説明

ポジションスイッチの出力判定装置

【課題】長期間使用した場合でも、常に適正なスイッチ位置の判定を行うことができるポジションスイッチの出力判定装置を提供する。
【解決手段】本発明に係わるポジションスイッチの出力判定装置(20)は、少なくとも2つの位置間の変位により、第1電圧レベルまたは当該第1電圧レベルと異なる第2電圧レベルとを出力するポジションスイッチ(10)の出力判定装置であって、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での切り替りを判定するための判定電圧レベルを記憶する記憶手段(21)と、前記ポジションスイッチから出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化したときに、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出し、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして前記記憶手段の記憶内容を更新する制御手段(22)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションスイッチの出力判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド移動するスライド部材の位置に応じて、異なるレベルの出力が得られるようにしたポジションスイッチが知られている。このようなポジションスイッチに関する従来技術として、光センサの検出しきい値を、光センサの出力がOFFのときの出力とONのときの出力との中間に設定するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−315846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光センサは、経年使用により発光部や受光部に汚れやゴミが堆積したり、光学特性が変化したりすることがある。このような変化が生じると、光センサから出力されるセンサ検出信号の電圧レベルも徐々に変動する。このため、上記従来技術のように、初期に設定したしきい値を基準として電圧レベルの判定を行うと、長期間の使用においては、適正なスイッチ位置の判定ができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、長期間使用した場合でも、常に適正なスイッチ位置の判定を行うことができるポジションスイッチの出力判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、少なくとも2つの位置間の変位により、第1電圧レベルまたは当該第1電圧レベルと異なる第2電圧レベルとを出力するポジションスイッチ(10)の出力判定装置(20)であって、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での切り替りを判定するための判定電圧レベルを記憶する記憶手段(21)と、前記ポジションスイッチから出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化したときに、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出し、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベル電位として前記記憶手段の記憶内容を更新する制御手段(22)と、を備えることを特徴とするポジションスイッチの出力判定装置。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のポジションスイッチの出力判定装置(20)であって、前記制御手段(22)は、前記ポジションスイッチ(10)から出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化する毎に、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出するとともに、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして更新すること、を特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のポジションスイッチの出力判定装置(20)であって、前記制御手段(22)は、前記ポジションスイッチ(10)から出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化した回数が規定回数に達する毎に、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出するとともに、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして更新すること、を特徴とする。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長期間使用した場合でも、常に適正なスイッチ位置の判定を行うことができるポジションスイッチの出力判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の3ポジションスイッチを備えたカメラ用の交換レンズの部分平面図である。
【図2】(a)〜(c)は3ポジションスイッチの断面図である。
【図3】第1光センサの回路図である。
【図4】実施形態に係わる出力判定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1光センサから出力されるセンサ検出信号の電圧レベルVoutの波形図である。
【図6】実施形態の出力判定装置において判定電圧の更新を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係わるポジションスイッチの出力判定装置の実施形態について説明する。本実施形態に示すポジションスイッチは、3つの位置に切り替え可能なスライドスイッチ(以下、3ポジションスイッチ)である。この3ポジションスイッチは、防水型のスライドスイッチとして構成されている。
【0010】
図1は、本実施形態の3ポジションスイッチを備えたカメラ用の交換レンズの部分平面図である。3ポジションスイッチ10は、交換レンズ1の側面に設けられている。3ポジションスイッチ10には、オートフォーカスモード(A)、マニュアルフォーカスモード(M)、オートフォーカス中にマニュアルフォーカスによるピント合わせが可能なM/Aモード(M/A)の3つのモードが設定されている。ユーザは、3ポジションスイッチ10を所望するモードの位置までスライドさせることにより、上記3つのモードを適宜に切り替えることができる。
【0011】
図2(a)〜(c)は、3ポジションスイッチ10の断面図である。図2(a)はスイッチ部材をMモードの位置にスライドさせたときの断面図、図2(b)はスイッチ部材をAモードの位置にスライドさせたときの断面図、図2(c)はスライド部材をM/Aモードの位置にスライドさせたときの断面図である。
【0012】
3ポジションスイッチ10は、スライド部材11、反射部材12a,12b、シール部材13、第1光センサ14、第2光センサ15を備える。これらの各部は、交換レンズ1(図1)の側面に設けられたスイッチ収納部2の中に収納されている。
【0013】
スライド部材11は、スイッチ収納部2の内部に設けられた不図示のスライドレールと係合している。ユーザが指などでスライド部材11の操作突起11aをスライドさせると、スライド部材11はスライドレールに沿って移動する。スライド部材11は、各モードの位置で簡易的に保持される不図示のクリック機構を備える。ユーザは、スライド部材11の操作突起11aをスライドさせることにより、スライド部材11を所望するモードの位置で止めることができる。このとき、スライド部材11は上述したクリック機構により簡易的に保持され、ユーザが意図的にスライド部材11を移動させない限り、停止した位置からの移動が制限される。
【0014】
スライド部材11は、操作突起11aと反対側に、略L字形の摺動部11b,11cを備える。摺動部11b,11cは、操作突起11aとともに、スライド部材11に一体に形成されている。摺動部11bは、裏面に反射部材12aを備える。摺動部11cは、裏面に反射部材12bを備える。反射部材12a,12bは、それぞれ第1光センサ,第2光センサから出力されたセンサ光を反射する鏡面を備えた部材である。なお、摺動部11b,11cの、反射部材12a,12bが設けられていない領域では、スライド部材11の表面が露出している。この領域では、第1光センサ14,第2光センサ15から出力されたセンサ光がわずかに反射する。
【0015】
シール部材13は、スライド部材11の下部に設けられた防水用の部材である。シール部材13は、センサ光の透過が可能な透明樹脂により構成されている。シール部材13の裏面には、第1光センサ14と、第2光センサ15とが配置されている。第1光センサ14は、シール部材13を間に挟んで、反射部材12aと対向する位置に配置されている。第2光センサ15は、シール部材13を間に挟んで、反射部材12bと対向する位置に配置されている。以下、第1光センサ14および第2光センサ15を、適宜に「光センサ」と総称する。
【0016】
第1光センサ14,第2光センサ15は、それぞれ不図示の発光部および受光部を備える。発光部は、発光ダイオード(LED)により構成され、スライド部材11の方向にセンサ光を出力する。受光部は、フォトトランジスタにより構成され、反射部材などで反射したセンサ光を受光する。第1光センサ14,第2光センサ15は、受光部で受光したセンサ光の受光量に応じたセンサ出力信号を、後述のレンズ側CPU22に出力する。なお、スイッチ収納部2は、各光センサの発光部と受光部に対応する位置に、センサ光が通過するための不図示の開口部を備える。
【0017】
ここで、光センサの構成について説明する。図3は、第1光センサ14の回路図である。第1光センサ14は、発光ダイオード14a,フォトトランジスタ14b,抵抗R1,R2を備える。発光ダイオード14aは、入力電圧Vccが印加されることで電流が流れ、センサ光を出力する。このセンサ光が反射部材などで反射してフォトトランジスタ14bに入力すると、フォトトランジスタ14bのコレクタ(C)−ベース(B)間が光電流により導通してオン状態となる。これにより、コレクタ(C)−エミッタ(E)間の電圧がセンサ出力信号として出力される。このセンサ出力信号の電圧レベルVoutは、フォトトランジスタ14bに入力するセンサ光の光量に応じて変化する。
【0018】
すなわち、フォトトランジスタ14bに入力するセンサ光が少なければセンサ出力信号の電圧レベルVoutは低くなり、センサ光が多ければセンサ出力信号の電圧レベルVoutは高くなる。第2光センサ15も同一構成である。以下、センサ出力信号を適宜に「センサ出力」と記載し、任意のセンサ出力信号における電圧レベルを「Vout」と記載する。
【0019】
スライド部材11を図2(a)の位置に移動させると、第1光センサ14および第2光センサ15から出力されたセンサ光はいずれも反射部材12a,12bで反射されることはない。ただし、センサ光は、スライド部材11の表面が露出した領域でわずかに反射するため、第1光センサ14および第2光センサ15から出力されるセンサ出力信号の電圧レベルは、いずれも電圧レベルVout1となる。なお、(a)の位置は、スライド部材11が(b)の位置から(c)の位置、または(c)の位置から(b)の位置に移動する際に必ず通過する中間位置である。
【0020】
スライド部材11を図2(b)の位置に移動させると、第1光センサ14から出力されたセンサ光は反射部材12aで反射し、第1光センサ14で受光される。このため、第1光センサ14から出力されるセンサ出力信号の電圧レベルは、電圧レベルVout1よりも高い電圧レベルVout2となる。また、第2光センサ15から出力されたセンサ光は、反射部材12bで反射されることはない。ここで、センサ光はスライド部材11が存在しない領域に出力されるので、第2光センサ15から出力されるセンサ出力信号の電圧レベルは、電圧レベルVout1よりも低い電圧レベルVout3となる。
【0021】
スライド部材11を図2(c)の位置に移動させると、第1光センサ14から出力されたセンサ光は、反射部材12aで反射されない。ここで、センサ光はスライド部材11が存在しない領域に出力されるので第1光センサ14から出力されるセンサ出力信号の電圧レベルは電圧レベルVout3となる。また、第2光センサ15から出力されたセンサ光は反射部材12bで反射し、第2光センサ15で受光される。このため、第2光センサ15から出力されるセンサ出力信号の電圧レベルは電圧レベルVout2となる。
【0022】
光センサから出力されたセンサ出力信号が電圧レベルVout2のときに、センサ出力を“ON”とし、電圧レベルVout1または電圧レベルVout3ときに、センサ出力を“OFF”とすると、スライド部材11を図2(a)〜(c)の3つの位置に移動させたときに、3パターンのセンサ出力の組み合わせが得られる。
【0023】
すなわち、図2(a)の位置では、第1光センサ14のセンサ出力は“OFF”、第2光センサ15が“OFF”となる(OFF−OFF)。図2(b)の位置では、第1光センサ14が“ON”、第2光センサ15が“OFF”となる(ON−OFF)。図2(c)の位置では、第1光センサ14が“OFF”、第2光センサ15が“ON”となる(OFF−ON)。したがって、スライド部材11が移動する3つの位置におけるそれぞれのセンサ出力の組み合わせと、その位置のモードとを対応付けておけば、センサ出力の組み合わせから、どのモードが選択されたかを特定することができる。
【0024】
次に、出力判定装置について説明する。図4は、本実施形態に係わる出力判定装置の構成を示すブロック図である。出力判定装置20は、図4に示すように、メモリ21と、レンズ側CPU22とを備える。
【0025】
メモリ21は、電圧レベルVout1(またはVout3)と電圧レベルVout2との間での切り替わりを判定するための判定電圧レベルVthの値を記憶する記憶手段である。メモリ21には、第1光センサ14の切り替わりを判定するための第1光センサ用の判定電圧レベルの値と、第1光センサ14の切り替わりを判定するための第2光センサ用の判定電圧レベルの値とが記憶されている。メモリ21に記憶されている、それぞれの判定電圧レベルVthの値は、後述するように、レンズ側CPU22により適宜に更新される。
【0026】
レンズ側CPU22は、交換レンズ1全体の動作を制御する中央処理装置である。レンズ側CPU22は、オートフォーカス制御のための不図示のフォーカシングレンズの移動、手振れ補正のための不図示の補正レンズの移動、絞り量の調節のための不図示の絞り機構の制御などを行う。
【0027】
レンズ側CPU22は、3ポジションスイッチ10の第1光センサ14および第2光センサ15と接続している。レンズ側CPU22は、第1光センサ14および第2光センサ15から出力されたセンサ検出信号の電圧レベルVoutが、メモリ21に記憶している判定電圧レベルVthを跨いで上昇変化または下降変化したときは、光センサのセンサ出力が“ON”と“OFF”との間で切り替わったと判定する。
【0028】
センサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで上昇変化または下降変化するケースとしては、センサ検出信号の電圧レベルVoutが電圧レベルVout1と電圧レベルVout2との間で変化する場合と、電圧レベルVout2と電圧レベルVout3(またはVout1)との間で変化する場合と、がある。
【0029】
レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが電圧レベルVout1から電圧レベルVout2に変化した場合は、光センサのセンサ出力が“OFF”から“ON”に切り替わったと判定する。また、レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが電圧レベルVout2から電圧レベルVout3(または電圧レベルVout1)に変化した場合は、光センサのセンサ出力が“ON”から“OFF”に切り替わったと判定する。レンズ側CPU22は、センサ出力の切り替わりを判定し、2つのセンサ出力の組み合わせに応じて、どのモードが選択されたのかを特定する。
【0030】
また、レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化(上昇変化または下降変化)したときに、この変化の前後で検出した電圧レベルVout1と電圧レベルVout2との中間となる電圧レベル、または電圧レベルVout2と電圧レベルVout3(またはVout1)との中間となる電圧レベルを検出(算出)する。
【0031】
そして、この検出した電圧レベルを新たに設定した判定電圧レベルとして、メモリ21に記憶している判定電圧レベルの値を更新する。本実施形態のレンズ側CPU22では、第1光センサ14および第2光センサ15から出力されたセンサ出力信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化する毎に、上記のような判定電圧レベルの更新を行う。
【0032】
ここで、レンズ側CPU22が判定電圧レベルを更新する場合の具体例について説明する。図5は、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号の電圧レベルVoutの波形図である。以下、第1光センサ14を例として判定電圧の更新を説明するが、第2光センサ15についても、同様に判定電圧の更新を行っている。なお、図5において、波形を指し示す上向きの矢印は、レンズ側CPU22による信号検出のタイミングを示している。レンズ側CPU22は、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号を所定周期で検出している。また、判定電圧としては、初期値としてVth1が設定されているものとする。
【0033】
まず、3ポジションスイッチ10のスライド部材11が、図2(a)の位置から(b)の位置まで移動したとする。図2(a)の位置において、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号は、電圧レベルVout1となる。また、図2(b)の位置において、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号は、電圧レベルVout2となる。
【0034】
レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが2回連続して、判定電圧レベルVthを跨いで上昇変化した場合は、第1光センサ14のセンサ出力が“OFF”から“ON”に切り替わったと判定する。そして、レンズ側CPU22は、変化前の電圧レベルVout1と、変化後の電圧レベルVout2との中間となる電圧レベルを検出する。さらに、レンズ側CPU22は、検出した電圧レベルを新たに設定した判定電圧レベルとして、メモリ21に記憶している判定電圧レベルの値を更新する。この場合は、電圧レベルVout1と電圧レベルVout2との中間となる、判定電圧レベルVth2に更新される。
【0035】
次に、3ポジションスイッチ10のスライド部材11が、図2(b)の位置から(c)の位置に移動したとする。図2(c)の位置において、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号は、電圧レベルVout3となる。
【0036】
レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが2回連続して、判定電圧レベルVth2を跨いで下降変化した場合は、第1光センサ14のセンサ出力が“ON”から“OFF”に切り替わったと判定する。そして、レンズ側CPU22は、変化前の電圧レベルVout2と、変化後の電圧レベルVout3との中間となる電圧レベルを検出する。さらに、レンズ側CPU22は、検出した電圧レベルを新たに設定した判定電圧レベルVth3として、メモリ21に記憶している判定電圧レベルの値を更新する。
【0037】
以下、同様にしてセンサ出力の切り替わりと、判定電圧レベルの更新を行う。なお、3ポジションスイッチ10のスライド部材11が、図2(c)の位置から(a)の位置に移動した場合、第1光センサ14から出力されるセンサ検出信号の電圧レベルは、電圧レベルVout3から電圧レベルVout1に変化する。この場合、第1光センサ14のセンサ出力が“OFF”となることは検出される。しかし、センサ検出信号の電圧レベルVoutが、2回連続して、その時点での判定電圧レベルVth3を跨いで変化しないため、判定電圧レベルVthは更新されない。
【0038】
本実施形態では、センサ検出信号の電圧レベルVoutが2回連続して、判定電圧レベルVthを跨いで変化したときにセンサ出力が切り替わったと判定するようにしている。このように、センサ検出信号の電圧レベルVoutを2回連続してモニタするのは、ノイズなどの影響による誤検出を防ぐためである。
【0039】
次に、本実施形態の出力判定装置20において、判定電圧の更新を行う場合の処理手順を図6のフローチャートに参照しながら説明する。
【0040】
まず、ステップS1において、レンズ側CPU22は、センサ検出信号の電圧レベルVoutが2回連続して、判定電圧レベルVthを跨いで変化したかを判定する。この判定でYESであれば、ステップS2において、レンズ側CPU22は、変化前に検出した電圧レベルVoutと、変化後の電圧レベルVoutとの中間となる電圧レベルを検出する。ステップS3において、レンズ側CPU22は、検出した電圧レベルを新たに設定した判定電圧レベルVthとして、メモリ21に記憶している判定電圧レベルの値を更新する。
【0041】
以上説明した本実施形態に係わる出力判定装置20によれば、以下の効果を奏する。
(1)3ポジションスイッチ10から出力されたセンサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化したときに、この変化の前後で検出した電圧レベルVoutの中間となる電圧レベルを検出し、その検出した電圧レベルを新たな判定電圧レベルとして、メモリ21に記憶している判定電圧レベルの値を更新するようにしている。これによれば、経年使用により光センサから出力されるセンサ検出信号に変動が生じた場合でも、常に適切な判定電圧レベルが設定されるので、長期間使用した場合でも、常に適正なスイッチ位置の判定を行うことができる。
(2)3ポジションスイッチ10の特性に個体ごとのバラつきがあっても、製造段階において、個体毎に適切な判定電圧レベルを設定する必要がないため、生産性を向上させることができる。
(3)3ポジションスイッチ10から出力されたセンサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化する毎に、その変化の前後で検出した電圧レベルVoutの中間となる電圧レベルを検出するようにしたので、その時点で最も新しい判定電圧レベルを設定することができる。したがって、より適正なスイッチ位置の判定を行うことができる。
【0042】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)3ポジションスイッチ10から出力されたセンサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化した回数が規定回数に達する毎に、その変化の前後で検出した電圧レベルVoutの中間となる電圧レベルを検出するようにしてもよい。このような構成によれば、頻繁にスイッチ位置が変化するような用途において、レンズ側CPU22の負担を軽減することができる。また、スイッチ位置が変化する頻度に応じて、センサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化する毎に、判定電圧レベルを更新するようにしたり、センサ検出信号の電圧レベルVoutが判定電圧レベルVthを跨いで変化した回数が規定回数に達する毎に、判定電圧レベルを更新したりするように切り替えるようにしてもよい。
(2)センサ検出信号の電圧レベルVoutが、判定電圧レベルVthを跨いで上昇変化した場合にのみ、判定電圧レベルを更新するようにしてもよいし、センサ検出信号の電圧レベルVoutが、判定電圧レベルVthを跨いで下降変化した場合にのみ、判定電圧レベルを更新するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、本発明に係わる出力判定装置を3ポジションスイッチに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2ポジションスイッチにも適用可能である。また、直進移動するスライドスイッチに限らず、回転するダイヤル形のスイッチ部材(回転位置毎に特定の位置情報が与えられているもの)にも適用可能である。
(4)本発明は防水型のスライドスイッチに限らず、シール部材13を備えていない通常のスライドスイッチにも適用可能である。また、本発明は、交換レンズに設けられたスライドスイッチに限らず、カメラ本体や照明装置などに設けられたスライドスイッチにも適用可能である。更に言えば、本発明はポジションスイッチを使用するあらゆる装置に適用可能である。
また、上記実施形態および変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0043】
1:交換レンズ、10:3ポジションスイッチ、11:スライド部材、14:第1光センサ、15:第2光センサ、21:メモリ、22:レンズ側CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの位置間の変位により、第1電圧レベルまたは当該第1電圧レベルと異なる第2電圧レベルとを出力するポジションスイッチの出力判定装置であって、
前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での切り替りを判定するための判定電圧レベルを記憶する記憶手段と、
前記ポジションスイッチから出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化したときに、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出し、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして前記記憶手段の記憶内容を更新する制御手段と、
を備えることを特徴とするポジションスイッチの出力判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポジションスイッチの出力判定装置であって、
前記制御手段は、
前記ポジションスイッチから出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化する毎に、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出するとともに、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして更新すること、を特徴とするポジションスイッチの出力判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のポジションスイッチの出力判定装置であって、
前記制御手段は、
前記ポジションスイッチから出力された電圧レベルが、前記判定電圧レベルを跨いで変化した回数が規定回数に達する毎に、当該変化の前後で検出した前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの中間の電圧レベルを検出するとともに、当該検出した電圧レベルを前記判定電圧レベルとして更新すること、を特徴とするポジションスイッチの出力判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−124717(P2011−124717A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279737(P2009−279737)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】