説明

ポリオレフィン発泡体製品の製造方法及び金型

【課題】生産性を向上し、生産コストを低減することができるとともに、表面にデザイン自由度のより高い凹凸模様を形成することができるポリオレフィン発泡体製品の製造方法を提供する。
【解決手段】便座を熱圧成形する金型20のうち、便座の表側を成形する下型22を、アルミニウム粒の凝集体からなり、熱伝導性及び通気性を有する多孔質アルミ金型とする。この下型22と、便座の裏側を成形する上型21とにより、予め所望の形状としたポリエチレン発泡体を熱圧成形する。このとき、ポリオレフィン発泡体の表面で潰された独立気泡から解放される気体を、多孔質アルミ金型からなる下型22の内部の通気性を有する吸引路を通じて外部に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、成形型により熱圧成形されるポリオレフィン発泡体製品の製造方法、及び、この製造方法に使用する金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の製造方法によって製造された合成樹脂発泡体の製品としては、例えば、特許文献1〜3に記載されたものがある。
特許文献1には、ポリオレフィン発泡体を熱圧成形によって2次成形する際に、発泡体の表面部において破壊された気泡から排出される気体を、金型に設けた多数の小孔を通じて外部に放出することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2に記載された簡易座布団は、例えばポリエチレン系発泡体を金型に挟んで熱圧成形することによって成形されている。このとき、金型とポリエチレン系発泡体との間にナイロンジャージが配置され、発泡体の表面の気泡から排出される気体がナイロンジャージの内部空間に逃がされる。これにより、成形中の発泡体の表面と金型の内面との間において気体が偏った状態で溜まることを防止し、この気体溜まりによる欠肉の発生を防止している。なお、成形された簡易座布団の表面にはジャージの模様が転写され、これにより簡易座布団の表面の肌さわり及び美観を向上させるとされている。
【0004】
また、特許文献3に記載された便座は、ポリエチレン系発泡体を金型によって熱圧成形することによって形成されている。このとき、上記特許文献1と同様に、金型と発泡体との間に配置したジャージ等の布により、成形不良の発生が防止される。
【特許文献1】特公昭52−49022号公報
【特許文献2】特開2000−89908号公報
【特許文献3】特開2004−97508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、成形時において軟化した発泡体の一部が小孔に入り込んでしまうため、製品の表面に不要な無数の突起ができてしまう。このため、成形後の製品から多数の突起を除去しなければならず、成形後の処理時間がかかる。また、突起が除去された製品の表面に多数の突起の除去跡が残るので、見栄えが良くない。
【0006】
また、上記特許文献2,3の製品を製造する場合には、金型に布をセットする時間がかかるため成形工程に要する時間が長くなり、生産性が向上せず、製品コストを低減することができなかった。さらに、1回又は数回の成形によって布に破れ、ほつれ、糸抜け等が発生して使えなくなるので、布を頻繁に新しいものに交換する必要があり、布が消耗品であるとともに廃棄物となるので、コストがさらに増大していた。また、合成樹脂の発泡体製品の表面には、布の模様が転写されるため、発泡体製品の表面模様のデザイン自由度が制約される問題があった。
【0007】
この発明の目的は、生産性を向上し、生産コストを低減することができるとともに、表面にデザイン自由度のより高い凹凸模様を形成することができるポリオレフィン発泡体製品の製造方法を提供することにある。
【0008】
また、同製造方法の実施に直接使用することに適した金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所望形状のポリオレフィン発泡体を金型によって熱圧成形することによってポリオレフィン成形体を得るポリオレフィン発泡体製品の製造方法において、通気性を有する多孔質体によって前記金型の成形面を形成し、熱圧成形によって前記ポリオレフィン発泡体の気泡が潰されることにより解放された気体を、同多孔質体から同金型の外に逃がすことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、熱圧成形中に、前記金型の成形面とポリオレフィン成形体の表面との間から前記多孔質体を介して気体を吸引することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記多孔質体は、金属粒の凝集体からなるとともに、その内部の空隙の大きさが5〜300μmの範囲内の値であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記金属粒は、アルミニウム材からなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、熱伝導性及び通気性を有する多孔質体によって成形面全体が形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記多孔質体は、金属粒の凝集体からなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記凝集体は、アルミニウム材粒をエポキシ系樹脂で結合したものであることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記成形面から前記多孔質体を介して気体を吸引するための吸引路を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明においては、ポリオレフィン発泡体を熱圧成形する金型の内面が、通気性を有する多孔質体によって形成されている。そして、熱圧成形によってポリオレフィン発泡体の気泡が潰されることにより解放された気体が、この多孔質体を通じて金型の外部に排出される。このため、金型の成形面とポリオレフィン発泡体の表面との間に気体溜まりを生じさせない状態でポリオレフィン発泡体を熱圧成形することができるので、気体溜まりに起因する凹みがポリオレフィン発泡体製品の表面に生じることはない。従って、従来とは異なり、ポリオレフィン発泡体と金型との間に気体溜まり解消用の布を配置する必要がなく、成形工程に要する時間を短縮できるので、生産性が向上する。また、金型の内面に所望の凹凸模様を形成することができるので、ポリオレフィン発泡体製品の表面にデザイン自由度のより高い凹凸模様を形成することができる。
【0016】
また、熱圧成形中に、金型の成形面とポリオレフィン成形体の表面との間から多孔質体を介して気体を吸引することが好ましい。この場合には、金型の成形面とポリオレフィン発泡体の表面との間に気体溜まりをより確実に生じさせない状態でポリオレフィン発泡体を熱圧成形することができるので、気体溜まりに起因する凹みをポリオレフィン発泡体製品の表面により確実に生じさせないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、この発明を、便座枠の上面に装着される便座カバーの製造方法に具体化した一実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
図4に示すように、ポリオレフィン成形体としてのポリエチレン成形体からなる便座カバー10は、その表面全体には、図5に示すような格子状の凹凸模様11が形成されている。そして、便座カバー10はポリオレフィン成形体の柔らかさにより、使用感の向上が図られている。また、便座カバー10の表面には、四角錐状の凸部が規則的に配列された凹凸模様11が形成され、この凹凸模様11により、便座カバー10に意匠性が付与されるとともに人の皮膚に対するべたつきやひんやり感が解消されている。
【0018】
次に、上記便座カバー10の製造方法について説明する。
まず、低密度ポリエチレンとエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)とを原料として、平板状のポリエチレン発泡体19(図2に図示)を生成する。この発明における「ポリオレフィン系樹脂」としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の他、エチレンを主成分とする各種共重合体を使用することができる。そのような共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレンとプロピレンとジエン共重合体、エチレンとメチル、エチル、プロピル若しくはブチルの各アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル及びエチレン−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。上記の各種の樹脂の中では、耐熱性に優れ、且つ比較的容易に架橋することができる低密度ポリエチレンが特に好ましい。
【0019】
さらに、ポリオレフィン発泡体の製造方法としては、一般に、メインポリマー、発泡剤、架橋剤及びその他成分の混和物を金型に充填し、加圧、加熱状態でその発泡剤、架橋剤を完全に分解し、その後除圧することにより該混和物を一度に所望の密度に膨張させる1段発泡法が知られている。また、同混和物を1次金型に充填し、加圧下に加熱して1次発泡させ、その後、得られる中間発泡体を常圧で加熱し、2次発泡させて、所望の密度の最終発泡体を得る2段発泡法も知られている。
【0020】
1段発泡法によれば、装置及び操作、手順は簡易、容易で好ましいが、発泡倍率が10倍以上と高い製品を得ようとする場合、一度に所望の高倍率の最終発泡体に膨張させるため、得られた発泡体に割れ等のトラブルが生じる虞もある。一方、2段発泡法においては、発泡倍率の高い製品であっても、一度に発泡膨張させず、2段階に分けて順次発泡膨張させるため、割れ等を生ずることがなく、品質のよい発泡体が得られる。本発明では、これらいずれの方法によっても製品を得ることができ、所望の発泡倍率と品質とによって適宜選択すればよい。なお、このポリエチレン発泡体19は、最終的な製品としての便座カバー10よりも大きく成形されている。
【0021】
次に、このポリエチレン発泡体19を、図1及び図2に示すような金型20によって熱圧成形し、便座カバー10とする。この金型20は、金属の中実体からなる上型21と、多孔質体としてのアルミニウム凝集体からなる下型22とを備えている。上型21は便座カバー10の裏側部分を成形するためのものであって、平滑な成形面を備えるとともにその外面には上型21に熱を加えるための熱板23が設けられている。熱板23は、外部から供給される加熱蒸気によって加熱され、上型21に熱を加える。
【0022】
一方、下型22は、便座カバー10の表側を成形するためのものであって、その外面には、上型21と同様の熱板23が設けられている。下型22は、アルミニウム材からなる熱伝導性が高い金属粒を、エポキシ樹脂をバインダとして用いて結合することによって形成されており、内部の空隙の大きさは5〜300μmの範囲内の値とされて通気性を有している。このため、下型22の表面は、梨地状態となっている。また、下型22において、そのキャビティ24内の成形面と、吸引用の孔25を除く表面全体は、下型22の内部と外部との間での気体の出入りを遮断する接着フィルム26によって被覆されている。これにより、キャビティ24の成形面と孔25との間は、下型22の内部に形成される通気性の吸引路を通じて連通されている。そして、図示しない吸引ポンプによって孔25から気体を吸引すると、下型22内の吸引路を通じてキャビティ24の成形面から気体が吸引されるようになっている。
【0023】
なお、この吸引路を、複数設けることもできる。すなわち、吸引用の孔25が1つの場合、この孔25から遠くなるほど吸引力が弱くなる。このため、気体溜まりが発生する位置が複数ある場合には、この各位置に対応するように吸引路を複数設けることにより、各気体溜まりから効率良く気体を吸引することができる。
【0024】
また、下型22の強度を維持できる範囲で、下型22の下面を図3(a),(b),(c)に示すように刳り抜き、キャビティ24から吸引路までの肉厚を薄くすることが好ましい。刳り抜かれた空間27は、キャビティ面を下面に透視したおよその位置とすることが好ましく、特には、シボ加工を施す意匠面に相当する裏面の位置とすることがより好ましい。そして、下型22の裏面側に刳り抜かれた空間27は、下型22の裏面に取着される熱板23によって密閉される。従って、成形時に吸引を行った場合、上記空間27を介して薄肉の多孔質金型のキャビティ面を吸引することになる。すなわち、吸引時の圧力損失を小さく、吸引用の孔25が1つであってもキャビティ面を一定の吸引力以上で吸引できる。
【0025】
さらに、下型22におけるキャビティ24の内面には、便座カバー10の表面に凹凸模様11を付けるための図示しない凹凸模様がエッチングやNC加工によって形成されている。
【0026】
なお、下型22は、電鋳型にレーザで穿孔し、さらに表面層として電気鋳造を行って電鋳型としたものや、反転モールドに針等の孔形成材を埋め込んで電気鋳造を行って所定の厚さとした後、孔形成部材を除去したものであってもよい。あるいは、下型22は、粒径の異なる溶融樹脂で作成した母型の表面に超音波を照射することによって型表面の溶融樹脂の粒子を配列させるとともに、母型を加熱して部分的に溶融接着させることで内部に連続通路を形成させたものや、樹脂層と無機物の焼結層とが積層されてなる空洞組織を有する焼結金型であってもよい。
【0027】
上記ポリエチレン発泡体19は、この金型20によって熱圧成形される。このとき、成形中のポリエチレン発泡体19における表面の独立気泡が潰され、その気泡からキャビティ24内に気体が解放される。この気体は、下型22のキャビティ24の成型面とポリエチレン発泡体19の表面との間から吸引路を通じて金型20の外部に排出される。これにより、ポリエチレン発泡体19は、キャビティ24の成形面とポリエチレン発泡体19の表面との間に気体溜まりを生じさせない状態で熱圧成形される。
【0028】
以上のようなポリオレフィン発泡体からなる便座カバー10の製造方法においては、ポリエチレン発泡体19を熱圧成形する金型20の下型22をアルミニウム粒の凝集体によって形成する。そして、熱圧成形中にポリエチレン発泡体19の独立気泡が破壊されて散逸する気体は、下型22のキャビティ24の成形面から吸引路を通じて金型20の外部に排出される。このため、キャビティ24とポリエチレン発泡体19の表面との間に気体溜まりを生じさせない状態でポリエチレン発泡体19を熱圧成形することができるので、気体溜まりに起因する凹みが表面にない便座カバー10を製造することができる。また、熱圧成形されたポリエチレン発泡体の表面層は、独立気泡が潰されるとともに樹脂分が熱融着した高密度なスキン層となる。従って、従来とは異なり、ポリエチレン発泡体19と金型20の内面との間に気体溜まり解消用の布を配置する必要がなく、便座カバー10の生産性を向上できるとともに生産コストを低減することができる。さらに、消耗品及び廃棄物となる気体溜まり解消用のジャージ等の布が不要なので、生産コストがさらに低減される。また、金型20のキャビティ24の内面に所望の凹凸模様を形成できるので、便座カバー10の表面にデザイン自由度のより高い凹凸模様を形成することができる。さらに、熱圧成形時に、下型22の成形面と便座カバー10との間に生じる気体溜まりから下型22内の吸引路を介して気体の吸引を行うことにより気体溜まりをなくすので、彫りの深い複雑な凹凸模様を形成することができ、デザイン自由度がさらに高くなる。
【0029】
次に、上記ポリオレフィン発泡体製品の製造方法の実施例1〜4について比較例1,2とともに説明する。
【実施例】
【0030】
この実施例1〜4及び比較例1,2は、厚さ20mm、直径115mmに打ち抜き加工したポリエチレン発泡体から、厚さ15mm、直径100/110mmのポリエチレン発泡体製品を作成したものである。
【0031】
実施例1〜4及び比較例1,2の成形条件は、表1に示すように設定されている。すなわち、実施例1の多孔質アルミ金型は、平均粒径15μmのアルミニウム粒の凝集体からなる金型原型を数値制御切削装置によって切削加工することにより製作されている。また、実施例2,4の多孔質アルミ金型には、実施例1と同様にして製作した金型の内面にエッチングによって皮しぼ模様が形成されている。また、実施例3の多孔質アルミ金型は、表面に花柄模様が形成されたマスターから、平均粒径15μmのアルミニウム粒の凝集体を反転鋳造することによって製作されている。また、実施例1〜4の多孔質アルミ金型の密度は、1.6〜2.0g/cmであり、その通気度は、0.07〜7.59Liter/cm・min.、より好ましくは、0.21(板厚30mm、0.2barの圧損に対して)〜1.12Liter/cm・min.(板厚30mm、2.0barの圧損に対して)とされている。なお、キャビティ24を加工する前の金型に使われる板材は、Portec社製の商品コードMETAPOR BF100ALである。さらに、実施例4においては、実施例2の成形条件に加えて、成形中に金型の内面から気体を吸引する作業を行った。
【0032】
一方、比較例1のアルミ金型は、一般的なアルミニウム中実体からなる金型である。また、比較例2の多孔質アルミ金型は、平均粒径400μmのアルミニウム粒の凝集体からなる金型原型を数値制御切削装置によって切削加工することにより製作されている。
【0033】
【表1】

また、各実施例1〜4及び各比較例1,2では、それぞれの金型を用い、見掛け密度及び25%圧縮硬さの異なる3種類のポリエチレン発泡体からポリエチレン発泡体製品をそれぞれ製造した。このとき、金型による熱圧成形時の加熱条件及び冷却条件を、ポリエチレン発泡体の種類毎に好適に設定した。そして、各実施例1〜4及び各比較例1,2において製造した各ポリエチレン発泡体製品について、欠肉に起因する凹み、又は、金型における成形面の微小凹凸の転写が生じているか否かを目視で判定した。
【0034】
その結果、表1に示すように、アルミニウム粒の平均粒径が15μmである凝集体からなる多孔質アルミ金型を用いて熱圧成形した実施例1〜4のポリエチレン発泡体製品においては、その表面に凹みや微小凹凸の転写を生じさせることはなく、良好な外観の製品となった。これは、ポリエチレン発泡体を金型によって熱圧成形するときに、ポリエチレン発泡体の表面において潰された独立気泡から放出された気体が多孔質アルミ金型を通じて外部に排出されるためである。なお、実施例1〜4のポリエチレン発泡体製品については、その体積が小さいため、吸引を行わずとも金型の内側から気体が自然に排出された。しかし、上記便座カバー10については、その体積がより大きいため、下型22の成形面とポリエチレン発泡体19の表面との間に生じる気体溜まりから気体を確実に排出させるために、下型22の吸引路を介した気体の吸引を行うのが好ましい。
【0035】
一方、一般的なアルミニウム中実体からなるアルミ金型を用いて熱圧成形した比較例1のポリエチレン発泡体製品においては、金型内に溜まった気体による凹みがその表面に生じた。また、アルミニウム粒の平均粒径が400μmである凝集体からなる多孔質アルミ金型を用いて熱圧成形した比較例2のポリエチレン発泡体製品においては、凹みはできないものの、成形型の成形面の微小凹凸がその表面に転写された。
【0036】
従って、平均粒径が15mのアルミニウム粒を焼結した多孔質アルミ金型を用いてポリエチレン発泡体を熱圧成形すれば、欠肉による凹みや、金型の成形面の凹凸の転写のない良好な表面のポリエチレン発泡体製品を得ることができる。
【0037】
なお、下型22全体を多孔質体とせずに、キャビティ24の周囲を含む一部のみを多孔質体とするとともに残りの部位を例えばアルミニウムの中実体としてもよい。
また、この発明を、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン成形体からなる玩具、教材、文具、OA用品等の雑貨製品や、風呂用品、トイレ用品、台所用品等のサニタリー関連製品、保護パッド、衝撃吸収パッド等のスポーツ関連製品、衝撃吸収パッド等の車両関連製品の製造方法に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】一実施形態のポリエチレン発泡体製品の成形に用いられる金型を示す斜視図。
【図2】金型を用いた成形工程を示す模式図。
【図3】(a)は、金型の変形例を示す正面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく底面図。
【図4】便座カバーを示す斜視図。
【図5】便座カバーの表面の模様を示す図。
【符号の説明】
【0039】
10…ポリオレフィン成形体としての便座カバー、19…ポリエチレン成形体、20…金型、21…下型、22…上型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望形状のポリオレフィン発泡体を金型によって熱圧成形することによってポリオレフィン成形体を得るポリオレフィン発泡体製品の製造方法において、
通気性を有する多孔質体によって前記金型の成形面を形成し、熱圧成形によって前記ポリオレフィン発泡体の気泡が潰されることにより解放された気体を、同多孔質体から同金型の外に逃がすことを特徴とするポリオレフィン発泡体製品の製造方法。
【請求項2】
熱圧成形中に、前記金型の成形面とポリオレフィン成形体の表面との間から前記多孔質体を介して気体を吸引することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン発泡体製品の製造方法。
【請求項3】
前記多孔質体は、金属粒の凝集体からなるとともに、その内部の空隙の大きさが5〜300μmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィン発泡体製品の製造方法。
【請求項4】
前記金属粒は、アルミニウム材からなることを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィン発泡体製品の製造方法。
【請求項5】
熱伝導性及び通気性を有する多孔質体によって成形面全体が形成されたことを特徴とする金型。
【請求項6】
前記多孔質体は、金属粒の凝集体からなることを特徴とする請求項5に記載の金型。
【請求項7】
前記凝集体は、アルミニウム材粒をエポキシ系樹脂で結合したものであることを特徴とする請求項6に記載の金型。
【請求項8】
前記成形面から前記多孔質体を介して気体を吸引するための吸引路を設けたことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−176053(P2007−176053A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378301(P2005−378301)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】