説明

ポジ型感光性樹脂組成物、その製造方法及びカラーフィルタ

【課題】塗膜全体にわたって均一で、高品質な塗膜を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いた表示装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】染料(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含み、前記溶剤(E)が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤を含む溶剤であるポジ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、その製造方法及びカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の液晶表示パネル等では、基板サイズの大型化が進行しており、通常、基板面には、コート層等の透明膜又はパターンを形成するために、感光性樹脂組成物が、スピン塗布法、スリット&スピン法等により塗布形成されている。
一方、生産性向上、大型画面への対応等の観点から、感光性樹脂組成物溶液を省液化しながら、高品質の均一な塗膜を形成する方法が研究されている。
【0003】
このような背景から、優れた品質の塗膜を形成するために、溶剤種の選択が模索されている。例えば、黄色フィルタ層を有する色フィルタを形成するために、乳酸エチル及びN,N−ジメチルホルムアミドの混合物を溶剤として用いた感光性樹脂組成物を利用することが開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−14223号公報 段落54、56及び57等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した溶剤を用いた感光性樹脂組成物を、代表的な塗布方法である、スピン塗布法によって、凹凸基板上に塗布すると、凹凸パターンに沿って、塗布面上に筋が生じる場合がある。
つまり、従来から提案されている溶剤を用いても、全ての方法において必ずしも高品質の塗膜が得られていないというのが現状である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、塗膜全体にわたって均一で、高品質な塗膜を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いた表示装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、染料(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含み、
前記溶剤(E)が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤とを含む溶剤であることを特徴とする。
【0007】
このようなポジ型感光性樹脂組成物では、乳酸エチルが、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有されることが好ましい。
プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤が、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有されることが好ましい。
感光剤(C)が、ナフトキノンジアジド基を有する化合物であることが好ましい。
感光剤(C)が、バインダー樹脂(B)に対して、60〜2000質量%で含有されることが好ましい。
バインダー樹脂(B)が、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
硬化剤(D)が、メラミン化合物であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の塗布方法は、上述したポジ型感光性樹脂組成物を、基板上にスピンコーターによって塗布することを特徴とする。
さらに、本発明の塗膜は、上述したポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタは、上述したポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗膜全体にわたって均一で、高品質な塗膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、このポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、品質の高い塗膜及びカラーフィルタを得るための塗布を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、染料(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含む。なお、本明細書においては、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は組合せて使用することができる。
【0011】
染料(A)としては、特に限定されるものではなく、感光性樹脂組成物の溶剤に可溶性である公知のものを使用することができる。
例えば、400〜500nmに吸収極大を有するもの、400〜550nmに吸収極大を有するもの、500〜600nmに吸収極大を有するもの、550〜650nmに吸収極大を有するもの、600〜700nmに吸収極大を有するもの等種々のものが挙げられる。
【0012】
特に、特開2002−14220号公報に記載されたキサンテン、ピラゾロンアゾ及びピリドンアゾ系色素、特開2002−14221号公報に記載された銅フタロシアニン、ピリドアゾ及びピラゾロンアゾ系色素、特開2002−14222号公報に記載されたトリアリルメタン、銅フタロシアニン及びキサンテン系色素、特開2002−14223号公報に記載されたピリドンアゾ系色素等が例示される。
【0013】
例えば、式(I)

〔式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、ヒドロキシル基又はシアノ基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
で示される化合物が挙げられる。
【0014】
アルキル基としてはエチル基、プロピル基、n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−メチルブチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基などが挙げられる。
【0015】
具体的には、シー・アイ・ソルベント・イエロー162(C.I.Solvent Yellow 162)等が挙げられる。
【0016】
また、式(II)

〔式中、R11、R15はそれぞれ独立にヒドロキシル基またはカルボキシル基を示し、R12、R13、R14、R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、スルホ基またはニトロ基を示す。〕
で示される化合物またはその塩が挙げられる。
【0017】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
塩としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属とのアルカリ金属塩、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−アミノ−3−フェニルブタンなどのアミンとのアミン塩などが挙げられる。
【0018】
具体的には、シー・アイ・アシッド・イエロー17(C.I.Acid Yellow 17)、シー・アイ・ソルベント・オレンジ56(C.I.Solvent Orange 56)、シー・アイ・ソルベント・イエロー82(C.I.Solvent Yellow 82)等が挙げられる。
【0019】
さらに、式(III−1)及び式(III−2)

〔式中、R21〜R24はそれぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基を示し、R25は式(3−1)又は式(3−2)

で表される置換基を示す。ただし、R250、R253はそれぞれ独立に水素原子またはアミノ基を示し、R251、R252はそれぞれ独立に水素原子またはヒドロキシル基を示す。
26、R27はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R28は水素原子またはスルホ基を示し、R29は水素原子、スルホ基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基または置換基−NR291292を示す。ただし、R291、R292はそれぞれ独立に水素原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシル基がp位に置換したフェニル基を示す。〕
で示される化合物またはその塩が挙げられる。
【0020】
アルコキシル基がp位に置換したフェニル基としてはp−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−プロポキシフェニル基などが挙げられる。
【0021】
具体的には、シー・アイ・アシッド・グリーン16(C.I.Acid Green 16)、シー・アイ・アシッド・ブルー108(C.I.Acid Blue 108)、シー・アイ・アシッド・グリーン50(C.I.Acid Green 50)、シー・アイ・アシッド・ブルー7(C.I.Acid Blue 7)、シー・アイ・アシッド・ブルー83(C.I.Acid Blue 83)、シー・アイ・アシッド・ブルー90(C.I.Acid Blue 90)、シー・アイ・ソルベント・ブルー38(C.I.Solvent Blue 38)、シー・アイ・アシッド・バイオレット17(C.I.Acid Violet 17)、シー・アイ・アシッド・バイオレット49(C.I.Acid Violet 49)、シー・アイ・アシッド・グリーン3(C.I.Acid Green 3)、シー・アイ・アシッド・グリーン9(C.I.Acid Green9)等が挙げられる。
【0022】
さらに、式(IV)

〔式中、R41〜R44はそれぞれ独立にスルホ基、スルホンアミド基または置換基R45HN−SO2−{ただし、R45は、炭素数2〜20のアルキル基、アルキル鎖の炭素数が2〜12のシクロヘキシルアルキル基、アルキル鎖の炭素数が1〜4のアルキルシクロヘキシル基、炭素数2〜12のアルコキシル基で置換された炭素数2〜12のアルキル基、置換基R46−CO−O−R47−(R46は炭素数2〜12のアルキル基を示し、R47は炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)で示されるアルキルカルボキシルアルキル基、置換基R48−O−CO−R49−(R48は炭素数2〜12のアルキル基を示し、R49は炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)で示されるアルキルオキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基で置換されたフェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基を示す。}で示されるスルファモイル基を示す。
k、l、m、nはそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。ただし、k+l+m+n≦4である。〕
で示される化合物またはその塩が挙げられる。
【0023】
シクロヘキシルアルキル基としてはシクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシルプロピル基、8−シクロヘキシルオクチル基などが挙げられる。
アルキルシクロヘキシル基としては2−エチルシクロヘキシル基、2−プロピルシクロヘキシル基、2−(n−ブチル)シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0024】
アルコキシル基で置換されたアルキル基としては3−エトキシ−n−プロピル基、プロポキシプロピル基、4−プロポキシ−n−ブチル基、3−メチル−n−ヘキシルオキシエチル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基などが挙げられる。
アルキル基で置換されたフェニル基としてはo−イソプロピルフェニル基などが挙げられる。
【0025】
フェニル基で置換されたアルキル基としてはDL−1−フェニルエチル基、ベンジル基、3−フェニル−n−ブチル基などが挙げられる。
アルキレン基としてはジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。
【0026】
具体的には、シー・アイ・ソルベント・ブルー25(C.I.Solvent Blue 25)、シー・アイ・ソルベント・ブルー55(C.I.Solvent Blue 55)、シー・アイ・ソルベント・ブルー67(C.I.Solvent Blue 67)、シー・アイ・アシッド・ブルー249(C.I.Acid Blue 249)、シー・アイ・ダイレクト・ブルー86(C.I.Direct Blue 86)などが挙げられる。
【0027】
また、式(V)

〔式中、R51〜R54はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R55〜R57はそれぞれ独立にスルホ基若しくはその塩、スルホンアミド基または置換基R58HN−SO2−{ただし、R58は炭素数2〜20のアルキル基、アルキル鎖の炭素数が2〜12のシクロヘキシルアルキル基、アルキル鎖の炭素数が1〜4のアルキルシクロヘキシル基、炭素数2〜12のアルコキシル基で置換された炭素数2〜12のアルキル基、置換基R581−CO−O−R582−(式中、R581は炭素数2〜12のアルキル基を示し、R582は炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)で示されるアルキルカルボキシルアルキル基または置換基R583−O−CO−R584−(R583は炭素数2〜12のアルキル基を示し、R584は炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)で示されるアルキルオキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基で置換されたフェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基を示す。}で示されるスルファモイル基を示す。〕
で示される化合物が挙げられる。
【0028】
具体的には、シー・アイ・アシッド・レッド289(C.I.Acid Red 289)などが挙げられる。
なかでも、後述する表4及び5に示した染料を好適に用いることができる。
【0029】
なお、本明細書では、炭素数等によって異なるが、特に断りのない限り、アルキル基、アルコキシ基等の置換基の例示は、いずれの化学式においても同様のものが例示される。直鎖又は分岐の双方をとることができるものは、そのいずれをも含む。また、塩についても、各化学式において同様のものが例示される。
【0030】
染料(A)は、通常、バインダー樹脂(B)に対して、20〜4000質量%程度、さらに40〜3000質量%程度含有されていることが好ましい。
【0031】
バインダー樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、通常、感光性樹脂組成物に用いられるものを用いることができる。例えば、アルカリ性の現像液に溶解し得るアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、p−クレゾールのノボラック樹脂、p−クレゾールとm−クレゾールとのノボラック樹脂、式(1)

で示される構造を有するノボラック樹脂などのノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、スチレンとビニルフェノールとの共重合体などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂が好ましく用いられる。
バインダー樹脂(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン換算の重量平均分子量として、3,000〜100,000、さらに5,000〜50,000程度が挙げられる。アルカリ溶解性を有する樹脂(A1)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
【0032】
感光剤(C)としては、通常、感光性樹脂組成物に用いられるものを用いることができる。なかでも、ナフトキノンジアジド基を有する化合物が好ましい。
例えば、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸と以下の式(2)〜(6)からなる群から選択される少なくとも1種のフェノール化合物とのエステル化合物、これらエステル化合物の2種以上の混合物等が例示される。
【0033】

【0034】
o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としてはo−ナフトキシノンジアジド−5−スルホン酸、o−ナフトキシノンジアジド−4−スルホン酸等が例示される。
【0035】
感光剤(C)は、通常、バインダー樹脂(B)に対して、60〜2000質量%程度、さらに、80〜1800質量%程度含有されていることが好ましい。
【0036】
硬化剤(D)としては、通常、感光性樹脂組成物に用いられるものを用いることができる。特に、加熱により硬化させる加熱硬化剤が適している。
このような硬化剤としては、メラミン化合物であることが適好ましい。
具体的には、式(7)

〔式中、Q1、Q2、Q3、Q4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示し、Zはフェニル基または−NQ56基(式中、Q5、Q6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示される置換基を示す。ただし、Q1〜Q6のうちの少なくとも1つは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基である。〕
で表される化合物が例示される。
【0037】
ここで、ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
アルコキシル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシブチル基等が挙げられる。
式(7)の化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0038】
また、以下の式の化合物を用いてもよい。

【0039】
硬化剤(D)は、通常、バインダー樹脂(B)に対して、20〜900質量%程度、さらに30〜800質量%程度含有されていることが好ましい。
【0040】
溶剤(E)としては、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤からなる溶剤が挙げられる。つまり、
乳酸エチルとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶剤、
乳酸エチルとジアセトンアルコールとの混合溶剤、
プロピレングリコールモノメチルエーテルとジアセトンアルコールとの混合溶剤、
乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールの混合溶剤が挙げられる。なかでも、乳酸エチルを含有する混合溶剤であることが好ましい。
【0041】
特に、乳酸エチルは、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有されることが適しており、好ましく15〜85質量%である。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤は、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有されることが適しており、好ましく15〜85質量%である。
【0042】
このような混合溶剤を用いることにより、感光性樹脂組成物の各成分との相溶性を確保して、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーターとも呼ばれることがある。)、インクジェット、ロールコータ、ディップコーター等の種々の塗布装置を利用して、種々の塗布法、特に、スピン塗布法によって凹凸基板上に塗布した場合においても、有効に筋の発生を防止することができる。
【0043】
溶剤(E)は、上述した以外の溶剤のみで構成されることが好ましいが、本発明の意図する作用を損なわない限り、その他の溶剤を含んでいてもよい。
例えば、モノアルコール、多価アルコール等のアルコール類が挙げられる。
このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸メチル、2-メチル乳酸メチル、3−メトキシブタノール、グリセリン等が例示される。
【0044】
また、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0045】
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
【0046】
プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテルプロピレングリコールプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類
プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類;
【0047】
メトキシブチルアルコール、エトキシブチルアルコール、プロポキシブチルアルコール、ブトキシブチルアルコール等のブチルジオールモノアルキルエーテル類;
メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、プロポキシブチルアセテート、ブトキシブチルアセテート等のブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート類;
メトキシブチルプロピオネート、エトキシブチルプロピオネート、プロポキシブチルプロピオネート、ブトキシブチルプロピオネート等のブタンジオールモノアルキルエーテルプロピオネート類;
【0048】
ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
【0049】
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル、ピルビン酸エチル等のエステル類;
テトラヒドロフラン、ピラン等の環状エーテル類;
γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;
さらに、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N'−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル等を含有していてもよい。
これらの溶剤は、通常、染料(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)の合計量100重量部に対して、180〜400重量部程度で使用される。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を併用してもよい。
【0051】
充填剤として、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ等が例示される。
他の高分子化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂等の硬化性樹脂ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0052】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性等の界面活性剤等のいずれでもよい。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)等が挙げられる。
【0053】
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0054】
酸化防止剤としては、例えば、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
【0055】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0056】
光安定剤としては、例えば、こはく酸と(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)エタノールからなる高分子、N,N',N'',N'''−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、デカンジオイックアシッドと、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキシドとの反応物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等が挙げられる。
【0057】
連鎖移動剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、後述するように、基材、例えば、ガラス、金属、プラスチック等の基板、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等を形成したこれらの基板上に塗布することによって、塗膜として形成することができる。塗膜は、乾燥及び硬化したものであることが好ましい。また、得られた塗膜を所望の形状にパターニングして、パターンとして用いることもできる。さらに、これら塗膜又はパターンを、表示装置等の構成部品の一部として形成して使用してもよい。
【0059】
まず、本発明の感光性樹脂組成物を、基材上に、塗布する。
塗布は、上述したように、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコータ、ディップコーター等の種々の塗布装置を用いて行うことができる。なかでも、溶解性、乾燥防止、異物の発生防止等から、スピン塗布法による塗布、つまり、スリット&スピンコーター又はスピンコーター等を利用する塗布を行うことが好ましい。
【0060】
次いで、乾燥又はプリベークして、溶剤等の揮発成分を除去することが適している。これにより、平滑な未硬化塗膜を得ることができる。
乾燥又はプリベークの温度は、例えば、80〜130℃程度が挙げられる。また、塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、1〜6μm程度が例示される。
【0061】
さらに、得られた未硬化塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して、光、例えば、水銀灯、発光ダイオードから発生する紫外線等を照射する。この際のマスクの形状は特に限定されず、種々の形状が挙げられる。また、線幅等も、マスクサイズ等によって、適宜調整することができる。
近年の露光機では、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出して、露光面全体に均一に平行光線を照射することができる。このときマスクと基材との正確な位置合わせを行うために、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用してもよい。
【0062】
この後、塗膜をアルカリ水溶液に接触させて所定部分、例えば、露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状を得ることができる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0063】
現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤とを含む水溶液である。
アルカリ性化合物は、無機及び有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0064】
また、有機アルカリ性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
これらの無機及び有機アルカリ性化合物のアルカリ現像液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0065】
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0066】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0067】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0068】
現像後、水洗を行い、さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜230℃の温度範囲、10〜180分間が適している。
【0069】
このようにして得られる塗膜又はパターンは、例えば、液晶表示装置に使用されるフォトスペーサ、パターニング可能なオーバーコート、カラーフィルタとして有用である。また、未硬化塗膜へのパターニング露光の際に、ホール形成用フォトマスクを使用することにより、ホールを形成することができ、層間絶縁膜として有用である。さらに、未硬化塗膜への露光の際に、フォトマスクを使用せず、全面露光及び加熱硬化又は加熱硬化のみを行うことにより、透明膜又は着色膜を形成することができる。この透明膜又は着色膜は、オーバーコートとして有用である。また、タッチパネル等の表示装置にも用いることができる。これにより、高品質の塗膜又はパターンを備えた表示装置を、高い歩留りで製造することが可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、種々の膜及びパターンを形成するための材料、例えば、透明膜、特に、カラーフィルタの一部を構成する透明膜、パターン、フォトスペーサ、オーバーコート、絶縁膜、液晶配向制御用突起、マイクロレンズ、異なる膜厚を組み合わせた着色パターン、コート層等を形成するために好適に利用することができる。また、これらの塗膜又はパターンをその構成部品の一部として備えるカラーフィルタ、アレイ基板等、さらに、これらカラーフィルタ及び/又はアレイ基板等を具備する表示装置、例えば、液晶表示装置、有機EL装置、固体撮像装置等に利用することができる。
【0070】
以下、実施例によって本発明のポジ型感光性樹脂組成物をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、含有量又は使用量を表す%及び部は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0071】
合成例1
式(10)で示される化合物〔商品名;PIPE−CD;三井化学(株)製〕50.8部、メチルイソブチルケトン50.8部およびシュウ酸9.5部の混合物を80℃で攪拌しながら1時間かけてホルマリン(ホルムアルデヒドを質量分率で37%含有する)13.8部を滴下して加えた。滴下終了後、91℃に昇温して、同温度で10時間反応させた。反応後の反応混合物にイオン交換水125部、メチルイソブチルケトン76部を加えて水洗し、更にメチルイソブチルケトン51部、イオン交換水125部を加えて洗浄し、その後蒸留により脱水して、ノボラック樹脂のメチルイソブチルケトン溶液145.5部を得た。この樹脂Aの平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は7.0×10であった。
【0072】
合成例2
式(10)で示される化合物〔商品名;PIPE−CD;三井化学(株)製〕50.8部、メチルイソブチルケトン50.8部およびシュウ酸9.5部の混合物を80℃で攪拌しながら1時間かけてホルマリン(ホルムアルデヒドを質量分率で37%含有する)13.8部を滴下して加えた。滴下終了後、91℃に昇温して、同温度で10時間反応させた。反応後の反応混合物にイオン交換水125部、メチルイソブチルケトン76部を加えて水洗し、更にメチルイソブチルケトン51部、イオン交換水125部を加えて洗浄し、その後蒸留により脱水して、ノボラック樹脂のメチルイソブチルケトン溶液145.5部を得た。得られたメチルイソブチルケトン溶液にメチルイソブチルケトン133部、n−ヘプタン363部を加えて分別し、樹脂層(液体)として樹脂Bを取り出した。この樹脂Bに乳酸エチル145.8部を加えて、樹脂Bの乳酸エチル溶液(樹脂Aの含有量は質量分率で33%)を得た。この樹脂Bの平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は1.3×10であった。
【0073】

【0074】
上記の樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム;TSK−GELG4000HXL+TSK−GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度;40℃
溶剤;THF
流速;1.0mL/min
注入量;50μL
検出器;RI
測定試料濃度;0.6質量%(溶剤;THF)
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
【0075】
実施例1〜21、比較例
表1及び2の組成で各成分を混合したのち、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物を得た。
【0076】
シリコンウエハ上に、1.0μm間隔で、幅1.0μm、高さ0.4μmのモザイク状パターンをパターニングした段差基板に、スピンコート法によりポストベーク後の膜厚が1.4μmとなるように感光性樹脂組成物を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して被膜を形成した。溶剤が除去された基板上の塗膜を目視で観察した。
【0077】
塗布性評価
塗布性の基準を、次式によって求めた。数値の小さい方が塗布性は良好であり、高い歩留りで製造することができるため、好ましい。
[(筋ムラ発生パターニング部の面積)/(下地モザイク状パターンの総面積)]×100
その結果を表1及び2にあわせて示す。
◎;30%以下
○;30%〜50%
△;50%〜70%
×;70%〜100%
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
なお、表1及び2中、感光剤は表3に示す化合物、染料は表4及び5に示す化合物であり、さらに、
CST−15:マルカリンカー CST-15(丸善石油化学(株))
CST−70:マルカリンカー CST-70(丸善石油化学(株))
HMM:ヘキサメトキシメチロールメラミン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
DAA:ジアセトンアルコール
DMH:N,N−ジメチルホルムアミド
AP:p−アミノフェノール
である。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、塗膜全体にわたって均一で、高品質な塗膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、このポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、品質の高い塗膜及びカラーフィルタを得るための塗布を実現することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含み、
前記溶剤(E)が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤を含む溶剤であるポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
乳酸エチルが、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有される請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤が、溶剤(E)に対して、10〜90質量%で含有される請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
感光剤(C)が、ナフトキノンジアジド基を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1つに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
感光剤(C)が、バインダー樹脂(B)に対して、60〜2000質量%で含有される請求項1〜4のいずれか1つに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
バインダー樹脂(B)が、アルカリ可溶性樹脂である請求項1〜5のいずれか記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
硬化剤(D)が、メラミン化合物である請求項1〜6のいずれか記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のポジ型感光性樹脂組成物を、基板上にスピンコーターによって塗布する塗布方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。

【公開番号】特開2010−128065(P2010−128065A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300780(P2008−300780)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】