説明

ポリイミドに基づく電解質およびそれからなる改良された電池

電池は、陰極、陽極および陰極と陽極の間に配置されたポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーターを含む。PMEセパレーターはポリイミド、ポリイミドによってもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である少なくとも1つのリチウム塩、および混合される少なくとも1つの溶媒を含む。PMEは一般に、高レベルの光学的透明性によって証明されるように均質である。電池はリチウムイオンまたはリチウム金属電池であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、電解質用または、1次および2次のリチウム金属およびリチウムイオン電池用のポリマーマトリクス電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
新しくかつ改良された電子製品、例えば携帯電話、ノート型パソコンおよび小型ビデオカメラなどの需要から、ますます高い比エネルギー密度のエネルギー貯蔵装置が要求されてきている。例えば、電気通信産業において、電気通信ステーションが現行標準バルブ規制型の鉛酸蓄電池に代わるプラント外部の予備電源用代替エネルギー貯蔵装置が求められている。さらに、自動車産業において、電気自動車およびハイブリッド車市場を開拓するため、高い比エネルギー密度電池の需要がある。近年、これらの装置や市場に提供すべく高度な電池技術が開発されてきており、例えば、金属水素化合物(例、Ni−MH)電池、ニッケル・カドミウム(Ni−Cd)電池、液体電解質のリチウム電池および最近ではポリマー電解質のリチウム電池である。
【0003】
リチウム電池は、その高いエネルギー密度の理由から市場に紹介されてきた。リチウムは元素の周期律表で原子番号3の元素であり、他の固体物質の中で最も軽量でかつ最も高いエネルギー密度を有している。その結果、リチウムは、非常に高いエネルギー密度を有し電池用に好適な材料である。リチウム電池は、NI−CdセルやNi−MHセルの約1.5Vに比較して、単一セル電圧が約4.2Vと高い点からも望ましい。
【0004】
リチウム電池はリチウムイオン電池またはリチウム金属電池が可能である。リチウムイオン電池は、黒鉛のような母材にリチウムイオンを挿入して陰極を形成する。一方、リチウム金属電池は金属リチウムまたはリチウム合金を陰極に用いる。
【0005】
リチウム電池で用いる電解質は、液体またはポリマーに基づく電解質でも可能である。液体電解質を含むリチウム電池は数年前に市場に出された。液体電解質のリチウム2次電池は最近、ノート型パソコン、ビデオカメラ、携帯電話のような用途に大量生産されている。しかしながら、液体電解質技術のリチウム電池はいくつかの重大な欠点がある。その欠点は液体電解質を使用することによる価格と安全性に関係する。液体電解質は一般に、硬く密封した金属缶にパッケージする必要があり、その結果エネルギー密度が減少することになる。加えて、安全性の理由から、液体電解質のリチウムイオン2次電池およびリチウム金属の1次電池はある不正な使用条件、例えば、外部または内部の過熱によって引きおかされる内圧に大きな増加などが発生したときに自動的に通気するように設計されている。もしセルが過大な圧力下に通気されないと、液体Liセルに用いられる液体電解質は非常に燃えやすいので爆発することがありえる。
【0006】
固体ポリマー電解質のリチウム電池は液体電解質のリチウム電池の進化した代替である。一般に、固体ポリマー電極はポリマーの空隙に溶媒と塩を閉じ込めて、媒体にイオン導電性をあたえるゲル状電解質である。典型的なポリマー電解質は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエーテルベースポリマーおよびゲルを形成する他のポリマー、例えば、ポリアクリルロニトリル(PAN),ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)などからなる。一般にポリマー電解質は電池の陽極と陰極膜間に挿入されるセパレーターの働きがある。
【0007】
ポリマー電解質は一般に不揮発性物で正常な作業条件では一般に液漏れをしないので、ポリマー電解質のリチウム電池は、液体電解質のリチウム電池よりも本質的に安全である。さらに、ポリマー電解質では、液体電解質のリチウム電池の作業に一般的に要求される通気およびパッケージ圧制御の必要がない。それゆえ、ポリマー電解質では、金属樹脂袋のような柔軟なケースを使用できるので、液体電解質の缶型Li電池と比較して、重量および厚みの面で改良になる。
【0008】
陽極、セパレーターおよび陰極がそれぞれ組み合わされて単位電池セルを形成する。ポリマー電解質の実際のリチウム電池は、望まれる電池容量を達成するために、一般的に数多くの電池セルを直列および/または並列に積み上げて製造される。
【0009】
リチウム金属ポリマー(LMP)2次電池は、Liイオン電池と比べて、改良された性能、特により高容量である。LMP電池は、以下の主たる3タイプの薄膜の積層と組立からなる。すなわち、ポリマーとリチウムバナジウム酸化物のような電気化学的に活性な材料の混合物を含む陽極膜、ポリマーとリチウム塩からなる電解質膜セパレーターおよび金属リチウムまたはリチウム合金を含む陰極膜とからなる。LMP電池の公知の限界、特に自動車用途においての限界は、現在使用されているポリマーの最高のイオン導電率が高温である点である。それゆえ、これらのLMP電池は最高の出力をだすのに加熱しなければならない。
【0010】
Li金属およびリチウム合金電池の問題点は、金属の形でリチウムの反応性が高いことにある。だから、充放電可能な形態において特異な困難にいたる。充電・放電を繰り返すと、リチウム金属電極上に表面凹凸を形成する原因となる。リチウム金属電池の性能を長く続かせるには一般に外部圧力が必要である。
【0011】
この凹凸構造は樹状突起として知られているが、成長して正極と負極の間のセパレーターを貫通して内部短絡を生じる。この現象により充放電可能Li金属電池の有効寿命は、せいぜい一般的に約900サイクル以下である。
【0012】
リチウム電池の性能因子の多くは、電解質の選択および、選択した電解質と使用する陽極および陰極材料との相互作用とに関連する。一般に、高い電解質イオン導電率は改良された電池性能に結びつく。ゲルポリマー電解質のイオン導電率は25℃で約10-4S/cmもの高い値が報告されている。しかしながら、電池用途によっては、ポリマー電解質のイオン導電率がさらにより高い値に到達することが望まれている。加えて、ポリマー電解質と陰極および陽極材料との電気化学的安定性を高めて電池の信頼性のほか、貯蔵とサイクル特性を改善するのも望まれるであろう。
【0013】
ゲルポリマー電解質が液体電解質より、安全性と製造の点で優れているが、安全性の問題は依然残る。なぜならゲルポリマーはその空隙に溶媒を閉じ込めているが、過酷な条件(例、熱および/または圧力)下で、溶媒が開放され被害を起こすからである。ゲルポリマー電解質は、低温で一般に凍結し、高温では他の電池部品と反応したり、溶融したりするなどの理由で広範囲で働かないのが一般的である。さらに、電極が不安定で、それによるサイクル特性が悪く、特に金属リチウム含有陰極に対してであるが、これが理由からゲルポリマー電解質で形成される電池への可能な応用が制限される。
【0014】
代替となるポリマー材料が積極的に検討され入手可能なポリマーの選択に関し改良された特性が提供されている。例えば、グスタソン(Gustfson)らの米国特許第5,888,672号(特許文献1:’672特許と省略)によると、ポリイミド電解質とそれを用いた室温および広い温度範囲で作動する電池が開示されている。開示されたポリイミドは数種の溶媒に溶解し、実質的に非晶質である。リチウム塩と混合すると、得られたポリイミドに基づく電解質は驚くほど高いイオン導電率となる。’672特許で開示された電解質はすべて光学的に不透明であり、これは電解質を含む各種成分の相分離の証拠である。’672特許で開示された電解質はポリマー電解質を形成し、それからなる電池は、作動温度範囲が改良され、製造が簡便で、従来のゲルポリマー電解質で形成される電池よりも安全性が改良されるが、もしイオン導電率に加えて、温度および圧力に対して電解質の安定性が改良されれば、望ましいであろう。
【特許文献1】米国特許第5,888,672号
【発明の開示】
【0015】
電池は陰極、陽極および陰極と陽極の間に配置されるポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーターを含む。PMEセパレーターは、ポリイミドによりもたらされたイミド環モル当たり、少なくとも0.5モルのリチウム濃度の少なくとも1つのリチウム塩および少なくとも1つの溶媒を含み、すべてが混合される。PMEは一般的に高い光学透明性で証明されるように均質である。本明細書で用いられるように、PMEは実質的に光学的に透明であることを示す。PMEに関して、用語「実質的に光学的に透明」とは、540ナノメーター光を用い、規格化して1ミルの膜を透過する標準濁度測定によって、PMEが少なくとも90%透明(透過)を、好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも99%透明であることを示す。
【0016】
電池として、リチウムイオン、リチウム金属電池またはリチウム合金電池が可能である。ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量は350以下、300以下、250以下が可能である。ポリイミドはN−メチルピロリデノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)なる群から選択される少なくとも1つの溶媒に25℃で溶解するのが好ましい。
【0017】
ポリマー電解質の25℃でのイオン導電率は少なくとも1×10-4S/cm、好ましくは少なくとも3×10-4S/cmである。Li塩はLiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiBOB,LiN(CF3SO22およびリチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)を含む多種の塩から選択できる。
【0018】
陽極は挿入材料と混合したイオン導電性ポリマー結合材を含むことができる。本実施態様では、ポリマー結合材はPMEに使用するポリイミドのような、少なくとも1つのポリイミドを含むことができる。
【0019】
陽極は、LiFePO4、LixNiyCoz2、LiVxy、LixMnyz、LiVxy、LixMnyz、LiCoO2、LiNiO2およびLiTiS2からなる群から選択される電気化学的に活性な材料を含むことができる。
【0020】
PMEによって、電池は極端な温度および圧力に対して安定性が高くなる。電池は、圧力が少なくとも200psiのもと、125℃で少なくとも5分間後の開回路電圧(OCV)および容量に有意な変化を示さないことが、または圧力が少なくとも250psiのもと、140℃で少なくとも10分間後のOCVおよび容量に有意な変化を示さないことが好ましい。
【0021】
電池は二セル(bicell)が可能である。本実施態様では、PMEを塗布する陽極は陰極を挟み込むために折り曲げられるのが好ましい。
【0022】
塩はポリイミドと錯体をつくる。錯体生成は塩とポリイミドが1630と1690cm-1との間で吸収が無いが、一方、この混合物から形成されるPMEは1630と1690cm-1との間で少なくとも1つの吸収があることで証明される。
【0023】
電池はパッケージされた電池が可能であり、パッケージは電池を取り囲むパッケージ材料を含み、そのパッケージ材料が電池のすべての外面に積層されている。好適な実施態様では、枠がパッケージするプロセスに含んでおり、その枠は電池を収める開口部を有し、電池が開口部内に配置され、パッケージ材料がその上に配置される。枠の実施態様において、パッケージされた電池は全体を通して±1mil内の厚み均一性を与える。
【0024】
電池を形成する方法は次の工程を含む。陽極集電体上に配置した陽極層を作成する工程、ポリイミド、リチウム塩、溶媒との混合物を陽極層に上塗りする工程、およびその混合物を少なくとも溶媒の一部を除去するため乾燥する工程、そこで陽極(電解質/陽極)に結合した電解質セパレーターを形成する。それから陰極が電解質/陽極の上に配置される。電極セパレーターは好ましくはポリマーマトリクス電解質(PME)で、ポリイミド、リチウム塩、溶媒とが混合され、リチウム塩はポリイミドによりもたらされたイミド環モル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度であり、PMEは実質的に光学的に透明である。陰極は、リチウム金属含有陰極が好ましいが、Liイオン陰極であってもよい。
【0025】
電池は、陽極上にPMEを配置した第一層と陰極を配置した第二層の2層の積層のみで形成することができる。それからPMEを塗った陽極を陰極に積層し、セルを形成する。本発明の1つの実施態様において、PMEを塗った陽極を陰極の上に折り曲げる工程を含んで、二セルを形成する方法がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明において、ポリイミド、リチウム塩および溶媒を含む実質的に光学的に透明なセパレーターマトリクスを説明する。リチウム塩は、ポリイミドによりもたらされるイミド環モル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である。溶媒は一般に、低分子量で、低粘度によって、低濃度でポリイミドを膨潤させ、十分高濃度でポリイミド、塩、溶媒を均一な混合状態にする。本明細書で用いるように、実質的に光学的に透明なセパレーターマトリクスは、「ポリマーマトリクス電解質」またはPMEを意味する。PMEは電池、超キャパシターおよび他の用途に用いることができる。PMEによって提供される高レベルの光学透明性によって、いかなる有意な相分離が光学透明性を減少させるような各成分(ポリマー、塩および溶媒)を含むPMEの均一性が証明される。
【0027】
PMEはリチウムイオン電池およびリチウム金属電池の両方に使用できる。ゲルポリマー電解質と違って、一度PMEが形成されると、一般的に自由な溶媒または検出可能な細孔はない。例えば、50A解像力をもつSEMを用いてもPME内に細孔は検出されない。その代わりに、溶媒はポリマーおよびリチウム塩と、均一で実質的に光学的に透明なマトリクス中に一体化している。なお、ポリマーが単に機械的な保持をするだけの従来のゲルポリマーと異なり、このポリマーは塩と溶媒と共にイオン導電性に機能する。
【0028】
PMEによって、高電流容量、サイクル安定性、そしてこの性能レベルを広範囲な温度、例えば、−40℃から100℃まで保持する。例えば、PMEは開回路電圧および容量がわずかに変化するが、クレジットカード製造時の熱積層プロセスで一般に用いられる条件、または代表的な射出成形プロセスに伴うさらに過酷な条件のような高温および高圧に耐える。例えば、クレジットカード組み立ての熱積層プロセスでは、圧力が約200〜250psi下、約115〜150℃で5〜15分が一般的に採用されている。積層は1段加熱サイクルまたは多段加熱サイクルを構成できる。積層はまた、一段加圧サイクルまたは多段加圧サイクルを構成できる。例えば、一段加熱サイクルでは、積層は加熱が例えば115℃のような単一の温度で、例えば5分間のような単一の規定された時間を構成できる。多段加熱サイクルでは、積層は加熱が多段の温度を、例えば、第1温度に加熱しそこで第1時間保持し、次いで、第2温度に加熱しそこで第2時間保持して、構成できる。同様に、圧力は必要なら多段階で増加できる。PMEを用いて形成された電池の性能は、典型的なクレジットカード積層プロセスでの温度および圧力条件による開回路電圧(OCV)または容量で有意な変化がない。
【0029】
本明細書で用いるように、積層または成形プロセス後、用語「OCVおよび容量に有意な変化が無い」とは、積層または成形プロセスの後、15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満で変化するOCVおよび容量を実証するPMEを含む電池を意味する。
【0030】
例えば、リチウムバナジウム酸化物を有する陽極を含むリチウム金属電池で、圧力が220psi下、140℃で15分間の積層プロセスの後、OCVが1.4%変化し、同程度に少しの容量低下が見られる。さらに、PMEを使用して形成された電池は柔軟であり、ISO規格ISO/IEC7810−10373および14443を超えることができる。
【0031】
従って、PMEに基づく電池は、高温/高圧の積層加工を必要とするクレジットカード、スマートラベルおよび他の小さなデバイス用の内側で特に好適であり、積載される電力供給によって益を得る。本発明のクレジットカードや関連する用途に関して、PMEによってもたらされる、機械的および熱的ストレス両方に対して高度な電池安定性によって、本発明による電池が過激なクレジットカード加工条件に耐えうる。
【0032】
PMEは一般に、1つまたはそれより多いポリイミドに基づいており、他のポリマーベース電解質と違って、イミド環および他の極性基の存在によりイオン導電率に機能する。リチウム塩と錯体をつくりイオン導電性に機能することができる官能基をもつ高度な極性基を含む他のポリマータイプとして、ポリベンズイミダゾールおよびポリアミドイミドが挙げられる。従って、これらのポリマータイプもPMEを形成する際に有用な種に含めることができる。
【0033】
ポリイミドはジアミンと酸二無水物とが初期にポリアミック酸中間体を形成する縮合反応の反応生成物である。ジアミンと酸二無水物試薬の一方または両方が、ジアミン種の混合物または酸二無水物種の混合物でもよい。ポリアミック酸中間体は次に完全にイミド化されたポリイミドに転換される。
【0034】
このように形成され得られるポリイミドの性質は特定のジアミンモノマーおよび酸二無水物モノマーの選択に依存する。ポリイミドは一般に知られているように、高い耐熱性、耐薬品性、200℃から400℃を超える高いガラス転移温度を有している。
【0035】
本発明は特許672で開示されたものと異なるポリイミドの同定を含み、これらの異なるポリイミドのなかには溶媒の添加により、PMEの形成になり得ることを見出した。本明細書で同定したある種のポリイミドは新規に合成したポリマーを提供する。特許672で開示されたポリマーと異なり、本明細書で開示したポリマーは、実用的なレベルのイオン導電率達成するため、適当な濃度の塩と溶媒が結合して実質的に均一なマトリクス材料(PME)を形成する。上述したように、PMEの均一性は実施例1に示すように、得られた高レベルの光学透明性によって証明される。対照的に、特許672で開示された電解質は、各成分の相分離を示唆する実施例1でも示す不透明性で証明されるように、均一な混合物ではない。
【0036】
本発明者らは、特定のポリマー因子とイオン導電率とを定性的に関係づけて、PMEの形成に用いる改良されたポリイミドを同定し合成した。イミド環密度は、リチウム塩を負荷させると、ポリイミド膜が溶媒の無い状態であっても十分なイオン導電率を示す理由を説明できると考えられる。イミド環当たり繰り返しの重量は、イミド環密度の1つの指標であり、各繰り返し単位内で、各ポリイミドの全繰り返し単位の分子量をイミド環の数で除して計算される。
【0037】
イミド環は、その環によって与えられる高い電子密度の理由から、材料に高い誘電率に相当するものを与えることができる。従って、イミド環とリチウムイオンとの相互作用がPMEのイオン導電率を決定する因子であると考えられる。それゆえ、PMEとして使用するために改良するポリイミドは、一般的にさらに以下の点に考慮して選択される。最初に、あるポリイミド中の分子繰り返し単位当たりイミド環の数を計算することによって(スルホン、カルボニル、シアン化物のような他の高い極性基はより少ない程度で)選択する。単位重量当たりに存在するイミド環機能が多いほど、ポリマーの相当する平均誘電強度が高い。相当する誘電強度が高い程、一般に塩との相互作用の改良につながると考えられ、PMEのイオン導電率の改良ができる。
【0038】
代わりに、ポリイミド中のイミド環の相対的濃度を比較するため、イミド環当たり繰り返しの重量と称するイミド環密度の逆数を概算することができる。イミド環当たりの繰り返しの重量が減少するにつれて、イミド環は、全体として繰り返し単位に対して、ますます、より大きな寄与となる。その結果、イミド環当たり繰り返しの重量が減少するにつれ、ポリイミドの相当する誘電率およびイオン導電率は一般に増加する。
【0039】
高いヘリウム透過率があるポリイミドは一般的により高いイオン導電率を与えて、それゆえ、より良いPMEを形成することができる。本発明による大半のポリイミドで調べられた25℃でのHe透過率の測定値は少なくとも20barrersである。He透過率が25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80barrersまたはそれ以上も可能である。
【0040】
ヘリウム透過率は以下の提案されている方法で測定することができる。厚み(l)、面積(A)の所定の膜を通してガス成分のガス透過率(GP)は、膜に圧力(p)をかけて決定できるが、この圧力はガス成分の一次圧から二次圧を引いた差圧であり、標準条件(STP)で膜を透過する定常状態のガス流量(f)を測定することにより決定できる。
【0041】
GP=(fl)/(Ap)
【0042】
GPの好適な単位は、(cm2)(sec)-1(cmHg)、ここで1barrerはGPに1010を乗じた単位として定義される。
【0043】
PMEの最大イオン導電率は一般的に、ポリイミド/塩/溶媒の組み合わせが完全に均一で透明なマトリクスを創造する場合に生じると考えられる。相分離はPME内にねじれを増加させる理由から、いかなる相分離はイオン導電率の値を減じると推定される。
【0044】
ある温度においてPMEの最大の電解質導電率は一般に、ポリイミド/塩/溶媒のマトリクスが特定範囲の比率を有するときに生じる。最適な塩濃度は一般に、ポリイミドに対しイミド環のモル当たり0.5から2.0モルLiの範囲にある。少なすぎる塩は一般に、電荷移動に寄与する十分な数のイオンを提供しない。多すぎる塩は一般に、不安定な相につながり、ポリイミドの析出をもたらす可能性があり、その結果、光学的透明性の損失で明らかにできる、均一性を失うことになる。
【0045】
溶媒はポリマーに対し膨潤剤の役割をもち、骨格鎖を少し引き離して、より大きなイオン拡散係数を可能とすると考えられる。また、溶媒はイオンの溶媒和キャリヤとして働く。典型的に、溶媒は選択した電池のタイプの制限範囲内で安定でもあるものが選択される。例えば、リチウムイオンタイプの電池の場合、溶媒はリチウム金属の還元電位まで安定でなければならない。溶媒の量は希望する導電率あるいは、ある要求される温度でマトリクスの軟化点に依存して最適化できる。溶媒は、ガンマブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリデノン(NMP)、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(TMS)、ポリカーボネート(PC)およびジメチルホルムアミド(DMF)を含む群から選択することができる。
【0046】
図1(a)〜(m)は、本発明の実施態様による、各種ポリイミドの繰り返し単位構造を例示する。ポリイミドAと称するポリマーの繰り返し単位は図1(a)に示される。このポリイミドはPMDA[89−32−7]とTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。この高分子量のポリマーはNMPにある限られた時間溶解するゆえ、リチウム塩含有電解質を製造することはできなかった。
【0047】
本明細書でポリイミドBと称するポリマーの繰り返し単位は図1(b)に示される。このポリイミドは90モル%のPMDA[89−32−7]、10モル%の6FDA[1107−00−2]の酸二無水物およびジアミンTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0048】
本明細書でポリイミドCと称するポリマーの繰り返し単位は図1(c)に示される。このポリイミドは85.7モル%のPMDA[89−32−7]、14.3モル%の6FDA[1107−00−2]およびTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0049】
本明細書でポリイミドDと称するポリマーの繰り返し単位は図1(d)に示される。このポリイミドは80モル%のPMDA[89−32−7]、20モル%のPSDA[2540−99−0]およびTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0050】
本明細書でポリイミドEと称するポリマーの繰り返し単位は図1(e)に示される。このポリイミドはBPDA[2421−28−5]と3,6ジアミノズレン[3102−87−2]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0051】
本明細書でポリイミドFと称するポリマーの繰り返し単位は図1(f)に示される。このポリイミドは6FDA[1107−00−2]と3,6ジアミノズレン[3102−87−2]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解し、またアセトン、GBL、DMAcおよびDMFにも溶解する。
【0052】
本明細書でポリイミドGと称するポリマーの繰り返し単位は図1(g)に示される。このポリイミドはPSDA[2540−99−0]とTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解し、GBLにも溶解する。
【0053】
本明細書でポリイミドHと称するポリマーの繰り返し単位は図1(h)に示される。このポリイミドは6FDA[1107−00−2]とTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解し、アセトン、GBL、DMAcおよびDMFにも溶解する。
【0054】
本明細書でポリイミドIと称するポリマーの繰り返し単位は図1(i)に示される。このポリイミドはBPDA[2421−28−5]と4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン[15499−84−0]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0055】
本明細書でポリイミドJと称するポリマーの繰り返し単位は図1(j)に示される。このポリイミドはPMDA[89−32−7]と33.3モル%のTMPDA[22567−64−3]および66.7モル%のTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0056】
本明細書でポリイミドKと称するポリマーの繰り返し単位は図1(k)に示される。このポリイミドはPMDA[89−32−7]とDAMs[3102−70−3]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに短時間だけ溶解した。
【0057】
本明細書でポリイミドLと称するポリマーの繰り返し単位は図1(l)に示される。このポリイミドはPMDA[89−32−7]と4−イソプロピル−m−フェニレンジアミン[14235−45−1]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0058】
本明細書でポリイミドMと称するポリマーの繰り返し単位は図1(m)に示される。このポリイミドはPMDA[89−32−7]と33.3モル%のDAMs[3102−70−2]および66.7モル%のTMMDA[4037−98−7]との反応でつくることができる。つくられたこのポリマーはNMPに20重量%でいつまでも溶解した。
【0059】
PMEは少なくとも1つのリチウム塩を含む。高導電性のPMEは一般に、ポリイミドポリマーに対しイミド環のモル当たりLiが約0.5から2.0モルのような高い塩含有量を用いて達成される。しかしながら、リチウム塩濃度はポリイミドのイミド環のモル当たりLiが、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4または、2.5モルであってもよい。
【0060】
塩濃度はまた本明細書において、塩の重量と塩を除くポリマー(例、ポリイミド)重量との比率で説明される。例えば、1×濃度は塩とポリマーの等量に対応し、2×塩濃度はポリマー濃度に比較して2倍の塩濃度に対応する。リチウム塩は一般に、業界公知のリチウム塩であってよい。好ましくは、リチウム塩は以下のものから選択される。LiCl、LiBr、LiI、Li(CLO4)、Li(BF4)、Li(PF6)、Li(AsF6)、Li(CH3CO2)、Li(CF3SO3)、Li(CF3SO22N、Li(CF3SO23、Li(CF3CO2)、Li(B(C654、Li(SCN)およびLi(NO3)、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)、LiBOB、およびLiSCN、好ましくは、塩はLi(PF6)またはLiTFSiである。
【0061】
図1に示した例示的構造以外のポリイミド構造はPMEマトリクスを形成するのに用いる良い候補であってもよい。良いPIが示すべき特性は、例えば、NMPへの溶解度(または他の適切な溶媒)が少なくとも20重量%で、イミド環当たり繰り返し単位の重量が小さいことが第一の基準とできる。しかしながら、PI自体の溶解性または電池用途に適用可能な高いリチウム塩濃度で結合したときの溶液安定性は簡単には予測し難い。
【0062】
溶液中の挙動はポリマーの繰り返し単位構造を見るだけでは、一般的に確認することができない。しかしながら、それはポリマーが結晶化できるかどうか、または、固相で高いまたは低い密度をもつかどうか構造を見ることで決定できる可能性がある。ポリイミドは非結晶性で低密度繰り返し構造が好ましいが、それらは大抵非常に溶解性がある理由からである。しかしながら、メチル基からエチル基に単一の側鎖基を変えるだけでPIの性質を有益から無益に変えてしまうこともあり得る。電池用途用に代替ポリイミドを求める提案された重要な選別手順において、溶媒そのものに良い溶解性をもつと知られているポリイミドを選び、それにイミド環当たり0.5モルLiまたはそれ以上のリチウム塩の導入を試みて、(i)得られたPI/塩/溶媒の溶液が、数時間透明で均一かどうか、および(ii)その溶液から成形された膜が大半の溶媒(例、95%)を蒸発させたとき、実質的に透明な状態を保つかをチェックする。
【0063】
図2は、本発明の実施態様による、20.5℃でのイオン導電率および図1(m)に示すポリイミド、LiTFSi塩(2.2×)およびGBL溶媒を含むポリイミドベースのPMEに対して、対応する膜組成を例証する表である。PME膜の室温でのイオン導電率値は、複素インピーダンス解析器を用いたインピーダンス測定値から計算した。インピーダンス解析器を用いた測定は1MHzから0.1Hzの周波数範囲で行った。膜抵抗値、Rはナイキストプッロトの実軸の切片として、または応答曲線の高周波数部分を実軸に外挿して得られた。測定は抵抗値が直接読み取れる10kHz固定周波数でLCRメーターでも実施した。イオン導電率は以下の公式を用いて計算した。
C(ジーメンス/センチメートル)=t/R×10-4
式中、tはミクロン単位の膜厚でRはオーム単位の膜抵抗測定値である。
【0064】
図2に示すように、試験したPMEは、37.9%GBLを含むPME膜の場合、20.5℃での最大イオン導電率は、1×塩濃度で約1×10-4S/cmで、2.2×濃度で4×10-4S/cmであった。図2の表の下段部分は1.0、1.4、1.8および2.2×塩濃度に対して、1×10-4S/cmの導電率を与えるために必要な最小溶媒レベルを示してある。
【0065】
図2の溶媒範囲は溶媒/PI比率として表しており、約1から約2の範囲にある。より低い値は、1.0E-4S/cmのように所定の用途に十分高い導電率を任意に設定したものである。最大の導電率は塩濃度に依存し、溶媒/PI比率が1.5から2.0の範囲で生じることが分かった。
【0066】
2に近い溶媒/PIの上限値はPMEの力学的性質で支配される。高溶媒/PI比率では、PME膜は柔らかく、電池セパレーターとしての広い温度範囲では使用できないかもしれない。リチウム金属電池に応用される場合、実用問題として、溶媒はリチウム金属に対して適度に安定なもの、高い沸点(>150℃)、選択した塩を溶解でき、PIを膨潤できるものが選択され、最後に、塩/溶媒の組み合わせ自体並びにPMEのために高導電率を促進する低粘度であるべきである。
【0067】
PI、塩および溶媒濃度をそれぞれ最適化するために、提案された手順を以下で説明する。第一段階において、NMPまたはGBLのような適当な溶媒に溶解するPI種が選択される。図1(k)に示すポリイミドを除く、図1に示すすべてのポリイミドはNMPに溶解する。第二段階において、望まれるリチウム塩が選択され、初期濃度は、例えば、選択したPIによりもたらされるイミド環当たり1つのリチウムイオンを与える重量比率のようにして選択される。それから溶媒濃度は、溶媒/PI比率を約0.8から2.0まで変化させ、その間で溶媒/PIデータの数点のイオン導電率を測定する。これを塩濃度がより高いおよび、より低い点で繰り返すことができる。一般に、2倍程度の範囲内で、同じようなイオン導電率を与える重量比率PI/塩/溶媒の幾つかの組み合わせがある。
【0068】
図3(a)〜(d)は、図1(m)で示すポリイミドおよびリチウム塩LiTFSi(2.2×)を含むPMEのイオン導電率を、溶媒負荷および温度の関数とした、溶媒TMS、PC、GBL、NMPそれぞれについてのプロットである。一般に、これらの曲線は明瞭な導電率の最大値を示さない。なぜなら、塩含有量は2.2×で、その結果、最大イオン導電率を与えるのに必要な溶媒の量は非常に多くて一般に実用的でないからである。
【0069】
図4は、図1(m)で示すポリイミドおよびリチウム塩(LiTFSi;2.2×)を含むPMEのイオン導電率を、溶媒がGBLの場合について、20℃で溶媒/ポリイミド比率の関数としたプロットである。イオン導電率は溶媒のポリイミドに対する比率が増加するにつれ増加し、GBL/ポリイミド比率が、イオン導電率が7×10-4S/cmで飽和する約1.5になるまで増加するのが見られる。
【0070】
ポリイミドに基づくPMEのイオン導電率はポリイミドがアルカリ塩、特にLi塩と会合する程度に関係していると考えられている。この会合はポリイミドの極性基(例、イミドおよびベンゼン)と塩との錯体形成におそらく関係している。この会合の証拠は、塩と混合されたポリマーが示す吸収周波数を測定し、そのデータをポリイミドと塩とがそれ自体で示す吸収周波数と比較するのとによって、見出すことができる。
【0071】
ポリイミドの場合、特性吸収周波数はポリイミド骨格を構成するイミド環とベンゼン環に関係していると考えられる。これらの吸収ピークはイミド環の約1778cm-1および1721cm-1並びにベンゼン環の730cm-1である。LiPF6、LiBOB、LiIおよびLiTFSiを含む汎用のLi塩はこれらの周波数に吸収を示さないし、1630と1690cm-1の間にも、いかなる吸収ピークを示さない。しかしながら、Li塩と非常に強く会合したある種のポリイミドが、それらの塩と結合すると、得られたポリイミド/塩の膜は約1672cm-1の第一ピークおよび約1640cm-1の第二ピークに非常に強いダブレットの出現を示す。
【0072】
第一の吸収周波数は、ポリイミド膜中に高い濃度、例えば、少なくとも33重量%であると、塩濃度の増加によって有意には変化しない。それゆえ、このピークは、十分な塩濃度の場合、相互作用を示すのに用いることができる。第二のピーク強度はLiイオン濃度のイミド環との比率にほぼ比例し、ポリイミドと塩との間の相互作用の程度を推量するのに用いることができる。
【0073】
相対的に局所電子密度(例、ポリイミド中のイミド環に隣接する電子密度に匹敵することのできる)および多重結合共役による電荷分離のための電位を与えるポリイミド以外のポリマーは、ポリマー/塩の錯体を形成し、それらが溶解する場合、錯体形成に基づく特性吸収ピークを示すことができる。このように、FTIRのような吸収分光法は、PMEとして錯体形成の証拠を示すこれらのポリイミド以外の溶解ポリマーを同定するのに用いることができる。
【0074】
図5(a)は、例示用のポリイミドのとして、Li塩および溶媒を添加していない、図1(c)で示すポリイミドのFTIRデータである。イミド環に関係する吸収ピークは、約1778cm-1と1721cm-1およびベンゼン環の730cm-1に現れる。このポリイミドは1630cmと1690cm-1の間に検出可能な吸収ピークを示さない。
【0075】
LiPF6、LiBOB、LiIおよびLiTFSiを含む汎用のLi塩は、1630cmと1690cm-1の間に吸収を示さない。図5(b)は、1630cmと1690cm-1の間に赤外吸収のないことを確認するLiBOBのFTIRを示す。
【0076】
図5(c)は、図1(c)で示すポリイミドとLiBOBとが結合したFTIRを示す。得られたポリイミド電解質は、約1672cm-1の第一のピークおよび1640cm-1の第二ピークに非常に強いダブレットを示す。
【0077】
従って、本発明による、例示的PMEからのFTIR測定によって、リチウム塩がポリイミドのイミド環と錯体を形成する証拠が提供される。このことは、ポリイミド/リチウムとの塩形成が、乾燥膜において明瞭な構造または結晶をもたない主たる理由の1つであろう。結晶がないことは、フラットDCSトレースによって示すことができる。この証拠は、自立膜であれ上塗りした膜であれ、PME膜は光学的に透明であるので、リチウム塩とポリイミド間の相互作用からも見出された。
【0078】
本発明は広範囲な用途に用いることができる。リチウムイオンまたはリチウム金属の陰極のいずれかから形成される1次および2次の両方の電池が本発明を用いることにより形成することができる。1つの好適な実施態様において、PMEをもつリチウム金属電池が形成される。この実施態様において、陰極はリチウム金属またはリチウム合金で形成することができる。リチウム合金には、リチウム・アルミにウム、リチウム・アルミニウム・シリコン、リチウム・アルミニウム・カドミウム、リチウム・アルミニウム・ビスマス、リチウム・アルミニウム・錫、リチウム・酸化チタンを挙げることができる。これらのリチウム合金中のリチウム含有量は、99.98重量%まで可能である。陰極の全体のリチウム含有量は電池の要求される容量によって決まる。
【0079】
リチウム金属電池の陽極材料は、本明細書で記載したポリイミドのようなイオン導電性ポリマー結合材、電子的導電性材料(例、黒鉛)および電気化学的に活性な材料を含むことができる。電気化学的に活性な材料として好ましくは、MnO2、各種リチウムバナジウム酸化物(Lixyz)、リチウム遷移金属酸化物、例えば、LixMnyz(例、LiMn24)、LiCoO2、LiNiO2、Li4Ti512、LiVxyおよび金属硫化物(例、TiS2)およびLiFePO4などの他の材料から選択される。同様に、Liイオン電池の場合、陽極および陰極は好ましくは、本明細書で開示したような結合材マトリクスとしてのポリイミドを含む。Liイオンまたはリチウム金属電池には、陰極、陽極、PMEセパレーターすべてが同一の、または異なるポリイミドを含むことができる。
【0080】
ポリイミドは一般に、1つまたはそれ以上のジアミンモノマーと1つまたはそれ以上の酸二無水物モノマーとを段階的に縮合重合して製造される。好ましいジアミンと酸二無水物を図6に示す。
【0081】
モノマー反応剤の純度が重要であることが分かっている。芳香族ジアミンは空気に敏感であることが知られている。従って、精製プロセスは一般に、酸化されたジアミン材料の部分を除去することを含んでいる。精製後は、芳香族ジアミンは典型的に白色になる。しかしながら、完全に純粋なジアミンは達成するのは困難であり、通常不必要である。アルコールと水の混合物からジアミンを再結晶することが効率的かつ十分であることが分かっている。集められた結晶は好ましく減圧下で乾燥される。なぜなら結晶化のために使用した水が室温では簡単に取り除けない理由からである。
【0082】
酸二無水物もまた、精製するのが好ましく、少なくとも2つの方法を用いて精製することができる。好ましい精製法は無水酢酸から再結晶するものである。無水酢酸は閉じて活性な無水物環になる。しかしながら、生成した酢酸を除去するのは時々困難である。残留酢酸を除去するためエーテルまたはMTBEを使用できる。酸二無水物の結晶は一般に、真空オーブン内で乾燥する必要がある。代わる方法として、開いた無水物環を除去するために無水エタノールで結晶を迅速に洗浄し、真空オーブン内で洗浄した粉末をすばやく乾燥する方法である。この方法は、精製前の純度が少なくとも96%であればBPDAの精製に役立つ。
【0083】
縮合反応によりポリアミック酸の段階になる。1モルのジアミンが約1.005から1.01等量の酸二無水物と反応する。酸二無水物試薬が反応生成物の末端基を決定するのを確実にするために、過剰な酸二無水物が一般に好ましく用いられ、過剰な酸二無水物が、ポリマー製品の安定性を最大にするために知られたポリマー鎖を酸二無水物末端基で封鎖するのを確実にしている。加えて、そのような過剰は、微量の水が酸二無水物基と反応できて帳消しになる。
【0084】
溶液はNMP溶媒に約15から20重量%濃度が好ましい。通常、ジアミンを最初に、すべてのジアミンに必要ではないが好ましくは、窒素下で溶解させる。それから酸二無水物を添加する。大規模な反応では、酸二無水物を分けて添加するのが好ましいが、その理由は反応熱が幾分あり、温度を40℃未満に保つのが望ましいからである。例えば、50グラムの小規模では、初期に十分撹拌があれば、一度に酸二無水物を添加することもできるであろう。
【0085】
酸二無水物は一般に、ジアミンよりずっとゆっくり溶解する。小規模反応の場合、反応を実施する最良かつ最も簡単な方法はポリテトラフルオロエチレン製密封蓋付の円筒状の瓶を用いることである。この瓶は初期に手で揺り動かし、それから低速で回転するミルの上に乗せて瓶をゆっくりと回転させる。反応は室温で2〜12時間かけて最良に進行する。初期反応が完了すると、完了は実質的に一定の溶液の色と粘度から明らかになるが、溶液はイミド閉環ができる状態である。
【0086】
ポリアミック酸からポリイミドを形成する化学反応は、イミド環当たり無水酢酸1.1等量と閉環触媒としてピリジンを1等量で実施される。ピリジンを加えて混合されるまで回転を続けるのが好ましい。無水酢酸はアミック酸ポリマーの一部を沈殿させることがある。
【0087】
ポリマーは加熱前に再溶解すべきである。注意深く瓶を、80℃を超え90℃を越えない温度で加熱する必要がある。オーブンを使用し、時々瓶を取り出して振り混ぜるのが最良である。加熱は、ずっと加熱して60分間実施するか、または色の変化が完了するまで実施する。瓶を回転するミルに置き、回転させながら冷却する。溶液が室温に戻ると、NMPに溶解した完全にイミド化したポリマーとなる。しかしながら、溶液は一般に、幾分かの残留ピリジン、酢酸をも有し、いくらかの無水酢酸を含むことがある。溶液は適正な期間安定であると期待される。
【0088】
小規模反応から製品を集める好ましい方法は、ポリマーをメチルアルコールで沈殿させることである。これにより、溶媒負荷と反応しなかった微量のモノマーを除去する。測定した粘度に関連して、重合の質を評価するのにも用いられる。良好な高分子量のポリイミドはメチルアルコールに、ほとんどまたは曇りがなく清浄に沈殿する。粘度は高くなくてはならない(例、8,000〜10,000cp)。
【0089】
沈殿したポリマーは好ましくは、ピリジンの臭いが僅かになるまで2回以上洗浄する。それからポリマーはフード内で数時間風乾し、それから真空内で125℃、一昼夜乾燥する。メチルアルコールの容量は好ましくはポリマー100グラム当たり1ガロンである。
【0090】
大規模のときには、溶媒または微量材料を除去するのに水を使用する。しかしながら、この目的に水はメチルアルコールよりも効率が良くないと考えられる。最後にメチルアルコールで浸漬するには、水を大量のポリマーに用いた場合、乾燥前に加えるのが好ましい。
【0091】
本発明の他の態様において、ツーピース電池組み立てを開示する。ツーピース組み立ては電極をPMEで上塗りし、電極/セパレーターを形成し、他の電極とで引き続き組み立て(例、積層)をすることを含む。
【0092】
従来の「ゲル」電解質技術において、電気化学的に活性材料の陽極スラリー、導電性炭素および結合材を大量の溶媒中で混合するが、溶媒は結合材料の可塑剤として機能する。スラリーを集電物質上に塗布し、そして大量の溶媒を除去する。陰極は典型的には炭素状のもので、黒鉛のスラリー、結合材および可塑作用のある溶媒とから作られる。大量の溶媒は、集電体に塗布後に除去される。セパレーターは自立膜として、イオン的に導電性ポリマー結合材でないスラリー、無機の支持充填材料および可塑作用のある溶媒で塗布される。陽極、セパレーターおよび陰極が一緒に置かれて加熱加圧下、積層される。次に残った可塑剤を、熱溶媒を用いて典型的な抽出プロセスを経て除去する。セルを取り出し、可塑剤の除去を経て発生した「細孔」を充填するため液体電解質をその系に導入する。それからセルは箔状パッケージ材料でパッケージされる。このように、従来の組み立てプロセスは3つの個別部品を結合することを含む。
【0093】
対照的に、ツーピース電池の組み立てにおいては、活性材料の陽極スラリー、導電性炭素、ポリイミド結合材およびリチウム塩が大量の溶媒中で混合される。スラリーは金属集電支持体に塗布され、溶媒が除去される。引き続いて、塗布された陽極はポリイミド、リチウム塩および大量の溶媒の混合物からなるPMEで上塗りされ、それから溶媒を除去するため乾燥して、ポリイミドと塩の合計に対して5〜50重量%になるように、導電性の目的のため効果的な量の溶媒を保持する。この時点で、上塗りされた陽極は、陽極とPMEセパレーターの両方になる。それから陰極層をPME塗布した陽極の上に設置するが、このようにして2部品のみを用いる電池組み立てを提供する。
【0094】
図7は、上述の2つの部品電池組み立てプロセスに関係する好ましい組み立てでの「折り曲げ」プロセスを示している。上述したように、陽極集電体上にPME塗布した陽極をまず作成する。陰極をPMEセパレーター/陽極の上に配置する前に、工程710で、PMEを上塗りした陽極の表面に接着の目的のため少量の溶媒を吹きかける。工程720で、Li陰極、例えば、PMEを上塗りした陽極より僅かに小さい面積をもつLi金属ストリップを、PMEを上塗りした陽極の上に置く。別法として、黒鉛型陰極に対して、陰極も塗布し、乾燥しそれからPMEを上塗りした陽極の上に重ねる。ニッケルタブのような陰極タブをそれから工程730で陰極の上に置く。それからセル折り曲げを工程740において、図7に示されるように、リチウム金属陰極(または黒鉛陰極)の上を、PMEを上塗りした陽極で包むことによって実施する。工程750で、パッケージ用に準備した陰極タブをもつ二セル電池755が製造される。二セルは、従来セルと同じ面積で、従来セルの2倍の容量を提供する。
【0095】
図8において、図7で示す組み立てプロセスによって製造される電気化学的二セル755のパッケージ用の組み立てプロセスを示し、ここでは図7で示す組み立てプロセスの工程が便利な参照のため図8の上部に再掲する。図8で示すプロセスは二セル電池に適用されるけれども、説明したプロセスに、二セルが限定されるものではない。例えば、本発明による標準セルは図8に示すようにパッケージすることができる。
【0096】
工程810で、枠材料が適切なローラーから巻きだされるが、枠材料はPETのような材料で、電池の周りにはめ込むため電池自体と実質的に同じ厚みをもつである。工程820で、挿入されるセル755より僅かに大きく、枠材料に開口部が、穿孔機または相当するものを用いて作られる。工程820で作ることのできる位置合わせ孔も示してある。
【0097】
封止材がパッケージ枠材料に適用またはタブストリップに予備適用される。工程830で、陽極タブが供給され、切断および枠材料に適用される。低温熱封止材および湿度遮断をもつ下部パッケージ材料が、それから枠に適用される。内部熱封止層はそれ自体を熱封止するだけでなく、電池の集電体に強く結合する材料であり、好ましくは約90〜100℃で活性化する。それから、セル755を取り出し、穿孔したパッケージ枠と工程840で枠の底に付着した下部パッケージ材料上とで形成された空洞に入れるのが好ましい。下部パッケージ材料は接着を促進するためにセル755を配置する前に、好ましくは加熱(例、90℃)される。低温熱封止材および湿度遮断をもつ上部パッケージ材料が、下部パッケージ材料と同じ組成でもよいが、次に工程850で適用される。任意選択的に、結合材料が、クレジットカードに挿入するような用途用に下部および上部パッケージ材料の外側に含むことができる。
【0098】
従来のステップダウン封止プロセスで使用される周囲封止を用いる代わりに、パッケージ材料の周囲に沿って電池のすべての表面を工程860で熱積層して、全体を通して実質的に同じ厚みをもつ完成した二セル電池865を形成する。単一の二セルの組み立てのみを示しているが、図8で示す組み立てプロセスは単一パッケージの1つまたはそれ以上のセルをパッケージできる。十分な圧力下で典型的には5〜15秒間、電池を変形させるほど高温でなく均一な熱封止するため110℃のような積層温度および/またはパッケージは、完成した二セル電池865を形成するために積層をするのに用いられる。二セル電池865の実質的に一定した厚みによって、クレジットカードのごとくカードに一体化するのに便利であり、しかもまた表面欠陥が減少する。
【0099】
本明細書で用いる、「電池を通して実質的に同じ厚み寸法」は、パッケージされた電池の全面積にわたって厚みが±1mil内を意味する。パッケージ865をもつ全体に積層された電池は積層された単一層として果たす結果となる。
【0100】
図8には示さないが、枠を用いないステップダウン密封プロセスが使用できる。その代わりに、弾性的積層板セットが用いられる。これによって、パッケージ材料が電池の表面全体にわたり密着し、パッケージ材料がそれ自体と積層する側面の封止領域にパッケージ材料がまわってくることができる。
【0101】
このようにして、数種の新規なパッケージの態様が上述される。第一に、電池パッケージ材料が電池全体に積層されている。以前の積層作業は電池の一部を積層することしか開示していない。第二に、セルを取り囲む枠の使用によって、全体を通して実質的に同じ厚み寸法をもつ高度に平坦な電池を製造することができる。
【実施例】
【0102】
本発明を以下の具体的な実施例によってさらに説明する。実施例は説明のためだけに提供されるのであって、本発明の範囲または主旨を制限するように意図したものでは決してない。
【0103】
[実施例1]
(発明による例示のPMEに比較して市販のポリイミド/塩/溶媒の光学的透明性の測定)
この実施例の目的は、実証した光学的透過により、リチウム塩と強く相互作用をもつポリイミドから形成されるPMEの均一な本質を明らかにすることである。PME膜は、図1(b)、(c)および(m)で示すポリイミドから生成されるが、一方、マトリミド(Matrimid)5218p/塩/溶媒は比較のために生成した。PMEおよびマトリミドベースの膜はNMPから透明なポリエチレンテレフタレート支持フィルム上に成形し、真空オーブン内、120℃で3時間乾燥して作成された。残存溶媒量は約4重量%であった。PME組成およびマトリミド配合はすべて、ポリイミド32%、LiTFSi塩64%で、残りは少量の溶媒であった。すべての測定は540nm光を用いて実施した。
【表1】

【0104】
前表から実証されるように、マトリミドのポリイミドはリチウム塩濃度が64%のとき、透明な均一な組成を形成しない。さらに、マトリミドのポリイミドは実質的により低い塩濃度でも、例えば、ポリイミドによりもたれらされたイミド環当たり0.5モルのリチウム塩濃度でも透明で均一な組成を形成しない。ポリイミドによりもたれらされたイミド環当たり0.5モルまたはそれより低いリチウム塩濃度を含むポリイミドは一般に、電気化学的セル用の有用な電解質セパレーターとなりえるに十分な最小のイオン導電率が欠けている。
【0105】
図1(b)、(c)および(m)で示すポリイミドのデータが上述されているだけであるが、図1((a)から(m))で示すポリイミドはすべて、上で示したポリイミド(b)、(c)および(m)と同じように、光学的性質を有する均一で透明な膜を形成する。このPME性質は最大の膜安定性とイオン導電率に望まれるものである。
【0106】
[実施例2]
PMEは均一またはほとんど均一なマトリクス材料であるから、PMEを用いて形成した電池は高い温度および圧力の暴露に対応する特殊な能力を有し、その性能特性を保つ。セル組み立ては典型的には高温(例、140℃)、圧力(例、125psi)で約10分間であるが、引き続く同等またはそれ以下の過酷な条件に暴露されても、本発明によって製造されるセルは影響を受けない。注目に値するのは、本発明によるセルは、前記引用したセル組み立て条件に比較し、有意により過酷な条件に耐えることが分かった。
【0107】
典型的なカード製造技術では、250psiを超える静水圧下、125℃、5分以上の熱積層が必要である。本発明による電池は、典型的な積層加工後に開回路電圧(OCV)または容量に有意な変化が無く、このプロセスに続くすべての機能を実証した。対照的に、最近入手できる他の電池技術では、従来の積層加工後に機能しない(例、短絡)、あるいは容量および/またはOCVの有意な低下となる。
【0108】
本発明による電池は、典型的な積層加工よりも過酷な条件にも耐えられる。例えば、本発明による電池を射出成形プロセスに供し、この電池が射出成形プロセスの間に遭遇する条件に耐えうるかどうかを調べた。射出成形プロセスは、成形用ポリマーのポリエチレンテレフタレート(PET)および塩化ビニル(PVC)で、本発明による電池を封入できるかを検討した。PET成形は、295℃でPVCは200℃で、いずれも5000psiの成形加圧で実施した。両方の試験から、本発明による電池はそれぞれの射出成形プロセスに耐え、完全に機能し、容量またはOCVに有意な変化が無かった。
【0109】
[実施例3]
背景のところで述べたように、液体電解質、またはポリマー細孔に溶媒をもつゲルポリマーのLi電池は安全性の問題をひき起こす。本発明によるPMEベース電池セルは一般に溶媒を含み、その溶媒はポリマーおよび塩と錯体となり、多孔膜(ゲル電解質)中に閉じ込められず、または自由に得られない(液体電解質)。
【0110】
直接短絡の過酷な試験をPMEから形成したセルに9アンペア・時間で適用した。セルは45℃まで上昇し、それから完全放電で室温まで戻した。セルは再度充電可能であり、正常で安定したサイクルに戻った。何の力学的欠陥、ガス発生、燃焼または発泡も観察されなかった。このことは、本発明を用いて形成された電池の安定性に関しての追加的証明を与えた驚くべき結果である。
【0111】
[実施例4]
本発明によるPMEの形態、PMEとリチウムバナジウム酸化物(LVO)/ポリイミド陽極膜との界面を評価するために走査型電子顕微鏡(SEM)写真を取った。図9(a)は、PME単独の2枚のSEM写真であり、それぞれ実質的に欠陥が無いこと、および細孔がない膜を証拠づけている。示したPME膜の厚みは両方とも約75μmであった。
【0112】
図9(b)は、リチウムバナジウム酸化物(LVO)/ポリイミド陽極層(55μm)上に配置したPME膜(20μm)間の界面のSEMを示している。下部の像は、図9(b)上端に示された界面の拡大写真である。示した界面はまったく均一で平滑である。
【0113】
[実施例5]
図10は、本発明による典型的なセルの充電/放電プロフィールを示しており、このセルは本発明の実施態様によるリチウムバナジウム酸化物(LVO)陽極、Li金属陰極およびPMEセパレーターを含んでいる。セルの容量は25mAhであった。X軸は全時間を、Y軸はセル電圧を表している。セルは300時間を越えるサイクルの間、良好なサイクル安定性を実証している。
【0114】
本発明の好適な実施態様を例証し説明してきたが、本発明はそのように限定されないのは明らかであろう。数多くの改善、修正、変化、置換および同等物は、特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者には考えつくであろう。
【0115】
実施態様1は以下を含む電池を提供する。陰極、陽極、および前記陰極と前記陽極との間に配置された少なくとも1つのポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーター、前記PMEはポリイミド、前記ポリイミドがもたらすイミド環モル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度の少なくとも1つのリチウム塩、および少なくとも1つの混合する溶媒、実質的に光学的に透明である前記PMEを含む。実施態様2は前記陰極がリチウムイオン挿入材料を含む実施態様1の電池を提供する。実施態様3は前記陰極がリチウム金属を含む実施態様1の電池を提供する。
【0116】
実施態様4は前記陰極がリチウム合金陰極を含む実施態様1の電池を提供する。実施態様5は前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が350未満である実施態様1の電池を提供する。実施態様6は前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が300未満である実施態様1の電池を提供する。
【0117】
実施態様7は前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が250未満である実施態様1の電池を提供する。実施態様8は前記ポリイミドがN−メチルピロリデノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に25℃で溶解する実施態様1の電池を提供する。実施態様9は前記ポリマー電解質のイオン導電率が25℃で少なくとも1×10-4S/cmである実施態様1の電池を提供する。実施態様10は前記ポリマー電解質のイオン導電率が25℃で少なくとも3×10-4S/cmである実施態様1の電池を提供する。実施態様11は前記Li塩が、LiCl、LiBr、LiI、LiCLO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiBOB、LiN(CF3SO22、およびリチウム(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)からなる群から選択される少なくとも1つのである実施態様1の電池を提供する。実施態様12は前記陽極が挿入材料と混合したイオン導電性ポリマー結合材を含む実施態様1の電池を提供する。実施態様13は前記ポリマー結合材が少なくとも1つのポリイミドを含む実施態様12の電池を提供する。実施態様14は前記陽極が、さらにLiFePO4、LixNiyCoz2、LiVxy、LixMnyz、LiVxy、LixMnyz、LiCoO2、LiNiO2およびLiTiS2からなる群から選択される電気化学的活性材料を含む実施態様1の電池を提供する。実施態様15は前記電池が、少なくとも200psi圧力下、125℃で少なくとも5分間の加熱後、OCVおよび容量に有意な変化を起こさない実施態様1の電池を提供する。実施態様16は前記電池が、少なくとも250psi圧力下、140℃で少なくとも10分間の加熱後、OCVおよび容量に有意な変化を起こさない実施態様1の電池を提供する。実施態様17は前記電池が二セルで、前記陽極が前記陰極を挟み込むために折り曲げられる実施態様1の電池を提供する。実施態様18は前記塩および前記ポリイミドが1630と1690cm-1の間にいかなる吸収ピークを与えないが、前記PMEは1630と1690cm-1の間に少なくとも1つの吸収を与える実施態様1の電池を提供する。実施態様19はさらにパッケージが、パッケージした電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッケージ材料を含み、前記パッケージ材料が前記電池のすべての外部表面に積層されている実施態様1の電池を提供する。実施態様20はさらにパッケージが、パッケージした電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッッケージ材料および前記電池を収める開口部を有する枠を含み、前記電池が前記開口部内に配置される実施態様1の電池を提供する。実施態様21は前記パッケージした電池が、全体を通して±1mil内の厚み均一性を与える実施態様20の電池を提供する。
【0118】
実施態様22は、以下の工程を含む電池を形成する方法を提供する。陽極集電体上に配置した陽極層を作成する工程、ポリイミド、リチウム塩および溶媒の混合物を前記陽極層に上塗りする工程、前記溶媒の少なくとも一部を取り除くために混合物を乾燥する工程、そこで前記陽極(電解質/陽極)に結合された電解質セパレーターが形成され、および
陰極層を前記電解質/陽極の上に配置する工程を含む方法。実施態様23は前記電解質セパレーターがポリマーマトリクス電解質(PME)であり、そこで前記リチウム塩は、前記ポリイミドによりもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0,5モルのリチウム濃度であり、前記ポリイミド、前記リチウム塩および前記溶媒とが混合され、前記PMEが実質的に光学的に透明である実施態様22の方法を提供する。
【0119】
実施態様24は前記陰極がリチウム金属含有陰極である実施態様22の方法を提供する。実施態様25は前記電池が、前記陽極上に配置された前記PMEである第一層と前記陰極である第二の層、2つだけの層を積層して形成される実施態様23の方法を提供する。実施態様26はさらに前記陽極上に配置された前記PMEを前記陰極の上に折り曲げる工程を含んで二セルが形成される実施態様25の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1a−1m】本発明の実施態様による、数種の適切なポリイミドの繰り返し単位構造を示す。
【図2】本発明の実施態様による、図1mに示すポリイミド、LiTFSi塩(2.2×)およびガンマブチロラクトン(GBL)溶媒を含むPMEの20.5℃におけるイオン導電率と得られた膜組成を示す表である。
【図3a−d】図1mに示すポリイミドおよびリチウム塩LiTFSi(2.2×)を含むPMEのイオン導電率を、TMS、PC、GBL、NMP溶媒それぞれに対し、溶媒負荷と温度の関数としたプロットである。
【図4】図1mに示すポリイミドおよびリチウム塩(LiTFSi;2.2×)を含むPMEのイオン導電率を、溶媒がGBLの場合の20℃での、溶媒/ポリイミドの比率の関数としたプロットある。
【図5a】Li塩また溶媒を添加していない例示的なポリイミドのFTIRデータである。
【図5b】例示的なLi塩のFTIRデータである。
【図5c】FTIRデータを図5aで示した例示的なポリイミドと、FTIRデータを図5bで示した例示的なLi塩を混合したFTIRデータであり、1630cm-1と1690cm-1との間でダブレット吸収ピークの出現を証明するものである。
【図6】本明細書で示すポリイミドを作成するため使用できる酸二無水物および芳香族ジアミンを含む表である。
【図7】本発明の実施態様による、パッケージ用に準備する電気化学的二セルを形成する組み立てプロセスを示す。
【図8】図7で示した組み立てプロセスで製造される電気化学的二セルのパッケージを行うための組み立てプロセスを示す。
【図9a】欠陥のないPMEを証明するSEMである。
【図9b】陽極層を構成するリチウムバナジウム酸化物(LVO)上に配置されたPME間の平滑で均一な界面を示すSEMである。
【図10】本発明の実施態様による、リチウムバナジウム酸化物陽極、Li金属陰極およびPMEセパレーターを含むセルである、本発明の典型的なセルの充電/放電プロフィールを示す。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図1e】

【図1f】

【図1g】

【図1h】

【図1i】

【図1j】

【図1k】

【図1l】

【図1m】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極、
陽極および、
前記陰極と前記陽極の間に配置された少なくとも1つのポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーターを含み、前記PMEセパレーターが、ポリイミド、前記ポリイミドによってもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である少なくとも1つのリチウム塩、および混合される少なくとも1つの溶媒を含み、前記PMEが実質的に光学的に透明である電池。
【請求項2】
前記陰極がリチウムイオン挿入材料を含む、請求項1の電池。
【請求項3】
前記陰極がリチウム金属またはリチウム合金を含む、請求項1の電池。
【請求項4】
前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が350以下である、請求項1の電池。
【請求項5】
前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が300以下である、請求項1の電池。
【請求項6】
前記ポリイミドのイミド環当たり繰り返し単位の重量が250以下である、請求項1の電池。
【請求項7】
前記ポリイミドがN−メチルピロリデノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に25℃で溶解する、請求項1の電池。
【請求項8】
前記ポリマー電解質のイオン導電率が25℃で少なくとも1×10-4S/cmである、請求項1の電池。
【請求項9】
前記ポリマー電解質のイオン導電率が25℃で少なくとも3×10-4S/cmである、請求項1の電池。
【請求項10】
前記Li塩が、LiCl、LiBr、LiI、LiCLO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiBOB、およびLiN(CF3SO22からなる群から選択される少なくとも1つのである、請求項1の電池。
【請求項11】
前記陽極が挿入材料と混合したイオン導電性ポリマー結合材を含む、請求項1の電池。
【請求項12】
前記ポリマー結合材が少なくとも1つのポリイミドを含む、請求項1の電池。
【請求項13】
前記陽極がさらにLiFePO4、LixNiyCoz2、LiVxy、LixMnyz、LiVxy、LixMnyz、LiCoO2、LiNiO2およびLiTiS2からなる群から選択される電気化学的活性材料を含む、請求項1の電池。
【請求項14】
前記電池が、少なくとも200psi圧力下、115℃で少なくとも5分間加熱後、OCVおよび容量に有意な変化を起こさない、請求項1の電池。
【請求項15】
前記電池が、少なくとも200psi圧力下、125℃で少なくとも5分間加熱後、OCVおよび容量に有意な変化を起こさない、請求項1の電池。
【請求項16】
前記電池が、少なくとも250psi圧力下、140℃で少なくとも10分間加熱後、OCVおよび容量に有意な変化を起こさない、請求項1の電池。
【請求項17】
前記電池が、少なくとも125psi圧力下、115℃で加熱後、15%未満で変化する、OCVおよび容量を与える、請求項1の電池。
【請求項18】
前記電池が、少なくとも5000psi圧力下、200℃で加熱して射出成形後、15%未満で変化する、OCVおよび容量を与える、請求項1の電池。
【請求項19】
前記電池が二セルであり、前記陽極が前記陰極を挟み込むために折り曲げられる、請求項1の電池。
【請求項20】
前記塩が、1630と1690cm-1の間にいかなる吸収ピークを与えず、前記ポリイミドが1630と1690cm-1の間にいかなる吸収ピークを与えず、しかし、前記PMEは1630と1690cm-1の間に少なくとも1つの吸収ピークを与える、請求項1の電池。
【請求項21】
さらに、パッケージされた電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッケージ材料を含むパッケージを含み、前記パッケージ材料が前記電池のすべての外部表面に積層されている、請求項1の電池。
【請求項22】
さらに、パッケージされた電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッケージ材料および前記電池を収めるための開口部を有する枠を含み、前記電池が前記開口部内に配置される、パッケージを含む、請求項1の電池。
【請求項23】
前記パッケージされた電池が全体を通して±1mil内の厚み均一性を与える、請求項21の電池。
【請求項24】
前記ポリイミドが、N−メチルピロリデノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に25℃で溶解し、前記塩が1630と1690cm-1の間にいかなる吸収ピークを与えず、前記ポリイミドが1630と1690cm-1の間にいかなる吸収ピークを与えず、しかし、前記PMEは1630と1690cm-1の間に少なくとも1つの吸収ピークを与える、請求項1の電池。
【請求項25】
前記ポリマー電解質のイオン導電率が25℃で少なくとも1×10-4S/cmであり、および電解質セパレーターが5重量%〜50重量%の溶媒を含む、請求項24の電池。
【請求項26】
前記陰極がリチウムイオン挿入材料、リチウム金属、またはリチウム合金を含み、および前記陽極が挿入材料と混合したイオン導電性ポリマー結合材を含む、請求項24の電池。
【請求項27】
陰極、
陽極および、
前記陰極と前記陽極の間に配置された少なくとも1つのポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーター、を含み、前記PMEセパレーターが、リチウム塩と錯体をつくりイオン導電性に機能することができる高い極性基を含むポリマー、前記ポリイミドによってもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である少なくとも1つのリチウム塩、および混合される少なくとも1つの溶媒を含み、前記PMEが実質的に光学的に透明である電池。
【請求項28】
陰極、
陽極および、
前記陰極と前記陽極の間に配置された少なくとも1つのポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーター、を含み、前記PMEセパレーターがポリイミド、前記ポリイミドによってもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である少なくとも1つのリチウム塩を含み、前記PMEが実質的に光学的に透明である電池。
【請求項29】
陰極、
陽極および、
前記陰極と前記陽極の間に配置された少なくとも1つのポリマーマトリクス電解質(PME)セパレーター、を含み、前記PMEセパレーターがポリイミド、前記ポリイミドによってもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0.5モルのリチウム濃度である少なくとも1つのリチウム塩を含み、前記PMEが540nmで前記PMEの規格化した1mil膜を通して少なくとも90%の光学的透明性を与える電池。
【請求項30】
電池を構成する方法であって、
陽極集電体上に配置した陽極層を作成する工程、
ポリイミド、リチウム塩および溶媒との混合物を前記陽極層に上塗りする工程、
前記溶媒の少なくとも一部を取り除くために混合物を乾燥する工程、そこで前記陽極に結合された電解質セパレーターが形成され、および
陰極層を前記陽極に結合した電解質セパレーター上に配置する工程を含む方法。
【請求項31】
前記ポリイミドがN−メチルピロリデノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に25℃で溶解する、請求項30の方法。
【請求項32】
前記電解質セパレーターがポリマーマトリクス電解質(PME)であり、前記リチウム塩が、前記ポリイミドによりもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0,5モルのリチウム濃度であり、前記ポリイミド、前記リチウム塩および前記溶媒とが混合され、前記PMEが実質的に光学的に透明である、請求項30の方法。
【請求項33】
前記陰極がリチウム金属含有陰極である、請求項30の方法。
【請求項34】
前記陰極がリチウム金属含有陰極である、請求項30の方法。
【請求項35】
前記電池が、前記陽極上に配置された前記PMEである第一の層と前記陰極である第二の層、2つだけの層を積層して形成される、請求項30の方法。
【請求項36】
さらに前記陽極上に配置された前記PMEを前記陰極の上に折り曲げる工程を含んで二セルが形成される、請求項32の方法。
【請求項37】
前記電解質セパレーターがポリマーマトリクス電解質(PME)であり、前記リチウム塩が、前記ポリイミドによりもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0,5モルのリチウム濃度であり、前記ポリイミド、前記リチウム塩および前記溶媒とが混合され、電解質セパレーターが5重量%〜50重量%の溶媒を含み、および前記PMEが実質的に光学的に透明である、請求項30の方法。
【請求項38】
前記電解質セパレーターが5重量%〜50重量%の溶媒を含む、請求項30の方法。
【請求項39】
さらに、パッケージされた電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッケージ材料を含むパッケージを与える工程を含み、前記パッケージ材料が前記電池のすべての外部表面に積層されている、請求項30の方法。
【請求項40】
さらに、パッケージされた電池を形成するために、前記電池を取り囲むパッケージ材料および前記電池を収めるための開口部を有する枠を含み、前記電池が前記開口部内に配置される、パッケージを与える工程を含む、請求項30の方法。
【請求項41】
前記パッケージされた電池が全体を通して±1mil内の厚み均一性を与える、請求項40の方法。
【請求項42】
電池を構成する方法であって、
陽極集電体上に配置した陽極層を作成する工程、
ポリマー、リチウム塩および溶媒との混合物を前記陽極層に上塗りする工程、
そこでポリマーがリチウム塩と錯体をつくりイオン導電性に機能することができる高い極性基を含み、
前記溶媒の少なくとも一部を取り除くために混合物を乾燥する工程、そこで前記陽極に結合された電解質セパレーターが形成され、および
陰極層を前記陽極に結合した電解質セパレーター上に配置する工程を含む方法。
【請求項43】
電池を構成する方法であって、
陽極集電体上に配置した陽極層を作成する工程、
ポリイミド、リチウム塩および溶媒との混合物を前記陽極層に上塗りする工程、
前記溶媒の少なくとも一部を取り除くために混合物を乾燥する工程、そこで前記陽極に結合された電解質セパレーターが形成され、そのイオン導電率が25℃で少なくとも1×10-4S/cmであり、および前記電解質セパレーターがポリマーマトリクス電解質(PME)であり、前記リチウム塩が、前記ポリイミドによりもたらされたイミド環のモル当たり少なくとも0,5モルのリチウム濃度であり、前記ポリイミド、前記リチウム塩および前記溶媒とが混合され、前記PMEが実質的に光学的に透明であり、
陰極層を前記陽極に結合した電解質セパレーター上に配置する工程を含む方法。

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2007−503104(P2007−503104A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532480(P2006−532480)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/013009
【国際公開番号】WO2004/102694
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505418180)ソリコア インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】SOLICORE,Incorporated
【住所又は居所原語表記】2700 Interstate Drive,Lakeland,FL 33805,U.S.A.
【出願人】(503431644)アヴェスター リミティッド パートナーシップ (12)
【Fターム(参考)】