説明

ポータブル端末

【課題】より適切にエラー通知を行う。
【解決手段】ユーザーが印刷を要求すると、ディジタルカメラ40が操作部49を介して印刷要求を取得し、USBホスト50を介して複合機20のUSBデバイス30と無線通信により接続し、複合機20に印刷指示を送信する。そして、複合機20から印刷を実行できないエラーがある旨のエラー情報を受信すると、複合機20とディジタルカメラ40との距離が所定の基準距離を下回るまではエラーの内容を表示部48に表示するエラー通知を実行する。そして、複合機20とディジタルカメラ40との距離が所定の基準距離を下回ると、エラー通知を終了し、エラー情報を受信しなくなるまでエラーの解決方法を表示部48に表示する解決方法通知を実行する。エラー情報を受信しなくなると、解決方法通知を終了し、印刷完了通知の受信を待って無線通信接続を切断して印刷完了をユーザーに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザーが携帯可能なポータブル端末から接続先の機器に対して情報処理を指示するにあたり、接続先の機器の状態をユーザーに通知することが行われている。例えば、特許文献1には、UWB(Ultra Wide Band)の有する測距機能を利用して、接続先のプリンターが接続可能距離内にあるか否かを、ディジタルカメラがユーザーに表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−158447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接続先の機器にエラーが発生した場合には、ポータブル端末がエラーについての情報を取得してユーザーに通知する場合がある。例えば、接続先の機器がプリンターの場合には、用紙切れやインク切れなどのエラーである。ここで、エラー情報を通知するにあたり、エラー情報をいつまで通知し続けるかという問題がある。例えば、一定時間のみエラー通知を行う場合にはユーザーが気づかないおそれがあり、ユーザーがOKボタンを押すまで通知し続ける場合でも、ユーザーが他の作業中であった場合にはエラー情報のことを忘れてしまうおそれがある。また、エラーが解決するまで通知し続けるものとすると、ユーザーの他の作業に支障が出たり、ユーザーがエラー解決のための作業(例えば、エラーが用紙切れの場合における用紙の交換など)を行っている最中でも通知がされ続けるためユーザーが不快に感じたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、より適切にエラー通知を行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のポータブル端末は、
情報処理装置と無線通信可能な無線通信手段と、
前記情報処理装置との距離を測定する距離測定手段と、
情報処理を行う要求である情報処理要求を入力する入力手段と
ユーザーに情報を通知可能な通知手段と、
前記情報処理要求を入力したとき、前記無線通信手段を介して前記情報処理装置と接続し該情報処理要求で要求される処理を実行させるにあたり、該要求された処理を実行できないエラーがある旨のエラー情報を該情報処理装置から受信すると、その旨の通知を前記通知手段により連続的又は断続的に行うエラー通知処理を前記測定した距離が所定の基準距離を下回るまで行う制御手段と、
を備えたものである。
【0008】
本発明のポータブル端末では、情報処理を行う要求である情報処理要求を入力したとき、情報処理装置と無線通信可能な無線通信手段を介して情報処理装置と接続し情報処理要求で要求される処理を実行させるにあたり、要求された処理を実行できないエラーがある旨のエラー情報を情報処理装置から受信すると、その旨の通知をユーザーに情報を通知可能な通知手段により連続的又は断続的に行うエラー通知処理を、測定した情報処理装置との距離が所定の基準距離を下回るまで行う。これにより、情報処理装置とポータブル端末との距離を用いてユーザーがエラーを解決するために情報処理装置に近づいていることを検出するまでエラー通知処理が行われる。したがって、エラー通知を適切に行うことができる。
【0009】
本発明のポータブル端末において、前記制御手段は、前記測定した距離が前記基準距離を下回って前記エラー通知処理を終了した後、前記受信したエラー情報に基づいて、前記エラーの解決方法を前記通知手段により連続的又は断続的に該ユーザーに通知する解決方法通知処理を行う手段としてもよい。こうすれば、ユーザーがエラーを解決するために情報処理装置に近づくとエラーの解決方法が通知されるため、ユーザーがより早くエラーを解決するための一助とすることができる。
【0010】
本発明のポータブル端末において、前記制御手段は、前記エラー通知処理を行い前記測定した距離が前記基準距離を下回った後、前記測定した距離が前記基準距離を再び上回ったときには該エラー通知処理を再度行う手段としてもよい。こうすれば、ユーザーがエラーを解決することを意図せずに情報処理装置に近づいた場合でも、再度距離が離れればエラー通知処理を行うため、より適切にエラー通知を行うことができる。
【0011】
本発明のポータブル端末において、前記基準距離は、予め定められた値としてもよい。こうすれば、測定した距離が基準距離を下回ったか否かの判定を容易に行うことができる。
【0012】
本発明のポータブル端末において、前記基準距離は、前記エラー通知処理を開始するときの前記情報処理装置との距離である初期距離未満で且つ該初期距離が小さくなるほど小さくなる傾向にある距離としてもよい。こうすれば、ポータブル端末と情報処理装置との距離が初めから基準距離を下回ることがなくなり、確実にエラー通知を行うことができる。
【0013】
本発明のポータブル端末において、前記無線通信手段は、前記情報処理装置とワイヤレスUSB規格に基づく無線通信を行う手段としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態であるワイヤレスUSBシステム10の構成図。
【図2】印刷指示ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図3】エラーがブラックインクのインク切れである場合のエラー画面の一例。
【図4】エラーがブラックインクのインク切れである場合の解決方法画面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明のポータブル端末の一実施形態としてのディジタルカメラ40を含むワイヤレスUSBシステム10の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のワイヤレスUSBシステム10は、画像データの印刷などの処理を行う複合機20と、撮影した画像データの保存や送信などの処理を行うディジタルカメラ40と、を備えている。また、複合機20及びディジタルカメラ40は、UWBによる無線通信を利用した通信規格であるワイヤレスUSBによって無線通信可能に構成されている。
【0016】
複合機20は、装置全体の制御を司るコントローラー21と、記録紙Sに印刷を行う印刷機構25と、ガラス台39に載置された書類を読み取る読取機構26と、ユーザーへ情報を表示可能でありユーザーの指示を入力可能である操作パネル27と、外部機器(例えば、ディジタルカメラ40)と無線通信可能なUSBデバイス30と、を備えている。なお、コントローラー21は、印刷機構25,読取機構26,操作パネル27,USBデバイス30とバス38により接続されている。
【0017】
コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM23と、一時的にデータを記憶するRAM24と、を備えている。
【0018】
印刷機構25は、図示しないが、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジを備えており、各インクカートリッジから供給された各インクに圧力をかけ、この加圧されたインクを記録紙Sに吐出して印刷処理を実行するインクジェット方式の機構である。なお、インクへ圧力をかける機構は、圧電素子の変形によるものとしてもよいしヒータの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。
【0019】
読取機構26は、ガラス台39に載置された書類を画像データとして読み取る周知のフルカラースキャナー機構として構成されている。この読取機構26は、書類に向かって発光したあとの反射光をレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の各色に分解して読取データとする周知のカラーイメージセンサーを備えている。
【0020】
操作パネル27は、ユーザーに対して各種の情報を表示したりユーザーが複合機20に対して各種の指示を入力したりするための装置であり、各種の指示に応じた文字や画像が表示される表示部28や、ユーザーの指示を各種ボタンにより入力可能である操作部29などが設けられている。
【0021】
USBデバイス30は、ワイヤレスUSBによる無線通信で情報を送受信可能な装置であり、後述するディジタルカメラ40のUSBホスト50と情報の送受信が可能である。
【0022】
ディジタルカメラ40は、装置全体の制御を司るコントローラー41と、入射した光から画像データを生成する撮影部45と、画像データの書き込みや消去が可能なメモリーカード46と、ユーザーへ情報を表示可能でありユーザーの指示を入力可能である操作パネル47と、ワイヤレスUSBによる無線通信を行うホストとしての機能を備えたUSBホスト50と、を備えている。なお、コントローラー41は、撮影部45,メモリーカード46,操作パネル47,USBホスト50とバス58により接続されている。
【0023】
コントローラー41は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM43と、一時的にデータを記憶するRAM44と、を備えている。
【0024】
撮影部45は、入射した光を撮像素子(例えばCMOSなど)により電気信号に変換し画像データを生成する装置である。
【0025】
メモリーカード46は、撮影部45が生成した画像データを画像ファイルとして記憶可能な不揮発性の記憶媒体であり、ディジタルカメラ40と着脱可能に構成されている。
【0026】
操作パネル47は、ユーザーに対して各種の情報を表示したりユーザーがディジタルカメラ40に対して各種の指示を入力するための装置であり、各種の指示に応じた文字や画像が表示される液晶ディスプレイである表示部48や、ユーザーの指示を各種ボタンにより入力可能である操作部49などが設けられている。
【0027】
USBホスト50は、ワイヤレスUSBによる無線通信で情報を送受信可能な装置であり、複合機20のUSBデバイス30と情報の送受信が可能である。
【0028】
ここで、ワイヤレスUSBによる無線通信について説明する。ワイヤレスUSBでは、ホスト(本実施形態におけるUSBホスト50)とデバイス(本実施形態におけるUSBデバイス30)との間で無線による通信を行う。このホストとデバイスとがワイヤレスUSBによる通信を行うためには、まず、事前に通信先に応じたコネクション・コンテキスト情報(以下、CC情報)を互いに共有する必要がある。CC情報には、通信を行うために必要な情報、例えば、通信を行うホスト及びデバイスに固有のIDや、コネクション鍵が含まれている。このCC情報を共有する方法には、USBケーブルで互いを接続してCC情報を共有するUSBケーブル方式(Out of Band方式 )と、UWBにより無線通信でCC情報を共有するニューメリック方式(In Band方式)とがある。CC情報を互いに共有しているホストとデバイスとの間では、4ウェイハンドシェイクにより互いが同じコネクション鍵を共有していることを確認して接続を確立し、セキュアな通信を開始することができる。なお、本実施形態では、USBホスト50とUSBデバイス30とはあらかじめCC情報を共有済みであるものとする。
【0029】
次に、こうして構成された本実施形態のワイヤレスUSBシステム10の動作、特に、ディジタルカメラ40が複合機20に印刷を指示した際の動作について説明する。
【0030】
図2は、印刷指示ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーがディジタルカメラ40の操作部49を操作して、指定した画像データに基づく画像を印刷するよう要求したときにCPU42によって実行される。この印刷指示ルーチンが実行されると、CPU42は、まず、操作部49からユーザーの印刷要求を取得する(ステップS100)。ここで、印刷要求とは、例えば、印刷を行う画像データの指定や印刷する用紙サイズの指定など、印刷に関する具体的な要求を含む情報である。そして、CPU42は、USBホスト50に対して、複合機20のUSBデバイス30と4ウェイハンドシェイクによりワイヤレスUSBでの接続を確立させ(ステップS110)、USBホスト50を介して印刷指示を送信する(ステップS120)。ここで、印刷指示とは、ステップS100で取得した印刷要求と印刷要求で指定された画像データとを含む情報である。これにより、複合機20がUSBデバイス30を介してこの印刷指示を受信すると、複合機20のCPU22は、印刷指示に含まれる画像データと印刷要求とに基づいて記録紙Sへの印刷を実行するようバス38を介して印刷機構25を制御し、印刷が開始される。続いて、CPU42は、ステップS120で送信した印刷指示に基づく印刷が実行できないエラーがある旨を通知するエラー情報をUSBホスト50を介して複合機20から受信したか否かを判定する(ステップS130)。ここで、印刷指示に基づく印刷が実行できないエラーとは、例えば、用紙切れやインク切れ,紙詰まりなどの、印刷に関するエラーである。また、エラー情報には、例えば、用紙切れの場合にはどのサイズの用紙が無くなったかを示す情報、インク切れの場合にはどの色のインクが無くなったかを示す情報など、具体的なエラーの内容が含まれている。なお、複合機20のCPU22は、印刷中にエラーが発生したか否かを常時判定しており、エラーが発生していると判定されている間は、そのエラー情報をUSBデバイス30を介してディジタルカメラ40に所定時間毎(例えば、数百ms毎)に繰り返し送信するようになっている。したがって、CPU42は、500ms以上の時間、例えば1秒間の間にエラー情報を受信するか否かでステップS130の判定を行う。
【0031】
ステップS130で肯定的な判定がなされると、CPU42は、現在のUSBホスト50とUSBデバイス30との距離である現在距離Lを初期距離L1に設定する(ステップS140)。ここで、現在距離Lは、ワイヤレスUSBで採用されている無線通信方式であるUWBの有する位置測定機能を利用して導出することができ、本実施形態では、USBホスト50がビーコンを送信してからUSBデバイス30のビーコンを受信するまでの時間に基づいて導出する。具体的な導出の方法としては、例えば、信号の伝搬速度とビーコンを受信するまでの時間の積として導出してもよいし、予めビーコンを受信するまでの時間と距離との関係をマップとしてRAM44に記憶しておき、ビーコンを受信するまでの時間とマップから距離を導出するものとしてもよい。なお、USBホスト50は本ルーチンのステップに関わらず所定時間毎(例えば、数百ms毎)にビーコンを送信しており、USBデバイス30からのビーコンを受信する毎にCPU42が現在距離Lを導出してRAM44の現在距離格納用のバッファに最新の値を記憶しているものとした。したがって、ステップS140の処理は、CPU42がRAM44に記憶されている現在距離Lの値を初期距離L1としてRAM24の初期距離格納用のバッファに記憶することで行う。続いて、CPU42は、式(1)により基準距離Lrefを設定して、RAM44の基準距離Lref格納用のバッファに記憶する(ステップS150)。ここで、基準距離Lrefは、詳しくは後述するが、ユーザーがエラーを解決するために複合機20に近づいたか否かを判定するための値である。なお、式(1)において値kは係数であり、本実施形態では値0.3であるが、0<k<1を満たす実数であればどのような値であってもよく、値kをユーザーが設定するものとしてもよい。
【0032】
Lref=k×L1 (1)
(k=0.3)
【0033】
続いて、CPU42は、ユーザーにエラーの内容を通知するエラー通知を開始する(ステップS160)。具体的には、CPU42がステップS130で受信したエラー情報に含まれるエラーの内容に基づくエラー画面を表示部48が表示するよう制御する。エラーの内容がブラックインクのインク切れである場合のエラー画面の一例である画面100を図3に示す。図3に示すように、エラー画面には、発生したエラーの内容,及び複合機20に近づくとエラーの解決方法が表示される旨が表示されている。なお、ROM43には、複数のエラーの内容の各々にエラー画面が対応づけて記憶されており、CPU42が受信したエラー情報に含まれるエラーの内容に対応するエラー画面をROM43から読み出して表示部48に送信することで、エラー通知を行うことができる。なお、エラー情報に複数のエラーの内容が含まれているときには、それぞれのエラーの内容に対応するエラー画面を全て表示するか又はいずれか一方を表示するものとしてもよいし、複数のエラーの内容の組み合わせと複数のエラーを併せて通知するエラー画面とが対応づけて記憶されているものとしてもよい。そして、CPU42は、上述した所定時間毎に導出される現在距離Lの最新値がステップS150で導出した基準距離Lref以下になるのを待ち(ステップS170)、現在距離Lの最新値が基準距離Lref以下になるとエラー通知を終了する(ステップS180)。これにより、ユーザーがエラー通知を確認してエラーを解決するために複合機20に近づくまで表示部48にエラー画面が表示され続けることになる。
【0034】
そして、エラー通知を終了すると、CPU42は、ユーザーにエラーの解決方法を通知する解決方法通知を開始する(ステップS190)。具体的には、CPU42がステップS130で受信したエラー情報に含まれるエラーの内容に基づく解決方法画面を表示部48が表示するよう制御する。エラーの内容がブラックインクのインク切れである場合の解決方法画面の一例である画面110を図4に示す。図4に示すように、解決方法画面には、エラーを解決するための手順が具体的に表示されている。なお、ROM43には、上述したエラー画面と同様に、複数のエラーの内容の各々に解決方法画面が対応づけて記憶されており、CPU42が受信したエラー情報に含まれるエラーの内容に対応する解決方法画面をROM43から読み出して表示部48に送信することで、解決方法通知を行うことができる。なお、エラー情報に複数のエラーの内容が含まれているときには、それぞれのエラーの内容に対応する解決方法画面を全て表示するか又はいずれか一方を表示するものとしてもよいし、複数のエラーの内容の組み合わせと複数のエラーの解決方法を併せて通知する解決方法画面とが対応づけて記憶されているものとしてもよい。また、図4に示した画面110は文字情報のみで構成されているが、エラーを解決するための手順を示す図で構成されていてもよいし、文字及び図で構成されていてもよい。続いて、CPU42は、上述した所定時間毎に導出される現在距離Lの最新値がステップS150で導出した基準距離Lref以下であるか否かを判定する(ステップS200)。
【0035】
ステップS200で否定的な判定がなされると、解決方法通知を終了して(ステップS210)、ステップS160に進み再びエラー通知を開始する。ステップS200で否定的な判定がなされるのは、ユーザーが複合機20に近づいてステップS170で肯定的な判定がなされた後にエラーを解決することなく複合機20から遠ざかってしまった場合である。したがって、ユーザーがエラーの発生自体に気づいていない可能性もあるため、再びユーザーにエラーを通知すべくエラー通知を行うのである。
【0036】
一方、ステップS200で肯定的な判定がなされると、ステップS130と同様に、USBホスト50を介して複合機20からエラー情報を受信したか否かを判定し(ステップS220)、肯定的な判定がなされると、ステップS200の処理を実行する。すなわち、ステップS220で肯定的な判定がなされるのは、エラーがまだ解決していないときであるので、ステップS200で肯定的な判定がなされている間はユーザーが複合機20に近づいてエラーを解決しようとしている最中であるとみなしてステップS200,S220の処理を繰り返し実行し、エラーが解決するのを待つのである。なお、ステップS200で否定的な判定がなされたときには、ステップS210に進んで上述した処理を行うことになる。
【0037】
そして、ステップS220で否定的な判定がなされると、解決方法通知を終了する(ステップS230)。ステップS220で否定的な判定がなされるのは、例えばブラックインクのインク切れの場合にはユーザーが複合機20に近づいてブラックインクのインクカートリッジを交換した場合など、エラーが解決して正常に印刷が可能になったときであるので、解決方法の通知を終了するのである。
【0038】
ステップS130で否定的な判定がなされるか又はステップS230の処理を実行すると、CPU42は、印刷が完了した旨を通知する印刷完了通知をUSBホスト50を介して複合機20から受信したか否かを判定する(ステップS240)。そして、否定的な判定がなされるとステップS130の処理を実行し、新たなエラー情報か印刷完了通知のいずれかを受信するまでステップS130,S240の処理を繰り返すことになる。なお、複合機20のCPU22は、印刷指示に基づく印刷が完了すると、印刷完了通知をUSBデバイス30を介してディジタルカメラ40に送信するようになっている。
【0039】
そして、ステップS240で肯定的な判定がなされると、CPU42は、USBホスト50がUSBデバイス30との接続を切断するよう制御し(ステップS250)、表示部48が印刷完了をユーザーに通知する表示をするよう制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
【0040】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のUSBホスト50が本発明の無線通信手段に相当し、CPU42が距離測定手段及び制御手段に相当し、操作部49が入力手段に相当し、表示部48が通知手段に相当し、複合機20が情報処理装置に相当し、ディジタルカメラ40がポータブル端末に相当する。
【0041】
以上詳述した実施形態によれば、印刷を行う要求である印刷要求を入力したとき、無線通信可能なUSBホスト50を介して複合機20と接続して印刷要求で要求される印刷を実行させるにあたり、要求された印刷を実行できないエラーがある旨のエラー情報を複合機20から受信すると、表示部48にエラー画面を表示するエラー通知を現在距離Lが基準距離Lref以下となるまで行う。これにより、現在距離Lを用いてユーザーがエラーを解決するために複合機20に近づいていることを検出するまでエラー通知が行われるため、エラー通知を適切に行うことができる。また、ユーザーがエラーを解決するために複合機20に近づくと、エラー通知を終了した後に表示部48に解決方法画面を表示してエラーの解決方法を通知するため、ユーザーがより早くエラーを解決するための一助とすることができる。さらに、現在距離Lが基準距離Lref以下となってエラー通知を終了した後に再び現在距離Lが基準距離Lrefを上回ったときには、再度エラー通知を行うため、ユーザーがエラーを解決することを意図せずに複合機20に近づいた場合でも、再度距離が離れればエラー通知が行われ、より適切にエラー通知を行うことができる。さらにまた、基準距離Lrefは、式(1)で定められる値であるため、エラー通知を開始するときの距離である初期距離L1未満で且つ初期距離L1が小さくなるほど小さくなる傾向の値となり、現在距離Lが最初から基準距離Lrefを下回ることがなく確実にエラー通知を行うことができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0043】
例えば、上述した実施形態では、ディジタルカメラ40と複合機20とはワイヤレスUSBの通信規格による無線通信を行うものとしたが、他の規格の無線通信を行うものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、基準距離Lrefは式(1)により導出するものとしたが、初期距離L1未満で且つ初期距離が小さくなるほど小さくなる傾向にあれば、どのような値としてもよい。例えば、初期距離L1と基準距離Lrefとの関係をマップとしてROM43に記憶しておき、初期距離L1とマップとに基づいて基準距離Lrefを導出するものとしてもよい。この場合、マップは初期距離L1が小さくなるほど直線的又は曲線的に基準距離Lrefが小さくなるものとしてもよいし、ステップ関数的に基準距離Lrefが小さくなるものとしてもよい。また、基準距離Lrefは初期距離L1と無関係に予め定められた固定値としてもよい。例えば、基準距離Lref=1メートルと定められていてもよい。さらに、ユーザーが基準距離Lrefを任意の値に設定できるものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、現在距離Lが基準距離Lref以下となってエラー通知を終了した後に再び現在距離Lが基準距離Lrefを上回ったときには、再度エラー通知を行うものとしたが、再度のエラー通知は行わないものとしてもよい。例えば、図2の印刷指示ルーチンにおいてステップS200,S210の処理を省略し、ステップS190の処理を実行するとステップS220に進みエラー情報を受信しなくなるまでステップS220の処理を繰り返すものとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、エラー通知を終了した後にエラーの解決方法を通知するものとしたが、エラーの解決方法の通知は行わないものとしてもよい。例えば、図2の印刷指示ルーチンにおいて、ステップS190〜S230の処理を省略し、ステップS180の処理を実行するとステップS240に進むものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、CPU42がワイヤレスUSBで採用されている無線通信方式であるUWBの有する位置測定機能を利用して現在距離Lを導出したが、他の方法により現在距離Lを導出するものとしてもよい。例えば、ディジタルカメラ40が複合機20との距離を測定する装置を別に備えていてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、表示部48にエラー画面や解決方法画面を表示することでエラー通知や解決方法通知を行っているが、このエラー画面及び解決方法画面は、表示部48の表示可能な領域全体を使用して表示するものとしてもよいし、表示可能な領域の一部を使用して表示するものとしてもよい。こうすれば、前者の場合にはユーザーにより早くエラーを解決するよう促すことができるし、後者の場合にはエラー画面又は解決方法画面が表示されていてもユーザーが他の作業を継続することができる。また、表示部48への表示に代えて又は加えて、他の装置によりエラー通知や解決方法通知を行ってもよい。例えば、ディジタルカメラがスピーカーを備えており、スピーカーからの音声によりエラー通知や解決方法通知を行うものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、ディジタルカメラ40が複合機20に印刷を実行させる場合について説明したが、印刷に限らずどのような情報処理を実行させてもよい。また、エラーの内容は、実行させる情報処理に関するエラーであればどのようなものであってもよい。さらに、ディジタルカメラ40に限らず、携帯電話やモバイルパソコンなど、持ち運び可能なポータブル端末であればどのような装置が複合機20に情報処理を実行させてもよい。さらにまた、情報処理を実行するのも複合機20に限らず、プリンターやコンピュータなど、情報処理を実行可能な情報処理装置であればよい。
【0050】
上述した実施形態では、ステップS160のエラー通知開始からステップS180のエラー通知終了までエラー画面を表示部48に表示し続けるものとしたが、連続的に表示する場合に限らず、断続的に表示するものとしてもよい。例えば、5秒おきに表示と非表示を繰り返すものとしてもよい。解決方法画面についても同様である。
【0051】
上述した実施形態では、ステップS130とステップS220とでエラー情報の受信の有無を判定しているが、印刷指示ルーチンのステップに関わらず所定時間毎(例えば、1秒毎)にエラー情報の受信の有無を判定するものとしてもよい。例えば、ステップS140〜S210のいずれかの処理の実行中であってもエラー情報を受信しなくなった場合には、直ちにエラー通知や解決方法通知を終了してステップS240に進むものとしてもよい。また、ステップS140〜S210のいずれかの処理の実行中に、ステップS130で受信したエラー情報とは異なるエラーの内容を含むエラー情報を受信したときには、表示中のエラー画面又は解決方法画面に代えて、最新のエラー情報に含まれるエラーの内容に対応するエラー画面又は解決方法画面を表示するものとしてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、ワイヤレスUSBシステム10はディジタルカメラ40と複合機20とで構成されているものとしたが、ディジタルカメラ40の他にもワイヤレスUSBで複合機20と接続可能なディジタルカメラなどのポータブル端末を備える構成としてもよい。この場合は、複数のポータブル端末のユーザーが1台の複合機20に印刷を要求することになり、他のユーザーを待たせないためにも発生したエラーをより早く解決する必要がある。したがって、エラー通知を適切に行う本発明を適用する意義が高い。
【符号の説明】
【0053】
10 ワイヤレスUSBシステム、20 複合機、21 コントローラー、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 印刷機構、26 読取機構、27 操作パネル、28 表示部、29 操作部、30 USBデバイス、38 バス、39 ガラス台、40 ディジタルカメラ、41 コントローラー、42 CPU、43 ROM、44 RAM、45 撮影部、46 メモリーカード、47 操作パネル、48 表示部、49 操作部、50 USBホスト、58 バス、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と無線通信可能な無線通信手段と、
前記情報処理装置との距離を測定する距離測定手段と、
情報処理を行う要求である情報処理要求を入力する入力手段と
ユーザーに情報を通知可能な通知手段と、
前記情報処理要求を入力したとき、前記無線通信手段を介して前記情報処理装置と接続し該情報処理要求で要求される処理を実行させるにあたり、該要求された処理を実行できないエラーがある旨のエラー情報を該情報処理装置から受信すると、その旨の通知を前記通知手段により連続的又は断続的に行うエラー通知処理を前記測定した距離が所定の基準距離を下回るまで行う制御手段と、
を備えたポータブル端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測定した距離が前記基準距離を下回って前記エラー通知処理を終了した後、前記受信したエラー情報に基づいて、前記エラーの解決方法を前記通知手段により連続的又は断続的に該ユーザーに通知する解決方法通知処理を行う手段である、
請求項1に記載のポータブル端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記エラー通知処理を行い前記測定した距離が前記基準距離を下回った後、前記測定した距離が前記基準距離を再び上回ったときには該エラー通知処理を再度行う手段である、
請求項1又は2に記載のポータブル端末。
【請求項4】
前記基準距離は、予め定められた値である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポータブル端末。
【請求項5】
前記基準距離は、前記エラー通知処理を開始するときの前記情報処理装置との距離である初期距離未満で且つ該初期距離が小さくなるほど小さくなる傾向にある距離である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポータブル端末。
【請求項6】
前記無線通信手段は、前記情報処理装置とワイヤレスUSB規格に基づく無線通信を行う手段である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポータブル端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−165106(P2010−165106A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5708(P2009−5708)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】