説明

ポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法

【課題】 KrFエキシマレーザー用として適用し得る、従来とは異なる材料を用いた化学増幅型のポジ型レジスト組成物とレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】(A)アーム部が、(1)一般式(I)で表されるものから誘導される単位;及び(2)一般式(II)で表されるものから誘導される単位を含むポリマー鎖で;コア部が、1つ以上の一般式(III)で表されるものから誘導される単位を含むスターポリマー、(B)酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物。
【化1】


(式中、Rは水素原子またはメチル基;Rは水素原子またはメチル基、Rは3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基;R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、アルキル基、Rは、アルキレン基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在ではKrFエキシマレーザー(248nm)が量産の中心となり、さらにArFエキシマレーザー(193nm)が量産で導入され始めている。
【0003】
KrFエキシマレ−ザやArFエキシマレーザ等の光源用のレジストには、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性と、このような短波長の光源に対する感度の高さが求められている。このような条件を満たすレジストの1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤(以下、PAGという)を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物が知られている。
化学増幅型ポジ型レジストの反応機構は、露光すると、レジスト中に配合されたPAGが酸を発生し、その酸によりベース樹脂の溶解性が変化するというものである。例えば、化学増幅型ポジ型レジストのベース樹脂に対し、酸により脱離する溶解抑制基を導入しておくことにより、露光部のみ溶解抑制基が脱離し、現像液への溶解性が大きく増大する。
一般的には、露光後に加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(post exposure baking)、以下、PEBと略記する)を行うことにより、該溶解抑制基の脱離やレジスト内の酸の拡散が促進され、従来の非化学増幅型レジストと比較して非常に高い感度を出すことができる。
【0004】
例えば、KrFエキシマレーザー用の化学増幅型レジストにおいては、そのベース樹脂成分として、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレンやその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護したもの(以下、ヒドロキシスチレン系樹脂ということがある)を用いたものが提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−365804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、今日、半導体素子製造において必要とされるデザインルールはいっそう狭まってきており、より微細なレジストパターンを形成できる解像性が求められている。また、レジスト組成物を適用する用途も広がり、用途によって異なる特性が要求される様になってきている。
この様な多様な要求にそれぞれ対応するために、レジスト組成物を構成する材料等の開発が精力的に進められており、さらに色々な種類のレジスト組成物の提供が望まれる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、KrFエキシマレーザー用として適用し得る、従来とは異なる材料を用いた化学増幅型のポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
第1の態様は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分は、中心核としてのコア部、および中心核に連結するポリマー鎖としてのアーム部を含むスターポリマーであって、
アーム部が、
(1)一般式(I):
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である)
で表されるアルケニルフェノールから誘導される繰り返し単位、及び
(2)一般式(II):
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基からなる酸解離性の溶解抑制基である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むポリマー鎖であり;
コア部が、一般式(III):
【化3】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を表し、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、Rは、アルキレン基を表す。)
で表されるジアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むスターポリマー(A1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
第2の態様は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分は、中心核としてのコア部、および中心核に連結するポリマー鎖としてのアーム部を含むスターポリマーであって、
アーム部が、
(1)一般式(I):
【化4】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表されるアルケニルフェノールから誘導される繰り返し単位と、
一般式(IV):
【化5】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である)
で表されるアルケニルフェニルから誘導される繰り返し単位、
及び
(2)一般式(II):
【化6】

(式中、R2及びR3は前記と同じ意味である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むポリマー鎖であり;
コア部が、一般式(III):
【化7】

(式中、R4〜R10は前記と同じ意味である)
で表されるジアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むスターポリマー(A2)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
第1の態様と第2の態様においては、一般式(II)中、Rが1−アルキルシクロアルキル基および2−アルキル−2−アダマンチル基から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0008】
第3の態様は、本発明のポジ型レジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、KrFエキシマレーザー用として適用し得る、従来とは異なる材料を用いた化学増幅型のポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポジ型レジスト組成物]
本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物において、上記の様な特定のスターポリマー(A1)とスターポリマー(A2)の少なくとも1種を用いるものである。
【0011】
ここで、上記(A)成分は、酸解離性の溶解抑制基を有し、(B)成分から発生した酸の作用により該溶解抑制基が解離して、アルカリ可溶性が増大する樹脂成分である。
さらに詳しくは、露光により(B)成分から発生した酸が(A)成分に作用すると、(A)成分中の溶解抑制基が解離し、これによってポジ型レジスト全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成においてマスクパターンを介してポジ型レジストの露光を行うと、又は露光に加えてPEBを行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
【0012】
(A)成分
「第1の態様」
第1の態様において、(A)成分は、上記スターポリマー(A1)(以下(A1)成分ということがある。)を含む。
(A1)成分は、中心核としてのコア部、および中心核に連結するポリマー鎖としてのアーム部を含むスターポリマーであって、
アーム部が、(1)前記一般式(I)で表されるアルケニルフェノールから誘導される繰り返し単位[以下、単位(a1)ということがある]、及び(2)前記一般式(II)で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位[以下、単位(a2)ということがある]を含むポリマー鎖を含み;
コア部が、前記一般式(III)で表されるジアクリレートから誘導される繰り返し単位[以下、単位(c1)ということがある]を含むスターポリマーである。
【0013】
・アーム部
・・単位(a1)
単位(a1)は、前記一般式(I)で表されるアルケニルフェノール誘導体から誘導される繰り返し単位である。
一般式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基である。
一般式(I)で表されるアルケニルフェノール誘導体から誘導される繰り返し単位は、以下の一般式(Ia):
【0014】
【化8】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表される繰り返し単位である。
【0015】
(A1)成分を構成する全繰り返し単位中、単位(a1)の割合は40〜90モル%、好ましくは50〜85モル%、さらには75〜85モル%である。下限値以上にすることによって、現像液に対する適度は溶解性が得られる。下限値以下にすることによって他の繰り返し単位とのバランスをとることができる。
スターポリマーのアーム部中、各繰り返し単位の比率は、反応に用いる単量体の比率で任意に選択することができ、例えば、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、アーム部全繰り返し単位中99〜10モル%で調整することができる。
【0016】
・単位(a2)
単位(a2)は、前記一般式(II)で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位である。
一般式(II)中、R2は、水素原子、またはメチル基を表す。
3は、3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基である。
【0017】
3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基は、単環、多環のいずれでもよい。
具体的には1−アルキルシクロアルキル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、等を挙げることができ、1−アルキルシクロアルキル基、2−アルキル−2−アダマンチル基が好ましい。また、シクロアルキル基に結合する鎖状のアルキル基、アダマンチル基に結合する鎖状のアルキル基は、それぞれ直鎖、または分岐鎖状のいずれでもよく、例えば炭素数1〜5程度の低級アルキル基が好ましく、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
【0018】
一般式(II)で表されるアクリレートとして下記式に示す化合物を例示することができる。
【0019】
【化9】

【0020】
また、3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基は、酸解離性の溶解抑制基であり、R3が1−アルキルシクロアルキル基、2−アルキル−2−アダマンチル基等の様な、KrFエキシマレーザー用レジストのベース樹脂に用いられているもの等を適用することができる
さらに、上記のアクリレート以外のアクリレートから誘導される繰り返し構成単位を含んでいてもよい。
例えば脂肪族多環式基を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該多環式基は、1−アダマンチル基等が挙げられる。
(A1)成分を構成する全繰り返し単位中、単位(a2)の割合は5〜50モル%、好ましくは10〜45モル%、さらには10〜20モル%である。下限値以上にすることによって、未露光部と露光部の溶解性のコントラストを制御することができる。下限値以下にすることによって他の繰り返し単位とのバランスをとることができる。
【0021】
アーム部の数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン標準で、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは1,500〜500,000、更に好ましくは2,000〜200,000、特に好ましくは2,500〜100,000の範囲であり、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.01〜3.00の範囲が好ましく、1.01〜2.00、さらには1.01〜1.50の範囲が好ましい。
【0022】
・コア部
・・単位(c1)
単位(c1)は前記一般式(III)で表されるジアクリレートから誘導される繰り返し単位である。
一般式(III)中、R4及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を表す。
5、R6、R9、及びR10は、それぞれ独立に、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。
7は、直鎖または分岐鎖状アルキレン基であり、さらに具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンのような炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。
一般式(III)で表されるジアクリレートとしては、例えば2,5−ジメチルへキシル−2,5−ジアクリレート、2,5−ジメチルへキシル−2,5−ジメタクリレート等が挙げられる。
【0023】
単位(c1)においては、一般式(III)において、RおよびRが結合している炭素原子が第3級炭素原子である。また、RおよびR10が結合している炭素原子が第3級炭素原子である。したがって、単位(c)1においては、「−(R)(R)C−C−(R)(R10)−」は酸解離性の溶解抑制基となっている。すなわち、酸が作用すると、前記第3級炭素原子と、当該第3級炭素原子が結合する酸素原子との間で結合が切断され、コア部が分解する。
そして、これにより、レジストパターン形成時には、未露光部と露光部の現像液に対する溶解性の差を生じせしめることができる。
【0024】
(A1)成分を構成する全繰り返し単位中、単位(c1)の割合は1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%、さらには5〜15モル%である。下限値以上にすることによって、未露光部と露光部の溶解性のコントラストを制御することができる。下限値以下にすることによって他の繰り返し単位とのバランスをとることができる。
【0025】
・(A1)成分の製造方法
(A1)の製造方法としては、
(1)アニオン重合開始剤の存在下、アーム部モノマーをアニオン重合してアームポリマーを合成し、次に、コア部ジアクリレートを反応させる方法、
(2)アニオン重合開始剤の存在下、コア部ジアクリレートを反応させて、コアを形成した後、アーム部モノマーをアニオン重合させる方法、
(3)アニオン重合開始剤の存在下、アーム部モノマーをアニオン重合しアームポリマーを合成し、次に、コア部ジアクリレートを反応させ、さらに、アーム部モノマーを反応させる方法等を例示することができる。
上記(1)、(3)の方法が、反応の制御が容易であり、構造を制御したスターポリマーを製造する上で好ましい。
【0026】
上記アニオン重合法に用いられるアニオン重合開始剤としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属を例示することができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができる。
有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例示することができる。具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
【0027】
上記(1)の方法におけるアームポリマーを合成する重合反応としては、モノマー(混合)溶液中にアニオン重合開始剤を滴下する方法や、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)液を滴下する方法のいずれの方法でも行うことができるが、分子量及び分子量分布を制御することができることから、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)液を滴下する方法が好ましい。このアームポリマーの合成反応は、通常、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜50℃、好ましくは−100〜40℃の範囲の温度下で行われる。
【0028】
上記アームポリマーの合成反応に用いられる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げることができる。これらは一種単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用することができる。
これらのうち、極性及び溶解性の観点から、THFとトルエン、THFとヘキサン、THFとメチルシクロヘキサンの混合溶媒を好ましく例示することができる。
【0029】
アームポリマーの重合形態としては、各成分がコポリマー鎖全体に統計的に分布しているランダム共重合体、部分ブロック共重合体、完全ブロック共重合体を挙げることができ、これらは、用いるアクリレート類の添加方法を選択することによりそれぞれ合成することができる。
【0030】
このようにして得られたアームポリマーを分岐ポリマー鎖としてスターポリマーを生成せしめる反応は、アームポリマー合成反応終了後、反応液中ヘ、さらに前述のジアクリレートを添加することにより行うことができる。この反応は通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒中において−100℃〜50℃、好ましくは−70℃〜40℃の温度で重合反応を行うことにより構造が制御され、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることができる。また、かかるスターポリマーの生成反応は、アームポリマーを形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、又は溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒としては、アームポリマーの合成反応に用いられる溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0031】
スターポリマーの製造方法において、コア部ジアクリレート(P)と、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法によりアーム部モノマーを重合させたポリマー鎖の活性末端(D)のモル比[(P)/(D)]を0.1〜10とするのが好ましい。
アームポリマー鎖とコア部ジアクリレートとの反応は、活性末端を有するアームポリマー鎖にコア部ジアクリレートを添加する方法、コア部ジアクリレートに活性末端を有するアームポリマー鎖を添加する方法のいずれの方法も採用することができる。
【0032】
スターポリマーのアーム数は、コア部ジアクリレートの添加量と反応温度、反応時間により決定されるが、通常はリビングポリマー末端とコア部ジアクリレートのビニル基との反応性差や立体障害等の影響を受けてアーム数の異なる複数の星型ブロックコポリマーが同時に生成する。
また、生成するスターポリマーの質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.00〜1.50の範囲にあることが好ましく、数平均分子量は、3,000〜300,000であるのが好ましい。
【0033】
予め調整されたアームポリマー鎖とコア部ジアクリレートを反応させることにより形成される活性末端を有する中心核(多官能性コア)に対して、アーム部モノマーを反応させ新たなアームポリマー鎖を形成させる(3)の方法では、異なる種類のアームポリマー鎖有するスターポリマーを製造することができる。
中心核に存在する活性末端に対して、直接重合可能なモノマーを反応させることもできるが、ジフェニルエチレン、スチルベン等の化合物を反応させた後、また、塩化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の鉱酸塩を添加した後、モノマーを反応させた方が、アクリル酸誘導体のように反応性の高いモノマーを反応させる場合、ゆっくりと重合反応を進行させることができ、生成するスターポリマーの全体の構造を制御する上で有利となる場合がある。
また、上記反応は、活性末端を有する中心核を形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、又は溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒としては、アームポリマーの合成に用いた溶媒と同様の溶媒を例示することができる。
また、上記(3)の方法における中心核に存在する活性末端に対して新たに導入されたアームポリマー鎖、又は上記(2)の方法におけるアームポリマー鎖として、2種のモノマーを混合して反応させることにより、ランダム共重合したポリマー鎖とすることも、また、2種のモノマーを順次添加することでブロックポリマー鎖とすることも可能である。
【0034】
(A1)成分は1種または2種以上用いることができる。
【0035】
「第2の態様」
第2の態様において、(A)成分は、上記スターポリマー(A2)(以下(A2)成分ということがある。)を含む。
(A2)成分は、アーム部が、単位(a1)、前記一般式(IV)で表されるアルケニルフェニルから誘導される繰り返し単位[以下、単位(a3)ということがある。]、
及び単位(a2)からなるポリマー鎖であり、コア部が(A1)成分と同様の構成からなるスターポリマーである。
(A2)成分において、(A1)成分と異なるのは、アーム部が単位(a3)を必須とする点であって、それ以外は同様である。
以下、変更点についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0036】
・・単位(a3)
前記一般式(IV)において、Rは水素原子またはメチル基である。
(A2)成分を構成する全繰り返し単位中、単位(a1)および単位(a2)を合わせた割合は40〜90モル%、好ましくは50〜85モル%、さらには75〜85モル%である。さらに、(A2)成分を構成する全繰り返し単位中、単位(a3)の割合は1〜30モル%、好ましくは2〜15モル%である。下限値以上にすることによって、未露光部と露光部の溶解性のコントラストを制御することができる。下限値以下にすることによって他の繰り返し単位とのバランスをとることができる。
なお、本発明のレジスト組成物において、ベース樹脂に含まれるスターポリマーのアーム部は、少なくとも単位(a1)と単位(a2)を有していればよいが、特にアーム部が単位(a3)を有することにより、溶解性の制御などが容易となる、という利点がある。
【0037】
(A2)成分は1種または2種以上用いることができる。
【0038】
また、(A1)成分と(A2)成分のいずれにおいても、アーム部が、下記一般式
【化10】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位(a4)[以下、単位(a4)ということがある。]を含むポリマー鎖を含んでいてもよい。
単位(a4)を含むことにより、(A1)成分、(A2)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性が向上するという効果が得られる。
単位(a4)は、(A1)成分または(A2)成分を構成する全繰り返し単位中10〜50モル%、好ましくは20〜40モル%含まれていることが望ましい。
【0039】
本発明のポジ型レジスト組成物のベース樹脂としては、(A1)成分と、(A2)成分のうち、少なくとも1種を用いていればよく、これらを適宜組み合わせることもできる。
また、(A)成分においては、(A1)成分および/または(A2)成分以外のものを配合することもできる。例えば、KrFレジスト用のベース樹脂として提案されているヒドロキシスチレン系樹脂を適宜用いることもできる。ただし、(A1)成分および/または(A2)成分が、(A)成分中、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に100質量%であることが望ましい。
【0040】
(B)放射線の照射(露光)により酸を発生する化合物
本発明において、(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知のいわゆる酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
【0041】
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
【0042】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
【0043】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
【0044】
【化11】

【0045】
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。下限値以上とすることによりパターン形成が十分に行われ、上限値以下とすることにより均一な溶液が得られ、良好な保存安定性が得られる。
【0046】
(D)含窒素有機化合物
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0047】
(E)成分
また、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0048】
有機溶剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましいが、その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは9:1〜9:1、より好ましくは8:2〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等の支持体に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内とされる。
【0049】
その他の任意成分
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
【0050】
[レジストパターン形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような支持体上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばKrF露光装置などにより、KrFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光(放射線を照射)した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、支持体(基板)とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、現像後に、さらに例えば100℃、60秒程度の条件でポストベークを行うこともできる。
【0051】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。
基板としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板や、ガラス基板などが挙げられる。
配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが使用可能である。
【0052】
露光(放射線の照射)に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるレジスト組成物は、KrFエキシマレーザーに対して有効である。
【0053】
本発明においては、KrFエキシマレーザー用として適用し得る、従来とは異なる材料を用いた化学増幅型のポジ型レジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法を提供できる。
本発明で用いるスターポリマーは、分子量分布が狭く、高収率で得られることから、安価なレジスト組成物が提供可能である。
また、該ポリマーにおいて、各モノマー単位の配置を制御可能であり、レジスト特性の向上が達成できる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において使用される略語の意味は下記の通りである。
THF:テトラヒドロフラン
NBL:n−ブチルリチウム
PEES:4−[2−エトキシエトキシ]−スチレン
ECHMA:1−エチルシクロヘキシルメタクリレート
MDA:2,5−ジメチルへキシル−2,5−ジアクリレート
【0055】
(合成例1)
以下の方法によってスターポリマーを製造した。
【0056】
窒素雰囲気下において、THF300gとn−ヘキサン75gの混合溶媒を−40℃に保持し、NBL 4.2g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES 42.0g (0.22モル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GC(ガスクロマトグラフィー)により反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により分析したところ、得られたポリマーはMn=6300、Mw/Mn=1.14の単分散ポリマーであった。
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF150gを添加後、ECHMA8.5g(43ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られた共重合体はMn=6700、Mw/Mn=1.17の単分散ポリマーであった。
次いで、MDA 7.4g(29ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー57gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=31000、Mw/Mn=1.16、アームポリマー部分でMn=7300、Mw/Mn=1.12の混合物であった。
【0057】
次に、得られたポリマー54gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 41gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=26000、Mw/Mn=1.17、アームポリマー部分でMn=6000、Mw/Mn=1.13の混合物であった。
13C−NMRにより、155ppm付近にp−ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、85ppm付近にECHMA単位のエチル基炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp−ヒドロキシスチレン/ECHMA/MDAの組成比が75/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p−ヒドロキシスチレン−ECHMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0058】
(合成例2)
窒素雰囲気下において、THF300gとn-ヘキサン75gの混合溶媒を−40℃に保持し、n-ブチルリチウム(以下、NBLと略す)4.2g (10ミリモル)を加え、撹拌下、4-[2‐エトキシエトキシ]‐スチレン(以下、PEESと略す)41.6g (0.22モル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリPEESはMn=6100、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0059】
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF150gを添加後、1−エチルシクロヘキシルメタクリレート(ECHMA)5.3g(27ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/ECHMA共重合体はMn=6700、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0060】
次いで、2,5−ジメチルへキシル−2,5−ジアクリレート(以下、MDAと略す)6.9g(27ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー53gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=29000、Mw/Mn=1.17、アームポリマー部分でMn=7100、Mw/Mn=1.15の混合物であった。
【0061】
次に、得られたポリマー53gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 38gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=24000、Mw/Mn=1.18、アームポリマー部分でMn=5600、Mw/Mn=1.14の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、85ppm付近にECHMA単位のエチル基炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/ECHMA/MDAの組成比が80/10/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−ECHMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0062】
(合成例3)
窒素雰囲気下において、THF300gとn-ヘキサン75gの混合溶媒を−40℃に保持し、NBL 4.2g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES38.5g (0.20モル)とスチレン(以下、Stと略す)3.0g(30ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St共重合体はMn=6200、Mw/Mn=1.13の単分散ポリマーであった。
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF150gを添加後、ECHMA 9.1g(46ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St/ECHMA共重合体はMn=6600、Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。
【0063】
次いで、MDA 7.6g(30ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー58gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=30000、Mw/Mn=1.16、アームポリマー部分でMn=7000、Mw/Mn=1.13の混合物であった。
【0064】
次に、得られたポリマー58gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 43gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=23000、Mw/Mn=1.15、アームポリマー部分でMn=5800、Mw/Mn=1.14の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、145ppm付近にスチレン単位の芳香環結合炭素のシグナル、85ppm付近にECHMA単位のエチル基炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/St/ECHMA/MDAの組成比が65/10/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−St−ECHMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0065】
(合成例4)
窒素雰囲気下において、THF200gを−40℃に保持し、SBL 7.8g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES 38.5g (0.20モル)とSt 3.0g(30ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St共重合体はMn=4500、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0066】
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF120gを添加後、1-アダマンチルメタクリレート(以下、AdMAと略す)9.4g(43ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St/AdMA共重合体はMn=5500、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0067】
次いで、MDA7.5g(30ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー58gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=27000、Mw/Mn=1.15、アームポリマー部分でMn=5500、Mw/Mn=1.14の混合物であった。
【0068】
次に、得られたポリマー58gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 43gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=24000、Mw/Mn=1.15、アームポリマー部分でMn=5100、Mw/Mn=1.14の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、145ppm付近にスチレン単位の芳香環結合炭素のシグナル、79ppm付近にAdMA単位のエステル結合炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/St/AdMA/MDAの組成比が65/10/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−St−AdMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0069】
(合成例5)
窒素雰囲気下において、THF200gを−40℃に保持し、SBL 7.8g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES 38.5g (0.20モル)とSt 3.0g(30ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St共重合体はMn=4900、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0070】
次いで、2-メチルアダマンチルメタクリレート(以下、2MAdMAと略す)10.0g(43ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St/2MAdMA共重合体はMn=5300、Mw/Mn=1.10の単分散ポリマーであった。
【0071】
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF120gを添加後、MDA7.5g(30ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー58gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=35000、Mw/Mn=1.15、アームポリマー部分でMn=5500、Mw/Mn=1.15の混合物であった。
【0072】
次に、得られたポリマー58gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 44gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=34000、Mw/Mn=1.15、アームポリマー部分でMn=4700、Mw/Mn=1.15の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、145ppm付近にスチレン単位の芳香環結合炭素のシグナル、86ppm付近に2MAdMA単位のエステル結合炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/St/2MAdMA/MDAの組成比が65/10/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−St−2MAdMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0073】
(合成例6)
窒素雰囲気下において、THF200gを−40℃に保持し、SBL 7.8g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES 38.5g (0.20モル)とSt 3.0g(30ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St共重合体はMn=4900、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0074】
次いで、2-エチルアダマンチルメタクリレート(以下、2EAdMAと略す)10.6g(43ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St/2EAdMA共重合体はMn=5600、Mw/Mn=1.08の単分散ポリマーであった。
【0075】
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF120gを添加後、MDA7.5g(30ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー59gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=36000、Mw/Mn=1.17、アームポリマー部分でMn=5600、Mw/Mn=1.15の混合物であった。
【0076】
次に、得られたポリマー59gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 45gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=34000、Mw/Mn=1.16、アームポリマー部分でMn=4800、Mw/Mn=1.15の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、145ppm付近にスチレン単位の芳香環結合炭素のシグナル、90ppm付近に2EAdMA単位のエステル結合炭素のシグナル、81ppm付近にMDA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/St/2EAdMA/MDAの組成比が65/10/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−St−2EAdMA−MDAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0077】
(合成例7)
窒素雰囲気下において、THF300gとn-ヘキサン75gの混合溶媒を−40℃に保持し、NBL 4.2g (10ミリモル)を加え、撹拌下、PEES38.5g (0.20モル)とSt 3.0g(30ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続して、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St共重合体はMn=6000、Mw/Mn=1.14の単分散ポリマーであった。
次いで、反応系を−60℃に冷却し、塩化リチウム0.1モルを含むTHF150gを添加後、ECHMA 9.1g(46ミリモル)を30分かけて滴下し、さらに反応を30分間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEES/St/ECHMA共重合体はMn=6400、Mw/Mn=1.18の単分散ポリマーであった。
【0078】
次いで、2,5−ジメチルへキシル−2,5−ジメタクリレート(以下、MDMAと略す)8.7g(30ミリモル)を滴下し、さらに反応を1時間継続して、GCにより反応完結を確認した。反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー58gを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99%であった。
このポリマーをGPCにより分析したところ、スターポリマー部分でMn=34000、Mw/Mn=1.16、アームポリマー部分でMn=6700、Mw/Mn=1.13の混合物であった。
【0079】
次に、得られたポリマー58gをTHFに溶解して30%溶液とし、濃塩酸2gを加えて室温で1時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状ポリマー 43gを得た。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分でMn=32000、Mw/Mn=1.17、アームポリマー部分でMn=6000、Mw/Mn=1.13の混合物であった。
13C-NMRにより、155ppm付近にp-ヒドロキシスチレン単位の芳香環のパラ位炭素のシグナル、145ppm付近にスチレン単位の芳香環結合炭素のシグナル、85ppm付近にECHMA単位のエチル基炭素のシグナル、82ppm付近にMDMA単位のメチル基炭素のシグナルが観察され、それぞれの積分比からp-ヒドロキシスチレン/St/ECHMA/MDMAの組成比が65/10/15/10であることが確認された。
以上のことから、反応およびその後の脱離反応は目的通り行われ、p-ヒドロキシスチレン−St−ECHMA−MDMAスターポリマーが生成したことを確認した。
【0080】
(実施例)
下記組成からなるポジ型レジスト組成物を製造した。
(A)成分:合成例1で合成したスターポリマー 100質量部
(B)成分:ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート (A)成分100質量部に対して5質量部
(D)成分:トリエタノールアミン (A)成分100質量部に対して0.15質量部
(E)成分:サリチル酸 (A)成分100質量部に対して0.14質量部
有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート700質量部
【0081】
ついで、このポジ型レジスト組成物を用いて下記の様にしてレジストパターンを形成した。
すなわち、有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚450nmのレジスト層を形成した。
ついで、KrF露光装置S203B(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,2/3輪帯)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターン(バイナリー)を介して選択的に照射した。
そして、130℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後60秒間水洗した後、さらに100℃、60秒の条件でポストベークを行った。
この様にしてレジストパターンを形成した。
【0082】
その結果、300nmのラインアンドスペースが得られ、その際の感度は19mJ/cm2であった。したがって、実施例のレジスト組成物がKrFエキシマレーザー用として充分適用し得る化学増幅型のポジ型レジスト組成物であることが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分は、中心核としてのコア部、および中心核に連結するポリマー鎖としてのアーム部を含むスターポリマーであって、
アーム部が、
(1)一般式(I):
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である)
で表されるアルケニルフェノールから誘導される繰り返し単位、及び
(2)一般式(II):
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは3級炭素原子で結合する脂環式炭化水素基からなる酸解離性の溶解抑制基である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むポリマー鎖であり;
コア部が、一般式(III):
【化3】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を表し、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、Rは、アルキレン基を表す。)
で表されるジアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むスターポリマー(A1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【請求項2】
(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分は、中心核としてのコア部、および中心核に連結するポリマー鎖としてのアーム部を含むスターポリマーであって、
アーム部が、
(1)一般式(I):
【化4】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表されるアルケニルフェノールから誘導される繰り返し単位と、
一般式(IV):
【化5】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表されるアルケニルフェニルから誘導される繰り返し単位、
及び
(2)一般式(II):
【化6】

(式中、R及びRは前記と同じ意味である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むポリマー鎖であり;
コア部が、一般式(III):
【化7】

(式中、R〜R10は前記と同じ意味である)で表されるジアクリレートから誘導される構成単位を含むスターポリマー(A2)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポジ型レジスト組成物において、一般式(II)中、Rが1−アルキルシクロアルキル基および2−アルキル−2−アダマンチル基から選ばれる1種以上であるポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物において、アーム部が、下記一般式
【化8】

(式中、Rは前記と同じ意味である)
で表されるアクリレートから誘導される繰り返し単位を含むポリマー鎖を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。


【公開番号】特開2006−227532(P2006−227532A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44597(P2005−44597)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】