンゾトリフルオリド類を効率よく製造する方法として有効である。
【実施例】
【0044】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
【化11】

【0046】
パイレックス(登録商標)管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(58mg、1.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率89%)の生成を確認した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、4−ニトロベンゾトリフルオリド(158mg、生成率83%)を無色粉末として得た。
H−NMR(250MHz,CDCl)δ8.37(d,J=7.5Hz,2H),7.85(d,J=7.5Hz,2H).
19F−NMR(235MHz,CDCl)δ−63.4.
GCEIMSm/z(intensity):75(15),95(28),125(17),133(18),145(100),191(45).
【0047】
(実施例2)
【化12】

【0048】
パイレックス管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(19.3mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率85%)の生成を確認した。
【0049】
(実施例3)
【化13】

【0050】
パイレックス管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)、ヨウ化銅(19.0mg、0.10mmol)および2,6−ビス[(4R,5R)−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリニル]ピリジン(39.7mg、0.10mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした。これにアセトニトリル(2.0ml)を加え、室温にて5分間攪拌した後、この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率87%)の生成を確認した。
【0051】
(実施例4)
【化14】

【0052】
パイレックス管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)、ヨウ化銅(19.0mg、0.10mmol)および2,6−ビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリニル]ピリジン(36.9mg、0.10mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした。これにアセトニトリル(2.0ml)を加え、室温にて5分間攪拌した後、この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率85%)の生成を確認した。
【0053】
(実施例5)
【化15】

【0054】
パイレックス管(7ml)に4−ヨードベンゾニトリル(229mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、4−シアノベンゾトリフルオリド(132mg、生成率77%)を無色粉末として得た。
H−NMR(250MHz,CDCl)δ7.82(d,J=8.5Hz,2H), 7.76(d,J=8.5Hz,2H).
19F−NMR(235MHz,CDCl)δ−63.8.
GCEIMSm/z(intensity):75(14),121(60),152(44),171(100).
【0055】
(実施例6)
【化16】

【0056】
パイレックス管(7ml)に4−ヨード安息香酸メチル(262mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、4−(メトキシカルボニル)ベンゾトリフルオリド(132mg、生成率65%)を無色油状物として得た。
H−NMR(250MHz,CDCl)δ8.16(d,J=8.0Hz,2H),7.71(d,J=8.0Hz,2H),3.96(s,3H).
19F−NMR(235MHz,CDCl)δ−63.4.
GCEIMSm/z(intensity):75(6),95(10),125(7),145(63),173(100),204(22).
【0057】
(実施例7)
【化17】

【0058】
パイレックス管(7ml)に4−ヨード安息香酸エチル(276mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、4−(エトキシカルボニル)ベンゾトリフルオリド(132mg、生成率60%)を無色油状物として得た。
H−NMR(250MHz,CDCl)δ8.16(d,J=8.0Hz,2H),7.68(d,J=8.0Hz,2H),4.42(q,J=7.3Hz,2H),1.42(t,J=7.3Hz,3H).
19F−NMR(235MHz,CDCl)δ−63.4.
GCEIMSm/z(intensity):95(9.7),145(60),173(100),190(38),218(13).
【0059】
(実施例8)
【化18】

【0060】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率68%)の生成を確認した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(115mg、生成率60%)を無色油状物として得た。
H−NMR(250MHz,CDCl)δ8.25(brs,1H),8.45(brd,J=8.0Hz,1H),7.98(d,J=8.0Hz,1H),7.74(dd,J=8.0,8.0Hz,1H).
19F−NMR(235MHz,CDCl)δ−63.2.
GCEIMSm/z(intensity):75(16),95(28),125(16),133(11),145(100),191(43).
【0061】
(実施例9)
【化19】

【0062】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)−6−メチルピリジン(15.0mg、0.10mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19.0mg、0.10mmol)のアセトニトリル溶液(2.0ml)を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率46%)の生成を確認した。
【0063】
(実施例10)
【化20】

【0064】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)を溶かしたアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後40℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率35%)の生成を確認した。
【0065】
(実施例11)
【化21】

【0066】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)を溶かしたアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.60ml、4.0mmol)を添加し、密封後40℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率17%)の生成を確認した。
【0067】
(実施例12)
【化22】

【0068】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)を溶かしたアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.60ml、4.0mmol)を添加し、密封後80℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率64%)の生成を確認した。
【0069】
(実施例13)
【化23】

【0070】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)を溶かしたアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後80℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率56%)の生成を確認した。
【0071】
(実施例14)
【化24】

【0072】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(58.0mg、1.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)を溶かしたアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.15ml、1.0mmol)を添加し、密封後80℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率43%)の生成を確認した。
【0073】
(実施例15)
【化25】

【0074】
パイレックス管(7ml)に4−クロロヨードベンゼン(238mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、4−クロロベンゾトリフルオリド(生成率35%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−62.9.
GCEIMSm/z(intensity):75(18),130(27),145(63),161(43),163(13),180(100),182(32).
【0075】
(実施例16)
【化26】

【0076】
パイレックス管(7ml)に4−フルオロヨードベンゼン(222mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、4−フルオロベンゾトリフルオリド(生成率16%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−62.3.
GCEIMSm/z(intensity):75(17),95(13),114(61),145(100),163(25),164(91).
【0077】
(実施例17)
【化27】

【0078】
パイレックス管(7ml)に4−ヨードベンゾトリフルオリド(238mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRで市販の標準試料と比較することにより、1、4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(生成率36%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−63.5.
【0079】
(実施例18)
【化28】

【0080】
パイレックス管(7ml)に2−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、2−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率63%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−60.3.
GCEIMSm/z(intensity):75(13),95(34),125(18),133(22),145(100),161(12),191(33).
【0081】
(実施例19)
【化29】

【0082】
パイレックス管(7ml)に4−ヨードアセトフェノン(246mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−アセチルベンゾトリフルオリド(生成率28%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−63.4.
GCEIMSm/z(intensity):43(11),95(9.6),145(78),173(100),174(9.4),188(12).
【0083】
(実施例20)
【化30】

【0084】
パイレックス管(7ml)に4−ヨードアニソール(234mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−メトキシベンゾトリフルオリド(生成率19%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−61.8.
GCEIMSm/z(intensity):113(25),133(33),145(33),146(35),176(100).
【0085】
(実施例21)
【化31】

【0086】
パイレックス管(7ml)に2−ヨードトルエン(218mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、2−メチルベンゾトリフルオリド(生成率15%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−62.0.
GCEIMSm/z(intensity):91(100),109(12),140(13),141(10),159(11),160(44).
【0087】
(実施例22)
【化32】

【0088】
パイレックス管(7ml)に3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼン(340mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRにより、1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン(生成率77%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−63.4.
【0089】
(実施例23)
【化33】

【0090】
パイレックス管(7ml)に1−フルオロ−3−ヨード−5−ニトロベンゼン(267mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、3−フルオロ−5−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率48%)の生成を確認した。
19F−NMR(250MHz,CDCl):δ−63.3.
GCEIMSm/z(intensity):113(25),143(26),163(100),209(58).
【0091】
(実施例24)
【化34】

【0092】
パイレックス管(7ml)にp−ジヨードベンゼン(330mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19.0mg、0.10mmol)と2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.10mmol)のアセトニトリル溶液(2.0ml)を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30mL、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ヨードベンゾトリフルオリド(生成率27%)および1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(生成率8.7%)の生成を確認した。
【0093】
(比較例1)
【化35】

【0094】
パイレックス管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(58.0mg、1.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および1,10−フェナントロリン(18.0mg、0.1mmol)のアセトニトリル(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。反応混合物に水(2.0ml)を入れ、酢酸エチル(4.0ml×3)にて抽出した。有機層を合わせて、水(2ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2ml)にて順次洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製することにより、4−ニトロベンゾトリフルオリド(104mg、生成率55%)を無色粉末として得た。
【0095】
(比較例2)
【化36】

【0096】
パイレックス管(7ml)に4−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(19.3mg、0.1mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率41%)の生成を確認した。
【0097】
(比較例3)
【化37】

【0098】
パイレックス管(7ml)に4−クロロヨードベンゼン(238mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および2−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピリジン(13.6mg、0.1mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、4−クロロベンゾトリフルオリド(生成率16%)の生成を確認した。
【0099】
(比較例4)
【化38】

【0100】
パイレックス管(7ml)に4−ヨードアニソール(234mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および1,10−フェナントロリン(18.0mg、0.1mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量により、4−メトキシベンゾトリフルオリド(生成率3.0%)の生成を確認した。
【0101】
(比較例5)
【化39】

【0102】
パイレックス管(7ml)に3−ニトロヨードベンゼン(249mg、1.0mmol)、フッ化カリウム(116mg、2.0mmol)を量り取り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、ヨウ化銅(19mg、0.1mmol)および1,10−フェナントロリン(18.0mg、0.1mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(2.0ml)溶液を加えた。この溶液にトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.30ml、2.0mmol)を添加し、密封後60℃にて24時間攪拌した。内部標準をα,α,α−トリフルオロトルエンとした19F−NMRおよびGCEIMSにより得られた分子量と保持時間を、市販の標準試料と比較することにより、3−ニトロベンゾトリフルオリド(生成率46%)の生成を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


[式中、R、R及びRは各々独立に炭素数1から4のアルキル基を示す。]で表されるトリアルキルトリフルオロメチルシラン類を、フッ化カリウム、及び下記一般式(2)
【化2】


[式中、Xはハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数2から4のアシルオキシ基を示す。]で表される一価の銅塩存在下、一般式(3)
【化3】


[式中、nは1または2を示し、Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2から4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2から4のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、置換されていてもよい炭素数2から5のアシル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nが2の時、Yは同一または相異なっていてもよい。]で表されるヨードベンゼン誘導体とを反応させ、一般式(4)
【化4】


[式中、Yおよびnは前記と同じ内容を示す。]で表されるベンゾトリフルオリド類の製造方法において、一般式(5)
【化5】


[式中、Rは置換されていてもよい4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基または炭素数3から7のN,N−ジアルキルアミノメチル基を示す。Rは水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基または炭素数3から7のN,N−ジアルキルアミノメチル基を示す。R、R及びRは、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数2から6のジアルキルアミノ基を示す。]で表されるピリジン誘導体の共存下でニトリル系溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式(4)で表されるベンゾトリフルオリド類の製造方法。
【請求項2】
銅塩およびピリジン誘導体の使用量がヨードベンゼン誘導体に対し1mol%から20mol%である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
反応を0℃から100℃の範囲から選ばれた温度で行う請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
反応を20℃から80℃の範囲から選ばれた温度で行う請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
ニトリル系溶媒がアセトニトリルである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
、R及びRがメチル基である請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
Xがヨウ素原子である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
Yが炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基またはニトロ基である請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
が4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基またはN,N−ジメチルアミノメチル基、Rが水素原子、4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル基、メチル基またはN,N−ジメチルアミノメチル基、R、R及びRが水素原子である請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
がN,N−ジメチルアミノメチル基、Rが水素原子、R、R及びRが水素原子である請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−234921(P2009−234921A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78954(P2008−78954)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】