説明

ポリマーフィルム

アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むポリマーフィルムであって、そのフィルムは、架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの凝集パターン及び非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域を含み、接着フィルムとして有用であり、また接着フィルムを製造するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むポリマーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドポリマーは非常に多様な用途で有用である。特許文献1には、電離放射線処理により架橋されたアルキレンオキシドが開示されている。特許文献2には、親水性ポリマーゲル、例えば放射線により架橋されたエチレンオキシドポリマーなどの層を含む透明な創傷被覆材(wound dressings)が開示されている。非特許文献1には、光開始剤としてベンゾフェノンを用いる、そして用いない紫外線照射について記載されている。この論文には、架橋ポリエチレンオキシドが、創傷被覆材、薬剤制御放出システム、相転移触媒(phase transfer catalyst)、半透膜又は電池用固体電解質として有用であることが開示されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,264,202号明細書
【特許文献2】米国特許第3,419,006号明細書
【非特許文献1】M.Doytchevaらによる論文「“Ultraviolet−Induced Crosslinking of Solid Poly(ethylene oxide)”」、“J.Appl.Polym.sci.”、64巻、2299〜2307頁(1997年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架橋ポリエチレンオキシドは、一般に水不溶性であり、あまり接着性を示さない。しかしながら、創傷被覆材又は薬剤制御放出システムなどのある種の用途に対しては、架橋C2〜C4アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むフィルムで、且つ接着性を有するフィルムを提供することは望ましいことである。
【0005】
本発明の1つの側面は、フィルムの片側又は両側に、i)架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの凝集パターン(coherent pattern)及びii)非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域を含むアルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むポリマーフィルムである。
【0006】
本発明の別の側面は上記のフィルムを含む複合体製品である。
【0007】
本発明の更に別の側面は、a)アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むフィルムを製造し、b)そのフィルムの片側又は両側の選択された領域を放射線から防護して、非防護フィルム材料の凝集パターンを残し、そしてc)そのフィルムの片側又は両側を放射線に曝露する各工程を含んでなる上記フィルムの製造方法である。
【0008】
本発明の更に別の側面は、接着フィルムとしての又は接着フィルム製造のための上記フィルムの使用である。
【0009】
本発明の更に別の側面は、上記フィルムの創傷被覆フィルム又は薬剤放出フィルム製造のための使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のフィルムは、架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの凝集パターン及び非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域を含む。
【0011】
架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーには、分子内及び分子間の炭素−炭素架橋結合が含まれるため、架橋ポリマーは水不溶性であり、酸素の存在下で安定である。「水不溶性」なる用語は、ここで用いるとき、その架橋ポリマーが、25℃、1気圧の蒸留水100gに、5gより少ない、好ましくは2gより少ない、より好ましくは1gより少ない量しか溶解しないことを意味する。この架橋ポリマーは、連続相とも呼ばれるマトリックスを形成し、典型的には水中で膨潤はするが溶解せず、もしそのフィルムが水に接触しても十分なフィルム強度を有する。
【0012】
非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域は、それらが水と接触したとき接着性を有する。架橋ポリマーのマトリックス中の、非架橋ポリマーの接着性領域の大きさ、数及び形状は、大きな度合で変えることができ、所望の最終用途に従って調整することができる。架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの凝集パターン、及び非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域を含むフィルムを提供することによって、水の存在下でのフィルム保全性及び接着性の最適の組合せが達成される。その上、以下に記載の本発明方法が、水の存在下でのフィルム保全性及びフィルムの接着性を制御でき、所望の最終用途に適合できるようなフィルムの製造を可能にする。非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーは、一般に、25℃、1気圧の蒸留水100gに少なくとも5g、好ましくは少なくとも10gの水溶性を有する。非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定された、好ましくは100,000〜8,000,000、より好ましくは600,000〜5,000,000、最も好ましくは900,000〜4,000,000の重量平均分子量を有している。
【0013】
本発明のフィルムに有用なアルキレンオキシドホモ−又はコポリマーは、好ましくはC2〜C4アルキレンオキシドホモ−又はコポリマー、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブテンエポキシド、又はイソブチレンオキシドなどのホモ−又はコポリマーであるのがよい。本発明のフィルムは、最も好ましくはエチレンオキシドのホモ−又はコポリマーである。その他の有用なポリマーには、脂環式エポキシド、例えば1,2−シクロヘキセンエポキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、例えば4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、エポキシシクロヘキセン又は4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド;ジペンテンエポキシド、不飽和グリシジルエーテル、例えばビニルグリシジルエーテル又はアリルグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、n−ヘキシルグリシジルエーテル、又はn−オクチルグリシジルエーテル;1,3−ブタジエンジエポキシド、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、又はアルキルフェニルグリシジルエーテル;などのホモ−又はコポリマーがある。
【0014】
アルキレンオキシドコポリマーは、少なくとも2種のアルキレンオキシドの混合物の重合によるランダムコポリマーであることができる。その他の有用なアルキレンオキシドコポリマーには、1種より多いアルキレンオキシドの連続添加により製造されるブロックコポリマーがあり、そこではそれぞれのアルキレンオキシドのほぼ全量が、引き続くモノマーの添加の前に消費される。或いは、アルキレンオキシドコポリマーには、アルキレンオキシド及びその他の共重合可能なモノマー、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、カプロラクトン、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、1,3−ジオキサン、二酸化炭素、カルボニルスルフィド、テトラヒドロフラン、メチルイソシアネート、又はメチルイソシアニドなどが共重合形態で含まれていてもよい。好ましいアルキレンオキシドコポリマーは、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとのコポリマー又は、エチレンオキシドとシクロヘキセンオキシドとのコポリマーである。アルキレンオキシドコポリマーは、一般に少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のアルキレンオキシド単位を含んでいる。最も好ましいアルキレンオキシドコポリマーは、エチレンオキシドコポリマーであり、更に好ましくはエチレンオキシドホモポリマーである。
【0015】
本発明のフィルムは、フィルムの合計重量に基づいて、アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーが、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%含む。
【0016】
本発明のフィルムは、1種又はそれ以上のその他のポリマー、好ましくは水溶性ポリマー、例えば1種又はそれ以上のガム、例えばアラビアゴム、キサンタンガム又はグアーガム;カラギーナン、デキストラン、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、グアー誘導体、キサンタン誘導体又は多糖類、例えば澱粉、澱粉誘導体、セルロースエーテル又はセルロースエステル等を含むことができる。好ましいのは、カルボキシ−C1〜C3−アルキルセルロース又はカルボキシ−C1〜C3−アルキル−ヒドロキシ−C1〜C3−アルキルセルロース、ヒドロキシ−C1〜C3−アルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース;C1〜C3−アルキルセルロース例えばメチルセルロース又はエチルセルロース;C1〜C3−アルキルヒドロキシ−C1〜C3−アルキルセルロース例えばヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースである。有用なポリマーのその他の例には、エチレンイミン、アクリル酸又はその塩のような不飽和酸、アクリルアミドのような不飽和アミド、ビニルアルコールのようなビニルポリマー、ビニルアセテートのようなビニルエステル、ビニルピロリドン、ビニルオキサゾリドン、ビニルメチルオキサゾリドン、エチレンスルホン酸、ビニルアミン、ビニルピリジン又はアルキルグリコール等のホモ−又はコポリマーがある。本発明のフィルムは、1種又はそれ以上の強化剤、例えばナイロンガーゼ、レーヨンメッシュ、「ダクロン(Dacron)」又はセルロースメッシュ等を含むことができる。そのような、その他のポリマー又は強化剤の量は、フィルムの合計重量に基づいて、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、最も好ましくは10%以下であるのがよい。
【0017】
本発明のフィルムは、好ましくは光開始剤、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、テトラメチルジアミノベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)等、又はCiba−Geigy Specialty Chemicals,Switzerlandにより、商品名“IRGACURE”もしくは“DAROCUR”として販売されている光開始剤を含む。好ましい光開始剤はベンゾフェノンである。もし存在するなら、フィルム中の光開始剤の重量は、アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの合計重量に基づいて、好ましくは10%まで、より好ましくは0.4〜5%、最も好ましくは1〜2%である。
【0018】
本発明のフィルムは、更なる添加剤、例えば1種又はそれ以上の充填剤又は活性配合剤、例えば化学治療剤又は薬剤などを含むことができる。有用な治療剤及びその他の添加剤には、例えば前記特許文献2の第7欄、第30〜57行に列挙されているものがあり、その教示は引用によりここに組み入れる。それらの量は、もし存在するなら、フィルムの合計重量に基づいて、一般に20%以下、ほとんどの場合は10%以下である。
【0019】
本発明のフィルムは、好ましくは厚さ20μm〜5mm、より好ましくは100μm〜2.5mm、最も好ましくは200〜500μmを有するのがよい。本発明のフィルムは任意の形態、例えばシート又はストリップの形態であることができる。
【0020】
本発明のフィルムは、a)アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むフィルムを製造し、b)そのフィルムの片側又は両側の選択された領域を放射線から防護して、非防護フィルム材料の凝集パターンを残し、そしてc)そのフィルムの片側又は両側を放射線に曝露するようにする各工程を含む方法で製造することができる。
【0021】
本発明方法の工程a)は公知の方法で実施することができる。例えばフィルムは、アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを、必要に応じて1種又はそれ以上の添加剤とブレンドして、圧縮成型又は押出成形することにより製造することができる。或いは、アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーは、必要に応じて1種又はそれ以上の添加剤とブレンドして、水又は有機溶媒、例えばメチレンクロリド等の塩素化炭化水素、もしくはエタノール等のアルコール又はそれらの混合物中に溶解することができる。フィルムは、次いでその溶液から、公知の溶媒流延法により流延して得ることができる。
【0022】
本発明の工程b)では、フィルムは、選択された領域が放射線から防護される結果、非防護フィルム材料の凝集パターンが残る。フィルムは、その片側又は両側が公知の方法で防護される。例えば選択された領域は、放射線処理で使用されるビームの実質的な透過を許さない材料、例えばカートン、ガラス又は不透明プラスチック材料などの材料の断片で被覆することができる。
【0023】
フィルムを防護して、部分的照射のための望ましいパターンを作り出す1つの好ましいパターンを図1に図示する。架橋の後、フィルムは、その裏面側の非架橋領域(1)及びその正面側の非架橋領域(2)を含むことになる。これらの非架橋領域はそのフィルムに接着性を与える。架橋の後、フィルムはまた、架橋ポリマーの凝集パターン(3)を含むことになり、そのことが望ましいフィルム保全性を与える。もしフィルムがその両側に非架橋領域を含んでいれば、これらの領域は、好ましくは、それぞれのフィルムの領域が少なくとも一方の側から放射線を受けるように、交互に配列されているのがよい。非架橋領域の交互のパターンは、フィルム接着性とフィルム保全性の最適の組合せを与える。
【0024】
本発明方法の重要な利点は、非架橋ポリマー及び架橋ポリマーの領域が大きな度合で変えることができ、フィルムの個々の最終用途に適合させることができることである。意図された最終用途によっては、フィルムの一方の側のみで、選択したフィルム領域を放射線から防護することが望ましい可能性がある。そのような本発明の好ましい態様を、図2に図示しており、そこでは、フィルムは、そのフィルムの正面側に非架橋領域(2)を、そして架橋ポリマーの凝集パターン(3)を含む。
【0025】
本発明の工程c)では、フィルムは放射線に曝露される。有用な放射線処理には、例えばγ線又は電子線、バンデグラフ及びその他の高電圧加速器からのα粒子、β粒子、X線、γ線及び電子を含む電離放射線がある。好ましい処理は、紫外線を用いた照射である。フィルムの少なくとも片側、好ましくは両側を照射する。フィルムの照射によって有用なエネルギー放射線量を供給することは、当業者の知識の範囲内である。例えば、購入可能な装置“Fusion System EPIQ6000”を用いるとき、エネルギー放射線量600mJ/cm2〜19,000mJ/cm2、より好ましくは1,200mJ/cm2〜10,000mJ/cm2、最も好ましくは3,000〜6,000mJ/cm2をフィルムの架橋に使用する。架橋のためのエネルギーは、好ましくはフィルムの架橋領域におけるアルキレンオキシドホモ−又はコポリマーが、25℃、1気圧の蒸留水100gに、5gより少ない、好ましくは2gより少ない、より好ましくは1gより少ない水溶性を有するように選ばれる。
【実施例】
【0026】
本発明は、以下の実施例により詳説されるが、それらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。別段の指示がなければ、全ての部及び%は重量による。
【0027】
実施例1及び2並びに比較例A〜C
フィルム試料の製造及び架橋
重量平均分子量約2,000,000及び、2重量%水溶液で測定された粘度約3,000mPa・sを有するポリエチレンオキシド62.4部、並びにベンゾフェノン1.2部を、低剪断配合機中で5分間ドライブレンドする。ポリエチレンオキシドは、Amerchol Corporationから商品名“POLYOX N−60K”水溶性樹脂として購入できる。イソプロピルアルコール9.1部中にビタミンE0.1部を含む溶液を、その粉末混合物に添加する。ドライブレンドの後、その混合物は95℃のブラベンダー混合ボウルに充填される。水18.2部及びグリセリン9.1部を、可塑剤としてブラベンダー混合ボウル中のその混合物に加える。その溶融混合物は、次いで油圧プレスに移し、95℃、2500psi(17.2MPa)で10ミル(0.25mm)のフィルムに圧縮成型する。フィルム試料は、それらがそのプレス中で室温に冷却された後、集められてポリエチレン袋中に保管する。
【0028】
1.2mmの円形カートンをフィルム試料の両側に交互に貼り付け、部分的照射のための所望のパターンを創る。そのパターンは図1に図示されている。それぞれのフィルム試料は、コンベアベルトの上に置き、紫外線硬化のため、“Fusion System EPIQ6000”中のUVランプの下を通す。それぞれの照射工程のためには、エネルギーレベル1050mJ/cm2及びコンベアベルト速度20ft/分(608cm/分)を選択する。フィルム2組を照射する。1組については、合計の硬化エネルギーは5250mJ/cm2となるように、フィルムのそれぞれの側をUVランプの下を5回通す。第一のフィルムの組は、5/5フィルム試料又は実施例1として以下に明示される。第二の組は、合計の硬化エネルギーが3150mJ/cm2となるように、フィルムのそれぞれの側がUVランプの下を3回通す。この第二のフィルムの組は、3/3フィルム試料又は実施例2として以下に明示する。
【0029】
接着性
製造されたフィルム試料の接着性は、Texture Technologies Corporation製の“Texture Analyzer”を用いて測定する。試験を間違いなく実施するために、2inch×2inch(5cm×5cm)の部分架橋フィルムを、両面接着テープによってプラットホームに接着する。フィルムの表面は水で2回濡らす。30秒の水和時間の後、直径1inch(2.5cm)のアクリル製円筒形プローブを、そのフィルム試料上に500gfで、10秒間押し付ける。フィルム試料及びプローブは、フィルム中央の非架橋円形部がプローブの中心と一致するように配置する。接着強度の測定は、10秒の接触時間の後、アクリル製円筒形プローブがフィルムから引き離されるときに実施する。下記の表Iに試験結果をまとめる。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例1及び2のフィルムは良好な接着性を有しているが、比較例A及びBのフィルムは、フィルムの接着性を必要とする多くの最終用途に対しては低すぎる接着値しか有しない。
【0032】
フィルムの溶解性及び膨潤率
図3は、照射を受けていない比較例Cの非架橋フィルムと比較した、実施例1及び2の部分架橋フィルムの水溶性を図示したものである。データは、水に接触する前の乾燥フィルム試料の面積(長さ×幅)を先ず測定することにより作成する。次いで、それぞれの乾燥フィルムの試料をワイヤーメッシュスクリーンの上に置き、試験期間の間完全に水中に浸漬する。所定時間の経過後、湿潤フィルムの面積を測定する。フィルムの膨潤率(swell ratio)は、所定時間経過後に、膨潤フィルム試料の面積を乾燥フィルムの面積で除すことにより表す。図3は、比較例Cの非架橋フィルムがすぐに水に溶解することを図示している。それは、フィルムの保全性が必要であるような最終用途には有用ではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のフィルムは、それ単独のフィルムとして、又は複合体製品の部材として、例えば皮膚科学のための薬剤放出用創傷被覆剤として、もしくは薬剤制御放出システムとして;相転移触媒として、半透膜として;もしくは接着剤として有用である。
【0034】
複合体製品は、例えば本発明のフィルムと、第二のポリマー材料、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース及びその誘導体、ポリジメチルブタジエン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、シリコーンゴム又はポリアクリル酸などの裏打ち材とを含むことができる。本発明のフィルムの接着性によって、第二のポリマー材料に本発明のフィルムを固定するため、通常、更なる接着剤は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は本発明のフィルムの好ましい態様についての模式図を示す。
【図2】図2は本発明のフィルムの好ましい態様についての模式図を示す。
【図3】図3は本発明のフィルムの水の存在下での膨潤を図示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの片側又は両側に、i)架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの凝集パターン及びii)非架橋アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの領域を含んでなるアルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むポリマーフィルム。
【請求項2】
アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーが、C2〜C4アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーである請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
フィルムの合計重量に基づいて、エチレンオキシドホモ−又はコポリマーを少なくとも40重量%含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
光開始剤を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項5】
光開始剤がベンゾフェノンである請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーの合計重量に基づいて、光開始剤0.4〜5重量%を含む請求項4又は5に記載のフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムを含む複合体製品。
【請求項8】
a)アルキレンオキシドホモ−又はコポリマーを含むフィルムを製造し、b)そのフィルムの片側又は両側の選択された領域を放射線から防護して、非防護フィルム材料の凝集パターンを残し、そしてc)そのフィルムの片側又は両側を放射線に曝露する各工程を含んでなる請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項9】
フィルムはその両側を照射する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムの接着性フィルムとしての使用又は接着フィルム製造のための使用。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムの創傷被覆フィルム又は薬剤放出フィルム製造のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−510874(P2008−510874A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529885(P2007−529885)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027521
【国際公開番号】WO2006/026040
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(591123001)ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション (85)
【Fターム(参考)】