説明

ポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法およびポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体

【課題】広い見掛け密度範囲にわたって良好なポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体を製造することができる発泡ブロー成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂Aと発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、発泡ブロー成形体を製造する方法であって、ポリカーボネート系樹脂Aが、特定の平均分子量を有する末端水酸基量が多い分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと、特定の平均分子量を有する末端水酸基量が少ない直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと、分岐化剤Dとからなり、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとの質量比(B:C)が、30:70〜95:5であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡パリソンをブロー成形するポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法およびポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート系樹脂は、ポリスチレン等に比べて、発泡温度付近での溶融粘度が非常に高く、押出機の圧力が極端に上昇するため、押出発泡すること自体が困難であった。しかも、そのときの溶融張力がポリスチレン等の樹脂に比べて非常に小さいため、気泡が成長する際に気泡が壊れやすく、発泡倍率は不十分で気泡径は不均一なものとなりやすかった。そのため、ポリカーボネート系樹脂の発泡ブロー成形品の発泡倍率は、せいぜい1.3倍程度でしかなく、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂の場合のように、高発泡倍率で優れた発泡ブロー成形品は得られていなかった。
【0003】
そこで、分岐構造を有するポリカーボネート系樹脂を主体とする特定の溶融張力を有するポリカーボネート系樹脂を用いて発泡パリソンを形成することにより、十分な発泡倍率を有する発泡ブロー成形体が得られるようになった(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、市販されている分岐ポリカーボネート系樹脂に特定の分岐化剤を添加して変性した変性ポリカーボネート樹脂を用い、大断面積のダイ出口から押出発泡することにより、高発泡倍率で断面積が大きい板状発泡体であって、幅方向端部の圧縮強度が大きい板状発泡体が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−033643号公報
【特許文献2】特開2008−144084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法であっても、発泡ブロー成形体をさらに高発泡倍率化、薄肉化、気泡微細化しようとすると、成形体の独立気泡率が低下しやすく、また、成形体の肉厚が不均一となりやすく、それらの場合において良好な発泡ブロー成形体を得るという点では改善の余地があった。
また、特許文献2の変性ポリカーボネート系樹脂を用いて発泡ブロー成形体を得ようとしても、変性ポリカーボネート系樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、良好な発泡パリソンを形成すること自体が難しく、やはり良好な発泡ブロー成形体が得られなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決して高見掛け密度から低見掛け密度まで広い密度範囲にわたって高い独立気泡率を有する良好なポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体を製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする発泡パリソンを型内で成形して発泡ブロー成形体を得る方法において、特定のポリカーボネート系樹脂を押出して発泡パリソンを形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)に記載する発明を要旨とする。
【0009】
(1)ポリカーボネート系樹脂Aと発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、発泡ブロー成形体を製造する方法であって、ポリカーボネート系樹脂Aが、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.5×10〜7.0×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が0.63〜0.70であると共に、末端水酸基量が500質量ppm以上である分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10未満、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が0.62以下であると共に、末端水酸基量が250質量ppm以下である直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと、分岐化剤Dとからなり、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとの質量比(B:C)が、30:70〜95:5であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
(2)発泡ブロー成形体の発泡層のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10〜10×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する発泡ブロー成形体の発泡層の重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が1.0以上であることを特徴とする上記(1)に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
(3)分岐化剤Dがエポキシ基を有するアクリル系重合体であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
(4)発泡剤が無機物理発泡剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
(5)上記(1)の製造方法により得られる発泡ブロー成形体であって、発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.8g/cm、平均肉厚が0.5〜10mm、かつ独立気泡率が60%以上であり、発泡ブロー成形体の発泡層のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10〜10×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する発泡ブロー成形体の発泡層の重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が1.0以上であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。
(6)発泡ブロー成形体の肉厚の変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする上記(5)に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。
(7)発泡ブロー成形体の平均気泡径が0.1〜1mmであることを特徴とする上記(5)または(6)に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。
【発明の効果】
【0010】
ポリカーボネート系樹脂Aと発泡剤とを押出機にて溶融、混練して発泡性溶融樹脂とし、該発泡性溶融樹脂をダイから押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形することにより発泡ブロー成形体を製造するに当たって、ポリカーボネート系樹脂として、特定比率の末端水酸基数が多い分岐状ポリカーボネート系樹脂Bおよび末端水酸基数が少ない低粘度の直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと、分岐化剤Dとを溶融混練してなるポリカーボネート系樹脂を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、ポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体(以下、発泡ブロー成形体ということがある)を製造することにより、ポリカーボネート系樹脂の優れた機械的強度などの特性や成形性を実質的に損なうことなく、ポリカーボネート系樹脂の発泡性およびブロー成形性を向上させることができるため、広い見掛け密度範囲にわたって高い独立気泡率を有し、優れた成形体肉厚の均一性および表面状態を有する良好なポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体を得ることが可能になる。本発明の製造方法によって得られた発泡ブロー成形体は、軽量でありながらも曲げ強さや耐衝撃性などの機械的強度に優れ、ポリカーボネート系樹脂が本来有している耐熱性、耐寒衝撃性にも優れることから、自動車や電気電子部品、容器等の各種用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法は、ポリカーボネート系樹脂と発泡剤とを溶融、混練してなる発泡性溶融樹脂を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態の該発泡パリソンを金型にて挟み込み、次いで発泡パリソンの内部にブローエアと呼ばれる空気などの圧縮気体を吹き込んで発泡パリソンの外面を金型内面に押し付けて、発泡パリソンを金型の形状どおりにブロー成形して発泡ブロー成形体を得る方法である。
【0012】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法において、特定比率の末端水酸基の数が多い分岐状ポリカーボネート系樹脂(分岐状ポリカーボネート系樹脂B)および末端水酸基の数が少ない低粘度の直鎖状ポリカーボネート系樹脂(直鎖状ポリカーボネート系樹脂C)と、分岐化剤(分岐化剤D)とを溶融混練してなるポリカーボネート系樹脂Aを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、ポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体を製造することにより、発泡時に気泡の破泡を防いで独立気泡構造の発泡パリソンを形成することができ、かつブロー成形されるまでの軟化状態において発泡パリソンの気泡構造を維持することが可能となり、さらにブロー成形時にも発泡パリソンの気泡構造を維持することが可能となるため、成形体の見掛け密度が低い場合であっても、或いは気泡径を従来よりも小さくした場合であっても、高い独立気泡率を有し、かつ表面状態に優れる成形体を得ることが可能となった。
【0013】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法において、特定のポリカーボネート系樹脂から発泡パリソンを形成することにより、その発泡性およびブロー成形性が向上した要因は以下のように推察される。
発泡ブロー成形においては、独立気泡率が高く肉厚の均一性にも優れる成形体を得るためには、発泡状態に優れ、かつブロー成形時に均一に伸ばされる発泡パリソンを形成する必要がある。発泡パリソンを形成するためには、クリアランスの狭いダイ出口から、発泡適正温度でかつ短時間で発泡性溶融樹脂を押出す必要があるが、そのためには、発泡性溶融樹脂が発泡適正温度において短時間で押出可能な適度な流動性と、発泡時およびブロー成形時に気泡が破壊されないだけの十分な溶融張力が必要となる。
溶融張力の高いポリカーボネート系樹脂として、重合時に分岐化された分岐状ポリカーボネート系樹脂が市販されている。特定の溶融張力を有するポリカーボネート系樹脂から発泡パリソンを形成することにより、比較的高発泡倍率のブロー成形体を得ることが可能となったが、さらに高発泡倍率化したときや、薄肉化したとき、気泡を微細化したときに、成形体の独立気泡率が低下しやすく、また肉厚の均一性も低下しやすく、良好な発泡ブロー成形体を得るという点では改善の余地があった。
【0014】
発泡時およびブロー成形時に気泡の破壊を防ぐ手段として、ポリカーボネート系樹脂をさらなる高分岐化して溶融張力をさらに向上させる方法が考えられる。しかしながら、分岐化剤を用いて分岐ポリカーボネート系樹脂を変性することによりポリカーボネート系樹脂にさらに高度な分岐構造を導入し、樹脂の溶融張力をさらに高めることは可能であるが、分岐度を高めると、分子量(溶融粘度)も高くなりすぎるため、適正な発泡温度にて発泡性溶融樹脂を押出すこと自体が困難になる。また、発泡ブロー成形においては、アキュームレータ方式を用いた間欠押出が採用されるが、ポリカーボネート系樹脂の分岐度が高くなると溶融粘度の剪断速度依存性が大きくなり、低剪断速度側(アキュームレータ押出開始時)における溶融粘度がさらに高くなるため、発泡性溶融樹脂を押出することがさらに困難になる。ここで、分子量が高くても溶融張力が高ければ、押出時の適正樹脂温度よりも樹脂温度を高めることで、一応は発泡パリソンを形成することが可能とはなるが、このようにして得た発泡パリソンはブロー成形性が悪く、やはり得られる発泡ブロー成形体の肉厚の均一性が低下したり、表面状態が悪くなってしまう。
【0015】
本発明においては、特定比率の末端水酸基の数が多い分岐状ポリカーボネート系樹脂(分岐状ポリカーボネート系樹脂B)および末端水酸基の数が少ない低粘度の直鎖状ポリカーボネート系樹脂(直鎖状ポリカーボネート系樹脂C)と、分岐化剤(分岐化剤D)とを溶融混練してなるポリカーボネート系樹脂Aを含む発泡性溶融樹脂組成物から発泡パリソンを形成し、ポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体を製造する。
ポリカーボネート系樹脂Aが発泡ブロー成形性に優れる理由は定かではないが、その理由は以下のように推察される。まず、末端水酸基を多く含む分岐状ポリカーボネート系樹脂Bが分岐化剤Dと反応することによってさらに分岐化されて分岐度が極めて高いポリカーボネート系樹脂が形成される。分岐度の極めて高いポリカーボネート系樹脂は、その自由体積が小さくなり、溶融粘度のせん断速度依存性が高くなる。ここで、末端水酸基の数が少なく、かつ相対的に低粘度の直鎖状ポリカーボネート系樹脂が混合されるが、当該直鎖状ポリカーボネート系樹脂は末端水酸基の数が少ないために分岐化剤Dとは反応せずに、前記の高度に分岐化されたポリカーボネート系樹脂とは結合せず混合状態となると考えられる。すなわち、ポリカーボネート系樹脂Aは、分岐度が極めて高いポリカーボネート系樹脂Bと、相対的に粘度が低い直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとの混合物となっているものと推察される。そのため、該混合樹脂は、分岐度が極めて高いポリカーボネート系樹脂による高い溶融張力と、粘度が低い直鎖状ポリカーボネート系樹脂による溶融時の流動性と低剪断速度側から高剪断速度側まで溶融粘度変化が小さいという特性を併せ持つこととなり、その結果、発泡パリソンの発泡性およびブロー成形性を向上させることが可能となったものと推察される。
【0016】
ポリカーボネート系樹脂とは、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリ炭酸エステルを意味し、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導される芳香族ポリカーボネート系樹脂から選択することができる。
【0017】
ポリカーボネート系樹脂の平均分子量の測定において、従来の紫外分光光度計(UV)などの検出器を用いた、ゲルパーミューションクロマトグラフ法(以下「GPC」という。)で求められる重量平均分子量は、既知の分子量を有する標準ポリマーとの比較により求められる換算重量平均分子量であり、例えば標準ポリマーとして直鎖のポリスチレンを用いた場合には、ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、Mw(PS)とも言う。)として求められる。この分子量Mw(PS)は溶融加工時の流動性等の指標となるが、そのポリマー本来の分子量を正確には表しておらず、ポリマー中に分岐構造が存在する場合には相対的に小さな値となる。
一方、重量平均絶対分子量(以下、Mw(abs)とも言う。)とは、ポリマーの真の重量平均分子量である。したがって、Mw(abs)/Mw(PS)は、ポリマーの分岐度が高いほど大きな値をとる。
【0018】
重量平均絶対分子量は、示差屈折計と、光散乱検出器と、必要に応じて粘度計とを組み合わせた検出器を用いることにより測定することができる。測定原理は、以下のとおりである。まず、ポリマー溶液にレーザー光を照射しレイリー散乱光を測定し、縦軸にKC/R(θ)、横軸にsin(θ/2)をプロット(Debyeプロット)すると直線関係が得られ、縦軸の切片から重量平均絶対分子量Mw(abs)が計算できる。ここで、Kは光学定数、Cは溶液の濃度、R(θ)は散乱角θにおける散乱光の相対強度である。
光散乱検出器には、低角度光散乱検出器(LALLS)、多角度光散乱検出器(MALLS)、直角光散乱検出器(RALLS)がある。本発明においては、GPC−RALLS−粘度計分析法を採用し、重量平均絶対分子量を求めた。
【0019】
本発明におけるポリカーボネート系樹脂の重量平均絶対分子量(Mw(abs))及びポリスチレン換算重量平均分子量(Mw(PS))は、例えば、以下のような測定装置及び測定条件を採用して求めることができる。
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw(PS))の測定には、検出器として、紫外分光光度計を使用し、重量平均絶対分子量(Mw(abs))の測定には、検出器として、示差屈折率検出器−RALLS−差圧粘度検出器のトリプル検出器を使用する。
装置:GPC仕様高速液体クロマトグラフ(ジーエルサイエンス社製)
カラム:Shodex GPC KF−806、KF−805、KF−803(昭和電工(株)製)を直列に接続
検出器:UV(紫外分光光度計) UV702((株)ジーエルサイエンス製)、RI(示差屈折率検出器) Shodex RI−101(昭和電工(株)製)、Visc(差圧粘度検出器)およびRALLS(90°光散乱検出器) TDA Moel270(Viscotek社製)
移動相:テトラヒドロフラン(流量 1.0ml/min)
試料濃度:約1.5mg/cm
試料注入量:200μL
カラム槽温度:40℃
RI温調:40℃
UV測定波長:254nm
RALLS光源波長:670nm
【0020】
分岐状ポリカーボネート系樹脂Bのポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)(以下、「分子量Mw(PS)」、又は単に「Mw(PS)」とも言う。)は、5.5×10〜7.0×10である。分岐状ポリカーボネート系樹脂Bの分子量Mw(PS)が上記範囲内であることにより、得られる発泡ブロー成形体の発泡層、すなわち押出時のポリカーボネート系樹脂Aの分岐度を高い値に維持しながらも、その重量平均分子量を発泡ブロー成形に適した範囲とすることができる。かかる観点から、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bの分子量Mw(PS)は、5.5×10〜6.8×10であることが好ましく、より好ましくは5.5×10〜6.5×10である。
【0021】
一般に市場から入手できる分岐状ポリカーボネート系樹脂の、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)(以下、分岐度Bとも言う。)は0.63〜0.70である。なお、当該分子量の比が大きければ大きいほど、ポリマー中に存在する分岐の数が多いことを意味する。本発明の目的を達成するためには、分岐度Bの値は大きいほど好ましく、0.65以上であることが好ましい。
【0022】
直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cのポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)(以下、「分子量Mw(PS)」、又は単に「Mw(PS)」とも言う。)が5.0×10未満である。ポリカーボネート系樹脂Aの成分として、分子量が比較的小さい直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cを含むことにより、分岐化剤Dにより変性された分岐状ポリカーボネート系樹脂由来の優れた発泡性を維持しつつ、ポリカーボネート系樹脂Aの溶融粘度を低下させることができ、さらに低剪断速度側から高剪断速度側まで溶融粘度変化を少なくすることが可能になる。特に低剪断速度側での流動性を向上させることにより、発泡に必要な十分な吐出速度を確保しながらも剪断発熱を抑制し、気泡の破泡を防ぐことができ、その結果、高い独立気泡率を有する発泡ブロー成形体を製造することが可能になると考えられる。かかる観点から、ポリカーボネート系樹脂Cの分子量Mw(PS)は3.0×10〜4.5×10であることが好ましく、3.0×10〜4.0×10であることがより好ましい。
【0023】
通常、直鎖状ポリカーボネート系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)(以下、分岐度Cとも言う。)は0.62以下を示す。本発明の目的を達成するためには、分岐度Cの値は小さいほど好ましく、0.60以下であることが好ましく、より好ましくは0.58以下である。分岐度Cの値の下限は、概ね0.50程度である。
【0024】
分岐状ポリカーボネート系樹脂Bの末端水酸基量は500質量ppm以上である。通常のポリカーボネート系樹脂は、加工時のポリカーボネート系樹脂の分解を抑制するためにその末端水酸基が封止され、末端水酸基の量が少なくされている。前述した通り、分岐化剤Dを用いて反応押出によってポリカーボネート系樹脂を分岐化するためには、末端水酸基が多く残っているポリカーボネート系樹脂を使用する必要がある。従って、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bの末端水酸基量が500質量ppm以上である場合には、分岐化剤Dで変性することにより分岐度をさらに高めることができる。効果的に変性後のポリカーボネート系樹脂の分岐度を高めることができるため、ポリカーボネート系樹脂Bの末端水酸基量は650質量ppm以上であることが好ましく、800質量ppm以上であることがより好ましい。ただし、末端水酸基量があまりにも多すぎると、押出機内で樹脂が分解しやすくなってしまうため、末端水酸基量の上限は2000質量ppmであることが好ましい。
【0025】
直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cの末端水酸基量は250質量ppm以下である。直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとしてこのような末端水酸基量の少ないポリカーボネート系樹脂を使用すると、分岐化剤Dの存在下でも、直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cが分岐化剤Dにより変性されず、或いは殆ど変性されず、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとが結合することがないので、効果的に上記剪断速度依存性を改良することができるものと考えられる。かかる観点から、直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cの末端水酸基量は150質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましい。なお、末端水酸基量の下限は0質量ppmである。
【0026】
本発明において、末端水酸基量は、四塩化チタン/酢酸法(Makromol Chem.vol.88 p215(1965))による比色定量法により求めた値であり、その測定値はポリカーボネート系樹脂質量に対する末端水酸基質量を質量ppm単位で表示した値である。
【0027】
上記分岐化剤Dとは、ポリカーボネート系樹脂の末端水酸基と反応し得る官能基(例えば、エポキシ基やカルボキシル基など)をその分子中に3以上有する化合物であり、例えば、3官能以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体やカルボン酸等を挙げることができる。
【0028】
前記エポキシ基を有するアクリル系重合体としては、数平均分子量が2.0×10〜4.0×10、かつエポキシ価が1.5meq/g以上の重合体を好適に使用することができる。前記カルボン酸として、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリメチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物(トリメリット酸無水物)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸無水物)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらから誘導される混合物が挙げられる。
【0029】
分岐化剤Dの添加量は、ポリカーボネート系樹脂の種類やそのブレンド比率、分岐化剤の種類(分岐化の反応性は官能基の種類や数によって変わる)によって大きく変わるため、一概に定めることはできないが、例えば、分岐化剤Dが前記エポキシ基を有するアクリル系重合体で、数平均分子量が2.0×10〜4.0×10、かつエポキシ価が1.5meq/g以上である場合に、該分岐化剤の添加量は、変性前のポリカーボネート系樹脂B100質量部に対して0.5〜4.5質量部であることが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法により製造される発泡ブロー成形体の発泡層のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)(以下、「分子量Mw(PS)」、又は単に「Mw(PS)」とも言う。)が5.0×10〜10×10、かつ該分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)(以下、単に「Mw(abs)」とも言う。)の比Mw(abs)/Mw(PS)(以下、分岐度Fとも言う。)が1.0以上と、発泡ブロー成形体の発泡層は、特定の分子量、かつ極めて高い分岐度を有することが好ましい。上記特定の混合樹脂を特定の分子量Mw(abs)および特定の分岐度Fとなるように押出して発泡パリソンを形成すると、上記のごとく優れた発泡性を示し、より良好な発泡ブロー成形体を得ることができる。かかる観点から、発泡ブロー成形体の発泡層の分子量Mw(PS)は、5.0×10〜9.0×10であることがより好ましく、さらに好ましくは5.0×10〜8.5×10である。
優れた発泡性を得るためには、単に分子量Mw(PS)が5.0×10〜10×10かつ分岐度Fが1.0以上であるのではなく、上記特定の混合樹脂からなることが重要である。
なお、ダイから押出される際のポリカーボネート系樹脂Aの分子量Mw(PS)、分岐度Aを直接測定することはできないが、通常は、得られた発泡ブロー成形体の発泡層の分子量Mw(PS)、分岐度Fと同じ値となる。
【0031】
本発明の製造方法により製造される発泡ブロー成形体の発泡層の、Mark−Houwinkプロットにおける高分子量側の傾きSが0.50以下であることが好ましい。Mark−Houwinkプロットとは、GPC−RALLS−粘度計分析によって求められる絶対分子量の対数を横軸とし、固有粘度の対数を縦軸としてプロットしたものである。このプロットにおいて、直鎖状のポリマーでは、log(分子量)とlog(固有粘度)とは直線関係を示すが、分岐状ポリマーでは高分子量側で傾きが変化し傾きが緩やかになる。この傾きの変化によっても、ポリマー中の分岐構造の有無を評価することができ、傾きの値が小さいほど、ポリマー内に存在する分岐の数が多いことを意味する。ここで、ポリカーボネート系樹脂の場合、ポリマー中に分岐構造が存在すると、ポリマーの平均分子量にもよるが、その分子量が1.5×10〜20×10の範囲に傾きが変化するポイントが現れる。上記高分子量側の傾きSとは、この傾きが変化した後の直線関係を示す領域の傾きである。この傾きSが小さければ小さいほど、ポリカーボネート系樹脂中に分岐が多く存在し、発泡性に優れたものとなり、良好な発泡ブロー成形体を製造することができる。かかる観点から、傾きSは0.45以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.40以下である。
なお、直鎖状ポリカーボネート系樹脂の傾きSは通常0.7程度であり、一般に市場で入手できる分岐状ポリカーボネート系樹脂の傾きSは0.6程度である。
【0032】
上記の如く、ポリカーボネート系樹脂Aは、分岐状ポリカーボネート系樹脂B、直鎖状ポリカーボネート系樹脂C、分岐化剤Dとからなるが、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと分岐化剤Dとの混合方法は特に限定されるものではない。例えば、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと分岐化剤Dとを予め溶融混練したもの(以下、ポリカーボネート系樹脂Xということがある)を発泡ブロー用押出機に供給しても、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと分岐化剤Dとをドライブレンドして発泡ブロー用押出機に供給してもよく、さらには、ポリカーボネート系樹脂Xと、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bおよび/または直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cおよび/または分岐化剤Dとを発泡ブロー用押出機に供給しても良い。また、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと分岐化剤Dとを予め溶融混練して分岐化剤Dにて分岐状ポリカーボネート系樹脂Bを変性したものと、直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとをドライブレンドして発泡ブロー用押出機に供給しても、直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと分岐化剤Dとを予め溶融混練したものと、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bをドライブレンドして発泡ブロー用押出機に供給してもよく、上記ポリカーボネート系樹脂Xと併用してもよい。
【0033】
ブロー成形においては、パリソンを金型で挟んでブロー成形するため、成形後の成形体の周囲には金型による食い切り部(パーティングライン)が生じ、この食い切り部から外方に一般にバリと呼ばれる部分が多量に発生する。一般には、このバリを破砕して、またはさらにリペレットするなどして回収原料とし、この回収原料を原料の一部に使用してブロー成形体の製造が行われている。したがって、本発明の製造方法で得られる成形体のバリの部分を回収原料として使用する場合には、その回収原料は、自ずと分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと分岐化剤Dとからなる。
【0034】
分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート樹脂Cとの質量比(B:C)が、30:70〜95:5である。直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cの質量比が少なすぎると、上記発泡性向上効果が十分に得られない。一方、直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cの質量比が多すぎる場合、十分な発泡性向上効果を維持するためには、分岐化剤Dの配合量を増量して分岐状ポリカーボネート系樹脂Bの分岐度をさらに高める必要があるため自ずと分岐度が更に高められた超分岐状ポリカーボネート系樹脂の分子量が高くなり、その結果該超分岐状ポリカーボネート系樹脂と直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとの混練性が悪くなりやすく、やはり発泡性向上効果が十分に得られない。かかる観点から、分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート樹脂Cとの質量比(B:C)は、40:60〜90:10であることが好ましく、より好ましくは50:50〜80:20である。
【0035】
さらに、以下に発泡ブロー成形体の発泡層の好ましい溶融粘度、溶融張力等の物性について記載する。尚、これらの発泡ブロー成形体の発泡層の溶融物性は、押出時のポリカーボネート系樹脂Aの溶融物性に等しい。発泡ブロー成形体の発泡層の250℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度が1.5×10〜1.0×10Pa.sであることが好ましく、より好ましいのは1.5×10〜8.0×10Pa.sである。溶融粘度が上記範囲であると、発泡パリソン押出時の過度の剪断発熱を抑えつつ、発泡パリソンの過度のドローダウンを防ぎやすく、厚み精度や独立気泡率が高い発泡ブロー成形体が得られやすくなる。
【0036】
上記溶融粘度は、十分に乾燥させた(例えば、水分量100質量ppm以下)ポリカーボネート系樹脂に対して、オリフィス径1mm、オリフィス長10mmの条件にて測定される値である。測定装置として、例えば(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dを使用することができる。
【0037】
また、発泡ブロー成形体の発泡層の250℃における溶融張力は、15cN以上であることが好ましく、17N以上であることがより好ましい。溶融張力が上記範囲であると、発泡時或いはブロー成形時の気泡の破壊を効果的に防ぐことができる。溶融張力の上限は、概ね50cN程度である。
【0038】
上記溶融張力は、以下のようにして測定される値である。シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を250℃とし、十分に乾燥させた(例えば、水分量100質量ppm以下)ポリカーボネート系樹脂の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引取速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を溶融張力(cN)とする。引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(cN)の値を採用する。尚、溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。
【0039】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法は、ポリカーボネート系樹脂Aと発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、発泡ブロー成形体を製造することを特徴とする。
【0040】
発泡性溶融樹脂組成物に添加される発泡剤として、物理発泡剤および/又は化学発泡剤が使用される。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素、アルゴン等が挙げられる。また、化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、重曹、重曹とクエン酸との混合物等が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または他の発泡剤と混合して使用することが可能である。
【0041】
本発明においては、これらの発泡剤のうち、無機物理発泡剤がより好ましく、物理発泡剤においては二酸化炭素を50〜100mol%(二酸化炭素のみからなる場合を含む)含有するものが、成形サイクルの短縮や得られる発泡中空成形体の寸法安定性を図ることができるため更に好ましく、二酸化炭素等の無機物理発泡剤のみからなることが特に好ましい。
本発明において、基材樹脂にタルク等の気泡調整剤を添加することができる。また、前記化学発泡剤を気泡調整剤として使用することもできる。気泡調整剤は、マスターバッチの形態で使用してもよい。気泡調整剤の使用量は、基材樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部の割合で配合することが好ましい。また、上記の発泡ブロー成形体の基材樹脂には、所望に応じて、難燃剤、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0042】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法において、発泡ブロー成形体の見掛け密度、独立気泡率等を前記した範囲内に調整する方法としては、主に物理発泡剤の使用量を調整する方法が挙げられる。また、発泡性溶融樹脂組成物をダイから押出す際の吐出速度、樹脂温度など調整する方法も挙げられる。
すなわち、物理発泡剤の添加量を増加すると得られる発泡ブロー成形体の平均見掛け密度は小さくなる傾向にある。物理発泡剤の添加量は、所望の発泡倍率や発泡剤の種類によって適宜決定されるものであるが、発泡剤として二酸化炭素を使用し、見掛け密度0.1〜0.8g/cmの発泡ブロー成形体を得るためには、ポリカーボネート系樹脂1kgあたり0.1〜1モルとすることが好ましい。また、吐出速度を上げたり、樹脂温度を高めたりすれば、同一発泡剤量でも見掛け密度が小さくなる傾向にある。
【0043】
ただし、上記吐出速度が速すぎると剪断発熱により発泡パリソンが連続気泡化しやすくなり、吐出速度が遅すぎると、ダイ内で発泡が生じる、所謂内部発泡と呼ばれる現象が発生して連続気泡化してしまったり、内部発泡が発生しなくても押出中に固化してしまうため、金型にて成形する際に連続気泡化してしまったりすることがある。吐出速度は概ね10〜100kg/h・cmとすることが好ましい。
【0044】
また、発泡パリソンを押出する時の樹脂温度が高すぎると、発泡パリソンの連続気泡化や、ブロー成形性の低下が生じやすく、ドローダウンも大きくなる傾向にある。かかる観点から、発泡パリソンの押出時の樹脂温度は、概ね205〜240℃とすることが好ましく、特に210〜230℃とすることがより好ましい。
【0045】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法により得られる発泡ブロー成形体は、その見掛け密度が0.1〜0.8g/cm、平均肉厚が0.5〜10mmであることが好ましい。
該発泡ブロー成形体の見掛け密度および平均肉厚が前記範囲であることにより曲げ強度、圧縮強度などの機械的物性と軽量性、断熱性とのバランスに優れた発泡ブロー成形体となる。かかる観点から前記見掛け密度は、0.12〜1g/cmであることがより好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.4g/cmである。前記平均肉厚は1〜8mmであることがより好ましく、さらに好ましくは2〜6mmである。
なお、本発明における発泡ブロー成形体の見掛け密度とは、発泡ブロー成形体の質量(g)を該発泡ブロー成形体を水没させるなどして測定される発泡ブロー成形体の体積(cm)にて除した値である。
【0046】
本発明における発泡ブロー成形体の平均肉厚とは以下の方法により測定される値である。厚みの測定箇所は、発泡ブロー成形体の長手方向両端部付近の長手方向に対する垂直断面2部位と、その間を等間隔の長さに6等分した部位の長手方向に対する垂直断面5部位の計7部位とし、各垂直断面の周方向において略等間隔に8箇所の垂直断面の厚み方向の肉厚の測定を行い、得られた56箇所の厚みの算術平均値を発泡ブロー成形体の平均肉厚とする。なお、成形体の肉厚は、顕微鏡などにより断面の拡大画像を撮影し、その拡大画像において厚みが平均的な部分の厚み方向の長さを測定し、その測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって求める。
【0047】
発泡ブロー成形体の肉厚の変動係数Cvは50%以下であることが好ましい。該変動係数Cvが小さいということは、発泡ブロー成形体の肉厚の均一性が優れることを意味する。発泡ブロー成形体の肉厚が不均一であると、発泡ブロー成形体に肉厚が薄い部分ができてしまい、相対的にその部分の強度は弱くなってしまう。要求される強度や断熱性を満足させるためには、厚みの薄い部分を考慮して発泡ブロー成形体の平均肉厚の設計を行う必要がある。成形体の肉厚が不均一であると、成形体全体の肉厚が自ずと厚くなり、その結果、軽量化の達成が不十分になってしまう。すなわち、肉厚の変動係数Cvが小さいと、断熱性や機械的強度の均一性に優れた発泡ブロー成形体となるため軽量化を達成できる。かかる観点から、成形体の肉厚の変動係数Cvは小さければ小さいほど望ましく、40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。
本発明の製造方法により、広い見掛け密度の範囲において、肉厚の均一性に優れた発泡ブロー成形体を製造することが可能となる。
【0048】
本願明細書における発泡ブロー成形体の肉厚の変動係数Cvとは、該成形体肉厚の標準偏差(mm)を該成形体の平均肉厚(mm)で割った値の百分率をいい、平均値からのばらつき度合を表す指標である。なお、該成形体肉厚の標準偏差Vは次式(1)により求めるものとする。
V={Σ(Ti−Tav)/(n−1)}1/2 (1)
上記(1)式においてTiは前記56箇所の個々の肉厚の測定値を、Tavは前記平均肉厚を、nは測定数(具体的には「56」である)をそれぞれ表し、Σは個々の測定値について計算した(Ti−Tav)を全て足し算することを示す。
変動係数Cvは下記(2)式によって求められる。
Cv(%)=(V/Tav)×100 (2)
【0049】
本発明の製造方法によって得られる発泡ブロー成形体の独立気泡率は、60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。発泡ブロー成形体の独立気泡率が上記範囲であることにより、高倍率化、薄肉化により軽量化した場合であっても、ポリカーボネート系樹脂が本来有する、優れた曲げ強度、圧縮強度などの機械的強度を十分に発揮することができる。
【0050】
尚、独立気泡率は、ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によりVxを求め、下記(3)式により算出される値である。規定の体積の試験片が切り出せない場合は、複数の試験片を重ね合わせることにより規定の体積に極力近づけることとする。
独立気泡率(%)=
(Vx−Va(ρf/ρs))×100/(Va−Va(ρf/ρs)) (3)
Vx;試験片の実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)(cm
Va;試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm
ρf;試験片の見掛け密度(g/cm
ρs;試験片の基材樹脂の密度(g/cm
【0051】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法により得られる発泡ブロー成形体の平均気泡径は、0.1〜1mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8mmである。発泡ブロー成形体の平均気泡径が上記範囲であると、ポリカーボネート系樹脂が本来有している、優れた曲げ強度、圧縮強度などの機械的強度を十分に発揮することができる。
尚、上記平均気泡径は、ASTM D3576に準拠した測定方法を採用し、発泡層断面を拡大投影し、投影画像上に直線を引き、その直線と交差する気泡数をカウントし、画像上の直線長さを気泡数で割ることによって求めた値を更に0.616で割って求められる、成形体の押出方向(通常は長手方向)、成形体の周方向及び成形体の厚み方向の平均径の算術平均値である。
【0052】
本発明の発泡ブロー成形体の製造方法により、広い見掛け密度範囲において、独立気泡率の高い発泡ブロー成形体を容易に得ることが可能となる。特に、従来の方法では、低見掛け密度、例えば見掛け密度0.2g/cm未満の高発泡倍率とすると独立気泡率の高い発泡ブロー成形体を製造することは難しかったが、本発明の製造方法により、見掛け密度0.2g/cm未満であっても、独立気泡率60%以上の発泡ブロー成形体が製造可能となる。さらに、発泡ブロー成形体の平均気泡径を小さくすると、気泡膜が薄くなりすぎて、連続気泡率が高くなる傾向にあるが、本発明の製造方法により、気泡径が小さな場合、特に平均気泡径が0.1〜1mmであっても、広い見掛け密度の範囲において、独立気泡率60%以上の発泡ブロー成形体を製造することが可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例により何ら限定されるものではない。本実施例、比較例で使用したポリカーボネート系樹脂、実施例で得られた発泡ブロー成形体の評価方法を以下に記載する。
(1)使用原料
(i)原料ポリカーボネート系樹脂
使用したポリカーボネート系樹脂は、表1に示すPC1、2、表2に示すPC4〜PC7の6種類である。
PC1、2は分岐状ポリカーボネート系樹脂であり、PC4〜PC7は直鎖状ポリカーボネート系樹脂である。
表3に示すPC11は実施例1の回収原料、PC12は実施例3の回収原料、PC21はPC1/分岐化剤=100/2.1(質量比)の混合物を280℃に設定した2軸押出機にて溶融混練してペレット化したものであり、PC22はPC1/分岐化剤=100/3.0(質量比)の混合物を280℃に設定した2軸押出機にて溶融混練してペレット化したものである。
尚、原料ポリカーボネート系樹脂の末端水酸基量は、原料樹脂ペレット群から無作為に3点サンプリングして、上記測定方法に基づき末端水酸基量(質量ppm)を測定し、それぞれの算術平均値から求めた値であり、傾きSは、後述するMark−Houwinkプロットにおける傾きSである。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
(ii)分岐化剤
東亞合成(株)製、商品名:ARUFON、UGシリーズ UG−4035(エポキシ価:1.8(meq/g)、数平均分子量:2.9×10
エポキシ価(meq/g)とは、分岐化剤1g当たりに含まれるエポキシ基のミリモル数を意味し、該エポキシ価は、1000を該分岐化剤のエポキシ当量(g/eq)で除した値である。該エポキシ当量は、JIS K 7236:2001に従って測定した。
(iii)気泡調整剤
気泡調整剤としてタルク(松村産業社製、商品名:ハイフィラー#12)を使用した。
【0058】
(2)発泡ブロー成形体の評価方法
(i)重量平均絶対分子量、ポリスチレン換算重量平均分子量およびMark−Houwinkプロットにおける傾きS
重量平均絶対分子量、ポリスチレン換算重量平均分子量および傾きSを前記測定方法に基づき測定した。重量平均分子量の解析には、解析ソフトとして、EzChromElite(Scientific software inc.社製)を用い、重量平均絶対分子量を求めた。ポリスチレン換算重量平均分子量は、UV(紫外分光光度計)により得られたクロマトグラフを用い、ポリスチレン標準物質を用いて作成した校正曲線により、直鎖のポリスチレン換算の分子量として試料ポリカーボネートの重量平均分子量を求めた。発泡ブロー成形体の重量平均絶対分子量およびポリスチレン換算重量平均分子量の測定は、発泡ブロー成形体の長手方向(押出方向)両端部付近および中央付近の計3箇所から切り出した試験片に対して行い、それぞれの算術平均値をその重量平均分子量および分岐度とした。また、原料ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量および分岐度は、原料樹脂ペレット群から無作為にサンプリングした3点の算術平均値である。
尚、表1〜3中で使用したポリカーボネート系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量、重量平均絶対分子量はそれぞれMw(PS)、Mw(abs)と記載し、表6、7中で発泡ブロー成形体のポリスチレン換算重量平均分子量と重量平均絶対分子量はそれぞれMw(PS)、Mw(abs)と記載する。
【0059】
(ii)溶融張力および溶融粘度
溶融張力および溶融粘度は、測定装置として(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dを使用し、測定試料を120℃の熱風循環式オーブン内で12時間乾燥した後、上記測定条件に基づいて測定した。
発泡ブロー成形体の溶融張力および溶融粘度の測定には、発泡ブロー成形体の長手方向(押出方向)両端部付近および中央付近の計3箇所から試験片を切り出し、該試験片を120℃の熱風循環式オーブン内で12時間乾燥した後、280℃、10MPaの条件でヒートプレスすることにより脱泡し、適当なサイズに裁断したものを測定試料として用いた。それぞれの測定値を算術平均して、発泡ブロー成形体の溶融張力および溶融粘度を求めた。また、原料ポリカーボネート系樹脂の溶融張力および溶融粘度は、原料樹脂ペレット群から任意にサンプリングした3点の算術平均値である。
(iii)見掛け密度
発泡ブロー成形体の質量(g)を、水没法により求めた該発泡ブロー成形体の体積(cm)によって除することによって発泡ブロー成形体の見掛け密度(g/cm)を求めた。
(iv)平均肉厚および肉厚の変動係数
平均肉厚および肉厚の変動係数は、前記方法に従い求めた。
(v)平均気泡径
発泡ブロー成形体の長手方向(押出方向)中央部付近および両端部付近の計3箇所から測定サンプルを切り出し、ASTM D3576に準拠した上記測定方法によって、各測定箇所における平均気泡径を求め、それらの値を算術平均して発泡ブロー成形体の平均気泡径を求めた。
【0060】
(vi)独立気泡率
発泡ブロー成形体の長手方向(押出方向)中央部付近および両端部付近の計3箇所からから測定サンプルを切り出し、上記ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によって各測定サンプルの独立気泡率を求め、それらの値を算術平均して発泡ブロー成形体の独立気泡率を求めた。
(vii)外観
外観の評価を下記基準で行った。
○:成形体表面に表面荒れが観察されなかった。
×:成形体表面に著しい表面荒れが観察された。
【0061】
[実施例1〜17、比較例1〜10]
成形金型として、最大長さ650mm、最大幅150mm、最大厚み70mmのダクト成形用の金型を使用した。
表4、5に示す種類、配合量の原料ポリカーボネート系樹脂と、必要に応じて分岐化剤と、気泡調整剤としてのタルク(松村産業社製、商品名:ハイフィラー#12)とを口径65mmの押出機に供給し、280℃に設定した押出機内にて溶融混練した。なお、分岐化剤の添加量は、原料ポリカーボネート系樹脂100質量部に対する添加量であり、気泡調整剤の添加量は、原料ポリカーボネート系樹脂と分岐化剤との合計量を100質量部としたときの添加量である。
次いで押出機の途中から二酸化炭素(CO)を上記溶融混練物1kg当たり表4、5に示す圧入量(mol/kg)となるように圧入して混練して発泡性溶融樹脂とし、発泡適正温度まで冷却して押出機に連結したアキュームレータに充填した。次にアキュームレータの先端に配置した直径90mmの環状ダイより発泡性溶融樹脂を常圧域に押出すことにより発泡させて発泡パリソンを形成した。
【0062】
その後、発泡パリソンにプリブローエアを吹き込みながら、発泡パリソンをダイ直下に配置した2分割式の金型間に挟み、発泡パリソンの内部にブローピンからブローエアを吹き込むこと及び金型に設けた孔より発泡パリソンの外面側を吸引することにより、発泡パリソンの外面を金型内面に押し付けることにより、発泡パリソンをブロー成形した。冷却後、金型を開き発泡ブロー成形体を取り出し、バリを取り除くことにより、中空状の発泡ブロー成形体を得た。
吐出量、リップクリア、開口面積当たりの吐出量、押出時の発泡パリソン表面温度等の発泡パリソンの製造条件を表4、5に示す。なお、押出時の発泡パリソン表面温度は、ブロー成形を行う前に予め発泡パリソンのみを形成し、発泡パリソンの押出が完了した直後にダイ先端部から100mm下の位置を測定した値である。測定装置として、佐藤計量製作所製、赤外線温度計(型式:SK−8700II)を使用し、測定の際の発泡パリソン表面と測定器の距離は50mmとした。
得られた発泡ブロー成形体のポリスチレン換算重量平均分子量、重量平均絶対分子量、分岐度(絶対平均分子量/ポリスチレン換算重量平均分子量)、溶融張力、溶融粘度、見掛け密度、平均肉厚、肉厚の均一性(変動係数)、独立気泡率、平均気泡径、外観を評価した。これらの評価結果を表6、7にまとめて示す。
【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の製造方法によって得られるポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体は、断熱性、耐熱性、機械的強度に優れており、自動車や電気電子部体、包装資材等、種々の用途に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート系樹脂Aと発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂を押出して発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンをブロー成形して、発泡ブロー成形体を製造する方法であって、
ポリカーボネート系樹脂Aが、
ポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.5×10〜7.0×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が0.63〜0.70であると共に、末端水酸基量が500質量ppm以上である分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと、
ポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10未満、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が0.62以下であると共に、末端水酸基量が250質量ppm以下である直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cと、
分岐化剤Dとからなり、
分岐状ポリカーボネート系樹脂Bと直鎖状ポリカーボネート系樹脂Cとの質量比(B:C)が、30:70〜95:5であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項2】
発泡ブロー成形体の発泡層のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10〜10×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する発泡ブロー成形体の発泡層の重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が1.0以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項3】
分岐化剤Dがエポキシ基を有するアクリル系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項4】
発泡剤が無機物理発泡剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項1の製造方法により得られる発泡ブロー成形体であって、発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.8g/cm、平均肉厚が0.5〜10mm、かつ独立気泡率が60%以上であり、発泡ブロー成形体の発泡層のポリスチレン換算重量平均分子量Mw(PS)が5.0×10〜10×10、かつ該重量平均分子量Mw(PS)に対する発泡ブロー成形体の発泡層の重量平均絶対分子量Mw(abs)の比Mw(abs)/Mw(PS)が1.0以上であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。
【請求項6】
発泡ブロー成形体の肉厚の変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。
【請求項7】
発泡ブロー成形体の平均気泡径が0.1〜1mmであることを特徴とする請求項5または6に記載のポリカーボネート系樹脂発泡ブロー成形体。

【公開番号】特開2012−228802(P2012−228802A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97806(P2011−97806)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー (245)
【Fターム(参考)】