説明

ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)インヒビターとしての4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−A]キノキサリン誘導体

本発明はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のインヒビターであり、したがって、癌、炎症性疾患、再潅流傷害、虚血症状、脳卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染、網膜傷害、皮膚老化及びUV−誘発皮膚傷害の治療に、また癌治療のための化学増感剤又は放射線増感剤として、有用な式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩又は互変異性体に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以前にはポリ(ADP−リボース)シンターゼ及びポリ(ADP−リボシル)トランスフェラーゼとして知られていた、酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のインヒビターである、4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン誘導体に関する。本発明化合物は、DNA−修復経路に特異的な欠陥をもつ腫瘍における単一治療剤として、また抗癌剤及び放射線治療など、特定のDNA−傷害剤の増強剤として有用である。さらに、本発明の化合物は細胞壊死(脳卒中及び心筋梗塞)の低減、炎症と組織傷害のダウンレギュレーション、レトロウイルス感染の処置、及び化学療法の毒性に対する保護などに有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、PARP触媒ドメインを含む18種のタンパク質のスーパーファミリーを構成する(Bioessays(2004)26:1148)。これらのタンパク質は、PARP−1、PARP−2、PARP−3、タンキラーゼ−1(tankyrase−1)、タンキラーゼ−2、ボールトPARP及びTiPARPを包含する。基本的構成員であるPARP−1は3つの主要ドメイン、すなわち、2つの亜鉛フィンガーを含むアミノ(N)−末端DNA−結合ドメイン(DBD)、自己修飾ドメイン、及びカルボキシ(C)−末端触媒ドメインからなる。
【0003】
PARPはNADをニコチンアミドとADP−リボースに切断して、トポイソメラーゼ、ヒストン及びPARPそれ自体などの標的タンパク質上に、長鎖及び分枝のADP−リボースポリマーを形成する、核及び細胞質酵素である(Biochem.Biophys.Res.Commun.(1998)245:1−10)。
【0004】
ポリ(ADP−リボシル)化は、数種の生物学的過程、例えば、DNA修復、遺伝子転写、細胞周期進行、細胞死、クロマチン機能及びゲノム安定性などに関わっている。
【0005】
これまでの大多数のPARPインヒビターは、酵素のニコチンアミド結合ドメインと相互作用し、NADとの関連で競合的インヒビターとして挙動する(Expert Opin.Ther.Patents(2004)14:1531−1551)。ベンズアミドとその誘導体などのニコチンアミドの構造的類似体は、PARPインヒビターとして研究された最初の化合物に含まれていた。しかし、これらの分子は阻害活性が弱く、かつPARP阻害と無関係の他の作用を有している。したがって、PARP酵素の強力なインヒビターを提供する必要がある。
【0006】
Synth.Commun.(1991)21(15&16):1567−1576及びJ Med.Chem.(1997)40:1808−1819;(1997)40:3670−3678並びに(1999)42:4362−4379は、5−HTアゴニストの調製における中間体として、特定の4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン誘導体を使用することについて記載している;J Med.Chem.(2004)47:1997−2009は、抗マラリア剤の調製において、それらを中間体として使用することについて記載している;また、J Med.Chem.(2001)44:305−315は、抗−HIV剤の調製において、それらを中間体として使用することについて記載している。
【0007】
この度、驚くべきことに、本発明の4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン誘導体が、PARPの活性を高レベルで阻害することが発見された。
【発明の概要】
【0008】
本発明化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害に有用である。とりわけ、それらはPARP−1及び/又はPARP−2の阻害に有用である。本発明は、式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
aは0、1、2又は3であり;
bは0、1、2又は3であり;
cは0、1、2、3又は4であり;
dは0又は1であり;
eは0又は1であり;
fは0又は1であり;
gは0又は1であり;
hは0、1、2、3又は4であり;
iは0又は1であり;
及びRのそれぞれは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルであり;
及びRのそれぞれは、独立して、水素、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルであり;
XはC又はSOであり;
【0011】
は水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、シアノ、ハロゲン、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ又は環であり;該環はC3−10シクロアルキル、C6−10アリール、1個のN原子を含む4員の飽和環、1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、又はN、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環であり;その環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよく;
【0012】
各mは独立して、0、1、2、3又は4であり;
各Rは独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、NR、CONR、S(O)NR、S(O)又はC6−10アリールであり;
【0013】
及びRのそれぞれは、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、S(O)、S(O)N(R若しくはCON(Rであるか、又は
及びRがそれらの結合するN原子と一緒になって、1個のN原子を含む4員の飽和へテロ環又は1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環を形成し、該環が、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル及びハロC1−6アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよく;
【0014】
rは0、1又は2であり;
はC1−6アルキル、C6−10アリール、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、又はN、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環であり;その環のいずれもがヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−3アルキル及びハロC1−3アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよく;また、
【0015】
各Rは独立して、水素又はC1−6アルキルであるか;又は
2つのRがそれらの結合するN原子と一緒になって、1個のN原子を含む4員の飽和へテロ環又は1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環を形成し、該環はヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル及びハロC1−6アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよい]
で示される、治療用化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
【0016】
また、本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害によって改善し得る症状の治療又は予防用医薬の製造のための、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体の使用をも提供する。
【0017】
また、本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害によって改善し得る症状の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0018】
一実施態様において、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害によって改善し得る症状とは、炎症性疾患、再潅流傷害、虚血症状、脳卒中、慢性及び急性の腎不全、心臓血管疾患以外の血管疾患、心臓血管疾患、糖尿病、癌、とりわけ、相同組換え(HR)依存性DNA DSB修復活性を欠く癌、例えば、BRCA−1又はBRCA−2欠損腫瘍;神経変性疾患、レトロウイルス感染、網膜傷害、皮膚老化、UV−誘発皮膚傷害、及び早期老化などである。
【0019】
一実施態様において、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害によって改善し得る症状とは、癌、とりわけ、相同組換え(HR)依存性DNA DSB修復活性を欠く癌、例えば、BRCA−1又はBRCA−2欠損腫瘍である。
【0020】
本発明は式(I)[式中、
aが0の場合、dは1であり;
aが1、2又は3の場合、dは0又は1であり;また、
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである]
で示される、治療用化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
【0021】
また、本発明は式(I)[式中、
aは0、1、2又は3であり;
dは0又は1であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである;
ただし、
(i)aが0であり、bが0である場合、(CH(CO)(NR(X=O)(O)(CH(NRは、水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、塩素、フッ素、アミノ、シアノ、ベンゾキシ、7−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノカルボニル]、7−(n−プロピルアミノカルボニル)、7−{[3−(モルホリン−4−イル)プロピル]アミノカルボニル}、7−{[2−(モルホリン−4−イル)エチル]アミノカルボニル}、7−[(2−フェニルエチル)アミノカルボニル]、7−{[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]アミノカルボニル}、7−(i−ブチルアミノカルボニル)、7−{N−エチル−N−[3−(エチルアミノ)プロピル]カルボニル}、7−({2−[ビス(i−プロピル)アミノ]エチル}アミノカルボニル)、7−{N−エチル−N−[2−(エチルアミノ)エチル]カルボニル}、7−{N−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]カルボニル}、7−(1H−1,4−ジアゼピン−4−イルカルボニル)又は7−(ピペラジン−4−イルカルボニル)ではなく;また、
(ii)aが0であり、bが1である場合、Rも(CH(CO)(NR(X=O)(O)(CH(NRもメチル、フッ素又は塩素ではない]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
【0022】
また、本発明は式(I)[式中、
aは1、2又は3であり;
dは0又は1であり;また、
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
また、本発明は式(II):
【0023】
【化2】

【0024】
[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである]
で示される、治療用化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
【0025】
また、本発明は式(II):
[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである;
ただし、
(i)a、b及びcがそれぞれ0であり、(CO)が7位に結合している場合、(NR(X=O)(O)(CH(NRは、(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ、n−プロピルアミノ、[3−(モルホリン−4−イル)プロピル]アミノ、[2−(モルホリン−4−イル)エチル]アミノ、(2−フェニルエチル)アミノ、[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]アミノ、i−ブチルアミノ、N−エチル−N−[3−(エチルアミノ)プロピル、{2−[ビス(i−プロピル)アミノ]エチル}アミノ、N−エチル−N−[2−(エチルアミノ)エチル]、N−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]、1H−1,4−ジアゼピン−4−イル又はピペラジン−4−イルではない]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
また、本発明は式(III):
【0026】
【化3】

【0027】
[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりである]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
また、本発明は式(IV):
【0028】
【化4】

【0029】
[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R及びXは上記に定義したとおりであり;
は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ又は環であり;該環は、C3−10シクロアルキル、ナフチル、1個のN原子を含む4員の飽和環、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−4−イル、ピロリジン−5−イル、ピペリジニル、ピペラジン−2−イル、ピペラジン−3−イル、ピペラジン−5−イル、ピペラジン−6−イル、モルホリン−2−イル、モルホリン−3−イル、モルホリン−5−イル、モルホリン−6−イル、テトラヒドロフラン、チオモルホリニル、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7、8若しくは10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、インドリジニルであり;該環のいずれもがヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ及びC6−10アリールから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基によって置換されていてもよい]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
また、本発明は式(V):
【0030】
【化5】

【0031】
[式中、
aは1、2又は3であり;
dは0又は1であり;
b、e、h、i、R、R、R、R及びRは上記に定義したとおりである]
で示される、新規化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体を提供する。
【0032】
上記の実施態様それぞれにおいて、変数の好適な実体は、必要な変更を加えて以下に定義する。
一実施態様において、aは0、1又は2である。
別の実施態様において、aは1、2又は3、特に、1又は2である。
一実施態様において、aは1、2又は3であり、dは0又は1である。
別の実施態様において、aは0であり、dは1である。
一実施態様において、aは1又は2であり、Rはそれぞれ独立してハロゲン、例えば、臭素又は塩素である。
一実施態様において、bは0である。
一実施態様において、cは0である。
一実施態様において、dは0である。別の実施態様において、dは1である。
一実施態様において、eは0である。別の実施態様において、eは1である。
一実施態様において、hは0、1、2又は3である。
一実施態様において、iは0である。別の実施態様において、iは1である。
【0033】
一実施態様において、RはC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル又はハロゲンである。
特定のR基は、ハロゲン、例えば、塩素又は臭素である。
一実施態様において、Rはヒドロキシ、シアノ、ニトロ又はハロC1−6アルキルである。別の実施態様において、Rはハロゲンである。
一実施態様において、Rは水素又はC1−4アルキル、特に、水素である。
一実施態様において、Rは水素又はC1−4アルキル、特に、水素である。さらなる特定のR基は、メチルである。
【0034】
一実施態様において、Rは水素、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ又は環であり;該環はC6−10アリール、1個のN原子を含む4員の飽和環、1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、又は1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環であり;該環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよい。
【0035】
一実施態様において、Rは水素、ヒドロキシ、メチル、メトキシ又は環であり;該環はフェニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピペリジニル、イミダゾリル又はオキサゾリルであり;該環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよい。
【0036】
一実施態様において、Rは水素、ヒドロキシ、メチル、メトキシ又は環であり;該環はフェニル、モルホリニル又はピペラジニルであり;該環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよい。
【0037】
一実施態様において、Rは環であり、該環は(CHから独立して選択される1個又は2個の基により置換されていてもよい。別の実施態様において、Rは環であり、該環は未置換であるか、又は一置換である。
一実施態様において、mは0又は1である。別の実施態様において、mは0である。
一実施態様において、Rはシアノ、C1−6アルキル、NR又はC6−10アリールである。
具体的なR基は、フェニル、メチル、ジメチルアミノ及びシアノを包含する。
特定のR基はC6−10アリール、例えば、フェニルである。
【0038】
したがって、特定のR基は、モルホリニル、フェニル、水素、ヒドロキシ、フェニルピペラジニル、メチル及びメトキシである。さらに特定のR基は、メチルピペラジニル、ピリジニル、(ジメチルアミノ)フェニル、シアノフェニル、ベンジルピペリジニル、イミダゾリル及びオキサゾリルである。
【0039】
具体的なR基は、モルホリン−4−イル、フェニル、水素、ヒドロキシ、4−フェニルピペラジン−1−イル、メチル及びメトキシである。さらに具体的なR基は、4−メチルピペラジン−1−イル、ピリジン−4−イル、4−(ジメチルアミノ)フェニル、4−シアノフェニル、1−ベンジルピペリジン−4−イル、1H−イミダゾール−1−イル及び1,3−オキサゾール−2−イルである。
【0040】
一実施態様において、Rは水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、又は1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環であり;該環のいずれもがヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ及びC6−10アリールから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基によって置換されていてもよい。
【0041】
特定のR基は、水素、ヒドロキシ、メトキシ、ピリジニル、ベンジルピペリジニル、イミダゾリル及びオキサゾリルである。
具体的なR基は、水素、ヒドロキシ、メトキシ、ピリジン−4−イル、1−ベンジルピペリジン−4−イル、1H−イミダゾール−1−イル及び1,3−オキサゾール−2−イルである。
一実施態様において、Rはヒドロキシ又はC1−6アルコキシである。
特定のR基は、ヒドロキシ又はメトキシである。
一実施態様において、XはCである。
【0042】
一実施態様において、R及びRのそれぞれは独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、S(O)、S(O)N(R又はCON(Rである。
一実施態様において、R及びRのそれぞれは、独立して、水素又はC1−6アルキルである。特に、R及びRのそれぞれはメチルである。
【0043】
本発明はまたその範囲内に、上記式(I)の化合物のN−オキシドをも包含する。一般に、かかるN−オキシドは利用可能な窒素原子上で形成してもよい。該N−オキシドは、常套の手段により、例えば、式(I)の化合物を湿潤アルミナの存在下にオキソンと反応させることにより形成してもよい。
【0044】
本発明はまたその範囲内に、上記式(I)の化合物のプロドラッグを包含する。一般に、かかるプロドラッグは、インビボで、要求される式(I)の化合物に容易に変換し得る式(I)の化合物の機能的誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択と調製のための常套的な方法は、例えば、文献(”Design of Prodrugs”(プロドラッグの設計),ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985)に記載されている。
【0045】
プロドラッグは生物学的に活性な物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体であり、体内で活性薬物を放出するために変換されることが必要であり、また親の薬物分子よりも改善された送達特性を有するものである。インビボでの変換は、例えば、カルボン酸、リン酸若しくは硫酸のエステルの化学的又は酵素的加水分解、又は感受性官能性の還元若しくは酸化などのある種の代謝経路の結果として起こり得る。
本発明はまたその範囲内に、式(I)で示される化合物及びその塩の溶媒和物、例えば、水和物を包含する。
【0046】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸及びキラル面を有し(記載例:E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学),John Wiley & Sons,New York,1994,pages 1119−1190)、ラセミ体、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在し、そのすべての可能な異性体及びその混合物など、光学異性体を含め、かかる立体異性体のすべてが本発明に包含される。本明細書に開示した化合物は、互変異性体として存在していてもよく、たとえ一方の互変異性体構造しか記載されていなくても、両方の互変異性体形状が本発明の範囲に包含されるものとする。例えば、式(I)の化合物は以下の構造の化合物に互変異性化してもよい:
【0047】
【化6】

【0048】
該化合物は異なる異性体の形態で存在していてもよく、そのすべてが本発明に包含される。
該化合物は多くの異なる多形の形状で存在していてもよい。
いずれかの変数(例えば、R及びRなど)が、いずれかの構成要件中に一度ならず出現する場合、各出現に際しての定義は、その出現ごとに独立したものである。また、置換基と変数の組み合わせは、かかる組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基から環系に引いた線は、そこに示した結合が置換可能な環原子のいずれかに結合し得ることを表す。
【0049】
本発明化合物上の置換基と置換パターンは、当業者が選択し、化学的に安定で、また容易に入手し得る出発原料から、当該技術分野で既知の方法並びに下記に提示する方法により容易に合成し得る化合物を提供し得るものであると理解される。置換基がそれ自体1個を超える基により置換されている場合、安定な構造が結果として生じる限り、それら複数の基は同じ炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよいと理解される。“置換されていてもよい”という文言は、“未置換であるか、又は1個以上の置換基により置換されている”という文言と同等であると解釈すべきであり、そのような場合、好適な実施態様では、0ないし3個の置換基を有する。さらに特定すると、0ないし2個の置換基が存在する。飽和、部分的飽和又は不飽和のヘテロ環上の置換基は、いずれの置換可能な位置にも結合し得る。
【0050】
本明細書にて使用する場合、「アルキル」は特定数の炭素原子を有する分枝、直鎖及び環状の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。例えば、「C1−6アルキル」は、直線状、分枝状又は環状の配列の1、2、3、4、5又は6個の炭素を有する基を包含すると定義する。例えば、「C1−6アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどである。好適なアルキル基はメチル及びエチルである。用語「シクロアルキル」は特定数の炭素原子を有する単環式、二環式又は多環式の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C3−7シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含する。本発明の一実施態様において、「シクロアルキル」という用語は直前に記載した基を含み、さらに単環式不飽和の脂肪族炭化水素基を含む。例えば、本実施態様に定義した「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどを包含する。好適なシクロアルキル基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
【0051】
本明細書にて使用する場合、「C2−6アルケニル」という用語は、2ないし6個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖又は分枝の非芳香族炭化水素基をいう。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、また4つまでの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル及び2−メチルブテニルである。好適なアルケニル基は、エテニル及びプロペニルである。
【0052】
本明細書にて使用する場合、「C2−6アルキニル」という用語は、2ないし6個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖又は分枝の炭化水素基をいう。3個までの炭素−炭素三重結合が存在していてもよい。アルキニル基はエチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどを包含する。好適なアルキニル基は、エチニル及びプロピニルである。
【0053】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合する指定した炭素原子数のアルキル基を表す。したがって、「アルコキシ」は上記のアルキルの定義を包含する。適切なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシである。好適なアルコキシ基は、メトキシ及びエトキシである。
【0054】
用語「ハロC1−6アルキル」及び「ハロC1−6アルコキシ」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子がハロゲン原子特にフッ素又は塩素原子と置き換わっているC1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。好適なのは、フルオロC1−6アルキル及びフルオロC1−6アルコキシ基、特にフルオロC1−3アルキル及びC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHF、CHF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHF、OCHF、OCHCHF、OCHCHF又はOCHCF、及びとりわけ、CF、OCF及びOCHFである。
【0055】
本明細書にて使用する場合、用語「ヒドロキシC1−6アルキル」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子がヒドロキシ基と置き換わっているC1−6アルキル基を意味する。好適なのは、CHOH、CHCHOH及びCHOHCHである。
【0056】
本明細書にて使用する場合、用語「C1−6アルキルカルボニル」又は「C1−6アルコキシカルボニル」は、それぞれカルボニル(C=O)基を介して結合するC1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。C1−6アルキルカルボニル基の適切な例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル及びtert−ブチルカルボニルである。C1−6アルコキシカルボニルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル及びtert−ブトキシカルボニルである。
【0057】
本明細書にて使用する場合、「C6−10アリール」とは6ないし10個の原子の、安定な単環状又は二環状炭素環を意味するものであり、ここで、少なくとも1つの環は芳香環である。かかるアリール要素の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びテトラヒドロベンゾ[7]アヌレンである。好適なアリール基は、フェニル又はナフチル、とりわけフェニルである。
7〜10員のヘテロ環は、7、8、9及び10員のヘテロ環を包含する。
【0058】
本発明の特定のヘテロ環の例は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフランジオニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾロニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、エポキシジル、フリル、フラザニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキセタニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キノリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロイミダゾロニル、ジヒドロトリアゾロニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロイミダゾピラジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリジノニル、イミダゾロニル、イソインドリノニル、オクタヒドロキノリジニル、オクタヒドロイソインドリル、イミダゾピリジニル、アザビシクロヘプタニル、クロメノニル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、チアゾロトリアゾリル、アゾニアビシクロヘプタニル、アゾニアビシクロオクタニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、ベンズイソキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、ジアゼパニル及びそのN−オキシドである。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介して、又はヘテロ原子を介して起こり得る。
【0059】
好適な4員の飽和へテロ環はアゼチジニルである。
好適な5又は6員の飽和又は部分的飽和のヘテロ環は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラン及びチオモルホリニルである。
好適な7員の飽和ヘテロ環は、ジアゼパニルである。
好適な5員のヘテロ芳香環は、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアジアソリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル及びピロリルである。
好適な6員のヘテロ芳香環は、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルである。
【0060】
好適な7〜10員の部分的飽和又は不飽和のヘテロ環は、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、チアゾロトリアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、トリアゾロピリミジニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル及びインドリジニルである。
本明細書にて使用する場合、用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいい、その内、フッ素と塩素が好適である。
【0061】
本発明の範囲内の特定化合物は以下のとおりである:
N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
N−ベンジル−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボキサミド;
1−クロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
N−ベンジル−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
トリフルオロ酢酸1−(2−{[(4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−4−フェニルピペラジン−1−イウム;
4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸;
4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸メチル;
N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボキサミド;
1−ブロモピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
3−ブロモピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
1,3−ジクロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
1,2−ジクロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
1−クロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸メチル;
及びその薬学的に許容される塩、遊離塩基及び/又は互変異性体。
【0062】
本発明の範囲内のさらなる化合物は以下のとおりである:
トリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム;
トリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム;
1,3−ジブロモピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
2−ブロモピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン;
N−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボキサミド;
トリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−1−フェニルピペラジン−1−イウム;
N−ベンジル−1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
1,2−ジクロロ−4−オキソ−N−(ピリジン−4−イルメチル)−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
1,2−ジクロロ−N−[4−(ジメチルアミノ)ベンジル]−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
1,3−ジクロロ−N−(4−シアノベンジル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
1,2−ジクロロ−N−(4−シアノベンジル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
【0063】
N−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
トリフルオロ酢酸1−ベンジル−4−(2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ピペリジニウム;
ビス(トリフルオロ酢酸)1−(2−{[(1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−4−メチルピペラジンジイウム;
1,3−ジクロロ−N−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
1,3−ジクロロ−N−(1,3−オキサゾール−2−イルメチル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド;
トリフルオロ酢酸2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}−N,N−ジメチルエタナミニウム;
及びその薬学的に許容される塩、遊離塩基及び互変異性体。
【0064】
本発明に包含されるのは、式(I)で示される化合物の遊離塩基、並びに薬学的に許容されるその塩及び立体異性体である。本発明化合物は、アミン及び/又はN−含有へテロ環基のN原子でプロトン化されて、塩を形成し得る。用語「遊離塩基」は非塩形態のアミン化合物をいう。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に記載した具体的化合物について例示した塩を包含するのみならず、式(I)の化合物の遊離形態の代表的な薬学的に許容される塩をも包含する。記載された具体的塩化合物の遊離の形態は、当該技術分野で既知の技法により単離されてもよい。例えば、該遊離の形態は、該塩を適当な希釈水性塩基溶液、例えば、希釈水性NaOH、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウムなどで処理することにより再生されてもよい。該遊離の形態は、特定の物理的性質、例えば、極性溶媒における溶解性などにおいて、それぞれの塩の形態と幾分異なってもよいが、その酸及び塩基の塩は、本発明の目的上、そのそれぞれの遊離の形態と、他はともかく、医薬的には等価である。
【0065】
本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性部分を含む本発明化合物から、常套の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は遊離の塩基と化学当量の、若しくは過剰量の所望の塩形成性無機酸若しくは有機酸と、適切な溶媒若しくは種々溶媒の組合わせ中、反応させることにより調製する。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機塩基又は有機塩基と反応させることにより形成する。
【0066】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の当該化合物と無機、有機の酸又はポリマー酸とを反応させることにより形成される場合の本発明化合物の常套の非毒性塩を包含する。例えば、常套の非毒性塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、硝酸などから誘導される塩、並びに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、パルミチン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、フェニル酢酸、アスパラギン酸、桂皮酸、ピルビン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、吉草酸、トリフルオロ酢酸などから調製される塩を包含する。適切なポリマー酸塩の例は、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸から誘導される塩である。好ましくは、本発明の薬学的に許容される塩は、1当量の式(I)で示される化合物及び1、2又は3当量の無機酸又は有機酸を含有する。より詳しくは、本発明の薬学的に許容される塩は、トリフルオロ酢酸塩又は塩化物塩、とりわけ、トリフルオロ酢酸塩である。
【0067】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩をいう。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、一級、二級及び三級のアミン、天然産置換アミンなどの置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、リジン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミントリプロピルアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0068】
上記の薬学的に許容される塩及びその他の典型的な薬学的に許容される塩の調製については、文献(Berg et al.(1977)J.Pharm.Sci.,“Pharmaceutical Salts(医薬用塩),”66:1−19)により詳しい記載がある。
本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることも銘記される;その理由はその場合、生理条件下で、当該化合物の脱プロトンされた酸性基(例えば、カルボキシル基)がアニオン性であり得るし、またこの電荷が、プロトン化若しくはアルキル化された塩基性基(例えば、四級窒素原子など)のカチオン性電荷に対して内部的にバランスを欠く可能性があるからである。
【0069】
本発明化合物は治療によりヒト又は動物の身体を処置する方法に使用し得る。
本発明はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善され得る症状の治療又は予防に使用する化合物を提供する(参照例:Nature Review Drug Discovery(2005)4:421−440)。
したがって、本発明はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善され得る症状の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
【0070】
本発明はまた、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善され得る症状の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
本発明のPARPインヒビターは、WO2005/082368に特定されている疾患の処置に有用である。
PARPインヒビターは炎症性疾患の治療に有用であることが証明されている(参照:Pharmacological Research(2005)52:72−82及び83−92)。
【0071】
本発明化合物は以下の炎症性疾患の治療に有用である:臓器移植拒絶反応から生じる症状、例えば、関節の慢性炎症性疾患など、例示として、関節炎、リウマチ様関節炎、骨関節症及び上昇した骨再吸収と関連する骨の疾患;炎症性腸疾患、例えば、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バーレット症候群、及びクローン病;炎症性肺疾患、例えば、喘息、成人呼吸促迫症候群、及び慢性閉塞性気道疾患;眼の炎症性疾患、例示として、角膜ジストロフィー、トラコーマ、回旋糸状虫症、ブドウ膜炎、交感神経系眼炎及び眼内炎;歯肉の慢性炎症性疾患、例示として、歯肉炎及び歯周炎;結核;ハンセン氏病;腎臓の炎症性疾患、例示として、尿毒症合併症、糸球体腎炎及び腎炎;炎症性皮膚疾患、例示として、硬化性皮膚炎、乾癬及び湿疹;中枢神経系の炎症性疾患、例示として、神経系の慢性脱髄性疾患、多発性硬化症、AIDS−関連神経変性とアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及びウイルス性又は自己免疫性脳炎;糖尿病合併症、限定されるものではないが、例示として、免疫複合体脈管炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE);心臓の炎症性疾患、例えば、心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、及びアテローム性動脈硬化症;並びに有意の炎症性成分を有し得る種々の他の疾患、例示として、子癇前症、慢性肝不全、脳と脊髄外傷及び多発性臓器機能不全症候群(MODS)(多発性臓器不全(MOF))。炎症性疾患はまた身体の全身性炎症でもあり、その例として、グラム陽性若しくはグラム陰性ショック、出血性若しくはアナフィラキシーショック、又は前炎症性サイトカインに応答する癌化学療法により誘発されるショック、例えば、前炎症性サイトカインと関連するショックが示される。かかるショックは例えば、癌の治療として投与される化学療法剤により誘発される可能性がある。
【0072】
したがって、本発明は炎症性疾患の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、炎症性疾患の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0073】
PARPインヒビターは急性及び慢性の心筋疾患を治療するために有用であることが示されている(参照例:Pharmacological Research(2005)52:34−43)。例えば、ウサギにおいて、PARPインヒビターの単回注射は、心臓又は骨格筋の虚血及び再潅流を原因とする梗塞サイズを低下させることが示されてきた。これらの研究においては、3−アミノ−ベンズアミド(10mg/kg)の単回注射が、閉塞1分前又は再潅流1分前のいずれかに、心臓の梗塞サイズの同様の低下(32〜42%)を惹き起こし、一方、1,5−ジヒドロキシイソキノリン(1mg/kg)(別のPARPインヒビター)は、同程度(38〜48%)で梗塞サイズを低下させた。これらの結果は、PARPインヒビターがこれまでの虚血心臓又は骨格筋組織の再潅流傷害を救出し得ようとの仮説を理に適ったものとする(PNAS(1997)94:679−683)。同様の知見がブタ(Eur.J.Pharmacol.(1998)359:143−150及びAnn.Thorac.Surg.(2002)73:575−581)においても、またイヌ(Shock.(2004)21:426−32)においても報告されている。
【0074】
PARPインヒビターは、特定の脈管性疾患、敗血症ショック、虚血性傷害及び神経毒性の治療に有用であると示されてきた(Biochim.Biophys.Acta(1989)1014:1−7;J.Clin.Invest.(1997)100:723−735)。また、PARPは出血性ショックの発病に役割を果たしていることが示されてきた(PNAS(2000)97:10203−10208)。
【0075】
本発明化合物は再潅流傷害の治療又は予防においても有用である;該再潅流傷害は本来存在するエピソードから、及び外科的手技に際して生じるもの、例えば、腸再潅流傷害;心筋再潅流傷害;心肺バイパス外科手術、大動脈瘤修復手術、頚動脈血管内膜切除手術、又は出血性ショックから生じる再潅流傷害;及び心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、腸、及び角膜などの臓器の移植から生じる再酸素化傷害である。
【0076】
したがって、本発明は再潅流傷害の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、再潅流傷害の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0077】
本発明化合物は、臓器移植から生じる虚血症状などの虚血症状、例えば、安定狭心症、不安定狭心症、心筋虚血、肝臓虚血、腸間膜動脈虚血、腸虚血、危機的四肢虚血、慢性危機的四肢虚血、脳虚血、急性心虚血、虚血性腎疾患、虚血性肝疾患、虚血性網膜障害、敗血症ショック、及び中枢神経系の虚血性疾患(例えば、脳卒中又は脳虚血)などの治療又は予防にも有用であり得る。
【0078】
したがって、本発明は虚血症状の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、虚血症状の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0079】
本発明は脳卒中の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、脳卒中の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0080】
本発明化合物はまた慢性又は急性の腎不全の治療又は予防のためにも有用であり得る。
したがって、本発明は腎不全の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、腎不全の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0081】
本発明化合物はまた、心血管系疾患以外の脈管系疾患、例えば、末梢動脈閉塞、閉塞性血栓性脈管炎、レイノー病と現象、先端チアノーゼ、皮膚紅痛症、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈瘻、リンパ水腫及び脂肪性浮腫などの治療又は予防に有用であり得る。
【0082】
したがって、本発明は心血管系疾患以外の脈管系疾患の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、心血管系疾患以外の脈管系疾患の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0083】
本発明化合物はまた、心血管系の疾患、例えば、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、循環系ショック、心筋症、心臓移植、心筋梗塞、及び心臓不整脈(例えば、心房細動、上心室性頻脈、心房粗動、及び発作性心房性頻脈など)の治療又は予防に有用であり得る。
【0084】
したがって、本発明は心血管系疾患の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、心血管系疾患の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0085】
インビトロ及びインビボでの実験は、PARPインヒビターがI型糖尿病及び糖尿病合併症などの自己免疫疾患の治療又は予防に使用し得ることを証明している(Pharmacological Research(2005)52:60−71)。
【0086】
本発明化合物はまた、以下の糖尿病の治療及び予防のために有用であり得る:I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、妊娠糖尿病、自己免疫性糖尿病、異常インスリン症、膵臓疾患による糖尿病、他の内分泌系疾患と関連する糖尿病(例えば、クッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞種、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症又はソマトスタチノーマなど)、A型インスリン耐性症候群、B型インスリン耐性症候群、脂肪組織萎縮性糖尿病、及び(3−細胞毒素が誘発する糖尿病。本発明化合物はまた、以下の糖尿病合併症の治療及び予防のためにも有用であり得る:糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、腎症、(例えば、微量アルブミン尿及び進行性糖尿病性腎症)、ポリニューロパシー、脚部壊疽、アテローム性冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性昏睡、単発神経障害、自律神経性ニューロパシー、脚部潰瘍、関節の問題、及び皮膚又は粘膜の合併症(例えば、感染症、脛斑点、カンジダ感染又は糖尿病性リポイド類壊死症など)、高脂血症、高血圧症、インスリン耐性症候群、冠状動脈疾患、網膜症、糖尿病性ニューロパシー、ポリニューロパシー、モノニューロパシー、自律神経ニューロパシー、脚部潰瘍、関節問題、真菌感染、細菌感染、及び心筋症。
【0087】
したがって、本発明は糖尿病の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、糖尿病の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0088】
本発明の化合物はまた、以下のの治療又は予防のために有用であり得る:固形腫瘍、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、血管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜性腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、すい臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻癌、咽頭癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、のう胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウイルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、睾丸癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、皮膚癌、メラノーマ、神経芽腫及び網膜芽腫など;血液由来癌、例えば、急性リンパ性白血病(“ALL”)、急性リンパ芽球B細胞白血病、急性リンパ芽球T細胞白血病、急性骨髄性白血病(“AML”)、急性前骨髄球性白血病(“APL”)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化細胞性白血病、慢性骨髄性白血病(“CML”)、慢性リンパ性白血病(“CLL”)、毛髪細胞白血病及び多発性骨髄腫など;急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、骨髄性白血病など;リンパ腫、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病及び真性赤血球増加症;CNS及び脳癌、例えば、グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳質上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、稀突起神経膠腫、髄膜腫、前庭神経鞘腫、アデノーマ、転移性脳腫瘍、髄膜腫、脊髄腫瘍及び髄芽細胞腫など。
【0089】
したがって、本発明は癌の治療又は予防用の医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、癌の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0090】
本発明化合物はまた、相同性組換え(HR)依存性DNA DSB修復活性を欠損する癌の処置に使用し得る(参照:WO2006/021801)。
HR依存性DNA DSB修復経路は、連続的なDNAへリックスを再形成するために、相同性メカニズムを介してDNAの二本鎖切断(DSBs)を修復する(Nat.Genet.(2001)27(3):247−254)。HR依存性DNA DSB修復経路の成分は、限定されるものではないが、ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMCl(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−l(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBSl(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51p、RAD51D、DMC1、XRCCR、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1及びRAD9である。HR依存性DNA DSB修復経路に関与する他のタンパク質は、EMSYなどの調節因子を含む(Cell(2003)115:523−535)。
【0091】
HR依存性DNA DSB修復を欠く癌は、正常細胞に比較して、すなわち、HR依存性DNA DSB修復経路の活性が1つ以上の癌細胞において低下しているか、又は消失されている可能性のある細胞に比較して、当該経路を経由するDNA DSBの修復能力が低下しているか、又は消失されている一つ以上の癌細胞を含んでなるか、又はそれにより構成されている可能性がある。
【0092】
HR依存性DNA DSB修復経路の1つ以上の成分の活性は、HR依存性DNA DSB修復能を欠く癌を有する個体の1つ以上の細胞において、消失されている可能性がある。HR依存性DNA DSB修復経路の成分は、当該技術分野において十分な性格付けがなされており(参照例:Science(2001)291:1284−1289)、上記に列挙した成分を含んでいる。
【0093】
本発明は、HR依存性DNA DSB修復活性を欠く癌の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、HR依存性DNA DSB修復活性を欠く癌の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法をも提供する。
【0094】
一実施態様において、該癌細胞は以下から選択される1種以上の表現型のHR依存性DNA DSB修復活性を欠いている:ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMCl(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−l(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBSl(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51p、RAD51D、DMC1、XRCCR、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1及びRAD9。
【0095】
別の実施態様において、該癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2欠失表現型を有する。この表現型を有する癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2を欠失している可能性がある;すなわち、BRCA1及び/又はBRCA2の発現及び/又は活性が、例えば、エンコードする核酸の突然変異又は多形により、又は調節因子をエンコードする遺伝子、例えば、BRCA2調節因子をエンコードするEMSY遺伝子における増幅、突然変異又は多形により、癌細胞中で低下しているか、又は消失されている可能性がある(Cell(2003)115:523−535)。
【0096】
BRCA−1及びBRCA−2は既知の腫瘍サプレッサーであり、その野生型対立遺伝子は、ヘテロ接合キャリヤーの腫瘍ではしばしば失われている(Oncogene,(2002)21(58):8981−93;Trends Mol Med.,(2002)8(12):571−6)。BRCA−1及び/又はBRCA−2突然変異と乳癌との関連性が十分に特徴付けされている(Exp Clin Cancer Res.,(2002)21(3 Suppl):9−12)。BRCA−2結合因子をエンコードするEMSY遺伝子の増幅は、乳癌と卵巣癌とに関係することが示されている。BRCA−1及び/又はBRCA−2に突然変異のあるキャリヤーはまた、卵巣、前立腺及び膵臓の癌のリスクが上昇している。BRCA−1及びBRCA−2における変異の検出は、当該技術分野にて周知であり、例えば、EP699 754、EP705 903、Genet.Test(1992)1:75−83;Cancer Treat Res(2002)107:29−59;Neoplasm(2003)50(4):246−50;Ceska Gynekol(2003)68(1):11−16)に記載されている。BRCA−2結合因子EMSYの増幅の測定はCell 115:523−535に記載されている。PARPインヒビターはBRCA−1及びBRCA−2欠失腫瘍の特異的殺滅に有用であることが示されてきた(Nature(2005)434:913−916及び917−921;及びCancer Biology & Therapy(2005)4:934−936))。
【0097】
したがって、本発明はBRCA−1又はBRCA−2を欠失する腫瘍の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、BRCA−1又はBRCA−2を欠失する腫瘍の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
一実施態様において、本発明のPARPインヒビターは、BRCA2−欠失細胞除去のための予防的治療に使用することが可能である(参照:Cancer Res.(2005)65:10145)。
【0098】
本発明化合物は以下の神経変性疾患の治療又は予防に有用であり得る:ポリグルタミン−膨張−関連神経変性、ハンチントン病、ケネディー病、脊髄小脳性運動失調、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、タンパク質凝集関連神経変性、マチャド−ジョセフ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、海綿様脳症、プリオン−関連疾患及び多発性硬化症(MS)。
【0099】
したがって、本発明は神経変性疾患の治療又は予防用医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた、神経変性疾患の治療又は予防方法であって、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0100】
本発明化合物はまた、レトロウイルス感染(US5652260及びJ.Virology,(1996)70(6):3992−4000)、網膜傷害(Curr.Eye Res.(2004),29:403)、皮膚老化及びUV−誘発皮膚傷害(US5589483及びBiochem.Pharmacol(2002)63:921)の治療又は予防に有用である。哺乳動物細胞の有効なレトロウイルス感染が、PARP活性の阻害により遮断されることも示されてきた。かかる組換えレトロウイルスベクターの感染抑制は、種々の異なる細胞型において起こることが示されてきた。
本発明化合物は、早熟加齢の治療又は予防に、また年齢関連細胞機能不全の発症を遅延させるために有用である(Biochem.Biophys.Res.Comm.(1994)201(2):665−672及びPharmacological Research(2005)52:93−99)。
【0101】
本発明化合物は、哺乳動物に、好ましくは、ヒトに、単独で、又は薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤と組合わせて、標準的薬学のプラクティスにしたがって、医薬組成物として投与し得る。
【0102】
本発明化合物は、対象に対し、常套のいずれかの投与経路により、全身的/末梢的に、又は所望の作用部位に、例えば、限定されるものではないが、経口(例えば、経口摂取);局所(例えば、経皮、鼻腔内、眼内、口腔内、及び舌下など);肺経由(例えば、エーロゾルなどを用いる、経口又は経鼻の吸入又は空気吸入により);直腸;膣;非経口(例えば、注射、例示として、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、鞘内、脊髄内、包内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、及び胸骨内など);及び貯留物移植(例えば、皮下に、又は筋肉内に)により投与し得る。
【0103】
対象は、真核細胞、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、犬類(例えば、イヌ)、猫類(例えば、ネコ)、馬類(例えば、ウマ)、霊長類、猿類(例えば、サル又は類人猿)、サル(例えば、キヌザル、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ギボン)、又はヒトでもよい。
【0104】
本発明はまた1種以上の本発明化合物及び薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物を提供する。有効成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルジョン、ハード若しくはソフトカプセル、又はシロップ若しくはエリキシルとし得る。経口使用を企図する組成物は医薬組成物の製造上、当該分野で技術的に既知の方法にしたがって調製し得る;また、かかる組成物は製剤上形のよい口に違和感のない製剤とするために、甘味剤、芳香剤、着色剤及び保存剤からなる群より選択される1種以上の試薬を含有してもよい。錠剤は有効成分と、錠剤の製造に適する非毒性の薬学的に許容される賦形剤とを混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えば、微結晶性セルロース、ナトリウム・クロスカルメロース、コーンスターチ、又はアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン又はアラビアゴム);及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)などである。錠剤は未被覆であってもよいし、又は薬物の不快な味をマスクするために、若しくは胃腸管での分解と吸収を遅延させて、それによって長時間作用を持続させるために、既知の技術的方法により被覆してもよい。例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性味遮蔽物質又はエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延物質を用いてもよい。
【0105】
経口使用の剤形は、ハードゼラチンカプセルとしても提供し得るが、その場合、有効成分は不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンなどと混合する;あるいはソフトゼラチンカプセルとしても提供し得るが、その場合、有効成分はポリエチレングリコールなどの水溶性担体、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合する。
【0106】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と一緒に活性物質を含有する。かかる賦形剤は懸濁化剤、例えば、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアゴムなどである;分散剤又は湿潤剤は天然産のホスファチド(例えば、レシチン)、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合産物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)でよい。水性懸濁液はさらに1種以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル若しくはn−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の芳香剤、及び1種以上の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン若しくはアスパルテーム)などを含有してもよい。
【0107】
油性懸濁液は、有効成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油)、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)などに懸濁することにより製剤化し得る。この油性懸濁液は増粘剤(例えば、ミツロウ、硬パラフィン若しくはセチルアルコールなど)を含有し得る。口当たりのよい経口製剤とするために、上記のような甘味剤及び芳香剤を添加してもよい。これらの組成物はブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファ−トコフェロールなどの抗酸化剤を添加して保存してもよい。
【0108】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒として、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤と混合した有効成分が提供される。適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、すでに上記したものにより例示される。さらなる添加剤、例えば、甘味剤、芳香剤及び着色剤も存在しうる。これらの組成物はアスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により保存してもよい。
【0109】
本発明の医薬組成物は水中油型のエマルジョンの形状でもよい。油相は植物油(例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油)、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)、又はそれらの混合物でもよい。適当な懸濁化剤は天然産のホスファチド(例えば、ダイズレシチン)、及び脂肪酸とヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、及び当該部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)でよい。該エマルジョンは甘味剤、芳香剤、保存剤及び抗酸化剤をも含み得る。
【0110】
シロップ及びエリキシルは甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)により製剤化してもよい。かかる製剤は粘滑剤、保存剤、芳香及び着色剤及び抗酸化剤をも含んでもよい。
該医薬組成物は無菌の注射用水溶液の形態でもよい。使用され得る許容される媒体と溶媒は、とりわけ、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。
【0111】
無菌の注射用製剤は、有効成分を油相に溶かした、無菌の注射用水中油型マイクロエマルジョンでもよい。例えば、有効成分を先ずダイズ油とレシチンの混合物に溶かしてもよい。次いで、その油溶液を水とグリセロールの混合物中に導入し、加工処理してマイクロエマルジョンとする。
【0112】
注射用溶液又はマイクロエマルジョンは、局所のボーラス注射により患者の血流中に導入してもよい。あるいは、本発明化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で、溶液又はマイクロエマルジョンを投与することが有利であり得る。かかる一定濃度を維持するためには、連続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック・カッド−プラス(CADD−PLUS(登録商標))モデル5400静脈内用ポンプである。
【0113】
該医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の無菌注射用水性又は油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は既知の技術に従い、上記の適当な分散若しくは湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤化してもよい。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口投与可能な希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)でもよい。さらに、無菌の不揮発性油を溶剤又は懸濁媒体として用いるのが便利である。この目的のためには、合成のモノ−又はジグリセリドを含む刺激のない、いずれの不揮発性油も採用し得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射用製剤に使用してもよい。
【0114】
式(I)で示される化合物は、薬物を直腸投与する坐剤の形態でも投与してもよい。これらの組成物は、適当な非刺激性の添加剤であって、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果、直腸内で融解して薬物を放出するような添加剤と薬物を混合することにより調製し得る。かかる物質はカカオ脂、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物を包含する。
【0115】
局所での使用には、式(I)で示される化合物を含有するクリーム、軟膏、ジェリー、溶液又は懸濁液などが用いられる。(この適用の目的には、局所適用剤としてうがい薬及び含嗽剤も包含するものとする)。
【0116】
本発明化合物は鼻腔内用の形態で、適当な鼻腔内媒体と送達装置を局所的に使用するか、又は当業者周知の皮膚透過性皮膚パッチの形態で、経皮経路により投与し得る。経皮送達システムの形態で投与するには、勿論、一定用量の投与を薬剤投与計画全般で断続的であるよりもむしろ連続的であるようにする。本発明化合物はカカオ脂、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物などの基剤を用いる坐剤としても送達してもよい。
【0117】
本発明による化合物を対象に投与する場合、選択される投与量レベルは様々の因子、例えば、限定されるものではないが、特定化合物の活性、個々の症候の重篤度、投与ルート、投与時期、該化合物の排泄速度、処置期間、組合わせて使用する他の薬物、化合物及び/又は物質、及び患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康、及び患者のこれまでの医療歴などに左右される。化合物の量及び投与ルートは、最終的に医師が自由に裁量するものであるが、一般に、その投与量は実質的に害を及ぼす又は有害な副作用を惹き起こさずに、所望の効果を達成する局所濃度を、作用部位で達成するものである。
【0118】
インビボでの投与は、治療の全コースを通じて、単回投与、連続的に、又は断続的(例えば、適切な間隔で分割投与)に実施し得る。投与の最も有効な手段及び投与量を決定する方法は、当業者周知であり、治療に使用する剤形、治療目的、処置すべき標的細胞、処置すべき対象によって変わる。単回又は多数回投与は、治療する医師が選択する投与レベル及びパターンで実施し得る。
【0119】
一般に、活性化合物の適切な用量は、1日あたり、対象の体重1kgにつき、約100μgないし約250mgの範囲である。活性化合物が、塩、エステル、プロドラッグなどである場合、その投与量は親化合物に基づいて計算し、そのため、使用する実際の重量はそれに比例して上昇する。
【0120】
本発明化合物はまた、抗癌剤又は化学療法剤との組合わせでも有用である。
PARPインヒビターは抗癌剤の効力を増強することが示されている(Pharmacological Research(2005)52:25−33);例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金化合物の効力を増強する(Cancer Chemother Pharmacol(1993)33:157−162及びMol Cancer Ther(2003)2:371−382)。PARPインヒビターは、イリノテカン及びトポテカンなどのトポイソメラーゼIインヒビターの抗腫瘍活性を増大させることが示されてきた(Mol Cancer Ther(2003)2:371−382;及びClin Cancer Res(2000)6:2860−2867);また、このことはインビボモデルにおいても示されてきた(J Natl Cancer Inst(2004)96:56−67)。
【0121】
PARPインヒビターは放射線増感剤として作用することが示されてきた。PARPインヒビターは腫瘍細胞の放射線増感(低酸素)に有効であり、また放射線療法後のDNAの潜在的に致死性の損傷(Br.J.Cancer(1984)49(Suppl.VI):34−42;及びInt.J.Radiat.Bioi.(1999)75:91−100)及び準致死的損傷(Clin.Oncol.(2004)16(1):29−39)から腫瘍細胞が回復するのを防止する上で有効であると報告されている;このことは恐らく、これらがDNA鎖切断の再結合を防止する能力によるものであり、いくつものDNA損傷シグナル伝達経路に影響することによると思われる。
【0122】
本発明の化合物は、癌処置のための化学的−及び放射線増感剤として有用であり得る。それらは以前に癌治療を受けたことのある、又は現在受けている哺乳動物の処置に有用である。かかる以前の治療は、化学療法、放射線療法、外科手術、又は癌ワクチンなどの免疫療法である。
したがって、本発明は同時に、別個に又は連続的に投与するための、式(I)で示される化合物と抗癌剤との配合剤を提供する。
【0123】
本発明はまた癌治療において添加剤として使用するか、又は腫瘍細胞に対し電離放射線若しくは化学療法剤での治療を増強する医薬の製造のために使用する式(I)で示される化合物を提供する。
本発明はまた化学療法又は放射線療法であって、電離放射線若しくは化学療法剤と組合わせで、式(I)で示される化合物又は式(I)で示される化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0124】
併用療法において、本発明化合物は、それを必要とする対象に、他の抗癌剤の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、投与と同時に、又は投与後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与し得る。様々な実施態様において、本化合物及び別の抗癌剤は、1分離して、10分離して、30分離して、1時間未満離して、1時間ないし2時間離して、2時間ないし3時間離して、3時間ないし4時間離して、4時間ないし5時間離して、5時間ないし6時間離して、6時間ないし7時間離して、7時間ないし8時間離して、8時間ないし9時間離して、9時間ないし10時間離して、10時間ないし11時間離して、11時間ないし12時間離して、長くても24時間離して、又は長くても48時間離して投与する。
【0125】
本発明化合物と他の抗癌剤とは、相加的に又は相乗的に作用し得る。本発明化合物と他の抗癌剤との相乗的組合わせは、これら薬剤の一方又は双方の投与量を低下させ得るし、及び/又は当該化合物と他の抗癌剤の一方又は双方の投与頻度を少なくさせ得るし、及び/又は少ない回数で薬剤を投与することは、癌治療において薬剤の効力を低下させずに、対象に該薬剤を投与することと関連する毒性の低下を可能にする。さらに、相乗的効果は
癌の治療におけるこれら薬剤の効力を改善することにつながり、及び/又はいずれかの薬剤を単独で使用した場合に生じ得る有害な、又は不所望の副作用を低下させることにつながり得る。
【0126】
本発明化合物と組合わせて使用する抗癌剤又は化学療法剤の例は、文献(Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T.Devita and S.Hellman(editors),6th edition(February 15,2001),Lippincott Williams & Wilkins Publishers)に見出すことができる。当業者は薬剤のどの組合わせが有用であるか、関与する薬物と癌の特性にもとづいて確認し得よう。かかる抗癌剤は、限定されるものではないが、以下のとおりである:HDACインヒビター、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター及び他の血管形成インヒビター、細胞増殖と生存シグナル伝達のインヒビター、アポトーシス誘発剤、及び細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤。本発明化合物は放射線療法と同時投与するときに、特に有用である。
【0127】
「HDACインヒビター」の例は、スベロイルアニリド・ヒドロキサム酸(SAHA)、LAQ824、LBH589、PXD101、MS275、FK228、バルプロン酸、酪酸、及びCI−994である。
【0128】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するエストロゲンの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。エストロゲン受容体モジュレーターの例は、限定されるものではないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン(toremifene)、フルベストラント(fulvestrant)、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646などである。
【0129】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するアンドロゲンの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。アンドロゲン受容体モジュレーターの例は、フィナステリドと他の5α−リダクターゼ・インヒビター、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)及び酢酸アビラテロン(abiraterone acetate)などである。
【0130】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するレチノイドの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。かかるレチノイド受容体モジュレーターの例は、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin)、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドなどである。
【0131】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」とは、細胞死を惹き起こすか、又は細胞の機能化に直接干渉して細胞増殖を主として阻害するか、又は細胞の減数分裂を阻害又は干渉する化合物をいい、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレート剤、低酸素症活性化化合物、微小管インヒビター/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンインヒビター、有糸分裂進行に関与するキナーゼのインヒビター、代謝拮抗剤、生物応答修飾因子、ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼインヒビター、プロテオソームインヒビター及びユビキチンリガーゼインヒビターを包含する。
【0132】
細胞傷害剤の例は、限定されるものではないが、シクロホスファミド、クロランブシル カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、トレオスルファン、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン、アロプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド(temozolomide)、メタンスルホン酸メチル、プロカルバジン、ダカルバジン、ヘプタプラチン、エストラムスチン(estramustine)、イムプロスルファン・トシレート(improsulfan tosilate)、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(参照:WO00/50032)などである。
【0133】
一実施態様において、本発明の化合物はアルキル化剤と組合わせて使用することができる。
アルキル化剤の例は、限定されるものではないが、ナイトロジェンマスタード;シクロホスファミド;イホスファミド;トロフォスファミド及びクロランブシル;ニトロソウレア;カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU);スルホン酸アルキル;ブスルファン及びトレオスルファン;トリアゼネス;ダカルバジン、プロカルバジン及びテモゾロミド;白金含有複合体:シスプラチン、カルボプラチン、アロプラチン及びオキサリプラチンである。
【0134】
一実施態様において、アルキル化剤はデカルバジンである。デカルバジンは約150mg/m2(対象の体表面積)ないし約250mg/m2の範囲の投与量で対象に投与し得る。別の実施態様において、デカルバジンは、1日1回、約150mg/m2ないし約250mg/m2の範囲の用量で、5日間連続、対象に静脈内投与する。
【0135】
一実施態様において、アルキル化剤はプロカルバジンである。プロカルバジンは約50mg/m2(対象の体表面積)ないし約100mg/m2の範囲の投与量で対象に投与し得る。別の実施態様において、プロカルバジンは1日1回、連続5日間、約50mg/m2ないし約100mg/m2の範囲の用量で対象に静脈内投与する。
【0136】
PARPインヒビターはテモゾラミド(TMZ)の細胞毒性及び抗増殖作用に対する感受性を回復することが示されている(参照:Curr Med Chem(2002)9:1285−1301及びMed Chem Rev Online(2004)1:144−150)。このことは多くのインビトロモデル(Br J Cancer(1995)72:849−856;Br J Cancer(1996)74:1030−1036;Mol Pharmacol(1997)52:249−258;Leukemia(1999)13:901−909;Glia(2002)40:44−54;及びClin Cancer Res(2000)6:2860−2867及び(2004)10:881−889)及びインビボモデル(Blood(2002)99:2241−2244;Clin Cancer Res(2003)9:5370−5379及びJ Natl Cancer Inst(2004)96:56−67)で証明されている。
【0137】
一実施態様において、アルキル化剤はテモゾロアミドである。テモゾロアミドは約150mg/m2(対象の体表面積)ないし約200mg/m2の範囲の投与量で対象に投与し得る。別の実施態様において、テモゾロミドは1日1回、連続5日間、約150mg/m2ないし約200mg/m2の範囲の用量で動物に経口投与する。
【0138】
抗有糸分裂剤の例は、アロコルヒチン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドルスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、チオコルヒチン及びトリチルシステインである。
低酸素症活性化化合物の例は、チラパザミン(tirapazamine)である。
プロテオソームインヒビターの例は、限定されるものではないが、ラクタシスチン(lactacystin)、ボルテゾミブ(bortezomib)、エポキシマイシン、及びMG132、MG115及びPSIなどのペプチドアルデヒドである。
【0139】
微小管インヒビター/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート(mivobulin isethionate)、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン類(epothilones)(参照例:USP6,284,781及び6,288,237)及びBMS188797などである。
【0140】
トポイソメラーゼインヒビターの一部の例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、エキサテカン、ギメテカン、ジフロモテカン、シリル−カンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、カンプトテシン、クリスナトール、マイトマイシンC、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チャートロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパナミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ラートテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナンスリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及びジメスナ(dimesna)など;非カンプトテシン・トポイソメラーゼ−1インヒビター、例えば、インドロカルバゾール;及び二重トポイソメラーゼ−IとIIインヒビター、例えば、ベンゾフェナジン、XR20 11576lMLN576及びベンゾピリドインドールである。
【0141】
一実施態様において、トポイソメラーゼインヒビターはイリノテカンである。イリノテカンは約50mg/m2(対象の体表面積)ないし約150mg/m2の範囲の投与量で対象に投与し得る。別の実施態様において、イリノテカンは、1日1回、連続5日間、第1〜5日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で対象に静脈内投与し、次いで、1日1回、連続5日間、第28〜32日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で再度静脈内投与し、次いで、1日1回、連続5日間、第55〜59日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で再び静脈内投与する。
【0142】
有糸分裂キネシン、とりわけヒトの有糸分裂キネシンKSPのインヒビターの例は、PCT公開WO01/30768、WO01/98278、WO02/056880、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678、WO03/39460、WO03/079973、WO03/099211、WO2004/039774、WO03/105855、WO03/106417、WO2004/087050、WO2004/058700、WO2004/058148及びWO2004/037171及び米国特許出願US2004/132830及びUS2004/132719に記載されている。一実施態様において、有糸分裂キネシンのインヒビターは、限定されるものではないが、KSPのインヒビター、MKLP1のインヒビター、CENP−Eのインヒビター、MCAKのインヒビター、Kif14のインヒビター、Mphosph1のインヒビター及びRab6−KIFLのインヒビターである。
【0143】
「有糸分裂の進行に関わるキナーゼのインヒビター」は、限定されるものではないが、オーロラ・キナーゼのインヒビター、ポロ様キナーゼ(PLK)のインヒビター(とりわけPLK−1のインヒビター)、バブ−1のインヒビター及びバブ−R1のインヒビターを包含する。
【0144】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001、及び代謝拮抗剤、例えば、エノシタビン、カルモフル、テガフル、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビン・オクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール、デキスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン及び3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒド・チオセミカルバゾンなどである。
【0145】
モノクローナル抗体標的化治療剤の例は、癌細胞特異的又は標的細胞特異的モノクローナル抗体に結合した細胞傷害剤又は放射性同位体を有する治療薬である。その例はベクサール(Bexxar)である。
【0146】
「HMG−CoAリダクターゼインヒビター」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAリダクターゼのインヒビターをいう。使用し得るHMG−CoAリダクターゼインヒビターの例は、限定されるものではないが、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR;登録商標);参照USP4,231,938、4,294,926及び4,319,039)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR;登録商標);参照USP4,444,784、4,820,850及び4,916,239)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL;登録商標);参照USP4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447及び5,180,589)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL;登録商標);参照USP5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946及び5,356,896)及びアトルバスタチン(リピトール(LIPITOR;登録商標);参照USP5,273,995、4,681,893、5,489,691及び5,342,952)を包含する。本方法に使用し得るこれらのHMG−CoAリダクターゼインヒビター及びさらなるインヒビターの構造式については、文献(M.Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs(コレステロール低下剤)”,Chemistry & Industry,pp.85−89(1996年2月5日))の87ページ及びUSP4,782,084及び4,885,314に記載がある。本明細書にて使用する場合の用語HMG−CoAリダクターゼインヒビターとは、HMG−CoAリダクターゼ阻害活性を有する化合物の薬学的に許容されるラクトン及び開環酸型(すなわち、ラクトン環が開いて遊離の酸を形成する場合)のもの、並びに塩及びエステル型のものをすべて包含し、したがって、かかる塩、エステル、開環酸及びラクトン型の使用が本発明の範囲に包含される。
【0147】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター」は、いずれか1種類の又はいずれか組合わせたプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素を阻害する化合物をいい、該酵素はファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、ラブGGPTアーゼともいう)などである。
【0148】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの例は、以下の公開出願及び特許に見出し得る:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、USP5,420,245、USP5,523,430、USP5,532,359、USP5,510,510、USP5,589,485、USP5,602,098、欧州特許公開0 618 221、欧州特許公開0 675 112、欧州特許公開0 604 181、欧州特許公開0 696 593、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、USP5,661,152、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、USP5,571,792、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及びUSP5,532,359。血管形成に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの役割の例については、文献(European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394−1401(1999))を参照されたい。
【0149】
「血管形成インヒビター」とは、メカニズムに関係なく、新しい血管の形成を阻害する化合物をいう。血管形成インヒビターの例は、限定されるものではないが、チロシンキナーゼインヒビター、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)のインヒビター、表皮由来、線維芽細胞由来若しくは血小板由来増殖因子のインヒビター、MMP(マトリックス・メタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリン・ブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、、シクロオキシゲナーゼインヒビター(アスピリン及びイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)並びにセレコキシブ及びロフェコキシブなどの選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター(PNAS,Vol.89,p.7384(1992);JNCI,Vol.69,p.475(1982);Arch.Opthalmol.,Vol.108,p.573(1990);Anat.Rec.,Vol.238,p.68(1994);FEBS Letters,Vol.372,p.83(1995);Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995);J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107(1996);Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997);Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997);Cell,Vol.93,p.705(1998);Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998);J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド系抗炎症剤(コルチコステロイド、ミネラロコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレッド、ベタメサゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(参照:J.Lab.Clin.Med.105:pp.141−145(1985))、及びVEGFに対する抗体(参照:Nature Biotechnology,Vol.17,pp.963−968(1999);Kim et al.,Nature,362,pp.841−844(1993);WO00/44777;及びWO00/61186)である。
【0150】
血管形成を調節又は阻害し、本発明化合物と組合わせて使用し得る他の治療薬は、凝固系及び繊維素溶解系を調節又は阻害する薬剤である(参照概説:Clin.Chem.La.Med.Vol.38:pp.679−692(2000))。凝固及び繊維素溶解経路を調節又は阻害するかかる薬剤の例は、限定されるものではないが、ヘパリン(参照:Thromb.Haemost.Vol.80:pp.10−23(1998))、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼUインヒビター(活性トロンビンを活性化し得る繊維素溶解インヒビター(TAFIa)のインヒビターとしても知られる)(参照:Thrombosis Res.Vol.101:pp.329−354(2001))などを包含する。TAFIaインヒビターはPCT公開WO03/013,526及びUS出願番号60/349,925(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0151】
「細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤」とは、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するタンパク質キナーゼを阻害し、それによってDNA傷害剤に対し癌細胞を増感する化合物をいう。かかる薬剤は、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼのインヒビター、及びcdkとcdcキナーゼインヒビターであり、具体的には7−ヒドロキシスタウロスポリン、スタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(シクラセル(Cyclacel))及びBMS−387032などである。
【0152】
「細胞増殖と生存シグナル伝達経路のインヒビター」とは、細胞表面受容体及び細胞表面受容体の下流にあるシグナル伝達カスケードを阻害する薬剤類をいう。かかる薬剤は、EGFRインヒビターのインヒビター(例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブ)、ERB−2のインヒビター(例えば、トラスツズマブ)、IGFRのインヒビター(例えば、WO03/059951に開示されたもの)、サイトカイン受容体のインヒビター、METのインヒビター、P13Kのインヒビター(例えば、LY294002)、セリン/スレオニンキナーゼ(限定されるものではないが、下記に記載されているAktインヒビターを含む:WO03/086404、WO03/086403、WO03/086394、WO03/086279、WO02/083675、WO02/083139、WO02/083140及びWO02/083138)、Rafキナーゼのインヒビター(例えば、BAY−43−9006)、MEKのインヒビター(例えば、CI−1040及びPD−098059)及びmTORのインヒビター(例えば、ワイスCCI−779及びアリアッドAP23573)である。かかる薬剤は、小分子インヒビター化合物及び抗体アンタゴニストを含む。
「アポトーシス誘発剤」はTNF受容体ファミリーメンバーの活性化因子である(TRAIL受容体を包含する)。
【0153】
また本発明は選択的COX−2インヒビターであるNSAIDとの組合わせをも包含する。本明細書の目的上、選択的COX−2インヒビターであるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価されるCOX−2のIC50のCOX−1のIC50に対する比で測定して、COX−1よりもCOX−2を少なくとも100倍阻害する特異性を有するものと定義される。かかる化合物は、限定されるものではないが、USP5,474,995、USP5,861,419、USP6,001,843、USP6,020,343、USP5,409,944、USP5,436,265、USP5,536,752、USP5,550,142、USP5,604,260、U.S.5,698,584、USP5,710,140、WO94/15932、USP5,344,991、USP5,134,142、USP5,380,738、USP5,393,790、USP5,466,823、USP5,633,272及びUSP5,932,598(これらはすべて参照により本明細書の一部とする)に開示された化合物である。
【0154】
本治療方法において特に有用なCOX−2インヒビターは、5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン又はその薬学的に許容される塩である。
COX−2の特異的インヒビターとして記載されており、したがって、本発明において有用である化合物は、限定されるものではないが、以下のものである:パレコキシブ(parecoxib)、セレブレックス(CELEBREX;登録商標)及びベクストラ(BEXTRA;登録商標)又は薬学的に許容されるその塩。
【0155】
血管形成インヒビターのその他の例は、限定されるものではないが、エンドスタチン、ウクライン(ukrain)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン(squalamine)、コンブレタスタチン(combretastatin)、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)である。
【0156】
上記で使用される場合の「インテグリン・ブロッカー」とは、生理的リガンドがαvβ3インテグリンに結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、生理的リガンドがαvβ5インテグリンに結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、生理的リガンドがαvβ3インテグリンとαvβ5インテグリンの両方に結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、及び毛細血管内皮細胞で発現される特定インテグリンの活性を拮抗、阻害又は反作用する化合物をいう。この用語はまたαvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1及びα6β4インテグリンのアンタゴニストをもいう。この用語はまたαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、β5α1、α6β1及びα6β4インテグリンのいずれかの組合わせのアンタゴニストをもいう。
【0157】
チロシンキナーゼインヒビターの一部の具体例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリナミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン(genistein)、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジナミン、及びEMD121974である。
【0158】
PARPインヒビターはまた、MeOSO(CH)−レキシトロプシン(lexitropsin)(Me−Lex)などの選択的N3−アデニンメチル化剤により誘発される壊死の出現を防止することが示されている(Me−Lex)(Pharmacological Research(2005)52:25−33)。
一実施態様において、本発明化合物は、MeOSO(CH)−レキシトロプシン(Me−Lex)などの選択的N3−アデニンメチル化剤が誘発する壊死の出現を処置又は予防するために有用である。
【0159】
抗癌化合物以外の化合物との組合わせもまた本方法に包含される。例えば、本出願の請求項に記載された化合物とPPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの組合わせは、ある種悪性腫瘍の治療に有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの内皮細胞における発現及び血管形成におけるその関与については文献(参照:J.Cardiovasc.Pharmacol.1998;31:909−913;J.Biol.Chem.1999;274:9116−9121;Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000;41:2309−2317)に報告されている。つい最近、PPAR−γアゴニストがインビトロでVEGFに対する血管形成応答を阻害することが示されている;トログリタゾン(troglitazone)及びマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)両方が、マウスにおいて網膜新生血管形成の進展を阻害する(Arch.Ophthamol.2001;119:709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、限定されるものではないが、チアゾリジンジオン類(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン(troglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、及びピオグリタゾン(pioglitazone))、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN09/782,856に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN60/235,708及び60/244,697に開示)などを包含する。
【0160】
本発明の別の実施態様は、ここに開示されている化合物と、抗ウイルス剤(例えば、癌治療用のガンシクロビルなどのヌクレオシド類似体など)とを組合わせて使用することである。参照:WO98/04290。
【0161】
本発明のもう一つの実施態様は、癌治療のための遺伝子療法と組合わせて、本明細書に開示した化合物を使用することである。癌治療の遺伝子戦略の概観については:Hall et al(Am.J.Hum.Genet.61:785−789,1997)及びKufe et al(Cancer Medicine,5th Ed,pp876−889,BC Decker,Hamilton 2000)を参照。遺伝子療法は腫瘍抑制遺伝子を送達するために使用することができる。かかる遺伝子の例は、限定されるものではないが、p53(この遺伝子は組換えウイルス媒介遺伝子伝達を介して送達される)(例えば、USP6,069,134参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(“uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、マウスにおいて血管形成依存性腫瘍増殖及び拡散を抑制する”Gene Therapy,August 1998;5(8):1105−13)、及びインターフェロン−ガンマ(J.Immunol.2000;164:217−222)などを包含する。
【0162】
本発明化合物はまた本来多剤耐性(MDR)であるインヒビター、とりわけ輸送体タンパク質の高レベル発現と関係するMDRのインヒビターと組合わせて投与し得る。かかるMDRインヒビターは、p−糖タンパク質(P−gp)のインヒビター、例えば、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、ベラパミル(verapamil)及びPSC833(バルスポダール(valspodar))を包含する。
【0163】
本発明化合物は、本発明化合物の単独使用又は放射線療法との併用から生じ得る急性、遅延型、後期、及び予測性の嘔吐などの悪心又は嘔吐を治療するために、抗嘔吐剤とともに使用し得る。嘔吐の予防又は治療のために、本発明化合物は他の抗嘔吐剤、とりわけ、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)、及びザチセトロン(zatisetron)など、GABA受容体アゴニスト、例えば、バクロフェンなど、コルチコステロイド、例えば、デカドロン(デキサメタゾン)など、ケナログ(Kenalog)、アリストコルト(Aristocort)、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又はUSP2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326及び3,749,712に開示されたその他のもの、抗ドーパミン作動性薬、例えば、フェノチアジン類(例:プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクロプラミド又はドロナビノールなどと共に使用し得る。一実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤が、本発明化合物の投与により生じ得る嘔吐の治療又は予防のために、アジュバントとして投与される。
【0164】
本発明化合物と組合わせて使用するニューロキニン−1受容体アンタゴニストについては、例えば、以下に詳しく記載されている:米国特許USP5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147;欧州特許公開番号EP0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942及び97/21702;及び英国特許公開PB−A2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び 2 302 689。かかる化合物の調製については、上記の特許及び出願公開に詳しく記載されている;これらを参照により本明細書の一部とする。
【0165】
一実施態様において、本発明化合物と組合わせて使用されるニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、USP5,719,147に開示されている2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又はその薬学的に許容される塩から選択される。
本発明化合物は貧血の治療に有用な薬剤と共にも投与してもよい。かかる貧血治療の薬剤は、例えば、連続的赤血球形成受容体活性化因子(例えば、エポエチンアルファなど)である。
【0166】
本発明化合物は好中球減少症の治療に有用な薬剤と共にも投与し得る。かかる好中球減少症治療の薬剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの好中球の産生と機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例はフィルグラスチム(filgrastim)である。
本発明化合物はまた免疫増強剤、例えば、レバミゾール、イソプリノシン(isoprinosine)及びザダキシン(Zadaxin)などと共にも投与してもよい。
【0167】
本発明化合物はまたビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸などを含むと理解される)と組合わせて、骨癌などの癌の治療又は予防に有用であり得る。ビスホスホネートの例は、限定されるものではないが、エチドロネート(ジドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレジア(Aredia))、アレンドロネート(ホサマックス(Fosamax))、リセンドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート(incadronate)若しくはシマドロネート(cimadronate)、クロドロネート(clodronate)、EB−1053、ミノドロネート(minodronate)、ネリドロネート(neridronate)、ピリドロネート(piridronate)及びチルドロネート(tiludronate)並びにそのいずれかの、及びすべての薬学的に許容される塩、誘導体、水和物及びその混合物である。
【0168】
したがって、本発明の範囲は当該化合物と、電離放射線との組合せで、及び/又はHDACインヒビター、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、本来多剤耐性であるインヒビター、抗嘔吐剤、貧血治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強剤、細胞増殖と生存シグナル伝達のインヒビター、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘発剤及びビスホスホネートなどと組合わせて使用することを包含する。
【0169】
本発明化合物に関連して、用語「投与」及びその変化(例えば、化合物を「投与する」)は、治療を必要とする動物の系に該化合物又は該化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグを1種以上の他の活性剤(例えば、細胞傷害剤など)との組合せで提供する場合、「投与」又はその変化は、それぞれ該化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤の同時及び連続的導入を含むものと理解される。
【0170】
本明細書にて使用される場合、「組成物」という用語は、特定量の特定した成分並びに特定量の特定した成分の組合わせから直接又は間接に生じる産物を含有してなる産物を包含するものとする。
「治療有効量」という用語は、本明細書にて使用される場合、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床医が求める組織、系、動物又はヒトにおいて、生物学的又は医学的応答を惹き出す活性化合物又は医薬品のその量を意味する。
【0171】
用語「治療」とは、病理学的症状に罹患する哺乳動物の治療をいい、また癌性細胞を死滅させることによる該症状の軽快作用をいうが、該症状の進行を阻害する作用をもいい、進行速度の減速、進行速度の停止、症状の改善、及び症状の治癒を包含する。予防的手段としての治療(すなわち、予防)も包含される。
【0172】
本明細書にて使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わず、理に適った有用性/リスク比の釣り合っている化合物、物質、組成物、及び/又は投与形状に関わる。
【0173】
用語「補助手段」とは、既知の治療手段と組合わせた化合物の使用をいう。かかる手段は、異なる癌のタイプの治療に使用する場合の薬物の細胞傷害性療法及び/又は電離放射線法を含む。とりわけ、該活性化合物は多くの癌化学療法処置の作用を増強することが知られており、そのものには、癌の治療に使用されるトポイソメラーゼクラスの毒物(例えば、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン)、殆どの既知のアルキル化剤(例えば、DTIC、テモゾラミド)及び白金に基づく薬物(例えば、カルボプラチン、シスプラチン)が包含される。
【0174】
一実施態様において、第二の化合物として使用するべき血管形成インヒビターは、チロシンキナーゼインヒビター、上皮由来増殖因子のインヒビター、線維芽細胞由来増殖因子のインヒビター、血小板由来増殖因子のインヒビター、MMP(マトリックス・メタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリン・ブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン・ポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼ・インヒビター、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチルカルボニル)フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施態様において、エストロゲン受容体モジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0175】
また、請求項の範囲には、式(I)で示される化合物の治療有効量を、放射線療法との組合わせで、及び/又はHDACインヒビター、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、本来多剤耐性であるインヒビター、抗嘔吐剤、貧血治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強剤、細胞増殖と生存シグナル伝達のインヒビター、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘発剤及びビスホスホネートから選択される化合物との組合せで投与することからなる癌の治療方法が包含される。
【0176】
また本発明のなお別の実施態様は、式(I)で示される化合物の治療有効量を、パクリタキセル又はトラスツズマブと組合わせて投与することからなる癌の治療方法である。
本発明はさらに式(I)で示される化合物の治療有効量をCOX−2インヒビターと組合わせて投与することからなる癌の治療又は予防方法を包含する。
【0177】
本発明はまた式(I)で示される化合物の治療有効量と、HDACインヒビター、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、細胞増殖と生存シグナル伝達のインヒビター、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘発剤及びビスホスホネートから選択される化合物とを含有してなる癌の治療又は予防に有用な医薬組成物を包含する。
本発明のこれら諸々の局面は、本明細書に含まれる教示から明瞭である。
【0178】
化学上の記述及び実施例にて使用する略号は以下のとおりである:
AcOH:酢酸;(BzO)ベンゾイルペルオキシド;cat:触媒;DCM:ジクロロメタン;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EtOAc:酢酸エチル;eq.:当量;h:時間;HBTU:O−ベンゾトリアゾール−N,N,N,N−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート;M:モル;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;min:分;NBS:N−ブロモコハク酸イミド;NCS:N−クロロコハク酸イミド;o/n:一夜;RP−HPLC(逆相高圧液体クロマトグラフィー);RT:室温;TFA:トリフルオロ酢酸;及びTHF:テトラヒドロフラン。
式(I)で示される化合物は、式(IA):
【0179】
【化7】

【0180】
[式中、a、b、c、d、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりであり;RはC1−6アルキル、例えば、メチルである]
で示される化合物を環化することにより製造される。環化反応は、一般に、AcOHなどの溶媒の存在下、鉄などの還元剤を用い、約110℃で実施し得る。
式(IA)で示される化合物は、式(IB)の化合物と式(IC):
【0181】
【化8】

【0182】
[式中、a、b、c、d、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R、X及びRは上記に定義したとおりであり;Lはハロゲン、例えば、フッ素などの脱離基である]
で示される化合物とを反応させることにより製造し得る。反応は、一般に、CsCOなどの塩基及びDMFなどの溶媒の存在下に、約60℃で実施する。
dが1であり、eが1である式(I)の化合物は、式(ID)の化合物と式(IE):
【0183】
【化9】

【0184】
[式中、a、b、c、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは上記に定義したとおりであり;Lはヒドロキシ又は対応するO−Liなどの基である]
で示される化合物とを反応させることにより製造し得る。反応は、一般に、DMFなどの溶媒中、HBTU及びDIPEAなどのカップリング剤の存在下に、室温付近にて実施する。LがOH又はO−Liである場合、これらの化合物は対応するエステル(LがO−C1−6アルキルである場合の式ID)から、THF及び水などの溶媒中、室温付近ないし50℃で、LiOHなどの無機塩基との反応により製造し得る。
【0185】
中間体と出発原料についての記載がない場合、これらの化合物は市販品として入手し得るか、又は市販品として入手可能な化合物から、標準的な方法により、又は本明細書記載の実施例の拡張により作製し得る。
【0186】
式(I)で示される化合物は、既知の方法によるか、又は実施例に記載した方法により式(I)で示される他の化合物に変換し得る。同様に、式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)又は(IE)の中間体もまた、これらの方法により他の化合物に変換して、式(I)の別途の化合物とすることができる。
【0187】
例えば、式(I)において、aが1、2又は3であり、Rがハロゲン、例えば、塩素、臭素又はヨウ素などの電子吸引基である場合の化合物は、式(I)において、aが0である化合物と、適切な求電子試薬とを反応させることにより製造し得る。例えば、Rが塩素である場合、NCS及び(BzO)などの求電子試薬をCClなどの溶媒中で、還流下に使用し得る。
【0188】
本明細書に記載した合成過程のいずれかで、それに関わる分子のいずれかについて、損なわれ易い又は反応性である基を保護することが必要であるか、又は望ましい場合があり得る。この保護は常套の保護基、例えば、文献(Protecting Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基),3rd Edition,Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.;Wiley Interscience,1999 and Kocienski,P.J.Protecting Groups(保護基),Thieme,1994)に記載された保護基によって達成し得る。該保護基は当該技術上既知の方法により、常套的に引き続く段階で除去し得る。
本発明化合物は、当該技術分野で既知の方法、並びに以下の反応工程図に記載の方法したがって調製した。式中のすべての変数は上に定義したとおりである。
【0189】
反応工程図1
反応工程図1において、塩基の存在下、ピロール−2−カルボン酸エステルと1−フルオロ−2−ニトロベンゼンとの反応、引き続くニトロ基の還元とその後の閉環反応は、文献記載のように、ピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オンの合成に導いた(Tetrahedron 1990,46,1063,Tetrahedron 2004,60,10825又はJ.Med.Chem.2004,47,1997)。ピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オンが置換基を有する場合、他の類似体は文献記載の、及び当業者既知の合成手法にしたがって、置換基を変換することにより調製し得る。
【0190】
【化10】

【0191】
反応工程図2
反応工程図2において、一置換及び多置換のピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オンは、文献記載のように、ピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オンと適切な求電子試薬(すなわち、NBS、NCS又はBr)と反応させることにより調製した(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis 1995,Vol.2,1205(Ed.L.A.Paquette,John Wiley & Sons))。
【0192】
【化11】

【0193】
本明細書に記載の例示化合物は、以下に記載のアッセイ法により試験し、5uM未満のIC50値を示すことが判明した。
【0194】
PARP−1 SPAアッセイ
作業試薬
アッセイバッファー:100mMトリス pH8、4mM MgCl、4mMスペルミン、200mM KCl、0.04%ノニデットP−40。
酵素混合物:アッセイバッファー(12.5ul)、100mM DTT(0.5ul)、PARP−1(5nM、トレビゲン4668−500−01)、HO(35ulまで)。
ニコチンアミド−アデニン・ジヌクレオチド(NAD)/DNA混合物:[H−NAD](250uCi/ml、0.4ul、パーキン−エルマーNET−443H)、NAD(1.5mM、0.05ul、シグマN−1511)、ビオチニル化NAD(250uM、0.03ul、トレビゲン4670−500−01)、活性化子牛胸腺(1mg/ml、0.05ul、アマーシャムバイオサイエンス27−4575)、HO(10ulまで)。
顕色混合物:ストレプトアビジンSPAビーズ(5mg/ml、アマーシャムバイオサイエンスRPNQ0007)500mM EDTAに溶解。
【0195】
実験設計
反応は最終容量50uL/ウエルの96穴マイクロプレート中で実施する。5%DMSO/化合物溶液5ulを加え、酵素混合物(35ul)を加え、NAD/DNA混合物(10uL)を加えて反応開始させ、室温で2時間インキュベートする。顕色混合物(25ul)を加えて反応を停止し、室温で15分間インキュベートする。パッカード・トップカウント装置により測定する。
【実施例】
【0196】
実施例1:
N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド
工程1:1−[4−(メトキシカルボニル)−2−ニトロフェニル]−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル
DMF中の4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸メチルの溶液(0.3M)を、1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(1.0eq.)及びCsCO(1.2eq.)で処理した。反応混合物を60℃で4時間加熱した。冷却した後、反応混合物を濾過し、濾液を水で希釈し、EtOAcで抽出した。併合した有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて残渣を得、これをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc;10:1)により精製して、標題化合物(77%)を黄色固体として得た。
【0197】
H NMR(300MHz,CDCl,300K)δ3.67(s,3H),4.01(s,3H),6.41(dd,J=4.0,2.9Hz,1H),6.92(dd,J=2.9,1.8Hz,1H),7.13(dd,J=3.8,1.8Hz,1H),7.51(d,J=8.2Hz,1H),8.34(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),8.73(d,J=2.0Hz,1H)。MS(ES)C1412 要求値:304,実測値:305(M+H)
【0198】
工程2:4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸メチル(A2)
AcOH中のA1の溶液(0.07M)に、鉄(20eq.)を室温で分割添加した。次いで、反応混合物を110℃に3時間加熱した。冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を濃縮し、水性NaHCO(飽和溶液)で希釈し、EtOAcで抽出した。併合した有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて、標題化合物(82%)を黄色固体として得た。
【0199】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ3.86(s,3H),6.73(t,J=3.5Hz,1H),7.08(dd,J=3.8,1.1Hz,1H),7.74(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.90(d,J=1.8Hz,1H),8.13(d,J=8.4Hz,1H),8.22(m,1H)。MS(ES)C1310 要求値:242,実測値:243(M+H)
【0200】
工程3:4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸リチウム(A3)
THF/水(5:1)中のA2の溶液(0.02M)を、LiOH(1.2eq.)で処理した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。溶媒を蒸発させ、標題化合物(90%)を得た;これを精製することなく次工程で使用した。
【0201】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ6.73(s,1H),7.07(s,1H),7.75(d,J=5.9Hz,1H),7.90(s,1H),8.13(t,J=5.9Hz,1H),8.22(s,1H),11.39(s,1H)。MS(ES)C12LiN 要求値:234,実測値:229(M+2H−Li)
【0202】
工程4:N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボキサミド(A4)
DMF中のA3の溶液(0.05M)を、2−モルホリン−4−イルエタナミン(1.5eq.)、DIEA(3.0eq.)及びHBTU(2.0eq.)で処理した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。次いで、EtOAcで希釈し、水性NaHCO(飽和溶液)と食塩水で洗った。有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて残渣を得、これをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH;20:1ないし9:1)により精製して、標題化合物(23%)を固体として得た。
【0203】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ2.53−2.38(m,6H),3.42(m,2H),3.58(m,4H),6.71(t,J=3.2Hz,1H),7.05(s,1H),7.64(d,J=8.3Hz,1H),7.77(s,1H),8.11(d,J=8.3Hz,1H),8.22(s,1H),8.46(t,J=5.1Hz,1H),11.36(s,1H)。MS(ES)C1820 要求値:340,実測値:341(M+H)
【0204】
実施例2:
N−ベンジル−4−オキサ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボキサミド
工程1:3−フルオロ−4−ニトロ安息香酸メチル(B1)
CHCl中の4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸の溶液(0.7M)を、DMF(触媒)及び塩化オキサリル(2M/CHCl溶液、1.3eq.)で処理した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、得られる粗生成物をCHClに溶かした。得られた溶液(0.7M)を0℃に冷却し、EtN(2.0eq.)で処理し、次いで、MeOH(10eq.)を滴下した。添加を終了したところで反応混合物を室温で5時間攪拌した。次いで、水性NaHCO(飽和溶液)で反応を停止させ、CHClで抽出した。併合した有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて残渣を得、これをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc;10:1)により精製して、標題化合物(88%)を黄色固体として得た。
【0205】
H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ3.96(s,3H),7.92(m,2H),8.08(dd,J=9.1,7.3Hz,1H)。MS(ES)CFNO 要求値:199,実測値:200(M+H)
【0206】
工程2:1−[5−(メトキシカルボニル)−2−ニトロフェニル]−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(B2)
B1から出発して、実施例1、工程1の合成について報告した手順に従い、標題化合物(84%)を黄色固体として得た。
【0207】
H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ3.65(s,3H),3.94(s,3H),6.37(dd,J=3.8,3.0Hz,1H),6.91(dd,J=2.5,2.0Hz,1H),7.09(dd,J=4.0,1.8Hz,1H),8.05(d,J=1.8Hz,1H),8.11(d,J=8.6Hz,1H),8.20(dd,J=8.6,1.8Hz,1H)。MS(ES)C1412 要求値:304,実測値:305(M+H)
【0208】
工程3:4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボン酸メチル(B3)
B2から出発して、実施例1、工程2の合成について報告した手順に従い、標題化合物(60%)を褐色固体として得た。
【0209】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ3.88(s,3H),6.70(dd,J=3.8,2.9Hz,1H),7.06(dd,J=4.0,1.3Hz,1H),7.38(d,J=8.4Hz,1H),7.87(dd,J=8.4,1.8Hz,1H),8.34(m,1H),8.52(d,J=1.5Hz,1H)。MS(ES)C1310 要求値:242,実測値:243(M+H)
【0210】
工程4:4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボン酸(B4)
THF/水(9:1)中のB3の溶液(0.02M)を、LiOH(6.0eq.)で処理した。反応混合物を一夜50℃に加熱した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣を0.5N−HClで希釈し、EtOAcで抽出した。併合した有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて標題化合物(10%)を固体として得た。
【0211】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ6.69(t,J=3.1Hz,1H),7.07(d,J=2.9Hz,1H),7.34(d,J=8.4Hz,1H),7.86(dd,J=8.4,1.1Hz,1H),8.34(d,J=1.4Hz,1H),8.51(s,1H),11.53(s,1H)。MS(ES)C12 要求値:228,実測値:229(M+H)
【0212】
工程5:N−ベンジル−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−8−カルボキサミド(B5)
B4及びベンジルアミン(1.5eq.)から出発して、実施例1、工程4の合成について報告した手順に従い、標題化合物(35%)を固体として得た。
【0213】
H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ4.55,J=5.8Hz,2H),6.72(t,J=3.5Hz,1H),7.05(d,J=3.8Hz,1H),7.32(m,5H),7.25(m,1H),7.85(dd,J=8.4,1.3Hz,1H),8.17(s,1H),8.54(s,1H),9.02(br s,1H),11.46(s,1H)。MS(ES)C1915 要求値:317,実測値:318(M+H)
【0214】
実施例3:
1−クロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン
CCl中のピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン(バイオネットから)の溶液(0.2M)を、NCS(1.0eq.)及び(BzO)(0.06eq.)で処理した。反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、これをRP−HPLC(ウォーターズ・シンメトリー・シールドC18;7ミクロン;10×300mm;流速:20mL/min;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;2分間70%A無勾配、次いで70%から10%A直線、14分)により精製して、標題化合物を固体として得た。
【0215】
H NMR(400MHz,DMSO−d,300K)δ11.43(br s,1H),8.76(d,J=8.4Hz,1H),7.34(m,2H),7.23(m,1H),7.11(d,J=4.2Hz,1H),6.76(d,J=4.2Hz,1H)。MS(ES)C11ClNO 要求値:218,実測値:219,221。
【0216】
2種の副生成物を分離し、特徴付けをした:
1,3−ジクロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン
H NMR(400MHz,DMSO−d,300K)δ11.43(br s,1H),8.70(d,J=8.8Hz,1H),7.30(m,2H),7.20(t,J=8.8Hz,1H),6.95(s,1H)。MS(ES)C11ClO 要求値:253,実測値:253,255,257。
【0217】
1,2−ジクロロピロロ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン
H NMR(400MHz,DMSO−d,300K)δ11.62(br s,1H),8.73(d,J=8.8Hz,1H),7.36(m,2H),7.26(m,2H)。MS(ES)C11ClO 要求値:253,実測値:253,255,257。
実施例4ないし13は上記実施例に記載した手順にしたがって調製した。
【0218】
【化12】

【0219】
実施例14
トリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム及びトリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム
工程1:4,5−ジクロロピロール−2−カルボン酸メチル(D1a)及び3,5−ジクロロピロール−2−カルボン酸メチル(D1b)
THF中のピロール−2−カルボン酸メチルの溶液(1.0M)を、N−クロロコハク酸イミド(3.0eq.)で処理した。反応混合物を70℃で24時間加熱した。冷却後、反応混合物をDCMで希釈し、食塩水で洗った。有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させて残渣を得、これをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc;100:1ないし10:1)により精製して、標題化合物(30%)を2つの異性体のの混合物(D1a/D1b=7:3)として得た。
【0220】
D1a:H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ6.52(d,J=3.0Hz,1H),3.57(s,3H)。MS(ES)CClNO 要求値:194,実測値:194,196,198(M+H)
D1b:H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ5.84(d,J=3.05Hz,1H),3.61(s,3H)。MS(ES)CClNO 要求値:194,実測値:194,196,198(M+H)
【0221】
工程2:1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸メチル(D2a)及び1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸メチル(D2b)
D1a及びD1bの混合物から出発して、実施例1、工程1及び2の合成について報告した手法に従い、標題化合物を粗生成物として得、これをさらに精製することなく次工程で使用した。MS(ES)C13Cl 要求値:311,実測値:311,313,315(M+H)
【0222】
工程3:1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸(D3a)及び1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−カルボン酸(D3b)
濃HCl中のD2aとD2bとの混合物の溶液(0.1M)を、45℃に6日間加熱した。冷却後、溶媒を減圧下に除去して標題化合物を粗生成物として得、これをさらに精製することなく次工程で使用した。MS(ES)C12Cl 要求値:297,実測値:297,299,301(M+H)
【0223】
工程4:トリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,2−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム(D4a)及びトリフルオロ酢酸4−(2−{[(1,3−ジクロロ−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[1,2−a]キノキサリン−7−イル)カルボニル]アミノ}エチル)モルホリン−4−イウム(D4b)
D3aとD3bの混合物及び2−モルホリン−4−イルエタナミン(1.5eq.)から出発して、実施例1、工程4の合成について報告した手法に従い、取得した残渣を、HO(+0.1%TFA)及びMeCN(+0.1%TFA)を溶出液とする分取用RP−HPLC(C18カラム)により精製し、凍結乾燥して、2種の純位置異性体D4a及びD4bを白色固体として得た。
【0224】
D4a(3工程合計収率:28%):H NMR(400MHz,DMSO,400K)δ11.61(s,1H),9.55(br s,1H),8.81(br s,1H),8.76(d,J=8.8Hz,1H),7.77(d,J=2.0Hz,1H),7.63(dd,J=8.8Hz,J=2.0Hz,1H),7.01(s,1H),4.00(m,2H),3.69−3.49(m,6H),3.14(m,2H),2.51(m,2H)。MS(ES)C1818Cl 要求値:409,実測値:409,411,413(M+H)
【0225】
D4b(3工程合計収率:7%):H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ11.60(s,1H),9.57(br s,1H),8.82(br s,1H),8.76(d,J=8.8Hz,1H),7.77(d,J=2.0Hz,1H),7.63(dd,J=8.8Hz,J=2.0Hz,1H),7.01(s,1H),4.01(m,2H),3.68−3.50(m,6H),3.15(m,2H),2.51(m,2H)。MS(ES)C1818Cl 要求値:409,実測値:409,411,413(M+H)
実施例15ないし31は上記実施例に記載した手順にしたがって調製した。
【0226】
【化13】

【0227】
【化14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
aは0、1、2又は3であり;
bは0、1、2又は3であり;
cは0、1、2、3又は4であり;
dは0又は1であり;
eは0又は1であり;
fは0又は1であり;
gは0又は1であり;
hは0、1、2、3又は4であり;
iは0又は1であり;
及びRのそれぞれは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルであり;
及びRのそれぞれは、独立して、水素、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルであり;
XはC又はSOであり;
は水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、シアノ、ハロゲン、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ又は環であり;該環はC3−10シクロアルキル、C6−10アリール、1個のN原子を含む4員の飽和環、1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、又はN、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環であり;その環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよく;
各mは独立して、0、1、2、3又は4であり;
各Rは独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、NR、CONR、S(O)NR、S(O)又はC6−10アリールであり;
及びRのそれぞれは、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、S(O)、S(O)N(R若しくはCON(Rであるか、又は
及びRがそれらの結合するN原子と一緒になって、1個のN原子を含む4員の飽和へテロ環又は1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環を形成し、該環が、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル及びハロC1−6アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよく;
rは0、1又は2であり;
はC1−6アルキル、C6−10アリール、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、又はN、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環であり;その環のいずれもがヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−3アルキル及びハロC1−3アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよく;また、
各Rは独立して、水素又はC1−6アルキルであるか;又は
2つのRがそれらの結合するN原子と一緒になって、1個のN原子を含む4員の飽和へテロ環又は1個、2個若しくは3個のN原子とゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環を形成し、該環はヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル及びハロC1−6アルキルから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基により置換されていてもよい]
で示される、治療用化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項2】
式(I):
【化2】

[式中、
aは0、1、2又は3であり;
dは0又は1であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは請求項1に定義したとおりである;
ただし、
(i)aが0であり、bが0である場合、(CH(CO)(NR(X=O)(O)(CH(NRは、水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、塩素、フッ素、アミノ、シアノ、ベンゾキシ、7−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノカルボニル]、7−(n−プロピルアミノカルボニル)、7−{[3−(モルホリン−4−イル)プロピル]アミノカルボニル}、7−{[2−(モルホリン−4−イル)エチル]アミノカルボニル}、7−[(2−フェニルエチル)アミノカルボニル]、7−{[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]アミノカルボニル}、7−(i−ブチルアミノカルボニル)、7−{N−エチル−N−[3−(エチルアミノ)プロピル]カルボニル}、7−({2−[ビス(i−プロピル)アミノ]エチル}アミノカルボニル)、7−{N−エチル−N−[2−(エチルアミノ)エチル]カルボニル}、7−{N−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]カルボニル}、7−(1H−1,4−ジアゼピン−4−イルカルボニル)又は7−(ピペラジン−4−イルカルボニル)ではなく;また、
(ii)aが0であり、bが1である場合、Rも(CH(CO)(NR(X=O)(O)(CH(NRもメチル、フッ素又は塩素ではない]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項3】
式(III):
【化3】

[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R、R、R及びXは請求項1に定義したとおりである]
で示される、請求項2の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項4】
式(IV):
【化4】

[式中、
aは0、1、2又は3であり;
b、c、e、f、g、h、i、R、R、R及びXは請求項1に定義したとおりであり;
は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ又は環であり;該環は、C3−10シクロアルキル、ナフチル、1個のN原子を含む4員の飽和環、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−4−イル、ピロリジン−5−イル、ピペリジニル、ピペラジン−2−イル、ピペラジン−3−イル、ピペラジン−5−イル、ピペラジン−6−イル、モルホリン−2−イル、モルホリン−3−イル、モルホリン−5−イル、モルホリン−6−イル、テトラヒドロフラン、チオモルホリニル、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含む7、8若しくは10員の不飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、インドリジニルであり;該環のいずれもがヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ及びC6−10アリールから独立して選択される1個、2個若しくは3個の基によって置換されていてもよい]
で示される、請求項2の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項5】
式(V):
【化5】

「式中、
aは1、2又は3であり;
dは0又は1であり;
b、e、h、i、R、R、R、R及びRは請求項1に定義したとおりである]
で示される、請求項2の化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項6】
が、水素、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ又は環であり;該環がC6−10アリール、1個のN原子を含む4員の飽和環、1個、2個若しくは3個のN原子及びゼロ若しくは1個のO原子を含む5、6若しくは7員の飽和若しくは部分的飽和のヘテロ環、N、O及びSから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含み、その1個以下のヘテロ原子がO若しくはSである5員のヘテロ芳香環、又は1個、2個若しくは3個の窒素原子を含む6員のヘテロ芳香環であり;その環のいずれもが(CHから独立して選択される1個、2個又は3個の基により置換されていてもよい]
で示される、請求項2、3又は5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
aが、1又は2であり、Rが、ハロゲンである、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記いずれかの請求項の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体を薬学的に許容される担体と組合わせて含有してなる医薬組成物。
【請求項9】
同時に、別個に、又は連続的に投与するための、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体又は抗癌剤。
【請求項10】
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の治療用化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体。
【請求項11】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害によって改善し得る症状の治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体の使用。
【請求項12】
癌、炎症性疾患、再潅流傷害、虚血症状、脳卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染、網膜傷害、皮膚老化又はUV−誘発皮膚傷害の治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体の使用。
【請求項13】
癌治療のための化学増感剤又は放射線増感剤としての請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体の使用。
【請求項14】
癌、炎症性疾患、再潅流傷害、虚血症状、脳卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染、網膜傷害、皮膚老化又はUV−誘発皮膚傷害の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は請求項1記載の化合物を含有してなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2010−500334(P2010−500334A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523354(P2009−523354)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050472
【国際公開番号】WO2008/017883
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】