説明

ベンゾフラニルアルカナミン誘導体およびその5−HT2Cアゴニストとしての使用

、R1’、R、R、R、nおよびArの各々が本明細書で定義する通りであり、脳セロトニン受容体の2Cサブタイプのアゴニストまたは部分アゴニストである式Iの化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。該化合物、および該化合物を含有する組成物は、統合失調症などの中枢神経系の様々な障害を治療するのに有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年4月22日出願の米国特許仮出願第60/674,129号の優先権を主張するものであり、その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、5−HT2C受容体アゴニスト、その調製方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
約5百万人の人々が統合失調症に冒されている。現在、統合失調症のための最も一般的な治療法はドーパミン(D)とセロトニン(5−HT2A)受容体のアンタゴニズムを併用する「非定型」抗精神病薬である。通常の抗精神病薬と比べた場合の非定型抗精神病薬の効能や副作用問題における進歩が報告されてはいるが、これらの化合物は、統合失調症の症状のすべてを治療するのに十分ではないようであり、体重増加などの副作用の問題を伴う(Allison,D.Bら、Am.J.Psychiatry,156:1686〜1696頁、1999年;Masand,P.S.,Exp.Opin.Pharmacother.I:377〜389頁、2000年;Whitaker,R.,Spectrum Life Sciences.Decision Resources.2:1〜9頁、2000年)。
【0004】
非定型抗精神病薬は、高い親和性で5−HT2C受容体と結合し、かつ5−HT2C受容体アンタゴニスト、またはインバースアゴニストとして機能する。体重増加は、クロザピンやオランザピンなどの非定型抗精神病薬に付随する問題となる副作用であり、5−HT2Cアンタゴニズムが体重増加に関与していると示唆されている。逆に、5−HT2C受容体の刺激によって、食料摂取量や体重の減少がもたらされることが知られている(Walshら、Psychopharmacology 124:57−73頁、1996年;Cowen,P.Jら、Human Psychopharmacology 10:385〜391頁、1995年;Rosenzweig−Lipson,Sら、ASPET abstract、2000年)。
【0005】
いくつかの証拠により、統合失調症のための治療としての5−HT2C受容体アゴニズムまたは部分的アゴニズムへの役割が支持されている。5−HT2Cアンタゴニストは、ドーパミンのシナプスレベルを増大させ、パーキンソン病の動物モデルにおいて有効であることが研究により示唆されている(Di Matteo,Vら、Neuropharmacology 37:265〜272頁、1998年;Fox,S.Hら、Experimental Neurology 151:35〜49頁、1998年)。統合失調症の陽性症状はドーパミンレベルの増大と関連しているので、5−HT2Cアゴニストや部分アゴニストなど、5−HT2Cアンタゴニストと反対の作用を有する化合物は、シナプスドーパミンのレベルを低下させるはずである。最近の研究では、5−HT2Cアゴニストは、クロザピンのような薬物の臨界的抗精神病効果を媒介すると考えられている脳の領域である、前頭前皮質および側坐核におけるドーパミンレベルを低下させることが実証されている(Millan,M.Jら、Neuropharmacology 37:953〜955頁、1998年;Di Matteo,Vら、Neuropharmacology 38:1195〜1205頁、1999年;Di Giovanni,Gら、Synapse 35:53〜61頁、2000年)。しかし、5−HT2Cアゴニストは、脳の領域が錐体外路の副作用と最も密接に関連している、線条体中のドーパミンレベルを低下させない。さらに、最近の研究では、5−HT2Cアゴニストは、腹側被蓋領域(VTA)においては発火を減少させるが、黒質においてはそうではないことが実証されている。中脳辺縁系路における5−HT2Cアゴニストの黒質線条体路に対する差動効果は、5−HT2Cアゴニストが辺縁選択性を有していることを示唆しており、典型的な抗精神病薬に付随する錐体外路系副作用をそれほどもたらさないようである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、5−HT2Cアゴニストおよびその使用に関する。一の態様において、本発明は、5−HT受容体のアゴニストまたは部分アゴニストとして作用する、新規な7−アリール−(1−ベンゾフラン−2−イル)アルカナミン誘導体に関する。該化合物は、例えば、統合失調症、ならびに統合失調症に随伴する気分障害および認知障害を治療するのに有用である。ある実施形態では、本発明の化合物は、最近用いられている非定型抗精神病薬に付随する体重増加をそれほどもたらさないようである。本発明の化合物は肥満およびその併存疾患の治療にも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の実施形態において、本発明は、式I:
【化1】

[式中:
およびR’は、各々独立して、水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルであり;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり;
Arはチエニル、フリル、ピリジルまたはフェニルであって、ここでArは1個または複数のR基で置換されていてもよく;
は、各々独立して、ハロゲン、−OH、−CN、低級アルキル、低級アルコキシ、−CFまたは−OCFであり;および
nは1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0008】
他のある実施形態では、本発明は、治療有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を患者に投与することを含む、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神障害、L−DOPA誘発性精神病、アルツハイマー型認知症に付随する精神病、パーキンソン病に付随する精神病、レビー小体病に付随する精神病、認知症、記憶障害、アルツハイマー病に付随する知的障害、双極性障害、抑鬱障害、気分エピソード、不安障害、適応障害、摂食障害、てんかん、睡眠障害、片頭痛、性機能障害、薬物乱用、コカインやニコチンを含むアルコールや様々な他の薬物への中毒、胃腸障害、肥満、または脳卒中もしくは脊髄損傷に付随する中枢神経系の欠陥に苦しむ患者の治療方法に関する。
【0009】
さらに他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物またはその医薬上許容される塩と、1種もしくは複数の医薬上許容される塩担体、賦形剤または希釈剤とを含む組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.化合物および定義
本発明は、脳セロトニン受容体の2Cサブタイプのアゴニストまたは部分アゴニストである、新規な7−[アリール]−(1−ベンゾフラン−2−イル)アルカナミン誘導体に関する。
【0011】
本明細書で用いる「低級アルキル」なる語は、最大で4個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子、より好ましくは1〜2個の炭素原子を有する炭化水素鎖をいう。「アルキル」なる語は、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはt−ブチルなどの直鎖および分岐鎖を含む。
【0012】
本明細書で用いる「アルコキシ」なる語は、−OR基をいい、ここでRは低級アルキル基である。
【0013】
本明細書で用いる「ハロゲン」または「ハロ」なる語は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素をいう。
【0014】
本明細書で用いる「有効量」および「治療有効量」なる語は、患者に投与した場合、患者が患う病態を少なくとも部分的に治療するのに有効な式Iの化合物の量をいう。そうした病態には、これらに限定されないが、統合失調症、統合失調性感情障害、統合失調症様障害、L−DOPA誘発性精神病、双極性障害、肥満、強迫性障害、鬱病、パニック障害、睡眠障害、摂食障害およびてんかんが含まれる。
【0015】
「医薬上許容される塩」なる語は、酸付加塩、すなわち、式Iの化合物を、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸または同様に既知の許容される酸などの有機酸または無機酸で処理して得られる塩をいう。ある実施形態では、本発明は式Iの化合物の塩酸塩を提供する。式Iの化合物が酸性の官能基を有する場合、例えば、R、RまたはRがフェノール性ヒドロキシルである場合、「医薬上許容される塩」なる語は塩基より誘導される塩、例えばナトリウム塩を包含する。
【0016】
本明細書で用いる「患者」なる語は、哺乳動物をいう。ある実施形態では、本明細書で用いる「患者」なる語は、ヒトをいう。
【0017】
本明細書で用いる「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」または「投与(administration)」なる語は、化合物または組成物を患者に直接投与するか、あるいは、患者の体内で相当量の活性化合物または物質を生成する化合物のプロドラッグ誘導体または類似体を患者に投与することをいう。
【0018】
本明細書で用いる「治療する(treat)」または「治療すること(treating)」なる語は、その病態を部分的または完全に軽減し、抑制し、防止し、改善しかつ/または緩和することをいう。
【0019】
本明細書で用いる「苦しむ(suffer)」または「苦しむこと(suffering)」なる語は、患者がその病態と診断されるかまたはそれに罹っていると疑われている1つまたは複数の病態をいう。
【0020】
2.代表的化合物の記載
特定の実施形態において、本発明は、式I:
【化2】

[式中:
およびR’は、各々独立して、水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルであり;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり;
Arはチエニル、フリル、ピリジルまたはフェニルであって、ここでArは1個または複数のR基で置換されていてもよく;
は、各々独立して、ハロゲン、−OH、−CN、低級アルキル、低級アルコキシ、−CFまたは−OCFであり;および
nは1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0021】
特定の実施形態において、式Iのnなる数は1である。
【0022】
他の実施形態において、式Iのnなる数は2である。
【0023】
一般に、上記されるように、式IのRおよびR’基は、各々独立して、水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルである。特定の実施形態において、式IのRおよびR’基の一方は水素であり、式IのRおよびR’基の他方は水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルである。他の実施形態において、式IのRおよびR’基はいずれも水素以外の基である。さらに別の実施形態において、式IのRおよびR’基は共に水素である。
【0024】
一般に、上記されるように、式IのR、RおよびR基は、各々独立して、水素、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNである。ある実施形態において、式IのR、RおよびR基はすべて水素である。他の実施形態において、式IのR、RおよびR基の少なくとも1つはハロゲンである。本発明のもう一つ別の態様によれば、式IのR基は水素であり、式IのRおよびR基は、独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNである。本発明のさらにもう一つ別の態様は、RおよびRが共に水素であり、Rが低級アルキルまたは低級アルコキシであるところの、式Iの化合物を提供することである。本発明のさらにもう一つ別の態様は、RおよびRが共に水素であり、Rがハロゲンであるところの、式Iの化合物を提供することである。ある実施形態においては、RおよびRが共に水素であり、Rがフルオロまたはクロロである。他の実施形態において、式IのRおよびR基が共に水素であり、Rがフルオロまたはクロロである。
【0025】
略上記に示されるように、式IのAr基はチエニル、フリル、ピリジルまたはフェニルであって、ここでArは所望により1個または複数のR置換基で置換されていてもよく、そのRは、各々独立して、ハロゲン、−OH、−CN、低級アルキル、低級アルコキシ、−CFまたは−OCFより選択される。ある実施形態において、式IのAr基は非置換のフェニルである。他の実施形態において、式IのAr基はそのオルト位にて少なくとも1個の置換基を有するフェニルである。他の実施形態において、式IのAr基は、オルト位にハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルから選択される少なくとも1個の置換基を有するフェニルである。一の態様によれば、本発明は、Arがオルトおよびメタ位にてハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシでジ置換されているフェニルであるところの式Iの化合物を提供する。本発明のもう一つ別の態様はArがオルトおよびパラ位にてハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシでジ置換されているフェニルであるところの式Iの化合物を提供する。本発明のもう一つ別の態様はArがオルト位にてハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシでジ置換されているフェニルであるところの式Iの化合物を提供する。式IのAr基のフェニル部分上にある代表的な置換基として、OMe、フルオロ、クロロ、メチルまたはトリフルオロメチルが挙げられる。
【0026】
ある実施形態において、式IのAr基は、以下の群:
【化3】

より選択される。
【0027】
もう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式II:
【化4】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0028】
さらにもう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式III:
【化5】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0029】
さらにもう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式IV:
【化6】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0030】
さらにもう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式V:
【化7】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0031】
さらにもう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式VI:
【化8】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0032】
さらにもう一つ別の実施形態によれば、本発明は、式VII:
【化9】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり、R、R’、R、RおよびRは一般に上記したとおり、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、あるいは本明細書にて記載したとおりである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0033】
本発明の化合物のアトロプ異性体が存在しうる。本発明はかくして上記した、あるいは上記したクラスまたはサブクラスにて、もしくは本明細書にて記載の式Iの化合物のアトロプ異性体の形態を包含する。
【0034】
式Iの代表的な化合物は、以下の表1に示される。
表1:式Iの代表的化合物
【化10】

【0035】
3.本発明の化合物を製造する一般的方法
式Iの7−[ビアリール]−(1−ベンゾフラン−2−イル)メチルアミンは以下のスキームに示されるように調製されうる。適宜置換された2−ブロモ−6−ヒドロキシベンズアルデヒドまたはブロモサリチルアルデヒド(2)を、テトラヒドロフランおよびエタノール中、カリウムtert−ブトキシドなどの適当な塩基の存在下でブロモマロン酸ジエチルと反応させ(スキーム1)、2−カルボアルコキシベンゾフラン(3)を得た。別法として、2−カルボアルコキシベンゾフラン(3)は、適宜置換したブロモサリチルアルデヒドを、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基の存在下でブロモ酢酸エチルを用いて環化して調製されてもよい。式Iの化合物の合成に適する2−ブロモ−6−ヒドロキシベンズアルデヒドは既知の化合物であり、当業者であれば容易に製造することができる。ついで、得られた2−カルボアルコキシベンゾフラン(3)を水性水酸化ナトリウムまたは他の適当なアルコキシドで加水分解してカルボン酸を得、ついで、テトラヒドロフランなどの溶媒中、テトラヒドロフラン中ボランなどの適当な還元剤で処理することによりアルコール(4)に還元することができる。該アルコール(4)を、トルエンなどの溶媒中にあるトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボキシレートなどの標準的ミツノブ条件下でフタルイミドと反応させて、フタルイミド(5)を得る。ビアリール官能基の導入は所望のボロン酸を用いるパラジウム触媒の交差カップリング反応(すなわち、スズキ反応)により達成される。(5)を、ジオキサンなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)−パラジウム(II)などの触媒で処理することでビアリール生成物(5a)を得る。その後、(5a)を、エタノールなどの溶媒中、メチルアミンで処理することでフタルイミド系を除去し、式Iの化合物を得る。フタルイミド誘導体5aをエタノール中にてメチルアミンで処理し、末端アミノ基を緩やかに脱保護させ、第1アミン、すなわち、RおよびR’の各々が水素である式Iの化合物を得る。第1アミンは、既知の方法にて、例えばアルキル化または還元アルキル化により、式Iに適合する第2または第3アミンに変換されてもよい。
【化11】

【0036】
また、ビアリール系は、パラジウム触媒の交差カップリング反応(すなわち、スズキ反応)を介して2−カルボアルコキシベンゾフラン(3)上に直接導入されてもよい。2−カルボアルコキシ−7−メトキシベンゾフラン(3a)を、ジクロロメタンなどの溶媒中、三臭化ホウ素(スキーム1a)で処理することでフェノール(3b)を得る。フェノール(3b)を、ジクロロメタンなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させ、トリフラート(3c)を得る。ビアリール官能基の導入は所望のボロン酸を用いるパラジウム触媒の交差カップリング反応(すなわち、スズキ反応)により達成される。したがって、(3)または(3a)のいずれかを、ジオキサンなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)−パラジウム(II)などの触媒で処理することで、ビアリール生成物(3d)が得られる。(3d)にあるカルボアルコキシ官能基を、テトラヒドロフランなどの溶媒中、ホウ水素化リチウムなどの適当な還元剤で還元し、アルコール(4a)を直接得ることもできる。アルコール(4a)を、トルエンなどの溶媒中、トリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボキシレートなどの標準的ミツノブ条件下で反応させてフタルイミド(5a)を得る。
【化12】

【0037】
式Iの特定の化合物の場合、適宜置換した2−メトキシブロモベンゼン(6)と所望のボロン酸とのパラジウム触媒の交差カップリング反応(すなわち、スズキ反応)を介する合成の初期の段階でビアリール系を導入することが有用である(スキーム2)。(6)を、エチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などの触媒で処理することでビアリールメトキシベンゼン(6a)を得る。(6a)にあるメトキシ基の除去は臭化水素(酢酸中30重量%)を用いて達成され、フェノール(6b)を得る。該フェノール(6b)を、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、適宜置換した臭化アリルまたはアルコールでアルキル化し、アリルエーテル(7)を得る。得られたアリルエーテル(7)を還流しているメシチレンまたは他の適当な高沸点溶媒中で処理し、所望のクライセン転位生成物(8)を得る。(8)にある二重結合は、ジクロロメタンなどの溶媒中、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)と一緒に還流することで異性化され、2−プロペニルフェノール(9)を得る。(9)にある二重結合を、テトラヒドロフランおよび水などの溶媒系にて、四酸化オスミウムおよび過ヨウ素酸ナトリウムで処理することで酸化させて2−ヒドロキシベンズアルデヒド(2c)を得る。
【化13】

【0038】
別法として、メトキシベンゼン(6a)を、鉄(0)の存在下、酢酸中にて臭素で処理し、2−ブロモメトキシベンゼン(6c)を得る。(6c)を塩化イソプロピルマグネシウムおよび1−ホルミルピペリジンと、テトラヒドロフランなどの溶媒中にて反応させて2−メトキシベンズアルデヒド(2d)を得る。メチル基の除去は、2−メトキシベンズアルデヒド(2d)をジクロロメタンなどの溶媒中で三臭化ホウ素と反応させ、2−ヒドロキシベンズアルデヒド(2c)を得ることにより達成される。
【化14】

【0039】
また、ビアリールフェノール(6b)と1,1−ジクロロジメチルエーテルとの、ジクロロメタンなどの溶媒中、四塩化チタニウムの存在下での処理は、直接、2−ヒドロキシベンズアルデヒド(2c)を提供する。
【化15】

【0040】
上記または本願明細書にて特定の代表的な実施形態が記載されているが、本願発明の化合物は、適当な出発物質を当業者に一般的に利用可能な方法により用いて、一般に上記される方法に従って調製され得るであろう。さらなる実施形態を本明細書にてさらに詳細に記載する。
【0041】
4.使用、処方および投与
本発明の化合物は、脳セロトニン受容体の2Cサブタイプに対する親和性と、それに対するアゴニストまたは部分アゴニスト活性を有しており、したがって、種々の障害を治療し、かつ/または1種または複数の付随する症状を軽減させるのに利益がある。脳セロトニン受容体の2Cサブタイプの調節に関連するそうした障害を以下で詳細に説明する。本発明では、本発明の化合物は作用の迅速な発現に関係していると考えられる。本発明の化合物は、性機能障害での副作用が小さい。
【0042】
本発明の化合物は、真性糖尿病(diabetogenesis)を引き起こすことなく、本明細書で述べる1種または複数の精神障害を治療するのに有用である。真性糖尿病は非定型抗精神病薬に付随する副作用である。特定の理論に拘泥するわけではないが、非定型抗精神病薬に付随する真性糖尿病は、これらの薬剤が5−HT2Cアンタゴニストであるという事実からもたらされると考えられる。本明細書で述べるように、本発明の化合物は5−HT2Cアゴニストまたは部分アゴニストであり、したがって真性糖尿病には関連しない。
【0043】
本発明の化合物は、妄想型、解体型、緊張型および未分化型を含む統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神障害およびその他の精神障害;アルツハイマー型認知症に付随するL−DOPA誘発性精神病;精神病;パーキンソン病に付随する精神病ならびにレビー小体病に付随する精神病などの1種または複数の精神障害を治療するのに有用である。
【0044】
本発明の化合物は、統合失調症のいわゆる「陽性」および「陰性」症状を含む統合失調症型の精神障害に関連する症状を治療するのにも有用である。これらの症状には、例えば、精神病患者における幻覚、妄想、偏執症、不安神経症、激越(agitation)、過剰な攻撃性、緊張、思考障害、感情鈍麻および引きこもりまたは情動性離脱が含まれる。精神障害にしばしば付随する他の症状には、注意力不足および機能障害などの認知の障害または欠陥、鬱病、自殺、メタボリック症候群および薬物乱用が含まれる。したがって、本発明の他の実施形態では、精神障害に付随する1種または複数の症状を治療する方法を提供する。
【0045】
他の実施形態では、本発明の化合物は、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、特定恐怖症、対人恐怖、社会不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、分離不安障害、物質誘発性不安障害および他の不安障害などの不安障害を治療するのに有用である。
【0046】
他の実施形態によれば、本発明の化合物は双極性障害を治療するのに有用である。そうした双極性障害には、双極性障害I型、双極性障害II型および気分循環性障害;双極性躁病、認知症ならびに精神病性の特徴を伴った鬱病が含まれる。本発明の化合物は、双極性鬱病と双極性躁病の間で起こる循環を治療する(防止することを含む)のにも有用である。
【0047】
上記した精神障害のより完全な説明は、「精神障害の診断および統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」、第4版、Washington,DC,American Psychiatric Association(1994年)に見出すことができる。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0048】
ある実施形態では、本発明の化合物は1種または複数の抗精神病薬と併用して投与される。そうした抗精神病薬は当業界でよく知られており、若干挙げれば、それらにはクロザピン(例えば、Clozaril(登録商標))、リスペリドン(例えば、Risperidal(登録商標))、オランザピン(例えば、Zyprexa(登録商標))、クエチアピン(例えば、Seroquel(登録商標))、ジプラシドン(例えば、Geodon(登録商標))、アリピプラゾール、アミスルピリド(amisulpiride)、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール(例えば、Haldol(登録商標))、ロクサピン、メソリダジン、モリンドン、パーフェナジン、ピモジド、セロクエル(seroquel)、スルピリド、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンおよびビフェプルノックスが含まれる。
【0049】
本発明の化合物と1種または複数の抗精神病薬との併用は、妄想型、解体型、緊張型および未分化型を含む統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神障害およびその他の精神障害;L−DOPA誘発性精神病;アルツハイマー型認知症に付随する精神病;パーキンソン病に付随する精神病;レビー小体病に付随する精神病;双極性障害I型、双極性障害II型および気分循環性障害などの双極性障害;双極性躁病、認知症ならびに精神病性の特徴を伴った鬱病の治療に有用である。いくつかの実施形態では、これらの併用は、例えば双極性鬱病と双極性躁病の間での循環を治療することを含む双極性障害の治療に有用である。
【0050】
他の実施形態では、本発明の化合物を抗精神病薬と投与すると、抗精神病性の利益が得られ、他方、抗精神病薬のみを服用した場合に通常見られる特定の副作用(例えば、静座不能、ジストニア、パーキンソン病様ジスキネジアおよび遅発性ジスキネジア等)は排除または最少化される。
【0051】
他の実施形態では、本発明の化合物は、大鬱病性障害、季節性情動障害、気分変調性障害、物質誘発性気分障害、その他の抑鬱障害などの1種または複数の抑鬱障害、および治療抵抗性の鬱病を治療するのに有用である。
【0052】
本発明の他の態様は、大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽症躁病エピソードなどの1種または複数の気分エピソード;ならびに不安神経症および/または抑鬱気分を有する適応障害などの適応障害を治療するための方法を提供する。
【0053】
本発明の化合物は、神経因性疼痛や性機能障害などの身体症状を含む抑鬱障害に関連する症状を治療するのにも有用である。他の身体症状には、絶望、無力、不安神経症および心配、認知障害の他覚徴候を伴うか伴わない記憶愁訴、喜びの感覚の喪失(無快感症)、動作緩慢、興奮性、および医療または食事レジメンの順守不足などのパーソナルケアに対する無関心が含まれる。
【0054】
ある実施形態では、本発明は、鬱病に関連する性機能障害の治療方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、抑鬱障害または他の障害の治療のためにセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)を投与することに伴う性機能障害を治療する方法を提供する。性機能障害のそうした治療方法を以下に詳細に説明する。
【0055】
ある実施形態では、本発明の化合物は、1種または複数の抗抑鬱剤と併用して投与する。適当な抗鬱剤には、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、混合セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、ホスホジエステラーゼ−4(PDE4)阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、または非定型抗鬱剤を含む他の化合物が含まれる。本発明の化合物と併用して投与する他の抗鬱剤には、DOV216303およびDOV21947などのトリプル摂取阻害剤;アゴメロチン(agomelotine)などのメラトニンアゴニスト、超神経伝達物質再取り込み遮断薬(SNUB;例えば、GlaxoSmithKlineおよびNeurosearchからのNS−2389;Sepracorからの(R)−DDMA)および/またはサブスタンスP/ニューロキニン受容体アンタゴニスト(例えば、Merckからのアプレピタント/MK−869;NovartisからのNKP−608;PfizerからのCPI−122721;RocheからのR73;TakedaからのTAK637;およびGlaxoSmithKlineからのGW−97599)が含まれる。
【0056】
本発明の化合物と併用して投与するための他の部類の抗鬱剤はノルアドレナリン作動性および選択的セロトニン作動性の抗鬱剤(NaSSA)である。NaSSAの適当な例はミルタゼピンである。
【0057】
本発明の化合物と併用して投与するための適当なNRIには、第3アミン三環系および第2級アミン三環系が含まれる。第3アミン三環系の適当な例には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン(米国特許第2,554,736号を参照されたい。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。)およびトリミプラミンならびにその医薬上許容される塩が含まれる。第2級アミン三環の適当な例には、アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリンならびにその医薬上許容される塩が含まれる。
【0058】
本発明の化合物と併用して投与するための他のNRIは、レボキセチン(ラセミ体として投与されることが多いEdronax(商標);2−[α−(2−エトキシ)フェノキシ−ベンジル]モルホリン;米国特許第4,229,449号を参照されたい。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。)である。
【0059】
本発明の化合物と併用して投与するための適当なSSRIには、シタロプラム(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロ−5−イソベンゾフランカルボニトリル;米国特許第4,136,193号;Christensenら、Eur.J.Pharmacol.41:153,1977年;Dufourら、Int.Clin.Psychopharmacol.2:225,1987年;Timmermanら、ibid.,239を参照されたい。そのそれぞれの全体を出典明示により本明細書の一部とする。);塩酸塩の形態、およびその2つのイソ型のラセミ混合物として市販されているフルオキセチン(N−メチル−3−(p−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルプロピルアミン;例えば、米国特許第4,314,081号;Robertsonら、J.Med.Chem.31:1412,1988年を参照されたい。そのそれぞれを出典明示により本明細書の一部とする。);フルオキセチン/オランザピンの組合せ;フルボキサミン(5−メトキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ペンタノンO−(2−アミノエチル)オキシム;米国特許第4,085,225号;Claassenら、Brit.J.Pharmacol60:505,1977年;De Wildeら、J.Affective Disord.4:249,1982年;Benfieldら、Drugs 32:313,1986年を参照されたい。そのそれぞれの全体を出典明示により本明細書の一部とする。);パロキセチン(トランス−(−)−3−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン;米国特許第3,912,743号;同第4,007,196号;Lassen,Eur,J.Pharmacol.47:351,1978年;Hassanら、Brit.J.Clin.Pharmacol.19:705,1985;Laursenら、Acta Psychiat.Scand.71:249,1985年;Battegayら、Neuropsychobiology13:31,1985年を参照されたい。そのそれぞれの全体を出典明示により本明細書の一部とする。);セルトラリン、(1S−シス)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−N−メチル−1−ナフチルアミン塩酸塩;米国特許第4,536,518号を参照されたい。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。);エスシタロプラム(米国特許第RE34,712号を参照されたい。)ならびにその医薬上許容される塩が含まれる。
【0060】
本発明の化合物と併用して投与するための適当なMAOIには、イソカルボキサジド、フェネルジン、セレギリンおよびトラニルシプロミンならびにその医薬上許容される塩が含まれる。
【0061】
本発明の化合物と併用して投与するための適当な可逆性MAOIには、モクロベミド(4−クロロ−N−[2−(4−モルホリニル)−エチル]ベンズアミド、米国特許第4,210,754号を参照されたい。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。)、セレギリンおよびその医薬上許容される塩が含まれる。
【0062】
本発明の化合物と併用して投与するための適当なSNRIには、ベンラファクシン(米国特許第4,535,186号を参照されたい。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。米国特許第5,916,923号、同第6,274,171号、同第6,403,120号、同第6,419,958号、同第6,444,708号も参照されたい。そのそれぞれの全体を出典明示により本明細書の一部とする。)および医薬上許容される塩ならびにO−デスメチルベンラファクシンコハク酸塩を含む類似体;ミルナシプラン(N,N−ジエチル−2−アミノメチル−1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド;米国特許第4,478,836号;Moretら、Neuropharmacology24:1211〜19頁、1985年を参照されたい。そのそれぞれの全体を出典明示により本明細書の一部とする。);ネファゾドン(Bristol Myers Squibb and Dr.Reddy Labs Inc.から入手できる);デュロキセチン;ならびにその医薬上許容される塩が含まれる。
【0063】
本発明の化合物と併用して投与するための適当なCRFアンタゴニストには、国際特許明細書番号WO94/13643、WO94/13644、WO94/13661、WO94/13676およびWO94/13677に記載の化合物が含まれる。
【0064】
本発明の化合物と併用して投与するための適当な非定型抗鬱剤には、ブプロピオン(Wellbutrin(商標);(±)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−dim−エチルエチル)アミノ]−1−プロパノン)、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジンならびにその医薬上許容される塩が含まれる。他の適当な非定型抗鬱剤はシブトラミンである。
【0065】
本発明の化合物と併用して投与するための具体的な抗鬱剤には、これらに限定されないが、アジナゾラム、アラプロクラート、アルネスピロン、アミネプチン、アミトリプチリン、アミトリプチリン/クロルジアゼポキシドの組合せ、アモキサピン、アプレピタント、アチパメゾール、アザミアンセリン(azamianserin)、バジナプリン、ベフラリン、ビフェメラン、ビノダリン(binodaline)、ビペナモール、ブロファロミン、ブプロプリオン、カロキサゾン、セリクラミン、シアノプラミン、シモキサトン、シタロプラム、クレメプロール、クロミプラミン、クロボキサミン、ダゼピニル、デアノール、デメキシプチリン、デシプラミン、O−デスメチルベンラファクシン、ジベンゼピン、ドチエピン、ドキセピン、ドロキシドパ、デュロキセチン、エルザソナン(elzasonan)、エネフェキシン、エプタピロン、エスシタロプラム、エスタゾラム、エトペリドン、フェモキセチン、フェンガビン、フェゾラミン、フルオトラセン、フルオキセチン、フルボキサミン、ゲピロン、イダゾキサン、イミプラミン、インダルピン、インデロキサジン、イプリンドール、イソカルボキサジド、レボプロチリン、リトキセチン、ロフェプラミン、マプロチリン、メジホキサミン、メタプラミン、メトラリンドール、ミアンセリン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モクロベミド、モンチレリン、ネブラセタム、ネホパム、ネホゾジン(nefozodine)、ネミチチド(nemititide)、ニアラミド、ノミフェンシン、ノルフルオキセチン、ノルトリプチリン、オロチレリン、オキサフロザン、パロキセチン、フェネルジン、ピナゼパム、ピルリンドン(pirlindone)、ピゾチリン、プロトリプチリン、レボキセチン、リタンセリン、ロバルゾタン、ロリプラム、セレギリン、セルクロレミン(sercloremine)、セルトラリン、セチプチリン、シブトラミン、スルブチアミン、スルピリド、スネピトロン、テニロキサジン、トザリノン、チモリベリン(thymoliberin)、チアネプチン、チフルカルビン、トフェナシン、トフィソパム、トロキサトン、トモキセチン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプリミン(trimiprimine)、ベンラファクシン、ベラリプリド、ビラゾドン(vilazodone)、ビロキサジン、ビクアリン(viqualine)、ジメリジンやゾメトラピン(zometrapine)およびその医薬上許容される塩、ならびにセントジョーンズワートハーブ(St.John’s wort herb)またはセイヨウオトギリソウ(Hypencuin perforatum)もしくはその抽出物が含まれる。
【0066】
本発明の化合物と併用して投与するための適当な部類の抗不安神経症剤には、5−HTIAアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HTIA部分アゴニスト、ニューロキニン受容体(NK)アンタゴニスト(例えば、サレズタントおよびオサネタント)および副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストが含まれる。本発明で用いることができる適当な5−HT1A受容体アゴニストまたはアンタゴニストには、特に、5−HT1A受容体部分アゴニストのブスピロン、フレシノキサン、ジェピロンおよびイプサピロンならびにその医薬上許容される塩が含まれる。5−HTIA受容体アンタゴニスト/部分アゴニスト活性を有する化合物の例はピンドロールである。新規な5HT1Aアゴニスト、バリザ(variza)、アルネスピロン、ジェピロン、スネピトロン、MKC242、ビラゾドン(vilazodone)、エプタピロンおよびOrganonからのORG12962;ロバルゾタンなどの新規な5HT1Aアンタゴニスト;エルザソナン(elzasonan)などの新規な5−HT1Bアゴニスト;YM−992(Yamanouchi Pharmaceuticalsからの)およびネミフィチド(nemifitide)などの新規な5HTアンタゴニスト。
【0067】
本発明によれば、本発明の組合せは、鬱病または他の気分障害を治療するのに有用な1種または複数の他の薬剤と一緒に投与することができる。あるいは、またはさらに、本発明の組合せは、哺乳動物が罹っている鬱病または気分障害に関係するかまたは関係しない、哺乳動物の任意の他の症状または病状を治療するのに活性な1種または複数の他の薬剤とともに投与することができる。そうした薬剤の例には、例えば、血管新生阻害剤、抗腫瘍薬、抗糖尿病薬、抗感染症薬、疼痛緩和剤、抗精神病薬、胃腸薬等またはその組合せが含まれる。本発明の実施において有用な他の薬剤には、例えば、抗鬱剤の効能を高めるのに用いられる補助療法が含まれる。そうした補助薬は、例えば気分安定剤(例えば、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン等);ピンドロール、興奮剤(例えば、メチルフェニデート、デキストロアンフェタミン等);または甲状腺賦活剤(例えば、T3);抗精神病薬、抗不安神経症剤(例えば、ベンゾジアゼピン)および/または性的機能不全を緩和する薬剤(例えば、抗不安神経作用も有するブスピロン;アマンタジン、プラミペキソール、ブプロピオンなどのドーパミンアゴニスト)が含まれる。
【0068】
本発明の化合物は、5−HT2C修飾因子として、様々な障害を治療するのに有用である。そうした障害には、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、パーキンソン病などの動作または運動障害;慢性疲労症候群、神経性無食欲症、睡眠の障害(例えば、睡眠時無呼吸)および無言症が含まれる。
【0069】
月経前不快気分障害すなわちPMDDは重症型のPMSである。PMSと同様にPMDDは通常、月経の開始の前の週に起こり、その数日後になくなる。PMDDは日々の生活、特に女性のその家族や友人との関係を妨げる、月々の重い気分の変動や肉体的症状を特徴とする。PMDD症状は、対処やすいかまたは正常な月経前症状をはるかに超えたものである。
【0070】
PMDDは、興奮、憂うつな気分、不安神経症、睡眠障害、集中力の欠如、怒りの爆発、乳房の圧痛および膨満を含む症状が組み合わさったものである。診断基準では憂うつな気分、不安神経症、気分変動または興奮の症状を重視する。通常の月経期間を有する米国女性の20人に1人までがこの状態にある。他の実施形態によれば、本発明は、PMDDに付随する1種または複数の症状の治療方法を提供する。
【0071】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)はPMDDに付随する症状を治療するための現在の好ましい方法である。他の態様によれば、本発明は、SSRIと併用して式Iの化合物を投与することによって、PMDD、またはPMDDに付随する1種もしくは複数の症状の治療方法を提供する。ある実施形態では、SSRIはフルオキセチン、ベンラファクシン、パロキセチン、デュロキセチンまたはセルトラリンである。
【0072】
他の実施形態によれば、本発明の化合物は、種々の摂食障害を治療するのに有用である。ある実施形態では、摂食障害は過食症、多食症または神経性無食欲症である。ある実施形態では、本発明の化合物は、胃腸の運動性または腸の推進力の機能不良などの胃腸障害を治療するのに有用である。本発明の化合物は、体重減少または体重管理の関連(例えば、カロリーまたは食料摂取量の削減および/または食欲抑制)でも有用である。そうした方法は、尿崩症、II型糖尿病、循環器疾患、高血圧症、高脂質血症、脳卒中、変形性関節症、睡眠時無呼吸、胆嚢疾患、痛風、いくつかの癌、いくつかの不妊症および早期死亡を含む併存疾患を結果としてもたらす肥満の治療に特に有用である。
【0073】
ある実施形態では、本発明の化合物は1種または複数の抗肥満剤と併用して投与される。そうした抗肥満剤は当業界で知られており、それらにはアポリポタンパク質−B分泌/ミクロゾームトリグリセリド転移タンパク質(アポ−B/MTP)阻害剤、11β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素−1(11(β−HSD1型)阻害剤、PYY3.36およびその類似体、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤(シブトラミンなど)、交感神経様アゴニスト、Rアドレナリン受容体アゴニスト、ドーパミンアゴニスト(ブロモクリプチンなど)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、カンナビノイド1受容体アンタゴニスト(例えば、リモナバン)、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(テトラヒドロリプスタチン、すなわちオーリスタットなど)、食欲抑制剤(ボンベシンアゴニストなど)、神経ペプチド−Y受容体アンタゴニスト、甲状腺ホルモン剤(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンもしくはその類似体、グルココルチコイド受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子(AxokineTAなど)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニストならびにニューロメディンU受容体アゴニストが含まれる。
【0074】
他の実施形態では、本発明の化合物は、オーリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、リモナバン、偽エフェドリン、PYY3.36またはその類似体および2−オキソ−N−(5−フェニイピラジニル)スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミドから選択される抗肥満剤と併用して投与される。本発明の他の態様によれば、本発明の化合物は、運動や賢明な食事などの肥満のための典型的な処置と合わせて抗肥満剤と併用して投与される。
【0075】
他の実施形態によれば、本発明の化合物は、糖尿病および付随する病態を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。ある実施形態では、本発明の化合物は、インスリンおよびインスリン類似体(例えば、リスプロインスリン);GLP−1(7−37)(インスリノトロピン)およびGLP−1(7−36)−NH;スルホニル尿素およびその類似体:クロルプロパミド、グリベンクラミド、トルブタミド、トラザミド、アセトヘキサミド、Glypizide(登録商標)、グリメピリド、レパグリニド、メグリチニド;ビグアニド:メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン;<<2−アンタゴニストおよびイミダゾリン:ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン;他のインスリン分泌促進剤:リノグリリド、A−4166;グリタゾン系:シグリタゾン、Actos(登録商標)(ピオグリタゾン)、エングリタゾン、トログリタゾン、ダルグリタゾン、Avandia(登録商標)(BRL49653);脂肪酸酸化阻害剤:クロモキシル、エトモキシル;グルコシダーゼ阻害剤:アカルボース、ミグリトール、エミグリテート、ボグリボース、MDL−25,637、カミグリボース、MDL−73,945;13−アゴニスト:BRL35135、BRL37344、RO16−8714、ICID7114、CL316,243;またはホスホジエステラーゼ阻害剤:L−386,398を含む1種または複数のこのような薬剤と併用して投与される。
【0076】
他の実施形態では、本発明の化合物は、1種または複数の脂質低下薬:ベンフルオレックス:バナジウム酸塩およびバナジウム錯体(例えば、Nagiivan(登録商標))およびペルオキソバナジウム錯体;アミリンアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;グルコネオゲネシス阻害剤;ソマトスタチン類似体;抗脂肪分解剤:ニコチン酸、アシピモックス、WAG994、プラムリンチド(Symlin”)、AC2993、ナテグリニド、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、ゾポレスタット)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトール脱水素酵素阻害剤、ナトリウム−水素交換1型(NNE−1)阻害剤および/またはコレステロール生合成阻害剤、またはコレステロール吸収阻害剤、特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、もしくはHMG−CoAシンターゼ阻害剤、もしくはHMG−CoAレダクターゼまたはシンターゼ遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤、フィブラート、ACAT阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤あるいは抗酸化剤と併用して投与される。他の実施形態では、本発明の化合物は、血漿コレステロールレベルを低下させるように作用する1種または複数の天然由来化合物と併用して投与される。そうした天然由来の化合物は一般に栄養補給食品と称され、それらには例えばニンニク抽出物、フーディア(Hoodia)植物抽出物およびナイアシンが含まれる。
【0077】
ある実施形態では、本発明の化合物は、哺乳動物において望ましい膀胱制御を誘発するか、助けるかまたは維持させるのに有用である。この方法は、膀胱不安定症または尿失禁に悩むかまたはそれを起こし易い哺乳動物を治療するのに特に有用である。本発明の方法は、特発性膀胱不安定症、夜尿、夜間頻尿、排尿機能障害および尿失禁(例えば、ストレス失禁、急迫性尿失禁および/または混合性尿失禁を含む)を含む、膀胱関連の尿路病態や膀胱不安定の防止、治療または抑制を含む。また、本発明の化合物を投与することによって、前立腺肥大に続く膀胱不安定症も治療可能かまたは防止可能である。これは、そうでなければ健康な人の、尿道緊張度を高め、望ましくない尿漏出を減少させるための方法である。例えば、本発明の方法は、出産後の女性の最初の1年間によく起こる尿漏出を軽減させるのに適用することができる。
【0078】
他の実施形態では、本発明の化合物は、尿貯留または排尿筋括約筋筋失調を治療するのに有用である。尿貯留に悩んでいる患者には、脊髄損傷に悩む患者または良性前立腺過形成を有する男性患者が含まれる。
【0079】
本発明によれば、本発明の化合物は、望むときにいつでも、排尿を一時的に遅らせるように促すのにも有用である。そうした化合物は、本発明に従って、適用できる任意の状況で、膀胱を安定化させるように利用することができる。したがって本発明の方法は、レシピエントが排尿の切迫や頻度を制御できるようするのに利用することができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物は、切迫性尿失禁(膀胱不安定症、神経因性膀胱、排尿機能障害、過活動膀胱、排尿筋過活動、排尿筋過反射または無抑制膀胱としても知られている)または混合性尿失禁の治療、抑制および/または改善のためにそれを必要とする哺乳動物に投与される。本発明の用途には、これらに限定されないが、尿意切迫が前立腺炎、前立腺肥大、間質性膀胱炎、尿路感染症または膣炎に付随する膀胱の活動および不安定のためものが含まれる。本発明の方法は、頻尿切迫症候群および低頻度排尿症候群としても知られている尿回数減少の病態の抑制または矯正を助けるのにも用いることができる。
【0081】
本発明の化合物は、利尿薬、バソプレシンアンタゴニスト、抗コリン剤、鎮静剤もしくは催眠剤、麻薬、α−アドレナリンアゴニスト、α−アドレナリンアンタゴニストまたはカルシウムチャンネル遮断薬を含む他の医薬品の投与に付随するかまたはそれによってもたらされる尿失禁、尿不安定症または尿意逼迫を治療、阻止または制限するのに用いることもできる。
【0082】
本発明の化合物は、成人や小児用の使用を含むそうした緩和を必要とするヒトにおける、膀胱の制御を誘起するかまたは助けるため、あるいは、本明細書で述べる病弊を防止するかまたは治療するために有用である。これらは、特にイヌやネコの膀胱の制御法を含む、獣医学的用途にも利用することができる。望むなら、本明細書の方法は、ヒツジ、ウシ、ブタおよびウマの種族などの家畜にも用いることができる。
【0083】
本発明によれば、本発明の化合物は、膀胱の働きを調節するために単独で投与するか、あるいは膀胱の働きを調節するのに有用な1種または複数の他の薬剤と併用して(同時かまたは逐次的に)投与することができる。それに代わるかまたはそれに加えて、本発明の化合物は、膀胱の働きの調節を必要とする個体が苦しむ1種または複数の他の症状、障害または疾病の治療または防止に有用な1種または複数の他の薬剤と併用して投与することができる。
【0084】
膀胱の働きの調節、特に尿失禁の治療、防止、抑制および/または改善に有用な他の薬剤には、例えば、酢酸デスモプレシン(Aventis PharmaceuticalsからDDAVP(登録商標)鼻腔用スプレーおよびDDAVP(登録商標)錠剤として入手可能)、ならびに酢酸デスモプレシン鼻腔用チューブ(Ferring Pharmaceuticals Inc.から入手可能)が含まれる。他の製品には、例えば、酒石酸トルテロジン(Pharmacia & UpjohnからDetroltm錠剤として入手可能)、塩酸オキシブチニン(ALZA PharmaceuticalsからDitropan(登録商標)錠剤およびシロップ剤およびDitropan XL(登録商標)持続放出錠剤の形態で入手可能)、臭化プロパンタリン(Roxane Laboratories,Inc.から錠剤の形態で入手可能)、ヒヨスチアミンおよび硫酸ヒヨスチアミン(それぞれCystopaz(登録商標)錠剤およびCystopaz−M(登録商標)時限放出カプセルとしてPolyMedica Pharmaceuticals(U.S.A.),Inc.から入手可能)、ヒヨスチアミン臭化水素酸塩、フラボキセイトHCl(ALZA PharmaceuticalsからUrispas(登録商標)100mg錠剤で入手可能)、イミプラミンHCl(Geneva Pharmaceuticals,Inc.から10mg、25mgおよび50mgの錠剤で入手可能)、フェニルプロパノールアミン、ミドドリンHCl(Shire US Inc.から2.5mgおよび5mgのProamatine(登録商標)錠剤で入手可能)、フェノキシベンズアミンHCl(WellSpring Pharmaceuticals CorporationからDibenzyline(登録商標)カプセル剤として入手可能)およびプラゾシンHCl(Pfizer Inc.からMinipress(登録商標)カプセル剤で入手可能)が含まれる。これらの医薬品のそれぞれは、Medical Economics Company,Inc.at Monvale,NJ07645−1742出版の「医師用卓上参考書(Physicians’ Desk Reference)」、第55版、2001年に挙げられているものを含む(その対応する部分を出典明示により本明細書の一部とする。)、当業界で周知の薬剤有効量およびレジメンで投与することができる。
【0085】
膀胱の働きを調節するように作用できるさらに他の薬剤には、例えば、5HT2C受容体の他の調節剤が含まれる。例えば、米国特許出願第2004/0235856号(その全内容を出典明示により本明細書の一部とする)は本発明の実施に有用である様々な5HT2C受容体修飾因子を記載している。他の5HT2CアゴニストはBishopら、Expert Opin.Ther.Patent13:1691〜1705頁、2003年に例示されている。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0086】
膀胱の働きを調節するように作用できるさらに他の薬剤には、例えば、1種または複数のKCNQカリウムチャンネルの修飾因子が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物は、KCNQ2/3またはKCNQ3/5の1種または複数のアゴニストと一緒に投与される。そうしたKCNQ修飾因子には、例えば、米国特許第5,384,330号に記載の化合物および米国特許第5,565,483号に記載の化合物、ならびに、米国特許出願第2002/0183395号および同第2004/0029949号に記載の化合物が含まれる。これらの特許および特許出願のそれぞれの全内容を出典明示により本明細書の一部とする。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物はレチガビンと一緒に投与される。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物は、これらに限定されないが、米国特許第6,194,407号(Failliら)、同第6,090,803号(Failliら)、同第6,096,736号(Ogawaら)および同第6,096,735号(Ogawaら)に記載のものを含むバソプレシンアゴニストとして作用する1種または複数の化合物と一緒に投与される。
【0088】
一般に、本発明によれば、1種または複数の本発明の化合物を、1種または複数のα−アドレナリン受容体アゴニストおよび/または1種または複数の他の交感神経興奮剤と一緒に投与することがしばしば望ましい。
【0089】
本発明によれば、式Iの化合物は、例えば、気晴らしのための物質(recreational substance)(例えば、アルコール、たばこ[例えばニコチン])、薬理作用のある物質(例えば、鎮痛剤[例えば、Vicodin(登録商標)、Lortab(登録商標)、Lorcet(登録商標)、Percocet(登録商標)、Percodan(登録商標)、Tylox(登録商標)、ヒドロコドン、OxyContin(登録商標)、メタドン、トラマドール等]、トランキライザー、興奮剤または鎮静剤)ならびに不正薬物(例えば、マリファナ、ヘロイン、コカイン、エクスタシー、LSD、PCP、メタンフェタミン等)を含む様々な物質のいずれかのための依存症、離脱症状またはその症候を治療、防止または緩和するのに用いることができる。
【0090】
本明細書で用いる「薬物乱用」なる語は、米国精神医学会の用語および統計に関する作業部会(Task Force on Nomenclature and Statistics of the American Psychiatric Association)によって作成された「精神障害の診断および統計マニュアル」、第4版(1994年)(「DSM−IV」)の基準設定方式を参考にして定義することができる。薬物乱用の特徴は、物質の反復使用に関連した反復性でかつ重大で有害な結果によって呈される物質使用の不適応パターンである。DSM−IVに挙げられているように、薬物乱用は、12か月以内に起こる以下の1つ(または複数)、すなわち、(1)職場、学校または家庭での主要な役割義務の遂行に失敗をもたらす反復性物質の使用、(2)肉体的に危険な状況での反復性物質の使用、(3)反復性物質関連の法律的問題、および(4)その物質の影響により引き起こされるかまたは悪化する、持続性または反復性の社会的または人間関係の問題を有しているにもかかわらず持続的に物質を使用することによって示される、臨床的に重大な機能障害または苦痛をもたらす薬物乱用の不適応パターンと定義される。さらに、DMS−IVは、薬物乱用の症状が物質依存症の基準に適合しないことを求めている。
【0091】
本明細書で用いる「物質依存症」なる語は、米国精神医学会の用語および統計に関する作業部会によって作成された「精神障害の診断および統計マニュアル」、第4版(1994年)(「DSM−IV」)の基準設定方式を参考にして定義することができる。DSM−IVに示されている物質依存症の基準は、同じく12か月以内のいずれかの時点で起こる以下の群、すなわち、(1)(a)所望の効果を得るのに実質的に増加した物質の量が必要であるか、または、(b)同じ物質の量を継続して用いて、効果が実質的に低下していることによって定義される耐性、(2)(a)特定の物質について特徴的な離脱症候群か、または(b)禁断症状を緩和または回避するために同じかまたは密接に関連した物質をとることによって示される離脱症状、(3)物質をしばしば、所定の量より多量にまたは所定の期間より長期間摂取すること、(4)物質の使用を減らすかまたは制御しようとする持続的願望、またはそのことへの努力の不成功が見られること、(5)その物質を獲得するか、その物質を使用するかまたはその影響から回復する行動に膨大な時間が費やされること、(6)物質使用の使用によって重要な社会的、職業上の活動またはレクリエーション活動が断念されるかまたは低下すること、および(7)その物質によって引き起こされるかまたは悪化する可能性のある、持続性または反復性の肉体的または心理学的問題を有することを知っているにもかかわらず物質使用を継続することから選択される少なくとも3つによって示される、臨床的に重大な機能障害または苦痛をもたらす物質使用のパターンである。物質依存症は、耐性または離脱症状が存在する証拠である生理学的依存症を伴っても、それを伴わなくても(そこでは耐性または離脱症状が存在しない)よい。DSM−IVで示されている条件のうちの4つに鎮静が含まれている。これらタイプの鎮静は、依存症が停止した後経過した時間間隔と、依存症の基準に含まれる症状の1つまたは複数が持続的に存在するかどうかということに基づいている。
【0092】
ある実施形態では、本発明の化合物は、アルコール依存症の治療(例えば、アルコール摂取の節制、欲求低下および再発防止のための治療を含む、アルコールの乱用、中毒および/または依存症)および/またはたばこ中毒の治療(例えば、たばこの喫煙の欲求低下および再発防止のための治療を含む、喫煙中毒、停止および/または依存症)に有用である。
【0093】
本発明による薬物乱用の評価では、例えば、不正薬物使用の9つの異なるカテゴリー:マリファナ、コカイン、ヘロイン、幻覚剤、吸入薬、ならびに処方せん型の鎮静薬、トランキライザー、興奮剤および鎮静剤の非医学用途についての情報が得られる、National Survey on Drug Use and Health(NSDUH)を参照することができる。これらのカテゴリーにおいて、ハシシュはマリファナに含まれ、クラックはコカインの一形態とされている。複数の薬物が、LSD、PCP、ペヨーテ、メスカリン、マッシュルームおよび「エクスタシー」(MDMA)を含む幻覚剤カテゴリーのもとで分類されている。吸入薬には、亜硝酸アミル、洗浄液、ガソリン、塗料および接着剤などの様々な物質が含まれる。処方せん型の薬物の4つのカテゴリー(鎮痛剤、トランキライザー、興奮剤および鎮静剤)は処方せんによって、また時には、不法に「路上で」入手できる様々な薬物に及ぶ。メタンフェタミンは興奮剤の一種と考えられる。レスポンデントは、それが彼らのために処方されたものではない薬物か、または経験またはそれらがもたらす感触のためだけに服用した薬物の使用についてのみ報告するように求められる。店頭販売の薬物や処方せん薬物の合法的使用は含まれない。NSDUH報告は、4つの処方せん型の薬物のグループを「何らかの精神治療剤(any psychotherapeutics)」と称するカテゴリーにまとめている。
【0094】
NSDUHは、ビール、ワイン、ウイスキー、ブランデーおよびカクテルなどのアルコール飲料の消費の頻度についての質問を用いてアルコール乱用をカテゴリー化している。質問が与えられる前に、包含される飲料の種類の例の広範なリストがレスポンデントに与えられる。1「ドリンク(drink)」とは、1缶もしくは1瓶のビール、グラス1杯のワインもしくは1つのワインクーラー、ワンショットのリカー、またはリカーの入った1杯のカクテルと定義する。レスポンデントが1ドリンクを1回か2回だけすすった場合は消費と見なさない。この報告については、アルコール使用の普及度の推定は、男性と女性の両方、ならびにすべての年齢について主に以下の3つのレベルで報告されている。
カレント(Current)使用−過去30日間で少なくとも1ドリンク(ビンジ使用およびヘビー使用を含む)。
ビンジ(Binge)使用−過去30日間で少なくとも1回、同一時点で5ドリンク以上(ヘビー使用を含む)。
ヘビー(heavy)使用−過去30日間で異なる5日間、同一時点で5ドリンク以上。
【0095】
NSDUHは、紙巻きたばこ、かみたばこ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこおよびパイプたばこを含むたばこ製品の使用も特徴づけしている。解析のために、かみたばこと嗅ぎたばこについてのデータは「無煙たばこ」としてまとめられている。紙巻きたばこ使用は、「紙巻きたばこの一部またはすべて」を喫煙することと定義されている。最近の紙巻きたばこ喫煙者の間のニコチン依存度を決めるための質問もNSDUHに含まれている。ニコチン依存度は、ニコチン依存症候群スケール(NIcotine Dependence Syndrome Scale)(NDSS)またはファガストロームニコチン依存度テスト(Fagerstrom Test of NIcotine Dependence)(FTND)による基準に基づいている。
【0096】
他の実施形態では、本発明の化合物は、ニコチン、アルコールへの中毒、および他の物質の乱用を含む薬物中毒離脱症状を治療するのに有用である。人々は、これらに限定されないが、紙巻きたばこ、葉巻たばこまたはパイプたばこの喫煙、あるいはたばこもしくはかみたばこの経口または経鼻摂取を含む任意の形態でのたばこの使用の中断によりもたらされるニコチン離脱の症状にしばしば悩んでいる。そうした経口または経鼻たばこには、これらに限定されないが、嗅ぎたばこやかみたばこが含まれる。ニコチン使用の停止またはニコチン使用の量を少なくするとしばしば24時間以内に、不快な憂うつ感;頭部ふらふら感;不眠症;興奮性、欲求不満もしくは怒り;不安神経症;神経的な震え;集中力の欠如;不穏状態;心拍数減少;食欲増進または体重増加;およびたばこまたはニコチンの渇望を含む症状を伴う。これらの症状は、社会的、職業上または他の重要な機能の分野において、臨床的に重要な苦痛または障害をしばしば引き起こす。
【0097】
注入または経口での喫煙または鼻腔内吸入によるオピオイドの投与、典型的には自己投与の停止または低減は、特徴的なオピオイド禁断状態の存在をしばしばもたらす。この禁断状態は、オピオイド使用後に、ナロキソンまたはナルトレキソンなどのオピオイドアンタゴニストの投与によって、誘発させることもできる。オピオイド禁断は、一般にオピオイドアゴニストの効果とは逆の症状を特徴としている。これらの禁断症状には、不安神経症;不穏状態;しばしば背中や脚の筋肉痛;オピオイドへの渇望;興奮、および疼痛への敏感性増加;不快な気分;吐き気または嘔吐;流涙;鼻漏;乳頭の膨張;立毛;発汗;下痢;あくび;発熱;および不眠症が含まれる。依存症が、ヘロインなどの短時間作用性のオピオイドによる場合、禁断症状は通常、最後の投与から6〜24時間以内に起こり、他方、メタドンなどの長時間作用性のオピオイドを用いた場合、症状が発現するのに2〜4日間かかる。これらの症状は、社会的、職業上または他の重要な機能の分野において、臨床的に重要な苦痛または障害をしばしば引き起こす。本発明は、そうした症状が一般的な医学的病態ではなく、かつ他の内科的疾患でよく説明できない場合、オピオイド離脱による1種または複数の症状を緩和させるのに最も好ましく用いられる。
【0098】
エタノール(エタノール含有飲料)の使用の中断または低減は、エタノール禁断状態の発現をもたらす。エタノール禁断状態は、エタノール使用が停止または低減された後、エタノールの血中濃度が4〜12時間以内で急激に低下する際に始まる症状を特徴とする。これらのエタノール禁断症状には、エタノールへの渇望;自律神経系の活動亢進(発汗または100を超える脈拍数など);手の震え;不眠症;吐き気;嘔吐;一過性視覚的、触覚的または聴覚的な幻覚または錯覚;精神運動性激越;不安神経症;およびけいれん大発作が含まれる。これらの症状は、社会的、職業上または他の重要な機能の分野において、臨床的に重要な苦痛または障害をしばしば引き起こす。本発明は、そうした症状が一般的な医学的病態ではなく、かつ他の内科的疾患でよく説明できない場合、エタノール離脱による1種または複数の症状を緩和させるのに最も好ましく用いられる。
【0099】
他の実施形態によれば、本発明の化合物は、薬物乱用を治療するのに有用な1種または複数の薬剤と併用して投与される。ある実施形態では、本発明の化合物は、たばこ中毒を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。そうした薬剤には、ニコチン受容体部分アゴニストのブプロピオン次亜塩素酸塩(Zyban(商標))およびニコチン代償療法が含まれる。
【0100】
さらに他の実施形態によれば、本発明の化合物は、ピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン、ReVia(商標))、ナルメフェン、ジスルフィラム(Antabuse(商標))およびアカンプロセート(Campral(商標))などのアルコール依存症を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。
【0101】
ある実施形態では、化合物は、ベンゾジアゼピン、ベータ遮断薬、クロニジン、カルバマゼピン、プレガバリンおよびガバペンチン(Neurontin(商標))などのアルコール禁断症状を低減させるための1種または複数の薬剤と併用して投与される。本発明の他の実施形態では、本発明の化合物を用いる治療は、物質依存または乱用からの持続的自制を高めるための教育的および/または行動的修正プログラムと同時に、それと関連し、かつ/またはそれに続いて投与されるものである。本発明の方法は、リハビリテーションまたは他の治療プログラムでしばしば見られる離脱の症状を治療するのに特に有用である。したがって、教育的および行動修正目標に焦点を合わせ、さらにプログラムの未完了の発生を低減させることによって、そのプログラムをより効果的なもとのすることができる。
【0102】
ある実施形態では、本発明の化合物は、本発明の化合物を投与することを含む1種または複数の知的障害の治療に有用である。他の実施形態では、そうした知的障害には、加齢による認知症、血管性認知症、軽度の認知障害、加齢に伴う認識衰退および軽度の神経認知障害などの認知症;アルツハイマー病、および小児と成人の両方における記憶障害、注意力欠如障害(ADD、注意欠陥多動性障害すなわちADHDとしても知られている)が含まれる。ある実施形態では、本発明は、式Iの化合物またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む、小児患者のADDおよび/またはADHDを治療する方法を提供する。
【0103】
他の実施形態では、本発明は、1種または複数の認知障害を治療する方法を提供する。他の態様によれば、認知障害は学習障害である。そうした学習障害は当業界でよく知られており、それらには、自閉症、失読症、アスペルガー症候群、自閉症と類似した社会的スキルやコミュニケーションスキルにおける重大な欠如を特徴とする神経生物学的障害;特定の学習不能症、すなわち、聞く、考える、話す、読む、書く、綴るまたは数学的計算をする能力が不完全であることをそれ自体が示すことがある、話し言葉もしくは書き言葉を理解するか、または使うことに関わる基本的な心理学的過程の1つまたは複数における障害;書字障害、すなわち、文字を形成するかまたは規定の空間内に書くことに困難を伴う障害;計算力障害、すなわち、計算をしたり数学的概念を把握したりするのに人に不具合をもたらす障害;行動不全、すなわち、所与の状況において、人が抑制的または協調的な肉体的応答をする能力を妨げる身体の動作システムに関する問題;視力には何ら問題はないが、視覚的知覚欠如、すなわち、視覚から正確な情報を受け取り、かつ/またはそれを処理するのが困難なこと、ならびに、聴覚的知覚欠如、すなわち、聴力には何ら問題はないが、聴覚的手段によって正確な情報を受け取るのが困難なことが含まれる。
【0104】
ある実施形態では、本発明は、1種または複数の衝動性疾患(例えば、境界性人格障害)、分裂的行動障害または衝動調節障害を治療する方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、トゥレット症候群(TS)、繰り返される無意識の身体の動き(チック)および/または抑えきれない音声を特徴とする遺伝性の神経障害を治療する方法を提供する。
【0105】
他の態様によれば、本発明は、1種または複数の行動中毒および嗜癖障害を治療するための方法を提供する。行動中毒および嗜癖障害は、特定の活動の際の脳内化学物質(例えば、セロトニン、アドレナリン、エピネフリン等)の放出による、ある意味での中毒によってもたらされる。そうした障害は当業界で知られており、若干挙げればそれらにはギャンブル、セックス中毒、摂食障害、消費中毒、激怒/怒り、仕事中毒、運動中毒、危険負担中毒および完璧主義が含まれる。
【0106】
ある実施形態では、本発明の化合物は、1種または複数の認識改良剤と併用して投与される。そうした薬剤は当業界でよく知られており、それらには、ドネペジル塩酸塩(Aircept(商標))および他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤;ガランタミン、神経保護薬(例えば、メマンチン);ADD/ADHD剤(例えば、メチルフェニデート(Ritalin(商標))、アトモキセチン(Strattera(商標))、メチルフェニデート、持続放出(Concerta(商標))およびアンフェタミン/デキストロアンフェタミン(Adderall(商標))が含まれる。
【0107】
他の態様によれば、本発明は、本発明の化合物を投与することを含む性機能障害の治療方法を提供する。ある実施形態では、性機能障害は抑鬱障害に付随する。他の実施形態では、性機能障害は、セロトニン再取り込み阻害剤の投与による障害の治療に付随する。本発明の化合物は、男性および女性における性機能障害を治療するのに有用である。そうした障害には、男性の勃起不全(MED)や女性の性機能障害(FSD)、例えば女性の性的刺激障害(FSAD)が含まれる。
【0108】
他の実施形態では、本発明は、:性活動に対する性的空想や願望の欠乏または欠如を特徴とするHSDD、性活動の完結、性的興奮への十分な湿潤−膨張反応が得られるかまたはそれまで維持することを持続または反復できないことを特徴とするFSAD;正常な性的興奮段階に続くオルガスムの持続性または反復性の遅れまたはその欠如を特徴とするFOD;性交疼痛症や膣痙などの性的疼痛障害;および/または、性的であることへの願望をもたないかまたはほとんどもたず、かつ、性的想像または空想をもたないかまたはほとんどもたない女性に特徴的なHSDDを含む性機能障害に付随する1種または複数の障害を治療するための方法を提供する。
【0109】
他の実施形態によれば、本発明の化合物は、男性の性機能障害(例えば、勃起不全)を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。そうした薬剤は当業界で知られており、それらには、ドーパミンアゴニスト(例えば、D2、D3またはD4アゴニストおよびアポモルヒネ);NPY(神経ペプチドY)(好ましくはNPY−1および/またはNPY−5阻害剤);メラノコルチン受容体アゴニストもしくは修飾因子またはメラノコルチンエンハンサー;NEP阻害剤;PDE阻害剤(好ましくは、cGMP PDE−5阻害剤);ボンベシン受容体アンタゴニストまたは修飾因子、および可溶性の分泌エンドペプチダーゼ阻害剤(SEPi)が含まれる。ある実施形態では、本発明の化合物は、アルプロスタジルまたはシルデナフィルなどの男性の性機能障害を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。
【0110】
さらに他の実施形態によれば、本発明の化合物は、女性の性機能障害を治療するための1種または複数の薬剤と併用して投与される。そうした薬剤は当業界で知られており、それらには、エストロゲン受容体修飾因子(例えば、エストロゲンアゴニストおよび/またはエストロゲンアンタゴニスト);テストステロン置換剤、テストステロン(Tostrelle)、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、テストステロンインプラント;例えば、デヒドロアンドロステンジオン、エストロゲン、エストロゲン、メドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)、エストロゲンとメチルテストステロンホルモン補充療剤の組合せ;Premarin、Cenestin、Oestrofeminal、Equin、エストレース(Estrace)、Estrofem、Elleste Solo、Estring、Eastraderm TTS、Eastraderm Matrix、Dermestril、Premphase、Preempro、Prempak、Premique、Estratest、Estratest HS、チボロン(Tibolone)、ドーパミンアゴニスト;例えば、アポモルヒネまたはプラミペキソールおよびロピリノール(ropirinol)などの選択的D2、D3もしくはD2/Dアゴニスト、NPY(神経ペプチドY)阻害剤;例えば、NPY1またはNPY5阻害剤、好ましくはNPY1阻害剤などのNPY(神経ペプチドY)阻害剤、メラノコルチン受容体修飾因子またはメラノコルチンエンハンサー;例えば、メラノタンII、PT−14、PT−141、NEP(中性エンドペプチダーゼ)阻害剤;PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤;例えば、シルデナフィルおよび/またはボンベシン受容体修飾因子が含まれる。
【0111】
本発明によれば、本発明の化合物は、ヒトなどの哺乳動物が経験する様々な異なる種類の疼痛のいずれかを治療するのに有用である。例えば、本発明の化合物は、中枢かまたは末梢の急性疼痛(短期間)または慢性の疼痛(定期的に起こるかまたは持続的な)を治療するのに用いることができる。
【0112】
急性または慢性であり、本発明の方法により治療できる疼痛の例には、炎症性痛覚、筋骨格系疼痛、骨疼痛、仙腰痛、頸痛もしくは上背疼痛、内臓痛、体性痛、神経因性疼痛、癌性疼痛、火傷による疼痛などの傷害または外科処置による疼痛、または片頭痛もしくは緊張性頭痛などの頭痛、あるいはこれらの疼痛の組合せが含まれる。当業者は、これらの疼痛が互いに重複する可能性があることを理解されよう。例えば、炎症によって引き起こされた疼痛は本来内臓性かまたは筋骨格性でもある。
【0113】
本発明の一実施形態では、本発明の1つまたは複数の化合物は、例えば末梢もしくは中枢神経系における損傷または病理学的変化に付随する神経因性疼痛;癌性疼痛;例えば、腹部、骨盤および/または会陰の部位または膵炎に付随する内臓痛;例えば、下背もしくは上背、脊椎、線維筋痛、顎関節または筋膜疼痛症候群に付随する筋骨格系疼痛;例えば変形性関節症、関節リウマチまたは脊髄の狭窄などの骨または関節の変性障害に付随する骨疼痛;片頭痛または緊張性頭痛などの頭痛;あるいは、HIV、鎌状赤血球貧血、自己免疫疾患、多発性硬化症、または変形性関節症もしくは関節リウマチなどの炎症などの感染症に付随する疼痛などの慢性の疼痛を治療するために哺乳動物に投与される。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、本明細書で述べる方法によって、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨疼痛、頭痛、癌性疼痛または炎症性痛覚あるいはその組合せである慢性の疼痛を治療するために用いる。炎症性痛覚は、変形性関節症、関節リウマチ、外科処置または傷害などの様々な病状と関連していてよい。神経因性疼痛は、例えば、糖尿病性神経障害、末梢神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰部または頸部の神経根障害、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、カジュアルギア(casualgia)、視床症候群、神経根剥離または幻肢痛、反射性交感神経性ジストロフィーもしくは開胸術後の痛みなどの末梢性および/または中枢性感作をもたらす傷害による神経損傷、癌、化学傷害、毒素、栄養不足、または帯状疱疹もしくはHIVなどのウイルス性もしくは細菌性感染症あるいはその組合せと関連していてよい。本発明の治療方法は、神経因性疼痛が、視床の状態と関連する転移性浸潤、有痛脂肪症、熱傷または中心性疼痛状態に続く病態である治療をさらに含む。
【0115】
上記の神経因性疼痛は、場合によっては、特発性小径線維有痛性の感覚性神経障害などの「有痛性小径線維神経障害」あるいは脱髄性神経障害もしくは軸索神経障害またはその組合せなどの「有痛性大径線維神経障害」に分類することもできる。そうした神経障害は、例えばJ.Mendellら、N.Engl.J.Med.2003年、348:1243〜1255頁により詳細に記載されている。これを出典明示により本明細書の一部とする。
【0116】
他の実施形態では、本発明で有用な化合物は、神経因性疼痛状態が進行するのを完全にまたは部分的に阻止するために投与することができる。例えば、本発明の化合物は、萎縮帯状疱疹を有する哺乳動物または癌の治療をされている哺乳動物などの、神経因性疼痛が進行するリスクがある哺乳動物に投与することができる。
【0117】
一実施形態では、本発明で有用な化合物は、外科手技の前かまたはその間に、外科手技に付随する疼痛の進行を部分的かまたは完全に阻止するために投与することができる。
【0118】
上記したように、本発明の方法は、本来体性および/または内臓性である疼痛を治療するために用いることができる。例えば、本発明の方法によって治療できる体性痛には、外科処置、歯科処置の際に受ける構造的傷害または軟組織傷害、熱傷または外傷による肉体的損傷に付随する疼痛が含まれる。本発明の方法により治療できる内臓痛の例には、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性膀胱、クローン病、リウマチ性疾患(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器の感染症または胆道障害あるいはその組合せなどの内臓の病弊に付随するかまたはそれによってもたらされる種類の疼痛が含まれる。当業者は、本発明の方法によって治療される疼痛が、痛覚過敏症、異痛症の病態またはその両方と関連することがあることも理解されよう。さらに、本発明によって治療される慢性の疼痛は、末梢性または中枢性の感作を伴っても伴わなくてもよい。
【0119】
本発明は、女性特有の疼痛ともいえる、女性の状態に付随する急性および/または慢性の疼痛を治療するための本発明の化合物の使用も提供する。そうした種類の疼痛には、月経、排卵、妊娠または出産、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤内器官虚血、閉塞、腹腔内癒着、骨盤内臓器の解剖学的ひずみ、卵巣膿瘍、骨盤支持体の欠損、腫瘍、骨盤うっ血に伴う疼痛、あるいは非婦人科的原因による関連疼痛を含む、女性だけまたは女性が主として直面するものが含まれる。
【0120】
ある実施形態では、本発明の化合物は、疼痛緩和剤と併用して投与される。本発明の化合物と併用して投与できる疼痛緩和剤の例には、これらに限定されないが、非麻薬性鎮痛剤または麻薬性鎮痛剤などの鎮痛剤;非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、ステロイドまたは抗リウマチ薬などの抗炎症剤;ベータアドレナリン遮断薬、麦角誘導またはイソメテプテンなどの片頭痛製剤;アミトリプチリン、デシプラミンまたはイミプラミンなどの三環系抗鬱剤;ガバペンチン、カルバマゼピン、トピラメート、バルプロ酸ナトリウムまたはフェニトインなどの抗てんかん薬;αアゴニスト;または選択的セロトニン再取り込み阻害剤/選択的ノルエピネフリン取り込み阻害剤あるいはその組合せが含まれる。
【0121】
当業者は、本明細書で記載のいくつかの薬剤は疼痛や炎症などの複数の病態を緩和するように作用するが、他の薬剤は疼痛などのただ1つの症状を緩和することを理解されよう。複数の特性を有する薬剤の具体的な例はアスピリンである。このアスピリンは、高用量で投与されると抗炎症薬であり、低用量で投与されると単なる鎮痛剤である。疼痛緩和剤は上記薬剤の任意の組合せを含むことができる。例えば、疼痛緩和剤は麻薬性鎮痛剤と併用した非麻薬性鎮痛剤であってよい。
【0122】
本発明の実施に有用な非麻薬性鎮痛剤には、例えば、アスピリン、イブプロフェン(Motrin(登録商標)、Advil(登録商標))、ケトプロフェン(Orudis(登録商標))、ナプロキセン(Naprosyn(登録商標))、アセトアミノフェン、インドメタシンまたはその組合せなどのサリチル酸塩が含まれる。本発明の化合物と併用することができる麻薬性鎮痛剤の例には、フェンテニル(fentenyl)、スフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルフォン、コデイン、オキシコドン、ブプレノルフィンまたはその医薬上許容される塩などのオピオイド鎮痛剤あるいはその組合せが含まれる。本発明の化合物と併用することができる抗炎症剤の例には、これらに限定されないが、アスピリン;イブプロフェン;ケトプロフェン;ナプロキセン;エトドラク(Lodine(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、パレコキシブ、エトリコキシブ(MK663)、デラコキシブ、2−(4−エトキシ−フェニル)−3−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピラゾロ[1,5−b]ピリダジン、4−(2−オキソ−3−フェニル−2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド、ダルブフェロン、フロスリド、4−(4−シクロヘキシル−2−メチル−5−オキサゾールイル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド)、メロキシカム、ニメスリド、1−メチルスルホニル−4−(1,1−ジメチル−4−(4−フルオロフェニル)シクロペンタ−2,4−ジエン−3−イル)ベンゼン、4−(1,5−ジヒドロ−6−フルオロ−7−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)−(2)−ベンゾチオピラノ(4,3−c)ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルホンベンゼン、4,4−ジメチル−2−フェニル−3−(4−メチルスルホニル)フェニル)シクロ−ブテノン、4−アミノ−N−(4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)−チアゾール−2−イル)−ベンゼンスルホンベンゼン、1−(7−tert−ブチル−2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−5−ベンゾ−フラニル)−4−シクロプロピルブタン−1−オンまたは生理学的に許容されるその塩、エステルもしくは溶媒和物などのCOX−2阻害剤;スリンダク(Clinoril(登録商標));ジクロフェナク(Voltaren(登録商標));ピロキシカム(Feldene(登録商標));ジフルニサル(Dolobid(登録商標))、ナブメトン(Relefen(登録商標))、オキサプロジン(Daypro(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標));あるいは、Pediaped(登録商標)リン酸プレドニゾロンナトリウム経口液剤、注入用のSolu−Medrol(登録商標)コハク酸メチルレドニゾロン、Prelone(登録商標)という銘柄のプレドニゾロンシロップ剤などのステロイドが含まれる。
【0123】
本発明によって、例えば関節リウマチに付随する疼痛を治療するのに用いることができる抗炎症剤の他の例には、Roche LabsからEC−Naprosyn(登録商標)遅延放出錠剤、Naprosyn(登録商標)、Anaprox(登録商標)およびAnaprox(登録商標)DS錠剤ならびにNaprosyn(登録商標)懸濁剤の形態で市販されているナプロキセン、Celebrex(登録商標)という銘柄のセレコキシブ錠剤、Vioxx(登録商標)という銘柄のロフェコキシブ、Celestone(登録商標)という銘柄のβメタゾン、Cuprアミン(登録商標)という銘柄のペニシラミンカプセル、Depen(登録商標)という銘柄の用量設定できるペニシラミン錠剤、Depo−Medrol(登録商標)という銘柄のメチルプレドニゾロンアセテート注入可能懸濁剤、Arava(商標)レフルノミド錠剤、アズルフィジン(Azulfidine)EN−tabs(登録商標)という銘柄のスルファサラジン遅延放出錠剤、Feldene(登録商標)という銘柄のピロキシカムカプセル剤、Cataflam(登録商標)ジクロフェナクカリウム錠剤、Voltaren(登録商標)ジクロフェナクナトリウム遅延放出錠剤、Voltaren(登録商標)−XRジクロフェナクナトリウム持続放出錠剤、またはEnbrel(登録商標)エタネレセプト(etanerecept)製品が含まれる。
【0124】
炎症、特に関節リウマチを治療するのに用いられるさらに他の薬剤の例には、Gengraf(商標)という銘柄のシクロスポリンカプセル剤、Neoral(登録商標)という銘柄のシクロスポリンカプセル剤もしくは経口液剤またはImuran(登録商標)という銘柄のアザチオプリン錠剤またはIV注入剤;Indocin(登録商標)という銘柄のインドメタシンカプセル剤、経口懸濁剤または坐薬;Plaquenil(登録商標)という銘柄の硫酸ヒドロキシクロロキン;またはIV注入剤用のRemicade(登録商標)インフリキシマブ組み換え体;あるいは、オーラノフィンまたはMyochrisyine(登録商標)金チオリンゴ酸ナトリウム注入剤などの金化合物などの免疫抑制剤が含まれる。
【0125】
本発明の化合物は、5−HT2C修飾因子として種々の障害を治療するのに有用である。そうした障害には、月経前症候群、パーキンソン病やてんかんなどの動作または運動障害;片頭痛、慢性疲労症候群、神経性無食欲症、睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸)および無言症が含まれる。
【0126】
他の実施形態では、本発明の化合物は、例えば、外傷、脳卒中および脊髄損傷、神経変性疾患または中毒性もしくは感染性CNS疾患(例えば、脳炎または髄膜炎)あるいはパーキンソン病に付随する1種または複数の中枢神経系の欠陥を治療するのに有用である。したがって、本発明の化合物は、問題となっている病気に罹っているかもしくは外傷を受けている間、またはそれに続く中枢神経系活性のさらなる悪化を改善または阻止するのに用いることができる。これらの改善に含まれるものは、動作または運動のスキル、制御、協調および強さの維持または改善である。
【0127】
5.医薬上許容される塩組成物
他の実施形態では、本発明は、式IもしくはVIIの少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩と、1種または複数の医薬上許容される塩担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。そうした組成物は、中枢神経系の病態または病状を治療または制御するための医薬組成物を含む。ある実施形態では、組成物は式IまたはVIIの化合物の1つもしくは複数の混合物を含む。
【0128】
ある実施形態では、本発明は、式IもしくはVIIの少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩と、1種もしくは複数の医薬上許容される塩担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。そうした組成物は、例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences,第17版,ed.Alfonoso R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA(1985年)に記載のものなどの受け入れられている薬剤用手順によって調製される。その全内容を出典明示により本明細書の一部とする。医薬上許容される塩担体は、処方物中の他の成分と適合しており、かつ生物学的に許容される担体である。
【0129】
式IまたはVIIの化合物は、何も加えないか(neat)、または通常の薬剤用担体と合わせて、経口または非経口で投与することができる。適用できる固体担体は、香味剤、滑剤、可溶化剤、懸濁化剤、増量剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤−崩壊剤またはカプセル化用材料としても作用する1種または複数の物質を含むことができる。粉剤では、担体は、微粉化した活性成分と混合した微粉化固体である。錠剤では、活性成分は、必要な圧縮特性を有する担体と適当な割合で混合されており、所望の形状と大きさに圧縮されている。粉剤および錠剤は好ましくは最大で99%の活性成分を含む。適当な固形化材(solidearner)には、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、乳糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が含まれる。
【0130】
液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤を調製するのに用いることができる。活性成分は、水、有機溶媒、その両方の混合物、または医薬上許容される塩油もしくは油脂などの医薬上許容される塩液体担体中に溶解または懸濁させることができる。液体担体は、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤または浸透圧調節剤などの適当な他の薬剤用添加剤を含むことができる。経口および非経口投与のための液体担体の適当な例には、水(特に、上記添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含むもの)、アルコール(一価アルコールや多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびその誘導体、ならびに油類(例えば、ヤシ油やラッカセイ油)が含まれる。非経口投与のためには、担体はオレイン酸エチルやミリスチン酸イソプロピルなどの油状エステルであってもよい。滅菌性液体担体は、非経口投与用の滅菌性液体組成物に用いられる。加圧組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される塩噴射剤であってよい。
【0131】
滅菌した溶液または懸濁液である液体薬剤組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内または皮下注入により投与することができる。滅菌溶液は静脈内で投与することもできる。経口投与のための組成物は液体であっても固体であってもよい。
【0132】
式IまたはVIIの化合物は、通常の坐薬の形態で経直腸または経膣で投与することができる。鼻腔内もしくは気管支内吸入または吹送による投与のためには、式IまたはVIIの化合物は、水溶液または部分水溶液に処方し、次いでそれをエアロゾルの形態で用いることができる。式Iの化合物は、活性化合物と、活性化合物に対して不活性であり皮膚への毒性がなく、かつ皮膚から血流中への全身的吸収のための薬剤デリバリーを可能にする担体とを含む経皮パッチの使用によって、経皮で投与することもできる。担体は、クリームおよび軟膏、ペースト、ゲルならびに密封デバイスなどのどの形態をとることもできる。クリームおよび軟膏は、水中油型かもしくは油中水型のいずれかの粘性液体または半固形エマルジョンであってよい。活性成分を含む石油または親水性石油中に分散された吸収性粉末を含むペーストも適している。担体を用いるかまたは用いないで活性成分を含むか、あるいは活性成分を含有するマトリックスを含むリザーバを覆う半透膜などの様々な密封デバイスを、血流中に活性成分を放出させるために用いることができる。その他の密封デバイスは文献で知られている。
【0133】
医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤または坐薬としての単位剤形であることが好ましい。そうした形態では、組成物は適当な量の活性成分を含む単位用量に細分化される。その単位剤形は、パッケージ化した組成物、例えばパケット化した粉剤、バイアル、アンプル、事前充てんしたシリンジまたは液体を含むサシェであってよい。単位剤形は、例えば、カプセルまたは錠剤自体であっても、また、パッケージの形態での、適当な数のそうした任意の組成物であってもよい。
【0134】
患者に与えられる式IまたはVIIの化合物の量は、投与されるもの、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与の仕方等に応じて変わることになる。治療用途においては、式Iの化合物を、病態を患う患者に、病態やその合併症の症状を治療するかまたは少なくとも部分的に治療するのに十分な量で投与する。これを達成するのに十分な量が、本明細書で上述した「治療有効量」である。特定の場合の治療に用いる投薬量は、担当医によって判断されなければならない。関係する変数には、具体的な病態および患者の大きさ、年齢および応答パターンが含まれる。薬物乱用の治療は、担当医の指導の下での本来的な薬物投与と同じ方法に従うことになる。一般に、最初の用量は1日当たり約5mgで、日量で1日当たり約150mgまで徐々に増大させて、患者に所望の投薬レベルを提供する。
【0135】
ある実施形態では、本発明は式Iの化合物のプロドラッグを対象とする。本明細書で用いる「プロドラッグ」なる語は、代謝的手段によって(例えば、加水分解によって)、インビボで式Iの化合物に転換させることができる化合物を意味する。例えば、Bundgaard,(ed.)、「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」、Elsevier(1985年);Widderら(ed.),Methods in Enzymology,vol.4,Academic Press(1985年);Krogsgaard−Larsenら、(ed).「プロドラッグの設計および応用(Design and Application of Prodrugs)」、Textbook of Drug Design and Development,Chapter5,113〜191頁(1991年),Bundgaardら、Journal of Drug delivery Reviews,8:1〜38頁(1992年),Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,77:285以下参照(et seq.)(1988年);およびHiguchi and Stella(eds.)「新規の薬物デリバリー系としてのプロドラッグ(Prodrugs as Novel Drug delivery Systems)」、American Chemical Society(1975年)に論じられているものなどの様々な形態のプロドラッグが当業界で知られている。そのそれぞれを出典明示により本明細書の一部とする。
【実施例】
【0136】
以下の実施例、特定の代表的な実施形態にて記載されるように、化合物は以下の一般的操作に従って調製される。一般的方法は本発明の特定の化合物の合成を記載するが、上記したスキームおよび当業者に公知の他の方法に加えて、以下の一般的方法を、本明細書に記載のすべての化合物およびこれらのサブクラスおよび種類の化合物に適用しうることが理解されよう。
【0137】
中間体1
(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール:
3−ブロモ−5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(47.09g、0.20モル)の(1:1)テトラヒドロフラン:エタノール(1000mL)中溶液に、ブロモマロン酸ジエチル(57.38g、0.24モル)およびカリウムtert−ブトキシド(26.93g、0.24モル)を加え、その反応混合物を70℃で12時間加熱した。該反応混合物を室温にまで冷却させ、溶媒を真空下で除去して粗固体を得た。該固体をテトラヒドロフラン(1000mL)に溶かし、水性水酸化ナトリウム(1.0M、250mL)を添加し、該反応混合物を室温で4時間攪拌させた。該反応混合物を濃水性塩化水素を用いて酸性(pH1−2)にし、水層を酢酸エチル(3x250mL)で抽出し、合した有機層を水(2x250mL)、水性飽和塩化ナトリウム(250mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空下で除去し、粗固体としてカルボン酸を得た。0℃に冷却した該カルボン酸(2.75g、0.01モル)のテトラヒドロフラン(100mL)中溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン複合体(1.0M、30mL)を添加し、該反応混合物を室温で12時間攪拌させた。該反応混合物をメタノールをゆっくりと添加させることでクエンチした。該溶媒を真空下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン 3:7)に付して精製し、(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール 1.59g(61%)を白色固体として得た。融点:123−126℃;元素分析:C9H9BrCl02として:計算値(%)C,41.34;H,2.31:測定値(%)C,41.68;H,2.04。
【0138】
中間体2
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
0℃に冷却したトリフェニルホスフィン(1.44g、5.48ミリモル)のトルエン(50mL)中溶液に、ジイソプロピルアザジカルボキシレート(1.11g、5.48ミリモル)を、つづいてフタルイミド(0.81g、5.48ミリモル)を加え、該反応混合物を一〇分間攪拌させた。ついで、(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メタノール(1.37g、5.22ミリモル)を加え、該反応物を0℃でさらに一時間攪拌させた。ついで、該反応混合物を水(1mL)でクエンチし、溶媒を真空下で除去し、粗固体を得た。該固体を水(100mL)に懸濁させ、水層を酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、合した有機抽出液を水性飽和塩化ナトリウム(50mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空下で除去して粗残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン1:5)に付して精製し、1.73g(85%)の2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを白色固体として得た。融点:194−198℃;HRMS−ESI(m/z):[M+H]、C17H9BrClNO3として、計算値:388.94545;測定値:389.9553。
【0139】
中間体3
2−[(5−クロロ−7−フェニル−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
90℃に加熱した2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(0.500g、1.28ミリモル)、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)(0.101g、0.128ミリモル)および 炭酸カリウム(0.531g、3.84ミリモル)のジオキサン(20mL)および水(1mL)中懸濁液に、フェニルボロン酸(0.390g、3.20ミリモル)を添加し、該反応物を一時間攪拌させた。該反応物を室温にまで冷却させ、濾過し(セライト)、溶媒を真空下で除去して粗残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン1:4)に付して精製し、0.422g(85%)の2−[(5−クロロ−7−フェニル−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを白色固体として得た。融点:163−166℃。
【0140】
以下の化合物は、一般に、中間体3について記載した操作に従って調製された:
【0141】
中間体4
2−{[5−クロロ−7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル] メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2}1)−ジオンおよび2−フルオロフェニルボロン酸より、2−{[5−クロロ−7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(63%)を白色固体として得た。融点:138−143℃。
【0142】
中間体5
2−{[5−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンおよび2−クロロフェニルボロン酸より、2−{[5−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(69%)を白色固体として得た。融点:153−158℃。
【0143】
中間体6
2−{[5−クロロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル] メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンおよび2−メチルフェニルボロン酸より、2−{[5−クロロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(62%)を白色固体として得た。融点:163−167℃。
【0144】
中間体7
2−{[5−クロロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンおよび2−メトキシフェニルボロン酸より、2−{(5−クロロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(63%)を白色固体として得た。融点:149−153℃。
【0145】
中間体8
2−((5−クロロ−7−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ベンゾフラン−2−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン:
2−[(7−ブロモ−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1、3(2H)−ジオンおよび2−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸より、2−((5−クロロ−7−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ベンゾフラン−2−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(60%)を白色固体として得た。融点:160−163℃。
【0146】
実施例1
[(5−クロロ−7−フェニル−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]アミン:
2−[(7−フェニル−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(0.382g、0.985ミリモル)のエタノール(10mL)中懸濁液に、メチルアミン(エタノール中33%、20mL)を添加し、該反応混合物を70℃に加熱し、1時間攪拌させた。該反応混合物を室温にまで冷却させ、溶媒を真空下で除去した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶かし、水(2x20mL)、飽和水性炭酸水素ナトリウム(20mL)、飽和水性塩化ナトリウム(20mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、メタノール中10%水酸化アンモニウム:酢酸エチル 1:9)に付して精製して無色油を得、それをイソプロパノール(2mL)に溶かし、塩化水素(ジエチルエーテル中1.0N溶液、5mL)を添加した。得られた沈殿物を濾過し、洗浄し(ジエチルエーテル)、乾燥させて0.165g(57%)の[(5−クロロ−7−フェニル−1−ベンゾフラン−2−イル)メチル]アミンを白色固体として得た。融点>225℃。
【0147】
以下の化合物を、一般に、実施例1に記載されている操作に従って調製した:
【0148】
実施例2
{[5−クロロ−7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−{[5−クロロ−7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンより、{[5−クロロ−7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン(25%)を白色固体として得た。融点:218−223℃(分解)。
【0149】
実施例3
{[5−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−{[5−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンより、{[5−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン(32%)を白色固体として得た。融点:247−250℃(分解)。
【0150】
実施例4
{[5−クロロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−{[5−クロロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンより、{[5−クロロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン(33%)を白色固体として得た。融点:219−222℃(分解)。
【0151】
実施例5
{[5−クロロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−{[5−クロロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンより、{[5−クロロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン(36%)を白色固体として得た。融点:228−231℃(分解)。
【0152】
実施例6
({5−クロロ−7−[2−(トリフルオロ メチル)フェニル]−1−ベンゾフラン−2−イル}メチル)アミン:
2−({5−クロロ−7−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ベンゾフラン−2−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンより、({5−クロロ−7−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ベンゾフラン−2−イル}メチル)アミン(20%)を白色固体として得た。融点:215−218℃(分解)。
【0153】
実施例7
{[7−(2、6−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル)アミン:
2−[7−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、{[7−(2,6−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミンを白色固体として得た。融点:213−215℃。
【0154】
実施例8
{[5−フルオロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−(5−フルオロ−7−(2−メチルフェニル)−ベンゾフラン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオンより、{[5−フルオロ−7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミンを白色固体として得た。融点:193−194℃。
【0155】
実施例9
{[7−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミン:
2−17−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、{[7−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}アミンを白色固体として得た。融点:190℃(分解)。
【0156】
実施例10
1−[5−フルオロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[5−フルオロ−7−(2−メトキシフェニル)−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[5−フルオロ−7−(2−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:128−130℃。
【0157】
実施例11
1−[7−(2,5−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[7−(2,5−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(2,5−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:245−247℃。
【0158】
実施例12
1−[7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−(7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(2−メチルフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:222−224℃。
【0159】
実施例13
1−[7−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[7−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:172−174℃。
【0160】
実施例14
1−[7−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[7−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:208−210℃。
【0161】
実施例15
1−[7−(2,6−ジクロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[7−(2,6−ジクロロフェニル)−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(2,6−ジクロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:260−262℃。
【0162】
実施例16
1−[6−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[6−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、[6−クロロ−7−(2−クロロフェニル)−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:208−210℃。
【0163】
実施例17
1−[7−(2−クロロフェニル)−6−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミン:
2−[7−(2−クロロフェニル)−6−フルオロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオンより、1−[7−(2−クロロフェニル)−6−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタナミンを白色固体として得た。融点:>250℃。
【0164】
生物学的アッセイ
数種の標準的薬理学的試験操作を用いて、本発明の化合物の5−HT2Cアゴニストおよび部分アゴニストとしての作用能を確立した;その使用される操作および得られた結果を以下に示す。その試験操作では、5−HTは5−ヒドロキシトリプタミンを表し、mCPPはメタ−クロロフェニルピペラジンを表し、DOIは1−(2,5−ジメトキシ−4−ヨードフェニル)イソプロピルアミンを表す。
【0165】
種々の式Iの化合物の5−HT2C受容体での活性に対する親和性を評価するために、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン2C(h5−HT2C)受容体を発現するcDNAを形質移入されたCHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)細胞系を、ウシ胎仔血清、グルタミンおよびマーカー:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GTP)およびヒポキサンチンチミジン(HT)を補足されたDMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地)中で維持した。細胞を大きな培養皿の中で、その間に培養液の取り換えおよび分割をしながらコンフルエンスに至るまで増殖させた。コンフルエンスに達したら、掻きとって細胞を収集した。収集した細胞を半容量の新鮮なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に懸濁し、低速(900xg)で遠心分離に付した。この操作を再度繰り返した。次いで、その集めた細胞をポリトロン(polytron)を用いて10倍容量の50mMトリスHCl、pH7.4および0.5mM EDTA中で、#7の設定で15秒間ホモジナイズした。ホモジナイズしたものを900×gで15分間遠心分離に付し、細胞核粒子や他の細胞残屑を除去した。ペレットを廃棄し、上澄み液を40,000×gで30分間、再び遠心分離に付した。得られたペレットを小容量のトリスHCl緩衝液中に再懸濁し、組織タンパク質含量を10〜25μL容量のアリコートにて測定した。ウシ血清アルブミン(BSA)を、Lowryら(J.Biol.Chem.,193:265(1951年))の方法によるタンパク質測定における標体として用いた。懸濁した細胞膜の容量を、0.1%アスコルビン酸、10mMパージリンおよび4mM CaClを含有する50mMトリスHCl緩衝液で調節して、懸濁液1ml当たり1〜2mgの組織タンパク質濃度を得た。調製膜懸濁液(複数回濃縮した)を1ml容量にてアリコートし、その後の結合実験で用いる時まで−70℃で保存した。
【0166】
結合測定を200μLの全容量で96ウェルのマイクロタイター平板フォーマットで実施した。各ウェルに、4mM CaCl;20μLの[125I]DOI(S.A.,2200Ci/ミリモル、NEN Life Science)を含み、50mMトリスHCl緩衝液、pH7.4中に調製した60μLのインキュベーション緩衝液を加えた。
【0167】
125I]DOIの濃度を増加させながら行う飽和結合によれば、ヒトセロトニン5−HT2C受容体での[125I]DOIの解離定数、Kは、0.4nMであった。反応は、50μgの受容体タンパク質を含む100μLの組織懸濁液の最終添加によって開始された。非特異的結合を、20.0μLの容量にて加えられた1μM非標識DOIの存在下で測定した。試験化合物を20.0μLにて添加した。混合物を室温で60分間インキュベートした。急速濾過によりインキュベーションを停止した。結合したリガンド−受容体複合体を、Packard Filtermate196(登録商標)収集器を用いて96ウェルユニフィルター(unifilter)で濾別した。フィルターディスク上に捕捉された結合複合体を、60℃に加熱した真空オーブン中で乾燥し、放射能を6つの光電子増倍管検出器を備えたPackard TopCount(登録商標)で、40μL Microscint−20シンチラントを用いた液体シンチレーションにより測定した。
【0168】
特異的結合は、結合した総放射能から、1μM非標識DOIの存在下で結合した量を減じたものと定義する。種々の濃度の試験薬物の存在下での結合を、薬物の非存在下での特異的結合の割合で表す。次いでこれらの結果を、log結合%対log試験薬物濃度でプロットする。データ点の非線形回帰分析により、試験化合物のIC50とK値の両方を95%の信頼限界で得る。別法として、データ点の傾斜の線形回帰線をプロットし、そこから曲線を読み取ってIC50値を求め、以下の式を解いてK値を測定することができる:
【数1】

(式中、Lは用いた放射能リガンドの濃度であり、Kは受容体についてのリガンドの解離定数である。どちらもnMで表す。)
【0169】
以下のK(95%信頼区間)を、次の表2の種々の参照化合物について示す。
【表1】

【0170】
式Iの化合物が、脳5−HT2Cにおいてアゴニスト応答をもたらす能力を、以下の操作を用いて、カルシウム動員に対する効果を測定することによって評価した。ヒト5−HT2C受容体を安定的に発現するCHO細胞を、10%ウシ胎仔血清および非必須アミノ酸で補充したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)中で培養した。5−HT2C受容体刺激のカルシウム動員を評価する24時間前に、96−ウェルの透明底部の黒壁平板に40K細胞/ウェルの密度で細胞を蒔いた。カルシウム試験のために、ハンクス緩衝生理食塩水(HBS)中、37℃で60分間、細胞にカルシウム指示薬染料Fluo−3−AMを負荷した。HBSを用いて細胞を室温で洗浄し、カルシウム画像を得るために、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR,Molecular Devices,Sunnyvale,CA)に移した。アルゴンイオンレーザーを用いて488nmで励起させ、510〜560nm発光フィルターを用いた。蛍光画像と相対的強度を1秒間隔で捉え、FLIPRの内部流体素子モジュール(internal fluidics module)を用いて10回のベースライン測定を行った後、アゴニストを加えて細胞を刺激させた。蛍光カウント数の増加は細胞内のカルシウムの増加と対応する。
【0171】
アゴニストの薬理を評価するために、異なる濃度のアゴニストに対する応答のカルシウムの変化を、生の蛍光カウント数データの最大から最小を減じる計算により測定した。次いでカルシウムの変化を、5−HTの最大有効濃度で観察された応答の割合として表した。EC50値を、4つのパラメータのロジスティック関数を用いて、log−濃度%最大5−HT応答曲線の非線形回帰分析により推定した。ある実施形態では、本発明の化合物は約1000nM以下のEC50を提供する。他の実施形態では、本発明の化合物は、約100nM以下、さらに他の実施形態では約20nM以下、さらに他の実施形態では約5nM以下、ある実施形態では約2nM以下のEC50を提供する。
【0172】
表3にて参照化合物について以下のEC50を提供する。
【表2】

【0173】
以下の表4は、上記のアッセイにおける、本発明の選択された化合物の活性の結果を示す。化合物の番号は、上記した表1の化合物の番号に対応する。「A」と称される活性を有する化合物は、0.01と1nMの間のK値を提供し;「B」と称される活性を有する化合物は、1nMと10nMの間のK値を提供し;そして「C」と称される活性を有する化合物は、10nMと100nMの間のK値を提供した。「D」と称される活性を有する化合物は10nM未満のEC50値を提供し;「E」と称される活性を有する化合物は10nMと200nMの間のEC50値を提供し;そして「F」と称される活性を有する化合物は200nMと2000nMの間のEC50値を提供した。
【0174】
【表3】

【0175】
かくして、本発明の化合物は、脳セロトニン5−HT2C受容体に対してアフィニティを有し、そのアゴニストまたは部分アゴニスト活性を有する。したがって、該化合物は上記した中枢神経系の症状の治療に有用である。
【0176】
本明細書に引用するかまたは記載した各特許、特許出願および出版物は、その内容のすべてを出典明示により本明細書の一部とする。
【0177】
本発明の多くの実施形態を示してきたが、基本的な構成を変更して、本発明の化合物および方法を用いて他の実施形態を提供することができることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、実施例により示した具体的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
およびR’は、各々独立して、水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルであり;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであり;
Arはチエニル、フリル、ピリジルまたはフェニルであって、ここでArは1個または複数のR基で置換されていてもよく;
は、各々独立して、ハロゲン、−OH、−CN、低級アルキル、低級アルコキシ、−CFまたは−OCFであり;および
nは1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
式IにおけるRおよびR’の一方が水素であり、RおよびR’基の他方が水素、メチル、エチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルまたはシクロプロピルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびR’が共に水素であるところの、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
およびR’のいずれもが水素でないところの、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
、RおよびRがすべて水素であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
、RおよびRのうち少なくとも1つが独立してハロゲンであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり、RおよびRが、独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
およびRが共に水素であり、Rがハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであるところの、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
およびRが共に水素であり、Rがハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであるところの、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
Arが置換されていないフェニルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
Arがオルト位に少なくとも1個の置換基を有するフェニルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Arがオルト位にハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルから選択される少なくとも1個の置換基を有するフェニルであるところの、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
Arが:
【化2】

から選択されるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
式II、II、V、VIまたはVII:
【化3】

[式中、Rは、各々独立して、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはCNを意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
【化4】

から選択されるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物と、1種または複数の医薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項17】
抗精神病薬、抗鬱薬、抗肥満薬、膀胱の活動を制御するのに有用な薬剤、オピオイドアンタゴニスト、ADDまたはADHDを治療するための薬剤、認識改良剤、性的機能不全を治療するための薬剤または疼痛緩和剤より選択される付加的な医薬をさらに含む、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
患者における、少なくとも1つの精神障害、不安障害、双極性障害、抑鬱障害、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、摂食障害、膀胱制御障害、薬物乱用または物質依存、認知障害、ADDまたはADHD、衝動性障害、嗜癖障害、男性および女性における性機能不全、疼痛、動作または運動障害、パーキンソン病、てんかん、片頭痛、慢性疲労症候群、神経性無食欲症、睡眠の障害、無言症、あるいは1種または複数の中枢神経系の欠陥から選択される病態を治療する方法であって、該患者に、治療上有効量の請求項1に記載の化合物または請求項1の化合物を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項19】
精神障害が、統合失調症、妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症および未分化型統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神障害、特定できない精神障害;L−DOPA誘発性精神病;アルツハイマー認知症に付随する精神病;パーキンソン病に付随する精神病ならびにレビー小体病に付随する精神病であるところの、請求項18記載の方法。
【請求項20】
病態が双極性障害であり、双極性障害I型、双極性障害II型、気分循環性障害;双極性躁病、認知症、精神病性の特徴を有する鬱病、あるいは双極性鬱病と双極性躁病の間を循環する疾患から選択されるところの、請求項18記載の方法。
【請求項21】
抑鬱障害が大鬱病性障害、季節性情動障害、気分変調性障害、物質誘発性気分障害、特定できない抑鬱障害、治療抵抗性の鬱病、大鬱病エピソードであるところの、請求項18記載の方法。
【請求項22】
セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、混合セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、ホスホジエステラーゼ−4(PDE4)阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、トリプル摂取阻害剤、メラトニンアゴニスト、超神経伝達物質取り込み遮断薬(SNUB)、ノルアドレナリン作動性および選択的セロトニン作動性の抗鬱剤(NaSSA)またはサブスタンスP/ニューロキニン受容体アンタゴニストから選択される抗鬱剤を患者に投与することをさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
認知障害が学習障害であるところの、請求項18記載の方法。
【請求項24】
患者が肥満について治療されるところの、請求項18記載の方法。
【請求項25】
患者がADDまたはADHDについて治療されるところの、請求項18記載の方法。
【請求項26】
薬物乱用または物質依存の物質が、気晴らしのための物質、薬理作用のある物質、トランキライザー、興奮剤、鎮静剤または不正薬物であるところの、請求項18記載の方法。
【請求項27】
抗精神病薬、抗鬱薬、抗肥満薬、膀胱の活動を制御するのに有用な薬剤、オピオイドアンタゴニスト、ADDまたはADHDを治療するための薬剤、認識改良剤、性的機能不全を治療するための薬剤または疼痛緩和剤より選択される付加的な医薬をさらに患者に投与することを含む、請求項18記載の方法。
【請求項28】
治療上有効量の請求項16に記載の組成物を患者に投与することを含む、患者における統合失調症の治療方法。
【請求項29】
治療上有効量の請求項16に記載の組成物を患者に投与することを含む、患者における双極性障害の治療方法。
【請求項30】
治療上有効量の請求項16に記載の組成物を患者に投与することを含む、患者における鬱病の治療方法。
【請求項31】
少なくとも1つの精神障害、不安障害、双極性障害、抑鬱障害、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、摂食障害、膀胱制御障害、薬物乱用または物質依存、認知障害、ADDまたはADHD、衝動性障害、嗜癖障害、男性および女性における性機能不全、疼痛、動作または運動障害、パーキンソン病、てんかん、片頭痛、慢性疲労症候群、神経性無食欲症、睡眠の障害、無言症、あるいは1種または複数の中枢神経系の欠陥から選択される病態を治療するための医薬の製造における、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−538573(P2008−538573A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507945(P2008−507945)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/015193
【国際公開番号】WO2006/116151
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】