説明

ポリウレタン分散体を含むパーソナルケア組成物

有機溶剤及び第三アミンを実質的に含まない高固形分水性ポリウレタン分散体を含むパーソナルケア組成物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スキンケア、ネイルケア又はヘアケアのようなパーソナルケア組成物は、耐湿性、艶(luster)及び伸び易さ(spreadability)を与えるために、樹脂を組み入れていることが多い。
【0002】
ポリウレタンは優れた性質を示すが、パーソナルケア組成物に組み入れるのは難しい。ポリウレタンは一般に疎水性であるので、容易には水中に分散できない。場合によっては、水分散性を促進するために、カルボン酸のようなアニオン基がプレポリマーに組み入れられてきた。この場合には、得られた分散体は通常は第三アミンによって中和することが必要である。パーソナルケア組成物に使用される一部のポリウレタン分散体は、第三アミン、例えばNoveon製のAVALURE UR 450を含むが、第三アミンは不快な臭いを発する低分子量の揮発性有機化合物であるので、当業界は他の選択肢を模索している。更に、多くのポリウレタン分散体は、カリフォルニア州政府の健康被害勧告(health Hazard Advisory)の対象となっている、いくつかの行政団体によって有害と見なされているN−メチルピロリドン(NMP)のような溶剤を製造中に必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、パーソナルケア組成物に用いるための、溶剤もアミンも含まない水性ポリウレタン分散体及びそれらの使用方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は、有機溶剤及び第三アミンを実質的に含まない高固形分水性ポリウレタン分散体を含むパーソナルケア組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一態様において、本発明は、有機溶剤及び第三アミンを実質的に含まない高固形分水性ポリウレタン分散体と化粧品用として許容され得るエモリエント、界面活性剤、乳化剤、保存剤(preservative)又は希釈剤若しくは増粘剤を含むレオロジー調整剤のうち少なくとも1種を含むパーソナルケア組成物を提供する。
【0006】
「パーソナルケア組成物」は、人間に局所的に適用できるものである。パーソナルケア組成物の例としては、スキンケア製品(例えばフェイシャルクリーム、モイスチャライザー、ローション、サンスクリーン、ファウンデーション、マスカラ、アイライナー、リップスティックなど)、ネイルケア製品(例えばネイルポリッシュ及びコンディショナー)並びにヘアケア製品(スタイリングジェル及びヘアスプレイを含む)が挙げられる。「高固形分」とは、30%より高い、好ましくは35%より高い、好ましくは40%より高い、より好ましくは45%より高い濃度を意味する。「実質的に含まない」とは、このような組成物の成分中に不純物として通常見られるレベルを超えない濃度を有することを意味する。一態様において、「実質的に含まない」は、0.1%未満、好ましくは0.01%未満、又はより好ましくは0.001%未満の濃度を意味する。「化粧品用として許容され得る」は、パーソナルケア組成物に典型的に使用される成分を意味し、パーソナルケア組成物中に典型的に見られる量で存在する場合に有毒である、刺激性である又は不快な臭いを発する物質が本発明の一部と考えられないことを強調するための用語である。
【0007】
一態様において、水性ポリウレタン分散体は、VOCを含まない製造プロセス下で製造される、実質的に第三アミンを含まない高固形分水性ポリウレタン分散体である。このような分散体の製造方法は、米国特許第5539021号、米国特許第568842号、米国特許第5959027号、米国特許第6087440号及び米国特許第6451908号に記載されており、これらの特許の開示全体を、それらの全容が再現されたように本明細書中に組み入れる。好ましい態様において、水性ポリウレタン分散体は、固形分が約45〜60%であり、外部アニオン性及びノニオン性界面活性剤の組合せによって安定化され、脂肪族イソシアネート/ポリエステルポリオールを基材とするポリマーから得られる。好ましい水性ポリウレタン分散体は、脂肪族イソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及びそれらの混合物とポリオールから得られる。ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール若しくはポリエステルポリオール又はそれらの組合せであることができるが、ポリエステルポリオールが好ましい。これらの成分(イソシアネートとポリオール)を合して、プレポリマーを形成する。立体安定化のため及びプレポリマーの分散性の改善のために、少量のエチレンオキシド部分をポリマー主鎖に組み入れることができる。次に、プレポリマーを連鎖延長させて望ましいポリマーを形成する(例えばイソシアネートとポリオールを基材とする1つのプレポリマーは%NCOが0.5〜15%である)。プレポリマーは、化学量論量の水溶性ジアミンを水と一緒に添加することによって延長させることができる。
【0008】
好ましい一態様において、高固形分水性ポリウレタン分散体は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と脂肪族ポリエステルポリオールを含むポリオールとのブレンドからイソシアネートを末端基とする中性プレポリマーを得た後、水性エチレンジアミンで連鎖延長することによって製造する。分散プロセスの間に、外部アニオン性界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いる。分散体は固形分が約48重量%であり、約0.4ミクロンの数平均粒度を有する。同様に、この高固形分水性ポリウレタン分散体は第三アミンを実質的に含まず、VOCを含まない製造プロセス下で製造される。このような分散体は、The Dow Chemical Companyから商業的に入手できる(参考XUR−2005YM248279)。
【0009】
水性ポリウレタン分散体の具体的な濃度は、組成物の個々の最終用途によって異なる。水性ポリウレタン分散体はパーソナルケア組成物中に組成物の以下の性質:耐水性、光沢(shine)、艶消、使用感、外観、保色性又はカール保持性の少なくとも1つを向上させるのに有効な量で存在するのが好ましい。一態様において、水性ポリウレタン分散体は、組成物の約0.02〜約50重量%の量で存在する。一態様において、水性ポリウレタン分散体は組成物の約0.5〜約10重量%の量で存在する。別の態様において、水性ポリウレタン分散体は組成物の約5〜約10重量%の量で存在する。これは範囲の全ての下位組合せ、並びに組成物の5重量%超、6重量%超、7重量%超、8重量%超及び9重量%超を含む。
【0010】
一部の態様において、パーソナルケア組成物はエモリエントを含む。エモリエントは、モイスチャライザー、コンディショナー、オイル又は他の脂肪物質のうち少なくとも1種であることができる。例えば組成物は、エマルジョンの形態である場合には、少なくとも1種のオイル、特に化粧品用として許容され得るオイルを含む少なくとも1つの油相を含む。用語「オイル」は、室温で液体の脂肪物質を意味する。
【0011】
オイルの例としては、動物起源の炭化水素系オイル、例えばスクアレン;植物起源の炭化水素系オイル、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリドのような炭素数4〜10の脂肪酸の液体トリグリセリド、或いは植物起源のオイル、例えばヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油(marrow oil)、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油、又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、MIGLYOL 810、812及び818(Dynamit Nobel製);合成エステル及びエーテル、特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えば式
1COOR2 及び R1OR2
[式中、R1は炭素数8〜29の脂肪酸残基を表し、R2は炭素数3〜30の分岐鎖又は非分岐鎖炭化水素系鎖を表す]のオイル、例えばパーセリン油(purcellin oil)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル並びに脂肪族アルコールのヘプタン酸、オクタン酸及びデカン酸エステル、ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート及びジエチレングリコールジイソノナノエート、ペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート;アミノ酸の親油性誘導体、例えばイソプロピルラウロイルサルコシネート、例えばELDEW SL 205の名称で販売されているもの(Ajinomoto製);鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えば鉱油(石油系炭化水素系油の混合物)、揮発性又は不揮発性流動パラフィン及びそれらの誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、水素化イソパラフィン(若しくはポリイソブテン)、シリコーン油、例えば、室温で液体若しくはペースト状である直鎖若しくは環状シリコーン鎖を含む揮発性若しくは不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)[特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロペンタシロキサン及びシクロヘキサジメチルシロキサン]、側鎖として若しくはシリコーン鎖の末端にアルキル、アルコキシ基若しくはフェニル基(炭素数2〜24)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサン、フルオロオイル(fluoro oil)、例えば部分炭化水素系及び/若しくは部分シリコーン系フッ素油、エーテル、例えばジカプリリルエーテル(CTFA名:ジカプリリルエーテル)並びにC12〜C15脂肪族アルコール安息香酸エステル(Finetex製のFINSOLV TN);それらの混合物が挙げられる。
【0012】
オイルとしては、鉱油、ラノリン油、ココナッツ油及びそれらの誘導体、ココアバター、オリーブ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、アロエエキス、例えばアロエベラリポキノン、ホホバ油、サフラワー油、コーン油、液状ラノリン、綿実油、ピーナッツ油、水素化植物油、スクアラン、ヒマシ油、ポリブテン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、リシン油、ビタミンEアセテート、オリーブ油、シリコーン油、例えばジメチロポリシロキサン及びシクロメチコン、リノレンアルコール、オレイルアルコール並びに穀物胚芽油が挙げられる。
【0013】
他の適当なエモリエントとしては、ジカプリリルエーテル、C12〜C15アルキルベンゾエート、DC 200 FLUID 350シリコーン流体(silicone fluid)(Dow Corning Corp.製)、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、C12〜C15アルコールのオクタン酸エステル及び安息香酸エステル、アルコール及びポリアルコールのオクタン酸エステル及びデカン酸エステル、例えばグリコール及びグリセリルのオクタン酸エステル及びデカン酸エステル、リシノール酸エステル、例えばアジピン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル及びドデカン酸オクチル、マレイン酸ジカプリリル、フェニルトリメチコン並びにアロエベラエキスが挙げられる。固体又は半固体化粧品用エモリエントとしては、ジラウリン酸グリセリル、水素化ラノリン、ヒドロキシル化ラノリン、アセチル化ラノリン、ペトロラタム、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、セチルアルコール、イソステアリルアルコール及びラノリン酸イソセチルが挙げられる。
【0014】
一態様において、エモリエントは、組成物の約0.05〜約20重量%の量で存在する。好ましくは、エモリエントは組成物の約0.1〜約10重量%の量で存在する。
【0015】
一部の態様において、パーソナルケア組成物は乳化剤又は界面活性剤を含む。適当な乳化剤は、両性、アニオン性、カチオン性及びノニオン性乳化剤から選ばれ、単独又は混合物として使用される。アニオン性界面活性剤としては、石けん又は脂肪酸の塩、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、α−オレフィンスルホネート、スルホン酸アルキルアリール、サルコシネート、アルキルグルコースエステル又はそれらのアルコキシレート、具体的にはラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸ナトリウム、イセチオネート及びステアリン酸トリエタノールアミンが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、メチルグルコースステアレート若しくはそれらのエトキシレート、アルキルポリグルコシド及びグリセロールモノステアレート、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアリールポリグリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、具体的にはココイルジエタノールアミド、ノノキシノール−7及びオクトキシノール−9が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、エチレンジアミンの四級化アミド、アルキルピリジニウム塩、具体的には塩化セトリモニウム、塩化ステアラルコニウム及びセチルピリジニウムクロリドが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルβ−アミノプロピオネート、ベタイン、アルキルイミダゾリン、具体的にはコカミドプロピルベタイン及びカプロアムホカルボキシプロピオネート(caproam phocarboxy propionate)が挙げられる。疎水性部分を含むポリマーカチオン性乳化剤が好ましく、その例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なポリクオタニウム−24及びポリクオタニウム−67(SOFTCATTM)が挙げられる。
【0016】
乳化性界面活性剤を含まない又は組成物の総重量に対して0.5%未満の乳化性界面活性剤を含むエマルジョンもまた、適当な化合物、例えばCARBOPOL 1342ポリマー(Noveon)、PEMULENポリマー(Noveon)、SEPIGEL 305ポリアクリルアミド/C13〜C14イソパラフィン/ラウレス−7(Seppic)、イオン性又は非イオンポリマーの粒子、アニオン性ポリマー、例えばイソフタル酸、スルホイソフタル酸ポリマー及びフタレート/スルホイソフタレート/グリコールコポリマー(例えばEastman AQジグリコール/CHDM/イソフタレート/SIPコポリマー(Eastman Chemical製AQ35S、AQ38S、AQ55S及び/又はAQ48 Ultra)の名称でEastman Chemicalから販売されているジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4−シクロヘキサンジメタノール)のような乳化特性を有するポリマーの粒子を用いることによって調製できる。シリコーン粒子又は金属酸化物粒子、例えばTiO2などで安定化された乳化剤を含まないエマルジョンも調製できる。
【0017】
界面活性剤は組成物の約0.01〜約10重量%の量で存在できる。一態様において、界面活性剤は組成物の約0.1〜約5重量%の量で存在する。
【0018】
一部の態様において、パーソナルケア組成物は増粘剤を含む。増粘剤の例としては、ポリマー、例えば改質又は非改質カルボキシビニルポリマー、例えばCARBOPOL及びPEMULEN(INCI名:アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー;Noveonから入手可能)の名称で販売されている製品;ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばLUBRAJEL及びNORGEL(Guardian製)又はHISPAGEL(Hispano Chimica製)の名称で販売されている製品;ポリアクリルアミド;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー(場合によっては架橋及び/又は中和されている)、例えばClariantによって販売されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸)(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド);アクリルアミド及びAMPSの乳化架橋アニオン性コポリマー、例えば名称SEPIGEL 305(INCI名:ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス−7;Seppic製)及び名称SIMULGEL 600(INCI名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80;Seppic製)で販売されているもの;ポリサッカライドバイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、カルボガム(carbo gum)、アカシアガム、スクレオグルカン、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギネート;セルロース、例えば微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;会合性ポリマー、例えば会合性ポリウレタン;親水性配列で隔てられた少なくとも2つの炭素数6〜30の炭化水素系親油性鎖を含むコポリマー、例えばSERAD FX1010、SERAD FX1100及びSERAD FX1035(Huls America製)、RHEOLATE 255、RHEOLATE 278及びRHEOLATE 244(INCI名:ポリエーテル−尿素−ポリウレタン;Rheox製)、DW 1206F、DW 1206J、DW126B、DW 1206G及びACRYSOL RM2020(Rohm&Haas製)の名称で販売されているポリウレタンが挙げられる。1つの好ましい増粘剤は、The Dow Chemical Companyから入手可能なMETHOCELヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0019】
一態様において、増粘剤は組成物の約0.01〜約10重量%の量で存在する。一態様において、増粘剤は組成物の約0.1〜約2重量%の量で存在する。
【0020】
パーソナルケア組成物は適当な担体又は担体の混合物も含む。担体の型は、組成物の個々の最終用途によって異なる。担体の例としては、例えば脱イオン水若しくは蒸留水のような水;水中油型若しくは油中水型エマルジョンのようなエマルジョン;エタノール、イソプロパノールなどのようなアルコール;プロピレングリコール、グリセリンなどのようなグリコール;又はそれらの組合せが挙げられる。好ましい担体は脱イオン水である。
【0021】
一態様において、本発明のパーソナルケア組成物は、更に、スキンケア用活性物質、ネイルケア用活性物質若しくはヘアケア用活性物質から選ばれた活性成分を含む。活性物質としては、サンスクリーン、皮膚着色剤、医薬物質(例えば抗炎症薬、抗生物質、局所麻酔薬、抗真菌薬、角質溶解薬など)、皮膚保護剤、コンディショナー、保湿剤及び紫外線吸収剤が挙げられる。サンスクリーンの例としては、パラアミノ安息香酸、アヴォベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート(homosalate)、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン及び酸化亜鉛、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、ジガロイトリオレエート(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルアミノベンゾエート、ジヒドロキシアセトンを含むローソン(lawsone)、並びに赤色ペトロラタムが挙げられる。
【0022】
一態様において、本発明のパーソナルケア組成物は更に少なくとも1種の追加成分を含む。任意的な成分は、パーソナルケア組成物に適当な任意の物質、例えば着色剤、保存剤、pH調整剤、還元剤、フレグランス、発泡剤、日焼け剤(tanning agent)、脱毛剤、フレーバー、収斂剤、防腐剤、消臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、漂白剤、美白剤、ふけ防止剤、接着剤、艶出剤、強化剤、充填剤、遮断材及び殺生物剤を含む。
【0023】
着色剤は、特にメーキャップに使用される顔料、金属酸化物顔料、二酸化チタン(任意的に表面処理されている)、酸化ジルコニウム若しくは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色酸化鉄)、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、カーボンブラック、バリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムの顔料(例えばD&C若しくはFD&C)、コチニールカーミン;チタン若しくはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ;鉄酸化物を含むチタニウムマイカ;特にフェリックブルー若しくは酸化クロムを含むチタニウムマイカ;有機顔料を含むチタニウムマイカ;オキシ塩化ビスマスを基材とする真珠光沢顔料;ゴニオクロマチック(goniochromatic)顔料、例えば多層干渉構造を有する顔料;反射顔料、例えば銀被覆ガラス基材を含む粒子、ニッケル/クロム/モリブデン合金が被覆されたガラス基材、褐色酸化鉄が被覆されたガラス基材、積み重ねられた少なくとも2つのポリマー層を含む粒子、例えばMIRROR GLITTER(3M製)を含む。
【0024】
染料は、硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、天然染料、例えばカロチン及びビート根ジュース、メチレンブルー、カラメル、タルトラジンの二ナトリウム塩及びフスチン(fuschin)の二ナトリウム塩並びにそれらの混合物のような水溶性染料を含む。親油性染料も任意的に使用できる。
【0025】
保存剤は、アルコール、アルデヒド、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノン、p−ヒドロキシベンゾエート、特にメチルパラベン、プロピルパラベン、グルタルアルデヒド及びエチルアルコールを含む。
【0026】
pH調整剤は、無機及び有機の酸及び塩基、特にアンモニア水、クエン酸、燐酸、酢酸及び水酸化ナトリウムを含む。好ましい態様において、pH調整剤はアミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、トロメタミン、PEG−15コカミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン又はテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンを含む。特に好ましい態様において、pH調整剤はアミノメチルプロパノールである。アミノメチルプロパノールはAngus Chemical Companyから商標名AMP−ULTRAとして入手できる。一態様において、pH調整剤は組成物の約0.01〜約1重量%の量で存在する。一態様において、pH調整剤は組成物の約0.1〜約0.5重量%の量で存在する。
【0027】
還元剤はチオグリコール酸アンモニウム、ヒドロキノン及びチオグリコール酸ナトリウムを含む。
【0028】
フレグランスは、快い香りを与える任意の成分を含む。フレグランスは一般にアルデヒド又はケトンであり、多くの場合、天然物質の抽出によって得られた又は合成的に製造されたオイルである。多くの場合、フレグランスには固定剤(fixative)、増量剤、安定剤及び溶剤のような補助材料が添加されている。
【0029】
殺生物剤は、抗微生物剤、殺細菌剤、殺真菌剤、殺藻剤、殺黴剤(mildicide)、消毒剤、防腐剤及び殺虫剤を含む。
【0030】
このような成分によってもたらされる望ましい性質を達成するのに有効な任意成分の量は、当業者ならば容易に決定できる。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は、説明の目的でのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではない。全ての百分率は、特に断らない限り、重量基準である。
【0032】
例1(実施例)
本発明に係るサンスクリーンローションの実施例は、表Iに列挙した成分を含む:
【0033】
【表1】

【0034】
パートAの成分を合し、均一になるまで混合する。別の容器中で、パートBのメトキシ桂皮酸オクチル、ベンゾフェノン−3、サリチル酸2−エチルヘキシル及び安息香酸C12〜C15アルキル成分を合し、オキシベンゾンが溶解するまで中程度の撹拌を用いて加熱しながら混合する。混合物を45℃まで冷却し、混合を続けながらアクリレートを添加する。パートA及びBを、むらのない非粒状の分散体が得られるまで激しく撹拌しながら加える。
【0035】
パートCをこの分散体に加え、混合をプロペラミキサーで中程度の速度で、例えば800〜1200rpmで約1時間又は充分に混合されるまで続ける。
【0036】
パートDをこの混合物に加え、ローションが均一になるまで混合を続ける。所望ならば、保存剤をパートAの一部とする代わりにこの段階で添加することができる。
【0037】
例2(比較例)
比較のサンスクリーンローションを、表IIに列挙した成分を含む以外は例1に記載したのと実質的に同様のプロトコールを用いて調製した:
【0038】
【表2】

【0039】
例3(実施例)
耐水性試験において、サンスクリーローション0.05mlを、VITRO−SKIN基質(IMS Inc.から入手可能)のきめの粗い人工皮膚表面にシリンジで適用する。次いで、サンプルを、手袋の指を用いて全表面に均等に塗布し、30分間乾燥させる。
【0040】
次に、乾燥サンプルを80mlバイアル中で脱イオン水35gに浸し、振盪機を用いて最大撹拌で20分間振盪する。皮膚上に残ったサンスクリーン剤を50%イソプロピルアルコール溶液で抽出する。同様に、洗浄水中のサンスクリーン剤も抽出する(50%イソプロピルアルコール溶液で)。抽出溶液中のサンスクリーン剤の量をUV分光光度計で測定する。
【0041】
本発明に係るサンスクリーンローションは、例1に記載したのと実質的に同様な成分及びプロトコールを用いて調製した。このローションは、前記と実質的に同様な耐水性試験プロトコールを用いて耐水性に関して例2の比較サンプルと対照して試験した。
【0042】
本発明に係るサンスクリーンローションは、すすぎにおいて3.18%しか失われなかった。これに比較して、比較サンプル1は81.54%、比較サンプル2は4.31%が失われた。更に、サンプル2は、パーソナルケア組成物に望ましくない第三アミンを含む。
【0043】
例4(実施例)
本発明に係るファウンデーションの実施例は、表IIIに列挙した成分を含む:
【0044】
【表3】

【0045】
シクロメチコンを除いたパートAの成分を合し、85℃に加熱する。次いで、溶融された油相にシクロメチコンを加える。
【0046】
パートBの成分を調製するために、CARBOPOL ETD 2020を脱イオン水に加え、60℃に加熱する。これを、ポリマーが分散するまで混合する。
【0047】
エマルジョンを生成するために、パートAとパートBを、約600rpmで混合しながら合する。次に、混合物をAMP(パートC)で中和し、より速い速度で混合する。水性ポリウレタン分散体を添加し、約5分間混合する。顔料分散体をこのエマルジョンに添加し、〜1200rpmで約10分間混合する。次いで、パートFをエマルジョンに添加する。水分損失を補い、pHをAMP−95で7.5に調整する。軽く撹拌しながら、冷却を完了させる。
【0048】
例5(比較例)
表IVに列挙した成分を含む比較ファウンデーションを、例4に記載したのと実質的に同様なプロトコールを用いて調製した:
【0049】
【表4】

【0050】
例6(実施例)
本発明の液体ファウンデーションを、例4に記載したのと実質的に同様な成分及びプロトコールを用いて調製した。このファウンデーションを、官能特性について例5の比較サンプルと対照して試験した。
【0051】
10人のパネリストが、自身の右前腕又は左前腕の所定領域に各サンプル0.05gを塗布した。最初に、各サンプルを、ブレンドし易さ、作用時間(play time)、色の付着均一性、被覆率、吸着速度、光沢、艶消、皮膚湿潤性、重さ、べとつき、粘着性、乾燥の速さ、全体的な皮膚感触及び全体の外観に関して評価した。評価尺度は0〜10とし、10を最良とした。これらの14の基準について、本発明に係るサンプルは、被覆率(約1低い)及びべとつき(約1大きい)を除き、例5の比較サンプルと同様であるか又はより優れた性能を示した。本発明に係るサンプルが例5の比較サンプルよりも優れた性能を示したパラメーターには、重要なパラメーターである全体の外観及び全体的感触が含まれていた。
【0052】
2時間後、各サンプルを再び、今度は被覆率、被覆の均等さ、光沢、艶消、皮膚湿潤性、重さ及び全体の外観について評価した。評価尺度は0〜10とし、10を最良とした。これらの基準に関しては、本発明に係るサンプルは、例外なく例5の比較サンプルより優れた性能を示し、被覆率はほぼ等しかった。全体の外観は、本発明に係るサンプルの方が著しく優れていた。
【0053】
例7(実施例)
本発明のヘアジェルは、表Vに列挙した成分を含む:
【0054】
【表5】

【0055】
CARBOMER 940は、急速に撹拌しながら水に振りかけ、充分に水和されるまで混合する。他の成分を順に合し、室温において500rpmのような適当な撹拌速度を用いて混合する。
【0056】
例8(比較例)
表VIに列挙した成分を含む比較ヘアジェルを、例7に記載したのと実質的に同様なプロトコールを用いて調製した:
【0057】
【表6】

【0058】
例9(実施例)
本発明のヘアジェルを、例7に記載したのと実質的に同様な成分及びプロトコールを用いて調製した。このヘアジェルを、毛髪の堅さ(stiffness)及びカール保持性について、例8の比較サンプルと対照して試験した。
【0059】
前記ヘアスタイリングジェルで処理されたヨーロッパ人の茶色の毛髪の堅さを、室温及び相対湿度50%においてDIA−STRON MTT 170を用いて三点曲げ方式によって測定した。本発明のヘアジェルは604gmfを示し、これはサンプル1(300gmf)又はサンプル2(286gmf)の実質的に2倍の堅さであった。
【0060】
ヨーロッパ人の茶色の毛髪のカール保持性を、カールドループ(Curl Droop)プロトコールを用いて測定する。カールドループプロトコールにおいて、毛髪見本(5g,22インチ)をヘアジェル5gで処理し、次いで直径1インチのカーラーでカールし、それから約22℃及び相対湿度55%において乾燥させる。処理されたヘアからカールを注意深く取り外し、制御された温度(25℃)及び湿度(相対湿度90%)を有する湿度室中でゆっくり伸ばし、毛髪スワッチの長さを24時間にわたって測定する。
【0061】
前記ヘアスタイリングジェルで処理されたヨーロッパ人の茶色の毛髪のカール保持性を、前記カールドループプロトコールと実質的に同様なプロトコールを用いて測定した。サンプル1はカールの30%未満を保持した。サンプル2はカールの90%未満を保持した。これに対して、本発明のヘアジェルはカールの約95.5%を保持した。これは飛躍的な進歩である。
【0062】
本発明は、本明細書中に具体的に開示及び例示した態様に限定されないことがわかる。本発明の種々の修正形態は当業者には明らかであろう。添付した「特許請求の範囲」の範囲から逸脱しないならば、このような変更及び修正を行うことが可能である。
【0063】
更に、記載した範囲はそれぞれ、範囲の全ての組合せ及び下位の組合せ並びにその範囲内に含まれる具体的な数を全て含む。更に、本明細書中に引用又は記載した各特許、特許出願及び刊行物の開示は、引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤及び第三アミンを実質的に含まない高固形分水性ポリウレタン分散体と
化粧品用として許容され得るエモリエント、界面活性剤、乳化剤、保存剤又はレオロジー調整剤のうち少なくとも1種を含んでなるパーソナルケア組成物。
【請求項2】
スキンケア用活性物質、ネイルケア用活性物質又はヘアケア用活性物質から選ばれた活性成分を更に含む請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
着色剤、保存剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、フレグランス、発泡剤、日焼け剤、脱毛剤、フレーバー、収斂剤、防腐剤、消臭剤、制汗剤、昆虫忌避剤、漂白剤、美白剤、ふけ防止剤、接着剤、艶出剤、強化剤、充填剤、遮断材又は殺生物剤のうち少なくとも1種を更に含む請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記pH調整剤がアミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、トロメタミン、PEG−15コカミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン又はテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンである請求項3に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記pH調整剤が前記組成物の約0.01〜約1重量%の量で存在する請求項4に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記pH調整剤が前記組成物の約0.1〜約0.5重量%の量で存在する請求項4に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記水性ポリウレタン分散体がイソホロンジイソシアネート及び脂肪族ポリエステルポリオールを基材とする請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記水性ポリウレタン分散体が前記組成物の約0.02〜約50重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
前記水性ポリウレタン分散体が前記組成物の約0.5〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記水性ポリウレタン分散体が前記組成物の約5〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記エモリエントがモイスチャライザー、オイル又は他の脂肪物質のうち少なくとも1種である請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
前記エモリエントが前記組成物の約0.05〜約20重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項13】
前記エモリエントが前記組成物の約0.1〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項14】
前記乳化剤がアニオン性、ノニオン性、両性又はカチオン性界面活性剤の少なくとも1種である請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項15】
前記乳化剤又は界面活性剤が前記組成物の約0.01〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項16】
前記乳化剤又は界面活性剤が前記組成物の約0.1〜約5重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項17】
前記レオロジー調整剤が水溶性セルロース誘導体、セルロース、澱粉、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー又は水溶性ビニルポリマーの少なくとも1種である請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項18】
前記レオロジー調整剤が前記組成物の約0.01〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項19】
前記レオロジー調整剤が前記組成物の約0.1〜約2重量%の量で存在する請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項20】
前記パーソナルケア組成物が、25℃及び相対湿度90%において24時間を超えて90%より高いカール保持性を示すヘアジェルである請求項1に記載のパーソナルケア組成物。

【公表番号】特表2010−540457(P2010−540457A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526057(P2010−526057)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/077341
【国際公開番号】WO2009/042572
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】