説明

マイクロリソグラフィ投影露光装置

【課題】 極紫外スペクトル範囲(EUV)内の波長に向けて構成された反射投影レンズを用いてマスクを層上に結像するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置を提供する。
【解決手段】 マイクロリソグラフィ投影露光装置は、投影光源(PLS)と、加熱光源(HLS)と、反射投影レンズ(26)と、好ましくは投影レンズ(26)の外側に配置され、ドライバ(124)を用いて第1の位置と第2の位置との間で変位させることができる反射スイッチング要素(122;222;322;422;14;14,140)とを含む。この場合、スイッチング要素の第1の位置では、投影光(PL)のみが投影レンズ(26)に入射することができ、スイッチング要素の第2の位置では、加熱光(HL)のみがこの投影レンズに入射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、極紫外スペクトル範囲(EUV)内の波長に向けて構成された反射投影レンズを用いてマスクを層上に結像するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィ投影露光装置は、マスク内に含まれるか、又はマスク上に配置された構造をレジスト又は別の感光層に転写するのに使用される。投影露光装置の最も重要な光学構成要素は、光源と、光源によって生成された投影光を調整してマスク上に誘導する照明系と、マスクのうちで照明系によって照明される領域を感光層上に結像する投影レンズとである。
【0003】
投影光の波長が短い程、投影露光装置を用いて感光層上に定義することができる構造は小さい。最新世代の投影露光装置は、約13.5nmの平均波長を有し、従って、極紫外スペクトル範囲(EUV)内に位置する投影光を使用する。多くの場合にそのような装置は、略してEUV投影露光装置と呼ばれる。
【0004】
しかし、そのような短い波長に対して十分に高い透過能を有するいずれの光学材料も存在しない。従って、EUV投影露光装置においては、長い波長における従来型のものであるレンズ及び他の屈折光学要素はミラーで置換されており、従って、マスクも同様に反射構造のパターンを含む。
【0005】
EUV投影露光装置においてミラーを設けることは、高い技術的課題をもたらす。EUV光に適し、ミラー基板に付加されるコーティングは、多くの場合に、数ナノメートルの厚みのみを有する技術的に複雑な工程において蒸着によって互いの上に付加される30個又は40個を超える二重層を含む。そのような複雑な設計によるコーティングの場合にも、EUV光に対するミラーの反射率は、通常、70%を超えることは殆どなく、超える場合でも、反射コーティング上に垂直に、又は数度の入射角で入射する光に対してしか成り立ない。
【0006】
ミラーの比較的低い反射率の結末は、各ミラーが光学的損失を意味し、最終的に投影露光装置の収量を低下させるので、投影露光装置の開発中に、可能な限り少数のミラーしか用いない手法を行わなければならないこということである。
【0007】
しかし、ミラーの比較的低い反射率は熱問題も伴い、これは、高エネルギEUV光のうちでコーティングによって反射されない部分が吸収され、ミラー内の温度増大をもたらすことによる。投影露光装置は、ガスによるEUV光の高い吸収に起因して真空中で作動させなければならず、従って、ガス冷却による対流放熱は除外されるので、この過程において生成された熱は、実質的にミラー基板を通じた熱伝導を用いて消散させなければならない。
【0008】
ミラー基板内で発生する温度勾配がミラーの望ましくない変形をもたらさないように、ミラー基板では、作動温度において可能な限り小さく、又は更に殆どゼロと言える程小さい熱膨張係数を有する材料が好ましい。そのようなガラスシステムの材料は、例えば、SchottによってZerodur(登録商標)という商標の下で、及びCorningによってULE(登録商標)という商標の下で流通されている。付加的なアクションの結果として、EUV光の吸収によってもたらされる熱変形を低く保つことができ、又は少なくとも、投影レンズの光学特性に対する熱変形の効果を許容限度内に保つことができる。
【0009】
従って、US 7,477,355 B2は、ミラーの基板材料内で、熱膨張係数がゼロに等しいか又は少なくとも最小である温度が設定されるように、付加的な加熱手段を用いてミラーを加熱することを提案している。この場合、装置の作動中の温度変化は、ミラーの結像特性に対していずれの効果も持たないか、又は僅かな効果のみを有する。
【0010】
US 7,557,902 B2は、2つのミラーが、これらの2つのミラーの一方において温度増大と共に増大する熱膨張係数を有する材料で構成され、他方のミラーにおいて温度増大と共に減少する熱膨張係数を有する材料から構成される投影レンズを説明している。ミラーの適切な選択の場合にそれによって達成することができることは、温度変化の場合に2つのミラーは大きく変形するが、これらの変形の光学効果が、互いに殆ど相殺することである。
【0011】
DE 103 17 662 A1は、結像ミラー上の選択領域を付加的な加熱光で照明する加熱光源を有するEUV投影露光装置を開示している。加熱光の吸収は、ミラー面上の少なくとも近似的に均一な温度分布をもたらす。この場合、適切な構成により、熱平衡においてミラー基板の熱膨張係数が最小値を有する温度を得ることが可能になる。その結果、比較的低い温度変化又は温度分布における残留不均一性は、ミラー基板の有意な熱変形、従って、収差をもはやもたらすことができない。
【0012】
ミラー上の選択された領域だけを加熱光で照明するために、この公知の投影露光装置の加熱光源の後部に透過フィルタが配置され、このフィルタは、ミラー面上で投影光が入射し、従って、加熱光によって付加的に加熱すべきではない領域を遮光する。加熱光が、ミラー面上で可能な限り鮮明な縁部を有するパターンを形成される場合には、透過フィルタをミラー面上に結像する付加的な結像光学系を設けることができる。別の例示的な実施形態では、制御可能光線偏向デバイスに関連付けられたレーザが、加熱光源として使用される。この光線偏向デバイスは、レーザによって生成されたレーザ光線をミラー面上の望ましい区域上だけに誘導するために使用される。光線偏向デバイスは、この場合、それ自体公知であるバーコードスキャナにおいて類似の方式で含まれる回転ミラーを含むことができる。
【0013】
この公知の投影露光装置の欠点は、加熱光によって複数のミラーが照明される場合に、これらのミラーの各々に対して加熱光源及び光学構成要素を設けなければならないことである。これらの構成要素は、加熱光をそれぞれのミラー上に、過度に浅くはない入射角で誘導するように配置されることになる。しかし、多くの場合に、投影レンズ内には、そのような光学構成要素及び同じく加熱光源に利用可能な十分な設置空間がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US 7,477,355 B2
【特許文献2】US 7,557,902 B2
【特許文献3】DE 103 17 662 A1
【特許文献4】US 7,372,623 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、少数の付加的な構成要素を使用することにより、1つ又はそれよりも多くの結像ミラーを付加的な加熱光で局所的に加熱することができる投影露光装置を指定することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明により、この目的は、第1の平均波長を有する投影光を生成するように構成された投影光源を有する反射マスクを層上に結像するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置によって達成される。更に、投影光源とは異なり、第1の平均波長とは異なる第2の平均波長を有する加熱光を生成するように構成された加熱光源が設けられる。更に、投影露光装置は、複数の結像ミラーを有する反射投影レンズを含む。投影レンズは、マスクを配置することができる物体平面と、層を配置することができる像平面とを有する。本発明による投影露光装置は、更に、好ましくは、投影レンズの外側に配置された反射スイッチング要素と、スイッチング要素を第1の位置と第2の位置との間で変位させるように構成されたドライバとを有する。スイッチング要素の第1の位置では、投影光のみが投影レンズに入射することができ、スイッチング要素の第2の位置では、加熱光のみがこの投影レンズに入射することができる。
【0017】
従って、本発明により、加熱光は、投影レンズに外側から結合される。一般的に、この場合の結合は、又は投影レンズの物体平面から行われる。しかし、原理的には、投影作動中に層が位置する像平面からの結合を考察することができる。
【0018】
ドライバが設けられたスイッチング要素を用いて、加熱光は、投影光と同様に投影レンズに入射することができ、従って、投影レンズのビーム経路を辿ることができる。その結果、今度は、加熱光を用いて投影レンズ内の1つの結像ミラーだけではなく複数の結像ミラーをターゲット方式で加熱することができる。しかし、本発明は、単一の結像ミラー、例えば、ビーム経路内の最初のものみを加熱光によって局所的に加熱すべきである投影レンズの場合にも有利に使用することができる。
【0019】
従って、スイッチング要素は、主に、加熱光を投影光のビーム経路に結合する工程を可能にするという目的を有する。2次的な効果として、スイッチング要素は、適切な設計の場合に、投影作動中にいずれの加熱光も投影レンズに入射することができず、加熱作動中にいずれの投影光もこの投影レンズに入射することができないことを保証することができる。しかし、一般的には、投影光源及び加熱源は、投影作動中にいずれの加熱光も生成されず、加熱作動中にいずれの投影光も生成されないように作動されることになる。
【0020】
一般的に、投影露光装置は、スイッチング要素が第1の位置に配置される時に、投影光源によって生成された投影光をマスク上に誘導するように構成された反射投影光照明系を含むことになる。
【0021】
この場合、スイッチング要素は、加熱光が投影レンズに入射する前に投影光照明系を完全に通過するように、投影光源と投影光照明系の間に配置することができる。この場合、スイッチング要素は、好ましくは、投影光を第2の位置においてのみ反射し、第1の位置では反射しない。このようにして配置されたスイッチング要素を使用すると、投影光照明系を用いて、投影光に対して同様に可能であるものと同じ方式で投影レンズの物体平面内の加熱光の照明角度分布を修正することができる。加熱作動中の照明角度分布の変更は、特に、加熱光が、瞳の近くに配置された結像ミラー上で投影作動中に発生するものとは異なる強度分布を生成すべきである場合に必要である。従って、スイッチング要素のそのような配列の場合には、望ましい照明角度分布を加熱光に印加するために更に別のアクションを取る必要が全くない。
【0022】
しかし、スイッチング要素は、加熱光が投影レンズに入射する前に投影光照明系を部分的しか通過しないように、投影光源と投影光照明系の間に配置することができる。この場合、加熱光は、投影照明系を部分的にしか用いないので、加熱光源に対して付加的な光学構成要素を割り当てる必要がある可能性がある。更に、この場合、スイッチング要素は、いずれの場合にも投影光照明系内に含まれる照明ミラーのうちの1つとすることができる。この場合、スイッチング要素は、投影光を第1の位置においてのみ反射し、第2の位置では反射しない。
【0023】
更にスイッチング要素は、加熱光が、先に投影光照明系を通過せずに投影レンズに入射するように、照明系と投影レンズの間に配置することができる。この場合、加熱光は、例えば、物体平面に配置されたマスク又は別の反射要素(例えば、平面偏向ミラー)上での反射の後に投影レンズに直接入射する。
【0024】
しかし、この場合、スイッチング要素は、第2の位置において、加熱光がマスク上での反射なしに投影レンズに入射するように配置されたマスク自体とすることができる。このようにして、スイッチング要素及びスイッチング要素に付随するドライバに関する付加的な複雑さが省かれる。
【0025】
利用可能な設置空間をより良好に利用するために、スイッチング要素をマスクと偏向要素とで形成し、第1の位置において、投影光が、マスクによって反射された後に投影レンズに入射するが、偏向要素によって反射されずに入射するようにマスク及び偏向要素が配置されることを好適とすることができる。それとは対照的に、第2の位置では、マスク及び偏向要素は、加熱光が、マスクによって反射されずに、偏向要素によって反射された後に投影レンズに入射するように配置される。この場合、偏向要素は、マスクと共に、マスク変位台上に変位可能な方式で配置することができる。この実施形態もまた、付加的なスイッチング要素及びそれに対するドライバの複雑さを不要にする。
【0026】
スイッチング要素が、投影光照明系内、又は投影光照明系と投影レンズの間に配置される場合には、投影露光装置が、加熱光が投影レンズの物体平面内に有する照明角度分布を変更するように構成された調節デバイスを有する加熱光照明系を含むのが好適である。これは、加熱光が、投影光照明系内又はその背後のビーム経路内で初めて結合される場合には、望ましい照明角度分布を加熱光に印加するのに投影光照明系の光学構成要素を使用することができないことによる。加熱光の照明角度分布が、投影作動中の投影光の照明角度分布に可変適応可能でなければならない場合には、独立した加熱光照明系が、この目的を受け持たなければならない。しかし、投影光によるマスクの照明の場合とは異なり、投影レンズの物体平面内に加熱光の照明角度分布及び強度を生成される精度に関しては、それ程高い要求があるわけではないので、加熱光照明系は、比較的簡単な設計を有することができる。
【0027】
例として、調節デバイスは、加熱光照明系の瞳面に配置された瞳面内の強度分布を可変方式で修正することができるLCDマトリックス又は他の光学構成要素を含むことができる。瞳面を可変方式で照明することができる交換可能な回折光学要素又はマイクロミラーアレイもこの目的に適している。この場合、加熱光照明系の瞳面上の強度分布は、投影レンズの瞳の近くに配置された結像ミラー上にその後の光学構成要素によって結像され、その結果、この場所で温度分布の望ましい均一化を提供する。
【0028】
制御ユニットは、層を担持する基板が別の基板で置換されている時間間隔中にしか加熱光が投影レンズに入射することができないように、投影光源と加熱光源とスイッチング要素とを制御することができる。負荷サイクルとも呼ぶこれらの時間間隔は、スイッチング要素を第1の位置から第2の位置に変位させ、加熱作動を完了した後に第1の位置に変位させて戻すことができるように十分に長い。これらの時間間隔は、全体として投影作動と比較して相対的に短いが、この短さは、高パワーの加熱光源の使用によって補償することができる。従って、関連の結像ミラーの光学的使用可能区域にわたって時間と共に平均した場合に、望ましい均一な熱流入を得ることができる。
【0029】
しかし、2つの連続する走査処理の合間のより短い時間を加熱作動に使用するように考えることができる。
【0030】
制御ユニットは、加熱光が、結像ミラー上で、先行する投影作動中にいずれの投影光も入射しなかった区域上にしか入射しないように、投影光源と加熱光源とスイッチング要素とを制御し、更に、実施形態の種類に依存して投影光照明系又は加熱光照明系を制御することができる。その結果、関連の結像ミラー上で温度分布の望ましい均一化を提供する。しかし、ある一定の状況下では、投影光によって照明される領域と、加熱光によって照明される領域とが僅かな重なりを有することを好適とすることができる。一例として、これは、投影光又は加熱光によって照明される領域の境界が鮮明に定められず、これらの領域が、その縁部に向けて緩慢に低下する強度を有する場合に考えることができる。
【0031】
感光層で覆われたウェーハは、可能性として加熱作動中に依然として投影レンズの視野内に位置する場合があるので、投影レンズ内、又は投影レンズと層の間に、閉鎖位置において加熱光を加熱光源によって生成された加熱光のうちの僅かしか、具体的には5%未満、好ましくは、0.5%未満しか層上に入射することができない程完全に吸収又は反射するシャッターが配置される場合を好適とすることができる。その結果、加熱光は、加熱作動中の露光に大きく寄与することはできない。層は、主に投影露光装置が設計された対象の波長に対するみ感度を有するが、ある一定の関連においては、他のスペクトル範囲の高い強度もまた、層の露光閾値を超えるイベントをもたらす可能性がある。
【0032】
シャッターの代わりに、投影レンズ内、又は投影レンズと層の間に投影光に対して透過性を有し、加熱光に対して不透過性を有するフィルタ要素を配置することができる。その結果、もはや投影作動と加熱作動の間の各変更中にシャッターを作動させる必要がない。シャッターの場合と同様に、この場合にも加熱光が全ての結像ミラーに到達することができるように、可能な場合はフィルタ要素を投影レンズの結像ミラーの後ろの光学ビーム経路に配列すべきであることは確かである。
【0033】
第2の平均波長は、好ましくは、第1の平均波長よりも大きい。その結果、例えば、エキシマレーザのような比較的費用効果的な加熱光源を使用することができる。特に、第1の平均波長は、50nmよりも小さいとすることができ、第2の平均波長は、150nmよりも大きいとすることができる。他の例示的な実施形態の場合には、第1の平均波長は20nmよりも小さく、第2の平均波長は200nmよりも大きい。
【0034】
更に本発明の主題は、a)投影光を生成するように構成された投影光源を準備する段階と、b)投影光源とは異なり、投影光とは異なる加熱光を生成するように構成された加熱光源を準備する段階と、c)投影光でマスクを照明する段階と、d)反射スイッチング要素が、加熱光ではなく投影光のみが投影レンズに入射することができる第1の位置に配置される場合に、反射投影レンズを用いてマスクを層上に結像する段階と、e)スイッチング要素を投影光ではなく加熱光のみが投影レンズに入射することができる第2の位置に変位させる段階と、f)加熱光が投影レンズに入射するように加熱光を投影レンズ上に誘導する段階とを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置を作動させる方法に関する。
【0035】
従って、第1の位置と第2の位置との間でのスイッチング要素の変位は、投影レンズ内への投影光と加熱光との交替入射を可能にする。好ましくは、加熱光は、実質的に投影光のビーム経路を辿り、その結果、加熱光は、投影レンズの全ての結像ミラー上に入射することができる。更に別の利点及び実施形態に関して、本発明による投影露光装置に関する以上の説明を付加的に参照する。
【0036】
加熱光は、層を担持する基板が別の基板で置換されている時間間隔中に投影レンズに入射することができる。
【0037】
これに対する代替として、マスクが、段階d)の間の走査処理内に変位した場合には、加熱光は、2つの連続する走査処理の合間に投影レンズに入射することができる。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、加熱光は、結像ミラー上で、段階d)の間にいずれの投影光も入射しなかった領域にのみ入射する。
【0039】
投影レンズの物体平面内の加熱光の照明角度分布は、投影レンズの物体平面内の投影光の照明角度分布に適応させることができる。特に、この適応は、投影レンズの物体平面内の加熱光の照明角度分布が、投影レンズの物体平面内の投影光の照明角度分布に対して少なくとも実質的に補完的であるように適応されるように行うことができる。
【0040】
視野の近くに配置された結像ミラーの温度分布を均一化することができるように、段階f)中に、段階d)中に結像されるマスクとは異なる第2のマスクを結像することができる。加熱作動中に、第2のマスクは、視野の近くに配置された結像ミラー上で、温度分布を均一化するために加熱すべきである領域を加熱光で照明する。
【0041】
別の例示的な実施形態では、第2のマスクは、少なくとも90%が加熱光のうちの少なくとも90%を反射する区域を有する領域を有する。この場合、特に、平面ミラーとすることができるこの領域は、層上に投影することができる投影レンズの物体視野全体を覆う。加熱作動中に加熱光がこの区域上に入射する場合には、加熱光のうちのほぼ全てが投影レンズ内に結合される。同時に、マスクのうちで投影作動中に層上に結像される部分を加熱光が加熱することが防止される。
【0042】
スイッチング要素は、投影露光装置内で、第1の位置において投影光を反射し、第2の位置において投影光を反射しないように設計及び配置することができる。しかし、これが逆転される、すなわち、投影光が第1の位置において反射されず、第2の位置にいて反射されるスイッチング要素の実施形態及び配列も可能である。
【0043】
一般的に加熱光を投影レンズの最後の結像ミラーの像側にも入射するように投影レンズ上に誘導するのが好適になる。それによって投影レンズの全ての結像ミラーを加熱光によって局所的に加熱することが可能になる。
【0044】
フィルタ要素又はシャッターを使用する結果として、加熱光源によって生成された加熱光のうちの僅かしか、正確には5%未満、好ましくは、0.5%未満しか層上に入射しないことを保証することができる。好ましくは、加熱光源は、シャッターがその閉鎖位置に置かれた場合にのみ加熱光を生成するように作動され、それによって加熱光源によって生成された加熱光のうちの僅かしか、正確には5%未満、好ましくは、0.5%未満しか層上に入射しないことを保証する。
【0045】
本発明の更に別の特徴及び利点は、全てが概略的であり、正確な縮尺のものではない図面に基づく以下に続く例示的な実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による第1の例示的な実施形態によるEUV投影露光装置の斜視図である。
【図2】投影作動中の図1に示す投影露光装置を通る簡略化した略子午断面図である。
【図3】図1及び図2に示す投影露光装置の照明系の一部である瞳ファセットミラーの簡略化した斜視図である。
【図4】投影作動中の図2に示す投影レンズの第2のミラーを通る子午断面図である。
【図5】投影作動中の第2のミラーの平面図である。
【図6】図1及び図2に示す投影露光装置の一部である加熱光照明系を通る子午断面図である。
【図7】図2による投影露光装置であるが、加熱作動中である投影露光装置を通る子午断面図である。
【図8】加熱作動中の第2のミラーを通る図4に対応する子午断面図である。
【図9】加熱作動中の第2のミラーの図5に対応する平面図である。
【図10】投影作動中に照明される領域と加熱作動中に照明される領域の両方を確認することができる第2のミラーの平面図である。
【図11】偏向ミラーとマスクの間にスイッチングミラーが配置された例示的な実施形態による投影露光装置の投影光照明系を通る子午断面図である。
【図12】投影作動中にスイッチングミラーが投影光を反射する別の例示的な実施形態による投影作動中の投影光照明系を通る区画的な子午断面図である。
【図13】投影作動中にスイッチングミラーが投影光を反射する別の例示的な実施形態による加熱作動中の投影光照明系を通る区画的な子午断面図である。
【図14】マスク自体がスイッチング要素を形成する更に別の例示的な実施形態による投影作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図15】マスク自体がスイッチング要素を形成する更に別の例示的な実施形態による加熱作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図16】マスクと偏向手段とが合わせられてスイッチング要素が形成された図14及び図15に示す例示的な実施形態の変形による投影作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図17】マスクと偏向手段とが合わせられてスイッチング要素が形成された図14及び図15に示す例示的な実施形態の変形による加熱作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図18】同様にマスクがスイッチング要素を形成し、投影作動中に第1のマスクが結像され、加熱作動中に第2のマスクが結像される更に別の例示的な実施形態による投影作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図19】同様にマスクがスイッチング要素を形成し、投影作動中に第1のマスクが結像され、加熱作動中に第2のマスクが結像される更に別の例示的な実施形態による加熱作動中の投影露光装置を通る区画的な子午断面図である。
【図20】全体の走査処理中に投影光によって生成された投影レンズの像平面内の第1のマスクの像を示す図である。
【図21】静止結像中に加熱光によって生成された投影レンズの像平面内の第2のマスクの像を示す図である。
【図22】投影光によって生成された強度分布を有する視野の近くに配置された結像ミラーの平面図である。
【図23】加熱光によって生成された強度分布を有する図22に記載の視野の近くに配置された結像ミラーの平面図である。
【図24】スイッチングミラーを用いて加熱光を投影光照明系内に結合することができる例示的な実施形態による投影露光装置を通る子午断面図である。
【図25】シャッターの代わりに加熱光に対して透過性を有するフィルタ要素がビーム経路に配置された投影レンズの終端領域を示す図である。
【図26】本発明による方法の重要な段階を説明するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
1.投影露光装置の基本設計
図1は、非常に概略的な斜視図に全体を10で表す本発明によるマイクロリソグラフィ投影露光装置の基本設計を示している。投影露光装置10は、マスク14の下側に配置された反射構造12を感光層16上に投影する働きをする。特に、レジストとすることができる感光層16は、ウェーハ18又は別の基板によって支持される。
【0048】
投影露光装置10は、投影光PLを生成し、例えば、レーザプラズマ光源として具現化することができる投影光源PLSを含む。特に、投影光PLにおける波長として、5nmと30nmの間の範囲を使用することができる。示す本例示的な実施形態では、投影光PLの平均波長は13.5nmであり、従って、極紫外スペクトル範囲(EUV)内に位置する。
【0049】
投影光照明系20は、投影光PLをマスク14の構造12が設けられた側に誘導する。この場合、投影光PLは、示す例示的な実施形態では環状セグメントの幾何学形状を有するマスク14の下側にある照明視野24を照明する。
【0050】
更に投影露光装置10は、感光層16上に、照明視野24の領域内に位置する構造12の縮小像24’を生成する投影レンズ26を含む。OAは、環状セグメント形の照明視野24の対称軸と一致する投影レンズ26の光軸を表している。しかし、本発明は、投影レンズ26内にいずれの回転対称切断面区域も存在せず、従って、いずれの光軸も定義されていない投影露光装置に対して使用することができる。
【0051】
投影レンズ26は、感光層16の露光中にマスク14がウェーハ18と同期して変位した走査作動に向けて設計される。図1には、マスク14及びウェーハ18のこれらの変位移動をそれぞれ矢印A1及びA2によって示している。マスク14が変位した速度とウェーハ18が変位した速度との比は、この場合、投影レンズ26の結像スケールβに等しい。示す例示的な実施形態では、投影レンズ20によって生成される像24’は、サイズが縮小され(|β|<1)、反転されず(β>0)、これが、ウェーハ18がマスク14よりも低速であるが、同じ方向に沿って変位した理由である。従って、照明視野24は、感光層16の露光中にスキャナ様の方式でマスク14の上を通過し、その結果、より大きい連続構造領域を感光層16上に同様に投影することができる。
【0052】
投影レンズ26に入射する光ビームは、投影レンズ26の物体平面内に位置する照明視野24内の各点から発する。この効果は、入射光ビームが、投影レンズ26の後ろの像平面内の視野点上に収束することである。この場合、物体平面内で光ビームが発する視野点と、像平面内でこれらの光ビームが再収束する視野点とが、光学的共役性と呼ばれるものにおいて互いに関連する。
【0053】
そのような光ビームを照明視野24の中心にある単一の点に対して略示しており、28で表している。この場合、投影レンズ10に入射する時の光ビーム28の開口角は、投影レンズ10の開口数NAの尺度である。縮小像の結果として、投影レンズ26の像側開口数NAは、結像スケールβの逆数で増大する。
【0054】
図2は、更なる詳細内容を確認することができる投影露光装置10を通る略子午断面図である。投影レンズ26の30で表す物体平面と32で表す像平面の間には、合計で6つのミラーM1からM6が配置される。物体平面30内の点から発した光ビーム28は、最初に凹の第1のミラーM1上に入射し、凸の第2のミラーM2上に反射して戻され、凹の第3のミラー上に入射し、凹の4番目のミラーM4上に反射して戻され、次に、凸の5番目のミラーM5上に入射し、このミラーM5は、EUV光を凹の6番目のミラーM6上に誘導し戻す。6番目のミラーM6は、最終的に光ビーム28を像平面32内の共役像点上に集束させる。
【0055】
ミラーM1からM6に、図2に破線に示す部分を補填した場合には、補填されたミラーの反射区域は、この場合、投影レンズ26の光軸OAに関して回転対称になる。しかし、この場合ミラーM1、M2、及びM4からM6は、光路を部分的に遮蔽するので、そのような完全に回転対称なミラーを用いては上述のビーム経路を提供することができないことを確認するのは容易である。
【0056】
投影レンズ26は、第2のミラーM2の面上又はその直近に位置する第1の瞳面34を有する。瞳面は、物体平面30内の点から発生した光ビームの主光線が、この瞳面の場所で光軸OAを横断することによって区別される。図2ではこれを光ビーム28のうちで36で表し、破線に示す主光線に対して示している。
【0057】
5番目のミラーM5と6番目のミラーM6の間のビーム経路には第2の瞳面38が位置し、第2の瞳面38とこれらの2つのミラーM5、M6の間の距離は比較的大きい。第2の瞳面38と同じ面には、開口絞り40が配置される。
【0058】
投影露光装置10の投影光照明系20は、投影光源PLSによって生成された投影光PLを調整し、この投影光PLをマスクホルダ69に取り付けられたマスク14上に、マスク14上の照明視野24内の全ての点が、投影光PLによって望ましい強度及び照明角度分布を伴って照明されるように誘導する。照明角度分布という用語は、単一の視野点に関連する光ビームの全体の強度が、異なる入射方向の間で如何に分布されるかを表している。
【0059】
上述の目的のために、投影光照明系20は、入力ミラー70と、視野ファセットミラー72と、瞳ファセットミラー74と、第1のコンデンサーミラー76と、第2のコンデンサーミラー78とを有する。
【0060】
投影光PLは、かすめ入射に向けて設計され、投影光照明系20に配置することができる(図11を参照されたい)ミラー80を通じて最終的にマスク14にもたらされる。
【0061】
この場合、図3の斜視図に示す瞳ファセットミラー74が、投影光照明系20の82に示す瞳面上に配置される。投影光照明系20の瞳面82は、投影レンズ26の瞳面34及び38と光学的に共役である。従って、投影光照明系20の瞳ファセットミラー74上の強度分布は、最初に投影レンズ26の第2のミラーM2上に結像され、そこから第2の瞳面38上に結像される。
【0062】
視野ファセットミラー72を使用すると、瞳ファセットミラー74を異なる方式で照明することができる。この目的のために、視野ファセットミラー72のミラーファセット84は、その上に入射する投影光PLを瞳ファセットミラー74の異なるミラーファセットに誘導することができるように、アクチュエータ85を用いて個々に異なって傾斜又は調節することができる。この目的のために、視野ファセットミラー72のアクチュエータ85は、投影露光装置10の全体にそのような中央制御器88に接続した制御ユニット86によって作動される。物体平面30内の照明視野24の幾何学形状は、視野ファセットミラー72のミラーファセット84の外部プロフィールによって判断される。
【0063】
投影光照明系20の瞳面82は、物体平面30にフーリエ変換によって関連付けられるので、瞳面82の空間強度分布は、物体平面30内の照明角度分布を判断する。従って、瞳面82上の場所は、物体平面30内の角度に対応する。逆に瞳面82上の角度は、物体平面30内の場所に対応する。従って、視野ファセットミラー72を用いて瞳ファセットミラー74を異なって照明することにより、マスク14上に入射する投影光の照明角度分布をマスク14内に含まれる構造12にターゲット方式で整合させることができる。
【0064】
いくつかの照明角度分布の場合には、投影光は、厳しく境界が定められた角度領域内でマスク上に入射すべきである。投影光照明系20の瞳面82の照明では、上述のことは、この瞳面82内で比較的小さい領域のみが視野ファセットミラー72によって照明されることを意味する。
【0065】
投影光照明系20の瞳面82は、その後の光学構成要素によって投影レンズ26の第1の瞳面34上に結像されるので、同様に小さい領域のみが照明される強度分布が、第2のミラーM2の面上に発生する。更に、瞳ファセットミラー89のラスター状の配列の結果として、これらの領域は、均一な照明を持たず、同様にラスター状である。多くの場合に、極とも呼ぶ、第2のミラーM2の面の領域が小さい程、投影光PLの部分吸収の得られる熱流入はより不均一である。
【0066】
図4及び図5は、投影光PLによって投影露光装置10の瞳面上で、従って、同様に第2のミラーM2の面90上で2つの極P1、P2が照明される、いわゆる二重極照明設定の例を用いて上述のことを示している。第2のミラーM2を通る図4の子午断面図、及び図5にあるミラーM2の平面図には、簡略化の目的で、瞳ファセットミラー89のラスター状の配列によってもたらされる極P1、P2のラスター化を示していない。
【0067】
高エネルギ投影光の約3分の1が、ミラーの反射コーティング内で吸収されるので、熱流入は、ラスター化された極P1、P2の領域内で比較的高い。それによってミラー基板内で温度分布変化がもたらされる。低い熱膨張係数を有する材料で構成されたミラー基板が使用される場合であっても、ミラー基板内の変形を回避するのは困難である。極P1、P2は比較的小さい区域しか覆わないので、得られる温度分布は、強い温度勾配を有し、更に回転対称の観点からは非対称である。上述のことに関連付けられた変形は複雑であり、ミラーを傾斜及び変位させることのような従来の補正アクションに基づいて時に十分な程度まで補正することができない収差をもたらす。
【0068】
2.加熱光
ミラー基板内の温度勾配を低減し、及び/又は温度分布を対称化するために、投影露光装置10は、加熱光源HLSを有する。下記でより詳細に以下に説明するが、加熱光源HLSは、感光層16が投影光PLに露光されない時間に加熱光を生成する。これらの時間では、加熱光は、ミラーM2の面のうちで投影光PLによって加熱されない区域上に入射するように投影レンズ26に入射する。その結果、ミラーM2の面は、時間と共に平均した場合に、より均一に加熱される。それによってミラー基板の変形によってもたらされる収差をより簡単に制御することができる。
【0069】
a)加熱光源
加熱光源HLSは投影光源PLSとは異なり、投影光PLの平均波長とは異なる平均波長を有する加熱光を生成するように設計される。示す例示的な実施形態では、加熱光源HLSは、248nmの波長を有する加熱光を生成するKrFエキシマレーザである。
【0070】
加熱作動中の加熱光が、少なくとも、ミラーM2上で投影作動中に投影光PLに露光されない区域上にも入射するように、加熱光は、角度分布であり、投影レンズ26の第1の瞳面34上のこの角度分布のフーリエ変換物が望ましい局所強度分布に対応する角度分布を投影レンズ26の物体平面30内に有するべきである。物体平面30内にそのような照明角度分布を生成するために、加熱光源HLSの下流に加熱光照明系102が接続される。
【0071】
b)加熱光照明系
加熱光照明系102の基本設計を図6に略子午断面図に示している。加熱光照明系102は、例えば、ミラー配列を含む、又は図6に示すように、散乱レンズと集光レンズとの配列を含むことができるビーム拡大器104を含む。ビーム拡大器104の後部には、規則的な方式で配置されてマトリックスを形成する多数の例えば、101×101個のLCD要素108を含むLCDマトリックス106が配置される。電流を印加することにより、各LCD要素108をLCD要素108が加熱光に対して透過性を有する第1の状態と、LCD要素108が加熱光に対して不透過性を有する第2の状態との間で切り換えることができる。第2の不透過状態にあるLCD要素を図6では黒で配色し、108’で表している。
【0072】
光線伝播の方向に見てLCDマトリックス106の後部には、フライアイレンズ110、この場合、単一のレンズのみに示すコンデンサー112、及び調節可能視野絞り114が配置される。コンデンサー112の前側焦点面は、加熱光照明系102の第1の瞳面116を構成する。
【0073】
コンデンサー112の後焦点面は、視野絞り114が配置される視野平面を形成する。加熱作動中に、視野絞り114は、その後のレンズ118、及び任意的に投影露光装置10の更に別の光学構成要素(この場合ミラー80)を用いて、投影レンズ26の物体平面30上に結像される。
【0074】
第1の瞳面116上の空間強度分布、従って、物体平面30内の照明角度分布は、電気的に作動可能なLCDマトリックス106を用いて幅広い境界内で自在に設定することができる。当然ながら、LCDマトリックス106は、レンズ118内に位置する第2の瞳面120上に配置することができる。更に、LCDマトリックス106の代わりに他の構成要素を使用することができる。特に、VUV照明系における場合と同様に、第1の瞳面116を可変方式で照明することができる交換可能な回折光学要素又はマイクロミラー配列を使用することができる。更に、第1に加熱光を均一化する働きをし、第2にコンデンサー112の後焦点面内で照明される視野領域を設定する働きをするフライアイレンズ110を不要にことができる。
【0075】
c)スイッチングミラー
加熱光源HLSによって生成された加熱光を投影レンズ26内に結合することができるように、図2に示す投影露光装置は、加熱光源HLS及び加熱光照明系102と同様に、示す例示的な実施形態では投影光照明系20に配置されるスイッチングミラー122を有する。図2に示す、投影露光装置10の投影作動中には、スイッチングミラー122は、投影光PLのみがマスク14上に入射して、そこから投影レンズ26に入射することができる第1の位置に配置される。
【0076】
スイッチングミラー122を図2に示す第1の位置から図7に示す第2の位置に移動することができるドライバ124が、スイッチングミラー122に割り当てられる。スイッチングミラー122のこの第2の位置では、加熱光源HLSによって生成され、加熱光照明系102によって調整された加熱光HLが、ミラー80及びマスク14によって反射された後に投影レンズ26に入射することができるように、スイッチングミラー122によって反射される。従って、スイッチングミラー122の第2の位置では、投影光PLではなく加熱光HLのみが投影レンズ26に入射することができる。
【0077】
示す例示的な実施形態では、スイッチングミラー122は、ドライバ124を用いて、図2及び図7の作図面と垂直に延びる回転軸126の回りに回転させることができる。当然ながら、ビーム経路を加熱光源HLSに向けて偏向させる上で、スイッチングミラー122の他の回転移動及び平行移動も実施可能である。スイッチングミラー122を第2の位置に正確に変位させることができるように、第2の位置におけるスイッチングミラー122の回転角を判断する止め具128が設けられる。
【0078】
d)機能
図7に示す、スイッチングミラー122が第2の位置に配置される加熱作動中には、加熱光HLは、第2のミラーM2の面90上で、投影作動中に投影光PLによって照明される領域を少なくとも近似的に補完する領域を照明する。これを図4及び図5に従って加熱作動中の第2のミラーM2を通る子午断面図及び第2のミラーM2の平面図8及び図9に示している。ミラーM2の面90上で加熱光HLによって照明される円形領域130をクロスハッチングに示している。投影作動中に投影光PLによって照明される極P1、P2が、加熱光HLによって加熱されないことを確認することができる。従って、図10に示すように、加熱光HLによって照明される領域130は、投影光PLによって照明される極P1、P2に対して補完的である。それによって投影作動と加熱作動とが交替する比較的長い期間にわたって、第2のミラーM2の基板内に、極P1、P2のみが投影光PLによって照明される場合よりも均一な温度分布がもたらされる。この温度が、第2のミラーM2の基板が殆どゼロと言える程小さい熱膨張係数を有する際の温度に近い場合には、残留温度変化は、基板の形状に対して効果を持たないか、又は僅かな効果のみを有する。
【0079】
e)制御
図7に示すスイッチングミラー122が第2の位置に配置される加熱作動は、例えば、露光済みのウェーハ18が依然として露光されていないウェーハで置換される時間間隔中に実施することができる。負荷サイクルとも呼ぶこれらの時間間隔は、ウェーハが露光される時間間隔と比較して短いので、加熱作動中の熱流入は、時間と共に平均した場合に第2のミラーM2の望ましいより均一な加熱が発生する程度に強くなければならない。従って、加熱光HLの平均波長は、加熱光HLの十分に強い成分が、投影光PLの最大反射に向けて設計されたミラーM1からM6のコーティングによって吸収されるように選択すべきである。
【0080】
多くの場合に、高い加熱パワーは、加熱光HLの平均波長が、投影光PLの平均波長よりも大きい場合に得るのが容易になる。一例として、13.5nmの平均波長を有する投影光PLの場合には、一般的に投影光源PLSのものよりも大きく高い出力パワーを有するエキシマレーザを加熱光源HLSとして使用することができる。図10には、第2のミラーM2上の加熱光HLの高い強度を密なクロスハッチングに示している。
【0081】
スイッチングミラー122をドライバ124を用いて第1の位置と第2の位置との間で十分高速に変位させることができる場合には、2つの連続する走査処理の合間に発生する実質的に短い露光休止時間内の加熱作動も可能である。スイッチがより多くの場合に加熱作動にされる程(短い期間の間でしかなかったとしても)、時間と共に平均した場合に、第2のミラーM2の基板内の温度分布はより均一になる。
【0082】
投影作動と加熱作動の間の変更は、中央制御器88によって制御される。この目的のために、図2及び図7に示すように、中央制御器88は、投影光源PLSだけではなく、加熱光源HLS、加熱光照明系102、及びスイッチングミラー122に対するドライバ124にも信号線を通じて接続される。この工程では、中央制御器88は、投影レンズ26の物体平面30内の加熱光HLの照明角度分布が、制御ユニット86によって視野ファセットミラー72を用いて設定される投影平面30内の投影光PLの照明角度分布に対して少なくとも実質的に補完的であるように、取りわけ、加熱光照明系102内に含まれるLCDマトリックス106を作動させる。従って、一般的に、視野ファセットミラー72のミラーファセット84をアクチュエータ85を用いて調節する段階には、加熱光照明系102内のLCDマトリックス106の補完的な調節が伴う。
【0083】
f)シャッター
ウェーハ18が、依然として投影レンズ26の像平面32内に位置する時に加熱作動を実施することができるように、この例示的な実施形態における投影露光装置10は、投影レンズ26の最後のミラーM6と像平面32の間に配置されたシャッターを有する。示す例示的な実施形態では、シャッターは、投影光PLを通過させるための2つ又はそれよりも多くの開口部134を有する有孔円盤132として具現化される。図2に示す有孔円盤132の回転位置では、投影光PLは、開口部134のうちの1つを通過することができる。
【0084】
加熱作動中には、有孔円盤132は、図7に示す、いずれの開口部も投影レンズ26と像平面32の間の経路を開通させない回転位置に配置される。この回転位置では、加熱光HLは、加熱光源HLSによって生成されたいずれの加熱光HLも、又は加熱光HLのうちの最悪でも0.5%未満しか、感光層26上に入射して(僅かにも関わらず)露光に寄与することができない程完全に有孔円盤132によって吸収される。
【0085】
有孔円盤132を連続的に回転させる結果として、投影作動と加熱作動の間の特に、頻繁な変更を可能にするための高シャッター周波数を得ることができる。
【0086】
3.更に別の例示的な実施形態
図1から図10に基づいて上述した例示的な実施形態では、スイッチングミラー122は、コンデンサーミラー78とミラー80の間の投影光PLのビーム経路に位置する。
【0087】
a)スイッチングミラーの他の配列及び実施形態
図11は、図2に基づいて、投影光照明系20における別の例示的な実施形態の照明を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0088】
この投影光照明系20では、222で表すスイッチングミラーは、偏向ミラー80とマスク14の間の投影光PLのビーム経路に配置される。図11は、スイッチングミラー222が、第2の位置に配置される加熱作動中の照明系220を示している。この第2の位置では、マスク14上での反射の後に投影レンズに入射することができるのは加熱光HLのみであり、投影光PLではない。スイッチングミラー222が、ドライバ124を用いて、矢印に示すように破線に示す第1の位置に回転された場合には、スイッチング要素22は、投影光PLに対して経路を開放し、加熱光HLを遮蔽する。
【0089】
図12及び図13は、投影作動及び加熱作動それぞれにおける更に別の例示的な実施形態による投影光照明系20からの一区画を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0090】
この例示的な実施形態では、322で表すスイッチング要素は、かすめ入射に向けて設計された図2及び図7では80表すミラーによって形成される。図13に示すように、スイッチングミラー322がドライバ324を用いて第2の位置にピボット回転された場合には、マスク14上での反射の後に投影レンズ26に入射することができるのは加熱光HLのみであり、投影光PLではない。上述の例示的な実施形態におけるスイッチング要素122、222は、第1の位置において投影光を反射せず、第2の位置において投影光を反射するのに対して、図12及び図13に示す例示的な実施形態では、この関連は逆である。
【0091】
上述の2つの例示的な実施形態とは対照的に、この場合更に、平面ミラーとして具現化された領域340を有するマスク14が使用される。この平面ミラーは、加熱光HLのうちの少なくとも90%を反射しなければならず、感光層16上に投影することができる投影レンズ26の物体視野のうちの全て又は少なくとも90%を覆うように計寸すべきである。通常この物体視野は、投影作動中に投影光PLによってマスク14上に照明される照明視野24よりも若干大きい。
【0092】
加熱作動中に、マスクホルダ69は、投影作動中に投影されるマスク14が物体視野から取り出され、その代わりに平面ミラー340が物体視野内に導入されるように変位した。図13には、この変位移動をマスクホルダ69の上の矢印によって示している。平面ミラー340を投影レンズ26の物体視野に位置決めする結果として、マスク14によって反射される場合よりも有意に大きい加熱光HLの部分が、投影レンズ26内に一般的に結合される。同時に、マスク14は、加熱作動中に加熱光HLによって不要に加熱されることから保護される。
【0093】
当然ながら、このアクションは、全ての他の例示的な実施形態において同様に使用することができる。
【0094】
図14及び図15は、更に別の例示的な実施形態による投影作動及び加熱作動それぞれの最中の投影光照明系20及び投影レンズ26の一区画を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0095】
この例示的な実施形態では、マスク14自体が、投影光PL又は加熱光HLのいずれかを投影レンズ26に入射させるためのスイッチング要素を形成する。図14に示す投影作動中には、マスク14は、従来通り、投影光照明系20からマスク14上に向けられる投影光PLをこの投影光が投影レンズ26に入射するように反射する。
【0096】
図15に示す加熱作動では、マスク変位台(例示していない)を用いて、いずれの投影光PLも投影レンズ26に入射することができなくなるまで、マスク14が投影レンズ26の物体視野から外れるように変位される。代替的に、マスク14のこの第2の位置では、加熱光源HLSによって生成され、加熱光照明系102によって望ましい照明角度分布が与えられた加熱光HLに対する経路が開通される。この目的のために、示す例示的な実施形態では、加熱光源HLS及び加熱光照明系102は、物体平面30の投影光照明系20と対向する側に配置される。
【0097】
図16及び図17は、投影作動及び投影作動それぞれの最中の図14及び図15に示す配列の変形を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0098】
この変形では、加熱作動(図17)において、加熱光HLが投影レンズ26に入射して、そこに含まれるミラーを望ましい領域において加熱することができるように、加熱光HLを投影レンズ26上に誘導する偏向プリズム140がマスクホルダ69に取り付けられる。従って、マスク14と偏向プリズム140とは、合わせて、投影作動と加熱作動との間で切り換えることができるようにするための偏向要素を形成する。
【0099】
偏向プリズム140を設ける結果として、加熱光源HLS及び加熱光照明系102を利用可能な設置空間のより適切な利用下で配置することができる。
【0100】
b)視野の近くに配置されたミラーの加熱
図2及び図7に示す投影レンズでは、6つのミラーM1からM6のうちのいずれも、視野平面、すなわち、物体平面30、像平面32、又はミラーM4とM5の間の中間像平面の直近には位置しない。しかし、ミラーが、視野平面、正確には特に、中間像平面の直近に位置する反射投影レンズ設計も存在する。それによってマスク14のほぼ集束された像が、視野の近くに配置されたそのようなミラー上に発生する。
【0101】
特定のマスク14では、反射構造が非常に不均一に分布されるので、視野の近くに配置されたミラーの場合には、投影光の吸収の得られる熱流入も同様に非常に不均一である。瞳の近くに配置されたミラーの場合と同様に、その結果として変形が発生する可能性があり、結像品質に対するこの変形の効果は、他の補正アクションに基づいて困難を伴ってしか制御することができない。
【0102】
図18及び図19は、更に別の例示的な実施形態による投影光照明系20及び投影レンズ26の図16及び図17に対応する区画を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0103】
この例示的な実施形態では、投影作動中に結像されるマスク14とは異なる第2のマスク14’が、加熱作動中に加熱光HLによって結像される。マスク14’は、走査処理中に像平面32内に発生する像平面32内のマスク14の像を少なくとも実質的に補完する像を静止結像中に(すなわち、走査方向に沿ったマスク14’の変位移動なしに)生成するように構成される。
【0104】
これを図20及び図21を参照して以下に続く本文で以下に説明する。図20は、投影作動中の全体の走査処理中に像平面32内で発生するマスク14の像136を例示的な方式で例示している。この図では、走査処理を照明視野24の像24’と矢印とに示している。白色のスポット141は、像136上で投影光PLによって照明される領域を表している。投影光が、像平面32上で像視野24’の短い側辺の近くの2つの幅狭領域内にしか入射しないことを確認することができる。一般的に、マスク設計では、回折によって制限を受ける投影レンズ26の有限の分解能のような特定の結像特性が既に算入済みであるので、マスク14上の構造12は、像136内のものとは若干異なって配置される。
【0105】
図22は、略平面図で、視野の近くに配置されたミラーMをミラーM上に破線に示す照明視野24の像24”と共に示している。投影作動中にミラーM上で照明されるのは、像24”の2つの幅狭辺の近くの帯142a、142bのみである。それによってミラーMの非常に不均一な照明、従って、相応に強い温度勾配がもたらされる。それによって上述のように制御することが困難な収差がもたらされる可能性がある。
【0106】
図21は、加熱作動中に有孔円盤132が開放位置にある場合に、マスク14’の静止投影中に像平面32内に発生することになる仮想像138を示している。マスク14’は、その像138が、マスク14の走査積分像136に対して少なくとも近似的に補完的であるように構成される。図23に示すように、ミラーMの面上の領域142が、加熱作動中に加熱光HLによって上記に応答して照明され、照明視野の像24”内のこの領域も、投影作動中にミラーM上で照明される領域142a、142bに対して同様に補完的である。その結果、瞳の近くに配置されたミラーM2を参照して上述したように、時間と共に平均した場合に、温度分布の類似の均一化を提供する。
【0107】
加熱光HLは、投影光PLよりも長い平均波長を有するので、第2のマスク14’は、感光層16上に透過で投影するように作動させることができる。その結果、この例示的な実施形態は、図18及び図19によって示すように、物体平面30の投影光照明系20と対向する側における加熱光源HLS及び加熱光照明系102の配列も可能にする。更に、この例示的な実施形態では、マスク14自体が、投影作動と加熱作動の間の各変更中に変位したスイッチング要素も構成する。
【0108】
当然ながら、他の例示的な実施形態では、加熱光HLによる別のマスク14’の投影を実施することができる。この場合、任意的に、他のマスク14’は、感光層16上に透過ではなく反射で投影すべきである。
【0109】
c)加熱光照明系を省略する
図24は、更に別の例示的な実施形態による投影光照明系20の略子午断面図を示している。均等な部分又は互いに対応する部分を同じ参照符号で表しており、これらに対しては再度説明しない。
【0110】
この例示的な実施形態では、422で表すスイッチングミラーは、投影光源PLSと、投影光照明系20の入力ミラー70の間に配置される。従って、加熱作動中に、加熱光HLは、投影光照明系20内に直接結合され、従って、投影光照明系20を投影作動中の投影光PLと同様に伝播する。
【0111】
瞳の近くに配置されたミラー上の可変調節可能領域を加熱光によって加熱すべきである場合には、一般的に加熱光源HLS内では照明角度分布を修正することができないので、投影露光装置は、加熱光照明系102を含まなければならない。
【0112】
しかし、図24に示す例示的な実施形態では、物体平面30内の望ましい照明角度分布が、実際には投影光PLに対して設けられた投影光照明系20を用いて加熱光HLに印加されるので、独立した加熱光照明系を不要にすることができる。従って、投影作動と加熱作動の間の変更中に、スイッチングミラー422を図24に実線で示す第1の位置から、破線に示す第2の位置に転位させなければならない。加熱光源HLSが点灯される前に、視野ファセットミラー72のミラーファセット84は、瞳ファセットミラー74上の望ましい強度分布、従って、マスク平面30内の望ましい照明角度分布が発生するように、アクチュエータ85を用いて調節される。上述のように、この望ましい強度分布は、特に、投影作動中に投影光照明系20の瞳平面82内に生成される強度分布に対して実質的に補完的である強度分布とすることができる。
【0113】
加熱作動から投影作動への逆の変更の場合には、上述の調節工程が再度解除される。
【0114】
d)フィルタ要素
図25は、6番目のミラーM6と感光層16の間に有孔円盤132の代わりにフィルタ要素150が配置された投影レンズ26の一区画を示している。フィルタ要素150は、投影光PLに対して透過性を有し、加熱光に対しては不透過性を有する。そのようなフィルタは、US 7,372,623 B2に説明されており、この点に関してその開示内容を引用のしている。有孔円盤132と同様に、フィルタ要素150は、加熱作動中にいずれの加熱光HLも感光層16上に入射せず、可能性として上述の位置における露光に寄与しないことを保証する。
【0115】
4.重要な方法段階
以下に続く本文では、マイクロリソグラフィ投影露光装置を作動させるための本発明による方法の重要な段階を図26を参照して要約する。
【0116】
第1の段階S1において投影光源が準備される。
【0117】
第2の段階S2において加熱光源が準備される。
【0118】
第3の段階S3において投影光によってマスクが照明される。
【0119】
第4の段階S4において、反射スイッチング要素が、加熱光ではなく投影光のみが投影レンズに入射することができる第1の位置に配置される場合に、投影レンズを用いてマスクが結像される。
【0120】
第5の段階S5において、このスイッチング要素が、投影光ではなく加熱光のみが投影レンズに入射することができる第2の位置に変位した。
【0121】
第6の段階S6において、加熱光が投影レンズに入射するように、加熱光が投影レンズ上に向けられる。
【0122】
5.本発明の重要な態様
以下に続く形態は、本発明の重要な態様を要約する。
【0123】
1.反射マスク(14)を層(16)上に結像するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、以下を有する。
a)第1の平均波長を有する投影光(PL)を生成するように構成された投影光源(PLS)、
b)投影光源(PLS)とは異なり、第1の平均波長とは異なる第2の平均波長を有する加熱光(HL)を生成するように構成された加熱光源(HLS)、
c)複数の結像ミラー(M1からM6)を有し、マスク(14)を配置することができる物体平面(30)と、層(16)を配置することができる像平面(32)とを有する反射投影レンズ(26)、
d)反射スイッチング要素(122;222;322;422;14;14,140)、
e)スイッチング要素の第1の位置において投影光(PL)のみが投影レンズ(26)に入射することができ、スイッチング要素の第2の位置において加熱光(HL)のみが投影レンズに入射することができる場合に、第1の位置と第2の位置との間でスイッチング要素(122;222;322;422;14;14,140)を変位させるように構成されたドライバ(124)。
【0124】
2.投影露光装置が、スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)が第1の位置に配置される時に、投影光源(PLS)によって生成された投影光(PL)をマスク(14)上に誘導するように構成された反射投影光照明系(20)を含む1に記載の投影露光装置。
【0125】
3.スイッチング要素(422)が、加熱光(HL)が投影レンズ(26)に入射する前に投影光照明系(20)を完全に通過するように、投影光源(PLS)と投影光照明系(20)の間に配置される2に記載の投影露光装置。
【0126】
4.スイッチング要素(322)が、加熱光(HL)が投影レンズ(26)に入射する前に投影光照明系(20)を部分的に通過するように、投影光源(PLS)と投影光照明系(20)の間に配置される2に記載の投影露光装置。
【0127】
5.投影光照明系が複数の照明ミラー(70,72,74,76,78,80)を含み、スイッチング要素(322)が照明ミラーのうちの1つである4に記載の投影露光装置。
【0128】
6.スイッチング要素(222;322;14;14,140)が、加熱光(HL)が先に投影光照明系(20)を通過せずに投影レンズ(26)に入射するように、照明系(20)と投影レンズ(26)の間に配置される2に記載の投影露光装置。
【0129】
7.スイッチング要素がマスク(14)であり、マスク(14)が、第2の位置において、加熱光(HL)がマスク(14)上での反射なしに投影レンズ(26)に直接入射するように配置される6に記載の投影露光装置。
【0130】
8.スイッチング要素が、マスク(14)と偏向要素(140)とで形成され、マスク(14)及び偏向要素(140)が、第2の位置において、加熱光(HL)がマスク(14)上での反射なしに偏向要素(140)上での反射の後に投影レンズ(26)に入射するように配置される6に記載の投影露光装置。
【0131】
9.投影露光装置(10)が、加熱光(HL)が投影レンズ(26)の物体平面(30)内に有する照明角度分布を変更するように構成された調節デバイス(106)を有する加熱光照明系(20)を含む4から8のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【0132】
10.投影露光装置が、投影光源(PLS)と加熱光源(HLS)とスイッチング要素(122;222;322;14;14,140)とを制御する制御ユニット(88)を有する1から9のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【0133】
11.制御ユニット(88)が、層(16)を担持する基板(18)が別の基板で置換されている時間間隔中にしか加熱光(HL)が投影レンズ(26)に入射することができないように、投影光源(PLS)と加熱光源(HLS)とスイッチング要素(122;222;322;14;14,140)とを制御する10に記載の投影露光装置。
【0134】
12.制御ユニット(88)が、加熱光(HL)が結像ミラー(M1からM6)上で先行する投影作動中にいずれの投影光(PL)も入射しなかった領域(130;142)上にしか入射しないように、投影光源(PLS)と加熱光源(HLS)とスイッチング要素(122;222;322;14;14,140)とを制御する10又は11に記載の投影露光装置。
【0135】
13.投影レンズ(26)内、又は投影レンズ(26)と層(16)の間に閉鎖位置において加熱光(HL)をいずれの加熱光(HL)も層(16)上に入射することができない程完全に吸収又は反射するシャッター(132)が配置される1から12のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【0136】
14.投影レンズ(26)内、又は投影レンズ(26)と層(16)の間に投影光(PL)に対して透過性を有し、加熱光(HL)に対して不透過性を有するフィルタ要素(150)が配置される1から13のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【0137】
15.第2の平均波長が第1の平均波長よりも大きい1から14のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【0138】
16.第1の平均波長が50nmよりも小さく、第2の平均波長が150nmよりも大きい15に記載の投影露光装置。
【0139】
17.第1の平均波長が20nmよりも小さく、第2の平均波長が200nmよりも大きい16に記載の投影露光装置。
【0140】
18.a)投影光(PL)を生成するように構成された投影光源(PLS)を準備する段階と、b)投影光源(PLS)とは異なり、投影光(PL)とは異なる加熱光(HL)を生成するように構成された加熱光源(HLS)を準備する段階と、c)投影光(PL)でマスク(14)を照明する段階と、d)反射スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)が、加熱光(HL)ではなく投影光(PL)のみが投影レンズ(26)に入射することができる第1の位置に配置される場合に、反射投影レンズ(26)を用いてマスク(14)を層(16)上に結像する段階と、e)スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)を投影光(PL)ではなく加熱光(HL)のみが投影レンズ(26)に入射することができる第2の位置に変位させる段階と、f)加熱光(HL)が投影レンズ(26)に入射するように加熱光(HL)を投影レンズ(26)上に誘導する段階とを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置を作動させる方法。
【0141】
19.加熱光(HL)が、層(16)を担持する基板(18)が別の基板(18)で置換されている時間間隔中に投影レンズ(26)に入射する18に記載の方法。
【0142】
20.マスク(14)が、段階d)の間の走査処理内に変位し、加熱光(HL)は、2つの連続する走査処理の合間に投影レンズ(16)に入射する18又は19に記載の方法。
【0143】
21.加熱光(HL)が、結像ミラー(M1からM6)上で、段階d)中にいずれの投影光(PL)も入射しなかった領域(130;142)にのみ入射する18から20のいずれか1項に記載の方法。
【0144】
22.投影レンズ(26)の物体平面(30)内の加熱光(HL)の照明角度分布が、投影レンズ(26)の物体平面(30)内の投影光(PL)の照明角度分布に適応される18から21のいずれか1項に記載の方法。
【0145】
23.投影レンズ(26)の物体平面(30)内の加熱光(HL)の照明角度分布が、投影レンズ(26)の物体平面(30)内の投影光(PL)の照明角度分布に対して少なくとも実質的に補完的であるように適応される22に記載の方法。
【0146】
24.段階f)中に、段階d)中に結像されるマスク(14)とは異なる第2のマスク(14’)が結像される18から23のいずれか1項に記載の方法。
【0147】
25.第2のマスクが、少なくとも90%が加熱光(HL)のうちの少なくとも90%を反射する区域を有する領域(340)を有し、領域(340)が、層上に投影することができる投影レンズ(26)の物体視野全域を覆う24に記載の方法。
【0148】
26.スイッチング要素(322;14;)が、第1の位置において投影光(PL)を反射し、第2の位置において投影光(PL)を反射しない18から25のいずれか1項に記載の方法。
【0149】
27.スイッチング要素(122;222)が、第1の位置において投影光(PL)を反射せず、第2の位置において投影光(PL)を反射する18から25のいずれか1項に記載の方法。
【0150】
28.加熱光(HL)が、投影レンズ(26)の最後の結像ミラー(M6)の像側にも入射するように投影レンズ(26)上に向けられる18から27のいずれか1項に記載の方法。
【0151】
29.フィルタ要素(150)又はシャッター(132)の使用により、加熱光(HL)が層(16)上に入射することが防止される18から28のいずれか1項に記載の方法。
【0152】
30.加熱光(HL)が、シャッター(132)によって加熱光(HL)が層(16)上に入射することが防止される時にのみ投影レンズ(26)上に向けられる29に記載の方法。
【符号の説明】
【0153】
14 反射スイッチング要素
26 反射投影レンズ
124 ドライバ
PLS 投影光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射マスク(14)を層(16)上に結像するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、
a)第1の平均波長を有する投影光(PL)を生成するように構成された投影光源(PLS)と、
b)前記投影光源(PLS)とは異なり、かつ前記第1の平均波長とは異なる第2の平均波長を有する加熱光(HL)を生成するように構成された加熱光源(HLS)と、
c)複数の結像ミラー(M1からM6)を有し、前記マスク(14)を配置することができる物体平面(30)と、前記層(16)を配置することができる像平面(32)とを有する反射投影レンズ(26)と、
d)反射スイッチング要素(122;222;322;422;14;14,140)と、
e)前記スイッチング要素の第1の位置において前記投影光(PL)のみが前記投影レンズ(26)に入射することができ、かつ該スイッチング要素の第2の位置において前記加熱光(HL)のみが該投影レンズに入射することができる該第1の位置と該第2の位置の間で該スイッチング要素(122;222;322;422;14;14,140)を変位させるように構成されたドライバ(124)と、
を含むことを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
投影露光装置(10)が、前記加熱光(HL)が前記投影レンズ(26)の前記物体平面(30)内に有する照明角度分布を変更するように構成された調節デバイス(106)を有する加熱光照明系(20)を含むことを特徴とする請求項1に記載の投影露光装置。
【請求項3】
前記投影光源(PLS)と前記加熱光源(HLS)と前記スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)とを制御する制御ユニット(88)を有し、
前記制御ユニット(88)は、前記層(16)を担持する基板(18)が別の基板で置換されている時間間隔中に加熱光(HL)のみが前記投影レンズ(26)に入射するように、前記投影光源(PLS)と前記加熱光源(HLS)と前記スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)とを制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の投影露光装置。
【請求項4】
シャッター(132)が、前記投影レンズ(26)に又は該投影レンズ(26)と前記層(16)の間に配置され、このシャッターは、閉鎖位置において前記加熱光(HL)を前記加熱光源によって発生した該加熱光(HL)の5%未満しか該層(16)上に入射することができない程完全に吸収又は反射することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項5】
フィルタ要素(150)が、前記投影レンズ(26)に又は該投影レンズ(26)と前記層(16)の間に配置され、このフィルタ要素は、前記投影光(PL)に対して透過性を有し、かつ前記加熱光(HL)に対して不透過性を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項6】
マイクロリソグラフィ投影露光装置を作動させる方法であって、
a)投影光(PL)を生成するように構成された投影光源(PLS)を準備する段階と、
b)前記投影光源(PLS)とは異なり、かつ前記投影光(PL)とは異なる加熱光(HL)を生成するように構成された加熱光源(HLS)を準備する段階と、
c)前記投影光(PL)でマスク(14)を照明する段階と、
d)反射スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)が、前記加熱光(HL)ではなく前記投影光(PL)のみが投影レンズ(26)に入射することができる第1の位置に配置される複数の結像ミラー(M1からM6)を収容する該反射投影レンズ(26)を用いて前記マスク(14)を層(16)上に結像する段階と、
e)前記スイッチング要素(122;222;322;14;14,140)を前記投影光(PL)ではなく前記加熱光(HL)のみが前記投影レンズ(26)に入射することができる第2の位置に変位させる段階と、
f)前記加熱光(HL)を前記投影レンズ(26)上に該加熱光(HL)が該投影レンズ(26)に入射するように向ける段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記加熱光(HL)は、前記層(16)を担持する基板(18)が別の基板(18)で置換されている時間間隔中に前記投影レンズ(26)に入射することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスク(14)は、段階d)中の走査処理内で変位され、
前記加熱光(HL)は、2つの連続する走査処理の合間に前記投影レンズ(16)に入射する、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱光(HL)は、段階d)中に投影光(PL)が入射しなかった前記結像ミラー(M1からM6)上の領域(130;142)にのみ入射することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記投影レンズ(26)の前記物体平面(30)内の前記加熱光(HL)の照明角度分布が、該投影レンズ(26)の該物体平面(30)内の前記投影光(PL)の照明角度分布に適応されることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記投影レンズ(26)の前記物体平面(30)内の前記加熱光(HL)の前記照明角度分布は、それが該投影レンズ(26)の該物体平面(30)内の前記投影光(PL)の前記照明角度分布に対して少なくとも実質的に補完的であるように適応されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
段階d)中に結像される前記マスク(14)とは異なる第2のマスク(14’)が、段階f)中に結像されることを特徴とする請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のマスクは、その少なくとも90%が前記加熱光(HL)の少なくとも90%を反射する区域を有する領域(340)を有し、
前記領域(340)は、前記層上に投影することができる前記投影レンズ(26)の物体視野全域を覆う、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱光(HL)は、それが像側の前記投影レンズ(26)の最後の結像ミラー(M6)にも入射するように該投影レンズ(26)上に向けられることを特徴とする請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−65857(P2013−65857A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−221683(P2012−221683)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】