説明

マイクロバルブ

【課題】 本発明は、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を一方向のみに輸送し、逆流しないマイクロバルブを提供する。
【解決手段】 流体注入用の開口部が下壁に形成され、流体排出用の開口部が上壁に形成されているバルブ室内に板状の浮遊弁体が収納されており、該開口部及び浮遊弁体の形状及び大きさは、該浮遊弁体が下壁に接地した際は流体注入用の開口部を閉鎖し、上壁に接地した際は流体排出用の開口部を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体が流体排出用の開口部内に流入しない形状及び大きさであることを特徴とするマイクロバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ全分析システムにおいて微細流路内の流体を一方向のみに輸送し、逆流しないマイクロバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、医療診断を患者の近傍で行うベッドサイド診断、大気や水や土壌中の環境汚染材料のモニタリング、食品の安全性検査等現場において短時間に安価に診断したり分析する技術のニーズは非常に高くなってきている。
【0003】
例えば、従来、高価且つ大型の装置を必要とした分析を、持ち運び可能な小型の分析装置が代替できれば、大病院にしか設置できなかった分析装置を開業医でも設置、利用することが可能になり、診断結果を患者に簡便に早期にフィードバックすることが可能になる。
【0004】
又、高齢者の健康指標を高齢者の家族が測定し、その健康指標数値を在宅管理したり、病院に定期的に送信して病院で管理することにより在宅医療環境がより優れたものとなる。
【0005】
又、環境ホルモン、ダイオキシン等の環境汚染材料を、高価且つ大型装置を使用することなく、簡易測定することができれば、簡単且つ安価に環境診断することができる。更に、持ち運び可能な小型の分析装置を用いて現場で環境汚染材料を分析することができれば、よりきめ細かい安全環境を供出することができる。
【0006】
このような測定を簡易に行うために、基板内又は基板上に微細流路、輸液ディバイス、反応槽、電気泳動カラム、膜分離機構、液体クロマトグラフカラム、キャピラリーガスクロマトグラフィー(CGC)、誘導型プラズマ(ICP)、質量分析計(MS)、電気化学的測定装置等が内臓されたマイクロ全分析システムの研究が盛んになされており、微細流路の開閉や流量調整のためのマイクロバルブの研究も盛んになされている。
【0007】
例えば、表面に溝を有する部材(A)の溝が形成された面に、0.5〜500μmの厚みを有する部材(B)が接着され、部材(A)の溝と部材(B)とで幅1〜1000μm、高さ1〜1000μmの毛細管状の流路が形成され、該流路の途上に、幅が毛細管状の流路幅の0.5〜100倍で、該空隙部の最大高さ/最大幅の比が1以下である空隙部が形成されたマイクロ流体デバイスであって、(i)部材(A)の少なくとも空隙部周辺部が引張弾性率0.1MPa以上、700MPa未満の範囲にある素材で形成され、(ii)部材(B)の少なくとも空隙部周辺部が、引張弾性率0.7〜10GPaの範囲にある素材で形成され、かつ厚みが0.5〜500μmである、マイクロ流体デバイスの該空隙部を、部材(B)側から選択的に圧迫することにより、マイクロ流体デバイス内の空隙部の断面積を可逆的に減少させて、空隙部を通過する流体流量を調節するマイクロ流体デバイスの流量調節方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【特許文献1】特開2002−219697号公報
【0008】
上記マイクロ流体デバイスの流量調節方法においては、マイクロ流体デバイスの外部からマイクロ流体デバイス内の空隙部に機械的圧力を付加し、空隙部の断面積を可逆的に減少させて、空隙部を通過する流体流量を調節するのであり、微量の流体流量を調節するすることは不可能であり、流体の逆流を阻止するには必要な時間の間絶えず機械的圧力を付加しておく必要があり、実用に供することは不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を一方向のみに輸送し、逆流しないマイクロバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のマイクロバルブは、流体注入用の開口部が下壁に形成され、流体排出用の開口部が上壁に形成されているバルブ室内に板状の浮遊弁体が収納されており、該開口部及び浮遊弁体の形状及び大きさは、該浮遊弁体が下壁に接地した際は流体注入用の開口部を閉鎖し、上壁に接地した際は流体排出用の開口部を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体が流体排出用の開口部内に流入しない形状及び大きさであることを特徴とする。
【0011】
請求項1記載のマイクロバルブを図面を参照して説明する。図1は請求項1記載のマイクロバルブの一例を示す断面図であり、図2は平面図である。
【0012】
図中1はマイクロ全分析システムであり、マイクロ全分析システム1内に平面視円形のバルブ室2が形成されている。バルブ室2の下壁21の略中心に流体注入用の開口部4が形成され、マイクロ全分析システム1の外部から連通されている。
【0013】
又、バルブ室2の上壁22には流体排出用の開口部5が形成され、流体排出用の開口部5に形成された微細流路6によりマイクロ全分析システム1の外部に連通されている。流体注入用の開口部4及び微細流路6は断面略円形の貫通孔であり、流体排出用の開口部5は長円形である。
【0014】
バルブ室2内には、平面視円形であって、バルブ室の深さよりも薄い板状の浮遊弁体3が収納されており、流体注入用の開口部4、流体排出用の開口部5及び浮遊弁体3の形状及び大きさは、浮遊弁体3が下壁21に接地した際は流体注入用の開口部4を閉鎖し、上壁22に接地した際は流体排出用の開口部5を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体3が流体排出用の開口部5内に流入しない形状及び大きさになされている。
【0015】
即ち、浮遊弁体3の直径は、流体注入用の開口部4の直径より大きく、バルブ室2の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計値より大きく且つバルブ室2の直径より小さくなされており、浮遊弁体3が下壁21に接地した際は流体注入用の開口部4を常に閉鎖する大きさになされている。
【0016】
又、浮遊弁体3の直径は、流体排出用の開口部5の短径より大きく、長径より小さくなされており、浮遊弁体3が上壁22に接地した際は、流体排出用の開口部5を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体3が流体排出用の開口部5内に流入しない大きさになされている。
【0017】
従って、流体注入用の開口部4から流体を注入すると、浮遊弁体3が浮上して流体はバルブ室2に注入され、浮遊弁体3が浮上して上壁22に接地しても流体排出用の開口部5は開口部が一部分残っているのでその開口部から微細流路6を通って送られる。又、流体が逆流しようとすると、浮遊弁体3が下壁21に押し付けられ流体注入用の開口部4が閉鎖されるので逆流が防止される。
【0018】
上記バルブ室2及び浮遊弁体3の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形
、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、長円形等が挙げられるが、浮遊弁体3が回転しても、浮遊弁体3が下壁21に接地した際は流体注入用の開口部4を常に閉鎖する必要があり、上壁22に接地した際は流体排出用の開口部5を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体3が流体排出用の開口部5内に流入しない形状である必要があるので、バルブ室2及び浮遊弁体3は円形が好ましい。
【0019】
上記流体排出用の開口部5の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、長円形、やつで形等が挙げられるが、浮遊弁体3が上壁22に接地した際は流体排出用の開口部5を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体3が流体排出用の開口部5内に流入しない形状である必要があるので、流体排出用の開口部5は長方形又は長円形が好ましい。
【0020】
上記流体流入用の開口部4の形状も、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、長円形等が挙げられ、浮遊弁体3が下壁21に接地した際は常に閉鎖される必要があるので、流体注入用の開口部4のはバルブ室3の下壁21の略中央に形成されるのが好ましい。又、流体注入用の開口部4の直径は微細なので、レーザー加工やマシニング等各種微細加工で形成するのが好ましく、従って断面形状は円形が好ましい。
【0021】
尚、流体注入用の開口部4及び微細流路6は、マイクロ全分析システム1内の異なる微細流路に接続されてよいことは言うまでもない。
【0022】
マイクロ全分析システムは、一般に、板状基板を積層し、板状基板の間に微細流路、マイクロバルブ、反応槽、測定槽等を形成することにより製造されており、本発明のマイクロバルブも板状基板を積層することにより製造されるのが好ましい。
【0023】
即ち、請求項3記載のマイクロバルブは、第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれている又は溝状に穿設されている第2の板状基板、略円形のバルブ室及び流体排出用の貫通孔aが打抜かれている第3の板状基板並びに略円形の流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔bが打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部の一部とバルブ室と流体注入用の開口部及び流体排出用の開口部の一部と貫通孔aと貫通孔bが略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブである。
【0024】
請求項3記載のマイクロバルブを図面を参照して説明する。図3は請求項3記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0025】
図中7は、第1の板状基板であり、貫通孔は穿設されておらず、流体排出用の開口部5のふたをする基板である。8は、略長円形の流体排出用の開口部5が打抜かれている第2の板状基板である。尚、流体排出用の開口部5は第2の板状基板8に溝状に穿設されてもよい。
【0026】
9は、略円形のバルブ室2及び流体排出用の貫通孔a61が打抜かれている第3の板状基板である。バルブ室2の直径は流体排出用の開口部5の短径より大きく、流体排出用の開口部5の長径はバルブ室2の直径と流体排出用の貫通孔a61の直径の合計より大きくなされている。第2の板状基板8と第3の板状基板9を重ね合わせると、流体排出用の開口部5にバルブ室2と流体排出用の貫通孔a61は連通するように打抜かれている。
【0027】
3は、略円形であって、第3の板状基板よりも薄い板状の浮遊弁体である。浮遊弁体3の直径はバルブ室2の直径より短く、流体排出用の開口部5の短径より大きく、且つ、バ
ルブ室2の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計より大きくなされている。
【0028】
10は、略円形の流体注入用の開口部4及び流体排出用の貫通孔b62が打抜かれている第4の板状基板であり、第3の板状基板9と第4の板状基板10を重ね合わせると流体注入用の開口部4はバルブ室2の略中央に位置し、流体排出用の貫通孔a61と流体排出用の貫通孔b62は連通するように打抜かれている。
【0029】
第1の板状基板7、第2の板状基板8、第3の板状基板9及び第4の板状基板10をこの順に積層すると、流体排出用の開口部5の一部とバルブ室2と流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5の一部と貫通孔a61と貫通孔b62が略一直線になるように積層される。
【0030】
バルブ室2に浮遊弁体3を収納することにより、第4の板状基板10の流体注入用の開口部4からバルブ室2を通過して第4の板状基板10の流体排出用の貫通孔b62にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。又、流体が逆流しようとすると、浮遊弁体3が第4の基板10に押し付けられ流体注入用の開口部4が閉鎖されて逆流が防止される。
【0031】
請求項4記載のマイクロバルブは、流体排出用の貫通孔が打抜かれている第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれている第2の板状基板、略円形のバルブ室が打抜かれている第3の板状基板並びに略円形の流体注入用の開口部が打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部の一部とバルブ室と流体注入用の開口部及び流体排出用の開口部の一部と流体排出用の貫通孔が略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブである。
【0032】
請求項4記載のマイクロバルブを図面を参照して説明する。図4は請求項4記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0033】
図中7は、流体排出用の開口部5のふたをする第1の板状基板であり、流体排出用の貫通孔63が打抜かれている。8は、略長円形の流体排出用の開口部5が打抜かれている第2の板状基板である。尚、流体排出用の開口部5は、第2の板状基板8に溝状に穿設されおり、流体排出用の貫通孔63に接続する部分だけが打抜かれていてもよい。
【0034】
9は、略円形のバルブ室2が打抜かれている第3の板状基板であり、バルブ室2の直径は流体排出用の開口部5の短径より大きく、流体排出用の開口部5の長径はバルブ室2の直径の直径より大きくなされている。第2の板状基板8と第3の板状基板9を重ね合わせると、流体排出用の開口部5にバルブ室2は連通するように打抜かれている。
【0035】
3は、略円形であって、第3の板状基板よりも薄い板状の浮遊弁体である。浮遊弁体3の直径はバルブ室2の直径より短く、流体排出用の開口部5の短径より大きく、且つ、バルブ室2の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計より大きくなされている。
【0036】
10は、略円形の流体注入用の開口部4が打抜かれている第4の板状基板であり、第3の板状基板9と第4の板状基板10を重ね合わせると流体注入用の開口部4はバルブ室2の略中央に位置するように打抜かれている。
【0037】
第1の板状基板7、第2の板状基板8、第3の板状基板9及び第4の板状基板10をこの順に積層すると、流体排出用の開口部5の一部とバルブ室2と流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5の一部と貫通孔63が略一直線になるように積層される。
【0038】
バルブ室2に浮遊弁体3を収納することにより、第4の板状基板10の流体注入用の開口部4からバルブ室2を通過して第1の板状基板7の流体排出用の貫通孔63にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。又、流体が逆流しようとすると、浮遊弁体3が第4の基板10に押し付けられ流体注入用の開口部4が閉鎖されて逆流が防止される。
【0039】
又、請求項5記載のマイクロバルブは、第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれ又は溝状に穿設され、該開口部が基板の側壁に達している第2の板状基板、略円形のバルブ室が打抜かれている第3の板状基板及び略円形の流体注入用の開口部が打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部とバルブ室と流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブである。
【0040】
請求項5記載のマイクロバルブを図面を参照して説明する。図5は請求項5記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0041】
図中7は第1の板状基板であり、貫通孔は穿設されておらず、流体排出用の開口部5のふたをする基板である。8は、第2の板状基板であり、略長円形の流体排出用の開口部5及び開口部5の端部から第2の板状基板8の端部に連通している流体排出用の微細流路64が打抜かれている。尚、流体排出用の微細流路64は溝状に穿設されてもよい。
【0042】
9は、略円形のバルブ室2が打抜かれている第3の板状基板であり、バルブ室2の直径は流体排出用の開口部5の短径より大きく、流体排出用の開口部5の長径はバルブ室2の直径の直径より大きくなされている。第2の板状基板8と第3の板状基板9を重ね合わせると、流体排出用の開口部5にバルブ室2が連通するように打抜かれている。
【0043】
3は、円形であって、第3の板状基板よりも薄い板状の浮遊弁体である。浮遊弁体3の直径はバルブ室2の直径より短く、流体排出用の開口部5の短径より大きく、且つ、バルブ室2の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計より大きくなされている。
【0044】
10は、略円形の流体注入用の開口部4が打抜かれている第4の板状基板であり、第3の板状基板9と第4の板状基板10を重ね合わせると流体注入用の開口部4はバルブ室2の略中央に位置するように打抜かれている。
【0045】
第1の板状基板7、第2の板状基板8、第3の板状基板9及び第4の板状基板10をこの順に積層すると、流体排出用の開口部5の一部とバルブ室2と流体注入用の開口部4が略一直線になるように積層される。
【0046】
バルブ室2に浮遊弁体3を収納することにより、第4の板状基板10の流体注入用の開口部4からバルブ室2を通過して第2の板状基板8の流体排出用の微細流路64にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。又、流体が逆流しようとすると、浮遊弁体3が第4の基板10に押し付けられ流体注入用の開口部4が閉鎖されて逆流が防止される。
【0047】
上記第1〜4の板状基板及び浮遊弁体の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、従来から使用されている、ガラス、石英、シリコン等の無機材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0048】
上記無機材料は精度、加工性等が優れており、例えば、半導体微細加工技術において広く用いられている光リソグラフィー技術を利用すれば、ガラスやシリコン基板上にミクロンオーダーの溝や貫通孔を自在に形成することができる。
【0049】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、耐酸性、耐アルカリ性を有する熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリアクリル系樹脂が好ましい。
【0050】
又、熱硬化性樹脂は、前駆体が液状のため、転写金型の形状をより忠実に転写するという利点があり、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すので有利に用いることができる。このような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性の点から、エポキシ樹脂を有利に用いることができる。
【0051】
上記板状基板の大きさは特に限定されるものではないが、大きくなるとマイクロ全分析システムとしてのハンドリング性が低下するので400cm2 以下が好ましく、厚さは0.01〜10mmが好ましい。又、第1の基板及び第4の基板を厚くして強度を持たせ、第2の基板及び第3の基板を薄いフィルムで形成してもよい。
【0052】
上記流体注入用の開口部4、流体排出用の開口部5、微細流路6等の断面積も特に限定されるものではないが、狭くなるとつまり易くなり製造が困難になり、広くなると測定試料が多量に必要になるので0.01μm2 〜3mm2 が好ましい。
【0053】
又、バルブ室の大きさも特に限定されるものではないが、小さくなるとバルブ性能が低下し、大きくなると測定試料が多量に必要になるので1μm3 〜3mm3 が好ましい。
【発明の効果】
【0054】
本発明のマイクロバルブの構成は上述の通りであり、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を一方向のみに輸送し、逆流することがない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】請求項1記載のマイクロバルブの一例を示す断面図である。
【図2】請求項1記載のマイクロバルブの一例を示す平面図である。
【図3】請求項3記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図4】請求項4記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図5】請求項5記載のマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【符号の説明】
【0056】
1 マイクロ全分析システム
2 バルブ室
21 下壁
22 上壁
3 浮遊弁体
4 流体注入用の開口部
5 流体排出用の開口部
6 微細流路
61 流体排出用の貫通孔a
62 流体排出用の貫通孔b
63 流体排出用の貫通孔
64 流体排出用の微細流路
7 第1の板状基板
8 第2の板状基板
9 第3の板状基板
10 第4の板状基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入用の開口部が下壁に形成され、流体排出用の開口部が上壁に形成されているバルブ室内に板状の浮遊弁体が収納されており、該開口部及び浮遊弁体の形状及び大きさは、該浮遊弁体が下壁に接地した際は流体注入用の開口部を閉鎖し、上壁に接地した際は流体排出用の開口部を一部分開口部分を残して閉鎖し且つ浮遊弁体が流体排出用の開口部内に流入しない形状及び大きさであることを特徴とするマイクロバルブ。
【請求項2】
流体注入用の開口部及び浮遊弁体が円形であり、流体排出用の開口部が略長円形又は略長方形であって、浮遊弁体の直径は流体注入用の開口部の直径より大きく且つ流体排出用の開口部の短径又は短辺より大きく、長径又は長辺より小さいことを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブ。
【請求項3】
第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれている又は溝状に穿設されている第2の板状基板、略円形のバルブ室及び流体排出用の貫通孔aが打抜かれている第3の板状基板並びに略円形の流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔bが打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部の一部とバルブ室と流体注入用の開口部及び流体排出用の開口部の一部と貫通孔aと貫通孔bが略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブ。
【請求項4】
流体排出用の貫通孔が打抜かれている第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれている第2の板状基板、略円形のバルブ室が打抜かれている第3の板状基板並びに略円形の流体注入用の開口部が打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部の一部とバルブ室と流体注入用の開口部及び流体排出用の開口部の一部と流体排出用の貫通孔が略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブ。
【請求項5】
第1の板状基板、略長円形又は略長方形の流体排出用の開口部が打抜かれ又は溝状に穿設され、該開口部が基板の側壁に達している第2の板状基板、略円形のバルブ室が打抜かれている第3の板状基板及び略円形の流体注入用の開口部が打抜かれている第4の板状基板が、流体排出用の開口部とバルブ室と流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層され、バルブ室に浮遊弁体が収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−214837(P2006−214837A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27074(P2005−27074)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】