説明

マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤として使用するアルケニルまたはアルキニル部分を含むスルホニルピペリジン誘導体

1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼの阻害および特にTACEの阻害に有用な、式(1):
【化1】


〔式中、Bは所望により置換されているC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルである。〕
の化合物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、メタロプロテイナーゼの阻害に有用な化合物、特に、それらを含む医薬組成物ならびにそれらの使用に関する。
【0002】
本発明の化合物は、1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼの阻害剤であり、特にTACE(TNFα変換酵素)の阻害剤として有効である。メタロプロテイナーゼは、近年急激にその数が増加しているプロテイナーゼ(酵素)のスーパーファミリーである。構造的および機能的な考察に基づいて、これらの酵素は、N.M. Hooper(1994)FEBS Letters 354:1-6で記載されたように、ファミリーとサブファミリーに分類される。メタロプロテイナーゼの例は、コラゲナーゼ(MMP1、MMP8、MMP13)、ゼラチナーゼ(MMP2、MMP9)、ストロメライシン(MMP3、MMP10、MMP11)、マトリライシン(MMP7)、メタロエラスターゼ(MMP12)、エナメライシン(MMP19)、MT−MMP(MMP14、MMP15、MMP16、MMP17)のようなマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP);TNF変換酵素(ADAM10およびTACE)のような、セクレターゼおよびシェダーゼを含むレプロライシン、アダマライシン、またはMDCファミリー;プロコラーゲン加工・処理プロテイナーゼ(PCP)のような酵素を含むアスタシンファミリー;およびアグリカナーゼのような他のメタロプロテイナーゼ、エンドセリン変換酵素ファミリー、およびアンジオテンシン変換酵素ファミリーを含む。
【0003】
メタロプロテイナーゼは、胎児の発育、骨形成、月経周期間の子宮の再構成のような、組織の再構成を含む、多血性の生理学的疾病過程に重要であると考えられている。これは、メタロプロテイナーゼの、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンのような広範囲のマトリックス基質の開裂を行う能力に基づく。メタロプロテイナーゼはまた、腫瘍壊死因子(TNF)のような生物学的に重要な細胞メディエーターの加工・処理または分泌;および低親和性IgEレセプターCD23のような、生物学的に重要な膜タンパク質(より完全なリストは N. M. Hooper et al.,(1997)Biochem J. 321:265-279 参照のこと)の翻訳後のタンパク質分解過程またはシェディングにおいて、重要であると考えられている。
【0004】
メタロプロテイナーゼは、多くの疾患状態と関連している。1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼの活性の阻害は、これらの疾患状態、例えば:関節の炎症(特に関節リウマチ、骨関節症、痛風)、胃腸管の炎症(特に炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、胃炎)、皮膚の炎症(特に乾癬、湿疹、皮膚炎)のような種々の炎症性およびアレルギー性疾患;腫瘍の転移または浸潤;骨関節炎のような細胞外マトリックスの無制御の分解に関連する疾患;骨の再吸収性疾患(骨粗鬆症、ページェット病など);侵入性血管新生に関連する疾患;糖尿病、歯周病(歯肉炎など)、角膜の潰瘍、皮膚の潰瘍、手術後の状態(結腸吻口など)、皮膚の創傷治癒と関連した、コラーゲンの再構築の亢進;中枢および末梢神経系の脱髄性疾患(多発性硬化症など);アルツハイマー病;再狭窄、アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患において観察される、細胞外マトリックスの再構成において、十分有益であり得る。
【0005】
多くのメタロプロテイナーゼ阻害剤が既知である;異なるクラスの化合物は、種々のメタロプロテイナーゼの阻害に異なる程度の有効性と選択制を有し得る。我々は、メタロプロテイナーゼの阻害剤であり、特にTACEの阻害において興味深い化合物のクラスを発見した。本発明の化合物は、有益な効果および/または薬物動態特性を有する。
【0006】
単離され、クローン化されている[R.A. Black et al.(1997)Nature 385:729-733; M.L. Moss et al.(1997)Nature 385:733-736]TACE(ADAM17としても既知)は、メタロプロテインのアダマライシンファミリーのメンバーである。TACEはプロ−TNFαである26kDa膜結合タンパク質の開裂を担い、17kDaの生理学的に活性な可溶性TNFαを遊離することが示されている。[Schlondorff et al.(2000)Biochem. J. 347: 131-138]。TACE mRNAはほとんどの組織で発見されているが、TNFαは主に活性化単球、マクロファージおよびTリンパ球で産生される。TNFαは、細胞移動(trafficking)を促進するための分子やケモカインの接着の誘導、マトリックス破壊酵素の誘導、プロスタグランジンを生成するための線維芽細胞の活性化、免疫系の活性化を含む広範囲の前炎症性生物学的プロセスに関与している[Aggarwal et al(1996)Eur. Cytokine Netw. 7: 93-124]。抗−TNF生物製剤の臨床的使用は、TNFαが、関節リウマチ、クローン病および乾癬を含む広範囲の炎症性疾患で重要な役割を担うことを示している[Onrust et al(1998)Biodrugs 10: 397-422, Jarvis et al(1999)Drugs 57:945-964]。TACE活性は、TGFα、p75およびp55 TNFレセプター、L−セレクチンおよびアミロイド前駆体タンパク質を含む他の膜結合タンパク質のシェディングにも関与している[Black(2002)Int. J. Biochem. Cell Biol. 34: 1-5]。TACE阻害の生物学が最近復習され、TACEがTNFα生成の中心的役割を担い、選択的TACE阻害剤が、RAのコラーゲン誘導関節炎モデルにおいて、直接TNFαを中和する戦法と同等な、あるいはおそらく強い効果を有することが示されている[Newton et al(2001)Ann. Rheum. Dis. 60: iii25-iii32]。
【0007】
TACE阻害剤は、したがって、関節リウマチおよび乾癬のような炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応および移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害、悪性腫瘍を含むが、これらに限定されないTNFαが関与するすべての疾患で効果を示すことが予測されるはずである。
【0008】
マトリックスメタロプロテイナーゼを阻害する化合物は当分野で既知である。WO00/12477は、マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤である、ヒドロキサム酸およびカルボン酸誘導体を記載している;WO00/12478はマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害に有用であり、MMP13とMMP9の阻害に関して特に興味深いアリールピペラジンを記載している;そしてWO01/87870は、ADAMまたはADAM−TS酵素を含むマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤である、ヒドロキサム酸誘導体を記載している。
【0009】
驚くべきことに、我々は、アルケニルまたはアルキニル置換基を含むスルホニルピペリジン化合物のシリーズがメタロプロテイナーゼ阻害活性を有し、特にTACE(ADAM17)の阻害剤であることを発見した。
【0010】
本発明の一つの態様より、式(1):
【化1】

〔式中、
Zは−CONR15OHおよび−N(OH)CHOから選択され;
15は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される基であり、該基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、アリール(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、ヘテロアリール(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、ヘテロシクリル、C1−4アルコキシカルボニル、−OR、−SR、−SOR、−SO、−COR、−CO、−CONR、−NR16COR、−SONRおよび−NR16SOから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
16は水素またはC1−3アルキルであり;
17はハロ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルコキシから選択され;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1−4アルキルおよびヘテロアリールC1−4アルキルから選択される基であり、ここで、該基は所望により1個またはそれ以上のハロで置換されており;
は水素またはC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1−4アルキルおよびヘテロアリールC1−4アルキルから選択される基であり、ここで、該基は所望により1個またはそれ以上のハロで置換されており;
は水素、C1−6アルキルまたはC3−6シクロアルキルであるか;
またはRとRは、それらが結合している窒素と共にヘテロ環式4−から7−員環を形成し;
【0011】
は水素またはC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択される基であり、ここで、該基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびC1−4アルキルから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されているか;
またはRとRは一緒に、炭素環式または飽和ヘテロ環式3−から6−員環を形成し;
およびRは独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
nは0または1であり;
mは0または1であり;
Dは水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはフルオロであり;
Xは−(CR10)−Q−(CR1112)−(ここで、uは0または1である)であり;
QはO、S、SOまたはSOであり;
、R10、R11およびR12は水素、C1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルから独立して選択され;
BはC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(これらの基は、所望により1個またはそれ以上のハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−CONHR13、−CONHR1314、−SO13、−SONHR13、−SONR1314、−NHSO13、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシで置換されている)から選択される基で置換されており;
13およびR14は独立して水素、C1−4アルキルまたはC3−5シクロアルキルであるか;
またはR13とR14は、それらが結合している窒素と共にヘテロ環式4−から7−員環を形成する。〕
の化合物が提供される。
【0012】
他の態様において、本発明は、上記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0013】
上記で定義の式(1)の化合物のある化合物が、1個またはそれ以上の不斉炭素原子または硫黄原子の存在のために光学活性形またはラセミ体形で存在し得る範囲では、本発明は、その定義において、メタロプロテイナーゼ阻害活性および特にTACE阻害活性を有する、このような光学活性形またはラセミ体形を含むことは理解されるべきである。光学活性形の合成は、当分野で既知の有機化学の標準法により、例えば、光学活性出発物質から合成するか、または、ラセミ体の分離により行い得る。同様に、上記活性は、後記の標準研究室技術を使用して評価し得る。
【0014】
式(1)の化合物は、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体、アトロプ異性体として提供される。
【0015】
本発明の範囲内で、式(1)の化合物またはその塩は、互換異性体の現象を示し得、本明細書中の式の図は、一つの可能性のある互換異性体のみしか示すことができないことは理解されるべきである。本発明は、メタロプロテイナーゼ阻害活性および特にTACE阻害活性を有する任意の互換異性体形を包含し、式の図に利用している任意の一つの互換異性体のみに単に限定すべきではないことは理解されるべきである。本明細書中の式の図は可能性のある互換異性体の一つのみしか示すことができず、本明細書は本明細書中に図として示すことが可能な形のみだけでなく、記載の化合物のすべての可能性のある互換異性体を含むことは理解されるべきである。
【0016】
ある式(1)の化合物およびその塩は、溶媒和物、例えば水和された形、ならびに非溶媒和物として存在できることもまた理解されるべきである。本発明は、メタロプロテイナーゼ阻害活性および特にTACE阻害活性を有する、すべてのこのような溶媒和形を含むことは理解されるべきである。
【0017】
ある式(1)の化合物は多形体で存在し得、したがって、本発明はメタロプロテイナーゼ阻害活性および特にTACE阻害活性を有するすべてのこのような形を含むことは理解されるべきである。
【0018】
本発明は、前記で定義の式(1)の化合物ならびのその塩に関する。医薬組成物に使用するための塩は薬学的に許容される塩であるが、他の塩は式(1)の化合物および薬学的に許容されるその塩の製造に有用であり得る。本発明の薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩の形成に十分塩基性である前記で定義の式(1)の化合物の酸付加塩を含み得る。このような酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩およびマレイン酸塩、リン酸や硫酸と形成された塩を含むが、これらに限定されない。加えて、式(1)の化合物が十分に酸性である場合、塩は塩基性塩であり、例はアルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム、または有機アミン塩、例えばトリエチルアミンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンを含むが、これらに限定されない。
【0019】
式(1)の化合物は、インビボで加水分解可能なエステルとしても提供し得る。カルボキシまたはヒドロキシ基を含む式(1)の化合物のインビボで加水分解可能なエステルは、例えばヒトまたは動物体内で開裂し、親酸またはアルコールを産生する薬学的に許容されるエステルである。このようなエステルは、試験動物に試験下の化合物を、例えば、静脈内投与し、続いて試験動物の体液を検査することにより同定できる。
【0020】
カルボキシの適切な薬学的に許容されるエステルは、C1−6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C3−8シクロアルコキシカルボニルオキシC1−6アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オンイルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オンイルメチル;およびC1−6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルを含み、本発明の化合物の任意のカルボキシ基で形成され得る。
【0021】
ヒドロキシの適切な薬学的に許容されるエステルは、リン酸エステル(ホスホロアミドの(phosphoroamidic)環状エステルを含む)のような無機エステル、およびα−アシルオキシアルキルエーテルおよびエステル分解のインビボ加水分解の結果、親ヒドロキシ基(複数もある)をもたらす関連化合物を含む。α−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシを含む。ヒドロキシのインビボで加水分解可能なエステルを形成する基の選抜は、C10アルカノイル、例えばホルミル、アセチル;ベンゾイル;フェニルアセチル;置換ベンゾイルおよびフェニルアセチル、C10アルコキシカルボニル(アルキルカーボネートエステルを得るために)、例えばエトキシカルボニル;ジ−(C)アルキルカルバモイルおよびN−(ジ−(C)アルキルアミノエチル)−N−(C)アルキルカルバモイル(カルバメートを得るために);ジ−(C)アルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルを含む。フェニルアセチルおよびベンゾイルの環置換基の例は、アミノメチル、(C1−4)アルキルアミノメチルおよびジ−((C)アルキル)アミノメチル、ならびにメチレン架橋基を介して環窒素原子からベンゾイル環の3−または4−位に結合したモルホリノまたはピペラジノを含む。他の興味深いインビボで加水分解可能なエステルは、例えば、RC(O)O(C1−6)アルキル−CO−(ここで、Rは例えば、ベンジルオキシ−(C)アルキル、またはフェニルである)である。このようなエステル中のフェニル基に適切な置換基は、例えば、4−(C)ピペラジノ−(C)アルキル、ピペラジノ−(C)アルキルおよびモルホリノ−(C)アルキルを含む。
【0022】
本明細書において、一般的用語“アルキル”は、直鎖および分枝鎖アルキル基の両方を含む。しかし、“プロピル”のような個々のアルキル基の言及は直鎖形のみを特定し、tert−ブチルのような個々の分枝鎖アルキル基の言及は、分枝鎖形のみを特定する。例えば、“C1−3アルキル”はメチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルを含み、“C1−4アルキル”の例は“C1−3アルキル”の例ならびにブチルおよびtert−ブチルを含み、“C1−6アルキル”の例は“C1−4アルキル”の例とさらにペンチル、2,3−ジメチルプロピル、3−メチルブチルおよびヘキシルを含む。“C1−20アルキル”の例は、“C1−6アルキル”の例と、他の直鎖および分枝鎖アルキル基を含む。同様の変換が他の一般的用語に適用され、例えば“C2−4アルケニル”はビニル、アリルおよび1−プロペニルを含み、“C2−6アルケニル”の例は“C2−4アルケニル”の例とさらに1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルブト−2−エニル、3−メチルブト−1−エニル、1−ペンテニル、3−ペンテニルおよび4−ヘキセニルを含む。“C2−4アルキニル”の例は、エチニル、1−プロピニルおよび2−プロピニルを含み、“C2−6アルキニル”の例は“C2−4アルキニル”の例とさらに3−ブチニル、2−ペンチニルおよび1−メチルペント−2−イニルを含む。
【0023】
“C3−6シクロアルキル”なる用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。“C3−7シクロアルキル”なる用語は、“C3−6シクロアルキル”とさらにシクロヘプチルを含む。“C3−10シクロアルキル”なる用語は、“C3−7シクロアルキル”とさらにシクロオクチル、シクロノニルおよびシクロデシルを含む。
【0024】
“ヘテロシクロアルキル”は、窒素、硫黄または酸素から選択される1個または2個のヘテロ原子を含む単環式飽和3−から10−員環であり、ここで、該環窒素または硫黄はN−オキシドまたはS−オキシド(複数もある)に酸化されていてもよい。
【0025】
“C5−7シクロアルケニル”は、1重、2重または3重結合を含む単環式5から7−員環である。例はシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルである。
“ハロ”なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0026】
“C1−4アルコキシ”の例はメトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソプロポキシを含む。“C1−6アルコキシ”の例は、“C1−4アルコキシ”の例とさらにペンチルオキシ、1−エチルプロポキシおよびヘキシルオキシを含む。“C1−4アルコキシカルボニル”の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルおよびイソプロポキシカルボニルを含む。
【0027】
“アリール”の例は、フェニルおよびナフチルである。
“アリールC1−4アルキル”の例は、ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチルおよびナフチルエチルである。
【0028】
“ヘテロアリール”は、5から10環原子を含み、その中の1、2、3または4環原子が窒素、硫黄または酸素から選択され、環窒素は酸化され得る、単環式または二環式アリール環である。ヘテロアリールの例は、ピリジル、イミダゾリル、キノリニル、シンノリル、ピリミジニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびピラジニルである。好ましくはヘテロアリールはピリジル、イミダゾリル、キノリニル、ピリミジニル、チエニル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルおよびイソオキサゾリルである。
【0029】
“ヘテロアリールC1−4アルキル”の例は、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピリミジニルエチル、ピリミジニルプロピル、キノリニルプロピルおよびオキサゾリルメチルである。
【0030】
“ヘテロシクリル”は、4から12原子を含み、その中の1、2、3または4環原子が窒素、硫黄または酸素から選択される、飽和、部分的に飽和または不飽和の、単環式または二環式環であり、特記しない限り、炭素または窒素が架橋し得、式中−CH−基は所望により−C(O)−に置換できる;環窒素または硫黄原子は所望により、N−オキシドまたはS−オキシド(複数もある)に酸化され得る;そして環−NHが所望によりアセチル、ホルミル、メチルまたはメシルで置換され得る。“ヘテロシクリル”なる用語の例と適切な値は、ピペリジニル、N−アセチルピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−ホルミルピペラジニル、N−メシルピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、インドリニル、ピラニル、ジヒドロ−2H−ピラニル、テトラヒドロフラニル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニルおよび3,4−ジメチレンジオキシベンジルである。好ましい値は、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−5−イル、テトラヒドロフラン−2−イル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−イルおよび3,4−ジメチレンジオキシベンジルである。
【0031】
ヘテロ環式環は、窒素、酸素および硫黄から選択される1、2または3環原子を含む。“ヘテロ環式5−から7−員”環はピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、チオモルホリニル、チオピラニルおよびモルホリニルである。“ヘテロ環式4−から7−員”環は、“ヘテロ環式5−から7−員”の例とさらにアゼチジニルを含む。
【0032】
“飽和ヘテロ環式3−から6−員”環はオキシラニル、アジリジニル、チラン(thiirane)、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、テトラヒドロ−2H−チオピラニルおよびピペリジニルであり、環窒素はホルミル、アセチルおよびメシルから選択される基で置換され得る。
【0033】
“炭素環式3−から6−員”環は、3から6環炭素原子を含む飽和、部分的に飽和または不飽和の環である。例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペント−3−エニル、シクロヘキシルおよびシクロペント−2−エニルを含む。
【0034】
所望により存在する置換基が“1個またはそれ以上の”基または置換基から選択される場合、この定義は、特定の基の一つから選択されるすべての置換基、または特定の基の2個またはそれ以上から選択されるすべての置換基を含むと理解されるべきである。好ましくは“1個またはそれ以上”は“1個、2個または3個”を意味し、これは、基または置換基がハロである場合に特に当てはまる。“1個またはそれ以上”はまた“1個または2個”を意味し得る。
【0035】
本発明の化合物は、コンピューターソフトウェアを用いて名付けている(ACD/Name version 5.09)。
【0036】
Z、R、R、R、R、n、m、D、XおよびBの好ましい値は下記の通りである。このような値は、前記および後記で定義の任意の定義、特許請求の範囲または実施態様において、適切な場合使用し得る。
【0037】
本発明の一つの態様において、式中、Zが−CONR15OHである、上記の式(1)の化合物を提供する。他の態様において、Zは−N(OH)CHOである。
【0038】
本発明の一つの態様において、R15は水素、メチル、エチルまたはイソプロピルである。他の態様において、R15は水素である。
【0039】
本発明の一つの態様において、Rは水素またはC1−6アルキル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキル(所望によりR17で置換されている)、アリール(所望によりR17で置換されている)、ヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)、C1−4アルコキシカルボニル、−OR、−SR、−SOR、−SO、−COR、−CO、−CONR、−NR16COR、−SONRおよび−NR16SOから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている。他の態様において、Rは水素、C1−6アルキルまたはアリールであり、ここでC1−6アルキルまたはアリールは所望によりC1−4アルキル、アリール(所望によりR17で置換されている)およびヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている。さらなる態様において、Rはアリール、C1−6アルキルまたは、アリールまたはヘテロアリールで置換されているC1−6アルキルである。他の態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソブチルまたはフェニルであり、各々、所望によりフェニルまたはピリミジニルで置換されている。さらに別の態様において、Rはメチル、イソブチル、フェニル、2−フェニルエチルまたは3−ピリミジン−2−イルプロピルである。さらなる態様において、Rはメチル、フェニル、フェニルエチルまたはピリミジン−2−イルプロピルである。
【0040】
本発明の一つの態様において、R16は水素、メチルまたはエチルである。他の態様において、R16はメチルまたはエチルである。他の態様において、R16は水素である。
【0041】
本発明の一つの態様において、R17はハロまたはC1−4アルキルである。他の態様において、R17はフルオロ、クロロ、ブロモまたはメチルである。他の態様において、R17はフルオロまたはメチルである。
【0042】
本発明の一つの態様において、RはC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されている。他の態様において、Rはメチル、フェニルおよびベンジルから選択される基であり、これらの基は所望によりクロロで置換されている。本発明の一つの態様において、Rはメチルである。
【0043】
本発明の一つの態様において、Rは水素またはC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されている。他の態様において、Rは水素またはメチル、フェニルおよびベンジルから選択される基であり、これらの基は所望によりクロロで置換されている。
【0044】
本発明の一つの態様において、Rは水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。他の態様において、Rは水素である。
本発明の一つの態様において、Rは水素である。
本発明の一つの態様において、Rは水素である。
【0045】
本発明の一つの態様において、nは0である。他の態様において、nは1である。
本発明の一つの態様において、mは0である。他の態様において、mは1である。
本発明の一つの態様において、Dは水素、メチルまたはフルオロである。他の態様において、Dは水素である。
【0046】
本発明の一つの態様において、Xは−CR10−Q−または−CR10−Q−CR1112−である。本発明の他の態様において、Xは−(CH)−Q−または−(CH)−Q−(CH)−である。さらなる態様において、Xは−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−である。
【0047】
本発明の一つの態様において、uは1である。他の態様において、uは0である。
本発明の一つの態様において、QはOである。
本発明の一つの態様において、Rは水素である。
【0048】
本発明の一つの態様において、R10は水素である。
本発明の一つの態様において、R11は水素である。
本発明の一つの態様において、R12は水素である。
【0049】
本発明の一つの態様において、BはC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルで置換されている。他の態様において、BはC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルで置換されている。さらなる態様において、BはC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキルまたはアリールで置換されている。さらに別の態様において、Bはビニルまたはエチニルであり、各々所望により独立してメチル、エチルまたはフェニルで置換されている。さらに別の態様において、Bはビニル、エチニル、プロプ−1−エニル、プロプ−1−イニル、ブト−1−イニルまたは2−フェニルビニル。さらなる態様において、Bはビニル、エチニル、プロプ−1−エニル、プロプ−1−イニルまたはブト−1−イニルである。
【0050】
化合物の好ましいクラスは、式中:
Zが−N(OH)CHO;
が水素またはC1−6アルキル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキル(所望によりR17で置換されている)、アリール(所望によりR17で置換されている)、ヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)、C1−4アルコキシカルボニル、−OR、−SR、−SOR、−SO、−COR、−CO、−CONR、−NR16COR、−SONRおよび−NR16SOから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で選択されており;
16が水素、メチルまたはフェニルであり;
17がハロまたはC1−4アルキルであり;
がC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されており;
が水素またはC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されており;
が水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルであり;
が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり;
が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり;
nが0であり;
mが1であり;
Dが水素、メチルまたはフルオロであり;
Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−であり;そして
BがC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルで置換されている、
式(1)の化合物である。
【0051】
他の好ましい化合物のクラスは、式中:
Zが−N(OH)CHOであり;
が水素、C1−6アルキルまたはアリールであり、該C1−6アルキルまたはアリールは所望によりC1−4アルキル、アリール(所望によりR17で置換されている)およびヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
17がハロまたはC1−4アルキルであり;
が水素であり;
が水素であり;
が水素であり;
nが0であり;
mが1であり;
Dが水素、メチルまたはフルオロであり;
Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−であり;そして
BがC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキルまたはアリールで置換されている、
式(1)の化合物である。
【0052】
他の好ましい化合物のクラスは、式中:
Zが−CONR15OHであり;
が水素またはC1−6アルキル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキル(所望によりR17で置換されている)、アリール(所望によりR17で置換されている)、ヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)、C1−4アルコキシカルボニル、−OR、−SR、−SOR、−SO、−COR、−CO、−CONR、−NR16COR、−SONRおよび−NR16SOから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
15が水素、メチル、エチルまたはイソプロピルであり;
16が水素、メチルまたはフェニルであり;
17がハロまたはC1−4アルキルであり;
がC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されており;
が水素またはC1−6アルキル、アリールおよびアリールC1−4アルキルから選択される基であり、これらの基は所望によりハロで置換されており;
が水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルであり;
が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり;
が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり;
nが0であり;
mが1であり;
Dが水素、メチルまたはフルオロであり;
Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−であり;そして
BがC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルで置換されている、
式(1)の化合物である。
【0053】
他の好ましい化合物のクラスは、式中:
Zが−CONR15OHであり;
が水素、C1−6アルキルまたはアリールであり、該C1−6アルキルまたはアリールは、所望によりC1−4アルキル、アリール(所望によりR17で置換されている)およびヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
17がハロまたはC1−4アルキルであり;
15が水素、メチル、エチルまたはイソプロピルであり;
が水素であり;
が水素であり;
が水素であり;
nが0であり;
mが1であり;
Dが水素、メチルまたはフルオロであり;
Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−であり;そして
BがC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキルまたはアリールで置換されている、
式(1)の化合物である。
【0054】
他の好ましい化合物のクラスは、式中:
Zが−CONR15OHまたは−N(OH)CHOであり;
15が水素であり;
がメチル、エチル、プロピル、イソブチルまたはフェニルであり、各々所望によりフェニルまたはピリミジニルで置換されており;
が水素であり;
が水素であり;
が水素であり;
nが0であり;
mが1であり;
Dが水素であり;
Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−であり;そして
Bがビニルまたはエチニルであり、各々所望により独立してメチル、エチルまたはフェニルで置換されている、
式(1)の化合物である。
【0055】
本発明の他の態様において、本発明の好ましい化合物は下記の任意の一つである:
(1−フェニル−2−{[4−(プロプ−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}エチル)ヒドロキシホルムアミド;
2−{[4−(アリルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
2−({4−[ブト−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
2−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
(2−{[4−(ペント−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチル)ヒドロキシホルムアミド;
1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−3−フェニルプロピル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
2−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−メチルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
1−[({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)メチル]−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;および
2−({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−メチルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド。
【0056】
本発明のさらに好ましい化合物は下記の任意の一つである:
(R/S)−1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
(R/S)−1−[({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)メチル]−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
(R/S)−2−({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−メチルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
2−(4−ブト−2−イニルオキシメチルピペリジン−1−イルスルホニルメチル)−4−メチル−吉草酸ヒドロキシアミド;
(R/S)−2−({4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;
(R/S)−2−({4−[ブト−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド;および
(R/S)−2−({4−[3−フェニル−プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド。
【0057】
他の態様において、本発明は式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なエステルの製造法を提供し、該方法は、式中、Zが−N(OH)CHOである場合:
a)式(2)のヒドロキシルアミンを式(1)の化合物に変換する段階;
【化2】

そして、その後、必要に応じて:
i)式(1)の化合物を他の式(1)の化合物に変換し;
ii)任意の保護基を除去し;
iii)薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なエステルを形成する
段階を含む。
【0058】
ホルミル化は、酢酸(8当量)とギ酸(過剰)の予め生成した混合物を、式(2)のテトラヒドロフランまたはジクロロメタン溶液に添加し、溶液を0℃から室温の範囲の温度で15時間撹拌し、続いてメタノール中で混合することにより適切に行い得る。あるいは、J.Med.Chem., 2002, 45, 219に記載の、トリフルオロエチルホルメートを使用したホルミル化法を使用できる。
【0059】
この方法は、さらに、式(2)のヒドロキシルアミンの製造法を含み得る:
・式中、nが0およびRが水素である場合(式(2')として示す)、該方法は:
b)式(3)のアルケンを式(2')のヒドロキシルアミンに変換する;
【化3】

このような変換の適切な試薬は、アルゴン雰囲気下の水性ヒドロキシルアミンのテトラヒドロフラン溶液を含む。
【0060】
式中、Rが水素である式(3)のアルケンは、式(4')の化合物と式(5)の化合物のWadsworth-EmmonsまたはPeterson反応条件下での反応により製造できる;
【化4】

【0061】
Wadsworth-EmmonsまたはPeterson反応は、2当量のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液中で、−78℃から0℃の温度で式(4')のアニオンを形成させ、これを1当量のジエチルクロロホスフェート(Wadsworth Emmons)とまたは1当量のトリメチルシリルクロライド(Peterson)と反応させることを含む。1時間後、アルデヒド(1.1当量)のテトラヒドロフラン溶液を記載の得られたアニオンに添加し、室温で15時間以上反応させる。
【0062】
式中、Rが水素である式(3)のアルケンはまたスキーム4に説明するように式(4')の化合物と式(6)の化合物の反応により製造できる;
【化5】

【0063】
適切な塩基は−78℃から0℃の温度でのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液を含み、アニオンを形成する。還元段階のための適切な還元剤は、室温での水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液またはボラン−硫化ジメチル複合体またはボラン−テトラヒドロフラン複合体のテトラヒドロフラン溶液を含む。脱水段階のための適切な脱水剤は、室温でのメタンスルホニルクロライドまたはトシルクロライドおよびトリエチルアミンのジクロロメタン溶液を含む。
【0064】
本発明は、式中、Rがアリールまたはヘテロアリールで置換されているC1−6アルキルであり、該アリール基およびヘテロアリール基が所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている、式(6)の化合物の製造法を提供する。このような方法は下記スキームに概説する:
【化6】

〔式中、Cはアリールまたはヘテロアリールであり、各々所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている;Lはハロ、トシル、メシルまたはトリフレートのような適切な脱離基である;Yは亜鉛金属塩が形成されるようなものであり、すなわちYは例えばブロモまたはヨードである;そしてzは( )がC1−6アルキレンを示すような、1から6の整数である;この本発明の態様において、( )により示されるC1−6アルキル基が直鎖または分子鎖であり得るように、R
【化7】

により示されることは理解されるべきである〕。本発明の他の態様において、( )はC1−20アルキルを示す。
【0065】
この反応は一貫した触媒活性を確実にする不活性雰囲気下で、テトラヒドロフランのような非プロトン性溶媒中で行う。適切な触媒はニッケルベースのおよびパラジウム(0)ベースの触媒を含む。好ましくは、パラジウム(0)ベースの触媒を使用する。パラジウム(0)ベースの触媒は、パラジウム(II)ベースの化合物から、トリフェニルホスフィンのようなプロモーターと共に使用した場合産生され得る。
【0066】
式(6)の化合物の具体例はエチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートである。この化合物は、2−ブロモピリミジンと4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物のビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロライド(2.5mmol)およびトリフェニルホスフィンの存在下、非プロトン性溶媒中、不活性雰囲気下での反応により形成される。副産物として産生される化学量論(stoiciometric)量の亜鉛塩を、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩の水性溶液での洗浄により反応混合物から除去できる。好ましくは非プロトン性溶媒はテトラヒドロフランである。好ましくは不活性雰囲気は窒素雰囲気である。
【0067】
あるいは、式(2)のヒドロキシルアミンの製造法は:
・式中、nが0である場合(式(2)の化合物として示す)、下記を含み得る;
c)i)式(4”)の化合物(この製造はスキーム13参照)と、RCOOR、RCOClまたは活性化RCOORを反応させ、式(7”)のケトンを得る(ここで、RはC1−20アルキル、例えばメチル、エチルまたはアリールC1−4アルキル、例えばベンジルである);
ii)式(7”)のケトンの還元により、式(8”)のアルコールを得る;
iii)式(8”)のアルコールの−OH基を、ハライド、メシレート、トシレートなどの脱離基(L)に変換する(式(9”)の化合物参照);
iv)脱離基を水性ヒドロキシルアミンで置換し、式(2)のヒドロキシルアミンを得る;
【化8】

【0068】
式(7”)のケトンはさらにスキーム6に説明する方法により製造し得る:
【化9】

【0069】
式(30)の化合物に存在するシリル基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドにより除去できる。適切な脱離基(L)はハロ、メシルおよびトシルである。適切な塩素化剤はPOClである。式(7”)の化合物は、最終段階で、式(33)の化合物と適切なピペリジン試薬との反応により製造する。
【0070】
または、式(2)のヒドロキシルアミンの製造法は:
・式中、nが1であり、RおよびRが両方とも水素である場合(式(2**)の化合物として示す)、さらに下記を含み得る:
d)i)式(4”)の化合物と、式(10)の化合物(いずれもエポキシドまたは相当物)を反応させ、式(8**)のアルコールを得る;
ii)式(8**)のアルコールの−OH基を、ハライド、メシレート、トシレートなどの脱離基に変換する(式(9**)の化合物参照);
iii)脱離基を水性ヒドロキシルアミンで置換し、式(2**)のヒドロキシルアミンを得る;
【化10】

【0071】
適切な塩基は、−78℃から0℃の温度でのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドおよびリチウムジイソプロピルアミドである。適切な脱離基(L)はクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニルおよびトシルであり、これらはアルコールからメタンスルホニルクロライドおよびピリジンのジクロロメタン溶液での処理(メシレート)、トシルクロライドおよびピリジンのジクロロメタン溶液での処理(トシレート)、トリフェニルホスフィンおよび四臭化炭素での処理(ブロモ)により形成できる;クロロ、ブロモおよびヨード誘導体はまたメシラートまたはトシレートから、アセトンのような溶媒中の適切なハライド源、例えばテトラブチルアンモニウムヨウ化物またはヨウ化ナトリウムまたは塩化リチウムの添加により生成できる。
【0072】
または式(2)のヒドロキシルアミンの製造法は:
・式(2^)の化合物として示す、式中、nが1でありRが水素である場合、下記を含み得る:
e)i)式(4”)の化合物と式(11)の化合物を反応させ、式(12^)のエステルを得る;
ii)式(12^)のエステルを式(13^)のアルコールに変換する;
iii)−OH基を水性ヒドロキシルアミンで置換し、式(2^)のヒドロキシルアミンを得る;
【化11】

【0073】
式(12^)の基−COORはエステルの代表であり、RはC1−20アルキル、例えばメチル、エチルまたはアリールC1−4アルキル、例えばベンジルであり得、Bはトリメチルシリルまたは3級ブチルジメチルシリルのような保護基である。過酸、例えばm−CPBA(メタ−クロロペル安息香酸)のジクロロメタン溶液のようなBaeyer-Villiger反応条件が、エステル基のアルコール基への変換に適している。Baeyer-villiger反応後、式(12^)のBである保護基を脱離し、それを本明細書で説明した式(1)のB基と置換する必要がある。水性ヒドロキシルアミンでの置換前に、アルコール基をブロモ、ヨード、メシルおよびトシルのような脱離基に変換するのが適切であり得る。
【0074】
他の態様において、本発明は、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの製造法を提供し、該方法は、式中、Zが−CONR15OHである場合:
a)式(14)の酸を式(1)の化合物に変換する;
【化12】

そして、その後、必要に応じて:
i)式(1)の化合物を他の式(1)の化合物に変換し;
ii)任意の保護基を除去し;
iii)薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なエステルを形成する
段階を含む。
【0075】
式(14)の酸は、酸クロライドのような酸ハライドへの、またはカルボニルジイミダゾール、カルボジイミド、ペンタフルオロフェニルエステルを使用した活性化エステルへの変換により適切に活性化し得る。あるいは、式(14)の酸がエステル、例えばメチルまたはエチルエステルの場合、NHR15OHとの反応により直接式(1)の化合物に変換できる。
【0076】
また提供されるのは式(14)の酸の製造法であり、該方法は下記を含む;
b)式(4”)の化合物と式(11)のアルケンを反応させて式(12^)のエステルを形成し、それを式(14')の酸に加水分解する(ここで、式(14')の酸は、式中nが1である式(14)の酸である);
【化13】

【0077】
式(4”)の化合物を脱プロトン化できる適切な塩基はブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドおよびリチウムビス(トリメチルシリル)アミドであり、続いて硫化ジメチル、エーテル、テトラヒドロフラのような溶媒中の銅塩、例えば銅臭化物−硫化ジメチル複合体、ヨウ化銅を−78℃から室温の温度で添加する。
【0078】
または、式(14)の酸の製造法は下記を含む;
c)式(4”)の化合物と式(15)の化合物を反応させ、式(14**)の酸を形成し、これはnが0、Rが水素、そしてRが水素である式(14)の酸である;
【化14】

【0079】
式(4”)の脱プロトン化のための適切な塩基は、−78℃から0℃の温度の、テトラヒドロフランおよびエーテルのような溶媒中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドおよび水素化ナトリウムである。
【0080】
本発明の他の態様において、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの製造法を提供し、該方法は、式中、Zが−CONR15OH、Rが水素、そしてnが0である場合、スキーム12に概説の段階を含む:
【化15】

【0081】
スキーム12の方法は、以下の段階を含む:
a)式(22)のチオールと式(23)のアクリレートを、0℃から70℃の温度で反応させ、式(24)のチオエーテルを得る;
b)式(24)のチオエーテルを、0℃から室温の温度で、塩素ガスをチオエーテルの酢酸溶液にバブリングすることにより酸化し、式(25)のスルホニルクロライドとする;
c)式(25)のスルホニルクロライドと式(26)のピペリジンを、標準スルホンアミド条件(例えばトリエチルアミンのジクロロメタン溶液で、0℃から50℃の温度)で反応させ、式(27)の化合物を得る;
d)保護基を除去し、式(1)の化合物を得る。
【0082】
保護基(PG)は2,4−ジメトキシベンジルであり得、これは穏やかな酸で除去できる(Tetrahedron Letters, 1998, 39(43), 7865参照)。スキーム12の方法は、必要に応じてさらに下記を含む:
i)式(1)の化合物を他の式(1)の化合物に変換し;
ii)任意の他の保護基を除去し;
iii)薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なエステルを形成する。
【0083】
本発明の他の態様において、式(4)の化合物、式(4')の化合物および式(4”)の化合物の製造法を提供し、それは下記を含む;
a)式(16)の化合物を、式(17)の化合物を脱プロトン化するための塩基の存在下、式(17)の化合物(式中、QはOまたはSである)と反応させ、式(18)の化合物を得る;
b)式(18)の化合物から保護基(PG)を除去し、式(19)の化合物を得る;
c)式(19)の化合物を適切な試薬と反応させ、式中、Xが−(CR10)−Q−(CR1112)である式(4)の化合物を得る;そして
d)必要な場合、式中、QがSであるQを酸化する。
【0084】
式中、Rが水素である場合の式(4')の化合物と、式中、RおよびRが両方とも水素である式(4”)の化合物は、下記のように製造する。
【化16】

【0085】
式(4)の化合物、式(4')の化合物および式(4”)の化合物は、下記の方法でまた製造し得る;
a)式(20)の化合物(式中、QはOまたはSである)を式(21)の化合物と、塩基の存在下で反応させ、式(18)の化合物を得る;
b)式(18)の化合物から保護基(PG)を除去し、式(19)の化合物を得る;
c)式(19)の化合物と適切な試薬を反応させ、式中、Xが−(CR10)−Q−(CR1112)である式(4)の化合物を得る;そして
d)必要な場合、式中、QがSであるQを酸化する。
【0086】
式中、Rが水素である場合の式(4')の化合物および式中、RおよびRが両方とも水素である式(4”)の化合物は下記のように製造する。
【化17】

【0087】
スキーム13および14の両方において;Lはハロ(クロロ、ブロモ、ヨード)、メシル、トシルのような適切な脱離基である;式(17)の化合物および式(20)の化合物を脱プロトン化するための適当な塩基は水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウムおよびリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである;a)の適切な反応条件は、−78℃から70℃の範囲の温度および非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、アルゴン下である;適当な保護基(PG)は、Boc(t−ブトキシカルボニル)基、CBz(カルボニルオキシベンジル)基およびメシルまたは他のアルキルスルホニルを含む。PGがアルキルスルホニルである場合、式(16)の化合物と式(17)の化合物の、および式(20)の化合物と式(21)の化合物の反応は、直接式(4)の化合物を産生する。式(18)の化合物は、式(19)から、酸(Boc)ボロントリフルオリドジエチルエーテラートのジクロロメタン溶液での、亜硫酸ジメチル(CBz)の存在下での処理により変換できる。式(19)の化合物は、式(4)の化合物に、アルキルスルホニルクロライドでの、ピリジンのような塩基の存在下、ジクロロメタンのような溶媒中の処理により変換できる。
【0088】
式(1)の化合物は、亜鉛結合基上の保護基の直接の除去により製造できる。保護基(PG)は2,4−ジメトキシベンジルであり得、これは穏やかな酸で除去できる(Tetrahedron Letters, 1998, 39(43), 7865参照)。必要な保護ヒドロキサム酸または逆ヒドロキサメートを、合成の初期に適切に保護されたヒドロキシルアミンを用いて得ることができる。
【化18】

【0089】
本明細書に記載のように、メタロプロテイナーゼおよび特にTACEを阻害する化合物は非常に重要であり、したがって、このような化合物の製造に関与する任意の中間体(およびその製造法)が商業的価値を有することは明白である。
【0090】
本明細書に記載のこのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびTACE阻害剤の一つは、(R/S)−1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド:
【化19】

である。
【0091】
この化合物は:
a)4−ヒドロキシピペリジンとメタンスルホニルクロライドを塩基の存在下で反応させ、4−ヒドロキシ−1−(メタンスルホニル)ピペリジンを得る;
b)4−ヒドロキシ−1−(メタンスルホニル)ピペリジンの溶液を水素化ナトリウムに添加し、続いて1−ブロモブト−2−インを添加して、4−(ブト−2−イニルオキシ)−1−メタンスルホニルピペリジンを得る;
c)リチウムビス(トリメチルシリル)アミドを4−(ブト−2−イニルオキシ)−1−メタンスルホニルピペリジンの溶液に添加し、続いてエチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートを添加して、1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オンを得る;
d)1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オンを、水素化ホウ素ナトリウムのような試薬で還元して(R/S)−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オールを得る;
e)(R/S)−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オールを、メタンスルホニルクロライドを使用して脱水し、E−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペント−1−エンを得る;
f)E−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペント−1−エンの溶液とヒドロキシルアミンを反応させ、(R/S)−[1−({[4−(4−ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル]ヒドロキシルアミンを得る;そして
g)酢酸無水物とギ酸の混合物を、(R/S)−[1−({[4−(4−ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル]ヒドロキシルアミンの溶液に添加し、(R/S)−1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミドを得る
段階を含む方法により製造できる。
【0092】
本発明のさらなる態様は、したがって、エチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートを提供し、これは(R/S)−1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミドの合成に使用する中間体である(上記工程のc)のパート参照)。
【化20】

【0093】
また提供されるのは、エチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートの製造法である。この方法は、根岸カップリングを使用する。根岸カップリングは、有機亜鉛試薬と、アリールハライドの交差結合を含み、炭素−炭素結合を形成する(Baba S., Negishi E., J. Am. Chem. Soc., 1976, 98, 6729-6731;Negishi E., King A., Okukado N., J Org, Chem.,1977, 42, 1821-1823)。
【化21】

【0094】
根岸カップリングは、有機亜鉛試薬以外の有機金属試薬を用いる他のカップリング法を超えるいくつかの利点がある。第一に、アリール基のsp中心への直接カップリングが可能である。第二に、有機亜鉛試薬は対応する有機ハライドから容易に製造でき、そして最後に有機亜鉛試薬の穏やかな性質は、エステル、ケトン、ニトリルおよびハライドのような感受性官能基が耐えることができることを意味する。根岸カップリングおよび他の遷移金属触媒交差架橋反応のさらなる詳細に関して、Yamamoto Y., Negishi E., J. Organomet. Chem., 1999, 576, 1-317およびその中の引用文献ならびにTsuji J., Palladium reagents and Catalysts, Wiley, New York(1995)およびその中の引用文献を指定する。
【0095】
本発明のこの方法は、2−ハロピリミジン、2−トシルピリミジン、2−ピリミジニルトリフレートまたは2−ピリミジニルメシラートと、4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物または4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛ヨウ化物との触媒の存在下での反応を含む;
【化22】

〔式中、Xはハロ、トリフレートまたはメシラートであり、Yは臭化物またはヨウ化物である〕。
【0096】
本方法はさらに、粗製の得られた生成物を、テトラナトリウム塩のエチレンジアミンテトラ酢酸の水性溶液で洗浄することによる亜鉛塩副産物を除去する段階を含む。この段階は>99.9%の亜鉛塩副産物を除去する。
【0097】
反応を、一貫した触媒活性を確実にするために不活性雰囲気下で行うことが好ましい。反応を非プロトン性溶媒中で行うことも好ましい。好ましくは非プロトン性溶媒はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはジメトキシエチルグリコールジメチルエーテルであり、より好ましくは溶媒はテトラヒドロフランである。好ましくは、不活性雰囲気は窒素雰囲気である。
【0098】
この方法で使用する適切な触媒はニッケルベースのおよびパラジウム(0)ベースの触媒を含む。しかしながら、パラジウム(0)ベースの触媒を使用するのが好ましい。好ましくはパラジウム(0)ベースの触媒は、トリフェニルホスフィンのようなプロモーターへのパラジウム(II)ベースの化合物への作用により産生する。より好ましくは、触媒はビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロライドおよびトリフェニルホスフィンから生成する。
【0099】
本発明のさらなる態様は、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロライドおよびトリフェニルホスフィンを含む前触媒の、根岸カップリング反応における使用である。
2−ハロピリミジン、2−トシルピリミジン、2−ピリミジニルトリフレートおよび2−ピリミジニルメシラートは容易に入手可能であるか、または当業者の製造により容易に得ることができる。
【0100】
4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物は容易に入手可能であり、例えば、試薬の製造のために、亜鉛(II)シアニドのリチウムおよびナフタレンでの還元を用いていることが知られている(WO93/15086)Rieke Metals Inc. から購入できる。あるいは、4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物は、4−ブロモブチレートとジエチル亜鉛およびマンガン(II)/銅(I)触媒系から、DMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)中で製造できる(I. Klement, P Knochel, Tetrahedron Lett., 1994, 35, 1177−その内容を引用して本明細書に包含させる)。4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛ヨウ化物は同様に製造でき、また、クロロトリメチルシラン/1,2−ジブロモエタンでの亜鉛/銅結合活性化反応の使用により(P. Knochel, M.C.P. Yeh, S.C. Berk, J. Talbert;J. Org. Chem., 1988, 53, 2392)または超音波処理の使用により製造し得る(E. Erdik, Tetrahedron, 1987, 43, 2203)。
【0101】
本発明の化合物における種々の環置換基のあるものが、標準芳香族性置換反応により挿入し得、または、慣用の官能基修飾により、上記の工程に先だってまたは直後に生成し得、それ自体本発明の態様に包含されることは明白である。このような反応および修飾は、例えば、芳香族性置換反応、置換基の還元、置換基のアルキル化および置換基の酸化の手段による置換基の挿入を含む。このような方法のための試薬および反応条件は化学分野では既知である。芳香族性置換反応の具体例は、濃硝酸を使用したニトロ基の挿入、例えば、フリーデル−クラフト条件下で、アシルハライドおよびルイス酸(アルミニウムトリクロライドのような)を使用したアシル基の挿入;フリーデル−クラフト条件下で、アシルハライドおよびルイス酸(アルミニウムトリクロライドのような)を使用したアルキル基の挿入;およびハロゲン基の挿入を含む。修飾の具体例は、ニトロ基からアミノ基への、例えば、ニッケル触媒での触媒的水素化による、または加熱しながら塩酸の存在下鉄での処理による還元;アルキルチオからアルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルへの酸化を含む。
【0102】
本明細書に記載の反応のいくつかで、化合物中の任意の感受性基を保護することが必要である/望ましいことも明白である。保護が必要であるか望ましい例と、適切な保護法は当分野の技術者に既知である。慣用の保護基を、標準法にしたがい使用し得る(説明のために、T.W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991参照)。このように、反応体がアミノ、カルボキシまたはヒドロキシのような基を含む場合、本明細書に記載の反応のいくつかで、該基を保護することが望ましいであろう。
【0103】
アミノ基またはアルキルアミノ基の適切な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、またはアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変わる。したがって、例えば、アルカノイルまたはアルコキシカルボニル基のようなアシル基またはアロイル基を、例えば、水酸化アルカリ金属、例えばリチウムまたは水酸化ナトリウムのような適当な塩基との加水分解により除去し得る。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸またはリン酸またはトリフルオロ酢酸のような適当な酸での処理により除去し得、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム炭素のような触媒による水素化、またはルイス酸、例えばボロントリス(トリフルオロアセテート)での処理により除去し得る。1級アミノ基の適切な別の保護基は、例えば、フタロイル基であり、これはアルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミンでの処理により、またはヒドラジンでの処理により除去し得る。
【0104】
ヒドロキシ基の適切な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、またはアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変わる。したがって、例えば、アルカノイルのようなアシル基またはアロイル基は、例えば、水酸化アルカリ金属、例えばリチウムまたは水酸化ナトリウムのような適当な塩基との加水分解により除去し得る。あるいは、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム炭素のような触媒による水素化により除去し得る。
【0105】
カルボキシ基の適切な保護基は、例えば、エステル化基、例えばメチルまたはエチル基(これらは、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基での加水分解により除去し得る)、または例えばtert−ブチル基(これは、例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理により除去し得る)、または例えばベンジル基(これは、例えば、パラジウム炭素のような触媒による水素化により除去し得る)である。
【0106】
保護基は、合成の任意の簡便な段階で、化学分野で既知の慣用法を使用して除去し得る。
【0107】
前記のように、本発明で定義の化合物はメタロプロテイナーゼ阻害活性、そして特にTACE阻害活性を有する。この特性は、例えば、下記の方法を使用して評価し得る。
【0108】
単離酵素アッセイ
例えばMMP13を含むマトリックスメタロプロテイナーゼファミリー
組み換えヒトプロMMP13は、Knauper et alに記載のように発現させ、精製し得る[V. Knauper et al.,(1996)The Biochemical Journal 271:1544-1550(1996)]。精製した酵素は、下記のように阻害剤の活性をモニターするのに使用し得る:精製したプロMMP13を、1mMアミノフェニル水銀酸(APMA)を用いて21℃で20時間活性化する;活性化MMP13(アッセイ当たり11.25ng)を、アッセイ緩衝液(0.1M NaCl、20mM CaCl、0.02mM ZnCl、0.05%(w/v)ブリジ35を含む0.1M Tris−HCl(pH7.5))中で、合成基質7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル.Pro.Leu.Gly.Leu.N−3−(2,4−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニル.Ala.Arg.NHを用いて、阻害剤の存在下または非存在下で、35℃で、4−5時間インキュベートする。活性は、λex 328nm、λem 393nmの蛍光の測定により決定する。パーセント阻害は下記のように計算する:
%阻害は、[蛍光阻害剤添加−蛍光バックグラウンド]を、[蛍光阻害剤非添加−蛍光バックグラウンド]で割ったものと等しい。
同様のプロトコールは、特定のMMPに最適の基質と緩衝液の条件、例えばC. Graham Knight et al.,(1992)FEBS Lett. 296(3):263-266に記載のような条件を用いて、発現させ、精製したプロMMPに使い得る。
【0109】
例えばTNFコンバターゼを含むアダマライシンファミリー
本化合物がプロTNFαコンバターゼ酵素(TACE)を阻害する能力は、K. M. Mohler et al.,(1994)Nature 370:218-220に記載のように、THP−1の膜から得られた酵素である、一部精製し単離した酵素のアッセイを用いて評価し得る。精製した酵素の活性とその阻害は、試験化合物の存在下または非存在下、アッセイ緩衝液(0.1%(w/v)トリトンX−100および2mM CaClを含む50mM Tris HCl(pH7.4))中の、基質4',5'−ジメトキシフルオレセイニルSer.Pro.Leu.Ala.Gln.Ala.Val.Arg.Ser.Ser.Ser.Arg.Cys(4−(3−スクシンイミド−1−イル)−フルオレセイン)−NHを用いて、一部精製した酵素を26℃で4時間インキュベートすることによって測定する。阻害の量は、λex 490nm、λem 530nmを用いた他は、MMP13と同様に測定する。基質は、下記のように合成する。基質のペプチド部分は、カップリング試薬としてFmoc−アミノ酸とO−ベンズトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)を、少なくとも4倍または5倍過剰のFmoc-アミノ酸とHBTUと共に用いる標準的な方法によって、手動または自動ペプチド合成装置のいずれかで、Fmoc−NH−Rink−MBHA−ポリスチレン樹脂上で合成した。SerとProを二重にカップリングした。下記の側鎖保護方法を用いた;Ser(But)、Gln(トリチル)、Arg8,12(Pmc またはPbf)、Ser9,10,11(トリチル)、Cys13(トリチル)。合成終了後、N末端のFmoc保護基をFmoc−ペプチジル−樹脂をDMFで処理することにより除去した。このようにして得られたアミノ−ペプチジル−樹脂は、1.5−2当量の4',5'−ジメトキシフルオレセイン−4(5)−カルボン酸[Khanna & Ullman,(1980)Anal Biochem. 108:156-161(DMF中のジイソプロピルカルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾールで予め活性化した)]で、1.5−2時間70℃で処理することにより、アシル化した。ジメトキシフルオレセイニル−ペプチドを、次に、水とトリエチルシランを各々5%ずつ含むトリフルオロ酢酸で処理することによって脱保護し、同時に樹脂から切断した。ジメトキシフルオレセイニル−ペプチドを、蒸発させ、ジエチルエーテルでトリチュレートし、濾過することによって単離した。単離ペプチドをジイソプロピルエチルアミンを含むDMF中で、4−(N−マレイミド)−フルオレセインと反応させ、生成物をRP−HPLCで精製し、最後に水性酢酸から凍結乾燥法によって単離した。生成物は、MALDI−TOF MSとアミノ酸分析によって特性決定した。
【0110】
本発明の化合物は、TACEに対して0.1nMから50μMの範囲で活性であることが判明し、特に10μMの化合物1は72%阻害をもたらし、そして10μMの化合物3は72%阻害をもたらした。
【0111】
天然基質
アグリカン分解の阻害剤としての、本発明の化合物の活性は、例えばE. C. Arner et al.,(1998)Osteoarthritis and Cartilage 6:214-228;(1999)Journal of Biological Chemistry, 274(10), 6594-6601の開示に基づく方法と、そこで記載された抗体を用いてアッセイし得る。コラゲナーゼに対して阻害剤として作用する化合物の有効性は、T. Cawston and A. Barrett(1979)Anal. Biochem. 99:340-345に記載のように測定できる。
【0112】
細胞/組織ベースの活性におけるメタロプロテイナーゼ活性の阻害
TNFコンバターゼのような膜シェダーゼを阻害する薬剤としての試験
本発明の化合物がTNFα生成の細胞内加工・処理を阻害する能力は、本質的にK. M. Mohler et al.,(1994)Nature 370:218-220 に記載されたように、THP−1細胞において、ELISAを用いて放出されたTNFを検出することによって評価し得る。類似の方法で、N. M. Hooper et al.,(1997)Biochem. J. 321:265-279に記載されたような他の膜分子の加工・処理またはシェディングを、適切な細胞株と、剥離(shed)タンパク質を検出するための適切な抗体を用いて試験し得る。
【0113】
細胞ベースの浸潤を阻害する薬剤としての試験
浸潤アッセイにおいて、本発明の化合物が細胞の移動を阻害することができるかは、A. Albini et al.,(1987)Cancer Research 47:3239-3245に記載のように測定し得る。
【0114】
全血TNFシェダーゼ活性を阻害する薬剤としての試験
本発明の化合物がTNFα生成を阻害する能力を、TNFαの放出を刺激するために、LPSを用いたヒト全血アッセイにおいて評価する。ボランティアから得たヘパリン処理(10単位/ml)したヒトの血液をプレートに添加し、RPMI1640+重炭酸塩、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミン、1%DMSO中の試験化合物20μl(デュプリケート)と、加湿(5%CO/95%空気)インキュベーター中で30分間37℃でインキュベートした後、20μlのLPS(E. coli. 0111:B4; 最終濃度10μg/ml)を添加した。各アッセイは、溶媒のみまたはLPS(各6ウェル/プレート)とインキュベートした、そのままの血液のコントロールを含む。次いで、プレートを37℃で6時間インキュベートし(加湿インキュベーター)、遠心し(2000rpm、10分間;4℃)、血漿を集め(50−100μl)、96ウェルプレート中で−70℃で保存し、次にTNFαの濃度をELISAによって分析した。
【0115】
インビトロ軟骨分解を阻害する薬剤としての試験
本発明の化合物が軟骨のアグリカンまたはコラーゲン構成成分の分解を阻害する能力は、本質的にK. M. Bottomley et al.,(1997)Biochem J. 323:483-488に記載のように評価できる。
【0116】
インビボ評価
抗TNF剤としての試験
本発明の化合物のインビボでのTNFα阻害剤としての能力を、ラットで評価する。簡単には、メスWistar Alderley Park(AP)ラット(90−100g)のグループに、化合物(ラット5匹)または薬剤賦形剤(ラット5匹)を適切な経路、例えば経口(p.o.)、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)で投与し、1時間後、リポポリサッカライド(LPS)攻撃(30μg/ラットi.v.)する。LPS攻撃60分後、ラットに麻酔し、末端の血液サンプルを、後部大静脈を介して採る。血液を室温で2時間凝血させ、血清サンプルを得る。これらをTNFαELISAおよび化合物濃度分析のために−20℃で貯蔵する。
【0117】
専用ソフトウエアでのデータ分析により、各化合物/投与量に関して計算する:
【数1】

【0118】
抗関節炎剤としての試験
抗関節炎剤としての本発明の化合物の活性は、D. E. Trentham et al.,(1977)J. Exp. Med. 146,:857に記載のように、コラーゲン誘発関節炎(CIA)で試験する。このモデルにおいては、酸可溶性天然型タイプIIコラーゲンが、フロイント不完全アジュバント中で投与した場合、ラットにおける多発性関節炎を引き起こす。同条件をマウスと霊長類で関節炎を誘発するために用いることができる。
【0119】
医薬組成物
本発明のさらなる態様により、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルを、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物が提供される。
【0120】
本組成物は、例えば、錠剤またはカプセルとして経口投与に、滅菌溶液、懸濁液またはエマルジョンとして非経腸投与に(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸液を含む)、軟膏またはクリームとして局所投与に、または坐薬として直腸投与に適した形であり得る。本組成物はまた吸入に適した形でもよい。
【0121】
一般に、上記組成物は慣用の賦形剤を使用して慣用法で製造し得る。
本発明の医薬組成物は、通常ヒトに、例えば、0.5から75mg/kg体重(および好ましくは0.5から30mg/kg体重)が投与されるように投与する。この一日量は必要に応じて分割投与で投与し得、投与する化合物の厳密な量および投与経路は、当分野で既知の原理にしたがい、処置する患者の体重、年齢、性別、そして特に処置する疾患状態に依存する。
典型的に、単位投与形は1mgから500mgの本発明の化合物を含む。
【0122】
したがって、本発明のさらなる態様において、治療によるヒトのような温血動物を処置する方法において使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの使用が提供される。
【0123】
また提供されるのは、1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼ酵素により介在される疾患状態、特にTNFαにより介在される疾患状態を処置する方法において使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルである。
【0124】
さらに提供されるのは、ヒトのような温血動物における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害および悪性腫瘍を処置する方法において使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルである。特に、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルは、関節リウマチ、クローン病および乾癬、特に関節リウマチの処置の方法における使用のために提供される。前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルは、喘息またはCOPDのような呼吸器疾患を処置する方法において使用するために提供される。
【0125】
本発明のさらなる態様において、医薬として使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルが提供される。
【0126】
また提供されるのは、1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼ酵素により介在される疾患状態、特にTNFαにより介在される疾患状態の処置用医薬として使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルである。
【0127】
さらに提供されるのは、ヒトのような温血動物における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害および悪性腫瘍の処置用医薬として使用するための、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルである。特に、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルは、関節リウマチ、クローン病および乾癬、および特に関節リウマチの処置用医薬として使用するために提供される。前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルは、喘息またはCOPDのような呼吸器疾患の処置用医薬として使用するためにも提供される。
【0128】
本発明の他の態様により、ヒトのような温血動物における1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼ酵素により介在される疾患状態、特にTNFαにより介在される疾患状態の処置に使用する医薬の製造における、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの使用が提供される。
【0129】
また提供されるのは、ヒトのような温血動物における炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害および悪性腫瘍の処置に使用する医薬の製造における、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの使用である。特に、前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの、関節リウマチ、クローン病および乾癬、特に関節リウマチの処置に使用する医薬の製造における使用が提供される。前記で定義の式(1)の化合物、または薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステルの、喘息またはCOPDのような呼吸器疾患の処置に使用する医薬の製造における使用も提供される。
【0130】
本発明のこの態様のさらなる特性により、有効量の式(1)の化合物を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物において、メタロプロテイナーゼ阻害効果を引き起こす方法を提供する。
【0131】
本発明のこの態様のさらなる特性により、有効量の式(1)の化合物を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物において、TACE阻害効果を引き起こす方法を提供する。
【0132】
本発明のこの態様のさらなる特性により、有効量の式(1)の化合物を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物における自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害および悪性腫瘍を処置する方法が提供される。
【0133】
また提供されるのは、有効量の式(1)の化合物を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物において、関節リウマチ、クローン病および乾癬、特に関節リウマチを処置する方法である。さらに提供されるのは、有効量の式(1)の化合物を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物における、喘息またはCOPDのような呼吸器疾患を処置する方法である。
【0134】
治療的薬剤における使用に加えて、式(1)の化合物およびその薬学的に許容される塩はまた、新規治療剤の探索の一部として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスのような実験動物における細胞サイクル活性の阻害剤の効果を評価するためのインビトロおよびインビボ試験系の開発および標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0135】
上記の他の医薬組成物、製造法、方法、使用および医薬製造特性において、本明細書に記載の本発明の化合物の別のかつ好ましい実施態様も適用される。
【0136】
実施例
次に、本発明を非限定的実施例により説明し、その中では特記しない限り以下のことが適用される:
(i)温度は摂氏(℃)で記載する;操作は室温または環境温度で、すなわち、18−25℃の範囲の温度で行った;
(ii)有機溶液は無水硫酸マグネシウムで乾燥させた;溶媒の蒸発は、減圧下(600−4000パスカル;4.5−30mmHg)、60℃までの浴温度でロータリーエバポレーターを使用して行った;
(iii)クロマトグラフィーは、特記しない限り、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを意味する;薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲルプレートで行った;“Bond Elut”カラムを言及している場合、これは、40ミクロン粒子サイズのシリカを10gまたは20g含むカラムを意味し、シリカは60ml使い捨てシリンジに入れられ、多孔性ディスクで支持されており、商品名“Mega Bond Elut SI”としてVarian, Harbor City, California, USAから得た。“Isolute(登録商標)SCXカラム”を言及している場合、これは、International Sorbent Technology Ltd., 1st House, Duffryn Industrial Estate, Ystrad Mynach, Hengoed, Mid Glamorgan, UKから得た、ベンゼンスルホン酸(非末端キャップ(non-endcapped))を含むカラムを意味する。Flashmaster IIを言及している場合、これはJonesが販売しているUV駆動自動クロマトグラフィーユニットを意味する;
【0137】
(iv)一般に反応の経過はTLCでモニターし、反応時間は説明のためだけに記載する;
(v)収率は、記載してある場合、説明のだめだけであり、必ずしも熱心な方法の開発により得ることができるものではない;方法は、より多くの材料が必要であった場合、繰り返した;
(vi)記載している場合、H NMRデータを引用し、主要診断的プロトンに対するデルタ値の形であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する100万分の1(ppm)として示し、特記しない限り、ペルデューテリオ(perdeuterio)DMSO(CDSOCD)を溶媒として使用して、300MHzで測定した;結合定数(J)はHzで示す;
(vii)化学記号はその通常の意味を有する;SI単位および記号を使用する;
(viii)溶媒比は、容積百分率で示す;
(ix)マススペクトル(MS)は、化学イオン化(APCI)モードにおける70電子ボルトの電子エネルギーで、直接暴露プローブを使用して行った;示されている場合、イオン化は電子スプレー(ES)により行った;m/zの値が記載されている場合、一般的に、親質量を示すイオンのみを報告し、特記しない限り、引用した質量イオンは、陽性質量イオン−(M+H)である;
(x)LCMS特徴付けは、Gilson 233 XLサンプラーを備えたGilson 306ポンプとWaters ZMD4000質量分析計のペアを使用して行った。LCは、5ミクロン粒子サイズの水対称4.6×50カラムC18から成った。溶離液は:Aは水と0.05%ギ酸および、Bはアセトニトリルと0.05%ギ酸であった。溶離液勾配は6分間の95%Aから95%Bであった。示されている場合、イオン化は電子スプレー(ES)により行った;m/zの値が記載されている場合、一般的に、親質量を示すイオンのみを報告し、特記しない限り、引用した質量イオンは、陽性質量イオン−(M+H)である、そして
(xi)以下の略語を使用する:
【表1】

【0138】
実施例1
(R/S)−1−({[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド
【化23】

(R/S)−[1−({[4−(4−ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル]ヒドロキシルアミン(170mg、0.43mmol)のTHF(5.0ml)中の撹拌した溶液に、予め生成した酢酸無水物(200μl、2.1mmol)とギ酸(0.75ml)の混合物を添加した。混合物をRTで23時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、EtOAc(15ml)、続いて飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、反応混合物を4時間撹拌した。混合物をEtOAc(15ml)で希釈し、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させて、無色フィルムを得た。水性層をDCM(3×10ml)で再抽出し、乾燥(NaSO)させ、先の生成物と合わせた。この残渣をクロマトグラフィー(Flashmaster II、溶離剤0→10%MeOH/DCM)で精製し、混合物を得た。混合物をMeOH(5ml)に再溶解し、KCOを添加した。16時間後溶液を濃縮し、DCMと塩水に分配し、有機層を乾燥(NaCO)させ、濃縮して表題化合物を純粋油状物として得た(84mg、46%)。NMR(CDCl3): 8.69(d, 2H), 8.22 & 7.90(br s, 1H), 7.3(t, 1H), 4.1(q, 2H), 3.58(m, 1H), 3.3(m, 4H), 3.02(m, 2H), 2.83(m, 2H), and 1.8-1.47(m, 11H);MS: 425。
【0139】
出発物質(R/S)−[1−({[4−(4−ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル]ヒドロキシルアミンは下記のように製造した:
i)溶液の4−ヒドロキシピペリジン(20g、198mmol)の2M水性水酸化ナトリウム(350ml)溶液に、メタンスルホニルクロライド(25ml、323mmol)を10分間にわたり添加した。溶液を環境温度でさらに1時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(300ml)に注ぎ、有機相を分離した。水性相をEtOAc(2×300ml)で抽出した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)させ、濾過した。濾液をSCX−2樹脂(20g)で15分間処理し、その後濾過し、蒸発させて、4−ヒドロキシ−1−(メタンスルホニル)ピペリジンを白色固体(6.62g、19%)として得た。NMR(CDCl3):3.95(m, 1H), 3.45(m, 2H), 3.10(m, 2H), 2.75(s, 3H), 1.95(m, 2H), 1.70(m, 2H)。
【0140】
ii)水素化ナトリウム(60%分散、1.5g、37.5mmol)のDMF(350ml)中の懸濁液に、4−ヒドロキシ−1−(メタンスルホニル)ピペリジン(6.4g、35.7mmol)のDMF(50ml)溶液を添加した。RTで20分間後、1−ブロモブト−2−イン(3.0ml、34.3mmol)を急速に添加した。4時間後、RTで水(5ml)を添加し、混合物を16時間放置した。溶媒を濃縮し、得られた褐色油状物を塩水(200ml)とEtOAc(200ml)に分配した。水性相をEtOAc(2×200ml)で抽出し、有機層を合わせた。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)させ、濃縮して褐色油状物を得、それをクロマトグラフィー(Flashmaster II、70gシリカカラム、0→100%EtOAc/イソヘキサン勾配で溶出)で精製し、4−(ブト−2−イニルオキシ)−1−メタンスルホニルピペリジン(1.8g、収率22%)を得た。NMR(CDCl3): 4.14(q, 2H), 3.75(m, 1H), 3.35(m, 2H), 3.21(m, 2H), 2.77(s, 3H), 1.90(m, 2H), 1.85(t, 3H), 1.82(m, 2H)。
【0141】
iii)4−(ブト−2−イニルオキシ)−1−メタンスルホニルピペリジン(461mg、2mmol)のTHF(15ml)中の撹拌した溶液に、−15℃で、LiHMDS(4.4ml、THF中1.0M溶液、4.4mmol)を添加した。溶液を次いでその温度で30分間撹拌した。次いでエチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエート(400mg、2.1mmol)のTHF(1ml)溶液を滴下した。反応をゆっくり5℃に暖め、20分後、水(2ml)を添加した。溶液を塩水(20ml)とEtOAc(10ml)に分配し、次いで水性層をEtOAc(10ml)で再抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%EtOAcのヘキサン溶液)により、1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オンを黄色油状物(286mg、38%)として得た。NMR(CDCl3): 8.67(d, 2H), 7.13(t, 1H), 4.13(q, 2H), 3.96(s, 2 H), 3.72(m, 1H), 3.47(m, 2H), 3.22(m, 2H), 3.0(t, 2H), 2.84(t, 2H), 2.16(m, 2H), 1.98(m, 2H), 1.85(t, 3H), 1.76(m, 2H);MS: 380。
【0142】
iv)1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オン(286mg、0.75mmol)のEtOH(5ml)中の撹拌した溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(15mg)を添加し、混合物をRTで撹拌した。25分後、反応混合物を濃縮し、EtOAc(20ml)を添加した。有機層を塩水(20ml)で洗浄しおよび水性フラクションをEtOAc(20ml)で再抽出した。合わせた有機物を乾燥(NaSO)させ、蒸発させて(R/S)−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オール(286mg、100%収率)を得た。NMR: 8.67(d, 2H), 7.14(t, 1H), 4.24(m, 1H), 4.13(q, 2H), 3.74(m, 1H), 3.56(br s, 1H), 3.42(m, 2H), 3.24(m, 2H), 3.02(m, 4H), 1.85(t, 3H), 1.81(m, 8H);MS: 382。
【0143】
v)(R/S)−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン−2−オール(286mg、0.75mmol)のDCM(5ml)中の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(260μl、1.9mmol)、続いてメタンスルホニルクロライド(65μl、0.83mmol)を添加し、混合物をRTで撹拌した。21時間後、反応混合物を塩水に注ぎ、DCM(20ml)で希釈し、分配した。有機層を乾燥(NaSO)させ、蒸発させてクロマトグラフィー(Flashmaster II、10gシリカカラム、0→100%ヘキサンからEtOAc)で精製し、E−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペント−1−エン(158mg、58%収率)を得た。NMR: 8.68(d, 2H), 7.15(t, 1H), 6.76(dt, 1H), 6.12(d, 1H), 4.12(q, 2H), 3.68(m, 1H), 3.30(m, 2H), 3.05(m, 4H), 2.35(m, 2H), 2.04(m, 2H), 1.89(m, 2H), 1.84(t, 3H), 1.76(m, 2H);MS: 364。
【0144】
vi)E−1−{[4−(ブト−2−イニルオキシ)ピペリジニル]スルホニル}−5−(ピリミジン−2−イル)ペント−1−エン(158mg、0.43mmol)のTHF(5ml)中の撹拌した溶液に、アルゴン下ヒドロキシルアミン(50%水溶液、450μl)を添加し、混合物を一晩撹拌した。混合物を水(5ml)およびEtOAc(15ml)に注ぎ、分配した有機層を塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濃縮して(R/S)−[1−({[4−(4−ブト−2−イニルオキシ)ピペリジン−1−イル]スルホニル}メチル)−4−ピリミジン−2−イルブチル]ヒドロキシルアミン(170mg、100%)を得、これを直ぐに最終段階に使用した。
【0145】
エチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートを下記のように製造した:
エチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエート
【化24】

2−ブロモピリミジン(80g、500mmol)をTHF(400ml)中スラリーにした。不活性雰囲気を、空気雰囲気を窒素で置き換え、続いてスラリーを窒素パージで脱ガスすることにより作った。ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロライド(2.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(7.5mmol)を入れ、続いて4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物(THF中0.5M、約600mmol)を9回に分け入れた。混合物を反応が完了するまで撹拌し、その時点で水を添加し、溶液をロータリーエバポレーターで油状物とした。DCMを添加し、この溶液を1M EDTA四ナトリウム塩、水および塩水で洗浄した。DCM溶液を次いでロータリーエバポレーターで油状物とし、不純物の沈殿をもたらした。この混合物をTHFに溶解し、濾過して不純物を除去し、次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、所望のエチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエートをオレンジ色油状物(95.4g、492mmol)として得た。1H NMR(400MHz): δ 8.73-8.72(d, 2H), 7.35-7.33(t, 1H), 4.07-4.02(q, 2H), 2.91-2.88(t, 2H), 2.38-2.34(t, 2H), 2.05-1.97(m, 2H), 1.20-1.16(t, 3H)。
【0146】
実施例2
(R/S)−1−[({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)メチル]−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド
【化25】

4−(ブト−2−イニルオキシメチル)−1−(メタンスルホニル)ピペリジン(360mg、1.47mmol)(合成は下記)を4−(ブト−2−イニルオキシ)−1−メタンスルホニルピペリジンの代わりに使用した以外実施例1に記載の方法にしたがい、(R/S)−1−[({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)メチル]−4−ピリミジン−2−イルブチル(ヒドロキシ)ホルムアミド(169mg、0.38mmol)を得た。NMR: 8.68(d, 2H), 8.48(s, 0.5H), 8.04(d, 0.5H), 7.23(t, 0.5H), 7.19(t, 0.5H), 4.08(m, 2H), 3.78(m, 2H), 3.3(m, 4H), 3.06(m, 4H), 2.78(m, 2H), 1.92(m, 2H), 1.85(t, 3H), 1.7(m, 7H);MS: 439。
【0147】
出発4−(ブト−2−イニルオキシメチル)−1−(メタンスルホニル)ピペリジンを下記のように製造した:
i)DCM(250ml)に溶解したピペリジン−4−イルメタノール(2g、17.4mmol)の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(6ml、43.5mmol)、続いてメタンスルホニルクロライド(3.0ml、38.2mmol)を添加した。2.5時間、RT後、反応混合物をEtOAc(500ml)で希釈し、有機層を2M HCl(100ml)、NaHCO(100ml)、塩水(100ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させて、4−(メタンスルホニルオキシメチル)−1−メタンスルホニルピペリジンをオフホワイト色固体(4.5g、96%)として得た. NMR(CDCl3): 4.1(d, 2H), 3.86(m, 2H), 3.02(s, 3H), 2.79(s, 3H), 2.67(m, 2H), 1.89(m, 3H), 1.43(m, 2H)。
【0148】
ii)ブト−2−イン−1−オール(550ul、7.4mmol)のDMF(25ml)中の撹拌した溶液に、水素化ナトリウム(300mg、8.1mmol)を添加した。90分間後、4−(メタンスルホニルオキシメチル)−1−メタンスルホニルピペリジン(2.0g、7.4mmol)のDMF(30ml)溶液を添加した。2時間、RTで撹拌後、水(5ml)を添加し、混合物を褐色油状物まで濃縮した。これをEtOAc(100ml)と塩水(150ml)に分配した。水性層をEtOAc(2×50ml)で再抽出し、合わせた有機フラクションを乾燥(NaSO)させ、蒸発させてクロマトグラフィー(Flashmaster II、50gシリカ、50→100%ヘキサンからEtOAc)で精製し、4−(ブト−2−イニルオキシメチル)−1−(メタンスルホニル)ピペリジン(680mg、2.8mmol、37%)を得た。NMR(CDCl3): 4.07(q, 2H), 3.81(br m, 2H), 3.35( d, 2H), 2.76(s, 3H), 2.64(m, 2H), 1.8(m, 5H), 1.71(m, 1H), 1.35(m, 2H)。
【0149】
実施例3
(R/S)−2−({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−メチルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド
【化26】

(R/S)−2−{[4−(ブト−2−イニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−メチルエチルヒドロキシルアミン(112mg、0.37mmol)のTHF(5.0ml)中の撹拌した溶液に、予め生成した酢酸無水物(200μl、2.1mmol)とギ酸(0.75ml)の混合物を添加した。混合物をRTで一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、EtOAc(10ml)、続いて飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、反応混合物を2時間撹拌した。混合物を塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させて、薄黄色油状物を得た。この残渣をクロマトグラフィー(Flashmaster II、溶離剤0→60%EtOAc/DCM)で精製し、(R/S)−2−({4−[(ブト−2−イニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−メチルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド(75mg、0.22mmol)を得た。NMR(CDCl3): 7.96(s, 1H), 4.36(m, 1H), 4.08(q, 2H), 3.77(m, 2H), 3.47(dd, 1H), 3.34(d, 2H), 2.90(dd, 2H), 2.75(m, 2H), 1.85(t, 3H), 1.82(m, 2H), 1.74(m, 1H), 1.48(d, 3H), 1.34(m, 2H);MS: 333。
【0150】
出発物質(R/S)−2−{[4−(ブト−2−イニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−メチルエチルヒドロキシルアミンを下記のように製造した:
i)4−(ブト−2−イニルオキシメチル)−1−メタンスルホニルピペリジン(上記で製造)(320mg、1.3mmol)のTHF(10ml)中の撹拌した溶液に、−17℃でアルゴン下LiHMDS(2.8ml、THF中1.0M溶液、2.8mmol)を添加した。溶液を次いでこの温度で30分間撹拌した。ジエチルクロロホスフェート(190μl、1.31mmol)の溶液を次いで添加し、反応混合物を0℃でさらに50分間撹拌した。アセトアルデヒド(100μL、1.8mmol)を次いで添加した。15時間後、反応を飽和塩化アンモニウム(10ml)でクエンチした。有機相を分離し、水性層をEtOAc(30ml)で抽出した。合わせた有機物を合わせ、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濃縮し、クロマトグラフィー(Flashmaster II、50gシリカ、50→100%ヘキサンからEtOAc)を行い、E/Z−{1−[4−(4−ブト−2−イニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}プロプ−1−エンを黄色油状物として得た(100mg、0.37mmol)。MS: 272。
【0151】
ii)E/Z−{1−[4−(4−ブト−2−イニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}プロプ−1−エン(100mg、0.37mmol)のTHF(5ml)中の撹拌した溶液に、アルゴン下ヒドロキシルアミン(50%水溶液、450μl)を添加し、混合物を週末にわたり撹拌した。混合物を水(5ml)およびEtOAc(15ml)に注ぎ、分配した有機層を塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して(R/S)−2−{[4−(ブト−2−イニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−メチルエチルヒドロキシルアミン(112mg、0.37mmol)を得た。これを直ぐに最終段階に使用した。
【0152】
実施例4
2−(4−ブト−2−イニルオキシメチルピペリジン−1−イルスルホニルメチル)−4−メチル−吉草酸ヒドロキシアミド
【化27】

2−(4−ブト−2−イニルオキシメチルピペリジン−1−イルスルホニルメチル)−4−メチル吉草酸(350mg、0.97mmol)のDCM(20ml)中の撹拌した溶液に、DMF(2滴)および塩化オキサリル(0.1ml、1.16mmol)を添加した。反応物を1時間RTで撹拌し、次にRTで蒸発乾固して黄色固体を得た。固体をDCM(6ml)に再溶解しヒドロキシルアミン(50%aq.、1.0ml)のTHF(15ml)溶液に5分間にわたり滴下した。得られた溶液を1時間RTで撹拌し、次いで減圧下で蒸発させた。粗生成物をクロマトグラフィー(Flashmaster II、20gシリカBond Elute、溶離剤50%から80%EtOAc/イソヘキサン)で精製し、生成物を白色固体(160mg、0.43mmol)として得た。NMR(400MHz, CDCl3)0.91(d, 3H), 0.93(d, 3H), 1.34(m, 2H), 1.71(m, 2H), 1.81(m, 1H), 1.85(t, 3H), 2.71(m, 2H), 2.83(dd, 1H), 3.35(d, 2H), 3.42(dd, 1H), 3.72(m, 2H), 4.08(q, 2H);MS: 375。
【0153】
出発物質2−(4−ブト−2−イニルオキシメチルピペリジン−1−イルスルホニルメチル)−4−メチル−吉草酸を下記のように製造した:
i)−16℃に冷却した4−ブト−2−イニルオキシメチル−1−メタンスルホニルピペリジン(520mg、2.12mmol)のTHF(7ml)溶液に、LiHMDS(THF中1.0M、2.2ml、2.2mmol)を添加した。溶液を−16℃で10分間撹拌した。この溶液に、3−イソブチル−オキシラン−2−オンのTHF溶液(LiHMDS(THF中1.0M、2.3ml、2.3mmol)を、2−ブロモイソカプロン酸(431mg、2.2mmol)のTHF(7ml)溶液に−16℃で添加して製造)を、−16℃で滴下して添加した。撹拌をRTで1時間続けた。反応を塩化アンモニウム溶液(飽和水性、5ml)でクエンチした。2M HCl(8ml)およびEtOAc(20ml)を添加した。有機相を分離した。水性相をEtOAc(20ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水(20ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させてクロマトグラフィー(Flashmaster II、50g、溶離剤50→80%EtOAc/イソヘキサン)で精製し、2−(4−ブト−2−イニルオキシメチルピペリジン−1−イルスルホニルメチル)−4−メチル−吉草酸(350mg、0.97mmol)を黄色油状物として得た。NMR(400MHz, CDCl3)0.94(d, 3H), 0.97(d, 3H), 1.30-1.74(8H, m), 1.85(t, 3H), 2.65(td, 1H), 2.75(m, 1H), 2.90(dd, 1H), 3.02(m, 1H), 3.45(d, 1H), 3.78(m, 2H), 4.08(m, 2H);MS 360。
【0154】
実施例5
(R/S)−2−({4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド
【化28】

(R/S)−2−{[4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチルヒドロキシルアミン(下記)(0.75mmol)のDCM(1ml)溶液に、予め生成したギ酸(2ml)と酢酸無水物(1ml)の混合物を添加し、RTで一晩撹拌した。次いでメタノール(5ml)を添加し、30分間撹拌後、混合物を蒸発させた。残渣をメタノール(2ml)に再溶解し、RTに一晩放置した。蒸発後、混合物をBond Elutクロマトグラフィー(10gシリカ)で精製し、DCMから5%メタノールのDCM溶液の
勾配で溶出し、(R/S)−2−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル}スルホニル)−1−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホルムアミド(0.16mmol、0.059g)を固体として得た。MS: 369。
【0155】
出発(R/S)−2−{[4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチルヒドロキシルアミンを下記のように製造した:
i)トリエチルアミン(8.0g、0.079mol)を、E−β−スチレンスルホニルクロライド(12.0g、0.059mol)および4−ヒドロキシピペリジン(8.0g、0.079mol)のTHF(100ml)中の撹拌した溶液にRTで添加した。撹拌を一晩続け、その後反応混合物を低容量まで減少させ、EtOAc、続いて水性1M HCl、飽和NaHCOおよび塩水に分配した。次いで有機フラクションを乾燥(NaSO)させ、蒸発させて、E−[4−ヒドロキシピペリジン−1−イルスルホニル]−2−フェニルエテンを得た。(12.75g;0.046mol);NMR(CDCl3): 1.5-1.8(m, 4H), 1.9-2.1(m, 2H), 3.0-3.2(m, 2H), 3.4-3.6(m, 2H), 3.85(s, 1H), 6.65(s, 1H), 7.3-7.6(m, 6H);MS: 268。
【0156】
ii)E−[4−ヒドロキシピペリジン−1−イルスルホニル]−2−フェニルエテン(0.2g、0.75mmol)をDMF(3ml)に溶解し、臭化アリル(1.5mmol)に添加した。アルゴンガスのカバーを試験管に導入し、その後固体水素化ナトリウム(0.1g;油状物を含む)を注意深く3回に分けて、撹拌した反応物に添加した。撹拌を一晩続けた。水(5ml)を添加し(最初は滴下)、得られた混合物をEtOAc(5ml)で抽出した。有機層を分離し、水性層を再びEtOAc(3ml)で洗浄した。合わせた有機物を蒸発させ、DCM(5ml)に再溶解し、10gシリカBond Elutカラムにかけ、DCMから2.5%MeOHのDCM溶液の勾配で溶出して、E−[4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イルスルホニル]−2−フェニルエテンを得、それを最終段階に持って行った。
【0157】
iii)E−[4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イルスルホニル]−2−フェニルエテンをTHF(1ml)に溶解し、試験管内の空気をアルゴンで排除した後にヒドロキシルアミンの水溶液(50%溶液、1ml)を添加し、混合物を激しく一晩撹拌した。EtOAc(1ml)を添加し、水性層を分離した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濃縮して(R/S)−2−{[4−[プロプ−2−エニルオキシ]ピペリジン−1−イル]スルホニル}−1−フェニルエチルヒドロキシルアミンを得、それを最終段階に持って行った。
【0158】
実施例6および7
臭化アリルを適切なハライドに変えた以外実施例5に記載の方法にしたがい、下記の生成物を得た。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

〔式中、
Zは−CONR15OHおよび−N(OH)CHOから選択され;
15は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択される基であり、該基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、アリール(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、ヘテロアリール(所望により1個またはそれ以上のR17で置換されている)、ヘテロシクリル、C1−4アルコキシカルボニル、−OR、−SR、−SOR、−SO、−COR、−CO、−CONR、−NR16COR、−SONRおよび−NR16SOから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
16は水素またはC1−3アルキルであり;
17はハロ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルコキシから選択され;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1−4アルキルおよびヘテロアリールC1−4アルキルから選択される基であり、ここで、該基は所望により1個またはそれ以上のハロで置換されており;
は水素またはC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1−4アルキルおよびヘテロアリールC1−4アルキルから選択される基であり、ここで、該基は所望により1個またはそれ以上のハロで置換されており;
は水素、C1−6アルキルまたはC3−6シクロアルキルであるか;
またはRとRは、それらが結合している窒素と共にヘテロ環式4−から7−員環を形成し;
は水素またはC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択される基であり、ここで、該基は所望によりハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびC1−4アルキルから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されているか;
またはRとRは、一緒に炭素環式または飽和ヘテロ環式3−から6−員環を形成し;
およびRは独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C5−7シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
nは0または1であり;
mは0または1であり;
Dは水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはフルオロであり;
Xは−(CR10)−Q−(CR1112)−(ここで、uは0または1である)であり;
QはO、S、SOまたはSOであり;
、R10、R11およびR12は水素、C1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルから独立して選択され;
BはC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(これらの基は、所望により1個またはそれ以上のハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−CONHR13、−CONHR1314、−SO13、−SONHR13、−SONR1314、−NHSO13、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシで置換されている)から選択される基で置換されており;
13およびR14は独立して水素、C1−4アルキルまたはC3−5シクロアルキルであるか;
またはR13とR14は、それらが結合している窒素と共にヘテロ環式4−から7−員環を形成する。〕
の化合物、薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なそのエステル。
【請求項2】
式中、Xが−(CH)−O−または−(CH)−O−(CH)−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式中、BがC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり、各々所望により独立してC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルで置換されている、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
式中、Rが水素、C1−6アルキルまたはアリールであり、ここで、C1−6アルキルまたはアリールは、所望によりC1−4アルキル、アリール(所望によりR17で置換されている)およびヘテロアリール(所望によりR17で置換されている)から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基(式中、R17はハロまたはC1−4アルキルである)で置換されている、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用する、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
1個またはそれ以上のメタロプロテイナーゼ酵素により介在される疾患状態の処置用医薬の製造における、請求項1から4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
TNFαにより介在される疾患状態の処置用医薬の製造における、請求項1から4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物の有効量を動物に投与することを含む、処置を必要とするヒトのような温血動物における自己免疫疾患、アレルギー性/アトピー性疾患、移植拒絶反応、移植片対宿主病、心臓血管疾患、再潅流傷害および悪性腫瘍の処置法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の化合物;かつ薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1記載の化合物の製造法であり、
式中、Zが−N(OH)CHOである場合:
a)式(2)のヒドロキシルアミンを式(1)の化合物に変換する段階;
【化2】

または、式中、Zが−CONR15OHである場合:
b)式(14)の酸を式(1)の化合物に変換する段階;
【化3】

そして、その後、必要に応じて:
i)式(1)の化合物を他の式(1)の化合物に変換し;
ii)任意の保護基を除去し;
iii)薬学的に許容される塩またはインビボで加水分解可能なエステルを形成する
段階を含む、方法。
【請求項11】
エチル4−(ピリミジン−2−イル)ブタノエート。
【化4】

【請求項12】
2−ハロピリミジン、2−トシルピリミジン、2−ピリミジニルトリフレート(triflate)または2−ピリミジニルメシラートと4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛臭化物または4−エトキシ−4−オキソ−ブチル亜鉛ヨウ化物の触媒の存在下での反応を含む、方法;
【化5】

〔式中、Xはハロ、トリフレートまたはメシラートであり、Yは臭化物またはヨウ化物である。〕。
【請求項13】
触媒がビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロライドとトリフェニルホスフィンから生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロライドとトリフェニルホスフィンの、根岸カップリング反応における使用。

【公表番号】特表2006−502990(P2006−502990A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520837(P2004−520837)
【出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【国際出願番号】PCT/GB2003/002985
【国際公開番号】WO2004/006927
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】