説明

ポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物

【課題】微細パターンの加工ができ、得られた被膜の耐熱性と基材との線膨張係数が近接し、かつ高温でのイミド化を必要としない、ポジ型感光性ポリイミド組成物を提供する。
【解決手段】特定の骨格を有する有機溶剤可溶性のポリイミド樹脂と、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物とを含有することを特徴とするポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス等の製造において電気、電子絶縁材料として用いられるポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、バッファーコートには優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化、小型化の要求がありLOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
さらに、近年電子機器で使用される回路基板や半導体実装部品では、軽量化と高集積・高密度化を両立させるために配線ピッチの超微細化が急速に進んでいる。この流れの中で、これまで重視されていなかった基板や部品材料間の線膨張係数の差が、製品の品質、信頼性に重大な影響を与えるようになりつつある。この問題を解決する寸法安定性が優れるポリイミドフィルムが強く求められている。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作製工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する。ネガ型では、ポリイミド前駆体(アミック酸)にエステル結合またはイオン結合あるいはアミド結合、IPN型などを介してメタクリロイル基を導入する方法(例えば、特許文献1〜5参照)、光重合オレフィンを有する可溶性ポリイミド(例えば、特許文献6参照)、ベンゾフェノル骨格を有し、かつ窒素原子が結合する芳香環のオルト位にアルキル基を有する水素引抜反応を利用した自己増感型ポリイミド(例えば、特許文献7、8参照)、光酸化誘起重合反応を利用し、フラン構造を有する可溶性ポリイミド(例えば、特許文献9参照)などがある。
露光した部分が現像により溶解するポジ型の耐熱性樹脂組成物としては、ポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したもの(例えば、特許文献10参照)、水酸基を有したポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したもの(例えば、特許文献11参照)、酸・塩基分解基を有するポリイミド前駆体に光酸発生剤(PAG)/光塩基発生剤(PBG)を添加したもの(例えば、特許文献12、13参照)、O−ニトロベンジル基をポリイミド前駆体に導入したもの(例えば、特許文献14参照)。
ポリイミド前駆体を使う場合は、上記の何れの方法も、光加工後、加熱処理によりイミド閉環を行う必要があり、その際、イミド閉環に伴う脱水と架橋基成分の揮発による体積収縮によって、膜厚の損失及び寸法安定性の低下が起きることは避けられない欠点である。更に、高温での加熱処理工程は、他の電子部品或は有機材料の劣化を招く可能性もある。環化プロセスそのものを要しない有機溶剤可溶性のポリイミドそのものを感光化したものが提案されている(例えば、ポジ型に関しては特許文献15〜18参照)が、これらは感光特性、耐熱性、機械特性及び寸法安定性の何れかに劣る欠点がある。
従って、何れも未だ実用化レベルで十分なものはないのが実状である。
【特許文献1】特開昭 54−145794号公報
【特許文献2】特開昭 55−030207号公報
【特許文献3】特開昭 61−118424号公報
【特許文献4】特開昭 57−168942号公報
【特許文献5】特開平 03−170547号公報
【特許文献6】特開昭 59−108031号公報
【特許文献7】特開昭 61−145794号公報
【特許文献8】特開2003−076017号公報
【特許文献9】特開2000−338668号公報
【特許文献10】特開昭 52−013315号公報
【特許文献11】特開平 04−204945号公報
【特許文献12】特開平 04−120171号公報
【特許文献13】特開平 10−186664号公報
【特許文献14】特開昭 60−037550号公報
【特許文献15】特開昭 63−013032号公報
【特許文献16】特開平 04−046345号公報
【特許文献17】特開2000−199957号公報
【特許文献18】特開2001−249454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のポジ型感光性樹脂の熱膨張係数が大きいことに起因する、基材との密着性の低下や基材の反りなど従来技術包含課題の軽減と、イミド化における加熱に伴う高温とイミド化反応から発生する水によって、表面保護膜や層間絶縁膜の形成時に半導体デバイス等の製品に多大の影響をもたらす課題を、共に解決せんとするものであり、熱膨張係数が小さく、このために、基材との密着性の低下や基材の反り等が軽減され、イミド化における加熱に伴う高温とイミド化反応から発生する水によって表面保護膜や層間絶縁膜の形成時に半導体デバイス等の製品に多大の影響をもたらし、電気特性、解像性などを劣化させることのない、耐熱性樹脂膜を与えることができるポジ型感光性ポリイミド組成物を提供することを目的としたものである。
また本発明は、前記組成物の使用により、耐熱性、機械特性及び熱寸法安定性に優れる良好な形状のパターンが得られるパターンの製造法を提供するものである。また、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況に鑑み鋭意研究を続けた結果、次なる発明に到達した。すなわち本発明は以下の構成になるものである。
本発明のポジ型感光性ポリイミド組成物は、主鎖に特定の嵩高な骨格を有し、且つベンズアゾール骨格特に好ましくはベンズオキサゾール骨格を有する有機溶剤可溶性ポリイミド(a)と、活性光線照射により酸を発生する化合物とを含有することを特徴とし、そのことにより上記目的が達成されるものであり、本発明は下記の構成による。
1.(a)下記の一般式(化1)、(化2)から選ばれる少なくとも一種の(式中、Rはフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルのいずれかの基を示す。Azは2価の芳香族有機基を示す。)繰り返し単位を含む有機溶剤可溶性のポリイミド樹脂と、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物とを含有することを特徴とするポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】

2.前記式(化1)または(化2)のAzがベンズアゾール構造を有する2価の有機基である請求項1記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
3.前記式(化1)または(化2)のAzがベンズオキサゾール構造を有する2価の有機基である請求項1〜2いずれかに記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
4.前記式(化1)または(化2)のAzが下記の一般式(化3)〜(化16)のいずれかの1種以上のAzである請求項1〜3いずれかに記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【0008】
【化3】

【0009】
【化4】

【0010】
【化5】

【0011】
【化6】

【0012】
【化7】

【0013】
【化8】

【0014】
【化9】

【0015】
【化10】

【0016】
【化11】

【0017】
【化12】

【0018】
【化13】

【0019】
【化14】

【0020】
【化15】

【0021】
【化16】

5.活性光線照射により酸を発生する化合物がエステル化したキノンジアジド化合物である請求項1〜4いずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物からのポリイミドは熱膨張係数が小さく、シリコンウエハなどの低熱膨張係数の基材上に塗布・乾燥のみで絶縁膜などの樹脂膜を形成することができ、イミド化を伴うことなく、熱膨張係数の差が小さく、基材との密着性が良く、かつ反りなどを軽減でき、また、現像性、感光性などを良好に維持できるので、これらの結果として、良好なパターンが得られ、半導体デバイス等の製造における電気、電子絶縁材料として極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
本発明におけるポリイミドは有機溶剤(溶媒)可溶性であり、有機溶剤に不溶であると、ポリイミドの前駆体を用いて脱水閉環反応を経てポリイミド層を形成する必要があり、この場合、350℃以上の高温プロセスを要するため、半導体装置の熱劣化を招く恐れがある。なお、ここで有機溶剤可溶性とは、少なくとも下記有機溶媒から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤にポリイミドが1質量%以上溶ける(30℃)ということを指している。
これらの有機溶媒の例として沸点が350℃以下のものが挙げられ、好ましい例として沸点300℃以下のものが挙げられ、さらに好ましい例として沸点250℃以下のものが挙げられる。具体例としては、p−クロロフェノールやm−クレゾールなどのフェノール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。
本発明における、ポリイミド樹脂は、少なくとも前記の一般式(化1)または(化2)(式中、Rはフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルのいずれかの基を示す。Azはベンズアゾール構造を有する2価の有機基を示す。)で表される繰り返し単位を含むものである。
【0025】
前記式(化1)または(化2)に表されるポリイミド樹脂構造中のAz成分としては、ベンズアゾール構造を有する2価の有機基であれば特に限定されるものではないが、ポリマーの吸水率をより低下させるためにはベンズオキサゾール構造を有する2価の有機基であることが好ましく、さらに、耐熱性をより向上させるため、あるいは線膨張係数をより低下させるためには、下記式(化3)〜(化16)で示される構造であることがより好ましく、なかでも(化3)または(化4)で示される構造であることが特に好ましい。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
本発明におけるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物類(酸、酸無水物、ポリイミド結合性誘導体などをいう、以下同)と芳香族ジアミン類(ジアミン、ポリイミド結合性誘導体などをいう、以下同)とから反応させて得られることが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、下記式(化17)または(化18)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物を使用することが好ましく、これらの使用量は全カルボン酸の70モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましい。これらの化3、化4に限定されことなく、(化3)または(化4)以外の芳香族テトラカルボン酸類を30モル%未満、好ましくは15モル%未満で使用することができる。これらの(化17)または(化18)以外の芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、無水ピロメリット酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられるが、低線膨張係数を維持するためには無水ピロメリット酸あるいはビフェニル−3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物の使用が好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0029】
【化17】

(式中、Rはフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルのいずれかの基を示す。)
【0030】
【化18】

(式中、Rはフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルのいずれかの基を示す。)
【0031】
芳香族ジアミン類とてしては、ベンズアゾール構造を有する芳香族ジアミン類を使用することが好ましい。ベンズアゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、例えば、下記式(化19)〜(化26)(式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はNR(式中、Rは水素原子又はフェニル基を示す)を示し、R、R、Rは、それぞれ独立して、単環又は複数の環から構成される芳香族環基又は複素環基を表し、R、Rはそれぞれ独立して、単環又は複数の環から構成される芳香族環基、複素環基又は脂肪族環基を示す。)で表される構造を有するジアミンが挙げられる。これらの中でもベンズオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を使用することが好ましく、その中でも前記(化3)〜(化16)で表される骨格構造を有するジアミン類を使用することが特に好ましい。これらのベンズアゾール構造を有する芳香族ジアミン類およびまたはベンズオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の全ジアミンにおける使用量は70モル%以上が好ましく、85モル%以上がさらに好ましい。
【0032】
【化19】

【0033】
【化20】

【0034】
【化21】

【0035】
【化22】

【0036】
【化23】

【0037】
【化24】

【0038】
【化25】

【0039】
【化26】

【0040】
ベンズアゾール構造を有しないジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン。
【0041】
3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン。
【0042】
2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン。
【0043】
1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられるが、低線膨張係数を維持するためにはp−フェニレンジアミンの使用が好ましい。これらのジアミンは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらは、ベンズアゾール構造を有する芳香族ジアミン類およびまたはベンズオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と併用する際には、全ジアミンの30モル%未満が好ましく、15モル%未満がより好ましい。
【0044】
本発明のポリイミド樹脂を合成する際のモノマー混合比(モル比)は、テトラカルボン酸(酸無水物)/ジアミンの表記方法で、好ましくは0.800〜1.200/1.200〜0.800、より好ましくは0.900〜1.100/1.100〜0.900、更に好ましくは0.950〜1.150/1.150〜0.950である。
また、本発明の分子末端封鎖のためにジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、アニリン誘導体などの末端封止剤を用いることが出来る。本発明で好ましく用いられるのは、無水フタル酸、無水マレイン酸、エチニルアニリンであり、無水マレイン酸の使用がより好ましい。末端封止剤の使用量は、モノマー成分1モル当たり0.001〜1.0モル比である。
【0045】
本発明のポリイミド樹脂を合成する際に使用する有機溶剤としては、原料モノマー及び中間生成物であるポリアミド酸、生成物であるポリイミド樹脂のいずれも溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられ、これらの溶媒は,単独あるいは混合して使用することができる。極性有機溶媒の使用量は、仕込みモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、通常は1〜50質量%であり好ましくは5〜30質量%の固形分を含むものであればよい。
【0046】
重合反応は、有機溶媒中で撹拌及び/又は混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進めた後、さらに100〜300℃の温度範囲で10分から30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。
本発明では閉環触媒を用いても良い。本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、安息香酸、o−安息香酸、m−安息香酸、p−安息香酸などの芳香族カルボン酸、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用することが好ましい。閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/前駆体であるポリアミド酸中の含有量(モル)が0.01〜10.00となる範囲が好ましい。
【0047】
本発明では脱水剤を用いても良い。例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、効率よく脱水できるものであれば、特にこれらに限定されない。脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.01〜10.00となる範囲が好ましい。
本発明では、水を共沸させるために共溶媒を用いても良い。例えば、トルエン、キシレン等が挙げられるが、効率よく水を共沸させることができるものであればこれらに限定されない。
【0048】
本発明では更に、ポリイミド樹脂の性能向上を目的として、添加物を加えても良い。これら、添加物は、その目的によって様々であり、特に限定されるものではない。
また、添加方法、添加時期においても特に限定されるものではない。添加物の例としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、等の金属酸化物、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸塩など、有機、無機の公知のフィラーが挙げられる。
【0049】
本発明では、反応によって得られたポリイミド樹脂を適当な貧溶媒を用いて反応溶液から再沈殿させても良い。貧溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水などが挙げられるが、効率よく再沈殿させることができるものであれば、特にこれらに限定されない。また、再沈殿した後の残存反応溶媒を除去する溶媒についても特に限定されないが、再沈殿させた際に用いた溶媒を使用することが好ましい。
【0050】
本発明では、反応溶液をそのままポリイミド樹脂溶液として利用しても良いし、反応溶液から上記手法で再沈殿させたポリイミド樹脂を再び溶媒に溶解させてポリイミド樹脂溶液を得てもよい。後者の場合、ポリイミド樹脂を効率よく溶解させるものであれば、特に限定されるものではないが、例として、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等の有機溶剤が挙げられる。
【0051】
本発明では、ポリイミド樹脂と有機溶媒を混合させる手段として、特に限定はしないが、例えば、通常の攪拌翼、高粘度用の攪拌翼を用いて混合攪拌する方法、多軸の押し出し機、あるいはスタティックミキサーなどを用いる方法、更には、ロールミルなどの高粘度用混合分散機を用いる方法を用いて混合攪拌することが挙げられる。
本発明で得られるポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂の組成としては、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%を含有することが挙げられる。この場合。その粘度はブルックフィールド粘度計による測定で0.1〜2000Pa・S、好ましくは1〜1000Pa・Sのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
【0052】
本発明に使用される(b)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、酸を発生させ、光の照射部の現像液への可溶性を増大させる機能を有するものである。その種類としては、O−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられ、特に制限がないが、O−キノンジアジド化合物は感度が高くので、好ましいものとして挙げられる。
また、(b)成分の添加量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(a)成分100質量部に対して好ましくは1から50質量部である。
本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物は、さらに他の添加剤、例えば、架橋剤、可塑剤、表面活性剤、増感剤、接着促進剤等の添加剤を含有してもよい。
【0053】
本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を使用してのパターン形成方法は、本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により該組成物のポリイミドからなるポリイミド膜を形成するものである。本発明のパターンの形成方法では、まず、支持基板など表面に本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を用いた被膜が形成される。
なお、本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を使用してのパターン形成方法では、ポリイミド被膜と支持基板との接着性を向上させるため、あらかじめ支持基板表面を接着助剤で処理しておいてもよい。ポリイミドからなる被膜は、例えばポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物(以下ワニスという)の膜を形成した後、これを乾燥させることにより形成される。本発明のポリイミド被膜の厚さは特に限定されるものではないが、2μm〜50μm程度の被膜形成に好適であり、さらには3μm以上、特には25μmの膜厚への適用に好適である。
【0054】
ポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を使用してのポリイミド被膜の形成は、ポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物の粘度などに応じて、スピナを用いた回転塗布、浸漬、噴霧印刷、スクリーン印刷などの手段から適宜選択された手段により行う。なお、被膜の膜厚は塗布条件、本組成物の固形分濃度等により調節できる。また、あらかじめ支持基板上に形成した被膜を支持体上から剥離してポリイミドからなるシートを上記支持基板の表面に貼り付けることにより、上述の被膜を形成してもよい。
つぎに、この形成された被膜に、所定のパターンのフォトマスクを介して光(紫外線などの活性光線)を照射した後、有機溶剤または塩基性水溶液により露光部を溶解除去して、所望のレリーフパターンを得る。この際、現像後の残膜率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがことさらに好ましい。また、感度としては、600mJ/cm以下であることが好ましく、500mJ/cm以下であることがより好ましく、450mJ/cm以下であることがことさらに好ましい。ここで感度とは、10μm以下の高い解像度でパターンを得るために最低限必要な露光量のことである。
【0055】
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、クロロホルム、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサンオキシム、シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキシルアセテート、シクロペンタノール、シクロペンタノン、シクロペンタノンオキシム、シクロペンタン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記塩基性水溶液は、通常、塩基性化合物を水に溶解した溶液である。塩基性化合物の濃度は、支持基板等への影響などから0.1〜50重量%とすることが好ましく、0.1〜30重量%とすることがより好ましい。なお、ポリイミドの溶解性を改善するため、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の水溶性有機溶剤をさらに含有していてもよい。
【0056】
上記塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムイオンの水酸化物又は炭酸塩や、アミン化合物などが挙げられる。
従来のポリイミド前駆体を使用した場合、このパターンを、加熱することにより、安定な高耐熱性ポリイミドパターンを得ることが出来る。このときの加熱温度は300〜500℃であり、この加熱温度が、300℃未満であると、ポリイミド膜の機械特性及び熱特性が低下する傾向にあり、400℃を超える場合はポリイミド膜の機械特性及び熱特性に劣る傾向があるが、本発明においてはこの高温加熱を必要とせず高々200℃程度の温度での乾燥や低沸点物などの除去が行われることで、耐熱性で低線膨張係数のポリイミドパターンなどのポリイミド被膜を形成することができる。
このように本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物は、半導体装置等の電子部品用の表面保護膜、多層配線板の層間絶縁膜等に使用することができる。本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を用いた表面保護膜(バッファーコート膜)は、接着性に優れかつ低線膨張係数であるために、基材の反りや基材からの剥離がなく、本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物から得られた層間絶縁膜や表面保護膜を用いた半導体素子は、極めて信頼性に優れるものとなる。このような信頼性の高い半導体素子を得るための膜の具体的な線膨張係数(50〜200℃の温度範囲での平均線膨張係数)としては、好ましくは0〜40ppm/℃であり、より好ましくは0.1〜30ppm/℃である。
本発明のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物は、層間絶縁層や表面保護膜層ばかりではなく、その優れた特性のため、カバーコート層、コア、カラー、アンダーフィルなどの材料として使用されてもよいものである。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例中の各特性は前記した方法以外は以下の方法で測定した。
1.ポリイミドの線熱膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドについてウエハを破壊して剥離し、下記条件にて伸縮率を測定し、50℃〜65℃、65℃〜80℃…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を200℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 250℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン

2.残膜率の算出
プリベーク処理後の膜厚と現像後の膜厚を測定し、以下の計算方法により残膜率を算出した。
残膜率(%)={(現像後の膜厚)/(プリベーク処理後の膜厚)}×100

3.感度の評価
解像度10μmのパターンを鮮明に形成させるために最低限必要な露光量を感度とした。解像度10μmのパターンが鮮明に形成されているかどうかは、露光・現像後のレリーフパターンをマイクロスコープにて観察することにより判断した。露光量は、紫外線照度計・光量系(UV−M03:オーク株式会社製)を用いて測定した。

4.膜の外観評価
現像後ならびに熱処理後の外観を目視ならびにマイクロスコープにて観察した。現像後の外観評価に関しては、未露光部の現像残りがなく、パターンのエッジが平滑であれば、「良好」と評価した。また、熱処理後の外観評価に関しては、膜の割れや膨れ、ボイド、剥がれ、ウェハの割れや反りなどがなければ、「良好」と評価した。
【0058】
(合成例1)窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール10.00g、2,2’−ジフェノキシ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物20.37g、イソキノリン0.50gを仕込んだ。続いて、m−クレゾール270gを加えて完全に溶解させた後,25℃の反応温度で20時間攪拌すると、淡黄色のポリアミド酸溶液が得られた。その後、装置にディーンタークトラップを設置し、N気流下、200℃の温度で6時間撹拌した。空冷後、はじめにアセトン2000mlで再沈殿を行った。得られた固形物をミキサーにて粉砕し、アセトン500ml中25℃で撹拌洗浄を2回、アセトン500ml中還流下で攪拌洗浄を6時間行った。乾燥を減圧下70℃で12時間行い、収量28.8gで淡黄色のポリイミド樹脂を得た。次いで、得られたポリイミド樹脂10gとN−メチル−2−ピロリドン80gを混合し、80℃の温度で1時間攪拌することにより、ポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−1とする。
【0059】
(合成例2)酸無水物として2,2’−ビス(3−フェニルフェノキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物27.10gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−2とする。
【0060】
(合成例3)酸無水物として2,2’−ビス(4−フェニルフェノキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物27.10gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−3とする。
【0061】
(合成例4)酸無水物として2,2’−ビス(1−ナフトキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物24.78gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−4とする。
【0062】
(合成例5)酸無水物として2,2’−ビス(2−ナフトキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物24.78gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−5とする。
【0063】
(合成例6)ジアミンとして6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを10.00g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−6とする。
【0064】
(合成例7)ジアミンとして5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンズイミダゾールを10.00g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−7とする。
【0065】
(合成例8)ジアミンとして5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンズチアゾールを10.00g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−8とする。
【0066】
(合成例9)酸無水物として、2,2’−ジフェニル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物18.92g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−9とする。
【0067】
(合成例10)酸無水物として2,2’−ビス(4−ビフェニル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物25.68gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−10とする。
【0068】
(合成例11)酸無水物として2,2’−ビス(1−ナフチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物23.36gを用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−11とする。
【0069】
(合成例12)ジアミンとして5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールを10.00g用いたこと以外は合成例9と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−12とする。
【0070】
(合成例13)ジアミンとして4,4’−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル15.00gならびに酸無水物として3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を12.07g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−13とする。
【0071】
(合成例14)ジアミンとしてp−フェニレンジアミン5.00gならびに酸無水物として4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物を19.67g用いたこと以外は合成例1と同様の操作により、対応するポリイミド樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂溶液をワニス−14とする。
【0072】
(実施例1)
90gのワニス−1に感光剤NT−200(東洋合成工業(株))2.00gを添加し、ポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を作成した。このポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物をスピンコーターでシリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレートを用いて100℃で10分間乾燥を行い、10μmの塗膜を得た。この塗膜をマスク(1〜50μの残しパターンおよび抜きパターン)を通して、超高圧水銀灯を用いてパターンマスクを通して紫外線を照射した。その後、現像を行った。現像はN−メチル−2−ピロリドンを用いて行った。次に、イソプロパノールでリンスし、乾燥した。その結果、露光量300mJ/cmの照射で良好なパターンが形成され、残膜率は90%であった。また、露光後の外観も良好であった。さらに、窒素雰囲気下で、120℃/15分、250℃/60分の熱処理を行い、反り、割れ、剥がれの無いポリイミド被膜付シリコンウエハを得た。また、前述の方法によりポリイミド皮膜の線膨張係数を測定したところ、20ppm/℃であった。
【0073】
(実施例2〜12)
実施例1において用いたワニス−1の代わりにワニス−2〜12を用いた以外は、実施例1と同様に操作してポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を調整し、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0074】
(比較例1〜2)
実施例1において用いたワニス−1の代わりにワニス−13〜14を用いた以外は、実施例1と同様に操作してポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物を調整し、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のポジ型感光性ポリイミド組成物は、半導体デバイスなどの製造での電気、電子絶縁材料として、詳しくは、ICやLSIなどの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに用いられ、微細パターンの加工が必要とされるものなどに利用でき、イミド化に伴う水の発生もなくしかも高温に曝されることがなく、しかも線膨張係数が低く基材である半導体ウエハなどとの線膨張係数が近接しており、その乖離による基材の反りや基材とのこれら被膜のはがれのないものとなり、これらの用途に極めて有意義である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記の一般式(化1)、(化2)から選ばれる少なくとも一種の(式中、Rはフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルのいずれかの基を示す。Azは2価の芳香族有機基を示す。)繰り返し単位を含む有機溶剤可溶性のポリイミド樹脂と、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物とを含有することを特徴とするポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【請求項2】
前記式(化1)または(化2)のAzがベンズアゾール構造を有する2価の有機基である請求項1記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記式(化1)または(化2)のAzがベンズオキサゾール構造を有する2価の有機基である請求項1〜2のいずれかに記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記式(化1)または(化2)のAzが下記の一般式(化3)〜(化16)のいずれかの1種以上のAzである請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性ポリイミド樹脂組成物。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【請求項5】
活性光線照射により酸を発生する化合物がエステル化したキノンジアジド化合物である請求項1〜4いずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−86147(P2009−86147A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253823(P2007−253823)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】