説明

マイクロ電子システムを内部に埋め込んだ三次元接着デバイス

【課題】哺乳動物の表面、好ましくは、皮膚に貼り付けし得る、三次元接着デバイスに埋め込まれた侵襲型及び非侵襲型のマイクロ電子システムを提供する。
【解決手段】上面と下面を有する感圧接着剤から作られた三次元接着体、感圧接着剤の本体に埋め込まれたマイクロ電子システム、上面に貼り付けられた1つ以上のカバー層、及び、接着デバイスの下面に引き剥がし可能な形で貼り付けられた任意のリリースライナを特徴とするマイクロ電子システムを包含する、哺乳動物の体表面に貼り付けすべき三次元接着デバイスに関する。好ましくは、マイクロ電子システムは、圧力、振動、音、電気活性(例えば筋肉活性からの)、張力、血流、水分、温度、酵素活性、細菌、pH、血糖、導電率、抵抗、キャパシタンス、インダクタンスなどの物理的入力、又は他の化学的、生化学的、生物学的、機械的又は電気的な特性の入力を感知できるマイクロ電子感知システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れて生理学的状態又は神経学状態を監視するためのマイクロ電子システムに関する。詳記するならば、本発明は、哺乳動物の表面、好ましくは、皮膚に貼り付けし得る、三次元接着デバイスに埋め込まれた侵襲型及び非侵襲型のマイクロ電子システムに関する。このマイクロ電子システムは、好ましくは、ワイヤレス通信を利用し、ECG(心電図検査)、EMG(筋電図検査)、EEG(脳電図検査)、血液グルコース、脈拍、血圧、pH及び酸素の測定に有用である。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤を使って感知システムを皮膚に貼り付ける方法は十分に確立されている。そこで、AMBU A/S社(デンマーク)は、発泡接着剤、マイクロ多孔質接着剤又はハイドロゲル接着剤により皮膚に貼り付けられる多数のECG測定用製品を有する。これらのセンサは、一般にモニタリング装置にワイヤで接続される。
【0003】
WO特許第03/065926号(WO03/065926A2)では、Ozgus他が、フレキシブルな薄型集積回路を使用したウェアラブル・バイオモニタを開示している。同特許出願は、皮膚への定着のために薄層接着剤又は接着パッドを使用することにより快適な装着を実現させる方途を目指している。しかしながら、使用される接着剤は毛穴を塞いでしまう。同出願は更に、回路を包含するシリコン薄板を有するワイヤレスデータ収集用センサモジュールと、このセンサモジュールに積層として組み込まれたフレキシブル電源について述べている。
【0004】
米国特許5054488号(US5054488)では、Mus他が、生理学的状態を表す電気信号を発生させるための光学電子センサについて述べている。このセンサは、ポリエステルライニング表面の両面感圧接着剤により身体に貼り付けられる。
【0005】
米国特許5458124号(US5458124)では、Stanko他が、両面感圧接着剤により身体に貼り付けられる心電図検査用電極について述べている。
【0006】
米国特許6372951号(US6372951)では、Ter−Ovanesyan他が、接着パッチにより着用者に貼り付けられた使い捨て品に作用上接続されたセンサを開示している。身体接着剤については多種多様な組成物が使用可能である。
【0007】
米国特許6385473号(US6385473)では、Haines他が、ハイドロコロイド接着剤のストリップ2枚を使って哺乳動物の身体に貼り付けられたラミネート型センサデバイスを開示している。ラミネート構造は、ハイドロコロイド接着剤と接触するハイドロゲルも含む。このデバイスの寿命は24時間とされている。
【0008】
WO特許第99/59465号(WO99/59465)では、Feierbach他が、患者の生理学的状態を監視する装置を開示している。この装置は、遠位側で患者に定着させられるパッチを含む。この装置はまた、前記パッチと結合し得る電子品ハウジングを含んでよい。一実施例では、この装置の表面が身体の一部分の輪郭に合わせて予備成形してあってもよい。電子品ハウジングを付けたパッチは、柔軟で、天然の触感を有してよく、ラテックス、シリコン又は別のゴム引き布から作られてもよい。電子品ハウジングを付けたパッチの上面は、同特許の図2B及び図8に描かれた通りの滑らかな凸面であってよい。パッチは、接着剤により患者の皮膚に結合させられる。このような接着剤は、3Mにより製造された皮膚保護作用のあるハイドロコロイド接着剤であってよい。そこで、同特許出願は、身体の輪郭にフィットすべく任意に予備成形された形の滑らかで柔軟な裏当てを持つセンサの定着のためにハイドロコロイド接着剤ライナを使用することを教示している。
【0009】
米国出願第2003/0009097号(US2003/0009097A1)では、Sheraton他が、皮膚と接触する導電性のハイドロゲル中心部分と、センサの接着のためにその中心部分を包囲するハイドロコロイド接着剤部分を有し、その組み合わされた円板の表面にワイヤに接続された導電性端子を付けたセンサを開示している。この構成は、更に、接着剤の終端と外縁に接着されたラミネートフィルム層により保護される。同特許出願は、このセンサを皮膚に定着させるためにハイドロコロイド接着剤を使用することを教示し、それが極めて薄いフレキシブルな電極を作る点を強調している。同特許出願は、ハイドロコロイド接着剤とハイドロゲルの使用を組み合わせる点で特異である。実用上のいかなる目的にとっても、開示された構成は、ハイドロゲルからの水分がハイドロコロイド接着剤に入り込み、時間の経過と共にこれを分解してしまうので、無用であろう。
【0010】
生理学的状態を監視するための装置における最近の開発は、ワイヤレスタイプである。生理学的状態を侵襲的又は非侵襲的に監視でき、基準状態と比較できること以外に、ワイヤレスタイプの装置は、データを処理し、それをポータブルデバイスに伝送することが可能である。事実、この装着可能な装置は、例えば発光信号、音響信号又は別の警報信号の使用により、アラームそのものとしても機能し得る。
【0011】
人体の生理学的状態又は神経学的状態を監視するとき重要であるのは、装着されるマイクロ電子システムが可能な限り快適に着用できることで、特に、装置を身体に付ける者が寝たきりでなく、スポーツ又はスポーツ医学において正常な身体活動を、又は、過度の身体活動さえ示すとき、それは重要である。使用者は、できれば、マイクロ電子システムを装着していると感じないのが望ましく、できれば、モニタリングに気付かないままであるのが望ましい。しかしながら、この点で、従来公知のマイクロ電子システムは、下で述べる通りの幾つかの重大な欠点を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
毛穴を塞ぐ感圧接着剤による皮膚への貼り付けは、発汗の阻害により、また、例えばアクリル系接着剤など感圧接着剤ポリマー系からのモノマーのような刺激物質により皮膚刺激につながるケースが多い。刺激は、掻痒や紅斑の形のこともあり、特に、接着デバイスが長時間貼り付けられていると大きく広がることもある。毛穴を塞ぐことは、また、接着剤組成に対するアレルギーを生じさせる危険を増大させることもあり得る。毛穴を塞ぐことの悪影響を解消するためにしばしば使われる方法のひとつが、マイクロ多孔質テープの使用であるが、このようなテープは本質的に二次元で薄く、マイクロ電子システムを衣服などとの摩擦による剪断力から守らない。
【0013】
上の参照文献では、デバイスは、その剛性又は衣服との摩擦のゆえに患者、すなわち、デバイスを身体に付ける者を不快にする上、不意に皮膚から外れてしまう危険を増大させる嵩張る部分として、マイクロ電子システムを付けた薄層の平面状の接着剤によって皮膚に貼り付けられる。このようなデバイスを長時間使用しなければならないときは、嵩張るデバイスを身体に付ける不便さ、又は、皮膚刺激による不快さを、どんな種類のものであれ、減らすことが重要である。その上、接着デバイスを慎重に外すまで皮膚に定着した状態に保つことが、信号検出のために重要である。
【0014】
デバイスを正しく接着するためには、平面状の接着剤が本当に薄い層であることが要求される。しかしながら、本当に薄い層であれば、縁が衣服又は肌着に付着する傾向を見せ、また、そうなることにより、丸まったり剥がれたりする傾向が生じる。
【0015】
多くのセンサがモニタリングシステムにワイヤで接続される。このようなシステムの欠点は、ワイヤが体表面でセンサに貼り付けられ、モニタリングシステムに接続されるので、患者が移動する自由を有さないことである。患者は、移動しようとするたびに、センサに貼り付けられたワイヤを外さないように注意しなければならず、更に、モニタリングシステムを手に取り、持ち運ばなければならない。
【0016】
上で挙げた参考文献のどれも、任意にハイドロコロイドを含有する熱可塑性感圧接着剤及び/又は化学的に硬化する感圧接着剤を成型又は鋳造により、本発明に係るマイクロ電子システムを内部に埋め込んだ三次元接着体に成形した身体センサ装置について述べていない。
【0017】
上で挙げた欠点の幾つかを克服する従来公知のセンサは、該装置の接着部分が本発明の接着デバイスほど単純でなく、製造コストも低くない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るマイクロ電子システムを内部に埋め込んだ三次元接着デバイスは、比較的容易に生産でき、カバー層と任意の引き剥がし層以外、他のいかなる層も必要とせず、それゆえ商業的に魅力である。
【0019】
マイクロ電子コンポーネントを埋め込むことで、機械的損傷に対しても周囲環境からの水分の侵入に対してもより良い保護が達成される。
【0020】
その上、今日多くのタイプのエレクトロニクスが相異なる表面に一時的に貼り付けられる。特に医療介護の分野では、プローブやセンサなど相異なる種類の医療用デバイスが、例えば患者からの相異なる生物医学的信号を検出するために、又は患者からのサンプルを検索するために、皮膚の相異なる部位に貼り付けられる。これらの医療用デバイスは、疾患が診断されるまで、又は患者の健康が改善されるまでの限られた時間、貼り付けられるだけというケースが多い。しかしながら、中には、例えば患者の睡眠中に周期的モニタリングを必要とする慢性疾患が幾つかあり、また、昼夜一定のモニタリングが望まれるケースも幾つかある。患者の皮膚に貼り付けられる医療用デバイスは、多くの種類の信号を検出するのに使用してよく、それは例えば、筋電図検査(EMG)信号、心電図検査(ECG)信号、脳電図検査(EEG)信号など1つ以上の信号を検出するセンサということもあり得よう。
【0021】
このような医療用デバイスは、少なくとも3つの一般的エレメントに分解してよい。すなわち、所望の値(例えば生体信号)を測定するマイクロ電子エレメント、このマイクロ電子エレメントを表面に貼り付けるための接着剤、そして、マイクロ電子回路の少なくとも一部に電力を供給する電源である。
【0022】
これらのエレメントはその種類ごとに寿命が異なるが、典型的に分離不可能な1つのユニットに組立てられているので、使用後に全部処分される。それでも、エレメントを個別に見れば、各々が異なる寿命を有すると理解してよい。接着エレメントは典型的に1回限り使用のエレメントである。電源は、用途及び電池のサイズに応じて何回か再使用してよいケースが幾つかある。ところが、マイクロ電子エレメントは多数回再使用してよく、従って、これは、1回使用しただけで処分するのは勿体ない高価なエレメントということになる。
【0023】
従って、医療用デバイスのコスト効果を改善するためには、使用後もなお使えるエレメントを再使用できるようにすることが必要である。
【0024】
米国特許第2002/0180605号(US2002/0180605)は、生理学的特徴を監視する方法を開示している。開示された方法は、センサモジュールから受信モジュールにデータが伝送された後、センサモジュールから接着パッドを取り去り、センサモジュールを滅菌のためにオートクレーブで加熱する後続工程を含むことができる。
【0025】
よって、本発明は、
(a)上面と下面を有する感圧接着剤から作られた三次元接着体、
(b)前記感圧接着剤の本体に埋め込まれたマイクロ電子システム、
(c)前記上面に貼り付けられた1つ以上のカバー層、及び、
(d)前記接着デバイスの下面に引き剥がし可能な形で貼り付けられた任意のリリースライナ
を特徴とするマイクロ電子システムを包含する三次元接着デバイスに関する。
【0026】
好ましくは、マイクロ電子システムはマイクロ電子感知システムである。マイクロ電子感知システムは、好ましくは、圧力、振動、音、電気活性(例えば筋肉活性からの)、張力、血流、水分、温度、酵素活性、細菌、pH、血糖、導電率、抵抗、キャパシタンス、インダクタンスなどの物理的入力、又は他の化学的、生化学的、生物学的、機械的又は電気的な入力を感知できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る接着デバイスの代表的な形状の断面図である。CTはデバイスの最大厚、PTはデバイスの周囲部分の厚みである。
【図2】三次元(3D)接着デバイスに埋め込まれた/統合されたマイクロ電子システムを示す。ズームボックスは、図3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12に描かれた接着デバイスの各部分を示す。
【図3】接着体内部に完全に統合されたマイクロ電子システム(斜線ボックス)を示す。
【図4】部分々々の間に相応の機械結合又は電気結合が存在すれば、マイクロ電子感知システムの各部分を接着デバイス内部の異なる場所で位置決めしてよいことを示す。
【図5】接着体の凹部の中に施着されたマイクロ電子システムを示す。凹部は、皮膚定着部位に対して遠位側にある。マイクロ電子システムは、任意に交換可能又は再使用可能であってよい。
【図6】上部分が交換可能又は再使用可能であってよく、下部分が永久に接着体に統合されているマイクロ電子システムを示す。
【図7】部分々々の間に相応の機械結合又は電気結合が存在すれば、マイクロ電子システムの各部分が接着デバイス内部の異なる場所に配置されてもよいことを示す。
【図8】接着体の接着側の凹部に埋め込まれた/凹部の中に施着されたマイクロ電子システムを示す。
【図9】下部分が交換可能又は再使用可能であってよく、上部分が永久に接着体に統合されているマイクロ電子システムを付けたデバイスを示す。
【図10】生産中の接着体の内部に統合された幾つかのコンポーネント(小さい斜線ボックス)と、後から加えられ、それで必要な機械/電気結合を確立する幾つかのコンポーネントを備えたシステムを示す。
【図11】接着体の遠位側と皮膚定着側の両方から施着でき、接近できる、接着体に埋め込まれたマイクロ電子システムを示す。
【図12】2つの部分から組み立てられ、その一方、又は両方が交換可能又は再使用可能であってよいマイクロ電子システムを示す。 本発明の前記構成のすべてにおいて、上面は、該上面にマイクロ電子システムのコンポーネントが存在するか否かに関係なく滑らかなままである。これは、マイクロ電子コンポーネントの相応の構成、カプセル化などによって達成し得る。 図8、9、10、11及び11に示した構成は、例えば皮膚接触を持つのが望ましい電極などのエレメントを含むマイクロ電子システムにとって特に好適である。
【図13】アンテナ、中央処理装置、電池及び電極が1つの接着デバイスに埋め込まれた本発明の一実施例で、A−Aでの横断面を見せるデバイスの二次元形状を示す。
【図14】接着デバイスの外側部分に置かれ、マイクロ電子システムの中心部に接続されたアンテナの位置を示す。
【図15】図13のA−Aに沿った横断面の第3次元を示す。
【図16】接着デバイスに埋め込まれた状態のアンテナの構成の詳細で、デバイスの縁からの円Bを拡大して示す。
【図17】電池、CPU、及び、接着デバイスを突き出る電極を付けたマイクロ電子システム1の中心部の位置を示し、中心の円Cを拡大して示す。
【図18】接着デバイスを三次元モードで示す。
【図19】本発明に係るセンサアセンブリの一実施例の分解斜視図である。
【図20】センサアセンブリを組み立てたときの図19の線XX−XXに沿った断面図である。
【図21】センサアセンブリの一実施例の底面図である。
【図22a】本発明に係るデバイスの別の実施例を示す。
【図22b】図22aに示したデバイスの一部分の拡大図である。
【図23】本発明に係るデバイスの更に別の実施例の斜視図である。
【図24】図23に示した本発明に係るデバイスの実施例の、図23の線XXIV−XXIVに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、感圧接着剤から作られた接着体に埋め込まれたマイクロ電子システムを有する接着デバイスに関する。
【0029】
以下において、例えば接着体又は接着デバイスなどのエレメントを定義するときに使用される用語“三次元”は、横断面で見たときにかなり変化する輪郭を持つエレメントを指す。よって、例えば三次元接着体は、最大厚と最小厚を有するということになる。本発明によれば、最大厚は、最小厚の少なくとも2倍の厚みである。好ましい実施例では、接着デバイスの外縁又は周縁の厚みは、センサの最も厚い部分、通常は中心部の厚みの半分より小さい。
【0030】
用語“三次元”と対照的に、エレメントを定義するときに使用される用語“二次元”は、略平らな表面を持つエレメントを指す。よって、二次元接着体の最大厚は同接着体の最小厚の2倍より小さい。
【0031】
マイクロ電子システム又はそのコンポーネントに関連してここで使用される通り、用語“埋め込まれた”は、接着体の感圧接着剤がマイクロ電子システムのコンポーネントの全部又は一部を部分的又は完全に包囲していることを意味する。よって、用語“埋め込まれた”は、システム又はコンポーネントの全面が接着体の接着剤で覆われている状況をカバーし、また、埋め込まれた物品の全面が接着体の接着剤で覆われているわけではないケース、例えば、当該物品が接着体の凹部又は内空部の中に置かれ、外側から接近できるようになっているケースもカバーする。
【0032】
“埋め込まれた”は、マイクロ電子システムを接着体の中に位置決めする方法の説明のために使用された一般用語であるので、用語“統合された(integrated)”は、マイクロ電子システム又はその特定のコンポーネントが全面、接着剤で覆われていることを意味し、用語“施着された(applied)”は、マイクロ電子システムの一部分が覆われているだけであるときに使用される。
【0033】
“埋め込まれた”及び“全面覆われた”は、統合されたコンポーネントが、例えば電気的な方法又は他の方法で、接着体に埋め込まれた別のコンポーネントに接続されている状況もカバーする。
【0034】
ここで使用される通り、マイクロ電子“感知”システムは、生理学的状態又は神経学状態を検出できるエレメントを有するトランスデューサを包含するマイクロ電子システムを意味する。
【0035】
ここで使用される通り、用語“貫通穴”は、接着体の上面に開口部を有し、接着体の下面に開口部を有する接着体を通る穴を意味する。好ましくは、この貫通穴は、接着体の上面に1つの開口部を有し、接着体の下面に1つの開口部を有する。この貫通穴は、適当などんな形状を有しもよい。
【0036】
接着デバイスの“厚み”は、上面上の特定の1点と下面上の1点の間で引くことのできる最短の直線の長さ、又は、下面上の特定の1点と上面上の1点の間で引くことのできる最短の直線の長さを意味する。
【0037】
本発明の目的のために、表現“皮膚”は動物の外表面を指定するのに使用される。
【0038】
上で述べた通り、意外にも、従来公知のセンサデバイスの問題は、マイクロ電子部品が三次元形状の感圧接着体に埋め込まれたワイヤレスマイクロ電子システムにより解決されることが判明した。
【0039】
三次元感圧接着剤の特性により、マイクロ電子システムの最適の保護が得られる。この接着剤は皮膚表面に対してシール効果を提供し、接着デバイスは、その頂面のポリマーカバー層により外部液体から守られる。その上、この接着剤は、埋め込まれたマイクロ電子部品を機械的損傷から守る。
【0040】
本発明に係る接着体は、その中心部から周縁に向かって変化する厚みを持ち、接着体の中に、好ましくは接着体の最も厚い箇所にマイクロ電子システムを埋め込んだ三次元形状の感圧接着剤から作られる。
【0041】
このような形状、好ましくは面取りされた縁を持つデバイスは、皮膚との間に滑らかな境界面をもたらす。この接着デバイスは、穏やかな感じを与え、衣服又は肌着に摩擦を与える傾向を持たない。この接着デバイスが特に有利であるのは、縁部の嵩張りや剥がれにより不意に簡単に脱落してしまうケースがほとんど無いことである。これは、デバイスの本来の機能にとって極めて重要である。
【0042】
その上、この接着デバイスの構成は単純で、接着体が、デバイスを皮膚に定着させるための手段と、マイクロ電子システムを保護するための手段と、デバイスを便利な形状に成形するための手段として3つの機能を有するので、便利である。構造上、この三次元形状のデバイスの組み立てに少しのコンポーネントと少しのプロセス工程しか必要とせず、従って、それだけ製造コストが低く、製造が容易である。
【0043】
本発明の一実施例によれば、三次元接着体は、哺乳動物の体表面に付着するようにされた略平らな下面と滑らかな上面を有する。接着デバイスは、好ましくは、接着体の中心部で最も厚く、接着体の周縁で最も薄い。
【0044】
好ましくは、上面は滑らかな凸面であるが、基本的にどんな形であってもよい。
【0045】
この接着デバイスの外縁又は周縁は、センサの最も厚い部分、通常は中心部の厚みの半分より小さい厚みに成形されなければならない。
【0046】
そのため、本発明の更なる実施例では、接着デバイスの周囲の厚みがその最も厚い箇所の厚みの50%より小さく、好ましくは、周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの25%より小さく、好ましくは、周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの10%より小さく、最も好ましくは、周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの5%より小さい。
【0047】
接着デバイスの周囲の厚みは、代表的に0.4mm未満である。一実施例では、その厚みが0.01mmから0.4mmまでの間であってよい。好ましくは、接着デバイスの周囲の厚みが0.05mm超、好ましくは0.05mmから0.4mmまでの間である。
【0048】
代表的に、接着デバイスの厚みは0.5mmから15mmまでの間、より好ましくは1mmから5mmまでの間で、ここで、その最も厚い箇所が接着体の中心部である必要はない。
【0049】
好ましくは、接着デバイスの下面と、下面周囲のどこか1点と接着体の最も厚い箇所における上面の1点から引かれた直線の間の角度は60度未満、好ましくは45度未満、最も好ましくは30度未満である。
【0050】
接着体の外縁は、好ましくは、垂れ下がりや出っ張りがあってもなくてもよいが、円形又は楕円形であってよく、又は、できる限り便利かつ安全なデバイスを得るために矩形又は三角形であってもよい。
【0051】
通常、接着体の外縁は接着体の接着剤からなる。しかしながら、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントが外縁の中又は外縁に沿って配置され、これにより、外縁が単に接着体の接着剤からなるだけではない形態もあり得る。
【0052】
三次元接着体を作り上げる感圧接着剤は、好ましくは、身体が動いている最中でも接着デバイスの接着性を保持しながら該接着デバイスを身体部分に柔軟に合わせることを可能にする成型可能な熱可塑剤又は化学的に硬化する感圧接着剤である。
【0053】
好ましくは、接着体を作り上げる感圧接着剤は、例えばスチレン・ブロック共重合体や水素化スチレン・ブロック共重合体、アモルファス・ポリ・アルファ・オレフィン(APAO)、ポリアクリル樹脂、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、酢酸ポリエチレンビニル、シリコーンなどのブロック共重合体から、又は、ハイドロゲル感圧接着剤のグループから選択された重合体をベースにした接着剤である。
【0054】
これらの重合体をベースにした感圧接着剤はすでに知られており、当業者であれば、これらの重合体をベースにして接着剤を調製する方法を知っている。
【0055】
スチレン・ブロック共重合体や水素化スチレン・ブロック共重合体などのブロック共重合体は、好ましくは、スチレン/エチレン・ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、及び、スチレン/エチレン・プロピレン/スチレン(SEPS)の中から選択してよい。
【0056】
接着剤はまた、PDMS(ポリジメチルシロキサン)をベースにしてもよく、好ましくはPDMSゲルであってよい。
【0057】
ハイドロゲル接着剤はまた、両親媒性共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、天然ゴム及びセルロース誘導体又はこれらの組み合わせをベースにしてもよく、これらを包含してもよい。
【0058】
感圧接着剤は、Donatas Satas著ハンドブック“Handbook of pressure sensitive adhesive technology, Third edition”において開示された原理に従い、同書の中に列挙された重合体をベースにして調合してよい。
【0059】
本発明の特別な一実施例では、接着体を作り上げる感圧接着剤はハイドロコロイドを包含する。このハイドロコロイドを包含する感圧接着剤は、上で挙げた種類の感圧接着剤のいずれか、又は、当該技術において知られた他の感圧接着剤のいずれかであってよい。
【0060】
そこで、米国特許3339549号(US3339549)は、ポリイソブチレンなどのゴム弾性エラストマーと、ペクチン、ゼラチン及びカルボキシメチルセルロースの混合粉末などの1つ以上の水性又は水膨潤性のハイドロコロイドとの混合物を開示している。この接着剤マスは、一表面に施着された水不溶性フィルムを有する。この種の組成物は、E.R.Squibb & Sons Inc.から商標名“Stomahesive”で市販されており、小孔周囲のスキンバリヤとして、小孔から放出された腐食性液による破壊から皮膚を守るのに使用される。
【0061】
この種の接着剤組成物では、ポリイソブチレンが接着性を提供し、分散したハイドロコロイド粉末が液を吸収し、接着剤を湿った皮膚にも付着できるようにする(ウェットタック)。これらの組成物はまた、皮膚の潰瘍、火傷及び他の滲出性創傷の手当てのための医療材料として次第に多く受け入れられつつある。
【0062】
多数の特許文献において開示されているスチレン共重合体が多数の実施例に取り入れられた。
【0063】
そこで、米国特許4231369号(US4231369)においてSorensen他は、中に水溶性ハイドロコロイドゴムと粘着付与剤を分散させたスチレン共重合体からなるオストミースキンパスバリヤを開示している。
【0064】
米国特許4367732号(US4367732)においてPoulsen他は、スチレン共重合体、炭化水素粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤及び油性エキステンダからなる連続相の中に水溶性ハイドロコロイドを分散させたオストミースキンパスバリヤを開示している。
【0065】
米国特許4551490号(US4551490)(Doyle他)は、1つ以上のポリイソブチレン5〜30%、1つ以上のスチレン基又はジブロック共重合体20%未満を含有する一種のブロック共重合体3〜20%、鉱油、1つ以上の水溶性ハイドロコロイドゴム、及び粘着付与剤の均質混合物を包含する医療グレードの感圧接着剤組成物を開示している。この接着剤組成物は、1つ以上の水膨潤性結合強化剤、酸化防止剤、及び他の様々な任意の配合剤を含有することもあり得る。
【0066】
米国特許5492943号(US5492943)は、2つの粘弾性接着剤エラストマー、特に高分子ポリイソブチレンとスチレン・ブロック共重合体の混合物を含有する感圧接着剤組成物を開示しており、これが、可塑剤(好ましくはペトロラタム)及び適当な粘着付与剤及び酸化防止剤と共に、カルボキシメチルセルロースナトリウムやペクチンなどのハイドロコロイドが中に分散した連続相を形成する。
【0067】
米国特許4867748号(US4867748)においてSamuelsenは、ハイドロコロイド接着剤からなる密封パッドを裏当てフィルムと組み合わせた幾何形状、及び、そのような作り方のプロセスを開示している。
【0068】
米国特許4867748号(US4867748)において開示された接着剤組成物は、オストミー器具を皮膚に付着させるオブラートに使用するものとされており、ジブロック共重合体をより多く含有するスチレン・ブロック共重合体を包含し、低分子ポリイソブチレンを一切使用しないことにより、その上、好ましくはゼラチンンを含有しないことにより、従来公知の組成物と異なる。
【0069】
ハイドロコロイドを含有する感圧接着剤は、接着剤相の中に分散したハイドロコロイドの粒子相を有することを特徴とする特に好適なグループの接着剤である。ハイドロコロイドを含有する接着剤は、皮膚からの水分を吸収して皮膚の毛穴が塞がるのを回避する一方、その皮膚に対する接着性を維持できる。しかも、ハイドロコロイドを含有する接着体は、どんな厚みであってもよく、毛穴を塞がない特性を持ち続ける。ハイドロコロイド接着剤は、ホットメルトとして処理されてよく、特殊形状に容易に成型することができる。
【0070】
これは、容易に成型できることと組み合わさったホットメルトが、マイクロ電子システムを包含する接着デバイスの縁部から滑らかに移行する突出形状を見せる中心部まで接着体の厚みを徐々に変化させ得ることを意味する。
【0071】
以下、本発明に係る接着体にとって有用な感圧接着剤を作る処方を詳細に説明する。
【0072】
そこで、代表的な感圧接着剤組成物は、組成物全重量をベースにして1つ以上のゴム弾性成分10〜60重量パーセント、1つ以上の粒状吸収剤5〜60%、粘着付与剤樹脂0〜50%、可塑剤0〜10%及び非極性油性エキステンダ0〜60%を含有するものとする。
【0073】
ゴム弾性エラストマー基は、物理的に橋かけ結合したエラストマー(ポリスチレンブロックを含有する適当なブロック共重合体)、化学的に橋かけ結合した天然ゴム弾性エラストマー又は合成ゴム弾性エラストマー、又は、ゴム弾性ホモポリマーを含むグループから選択することができよう。
【0074】
スチレン及び1つ以上のブタジエンのブロック共重合体から選択された、物理的に橋かけ結合したエラストマーは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン共重合体であってよく、好ましくは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレン共重合体の混合物である。
【0075】
化学的に橋かけ結合したゴム弾性エラストマーは、例えばブチルゴム又は天然ゴムであってよい。
【0076】
ゴム弾性ホモポリマーは、低密度のポリエチレン又はプロピレン、好ましくはアタクチック・ポリプロピレン(APP)又はポリイソブチレンなどの低アルケンの重合体であってよい。
【0077】
本発明に従って任意に使用される粘着付与樹脂は、好ましくは、水素化粘着付与剤樹脂で、より好ましくは、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、アルファ・ピネン又はベータ・ピネンの重合体又は共重合体を包含するグループから選択される。
【0078】
物理的に橋かけ結合したエラストマーがスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、又はスチレン・イソプレンブロック共重合体であるとき、接着剤は、好ましくは、可塑剤(例えばcitrofol BII、DOA)0〜10%を包含する。
【0079】
膨潤性ハイドロコロイド粒子は、好ましくは、1つ以上の水溶性又は水膨潤性のハイドロコロイド重合体又はゴムからなる。
【0080】
好適なハイドロコロイドは、ラクタム又はポリビニルピロリドンから調製されたハイドロコロイドなど、直線結合か橋かけ結合かどちらかの形で結合した合成重合体を含む。合成ハイドロコロイドを調製するのに有用な他の単量体は、アクリル酸塩、メタクリル酸塩及び水溶性アミドを含む。
【0081】
天然に産出するか人工的に調製されたかどちらかの他のハイドロコロイド重合体も、本発明によれば有用である。これらの材料は、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン、及び、天然に産出するか人工的に変性させられたかどちらかのハイドロコロイド、例えばポリサッカライド、ゴム、及び変性セルロースなどを含む。
【0082】
代表的なポリサッカライドは、澱粉、グリコーゲン、ヘミセルロース、ペントサン、セルロース、ペクチン、キトサン及びキチンを含む。代表的なゴムは、アラビアゴム、イナゴマメゴム、グアールガム、寒天ゴム、カラゲーニンゴム、キサンテンゴム、カラヤゴム、アルギン酸塩ゴム、トラガカント、ガッチゴム及びフルセレランゴムを含む。代表的な変性セルロースは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0083】
好ましいハイドロコロイドは、澱粉、グリコーゲン、ヘミセルロース、ペントサン、ゼラチン、セルロース、変性セルロース、ペクチン、キトサン、キチンなどのポリサッカライドを含む。変性セルロースは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む。最も好ましいハイドロコロイドは、ポリビニルアルコール、粉末化ペクチン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びこれらの混合物からなるグループから選択された水溶性又は水膨潤性のハイドロコロイドである。好ましい一実施例では、ハイドロコロイドはカルボキシメチルセルロース(CMC)である。
【0084】
好適な膨潤コロイドは、橋かけ結合したポリアクリル酸重合体をベースにした小球粒子である。このような材料の例は、米国特許第4867748号(US4867748)、欧州特許第0122344号(EP0122344)及び米国特許出願第2004065232号(US2004065232)において見出すことができる。
【0085】
接着デバイスを貼り付ける皮膚は、ときには湿っていることもあれば、濡れていることすらあり得る。こうした環境において、通常の接着剤では、接着デバイスの十分強力かつ永続的な貼り付けが得られない。こうした環境において有用な特化された接着剤がハイドロゲル接着剤である。このような接着剤は、接着剤の皮膚接触表面全体にわたって水分を均一に吸収できるようにする親水性の重合体とエキステンダをベースにしている。このような親水性接着剤の組成は広範囲にわたって存在する。任意に一部中和された酸グループの含有率が高い親水性ポリアクリル酸塩が、この接着剤グループにおいて代表的な主要組成である。これらの接着剤は、本来の接着剤そのものであっても、乾燥条件下で所望の接着性が得られるように粘着付与剤及びエキステンダを添加した上で調合されたものであってもよい。水分を吸うと、この吸水が接着剤をより塑性の状態に変えていくので、接着力は調合次第でかなり増大することになる。代替の接着剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等々をベースにしている。接着剤の凝集力を改善するために、ラジカル重合により化学的に橋かけ結合し得る重合体又は両親媒性重合体を添加してよく、代表的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロールなどのエキステンダが好ましい。
【0086】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)をベースにした接着剤組成物が1970年以降知られてきた。最近では、PDMS系感圧接着剤の新しい下位分類品が開発された。すなわち、ソフトシリコーン接着剤である。ソフトシリコーン接着剤(SSA)は、橋かけ結合したシリコーンエラストマー構造をベースにした2部分無溶剤型接着剤である。橋かけ結合は、ポリジメチルシロキサンとビニル基及び水素官能シロキサンの間の添加反応の結果である。硬化反応は、白金錯体の触媒作用により引き起こされ、常温下で発生でき、高温(80℃〜145℃)下で副生物の生成なしに促進できる。このような接着剤は、柔軟であること、皮膚の表面組織に適合すること、それゆえ皮膚を急速に湿潤できることを特徴とする。粘性成分が最小限であるので、材料は流動せず、変形圧力を加えられたとき、エネルギーの散逸がごく僅かしか生じない。その結果、剥がそうとするとき、僅かな力で難なく剥がすことができ、場合によってはこれが有利であり得る。
【0087】
優れた皮膚接着剤とは別に、PDMS系の感圧接着剤は、水道水で洗浄でき、皮膚に再貼り付けできるので、更に再使用可能であるという特性を有してよい。
【0088】
本発明に係る接着体を作るのに使用される感圧接着剤は、しばしば粘着性ゲルとして説明されるPDMSゲルでもあり得よう。このような市販システムの例として挙げられるのが、米国Dow Corning HeaIthCareのDow Corning 7−9800 A&B、ドイツ・ブルクハウゼンWacker−Chemie GmbHのSiIGeI 612、及び、米国・カーピンテリアNuSil TechnologyのMED−6340である。
【0089】
上で述べた感圧接着剤は、非発泡タイプか発泡タイプかどちらかで使用できる。製造プロセスの間に気泡が感圧接着剤の中に導入されると、微量の細胞質組織が生成する。このような感圧接着剤は、非発泡タイプよりフレキシブルである(米国特許第6326534号(US6326524)及び米国特許出願第2004065232号(US2004065232)を参照)。
【0090】
一般に、本発明に係る接着体は、望ましい弾性、接着性、透水性及び/又は吸水性、ならびに、高い適合性及びフレキシビリティを有する。フレキシビリティとは、身体が動いている最中でも接着性を保持しながら身体部分の湾曲に適合する能力を組成物に提供する特性のことである。常温下での高い初期粘着力が、接着デバイスを容易に貼り付けできるようにする。
【0091】
本発明に係る接着デバイスは、上面に、何らかの性質の1つ以上のカバー層、好ましくは、肌着、衣服又は他の被服への付着から守る性質の1つ以上のカバー層を有する。
【0092】
カバー材料としては、熱可塑性重合体フィルム又は織層又は不織層の形のフィルムを使用するのが好ましい。カバー層は、弾性材料で作られるが好ましい。カバー層は、水分を透過できるのが好適であり、例えば、ポリオレフィンタイプなどの重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリブチレン、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、フッ素化ポリビニル化合物、ポリ塩化ビニデン、ポリビニルアルコール、酢酸エチレンビニル、酢酸セルロース又は他の熱可塑性ポリサッカライド、PEBAXなどのポリエーテルブロックアミド、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はエチレンアクリレートブロック共重合体などのブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はその誘導体などのポリエステル、及び、このような重合体からの何らかのラミネートから作ってよい。カバー層は、好ましくは、ポリウレタン、ポリエチレン又はポリ酢酸ビニルから作られた発泡薄層であってよい。
【0093】
カバー層又はフィルムは、統合された/埋め込まれたマイクロ電子コンポーネントならびに接着体を環境から守る。
本発明の特別な一実施例では、導電性インク又は印刷された金属を使ってアンテナをカバー層の上に直接印刷することができる。
【0094】
接着剤の特性が確保され、その使用の直前まで接着表面が露出されずにいるようにするため、皮膚に施着される前は、皮膚保護のリリースライナが感圧接着剤の皮膚接触側を覆っている。リリースライナは、好ましくは、シリコーン化又はフッ素化されたリリースライナ、例えば、シリコーン化又はフッ素化されたクラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートのフィルムである。好ましくは、リリースライナはシリコーン化ポリエチレンフィルム、例えば、Huhtamaki社製の中密度ポリエチレンである。
【0095】
マイクロ電子システムは多数のコンポーネントを包含し、これらが、任意にカプセル化された1つのユニットに組み立てられ、本発明に係る接着デバイスに組み入れられていてよい。マイクロ電子感知システムのコンポーネントも、任意にカプセル化された個別のコンポーネントで、接着デバイスの中で相異なる位置に置かれていてよい。この実施例は、接着デバイスが、相異なる位置に置かれたマイクロ電子デバイスの個別コンポーネント全部を有する場面、ならびに、コンポーネントの1つ以上が、同じ位置に置かれた残りのコンポーネントの位置と異なる位置に置かれている場面をカバーする。
【0096】
マイクロ電子デバイスのコンポーネントが接着デバイスの中で相異なる位置に置かれていると、接着デバイスも、接着体に統合されたコンポーネント同士の間に必要な機械結合又は電気結合を有する。
【0097】
そこで、本発明の一実施例によれば、マイクロ電子システム全体が接着体に統合され、全面、接着体により完全に覆われている。
【0098】
発明の別の実施例によれば、マイクロ電子システム全体が、カバー層に面する接着体の上面に設けられた凹部の中に収納されている。
【0099】
本発明の別の実施例によれば、マイクロ電子システム全体が、接着体の接着下面に設けられた凹部の中に収納されている。本発明の別の実施例では、マイクロ電子システムが接着体の貫通穴の中に収納されており、カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近できる。
【0100】
本発明の代替実施例では、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが接着体に統合され、全面、接着体で覆われており、マイクロ電子システムの他のコンポーネントが接着体の中のどこかに配置され、マイクロ電子感知システムのコンポーネントは互いに必要な機械結合及び電気結合を有する。
【0101】
上で述べた実施例によれば、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが接着体に統合され、全面、接着体で覆われ、マイクロ電子システムの残りが、カバー層に面する接着体の上面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されていてよい。
【0102】
あるいはその代わりに、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが接着体に統合され、全面、接着体で覆われ、マイクロ電子システムの残りが、接着体の接着下面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されている。
【0103】
別の代替の実施例では、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが接着体に統合され、接着体で覆われ、マイクロ電子システムの残りが、接着体の1つ以上の貫通穴(好ましくは1つの貫通穴)の中に収納されており、カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近できる。
【0104】
なお別の実施例では、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが接着体に統合され、接着体で覆われ、他方、マイクロ電子システムの他のコンポーネントが接着体の1つ以上の貫通穴(好ましくは1つの貫通穴)の中に収納されており、カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近でき、かつ、マイクロ電子システムの残りが、接着体の上面及び/又は下面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されている。
【0105】
更に代替の実施例では、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが、接着体の1つ以上の貫通穴(好ましくは1つの貫通穴)の中に収納されており、カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近でき、かつ、マイクロ電子システムの残りが、接着体の上面及び/又は下面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されている。
【0106】
別の好適な実施例では、マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが、接着体の上面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されており、マイクロ電子システムの残りが、接着体の下面に設けられた1つ以上の凹部(好ましくは1つの凹部)の中に収納されている。
【0107】
マイクロ電子システム又はそのコンポーネントを接着体の上面に置く場合、それは、接着体の上面に従う輪郭を持つ形にするか、又は、接着体の上面にフィットするように成形するのが好適である。これは、コンポーネントの適切なカプセル化により達成できる。
【0108】
上で述べた通り、マイクロ電子システムの個別コンポーネント、個別コンポーネントのグループ、又は全部のコンポーネントを、接着体に埋め込む前にカプセル化してよい。カプセル化が選択されるのは、例えば、コンポーネントがすでに接着体の中に存在するとき、又は、接着体への統合につながる製造プロセスの中にあるとき、そのコンポーネントを環境から守る、及び/又は、その逆の補助的保護が望まれる場合である。カプセル化されたマイクロ電子システムのコンポーネントは、必要な電気結合及び/又は機械結合を介して相互に接続される。
【0109】
場合によっては、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントを腐食の原因となる湿気及び/又は接着剤中の発散蒸気から守り、又は、他の理由による外部影響を遮断することが要求されることがある。そのような場合、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントはカプセル化される。
【0110】
カプセル化技術は数多く知られており、コーティング、ホットメルトカプセル化、セラミックカプセル化、及び、ガラスカプセル化を含む。電気コンポーネントのカプセル化の他の方法は技術的に知られている。
【0111】
マイクロ電子システム又はそのコンポーネントは、好ましくは、ポリマーフィルム、ポリマーフォイル又はポリマーコーティングでカプセル化される。又は、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントは、ポリマー材料に成型され、又は、ガラス材料又はセラミック材料でカプセル化される。
【0112】
コーティングによるカプセル化は、代表的には、エポキシ樹脂、PDMS(シリコーン)、アクリル酸塩、ポリウレタン又はUV硬化樹脂などの材料でコンポーネントをコーティングすることを含む。
【0113】
PDMSなどのシリコーンでのカプセル化が特に好ましいのは、マイクロ電子コンポーネントを接着体の貫通穴又は凹部の中に置こうとするとき、また、カプセル化されたマイクロ電子コンポーネントの容易な除去又は交換を可能にすることが望まれるときである。なぜなら、シリコーン表面は接着体の接着剤から容易に引き剥がされるからである。接着剤から容易に引き剥がされる他の材料も、カプセル化に使用してよい。
【0114】
ホットメルトカプセル化は、代表的には、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントを射出成形により熱可塑性材料に組み入れることを含む。使用される熱可塑性材料は、スチレン・ブロック共重合体、ポリウレタン、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、SAN(スチレン・アクリロニトリル共重合体)、ポリ塩化ビニル、PDMS、POM(ポリオキシメチレン)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアクリル酸塩、ポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから選択してよい。
【0115】
マイクロ電子システムのコンポーネントは相互接続を必要とする。各システムは、機械的又は電気的に組み立てる必要のある1つ以上の個々別々のコンポーネントからなってよい。機械結合又は電気結合を得るためには、PCB(プリント回路基板)、スナップロック、薄型フレキシブル基板、グルーなどを使用してよい。
【0116】
上で述べた通りの一実施例では、マイクロ電子感知システムのすべての部分が生産中の接着体に統合されるが、これは、マイクロ電子システムを付けた接着デバイスが使い捨ての性質を持つことを意味する。
【0117】
本発明に係る接着デバイスはまた、マイクロ電子システムのコンポーネントが接着デバイスの寿命の間に交換できるような、又は、新しい接着デバイスにおいて再使用できるような構成であってもよい。
【0118】
マイクロ電子システムのコンポーネントの一部が生産中の接着体に統合される一方、残りのコンポーネントが後から、皮膚に貼り付けられる直前、又は、皮膚に貼り付けられた後の接着デバイスに施着される。接着体製造後に該接着体に施着されたコンポーネントは、代表的には交換可能、又は再使用可能である。
【0119】
交換してよいコンポーネントは、例えばエネルギー源、例えば電池である。
【0120】
本発明の特別な一実施例では、マイクロ電子システム全体が交換可能、又は再使用可能であり、皮膚に貼り付けられる直前、又は、皮膚に貼り付けられた後の接着デバイスに施着してよい。
【0121】
好ましくは、交換可能なコンポーネント又は再使用可能なコンポーネントは上で述べた通りカプセル化され、接着体の凹部又は穴にフィットするパッケージを形成する。
【0122】
交換可能なコンポーネント又は再使用可能なコンポーネントの場合、これらは、使用中の接着体への貼り付けをある程度確保しなければならない。そのような貼り付けの確保は、接着体の穴の内空部、窪みの中にすでにある接着剤、例えば感圧接着剤によって実現し得る。
【0123】
この場合、カプセル化材料は、接着体の接着剤に強く付着しすぎない材料であることが好ましいと言える(上記を参照)。
【0124】
あるいはその代わりに、カプセル化された交換可能、又は再使用可能なコンポーネントのパッケージを機械的結合により接着体に貼り付けする。こうすることにより、交換可能、又は再使用可能なコンポーネントを含む上記のカプセル化されたパッケージをスナップロック機構により接着体に固定することができよう。
【0125】
マイクロ電子システム又はそのコンポーネントを収納するハウジングとしてのカプセル化機能は、好ましくは、射出成形されたポリマー材料から形成されるが、基本的には、どんな材料でも、どんな構成でもあり得よう。
【0126】
カプセル化されたマイクロ電子コンポーネントのパッケージは、接着体の凹部又は貫通穴にフィットするどんな形状を有してもよいが、好ましくは三次元形状を有する。一実施例では、カプセル化された電子コンポーネントは、端を丸めたロッド状カプセルの形状を有する。
【0127】
上で述べた通り、本発明は、生理学的データの収集のために侵襲的ならびに非侵襲的な技術を使用する。非侵襲的な測定の場合は、1つ以上の金属電極を皮膚接触に使用してよい。しかしながら、皮膚接触のためには、例えば導電性ポリマー、導電性ハイドロゲル、電解質などの導電性材料を使用してもよい。侵襲的な測定の場合は、レギュラー針又はマイクロ針を使用してよい。このような侵襲的技術は、今日すでに、例えば酸素又は血液グルコースの測定のためによく知られている。
【0128】
十分に説明されたコンポーネントを組み合わせることにより、あらゆる種類のマイクロ電子感知システムを設計し、本発明の接着デバイスに組み入れてよい。具体的に接着デバイスでの使用に適したシステムとは、例えば、バイオセンサ信号、心電図、筋電図、脳電図、血液グルコース、脈拍、血圧、pH及び酸素の測定に好適なシステムである。
【0129】
本発明の接着デバイスに組み入れられたマイクロ電子システムは、代表的には、下記のコンポーネントを必要とする。通信用コンポーネント、CPU(中央処理装置)、電源、記憶用コンポーネント、トランスデューサコンポーネント、相互結合コンポーネント、及び、任意のアクチュエータコンポーネント。
【0130】
CPU(中央処理装置)は、マイクロ電子システムのコンポーネントを制御し、これと通信する。CPUは、アプリケーションソフトウェアの実行、データ決定(データ信号処理など)、アナログ/ディジタル変換、DSP(ディジタル信号処理)、ルーティング、タイミング、電力管理、スリープ機能、割り込みを扱う。
【0131】
CPUは、マイクロ電子システムにおいて他のコンポーネントを制御し、適切なデータ解析をするコンポーネントである。一般に、要求される速度が高いほど、また、要求されるデータ解析量が多いほど、より多くの電力が必要となる。そこで、電力節約のためにスリープ機能がしばしば使用される。ある一定の回数、又は、ある一定のイベント(極低電力のモニタリングサブシステムにより引き起こされる)が発生する都度、CPUはウェイクアップし、必要な計算を行い、関連のコンポーネントと通信し、スリープモードに戻る。必要に応じて、極めて初歩的なCPUから成熟したミニコントローラまで、本発明に従って使用することができる。
【0132】
通信用コンポーネントは、マイクロ電子システムとの間のあらゆる通信を制御する。好ましくは、マイクロ電子システムは、接着デバイスから距離をおいた受信ユニットとのワイヤレス通信を可能にするシステムである。但し、本発明は、無線周波ワイヤレス通信などのワイヤレス通信だけに限るものではない。音声通信や光通信など、他の通信手段もあり得よう。コンポーネントは、このワイヤレス通信を達成するのに必要な電子品だけでなく、必要なハードウェア及びソフトウェアと共にアンテナも含む。
【0133】
アンテナは、周波数、電力及び信号形に応じて異なる形状、異なる形であってよい。数センチメートルの情報の通信に有用なアンテナもあれば、数メートルに及ぶアンテナもある。例を挙げると、小さいフェライトコア(例えば直径4mm未満)をコイルが取り巻くアンテナ、フラットコイルを複数巻きした形のアンテナ(代表的には直径10mm以上)、モノポールアンテナ又はダイポールアンテナなどの単線及び複線の無線アンテナ、そして、接着体に統合された形のアンテナである。
【0134】
巻き数は僅かでしかないが、直径が例えば50mmと大きいアンテナの場合は、ラミネート化した上で、接着体に統合しても、接着デバイスのカバー層に直接印刷してもよい。このアンテナは、代表的には、銅又はアルミニウムなどの金属で作られるが、導電性インクで作ることもできよう。
【0135】
電源は、電力調整用電子品、再充電用電子品、及び、エネルギー源、代表的には内蔵電池又は交換可能な電池からなる。しかしながら、マイクロ電子システムへの電力を獲得する他の手段、例えば運動エネルギー変換、燃料電池、アイソトープ放射源、太陽電池、無線周波数(RF)リンク経由などを提案してもよい。更に、アンテナは、マイクロ電子システムにエネルギーを装荷するのに使用してもよい。
【0136】
好ましくは、電源は電池であり、使い捨てであっても再充電可能であってもよい。
【0137】
記憶用コンポーネントは、埋め込まれたシステムのソフトウェアを記憶する、及び/又は、デバイス動作中に収集されたデータを記憶するためのものである。この記憶用コンポーネントは、CPUの一部、CPU自体のコンポーネント、又は、除去/交換できるFLASH RAMのような交換可能な記憶デバイスであってよい。
【0138】
トランスデューサコンポーネントは、エネルギーを1つの形から別の形に変換すべく設計されたコンポーネントである。トランスデューサは、代表的にはセンサ又はマイクロ電子感知システムの感知部であるが、そうである必要はない。よって、トランスデューサは、例えば物理的入力を変換し得るものであってよいが、通常、このエネルギーをCPUなどで解釈すべき電気的な形に変換し得るものである必要はない。
【0139】
トランスデューサが変換し得る物理的入力というのは、例えば、加速度、化学薬品/ガス、流量、湿度、慣性、キャパシタンス、コンダクタンス、導電率、電流、インピーダンス、インダクタンス、pH、抵抗、電圧、光検出、光線、磁気、圧力、角度、直線位置、速度、温度、音、及び機械的力である。
【0140】
トランスデューサの代表的な具体例が検出用コンポーネントである。この検出用コンポーネントは、代表的には、電極(単極、双極)、圧力センサ、電極付き針、加速度計、光検出器、マイクロホン、イオン感応性電界効果形トランジスタ(ISFET)、負温度係数(NTC)抵抗器、帯域ギャップ検出器、イオン膜、酵素反応器又は酵素濃縮器である。
【0141】
本発明の一実施例では、トランスデューサは、電極など、非侵襲的検出用の検出器を含む。
【0142】
本発明の別の実施例では、トランスデューサは、電極を付けた針など侵襲型検出器を含む。
【0143】
アクチュエータはトランスデューサの逆である。これは、トランスデューサとほぼ同じ方法で、但し、逆の順序でエネルギーを1つの形から別の形に変換する。通常、これは電気信号を物理信号に変換する。アクチュエータの代表的な具体例が、例えば電極(例えば神経刺激用の)、ポンプ、注射針、発光ダイオード(LED)又は別の光源、拡声器、電流発生器、又は化学合成器である。アクチュエータは、拡声器又はLEDなど、マイクロ電子システムにおいてアラームを働かせること、又は、低電池残量を指示することをCPUで決定されたある一定のイベントのとき使用可能である。
【0144】
従って、アクチュエータは、アラーム(可視及び可聴)、噴射ポンプ、バルブなど、トランスデューサコンポーネントから得られた入力に反応するシステムにおけるコンポーネントとして使用してよい。これは、1回限りの使い捨てタイプ、数回使用タイプ、又は連続使用タイプのいずれであってもよい。
【0145】
感知システムの多くは、哺乳動物の肉体的状態に関する情報を伝達する単なる通報システムであり、この場合、アクチュエータは必要でない。
【0146】
マイクロ電子システムは、所与の用途のためのデバイスにおいて全部のコンポーネントのうち幾つかだけが必要となるという意味で構築されたモジュラー品ということになる。中には、より少ない数のコンポーネントしか使用しない用途もあれば、全部のコンポーネントを使用する用途もある。これらのコンポーネントは、PCB(プリント回路基板)、フレキシブルPCB、厚膜品、薄膜品又はセラミック品など(但し、これに限らない)、同じフィジカルASIC(特定用途向けIC)、電気システム又はサブシステムに嵌め込むことができ、又は、システム又はそのコンポーネントを別個にカプセル化してもよい。
【0147】
RFID(無線周波ID)タグは、様々なサイズ、様々なレンジ、及び様々な機能性を持つものが市販されている。RFIDリーダが適当なフィールド(例えば誘導フィールド)を働かせると、ベーシックRFIDタグは1ビット順番を戻す。順番は使用前にプログラムされている。RFIDレンジは、パッシブタグ(電源を内蔵しない)の場合の1cm〜約2mから、アクティブタグ(電源を内蔵する)の場合の100m超にまで及ぶ。より洗練された市販のRFIDタグは、データの読み取り又は記憶ができる記憶用コンポーネントを有する。
【0148】
RFIDタグは、接着体に、独立部品として、又は、他のマイクロ電子コンポーネントと共に組み入れられてよい。システムの複雑さ又は価格にほとんど加わることなく様々な形のRFIDタグを含むように複合的なマイクロ電子システムを作ることは容易にできる複合システムでは、タグを単純なトラックとして使用し、在庫寿命、可使寿命など製品IDについてコンポーネントを追跡することができる。但し、これはまた、センサネットワーク内の他のシステの識別にも使用できる。
【0149】
独立品の場合、RFIDタグは、基本的にRFチップとコイルからなる。RFIDタグの好適な形は、ガラスハウジングの中に格納されたRFIDタグ、プラスチック/エポキシ樹脂でカプセル化されたRFIDタグ(代表的にはピルの形)、コイルを付けたフラットRFIDタグ、及び、2つのポリイミド層の間にラミネート状に挿入されたRFチップ、又は、数巻きの大径コイルアンテナを接着体の表面又は内部に印刷し、更なる保護/カプセル化一切なしに該アンテナにRFチップを相互接続した形のフラットRFIDタグである。
【0150】
これらのシステムは、生産中の接着体に完全に統合することができる。
【0151】
上で挙げたフラットRFIDタグは、生産中に感圧接着剤の2つの層の間にサンドイッチ状に挟み込んでよい。RFチップは極めて小さく(1mm×1mm)、コイルはフレキシブルであるので、剛性のカプセル化は不要である。ガラスカプセル化されたRFIDタグは、極めて優れた耐薬品性と極小のサイズを有し、まったく不快にならない。プラスチック又はエポキシ樹脂でカプセル化されたRFIDタグは、より複雑な設計であってよく、本発明の接着体の生産中に加えることも製造後に加えることもできる。
【0152】
カプセル化されたRFIDタグは、1つ以上の接着体において再使用してよいコンポーネントである。このカプセル化されたRFIDタグは、1つの接着体から別の接着体に転送され、それで繰り返し再使用されるので、特定個人データを記憶する上で理想的なコンポーネントである。
【0153】
通常埋め込まれたマイクロ電子システムは何らかの種類のセンサを内部に組み入れているが、これは必ずしもあらゆる用途に必要というわけではない。
【0154】
本発明の接着デバイスはまた、接着体上の相異なる箇所に置かれた接着性センサデバイスのネットワークの一部であってよい。これら個性的な接着デバイスは、その置かれた場所及び感知特性に応じて複雑さが小型のベーシックセンサシステムからもっと複雑なシステムに至るまで幅広い。ネットワーク内部では、機能性の低いRFD(低機能デバイス)と呼ばれる接着デバイスもあれば、FFD(フル機能デバイス)と呼ばれる接着デバイスもある。
【0155】
FFDデバイスは、どんな形体ででも機能でき、ネットワーク全体のコーディネータであっても、他のどのデバイスにも通話できるコーディネータであってもよい。RFDデバイスは星形に限られており、ネットワーク・コーディネータになることはできず、ネットワーク・コーディネータに通話するだけで、極めて単純な構成である。
【0156】
FFDは、ボディ・エリア・ネットワーク(BAN)内部の通信ハブ、ゲートウェイ又はルータとして働き、1つ以上の外部ユニットとの通信を扱う専用のネットワーク・コーディネータであってよい。通信ハブ又はゲートウェイの場合は、大きい記憶容量を有し、センサネットワークからのデータを記憶し、外部ユニットと近い位置にあるときでもそうでないときでも、適宜ワイヤレスでこれらのデータを伝送する。
【0157】
これらのハブは、皮膚接触又はアクチュエータを必要としないので、接着体に容易に統合されるが、戦略上、体表面に置いてよい。ハブは一般に大きめで、身体の近位側に置かれるので、マイクロ電子ハブが接着体に完全に統合され得ることは、これが不快さを減らし、外から見えにくくする点で大いに有利である。
【0158】
人体モニタリングの場合、マイクロ電子システムはGPS技術を組み入れることができよう。システムは、位置データを後の解析のためにログするか伝送するか(例えばモバイルネット経由で)どちらかである。接着デバイス内部のこのようなシステムは、接着体上の接近不可能な箇所に置くことができよう。
【0159】
本発明の接着体に組み入れられたGPSデバイスは、それ自体単一のデバイスである必要はなく、他のマイクロ電子システムを包含する接着デバイスに加えられるアドオンであってよく、これで、システムは、アラーム発生などある一定のイベントの起こったときにGPSデータを伝送することができる。
【0160】
これで、接着デバイスはまた、哺乳動物の皮膚と検出器の間の物理的接触が一切要らないマイクロ電子システムを内蔵してもよい。検出用エレメントを付けたトランスデューサを必ずしも使用する必要のないシステムとは、ネットワーク・ハブ、ネットワーク・コーディネータ、ゲートウェイ及びGPS(全地球測位システム)である。
【0161】
従って、本発明の接着デバイスにおいて使用上有用なマイクロ電子システムは、下記のものであり得よう。
【0162】
通信用コンポーネント及びCPUを包含するガラスカプセル化RFIDタグ。ガラスカプセル化コンポーネントは、好ましくは、図1に示した通り接着デバイスに埋め込まれていてよい。
【0163】
通信用コンポーネント及びCPUを包含する、エポキシ樹脂又はプラスチックでカプセル化されたRFIDタグ。エポキシ樹脂/プラスチックカプセル化コンポーネントは、例えば、図1又は2に示した通り接着体に埋め込むことができよう。
【0164】
コイルアンテナ、及び、2つのポリアミド層の間にラミネート状に挿入された通信用コンポーネント及びCPUを包含するRFIDタグ。このシステムは、図1Aに描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0165】
数巻きのコイル、及び、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント及びCPUを包含する、カプセル化されていないパッシブ読み書きRFIDタグ。このシステムは、図1Aに描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0166】
記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント及びCPUを包含する、エポキシ樹脂又はプラスチックのピルでカプセル化されたパッシブ読み書きRFIDタグ。このシステムは、図2に描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0167】
記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU及び電池を包含する、エポキシ樹脂/プラスチックのピルでカプセル化されたアクティブ読み書きRFIDタグ。このシステムは、図1に描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0168】
上で挙げたタイプのRFIDタグは市販品である。
【0169】
マイクロ電子システムはまた、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU及び電池を包含し、プラスチックでカプセル化されていて、中央装置(CU)にデータを伝送する専用のネットワーク・コーディネータとして働くゲートウェイであってもよい。このようなマイクロ電子システムは、例えば、図1に描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0170】
マイクロ電子システムはまた、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電池、GPS、GPSデータロギング用のリアルタイムクロックをワイヤレスで同期化するコンポーネントを包含する、任意にプラスチックでカプセル化されたシステム、又は、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電池、GPS、GPSデータロギング用のリアルタイムクロックをワイヤレスで同期化するコンポーネント、データロギングを行い、データ及び位置を携帯電話に伝送するモバイルネットを包含する、任意にプラスチックでカプセル化されたシステムであってもよい。これらのシステムも、図1に描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0171】
本発明に係る接着デバイスはまた、ワイヤレス手段を使って皮膚バリヤを横断して(皮膚貫通の形で)身体インプラントに電力を伝え、電気データ通信を伝える用途にも使用してよい。こうしたケースでは、接着デバイスを装着する人間にとって不快又は不便の感覚を最小限に抑える形で長時間、該接着デバイスを皮膚表面の正確な点に定着させることが重要である。
【0172】
皮膚貫通の形のワイヤレス電力伝送及び電気データ通信の代表的な例は、自身の下肢部分の筋肉が制御不能になった(垂足症候群の)人間に対してのインプラント型神経刺激体である。垂足刺激体は、足の内側に植込められ、関係筋肉を制御する神経に直接接触する。このインプラントは、代表的には、足内側のコイル又はアンテナと皮膚表面上の本体の外側で付近に置かれたコイル又はアンテナの間の電磁結合によりワイヤレスで給電される。
【0173】
コイル又はアンテナは、所要の電力及び制御信号を提供する電子品に接続される。シミュレーション信号のタイミングは、通常、人間の踵又は当人の履く靴に付けられた感圧スイッチにより制御される。このスイッチから、足の皮膚表面に置かれたシミュレータへの信号の伝送は、ワイヤレスの場合が多い。
【0174】
この垂足シミュレータは、本発明において述べられた接着デバイスを使用することにより大幅に改良される。それをもってすれば、不便の感覚を最小限に抑える形で長時間シミュレータの外側部分が皮膚表面に極めて安定的に定着させられるので、信頼性の高い電力/データ伝送が可能となる。更に、足の上に置かれたスイッチをより良く長時間定着させることも可能となる。
【0175】
よって、一実施例では、マイクロ電子システムは神経刺激に有用であり、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電源、及び、データ及び電力を神経刺激用インプラントに伝送するトランスデューサを包含する。
【0176】
別の実施例では、埋め込まれたマイクロ電子システムは、表面筋電図検査(sEMG)又は侵襲的筋電図検査に有用である。両方のケースにおいて、トランスデューサは相対的に単純な電極2〜3個のデバイスである。測定される信号は、1つの筋肉又は1つの筋肉群により発生させられた直流電圧である。この信号を理解するためには、これをマイクロ電子システムで解析するか、将来の解析に備えて記憶するかしなければならない。
【0177】
収集されたデータは、関連あるときに、又は、ある一定のイベントの起こったときに、又はある一定の時間間隔で中央装置(CU)に伝送される。CUは、好ましくは、パーソナル・データ・アシスタント(PDA)、携帯電話、又は他の専用ハードウェアなど、ワイヤレス受送信可能なポータブルハードウェアデバイスであるが、これに限るものではない。
【0178】
トランスデューサは、好ましくは、皮膚の表面抵抗の時間帯ごとの差を克服又は無視する設計である。例えば、乾燥した皮膚の抵抗値は500kΩであるが、汗ばんだ皮膚の抵抗値は500Ωと低い。この問題は、インピーダンスが500mΩ以上の高インピーダンス増幅器を使用することによって克服できる。トランスデューサは、最初に皮膚に接触したときに他のシステムコンポーネントをアクティブ化し、それで、より長い寿命を確実にする設計であってよい。
【0179】
中央処理装置(CPU)は、代表的には、計器用作動増幅器によりトランスデューサ信号の増幅(例えば30倍〜100倍)を扱い、ここで、アナログかディジタルかどちらかで濾過されたコモンモード(両方の電極に共通の望ましくない信号/ノイズ)の除去を行う。CPUは、アナログ信号からディジタル信号への変換を扱う。平均二乗(rms)、高速フーリエ変換(FFT)、ソフトウェアと組み合わされディジタルフィルタリングなどの信号解析を利用することにより、ある一定のイベントが起こったときのデータ決定が達成される。
【0180】
また、CPUはタイマ又はスリープモードを利用できよう。そうすれば、ある一定のイベントが起こっている間だけ、すなわち、1秒の何分の一かの間だけ、又は他の時間間隔で測定が行われるようになり、その結果、電力の節約になる。
【0181】
マイクロ電子システムはまた、データ収集中にデータが少ししか、又はまったく伝送されない場合にソフトウェアデータ及びEMGデータを記憶するための記憶用コンポーネントを包含する。これらのデータは、後の時点で転送されてよい。
【0182】
電源は、CPUが非アクティブ状態時のパワーダウンにより長寿命を確実にする形の使い捨て電池か、再充電可能な電池か、どちらかが考えられる。再充電可能な電池は、RFリンクを通すか、マイクロ電子システムを使用中でないときに再充電用の受け台の中に置くか、どちらかによって再充電される。使い捨て電池の場合は使用開始後、再充電可能な電池の場合は充電開始後、数週間の使用が可能である。
【0183】
データは、データ改ざんをできなくする方法又はプロトコルを使って中央装置に伝送される。更に、システムの動作開始後、その動作状態を有効にするために電池寿命状態及び/又はデータバーストが伝送される。リクエストに応じて、システムは記憶されているデータを伝送することになる。
【0184】
筋電図検査向けのマイクロ電子システムは、任意に、CPUにより決定されたある一定のイベントが起こったとき、拡声器やLEDなど、マイクロ電子システム内のアラームを働かせるアクチュエータを内蔵してよい。このアクチュエータをアクティブ化するイベントは、例えば低電池残量ということもあり得よう。
【0185】
本発明のこの実施例では、様々なコンポーネントが互いに機械的又は電気的に結合し、1つのモジュールにカプセル化されていてよい。しかしながら、様々なコンポーネントが別々に接着体に統合されていてもよい。ここに言うコンポーネントは、電池、アンテナ及びアクチュエータであり得るが、これに限るものではない。
【0186】
様々なコンポーネントはまた、PCB(プリント回路基板)又はフレキシブルPCBに搭載され、保護層で被覆され、接着体に埋め込まれていることもあり得よう。
【0187】
よって、本発明の特別な一実施例では、マイクロ電子システムは、筋電図検査に有用なシステムであり、トランスデューサ(2〜3個の電極と1個の計器用増幅器)、CPU(μコントローラ、例えばATMEGA 128L)、電源(例えば電池)、通信用コンポーネント(例えばCU通信用)、記憶用コンポーネント、及び、アクチュエータ(LED)を包含する。このシステムは、図3及び3Aに描かれた通り接着体に埋め込まれていてよい。
【0188】
スポーツ又はフィットネスエクササイズの間、異種のマイクロ電子システム、又は、同種のマイクロ電子システムの幾つかを組み合わせて使用してよい。
【0189】
そこで、フィットネスセンサネットワークは例えば下記の通りものからなってよい。
【0190】
筋肉活性(表面筋電図検査(sEMG))センサを付けた接着デバイス(身体(腕、足など)の両側に1つずつ)。筋電図検査システムは、筋肉の疲労を特定し、筋肉が最高に成長するのは何時か、又は、エクササイズが効果を発揮しないのは何時かを指示するように設計できよう。測定結果を望み通り出力できるようにするため、sEMG信号の周波数解析を使用してよい。代表的には、活性エクササイズを受ける筋肉群に接着デバイスをセットする。
【0191】
心拍と脈拍の形を監視するための心拍数(ECG)センサシステムを包含する本発明の2個又は3個の接着デバイス。
【0192】
筋肉の疲労のレベルを特定するためのマイクロ電子システムを包含する接着デバイス。
【0193】
記憶された信号の行き先を中央装置(CU)かフィットネス・ハードウェアの直接の通信相手かどちらかに指定する信号ルーティングのための、身体の中心の表面に置かれたセンサハブ/ゲートウェイ。
【0194】
マイクロ電子システムは、電池の交換又は充電をした上で、1つのフィットネス・セッションから別のフィットネス・セッションへと再使用してよい。
【0195】
よって、本発明に係る接着デバイスは、好ましくは、病気に関連する生理学的状態の測定、ヘルスケア・サーベイランス、リハビリテーション、スポーツ医療、又は一般サーベイランスに使用してよい。代表的には、例えば弱い心臓、癲癇、発熱、熱痙攣、糖尿病、卒中、動脈硬化、及び筋ジストロフィーを病むとき、危険な状態にある患者に適用されよう。適用にあたっては、投薬の最適化のための、病気の登録のための、又はアラーム作動のための一般モニタリングと連係させてよい。他の適用対象として、肉体仕事、筋肉強度、肺容量の監視に、また、スポーツ医療においては、仕事量、反復量、加速度、心拍数、筋応力、筋肉強度、方向定位(orientation)などの特定に適用されよう。なお別の適用対象として、動作中の物体又は哺乳動物のサーベイランスに適用されよう。痴呆を病む初老者などの精神障害者は、このような適用対象として代表的であろう。
【0196】
本発明に係る接着デバイスは、ワイヤレスが好ましいであろう。可能な限り滑らかなデバイス形状、滑らかなデバイス表面を得る上で、また、マイクロ電子システムの保護を成し遂げる上でワイヤレスであることは重大な意味を持つからである。しかしながら、場面によっては、デバイスをワイヤで相互接続できることが重要ということもあり得よう。これは、特に、マイクロ電子システムが、各々、本発明で定義された通りの接着デバイスの中にある2つの部分に分割されるとき、選択肢の1つであってよい。
【0197】
マイクロ電子感知システム又はそのコンポーネントは、接着体の生産中か接着体の製造後かどちらか、例えば、接着デバイスを皮膚に当てる直前か、接着デバイスを皮膚に当てた後かどちらかに、接着体に組み入れられてよい。
【0198】
上で述べた通り、接着デバイスの部分々々、例えばマイクロ電子システムの部分々々又はマイクロ電子システム全体は、交換可能又は再使用可能であってよい。
【0199】
よって、本発明は一態様において、少なくとも1つの接着エレメントと1つの電源エレメントを包含し、マイクロ電子システムなどの電子回路を表面に貼り付けし、前記電子回路に電力を供給する働きを持つデバイスで、前記デバイスエレメントの少なくとも1つが前記電子回路に引き剥がし可能な形で貼り付けでき、前記電源エレメントが前記電子回路に電気的に結合でき、かつ、前記接着エレメントが表面に付着するために少なくとも1つの第1の領域を有するデバイスを開示する。
【0200】
述べた通りのこのようなデバイスは、電子回路を特定の目的のために表面、例えば哺乳動物の皮膚に貼り付けし、付勢することができる。かかる特定の目的が達成されると、デバイス及び電子回路は表面から除去され、デバイスは回路から分離され、処分される。これで、電子回路と比べて安価な、このデバイスを形成するエレメントは処分されるが、電子回路の方は、本発明に係る新しいデバイスと共に再使用してよく、この新しいデバイスが電子回路を再び表面に貼り付けし、回路に電力を供給することになる。有利なことに、これは相当のコスト削減をもたらし、しかも、従来為されていたより多くのコンポーネントが再使用されるので、環境の保護にもなる。
【0201】
用語“引き剥がし可能な形で貼り付けできる”及び“引き剥がし可能な形で結合できる”は、デバイスと電子回路が不意に分離する危険が最小限に抑えられるようにそれらを一時的に貼り付けし得ることと理解されたい。しかしながら、デバイスと電子回路は、望みに応じて分離し得るように貼り付けするのが好ましい。
【0202】
また、用語“電気的に結合できる”は、電源エレメントと電子回路が、これらの間で電流を伝送し得るように配置されていることと理解されたい。電気結合は、例えば、代表的に銅メッキ、金メッキ又は銀メッキで作られた標準の電気接点を使って為されてよく、又は、電源が電気回路において電気を誘導する場所においてワイヤレスで設けられてよい。
【0203】
代表的には、電子回路は、多数のマイクロ電子ディジタルコンポーネント及び/又はアナログコンポーネントを適当な配線で接続した形のマイクロ電子システムである。これらのコンポーネントは、代表的にはプリント回路基板の上に配置されており、この基板上に固有のトレース及びトラックがエッチング、電気メッキ又は他の方法で設けられている。ディジタルコンポーネントは、例えばRAMブロックなどの記憶用エレメント、マイクロプロセッサであってよく、アナログコンポーネントは、例えば回路基板上に設けられた抵抗体やキャパシタであってよい。
【0204】
一実施例では、電源エレメントが接着エレメントに貼り付けられており、この接着エレメントが電子回路に付着するために第2の領域を有する。
【0205】
電源エレメントと接着エレメントを互いに貼り付けすることによって提供されるのは物理的部品1つだけで、従って、使用者が電源エレメントと接着エレメントの両方のトラックを保持し、両方を施着するのに時間を費やさなければならないという事態は回避される。これで、使用者にとって便利な小型かつ個々別々のデバイスが提供される。その上、電子回路をより扱い易くするために接着エレメントに接着してよく、そうすれば、電子回路を表面に施着するとき、1つのユニットを扱うだけで足りることになる。
【0206】
有利には、前記第2の領域と電子回路の間の第1の剥離力が、電源エレメントと接着エレメントの間の第2の剥離力より小さい。これにより、使用後のデバイスから電子回路を容易に分離できることになる。
【0207】
更に確実に、電源エレメントと接着エレメントが互いに分離しないようにするため、電源エレメントの少なくとも一部分が接着エレメントに内蔵されていてよい。
【0208】
用語“内蔵された”は、電源の全部又は一部分が接着エレメントに埋め込まれていることと理解されたい。全部埋め込まれている場合は、電気接点だけが接着エレメントを通して露出しているか、可撓性の電線が接着エレメントに埋め込まれ、電源から接着エレメントの外表面にまで延び、そこで電子回路と接触できるようになっているか、どちらかである。また、用語“内蔵された”には、電源の一部分が接着エレメントに埋め込まれていて、より大きい部分が接着エレメントを通して露出されているという意味も含まれている。これで、電子回路と電源の間に大きい接触表面ができ、同時にこれが接着エレメントに安全に貼り付けできることになる。
【0209】
電子回路の相異なる部分を保護するため、電子回路は代表的に、例えばシリコーン又はホットメルトポリマーで被覆することによってカプセル化される。このカプセル化は、例えば電子回路の一部を内蔵するハウジングの形に作ってあってもよい。一実施例では、ハウジングは、近位側ハウジング部分と遠位側ハウジング部分から形成されていてよい。デバイスは、前記ハウジングに引き剥がし可能な形で結合できるようになっている。
【0210】
数多くのカプセル化技術が知られており、コーティング、2成分ポリマー、ホットメルトポリマー、セラミック、ガラスを使った各カプセル化を含む。電気コンポーネントのカプセル化については他の技法が知られている。
【0211】
マイクロ電子システム又はそのコンポーネントは、好ましくは、ポリマーフィルム、ポリマーフォイル又はポリマーコーティングでカプセル化され、又は、マイクロ電子システム又はそのコンポーネントはポリマー材の中に成型され、又は、ガラス材又はセラミック材でカプセル化される。
【0212】
PDMSなどのシリコーンでのカプセル化が特に好ましいのは、マイクロ電子コンポーネントを接着体の貫通穴又は凹部に入れようとするとき、また、カプセル化されたマイクロ電子コンポーネントの容易な除去又は交換を可能にすることが望まれるときである。なぜなら、シリコーン表面は接着体の接着剤から容易に引き剥がされるからである。接着剤から容易に引き剥がされる他の材料も、カプセル化に使用してよい。
【0213】
接着エレメントを使用後にハウジングから容易に引き剥がしできるようにするため、ハウジングは、これを容易に引き剥がしできるようにする材料から作るか、該材料で被覆するのが有利である。そのような材料は、例えば、様々な接着剤応用分野においてしばしばリリースライナに使用されるシリコーンであってよい。
【0214】
なお別の実施例では、少なくとも1つの電源エレメントが、遠位側ハウジング部分に形成された凹部の中に受容されるようになっている。少なくとも1つの電気接点が遠位側ハウジング部分に設けられており、これで、電源エレメントと電気回路の間の電気結合が作られる。
【0215】
上で述べた通りの凹部を設けることにより、電源エレメントは位置ずれから守られ、従って、回路との電気接触が保たれる。凹部はまた、この中に電源を入れたときに天端が1つの滑らかな表面をなす形で凹凸なく嵌まり合うので、電源の上面が飛び出る場合のように容易には電源を取り出すことができない。
【0216】
本発明に係るデバイスと共に、その表面に貼り付けられ、付勢される多種多様な用途を持つ多くの種類の電子回路を使用してよい。使用後、デバイスは処分してよいが、電子回路の方は再使用できる。よって、一実施例では、デバイスは、センサ回路である電子回路に引き剥がし可能な形で結合されるようになっており、前記センサ回路は哺乳動物の体表面、代表的には皮膚に貼り付けられることになる。
【0217】
用語“センサ”又は“センサリング”は、電子回路の周囲環境のパラメータがセンサ回路により検出されることと理解されたい。ここで言うパラメータは、とりわけ例えば温度、湿度、電気信号、電界、光、ノイズ、バイオ信号、及び磁界であってよい。
【0218】
よって、本発明はまた、哺乳動物の体表面に貼り付けられるように作られたセンサアセンブリで、多数の電気コンポーネントを包含するセンサ回路、これら電気コンポーネントの少なくとも1つに電力を供給するための少なくとも1つの電源エレメント、センサアセンブリを哺乳動物の体表面に貼り付けするための少なくとも1つの接着エレメントを包含する前記センサアセンブリに関し、また、前記電源エレメント及び接着エレメントの少なくとも1つがセンサ回路に引き剥がし可能な形で結合させられることに関する。
【0219】
よって、センサアセンブリは、電源エレメントと接着エレメントを包含するデバイスのように各種エレメントが処分でき、電子回路のように他のエレメントが再使用されるとき、上で述べた通りの利点をもたらす。
【0220】
センサアセンブリの一実施例では、センサ回路が、近位側のハウジング部分と遠位側のハウジング部分から形成されたハウジングの中に少なくとも一部分が内蔵されている。センサアセンブリは、接着エレメントとハウジングの間の第1の剥離力が接着エレメントと電池の間の第2の剥離力より小さい場所に設けるのが有利である。これにより、接着エレメント及び電源エレメントからセンサ回路を容易に分離できることになる。
【0221】
代表的には、センサアセンブリは、近位側部分の近位側表面に貼り付けられた少なくとも1つのトランスデューサを包含する。上で述べた通り、近位側部分は遠位側部分と共に、センサ回路の少なくとも一部を保護するハウジングを作り上げる。トランスデューサは、各種の生理学的信号を電気信号に変換する。このようなトランスデューサは、例えば電位差計式、熱量計式、導電率計式、化学機械式、又は光学式であってよい。
【0222】
電源が不意にセンサ回路との電気接触から離れるのを防止するため、遠位側のハウジング部分に、少なくとも1つの電源を受容する凹部が形成してあってよく、また、この少なくとも1つの電源と電気コンポーネントの間の電気結合を作る電気接点が、同じく遠位側のハウジング部分に設けてあってよい。これで、凹部は、例えば、センサアセンブリが貼り付けられた表面の移動により接着エレメントが動いたとき、電源をその外側の動きから守る働きをする。加えて、電源をその外側の動きから守ることにより、電源とマイクロ電子回路の間の電気結合も断たれずに守られる。
【0223】
別の態様において、本発明は、接着エレメント及び電源エレメントを包含するデバイスの使用法に関連し、ここで、該デバイスが電子回路を表面に貼り付けに、該電子回路に電力を供給するのに使用されるものとし、該電子回路が接着エレメント及び電源エレメントに引き剥がし可能な形で結合できるものとする。
【0224】
多くのセンサがモニタリングシステムにワイヤで接続されるが、この場合、ワイヤが患者の身体の表面でセンサに貼り付けられた上でモニタリングシステムに接続されるので、患者が動く自由を有さないという欠点がある。患者は、動こうとするたびに、センサに貼り付けられたワイヤのどれも押し退けないように注意しなければならず、また更に、モニタリングシステムを持ち上げ、これを一緒に動かさなければならない。
【0225】
この点からも、外部配線が要らない電池のような隔離型の電源が好ましい。本発明に従って使用されるそのような隔離型の電源は、技術的に良く知られている。
【0226】
一般に、電池は、1回限り使用の一次電池と、再充電可能な二次電池とに分類してよい。
【0227】
一次電池は、陽極と陰極と電解質材料の各種組み合わせをベースにして様々な種類のものが生産されている。一次電池にとって共通の化学組成は、亜鉛炭素、塩化亜鉛、アルカリ二酸化マンガン、酸化銀、亜鉛/空気及びリチウムを含み、リチウムについては、リチウム/二酸化イオウ(Li−SO2)、リチウム/塩化チオニル(Li−SoCl2)、リチウム/二酸化マンガン(Li−MnO2)、リチウム/一フッ化炭素(Li−(CF)n)、リチウム/酸化銅(Li−CuO)、及びリチウム/ヨウ素(Li−I2)の組み合わせの形で含む。
【0228】
再充電可能な二次電池は、代表的には、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素吸蔵合金(NiMH)又はリチウムイオン技術をベースにしている。二次電池は通常、特殊な取扱いと処分を必要とするより高い活性の化学組成を有する。
【0229】
電池のサイズ及びセルケースは、標準の円筒セル、マルチセル、コインセル、ポーチセル、及び薄膜セルを含めて数多く存在する。
【0230】
標準の円筒セル及びマルチセルの電池は、普通の家庭用品、例えば懐中電灯やリモコン装置から知られている。このグループは、良く知られたサイズAA(単三)、D(単一)、C(単二)及び9V角形を含む。
【0231】
コインセル又はボタンセルは、代表的には高さ数ミリメートルの小さい丸形である。このグループは、時計、補聴器、及びバックアップメモリにおいて多く見られる。これらは固形陰極をベースにしているので、これらのシステムは極めて安全と見なされる。
【0232】
デュラセル、パナソニック、ソニー及びエナジャイザーが、標準形セル電池及びコインセル電池の大手メーカーのうちの幾つかである。
【0233】
あるいは代わりに、固形電解質を使ったリチウムポリマーセルと一緒にポーチケースを使用することで別種の電池を作ることができる。これは曲げることのできる低コストタイプとなる。この種の電池は、再充電可能であることに加えて、高いエネルギー密度を特徴とする。固形電解質は、漏れない安全なセルを可能にする。フォイルの構成は、極薄の軽量セル設計を可能にする。
【0234】
ブリト・バッテリー(Bullith Batteries)社は、この技術をベースにしてフレキシブル電池を製造する。
【0235】
なお別の種類の電池が、固体リチウムポリマーを多様な基体の表面に印刷した化学組成物をベースにした薄膜電池である。該材料をプラスチック、金属薄箔又は紙の上に直接印刷することで極薄のフレキシブル電源が得られる。この電池は、どんな形、どんなサイズででも作ることができるが、一般にエネルギー蓄積と電流容量が限られる。この電池は、苛性物質を含有せず、過熱、爆発又は感電の危険が無いので、極めて安全である。
【0236】
イスラエルのパワーペーパー社は、薄膜技術をベースにした製品を販売している。他にこの種の電池を生産する会社は、オークリッジ・マイクロエナジー社とインフィニット・パワー・ソリューション社である。
【0237】
一実施例において、接着エレメントは、上で述べた通りの三次元接着体として形成される。すなわち、接着エレメントは相当の厚み、代表的には、その表面に施着される裏当て層より数倍大きい厚みを有する。
【0238】
三次元接着体を作り上げる感圧接着剤は、好ましくは、身体が動いている最中でも接着性を保持しながら接着デバイスを身体部分の湾曲に適合させ得るだけのフレキシビリティを有する成型可能な熱可塑性感圧接着剤及び/又は化学的に硬化する感圧接着剤である。
【0239】
裏当て層はまた、カバー層として機能してよく、その場合、該裏当て/カバー層は、接着剤が施着される基層として機能し、接着剤を外部環境、例えば、肌着、衣服又は湿気から守る働きをする。
【0240】
また、電気機械的ディスプレイシステムをカバー層に施着してよい。このようなディスプレイシステムが施着してあれば、使用者は、粉末接着剤をマイクロ電子システムに加える前でも使用中でも、電池の充電状態をテストすることができる。
【0241】
そこで、技術的に知られた単純な電池インジケータを使用してよい。例えば、2つの接触電極と導電性サーモクロミックインク、代表的には液晶インク又はロイコ染料からなるフォイルを使用してよい。
【0242】
例えば普通のコイン電池を使用するとき、一方の電極は電池の陽極と接触し、他方の電極は電池の陰極と接触する。接触デバイスを電池の頂部に押し付けることにより、電池テスト回路は閉じられ、サーモクロミックインクは発光し、電池状態を指示することになる。
【0243】
カバー層又はフィルムは、統合された/埋め込まれたマイクロ電子コンポーネントならびに接着体を外部環境から守る。
【0244】
本発明の接着デバイスは、下で詳細に述べる通り、多様な方法で作ってよい。すべての構成に共通するのは、三次元形状がマイクロ電子システムにとって好ましい保護効果をもたらし、同時に、デバイスに可能な限り滑らかな表面を与えることである。特にデバイスのエッジの成形には注意を払う必要がある。さもないと、肌着がエッジに容易に貼り付き、エッジの丸まる原因になる。それゆえ、マイクロ電子システムを埋め込んだ接着デバイスの外縁は、デバイスの最も厚い部分、通常はマイクロ電子システムを包含する中心部の厚みの半分より小さい厚みに成形しなければならない。
【0245】
図1は、本発明に係る接着デバイスの代表的な形状の断面を示す。CTはデバイスの最大厚に関係し、PTはデバイスの周囲部分の厚みに関係する。デバイスは、必ずしも対称形である必要はない。
【0246】
図2は、図3〜12に描かれる接着デバイス部品を示すボックスを有する。図2に描かれた通り、電子部品101は、カバー層103及びリリースライナ104を付けた接着体102に埋め込まれている。
【0247】
本発明の一実施例では、全部の電気コンポーネントが1つのユニットに埋め込まれ、このユニットが接着体に埋め込まれ、全面、感圧接着剤で覆われており、これで1つの処分可能なパッドを作っている。図3に描かれた通り、電子部品101のアセンブリが、カバー層103及びリリースライナ104を付けた接着体102に埋め込まれている。
【0248】
図4は、コンポーネント相互間に所要の機械結合又は電気結合が存在すれば、マイクロ電子感知システムを接着体内部の異なる場所で位置決めしてよいことを示す。全部のコンポーネントが接着体に埋め込まれ、全面、接着体の感圧接着剤で覆われている。
【0249】
全部のマイクロ電子コンポーネントを接着体内部で統合することは、1回限り使用の安価な使い捨てデバイスにとって有用である。接着デバイスの有効寿命は短いので、電子品はカプセル化など特別な保護をほとんど又はまったく必要としない。接着体自体がマイクロ電子コンポーネントを保護する働きをする。
【0250】
マイクロ電子システムの全部のコンポーネントが全面、接着体で覆われていても、幾つかの適用対象(湿度、光、又は化学薬品/ガス)の感知はなお可能である。
【0251】
全面覆われていてよいシステムは、また、RFIDタグ、ネットワーク・ハブ、ネットワーク・コーディネータ、ゲートウェイ、又は、データの収集、通信及び/又は伝送が可能な他のシステムであってもよい。多くの場合、これらのシステムを起動させるためには何らかの種類のアクティブ化、例えば、可使寿命と比べて長い在庫寿命のニーズを克服する圧力接触又は磁気接触などが必要となろう。
【0252】
図5は、マイクロ電子システムが接着体の凹部に埋め込まれた/凹部の中に施着された、本発明の一実施例を示す。凹部は、接着体の上面に位置決めされている。マイクロ電子システムは、接着体の製造の間、接着デバイスを皮膚に貼り付けする直前、又は貼り付けした直後に埋め込んで/貼り付けしてよい。この実施例では、マイクロ電子システムを再使用してよい。
【0253】
図6は、図5のシステムに相似のマイクロ電子システムを示す。但し、図6では、システムが2つの部分からなる。交換可能又は再使用可能な上部分と、最初から接着体の凹部に埋め込まれた下部分である。上部分は、例えば電源であってよい。
【0254】
図7は、マイクロ電子システムの幾つかのコンポーネントが生産中の接着デバイスに埋め込まれ、幾つかのコンポーネントが接着体の上面の凹部の中に施着される、すなわち、交換可能又は再使用可能である実施例を示す。この実施例では、1つ以上のコンポーネントが接着体内部に埋め込まれてよく、1つ以上のコンポーネントが接着体の上面の凹部の中に存在してよい。コンポーネント相互間の所要の機械結合又は電気結合も、接着体に埋め込まれる。図には1つしか描かれていないが、凹部は接着体の上面に2つ以上あってよく、2つ以上のコンポーネントが接着体に統合されていてよい。
【0255】
凹部の中の交換可能な部品は、凹部の中の感圧接着剤の接着性によって凹部の中に閉じ込められていてよい。代替の実施例では、凹部の中のマイクロ電子コンポーネントは、凹部の中にあるスナップロックなどのロックに嵌め込まれるように設計されたカップリング又はプラグでカプセル化されている。
【0256】
図8は、マイクロ電子システムが接着体の下面の凹部に埋め込まれた/凹部の中に施着された、本発明の一実施例を示す。マイクロ電子システムは、接着デバイスの製造の間、接着デバイスを皮膚に貼り付けする直前、又は貼り付けした直後に埋め込んで/貼り付けしてよい。このシステムは、代表的には、システムのコンポーネントの幾つかが非侵襲的又は侵襲的に皮膚と接触している場所で使用される。
【0257】
図9は、マイクロ電子システムの幾つかのコンポーネントが生産中の接着デバイスに統合され、幾つかのコンポーネントが接着体の下面の凹部の中に施着される、すなわち、交換可能である実施例を示す。この実施例では、1つ以上のコンポーネントが接着体に統合されていてよく、1つ以上のコンポーネントが接着体の表面の凹部の中に存在してよい。コンポーネント相互間の所要の機械結合又は電気結合も、接着体に統合される。図には1つしか描かれていないが、凹部は接着体の下面に2つ以上あってよく、2つ以上のコンポーネントが相異なる場所で接着体に統合されていてよい。
【0258】
図10は、マイクロ電子システムの幾つかのコンポーネントが生産中の接着デバイスに統合され、幾つかのコンポーネントが接着体の下面の凹部の中に施着される、すなわち、交換可能又は再使用可能である実施例を示す。この実施例では、1つ以上のコンポーネントが接着体に別個に統合されていてよく、1つ以上のコンポーネントが接着体の表面の凹部の中に存在してよい。コンポーネント相互間の所要の機械結合又は電気結合も、接着体に統合される。図には1つしか描かれていないが、凹部は接着体の下面に2つ以上あってよい。
【0259】
この構成は、トランスデューサ又はアクチュエータが皮膚接触又は皮膚針入(例えば電極又はニードル)を活用する一方、マイクロ電子システムの残りが接着体(電池、アンテナ、電極、A/D変換器、増幅器)に埋め込まれる場面で好適である。この構成はまた、製造上幾つかの利点を持つ。
【0260】
よって、図8、9及び10に描かれているのは、交換可能な部品、例えば電池が患者に面した接着部分に貼り付けられる構成である。接着センサデバイスを哺乳動物の皮膚に取り付ける前に保護リリースライナを剥がし、交換可能な電池をマイクロ電子システムの残りに結合させる。これで、電子システムは機能できるようになる。この後、デバイスの接着部分を患者の皮膚に貼り付けし、構成全体を皮膚に取り付ける。
【0261】
使用後、交換可能な部品、例えば電池を取り替え、接着デバイスを患者の新たなモニタリングのために使用してよい。
【0262】
接着デバイスを剥がすのに続いて電池を取り出しできるようにするために、接着デバイスの凹部の内側は、PDMS硬化性コーティング又は他の非接着性コーティングで被覆できよう。この処置により、電池の交換は容易になろう。
【0263】
電池ならびに他の交換可能なコンポーネント、例えばチップは、接着体の下面の凹部の中に存在してよい。この実施例では、カプセルの中に入れられた、例えば射出成形カプセルに埋め込まれた交換可能なマイクロ電子部品を有することが有利であり得る。
【0264】
マイクロ電子コンポーネントを中に入れたカプセルを取り付ける直前に、リリースライナを剥がし、交換可能なカプセルを接着構造の凹部の中の接着体に貼り付けする。交換可能なカプセルの取り出しを容易にするため、マイクロ電子コンポーネントは、PDMS硬化性コーティング又は他の非接着性コーティングで被覆してよい。
【0265】
マイクロ電子コンポーネントが接着体より長い寿命を有するときは、安価なコンポーネント、例えばトランスデューサ、アンテナ、電源などを接着体に統合し、再使用可能なコンポーネントを使用前に凹部の中に入れてよい。
【0266】
システムを施着前に特定ユーザー向けに準備又はプログラムする場面では別の施着方法がある。
【0267】
図3との関連において述べた特徴及び施着方法は、図5に描かれた実施例に等しく当てはまり、また、その逆も当てはまる。
【0268】
図11は、接着体の上面と下面の両方からマイクロ電子システムに接近できるようにする貫通穴にマイクロ電子システムを通して接着体に統合した態様を示す。マイクロ電子システムの施着は、接着体の製造/製作の間、皮膚に施着する直前、及び/又は皮膚に施着した後のいつでも可能である。
【0269】
図12は、マイクロ電子システムの2つのコンポーネント又はコンポーネントアセンブリ同士を何らかの方法で結合させた態様を示す。コンポーネントの一方は生産中に統合してよく、他方は後から施着してよい。
【0270】
あるいは代わりに、コンポーネント又はコンポーネントアセンブリを後から施着する。これは、例えば電池とトランスデューサのように可使寿命の異なる電子コンポーネントを異なる時期に交換するのが得策である場合に有用である。この実施例では、スナップロック又はプラグのように機械的及び/又は電気的な相互結合を作るのが有利である。
【0271】
図4に描かれたシステムは、皮膚接触と上面から電子コンポーネントへの同時接近が必要である場合に有用である。1つ又は両方のサブシステムが再使用できる。
【0272】
図5及び8との関連において述べた特徴及び施着方法は、図11に描かれた実施例に等しく当てはまり、また、その逆も当てはまる。
【0273】
図13〜18は、アンテナ、中央処理装置、電池及び電極が接着デバイスに埋め込まれた、本発明の一実施例を示す。
【0274】
図13は、A−Aでの横断面を見せるデバイスの二次元形状を示す。
【0275】
図14は、接着デバイスの外側部分に置かれ、マイクロ電子システムの中心部に接続されたアンテナ109を示す。
【0276】
図15は、図13のA−Aに沿った横断面の第3次元を示す。デバイスの縁からの円Bを更に拡大して図16に示し、中心の円Cを更に拡大して図17に示す。
【0277】
図16は、接着デバイスに埋め込まれた状態のアンテナの構成をより詳細に示す。これは、接着体102のためのカバー層103とリリースライナ104を明瞭に示す。
【0278】
図17は、電池105、CPU106、及び、接着デバイスを突き出る電極107を付けたマイクロ電子システム1の中心部の位置を示す。電池とCPUは、透明シリコーンゴム108で包まれている。
【0279】
図18は、接着デバイスを斜視図で示す。
【0280】
三次元の構成の基本条件を満たすマイクロ電子システムを埋め込んだ接着デバイスの作り方は他にもあり、よって、限定的に図面を描くことは差し控える。
【0281】
本発明の特別な利点のひとつは、感圧接着剤から三次元形状の接着体を単純かつ安価な方法で調製できることである。
【0282】
上で述べた通り、感圧接着剤は、三次元形状に造形できる性質を持つ熱可塑性感圧接着剤か化学的に硬化する接着剤かどちらかである。
【0283】
熱可塑性感圧接着剤は、代表的には、100〜120℃より高い温度、すなわち、接着剤組成物を所望の形状に容易に造形できるようにするガラス転移温度より高い温度で流動状態に入り、中位の粘度を獲得してよい。造形方法の1例が直接成型であってよい。第1の工程において、カバーフィルムのガラス転移温度よりほんの少し低い温度でカバー層を所望の形で準備し、次に、所要量の接着剤を型に注入し、型を満たす。成型は、適宜2工程であってよい。第2の工程において溶融状態の接着剤の一部を型に注入し、第3の工程において電子部品を型の中に入れ、第4の工程において残りの接着剤を注入し、これで電子部品を覆う。最終工程としてリリースライナを施してから、接着デバイスを型から出す。
【0284】
あるいは代わりに、高めの温度、但し、接着剤のガラス転移温度より少し低い温度で、カバーフィルムでラミネート化された接着剤を圧縮、プレス加工又は成型により所望の形状に成形してよい。任意には、マイクロ電子システムを接着剤の2つの層の間に入れてから造形してよい。造形は、プレス型において高めの温度で行い、望むならば、マイクロ電子システムを型の中、好ましくは型の中心に入れた状態で行う。
【0285】
交換可能又は再使用可能なコンポーネントが接着デバイスの一部である特別な実施例では、メス形の型部分とオス形の型部分が必要となる。
【0286】
本発明の別の実施例では、硬化性感圧接着剤を所望の形状に鋳造する。鋳造は、上で述べた成型法と同じ原理に従ってよい。すなわち、型をカバーフィルムの一部分で満たし、その上に電子コンポーネントを置き、その後、接着剤で型をいっぱいに満たし、最後に、リリースライナを施し、必要であれば硬化させ、ダイカットする。
【0287】
別の方法は、高い粘度又は極めて高い粘度を持つ接着剤の圧縮による造形である。第1の工程において、ロールから切り取ったカバーフィルムの上に感圧接着剤、例えばブロック共重合体を含有するハイドロコロイドを施した一次層を加工機の中に入れ、第2の工程において、予め組み立てた、任意にカプセル化したマイクロ電子コンポーネントを適当な間隔で置き、第3の工程において、一次層と同じ、又は別の感圧接着剤の二次層と前記一次層の間にマイクロ電子部品を挿入してラミネート化し、第4の工程において、前記ラミネートを油圧プレスにかけ、マイクロ電子部品の上に多重突起が集中した形に成形し、第5の工程において個々の突起をダイカットし、最終形状のデバイスに仕上げる。
【0288】
感圧接着デバイスは、米国特許第6726791号(US6726791)で述べられた通りの連続プロセスに従って生産することができる。
【0289】
図19、20及び21は、本発明に係るセンサアセンブリの一実施例1を示す。図19は、このセンサアセンブリの分解図である。図20は、センサアセンブリを組み立てたときの図19の線XX−XXに沿った断面で見たアセンブリを示す。図21は、皮膚の側(近位側、すなわち、センサアセンブリのうち皮膚に貼り付けられる側でもある)から見たセンサアセンブリを示す。
【0290】
センサアセンブリ1は、センサデバイス2と、マイクロ電子回路4を内蔵するハウジングエレメント3からなる。センサデバイス2は、接着エレメント5と、コインセル電池6の形の電源エレメントにより作り上げられる。ハウジングエレメント3は、遠位側部分7と近位側部分8から作り上げられる。凹部9が遠位側部分に形成される。凹部は、周囲がコインセル電池の周囲より少し大きいので、中にコインセル電池を受容することができる。
【0291】
凹部の中に2つの電気接点10a、10bが設けられており、電池6を凹部の中に入れると、マイクロ電子回路4と電池の間に電気結合が作られる。マイクロ電子回路は、プリント基板11の上に配置された多数のコンポーネントから作り上げられる。この回路は技術的に周知であり、それ自体は本発明の対象でないので、個々のコンポーネントについてはここで説明しない。総じて言えるのは、回路が、プリント基板上に印刷された導電性材料の多数配線により形成されたアンテナ12を包含することである。アンテナは、通信エリア内に置かれた中央装置からデータを受信し、そこにデータを送信する。中央装置は、例えば、センサアセンブリからのデータを収集するパーソナルコンピュータであってよい。データはその後、周知のプロセス及びアルゴリズムに従って処理される。
【0292】
アンテナ12は、第1トランスデューサ14と第2トランスデューサ15からの信号を受信するマイクロプロセッサ13に接続される。第1トランスデューサと第2トランスデューサは、プリント基板から近位側部分を通って延び、近位側部分の近位側表面上で終わる。よって、ハウジングを皮膚の上に置くと、第1トランスデューサと第2トランスデューサは皮膚表面と接触する。第1トランスデューサと第2トランスデューサの間の干渉を減じるために、バリヤエレメント16を近位側部分の近位側表面上で2つのトランスデューサの間に置く。バリヤエレメントは誘電材料で作られており、代表的には、2つの電子コンポーネントの間の望ましくない干渉の原因となるいわゆる漏話を避けるための周知の手段である。
【0293】
使用時、電池を凹部に入れる。これで、電池は電気接点10a、10bと接触させられ、それによってマイクロ電子回路は付勢される。次に、接着エレメントをハウジングの遠位側部分の遠位側と電池の遠位側に施着する。これで、電池は凹部の中に締着され、接着エレメントと電源エレメントとハウジングエレメントは結合させられ、1つのセンサアセンブリに作り上げられる。見て分かる通り、接着エレメントの周囲はハウジングの周囲より大きいので、人間又は他の哺乳動物の皮膚表面に施すことのできる近位側接着表面17が出来上がる。
【0294】
センサアセンブリを後に取り出し、接着エレメントをハウジングエレメントから分離すると、電池の遠位側表面が接着エレメントに貼り付けられているので、電池は接着エレメントと一緒に除去される。これで、接着エレメントと電池は処分でき、ハウジングエレメントは、再使用に備えて清浄し、保存してよい。
【0295】
接着エレメントは、例えば、擦り切れた衣服布の内側など望ましくない表面に付着しないよう、接着エレメントを保護するカバー層18で覆われている。カバー層18はまた、生産中に接着材19を施される裏当て層として機能する。
【0296】
図22aは、本発明に係るデバイスの別の実施例30を示す。図22bは、図22aの断面を拡大して示す。デバイスは、二次元の接着エレメント31と、この接着エレメントに貼り付けられたコインセル電池32の形の電源により作り上げられる。
【0297】
接着エレメントは裏当て層33から形成される。裏当て層の近位側に第1接着層34が設けられており、これを第1リリースライナ35が覆っている。裏当て層の遠位側に第2接着層36が設けられており、これに電池が貼り付けられる。第2リリースライナ37が接着エレメントの遠位側の残りを覆っており、これには電池が貼り付けられない。
【0298】
接着エレメントを人間の皮膚表面などの表面に施着したら、第1リリースライナ35を剥がす。これで第1接着層34が露出し、皮膚表面に付着できる。そこで、デバイス30を皮膚表面に貼り付けする。貼り付けしたら、第2リリースライナを剥がし、第2接着層を露出させる。次に、図面には示されていないが、マイクロ電子システムを内蔵するハウジングを第2接着層に貼り付けし、同時に、ハウジング表面の電気接点を電池32と電気結合させる。
【0299】
上で述べたようなハウジングは、図19に則して述べたハウジングのように表面接点を一切持たないが、なおセンサ機能を包含してよい。このようなセンサは単に周囲温度を測定するだけであってよく、又は、デバイスを鼻の下に施着し、鼻を通して呼吸リズムを測定するセンサをデバイスの上に施着してもよい。あるいは代わりに、皮膚接触トランスデューサをデバイスの周囲の外側に施着し、それに貼り付けしたままにしておいてよい。
【0300】
図23は、本発明に係る二次元デバイスの更に別の実施例40を示し、図24は、図23の線XXIV−XXIVに沿った第3の実施例の断面図を示す。ここで、電源エレメントは、薄膜電池41として形作られ、裏当て層42の一体化された部分をなしている。
【0301】
裏当て層の近位側に第1接着層43が施されており、これを第1リリースライナ44が覆っている。裏当て層の遠位側は第2接着層45で覆われ、これを第2リリースライナ46が覆っている。第2接着層は部位47で中断されており、これで、薄膜電池との電気接触を作る接点48a及び48bに接近できる。
【0302】
使用時、図23に則して述べたデバイス40を、図22に則して述べたデバイス30と同じ方法で施着する。
【0303】
裏当て層の近位側と裏当て層の遠位側にそれぞれ異なる種類の接着剤を使用してよいことを理解されたい。近位側の接着剤は皮膚表面に施されるので、皮膚にやさしい種類であるのが望ましく、他方、遠位側の接着剤は、電子回路又は電子回路内蔵ハウジングに最適に接着できると同時に、使用後にデバイスをそこから分離できるようにする種類であるのが望ましい。
【0304】
上の実施例で述べたのは、デバイスを電子回路に接続する貼り付けタイプの引き剥がし可能な形で貼り付けできる手段であるが、他のタイプの引き剥がし可能な形で貼り付けできる手段を使用してもよい。このような引き剥がし可能な形で貼り付けできる手段は、例えば、電池とハウジングの凹部の間のスナップロック装置のような機械品であってよく、ここで、凹部は、電池と結合する突起リブで形成されていてよい。あるいは代わりに、補助のカップリング手段が、電子回路又は電子回路内蔵ハウジングの側の相補的なカップリング手段と結合できるようにデバイスに設けてあってよく、また、例えば、バヨネットカップリング、フック、摩擦カップリング又はねじ付きカップリングの形であってよい。
【0305】
例1
3バッチ分の接着剤を生産した。接着剤は、Herman LindenのZブレード・ミキサ(機種LK 110.5)において標準ホットメルト手順により、エラストマー(Kraton)の成分と可塑剤(DOA)の1/3と樹脂(Arkon)を130℃で、均質の混合物が得られるまで(30〜50分間)混合することによって調製した。可塑剤の残りとハイドロコロイド充填剤(CMC)を添加し、混合物を20分間混和した。
【表1】

【0306】
例2
成型による例1の接着剤の造形体:
請求項1に記載の接着剤の各々をポリエチレンの35μm厚カバーフィルムに施し、シリコーン処理されたポリエチレンライナを接着剤パッチの反対側に施し、挿図1〜3のいずれか一項に示した所望の形状に設計された型において90℃下で、ノンキャビティ・ホールド型(non−cavity holding mould)を凹部の形状が与えられるように変えることにより、該所望の形状に造形した。接着デバイスの中心の厚みは3.4mm、外縁の厚みは0.4mmであった。
【0307】
例3
シリコーン成型による感圧接着体:
Dow Corning 7−9800 A&B(A対Bの混合比は重量ベース1:1)をPDMS系接着体の生産に使用した。型は、三角形(三角形の各辺が長さ300mm、三角形の中心部の厚みが0.5mm、周縁の厚みが0.1mm)の型を使用した。成分を万遍なく混合し、三角形の型のメス形部分に入れたシリコーンゴムライニングの50μmカバー層の上に施し、低密度ポリエチレンリリースライナを張ったオス形部分をその上に置いた。接着体を100℃のオーブンの中で15分間硬化させた。硬化後、接着体を型から出し、接着体デバイスの中心にマイクロ電子システム埋め込み用の窪みを型打ちした。
【0308】
例4
熱可塑剤PSA成型による感圧接着体:
例1における処方2の成分をHerman Lindenミキサで混合し、出来たパン生地様の材料塊を、まだ温かく軟らかいうちにミキサから取り出し、型の内空部の中に置かれた熱可塑性ポリウレタンのカバーフィルムの上に置き、その上にリリースライナをかぶせた。型の第2部分は平坦であった。接着体は、約90℃、100barで圧縮成形される。リリースライナを剥がし、カプセル化されたマイクロ電子感知システムを型の中の接着体に中心に置き、リリースライナを再び当て、造形工程を繰り返した。最後に、出来上がったセンサパッドを型から出した。
【0309】
例5
熱可塑剤PSA成型によるRFIDタグ一体化接着体:
例1における処方2の感圧接着剤をHerman Lindenミキサで混合し、出来た材料の一部を、まだ温かく軟らかいうちにミキサから取り出し、型のメス形部分の中のカバーフィルムの上に置き、その上にリリースライナをかぶせた。その後、製品のマイクロ電子システムに相当する部位の上に小さい突起が突き出る型オス形部分を乗せた。構成全体を約90℃、100barで圧縮成形する。その後、リリースライナを剥がし、ポリプロピレンでカプセル化されたRFIDタグを感圧接着体の凹部の中に置き、型を残りの接着剤で満たした。リリースライナを再び当て、構成全体を再び圧縮成形した。出来上がったパッドを型から出した。外縁の厚みは0.2mm、中心の厚みは2.5mm、形状は直径40mmの円形であった。
【0310】
例6
本例では、接着体に埋め込まれたマイクロ電子システムが、RFIDタグ、通信用コンポーネント及び記憶用コンポーネントからなる。マイクロ電子システムを保護するため、コンポーネントをポリエチレンでカプセル化する。コンポーネントを、米国特許第6726791号(US6726791)で述べられた通りの連続プロセスの間に熱可塑剤PSAで統合する。一次層は感圧接着剤を使ったカバーフィルムを包含し、二次層はカプセル化されたマイクロ電子部品である。第3の層は感圧接着剤の成型可能な層である。構成全体を型の内空部の中で組み合わせる。
【0311】
例7
ハイドロゲル接着組成物の調製:
PVP K−90 3.5g、PVP K−25 17.5g、Pemulen TR2 3.5g及びPEG403 28gをプレミックスとして混合した。先ず、可塑化グリコールとPVPと橋かけ結合したポリアクリル酸のプレミックスを添加し、Brabenderミキサにおいて100℃で10分間混合した。次に、両親媒性ポリウレタン(Tecogel 2000)17.5gを徐々に添加し、成分が完全に混合されるようにした。20分間混合の後、肉眼で見て均質の混合物が得られた。混合室からの温かい接着剤を、後から加えられるマイクロ電子システムのための窪みを付けた円形接着体(直径4cm)の中に注入した。パッドの厚みは、中心の3mmから外縁の0.3mmへと徐々に減少していく。接着デバイスは、シリコーンペーパーのシートと30μm厚のポリウレタン・カバーフィルムの間で圧縮成形した。
【0312】
例8
酸素の侵襲的測定のためのマイクロ電子感知システム:
例1、処方2の接着剤を使用し、酸素電極、中央処理装置、送信器及び電池からなるマイクロ電子システムを埋め込んだ。接着体の形状は、中心の厚みが5mm、縁の厚みが0.3mm、パッドの縁から中心へと厚みが直線的に増大する楕円形(70×30mm)である。接着体は、中心に貫通穴を有し、皮膚と接触する表面部分に、シリコーンで覆われたマイクロ電子コンポーネントを埋め込むための窪みを有する。
【0313】
CPU、電池及び送信器については、例11の中で述べる。酸素電極は、酸素電極製品番号723(米国Diamond General, Development Corp.製品)であった。
CPU、送信器及び電池を電気接続し、その後、高分子シリコーンの薄層で覆った。但し、CPUの電極との電気接点だけはコーティングなしのままである。
【0314】
感知デバイスの電極の頂部は、外径0.7mmの医療用針で囲む。
【0315】
使用中、電極と針は、CPUの電気接点が電極の対応する接点と結合させられるように位置決めする。
【0316】
測定デバイス施着の間、一部分がシリコーンで覆われたマイクロ電子システムを先ず、デバイスの皮膚接触側にある窪みの中の接着体の上に乗せた。デバイスは皮膚に当たる。次に、針を外側から穴に通して位置決めする。そこで、第2の工程において皮膚に針を刺し、第3の工程として、プラグで一部分が包まれた電極を針の中空中心の中に通して取り付ける。これで、マイクロ電子システムの被覆されていない結合部への電気接触が生まれる。電極のプラグ部分は、凹部を導入することなくカバーフィルムの湾曲にフィットする。
【0317】
使用中、正しい信号を得るために必要に応じて電極を洗浄し、再び当ててよい。
【0318】
例9
本発明に係る接着センサデバイスに埋め込まれたマイクロ電子ハブ:
片側に平滑表面を持つ楕円形シェル(50×80mm)を形成する第1の層に例1、処方1の接着剤を注入した。その表面は、外周面に向かって傾斜し、30μmポリウレタン薄膜で覆われている。すなわち、型と接着剤の間に置かれている。接着体の反対側は、マイクロ電子システムを入れるための、中心が軟らかい約2×10×15mmの窪みを付けた形にした。この窪みを付けた表面の上にポリウレタンのシリコーン化リリースライナを置いた。第2の工程において、リリースライナを剥がし、アンテナを接着体の外周面に置き、CPUと電池を中心の窪みに入れた。最終工程において、第2の接着層を施し、アンテナを接着体の外周面の部位で埋め込んだ。但し、中心の窪みの中のコンポーネントは埋め込まなかった。リリースライナを施し、出来上がった構成全体を最終サイズにダイカットした。アンテナは、電気接触エレメントを通して中心のマイクロ電子部品に接続されており、これで中心部の再使用を可能にしている。アンテナはポリエチレンテレフタレート(PET)のプラスチック薄膜でカプセル化され、中心のマイクロ電子部品はシリコーンゴムでカプセル化されている。
【0319】
例10
マイクロ電子ハブ:
先の例1の感圧接着剤においてアンテナと電池が完全に統合されたマイクロ電子ハブを付けた構成である。統合は、例9の最終工程の接着層でアンテナと中心のマイクロ電子部品を覆うことによって為されている。
【0320】
例11
人体温度感知用マイクロ電子システムと遠隔通信なしのアラームを埋め込んだ接着デバイス:
例1、処方2の接着剤を使用し、温度センサ、中央処理装置、送信器、電池及びOLED(有機発光ダイオード)からなるマイクロ電子システムを埋め込んだ。接着体の形状は、中心の厚みが5mm、周縁の厚みが0.2mm、パッドの縁から中心へと厚みが直線的に増大する円形(30mm)である。接着体は、皮膚と接触する表面部分に、シリコーンで覆われたマイクロ電子コンポーネントを埋め込むための窪みを有する。
【0321】
CPUはATMEL製のμController ATMEGA 128L、AVR 8bit RISCプロセッサ、電池はパナソニック・コイルセルCR3202である。
OLEDフレキシブルカラーディスプレイは、OSD(One Stop Display)製、部品番号OSCC 130−0である。温度センサはPasport Ps−2125である。
【0322】
使用中、温度センサは、人間の皮膚温度を連続的に監視する。昼夜間の温度勾配の影響を受けたある種のイベントがマイクロコントローラにより記憶データと比べられた上で特定されたとき、システムは、当該情報をフレキシブルディスプレイにおいて目視可能な文字アラーム又は光アラームの形で知らせてくる。
【0323】
システムは、接着デバイスに統合されており、リリースライナを剥がしたときにアクティブ化され、電池の終わりまで機能し続ける。
【0324】
例12
人体温度感知用マイクロ電子システムと遠隔通信なしのアラームを埋め込んだ接着デバイスを例11に従って製作する。
【0325】
接着デバイスの構成は、温度変化を信号で知らせるOLEDフレキシブルカラーディスプレイの代わりにEL(エレクトロルミネセンスランプ)をデバイス表面の信号表示部品として使用することを除いて、例11の構成と同一である。この部品は、Being Seen Technologies製のELランプ、部品番号300210KITである。
【0326】
使用中、温度センサは、人間の皮膚温度を連続的に監視する。昼夜間の温度勾配の影響を受けたある種のイベントがマイクロコントローラにより記憶データと比べられた上で特定されたとき、システムは、それを目視可能な光アラームの形で知らせてくる。
【0327】
例13
図19〜21に則して述べた一実施例では、接着材19が、ハイドロコロイドを含むホットメルト処理可能なスチレン・ブロック共重合体からなる感圧接着剤(PSA)であり、電池は金属ケース入りコインセル電池、ハウジングはポリジメチルシロキサンの層で被覆されている。
【0328】
この例13において、PSAと表面、電池及びハウジングの間のそれぞれの剥離力を求めた。
【0329】
PSAは、ハイドロコロイドを含むホットメルト処理可能なスチレン・ブロック共重合体で、所望の形状に熱間成形されている。PSA(Aと呼ぶ)は下記の組成を有する。Kraton D1107(Kraton Polymers)25%、Arkon P90(Arkawa Ltd.の水素化シクロペンタジエン)35%、アジピン酸ジオクチル8%及びカルボキシメチルセルロースナトリウム32%。
【0330】
相異なる部品の間の剥離力を明らかにするため、FINATを使って剥離力を求めた。測定条件は、FTM2、テストサンプル幅25mm、剥離角90°、テスト速度毎分300mm、放置時間30分である。
【0331】
皮膚に対する剥離力に関しては下記のテスト方法を採用した。
25mm幅の接着剤ストリップをPSA組成物Aの帯材から切断した。サンプルの伸長を防ぐために接着テープ(TESA 4124)のストリップ1枚を貼り付けした。サンプルをクランプに貼り付けた。皮膚の準備のために被験者(ボランテイア)の前腕より先の部分を石鹸水で洗い、少なくとも2時間乾かしてから、PSAを貼り付けした。サンプルの接着側を準備した皮膚の上に置いた。この状態で30分間放置した。クランプを引張試験機Instron 5564型のフックに掛けた。前腕を試験機の可動サポートの上に置いた。このとき、90°の剥離角を保つためにサンプルの端がクランプの真下に留まるように注意した。接着剤を毎分300mmの速度で引き剥がすように引張試験機を働かせている間、前腕をそのままの状態に保った。出来たグラフの定常状態部分の剥離値を記録し、前腕の皮膚表面に何も残っていないことを確認した。
【0332】
電池は、パナソニック製、金属ケース入り二酸化マンガン・リチウムコイルセル電池CR2330、マイクロ電子品ハウジングは、NuSil Technology製、MES−1137で、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の層で被覆されていた。
【0333】
接着剤と下記部品の間の剥離力を求めるため、テストを3回繰り返し、下記の結果を得た。ここで、sは標準偏差を表す。
AとPDMS被覆ハウジングの間の剥離力 0.1N/25mm
Aと鋼の間の剥離力 22.5N/25mm(s=2.3)
Aと人体皮膚の間の剥離力 2.5N/25mm(s=0.25)
【0334】
なお、デバイス及びマイクロ電子回路及び/又はハウジングの相異なる部品に相異なるタイプの材料を使用してよく、そうすることにより、相異なる剥離力を提供してよい。そこで、PSAと皮膚の間では1〜5N/25mmの一般的範囲内の剥離力を、PSAとハウジングの間では一般に1N/25mmより小さい剥離力を、そして、PSAと電池の金属ケースの間では一般に20N/25mmより大きい剥離力を達成することが可能であろう。
【0335】
よって、センサアセンブリ1を使用者の皮膚に貼り付けしたとき、使用後、PSAと皮膚の間の剥離力より高い力で接着エレメントを引くことによってそれが容易に引き剥がされることは理解できる。接着エレメント5は、次に、マイクロ電子回路4を含むハウジングエレメント3から容易に分離できる。接着エレメントと電池6の間の剥離力は接着エレメントとハウジングの間の剥離力よりはるかに大きいので、電池を接着エレメントから分離することはほとんど不可能であり、従って、接着エレメントをハウジングから分離するとき、電池は接着エレメントに貼り付けられたままということになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の体表面に貼り付けすべき、マイクロ電子システムを包含する三次元接着デバイスであって、
(a)上面と下面を有する感圧接着剤から作られた三次元接着体、
(b)前記感圧接着剤の本体に埋め込まれたマイクロ電子システム、
(c)前記上面に貼り付けられた1つ以上のカバー層、及び、
(d)前記接着デバイスの下面に引き剥がし可能な形で貼り付けられた任意のリリースライナ
を特徴とする接着デバイス。
【請求項2】
前記マイクロ電子システムがマイクロ電子感知システムであることを特徴とする、請求項1に記載の接着デバイス。
【請求項3】
前記三次元接着デバイスが、哺乳動物の体表面に付着するようにされた略平らな下面と滑らかな上面を有し、前記接着デバイスが接着体の中心部で最も厚く、接着体の周縁で最も薄いことを特徴とする、請求項1または2に記載の接着デバイス。
【請求項4】
前記接着デバイスの周囲の厚みがその最も厚い箇所の厚みの50%より小さく、好ましくは、前記周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの25%より小さく、好ましくは、前記周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの10%より小さく、最も好ましくは、前記周囲の厚みが最も厚い箇所の厚みの5%より小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項5】
前記接着デバイスの周囲の厚みが0.05mmより大きく、好ましくは0.05mmから0.4mmまでの間で、前記接着デバイスの最も厚い箇所の厚みが0.5mmから15mmまでの間、好ましくは1mmから5mmまでの間であることを特徴とする、請求項4に記載の接着デバイス。
【請求項6】
前記接着デバイスの下面と、下面周囲のどこか1点と接着体の最も厚い箇所における上面の1点から引かれた直線の間の角度が60度未満、好ましくは45度未満、最も好ましくは30度未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項7】
前記三次元接着体を作り上げる感圧接着剤が、身体の動いている最中でも接着性を保持しながら接着デバイスを身体部分の湾曲に適合させ得るだけのフレキシビリティを有する成型可能な熱可塑性感圧接着剤であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項8】
前記感圧接着剤が、スチレン・ブロック共重合体や水素化スチレン・ブロック共重合体、アモルファス・ポリ・アルファ・オレフィン(APAO)、ポリアクリル樹脂、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、酢酸ポリエチレンビニル、シリコーンなどのブロック共重合体から、又は、ハイドロゲル感圧接着剤のグループから選択された重合体をベースにした接着剤であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項9】
スチレン・ブロック共重合体や水素化スチレン・ブロック共重合体などの前記ブロック共重合体が、スチレン/エチレン・ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、及び、スチレン/エチレン・プロピレン/スチレン(SEPS)の中から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の接着デバイス。
【請求項10】
前記接着剤が、ポリジメチルシロキサン・ゲルなどのポリジメチルシロキサンをベースにした接着剤であることを特徴とする、請求項8に記載の接着デバイス。
【請求項11】
前記接着体を作り上げる感圧接着剤がハイドロコロイドを包含することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項12】
前記接着体を作り上げる感圧接着剤が発泡接着剤であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項13】
前記マイクロ電子システム全体が前記接着体に統合され、全面が前記接着体で完全に覆われていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項14】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体に統合され、全面が前記接着体で覆われており、前記マイクロ電子システムのコンポーネントの残りが前記接着体の中のどこかに配置され、前記マイクロ電子感知システムのコンポーネントが互いに必要な機械結合及び電気結合を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項15】
前記マイクロ電子システム全体が、前記カバー層に面する前記接着体の上面に設けられた1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項16】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体に統合され、全面が前記接着体で覆われており、前記マイクロ電子システムの残りが、前記カバー層に面する前記接着体の上面に設けられた1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項14に記載の接着デバイス。
【請求項17】
前記マイクロ電子システム全体が、前記接着体の接着下面に設けられた1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項18】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体に統合され、全面が前記接着体で覆われており、前記マイクロ電子感知システムの残りが前記接着体の接着下面に設けられた1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項14に記載の接着デバイス。
【請求項19】
前記マイクロ電子システム全体が、前記接着体の1つ以上の貫通穴の中に収納されており、前記カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近できることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項20】
前記マイクロ電子感知システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体に統合され、前記接着体で覆われており、前記マイクロ電子システムの残りが、前記接着体の1つ以上の貫通穴の中に収納されており、前記カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近できることを特徴とする、請求項14に記載の接着デバイス。
【請求項21】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体に統合され、前記接着体で覆われており、前記マイクロ電子システムの他のコンポーネントが、前記接着体の1つ以上の貫通穴の中に収納されていて、前記カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近でき、また、前記マイクロ電子システムの残りが、前記接着体の上面及び/又は下面の1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項14に記載の接着デバイス。
【請求項22】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体の1つ以上の貫通穴の中に収納されていて、前記カバー層に面する上面と接着下面の両方から接近でき、また、前記マイクロ電子システムの残りが、前記接着体の上面及び/又は下面の1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項23】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが、前記接着体の上面の1つ以上の凹部の中に収納されており、前記マイクロ電子システムの残りが、前記接着体の下面の1つ以上の凹部の中に収納されていることを特徴とする、請求項1〜12に記載の接着デバイス。
【請求項24】
前記マイクロ電子システム又はその1つ以上のコンポーネントが前記接着体と異なる材料でカプセル化されることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項25】
前記マイクロ電子システム又はそのコンポーネントが、ポリマーフィルム、ポリマーフォイル又はポリマーコーティングでカプセル化され、又は、前記マイクロ電子システム又はそのコンポーネントが、ポリマー材料に成型され、又は、ガラス材料又はセラミック材料でカプセル化されることを特徴とする、請求項24に記載の接着デバイス。
【請求項26】
前記カプセル化に使用されるポリマーがシリコーンゴムであることを特徴とする、請求項25に記載の接着デバイス。
【請求項27】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体の外側から接近でき、前記接着デバイスの寿命の間に同様のコンポーネントと交換し得ることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項28】
前記交換し得るコンポーネントがエネルギー源、例えば電池であることを特徴とする、請求項27に記載の接着デバイス。
【請求項29】
前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントが前記接着体の外側から接近でき、前記コンポーネントが再使用し得ることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項30】
前記交換可能なコンポーネント又は再使用可能なコンポーネントがカプセル化され、前記接着体の凹部又は貫通穴にフィットするパッケージを形成することを特徴とする、請求項27〜29のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項31】
前記カプセル化された交換可能又は再使用可能なコンポーネントのパッケージが、機械式の二重化機構、好ましくはスナップロック機構により接着体に固定されることを特徴とする、請求項30に記載の接着デバイス。
【請求項32】
前記カプセル化された交換可能又は再使用可能なコンポーネントのパッケージが、前記接着体の凹部又は貫通穴の中の接着表面に固定されることを特徴とする、請求項30に記載の接着デバイス。
【請求項33】
前記カプセル化された交換可能又は再使用可能なコンポーネントのパッケージが、前記接着体の凹部又は貫通穴の中に固定され、前記凹部又は貫通穴が、PDMSコーティングなどの非接着内面を有することを特徴とする、請求項30に記載の接着デバイス。
【請求項34】
前記マイクロ電子システムが、通信用コンポーネント、CPU(中央処理装置)、電源、記憶用コンポーネント、トランスデューサコンポーネント、アクチュエータコンポーネント、及び、機械的な及び/又は電気的な相互結合コンポーネントの中から選択されたコンポーネントを包含することを特徴とする、請求項1〜33のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項35】
マイクロ電子システムがワイヤレス通信を可能にするシステムであることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項36】
前記トランスデューサが、電極(単極、双極)、圧力センサ、電極付き針、加速度計、光検出器、マイクロホン、ISFET、NTC抵抗器、帯域ギャップ検出器、イオン膜、酵素反応器又は酵素濃縮器から選択された検出用エレメントを有することを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項37】
前記トランスデューサが、電極、例えば鋼電極など、非侵襲型検出エレメントを有することを特徴とする、請求項36に記載の接着デバイス。
【請求項38】
前記トランスデューサが、電極を付けた針など、侵襲型検出エレメントを有することを特徴とする、請求項36に記載の接着デバイス。
【請求項39】
前記検出器と哺乳動物の皮膚の間に物理的回路がないことを特徴とする、請求項34〜36に記載の接着デバイス。
【請求項40】
前記マイクロ電子システムがネットワーク・ハブ、ゲートウェイ又はコーディネータシステムを包含することを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項41】
前記マイクロ電子システムがGPSを含むことを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項42】
前記マイクロ電子システムがRFIDタグを含むことを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項43】
前記マイクロ電子システムが、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU及び電池を包含し、プラスチックでカプセル化されていて、中央装置(CU)にデータを伝送する専用のネットワーク・コーディネータとして働くゲートウェイであることを特徴とする、請求項40に記載の接着デバイス。
【請求項44】
前記マイクロ電子システムが、
記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電池、GPS、GPSデータロギング用のリアルタイムクロックをワイヤレスで同期化するコンポーネントを包含する、任意にプラスチックでカプセル化されたシステム、及び、
記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電池、GPS、GPSデータロギング用のリアルタイムクロックをワイヤレスで同期化するコンポーネント、データロギングを行い、データ及び位置を携帯電話に伝送するモバイルネットを包含する、任意にプラスチックでカプセル化されたシステム
から選択されたシステムであることを特徴とする、請求項41に記載の接着デバイス。
【請求項45】
前記マイクロ電子システムが、神経刺激に有用であり、記憶用コンポーネント、通信用コンポーネント、CPU、電源、及び、データ及び電力を神経刺激用インプラントに伝送するトランスデューサを包含することを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項46】
前記マイクロ電子システムが、筋電図検査に有用であり、トランスデューサ、CPU、電源、通信用コンポーネント、記憶用コンポーネント、及び、任意にアクチュエータを包含することを特徴とする、請求項34に記載の接着デバイス。
【請求項47】
前記マイクロ電子システムに電力を供給する電源エレメントを包含し、前記接着体が前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントに引き剥がし可能な形で貼り付けでき、
前記接着体が体表面に付着するために少なくとも1つの第1の領域を有する
ことを特徴とする、請求項1〜46に記載の接着デバイス。
【請求項48】
前記電源エレメントが前記接着体に貼り付けられており、該接着エレメントが前記マイクロ電子システムの1つ以上のコンポーネントに付着するために少なくとも1つの第2の領域を有することを特徴とする、請求項47に記載の接着デバイス。
【請求項49】
前記第2の領域と電子回路の間の第1の剥離力が、前記電源と前記接着体の間の第2の剥離力より小さいことを特徴とする、請求項47又は48に記載の接着デバイス。
【請求項50】
前記電源エレメントの少なくとも一部分が前記接着体に内蔵されていることを特徴とする、請求項47〜49のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項51】
前記接着デバイスが、前記マイクロ電子システムを内蔵するハウジングに引き剥がし可能な形で結合できるようになっていること、及び、前記ハウジングが近位側ハウジング部分と遠位側ハウジング部分から形成されていることを特徴とする、請求項47〜50のいずれか一項に記載の接着デバイス。
【請求項52】
前記少なくとも1つの電源が、前記遠位側ハウジング部分に形成された凹部の中に受容されるようになっていること、及び、少なくとも1つの電気接点が前記遠位側ハウジング部分に設けられており、前記電源とマイクロ電子回路の間の電気的な結合が作られることを特徴とする、請求項51に記載の接着デバイス。
【請求項53】
哺乳動物の体表面に貼り付けられるように作られたセンサアセンブリであって、
多数の電気コンポーネントを包含するセンサ回路、
前記電気コンポーネントの少なくとも1つに電力を供給するための少なくとも1つの電源、
前記センサアセンブリを哺乳動物の体表面に貼り付けるための少なくとも1つの接着エレメント
を包含し、及び
前記電源及び接着エレメントの少なくとも1つが前記センサ回路に引き剥がし可能な形で結合させられること
を特徴とするセンサアセンブリ。
【請求項54】
前記センサ回路が前記ハウジングの中に少なくとも一部分が内蔵されていること、及び、前記ハウジングが近位側ハウジング部分と遠位側ハウジング部分から形成されていることを特徴とする、請求項53に記載のセンサアセンブリ。
【請求項55】
前記接着体とハウジングの間の第1の剥離力が、前記接着体と電池の間の第2の剥離力より小さいことを特徴とする、請求項54に記載のセンサアセンブリ。
【請求項56】
少なくとも1つのトランスデューサが前記近位側部分の近位側表面に貼り付けられることを特徴とする、請求項54又は55に記載のセンサアセンブリ。
【請求項57】
前記遠位側ハウジング部分に凹部が形成されていて、この凹部が前記少なくとも1つの電源を受容するようになっており、
少なくとも1つの電気接点が前記遠位側ハウジング部分に設けられており、前記少なくとも1つの電源と電気コンポーネントの間の電気結合が作られる
ことを特徴とする、請求項54〜56のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項58】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の1つ以上の接着デバイスを包含するマルチセンサネットワーク。
【請求項59】
ネットワーク・コーディネータを包含する1つの接着デバイス、筋電図検査に有用なマイクロ電子システムを包含する少なくとも2つの接着デバイスを包含し、また、トランスデューサ、CPU、電源、通信用コンポーネント、記憶用コンポーネント及び任意にアクチュエータを包含し、前記接着デバイスが脈拍の測定に有用かつ好適なマイクロ電子システムを包含することを特徴とする、請求項58に記載のマルチセンサネットワーク。
【請求項60】
接着剤に埋め込まれたマイクロ電子システムを有し、カバーフィルム及びリリースライナを有する前記接着デバイスの前記接着体が圧縮成形されていることを特徴とする、請求項1に記載の接着デバイスを生産する方法。
【請求項61】
接着剤に埋め込まれたマイクロ電子システムを有し、カバーフィルム及びリリースライナを有する前記接着デバイスの前記接着体が射出成形されていることを特徴とする、請求項1に記載の接着デバイスを生産する方法。
【請求項62】
接着剤に埋め込まれたマイクロ電子システムを有し、カバーフィルム及びリリースライナを有する前記接着デバイスの前記接着体が反応成形により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接着デバイスを生産する方法。
【請求項63】
前記接着体に埋め込まれたマイクロ電子システムを有し、他の電子システムに配線により接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の接着デバイス。
【請求項64】
1つの接着エレメントと1つの電源エレメントを包含するデバイスの使用であって、前記デバイスが、電子回路を一表面に貼り付けて、前記電子回路に電力を供給するのに使用され、前記電子回路が前記接着エレメント及び電源エレメントに引き剥がし可能な形で結合できることを特徴とする、デバイスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−135626(P2012−135626A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−36036(P2012−36036)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【分割の表示】特願2008−500050(P2008−500050)の分割
【原出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(508192474)クティセンセ アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】