説明

ポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】電子線、KrFエキシマレーザー光、又はEUV光などの活性光線又は放射線の照射によるパターン形成に関して、ラインエッジラフネス、露光ラチチュードに優れたポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物及び(B)特定の繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂を含有するポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトパブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは、KrFエキシマレーザー光、電子線、EUV光等を使用して高精細化したパターンを形成し得るポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、レジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターンの形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。さらには、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、電子線やX線、あるいはEUV光に適したレジストとして、活性光線又は放射線の照射(以下、「露光」ともいう。)により酸を発生する感放射線性酸発生剤を使用し、その酸の触媒作用によりレジストの感度を向上させた「化学増幅型レジスト」が提案されている。従来、このような化学増幅型レジストに特有の問題として、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(以下、「PED」ともいう。)により、レジストパターンの線幅が変化したり、あるいはT型形状になったりするなどの点が指摘されていたが、近年に至り、ヒドロキシスチレン系繰返し単位、(メタ)アクリル酸t−ブチルからなる繰返し単位および露光後のアルカリ現像液に対する重合体の溶解性を低下させる繰返し単位からなる重合体を用いた化学増幅型感放射線性樹脂組成物(特許文献1(特開平7―209868号公報)参照)を始めとして、デバイス製造への適用に耐え得る化学増幅型レジストが種々提案されてきた。しかしながら、現在のデバイスの微細化に伴い化学増幅型レジストにおいて一般的に使用されている脱保護基(t−ブチル保護基等)では十分なコントラストを発現することができず、今以上に微細なパターンサイズのデバイス製造に適用することが困難となってきた。
そこで、t−フ゛チル保護基等に代わる脱保護基として脂環式基を有する酸分解性アクリレートモノマーを共重合したフェノール性酸分解性樹脂を用いたレジスト組成物がいくつか知られている。それらについては、例えば、特許文献2〜7に開示されたポジ型レジスト組成物等を挙げることができる。特許文献3においてはこれら脱保護基を有する酸分解性樹脂を用いたレジスト組成物が高解像力を与えることが示されている。
一方、微細化の進行とともに近年重要度を増しているのがラインエッジラフネスである。ラインエッジラフネスとは細線を形成した際にパターン側壁にできるナノスケールの微小な凹凸のことである。これは線幅制御、すなわちデバイスの電気特性に影響を及ぼす。
上記脱保護基として脂環式基を有する酸分解性アクリレートモノマーを共重合したフェノール性酸分解性樹脂を用いたレジスト組成物は、このラインエッジラフネスの点で満足できるものではなかった。更に露光量変動に伴う線幅変動率、即ち露光ラチチュードの点でも改善が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平7―209868号公報
【特許文献2】米国特許第5561194号明細書
【特許文献3】特開平9−73173号公報
【特許文献4】特開2001−166474号公報
【特許文献5】特開2001−166478号公報
【特許文献6】特開2003−107708号公報
【特許文献7】特開2001−194792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、活性光線又は放射線、特に、KrFエキシマレーザー光、電子線あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における技術上の課題を解決することであり、ラインエッジラフネス及び露光ラチチュードの良好なポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記構成によって達成される。
【0006】
(1) (A)活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物及び
(B)下記一般式(a)で表される繰り返し単位及び一般式(b)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0007】
【化1】

【0008】
一般式(a)及び(b)に於いて、
1は、水素原子又はアルキル基を表す。
2は、水素原子又はCHR10−OR11を表す。式中、R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R11は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R10とR11は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
Zは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基を表す。
3は、水素原子又はアルキル基を表す。
1は、単結合又は2価の連結基を表す。
4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
6〜R9は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。R6又はR7と、R8又はR9とは、互いに結合して環構造を形成してもよい。
lは、0〜4を表す。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
但し、m+nは、1又は2を表す。
【0009】
(2) (B)成分の樹脂が、更に、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を有することを特徴とする(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0010】
【化2】

【0011】
一般式(pI)〜(pVI)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0012】
(3) (1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電子線、KrFエキシマレーザー光、又はEUV光などの照射によるパターン形成に関して、ラインエッジラフネス及び露光ラチチュードに優れたポジ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0015】
〔1〕(B)一般式(a)で表される繰り返し単位及び一般式(b)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
本発明において使用される、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂(「(B)成分の樹脂」ともいう)は、下記一般式(a)で表される繰り返し単位及び一般式(b)で表される繰り返し単位を有する。
【0016】
【化3】

【0017】
一般式(a)及び(b)に於いて、
1は、水素原子又はアルキル基を表す。
2は、水素原子又はCHR10−OR11を表す。式中、R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R11は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R10とR11は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
Zは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基を表す。
3は、水素原子又はアルキル基を表す。
1は、単結合又は2価の連結基を表す。
4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
6〜R9は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。R6又はR7と、R8又はR9とは、互いに結合して環構造を形成してもよい。
lは、0〜4を表す。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
但し、m+nは、1又は2を表す。
【0018】
一般式(a)に於ける、R1のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基等を挙げることができる。R1及びR3のアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基等の置換基を有していてもよい。
10及びR11のアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状アルキル基が好まし
く、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
10及びR11のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
10及びR11のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
10及びR11は、互いに結合して環構造を形成してもよい。R10及びR11が互いに結合して形成する環構造としては、5員環、6員環等を挙げることができる。
10及びR11は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
Zのアルキル基としては、R10のアルキル基と同様のものを挙げることができる。
Zのシクロアルキル基としては、R10のシクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
Zのアリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル残基(ビフェニルから水素原子が1個失われることによって形成される基)、p−テルフェニル残基(p−テルフェニルから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
Zのアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基等が挙げられる。
Zのアシル基は、炭素数1〜8のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
Zのアシロキシ基は、炭素数2〜8のアシロキシ基が好ましく、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルリオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
Zは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
【0019】
一般式(a)で表される繰り返し単位に於いて、−O−CHR10−OR11基は、酸の作用により分解して−CHR10−OR11基が脱離し、水酸基が形成されることにより、アルカリ現像液への溶解性が増大する。
【0020】
一般式(b)に於ける、R3は、一般式(a)に於けるR1と同様のものである。
1の2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基等を挙げることができる。A1のアルキレン基は、炭素数1〜8の直鎖状及び分岐状アルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等を挙げることができる。A1のシクロアルキレン基は、炭素数5〜12のシクロアルキレン基が好ましく、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の単環の残基及びノルモルナン骨格、アダマンタン骨格等の多環の残基等を挙げることができる。
1は、単結合であることが好ましい。
4、R5及びR6〜R9のアルキル基は、一般式(a)に於ける、R10のアルキル基と同様のものを挙げることができる。
4、R5及びR6〜R9のアルコキシ基は、一般式(a)に於ける、Zのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
4、R5及びR6〜R9は、更に、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
6又はR7と、R8又はR9とが、互いに結合して形成する環構造は、酸素原子を有する環構造であることが好ましい。酸素原子を有する環構造は、単環であっても多環であってもよく、好ましくは、4〜8員環であり、より好ましくは、5〜6員環である。形成する環構造が有する酸素原子の数は、好ましくは、1〜2である。形成する環構造としては、例えば、ペンタン、ノルボルネンなど対応する炭素環における環骨格を構成している少なくとも一つのメチレン基を、酸素原子で置き換えたものを挙げることができる。環構造は、アルキル基、水酸基等で置換されていてもよい。
【0021】
以下、一般式(a)で表される繰り返し単位の挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
以下、一般式(b)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0026】
【化7】

【0027】
(B)成分の樹脂は、更に、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0028】
【化8】

【0029】
一般式(pI)〜(pVI)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0030】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0031】
12〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基
は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0036】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
【0037】
一般式(pI)〜(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する基を有する繰り返し単位は、下記一般式(c)で表されることが好ましい。
【0038】
【化12】

【0039】
一般式(c)中、
1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、クロロ原子、ヒドロキシメチル基、又はアルコキシメチル基を示す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、一般式(pI)〜(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する基を表す。
【0040】
一般式(c)に於ける、Lの2価の連結基は、一般式(b)に於ける、A1の2価の連結基と同様のものである。
Lは、単結合であることが好ましい。
【0041】
一般式(c)で表される繰り返し単位に於いて、−COO−X基は、酸の作用により分解して−Xが脱離し、カルボキシル基が形成されることにより、アルカリ現像液への溶解性が増大する。
【0042】
以下、一般式(pI)〜(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構
造を有する基を有する繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0043】
【化13】

【0044】
【化14】

【0045】
(B)成分の樹脂は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を有することが好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。好ましくは、下記一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される部分構造を有する繰り返し単位であり、更に好ましくは、下記一般式(AIIa)又は(AIIb)で表される繰り返し単位である。
【0046】
【化15】

【0047】
一般式(VIIa)中、
2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cのうちの1つまたは2つが水酸基で、残りが水素原子であり、更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で、残りが水素原子である。
【0048】
【化16】

【0049】
一般式(AIIa)及び(AIIb)中、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
【0050】
一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0051】
【化17】

【0052】
(B)成分の樹脂は、更に、他の酸の作用により分解してアルカリ現像液への溶解性が増大する基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位を有していてもよく、他の酸分解性基としては、例えば、−C(=O)−X1-R0で表されるものを挙げることができる。
【0053】
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
【0054】
(B)成分の樹脂に於いて、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、15〜50モル%が好ましく、より好ましくは20〜40モル%である。
(B)成分の樹脂に於いて、一般式(a)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、20〜75モル%が好ましく、より好ましくは25〜70モル%である。
(B)成分の樹脂に於いて、一般式(b)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、3〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜40モル%である。
【0055】
(B)成分の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜15,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3,000〜10,000の範囲である。分散度(Mw/Mn)は、1.0〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.8、特に好ましくは、1.0〜1.5である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0056】
また、(B)成分の樹脂は、それぞれ2種類以上組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の樹脂の添加量は、総量として、ポジ型レジスト組成物の全固形分に対し、通常10〜99質量%であり、好ましくは15〜97質量%であり、特に好ましくは20〜95質量%である。
【0057】
以下に、(B)成分の樹脂の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0058】
【化18】

【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

【0061】
〔2〕活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物(A)
本発明のポジ型レジスト組成物が含有する活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸
、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物(「化合物(A)」又は「スルホン酸発生剤」ともいう)は、KrFエキシマレーザー光、電子線、EUVなどの活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物であり、たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o-ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。
【0062】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0063】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0064】
本発明においては、解像力、パターン形状等の画像性能向上の観点から好ましいスルホン酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホンを挙げることができる。
【0065】
スルホン酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0066】
【化21】

【0067】
一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
-は、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表す。
【0068】
好ましい、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンとしては、下記一般式に示すアニオンが挙げられる。
【0069】
【化22】

【0070】
上記一般式において、
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子又はアルキル基を表す。
Rc3、Rc4及びRc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4及びRc5の有機基としては、Rc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、好ましくは、炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc1及びRc3〜Rc5の有機基として、好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。また、Rc3とRc4が結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上し、好ましい。
【0071】
一般式(ZI)に於いて、
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0072】
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0073】
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0074】
好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0075】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする
化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
【0076】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0077】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0078】
201〜R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは、直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、更により好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0079】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのシクロアルキル基は、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203としての直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0080】
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0081】
【化23】

【0082】
一般式(ZI−3)において、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-と同様のものである。
【0083】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cとしてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐状アルキル基、シクロアルキル基又
は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0084】
x及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
x及びRyとしてのシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのシクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのシクロアルキル基は、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基である。
【0085】
前記一般式(ZII)、(ZIII)に於いて、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基は、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。
204〜R207のアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
204〜R207のシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-と同様のものである。
【0086】
スルホン酸発生剤の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0087】
【化24】

【0088】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。R207として好ましくは、アリール基である。R208として好ましくは、電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0089】
スルホン酸発生剤の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0090】
【化25】

【0091】
【化26】

【0092】
【化27】

【0093】
【化28】

【0094】
【化29】

【0095】
【化30】

【0096】
【化31】

【0097】
【化32】

【0098】
【化33】

【0099】
【化34】

【0100】
化合物(A)の含有量は、レジスト組成物の固形分を基準として、5〜20質量%で用いられるが、好ましくは6〜18質量%、特に好ましくは7〜16質量%である。感度やラインエッジラフネスの点から5質量%以上であり、また解像力、パターン形状、膜質の点から20質量%以下である。また、化合物(A)は1種類を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、化合物(A)として、活性光線又は放射線の照射によりアリールスルホン酸を発生する化合物と、活性光線又は放射線の照射によりアルキルスルホン酸を発生する化合物を併用してもよい。
化合物(A)は、特開2002−27806号に記載の合成方法など公知の方法により合成することができる。
【0101】
〔3〕活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物(C)
本発明のポジ型レジスト組成物は、スルホン酸発生剤(化合物(A))とともに、活性光線又は放射線の照射により、カルボン酸を発生する化合物(化合物(C)又はカルボン酸発生剤ともいう)を使用してもよい。
カルボン酸発生剤としては下記一般式(C1)で表される化合物が好ましい。
【0102】
【化35】

【0103】
一般式(C1)中、R21〜R23は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R24は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。Zがイオウ原子で
ある場合、pは1であり、ヨウ素原子である場合はpは0である。
【0104】
一般式(C1)において、R21〜R23は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基が有してもよい置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
アリール基が有してもよい置換基の例としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、t-ブチル基、t-アミル基、オクチル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
【0105】
21〜R23は、各々独立に、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数6〜24のアリール基を表し、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は各々置換基を有していてもよい。
【0106】
24は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基が有してもよい置換基の例としては、上記R21がアルキル基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。アリール基の置換基の例としては、上記R21がアリール基である場合の置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。
【0107】
24は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基である。これらの基は、各々置換基を有していてもよい。
【0108】
Zはイオウ原子又はヨウ素原子を表す。pはZがイオウ原子である場合は1であり、Zがヨウ素原子である場合は0である。
尚、式(C1)のカチオン部の2つ以上が、単結合又は連結基(例えば、−S−、−O−など)により結合し、式(C1)のカチオン部を複数有するカチオン構造を形成してもよい。
【0109】
以下に、活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物(C)の好ましい具体例を挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0110】
【化36】

【0111】
【化37】

【0112】
【化38】

【0113】
化合物(C)の、本発明のポジ型レジスト組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。またこれらの活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物は1種類を用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
化合物(C)/化合物(A)(質量比)は、通常99.9/0.1〜50/50、好ましくは99/1〜60/40、特に好ましくは98/2〜70/30である。
化合物(C)は、特開2002−27806号に記載の合成方法など公知の方法により合成することができる。
【0114】
〔4〕有機塩基性化合物
本発明においては、有機塩基性化合物を用いることが、解像力などの性能向上、保存安定性の向上などの観点から好ましい。有機塩基性化合物としては、窒素原子を含む化合物(含窒素塩基性化合物)がさらに好ましい。
本発明において好ましい有機塩基性化合物は、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。式(B)〜(E)は、環構造の一部であってもよい。
【0115】
【化39】

【0116】
式(A)において、R200 、R201 及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は炭素数6〜20個のアリール基を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
200 、R201 及びR202としてのアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20個のアミノアルキル基及びアミノシクロアルキル基、及び炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基が好ましい。
式(E)において、R203 、R204 、R205 及びR206 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基及びシクロアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0117】
好ましい具体例としては、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン、アミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。これらが有してもよい好ましい置換基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基(置換アルキル基として、特にアミノアルキル基)、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
【0118】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,
3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0119】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0120】
また、テトラアルキルアンモニウム塩型の含窒素塩基性化合物も用いることができる。これらの中では、特に炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-(n-ブチル)アンモニウムヒドロキシド等)が好ましい。これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0121】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤の総量)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比を2.5以上とすることにより、高感度となり、また、300以下とすることにより、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りを抑制し、解像力を向上させることができる。(酸発生剤の総量)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0122】
〔5〕界面活性剤類
本発明においては、界面活性剤類を用いることができ、製膜性、パターンの密着性、現像欠陥低減等の観点から好ましい。
【0123】
界面活性剤の具体的としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、
【0124】
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100質量部当たり、通常、2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0125】
尚、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0126】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オ
キシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0127】
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0128】
〔6〕その他の成分
本発明のポジ型レジスト組成物には必要に応じて、さらに、染料、光塩基発生剤などを含有させることができる。
【0129】
1.染料
本発明においては、染料を用いることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0130】
2.光塩基発生剤
本発明の組成物に添加できる光塩基発生剤としては、特開平4−151156号、同4−162040号、同5−197148号、同5−5995号、同6−194834号、同8−146608号、同10−83079号、欧州特許622682号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメート等が好適に用いることができる。これらの光塩基発生剤は、レジスト形状などの改善を目的とし添加される。
【0131】
3.溶剤類
本発明のレジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。全レジスト成分の固形分濃度として、通常2〜30質量%とすることが好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
【0132】
本発明のポジ型レジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗布膜の膜厚は、0.05〜4.0μmが好ましい。
【0133】
本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。更にレジスト下層に反射防止膜を塗布して用いることもできる。
【0134】
レジストの下層として用いられる反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0135】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0136】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成し、次にKrFエキシマレーザー光、電子線、EUV光などの活性光線又は放射線を照射し、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0137】
現像において使用するアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(通常0.1〜20質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のpHは通常10〜15である。
【実施例】
【0138】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0139】
合成例1
t−ブトキシスチレンとα−ヒドロキシブチロラクトンメタクリレートをモル比60/40で混合したもの(20g)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、22質量%の溶液(
91g)とした。この溶液に、さらに和光純薬製重合開始剤V601を2mol%加え均一とした後、これを加熱還流したTHF(9g)に6時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液をさらに2時間加熱還流した。反応終了後、放冷した反応液を水1Lに投入し、析出した白色粉体(樹脂A)を回収した。得られた樹脂Aの分子量をGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算比で10100であった。
樹脂Aを再度プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解し20質量%の溶液とした。これに硫酸1mLを加え50℃で3時間加熱、放冷した後、これを1Lの水に再沈し、析出した白色粉体(樹脂B)を回収した。
回収した樹脂Bを80℃で減圧条件下乾燥したのち、これを14gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)60gに溶解し、これを共沸脱水した。その後、エチルビニルエーテル2.2g、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS)0.1gを加え室温下4時間撹拌した。得られた溶液をトリエチルアミン0.1gでクエンチした後酢酸エチル50mLを加え、水30mLで3回抽出した後、減圧留去し、PGMEA溶液の目的物(樹脂(1))を回収した。乾燥減量測定の結果、固形分は16g、固形分濃度は20質量%であった。また、1HNMR測定の結果、樹脂(1)の組成比はヒドロキシスチレン/ヒドロキシスチレンのエチルビニルエーテル保護/α−ヒドロキシブチロラクトンメタクリレート=32/28/40であった。またGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算比で10800、分散度は2.01であった。
以下、同様の方法で樹脂(2)〜(14)、比較用樹脂A、Bを合成した。樹脂(2)〜(14)、比較用樹脂A、Bの組成比及び重量平均分子量、分散度は、以下の通りである。
【0140】
【表1】

【0141】
特開2004−352989号公報を参考に樹脂(1)と同一繰り返し単位、同一組成比を有する樹脂(1’)を合成した。重量平均分子量は11000、分散度は1.34であった。
【0142】
実施例で用いたスルホン酸発生剤及びカルボン酸発生剤については、特開2002−27806号公報に記載の合成方法などいずれも公知の合成方法により合成した。
【0143】
実施例1〜15及び比較例1〜2
下記表2に示すように、樹脂、スルホン酸発生剤、カルボン酸発生剤、有機塩基性化合物、界面活性剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度12質量%の溶液を調製した。この溶液を0.05μmのポリエチレンフィルターで濾過し、目的のポジ型レジスト溶液を調製した。
スピンコーターにてシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−44を60nm均一に塗布し、200℃で60秒間加熱乾燥を行い、反射防止膜を形成さ
せた。その後、調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて均一に塗布し、ホットプレート上で表2に記載の温度(PB)で90秒間加熱乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜をKrFエキシマレーザーステッパー(キャノン(株)製FPA3000EX-5、波長248nm)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに表2に記載の温度(PEB)で90秒間加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、130nmのラインパターンを形成した。
得られたパターンをKLA-Tencor社製eCD-1で観察し、ウエハー中の100カ所を側長し、その3σをラフネスと定義した。
露光ラチチュードは130nmを再現する露光量Eoptに対して125nm、135nmを再現する露光量をEu、Eoとした際の、100×|Eo-Eu|/Eopt(%)と定義した。
評価結果を表2に示す。
【0144】
【表2】

【0145】
以下、表2中の略号を示す。
〔有機塩基性化合物〕
D−1: N,N-ジブチルアニリン
D−2: 2,4,6−トリフェニルイミダゾール
D−3: 2,6−ジイソプロピルアニリン
【0146】
〔界面活性剤〕
W−1:フッ素系界面活性剤、メガファックF-176(大日本インキ科学工業製)
W−2:フッ素/シリコン系界面活性剤、メガファックR08(大日本インキ化学工業製

W−3:シリコン系界面活性剤、シロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)
【0147】
表2から、本発明のポジ型レジスト組成物は、ラインエッジラフネス及び露光ラチチュードに優れていることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)アミド又はトリス(アルキルスルホニル)メチンを発生する化合物及び
(B)下記一般式(a)で表される繰り返し単位及び一般式(b)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】

一般式(a)及び(b)に於いて、
1は、水素原子又はアルキル基を表す。
2は、水素原子又はCHR10−OR11を表す。式中、R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R11は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。R10とR11は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
Zは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基を表す。
3は、水素原子又はアルキル基を表す。
1は、単結合又は2価の連結基を表す。
4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
6〜R9は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。R6又はR7と、R8又はR9とは、互いに結合して環構造を形成してもよい。
lは、0〜4を表す。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
但し、m+nは、1又は2を表す。
【請求項2】
(B)成分の樹脂が、更に、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
【化2】

一般式(pI)〜(pVI)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは、脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2007−52107(P2007−52107A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235801(P2005−235801)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】