説明

マルチキャスト配信制御システム

【課題】通信装置に対する配信制御を行うことなく適切にマルチキャストコンテンツを配信することができるマルチキャスト配信制御システムを提供する。
【解決手段】端末に対するマルチキャストコンテンツの配信を制御するマルチキャスト配信制御システムであって、移動可能な端末が、マルチキャストコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御サーバに対して、端末の位置情報とマルチキャストコンテンツの取得要求を送信する。コンテンツ配信制御サーバのサーバ通信部が端末から位置情報と取得要求を受信し、受信した位置情報が、設定記憶部に記憶した、マルチキャストコンテンツを送信可能な地域とチャンネル情報と地域の場所を示す地域位置情報に含まれると判定した場合、対応するチャンネル情報に基づいて、地域で端末が視聴可能なマルチキャストコンテンツをサーバ通信部により送信する。端末は、受信したマルチキャストコンテンツを表示部で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャストコンテンツをIPマルチキャスト通信によって配信するマルチキャスト配信制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のIPマルチキャスト通信の方式では、クライアント端末が発信するマルチキャストコンテンツ視聴要求(RFC(Request For Comment)で定義されたIGMP(Internet Group Management ProtocolのJoin信号))を、視聴者が操作する端末の直近のルータが受信する。そして、そのルータを含むルータ群で構成されたIPマルチキャストネットワークが、マルチキャスト・ルーティング・プロトコルを介して、自律的にマルチキャストコンテンツ視聴要求を発したクライアント端末に対してマルチキャストコンテンツを配信可能とする様な仕組みとなっている。そのため、マルチキャストコンテンツの配信地域を、マルチキャストコンテンツの提供者が管理、制御することが困難であり、マルチキャストコンテンツの有料化・配信の局所化など、ビジネスモデルを構築することが困難となっている。
【0003】
前述にあるような無制限なマルチキャストコンテンツの配信を制約するために、いくつかの方法が考案されている。例えば、特許文献1には、マルチキャストコンテンツの配信経路上のルータ、あるいはレイヤ2スイッチを制御することによって実現をしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−253968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、LAN(Local Area Network)に存在する固定された視聴端末を対象としているために、移動可能であることを特徴とする携帯端末に対する手段としては適用が困難であった。さらに、マルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチを制御する解決方法では、マルチキャストコンテンツ配信経路上のマルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチ全てに対して、配信を制御するための特定の制御機能を具備させなくてはならない。したがって、マルチキャストコンテンツの配信に関して統一した仕様化がなされていない状況では、結果的に、例えば、全てのマルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチを特定ベンダ製のもので統一するなどの非現実的と言わざるを得ないシステム設計を強いられるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチ等の通信装置に対する配信制御を行うことなく適切にマルチキャストコンテンツを配信することができるマルチキャスト配信制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるマルチキャスト配信制御システムは、端末に対するマルチキャストコンテンツの配信を制御するマルチキャスト配信制御システムであって、前記端末は移動可能な端末であって、前記マルチキャストコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御サーバに対して、前記端末の現在地を示す位置情報と前記マルチキャストコンテンツの取得要求とを送信し、または前記コンテンツ配信制御サーバから前記マルチキャストコンテンツを受信する端末通信部と、前記位置情報と前記取得要求との入力を前記端末の利用者から受け付ける入力受付部と、前記マルチキャストコンテンツを表示する表示部と、前記位置情報を測位し、または前記マルチキャストコンテンツを前記表示部に表示させる端末制御部と、を備え、前記コンテンツ配信制御サーバは、前記端末から前記位置情報と前記取得要求とを受信し、または前記マルチキャストコンテンツを前記端末に送信するサーバ通信部と、前記マルチキャストコンテンツを送信可能な地域と前記マルチキャストコンテンツを送信するチャンネル情報と前記地域の場所を示す地域位置情報とを対応付けて記憶する設定記憶部と、前記サーバ通信部が前記端末から前記位置情報と前記取得要求とを受信した場合に、受信した前記位置情報が前記地域位置情報に含まれるか否かを判定し、前記位置情報が前記地域位置情報に含まれると判定した場合に、前記地域位置情報に対応する前記チャンネル情報に基づいて、前記地域で前記端末が視聴可能なマルチキャストコンテンツを前記サーバ通信部に送信させるサーバ制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチ等の通信装置に対する配信制御を行うことなく適切にマルチキャストコンテンツを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るマルチキャスト配信制御システムの全体の構成を示す図である。
【図2】図1に示した配信先設定データベースが保持する情報の例を示す図である。
【図3】コンテンツ配信サーバの記憶部が記憶するマルチキャストコンテンツの例を示す図である。
【図4】コンテンツ配信制御サーバが作成するアドレスリストの例を示す図である。
【図5】コンテンツ配信制御サーバが、番組表の取得要求をした携帯端末に配信する番組表の例を示す図である。
【図6】マルチキャスト配信制御システムが携帯端末にマルチキャストコンテンツを配信する場合の処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】マルチキャスト配信制御システムが携帯端末にマルチキャストコンテンツを配信した後に行われる処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるマルチキャスト配信制御システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るマルチキャスト配信制御システム1000の全体の構成を示す図である。マルチキャスト配信制御システム1000は、特定位置に存在する携帯端末101と、その携帯端末101に対してマルチキャストコンテンツの配信の可否を判断するコンテンツ配信制御サーバ102と、複数のマルチキャストIPアドレスとそのアドレスの配信地域との組み合わせの設定を対応付けて保持する配信先設定データベース103と、マルチキャストコンテンツを蓄積し、携帯端末101からの視聴要求によりマルチキャストコンテンツを送出するコンテンツ配信サーバ104と、マルチキャストコンテンツを前記携帯端末101まで配信するルータ105と、これらの各装置を接続するための通信ネットワークNと、携帯端末101が自身の位置を測位するためのGPS(Global Positioning System)人工衛星106と、携帯端末101がGPS機能を具備しない場合、もしくは所在位置により一時的にGPSによる測位が不可能な際に代替方法として、自身の位置を測位するための基地局107と、を含んで構成されている。なお、ネットワークNは、インターネットやWAN(Wide Area Network)等の一般的な通信回線網である。
【0012】
図1では、携帯端末101が、地域A108と地域B109とに散在している状態を表している。各地域の分割単位は任意であり、1つのマルチキャストIPアドレスに対して、複数、または別個の配信地域の集合を設定できるものとする。
【0013】
また、図1では特に示していないが、携帯端末101、コンテンツ配信制御サーバ102、コンテンツ配信サーバ103等の各装置は、後述する各種の処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成される制御部と、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェースから構成される通信部と、マルチキャストコンテンツやマルチキャストコンテンツを配信するスケジュールを定めた番組表等、携帯端末101にマルチキャストコンテンツを配信するために必要な種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置(記憶媒体)から構成される記憶部とを有しているものとする。
【0014】
また、携帯端末101は、利用者から番組表(後述)の要求やマルチキャストコンテンツの視聴操作を受け付けるボタン等の入力装置から構成される入力受付部と、番組表(後述)やマルチキャストコンテンツを表示する液晶パネル等の表示装置から構成される表示部とを有しているものとする。なお、以下では、マルチキャストコンテンツが配信される端末は携帯端末である前提で説明しているが、例えば、ノートPC(Personal Computer)やカーナビゲーションシステム等の移動可能な各種の端末や装置であってもよい。
【0015】
図2は、図1に示した配信先設定データベース103が保持する情報の例を示す図である。図2に示すように、配信先設定データベース103は、GPSで同定される地点を示す位置情報(例えば、緯度、経度、高度を示す座標)と、マルチキャストコンテンツの配信先の単位となる地域とを対応付けて設定された地域定義テーブル201と、マルチキャストIPアドレスと、そのマルチキャストIPアドレスによって配信されるマルチキャストコンテンツが配信可能な地域とを対応付けて設定された地域定義テーブル202と、を有している。
【0016】
コンテンツ配信制御サーバ102は、携帯端末101から、マルチキャストコンテンツ視聴に先だって実行される番組表の提示要求を受信すると、地域定義テーブル202を元に、通知された位置情報に対応する地域に対して配送可能なマルチキャストIPアドレスのリスト(アドレスリスト)を作成し、作成したアドレスリストを携帯端末101に送信する。このアドレスリストの具体的な例については後述する。
【0017】
図3は、コンテンツ配信サーバ104の記憶部が記憶するマルチキャストコンテンツの例を示す図である。図3に示すように、コンテンツ配信サーバ104の記憶部は、マルチキャストIPアドレスと、携帯端末101に配信するためのマルチキャストコンテンツと、そのマルチキャストコンテンツを配信する時間帯等の配信情報とを対応付けたメタデータを複数記憶している。
【0018】
図3に示す例では、マルチキャストIPアドレス(1)(チャンネル(1))では、時間帯「19:00−19:30」に、番組「ABCニュース」を配信し、マルチキャストIPアドレス(2)(チャンネル(2))では、時間帯「19:00−20:00」に、番組「ドラマX」を配信し、マルチキャストIPアドレス(3)(チャンネル(3))では、時間帯「19:00−21:00」に、番組「バラエティY」を配信していることを示している。
【0019】
図4は、後述する処理において、コンテンツ配信制御サーバ102が作成するアドレスリストの例を示す図である。図4に示すように、コンテンツ配信制御サーバ102の制御部は、ある地域(例えば、地域A)に位置する携帯端末101から、その携帯端末101の現在地を示す位置情報(例えば、緯度、経度、高度等の座標情報)を含む番組表の取得要求を受信した場合に、配信先設定データベース103の地域定義テーブル201にアクセスし、受信した位置情報があらわす地域(例えば、地域A)を特定する。
【0020】
そして、コンテンツ配信制御サーバ102の制御部は、配信先設定データベース103の配信先設定定義テーブル202にアクセスし、特定した地域(例えば、地域A)に位置する携帯端末101に配信可能なマルチキャストコンテンツを配信するマルチキャストIPアドレスを特定し、特定したマルチキャストIPアドレスと、先に特定した地域とを対応付けてアドレスリストを作成する。
【0021】
図4に示す例では、コンテンツ配信制御サーバ102の制御部が、地域Aに位置する携帯端末101から現在地として地域Aの位置情報を受信した場合に、図2に示した配信先設定定義テーブル202を参照してマルチキャストIPアドレス(1)、マルチキャストIPアドレス(3)を特定し、特定したこれらのマルチキャストIPアドレスと、マルチキャストコンテンツを配信する地域(地域A)とを対応付けたアドレスリストを作成していることを示している。
【0022】
図5は、コンテンツ配信制御サーバ102が、番組表の取得要求をした携帯端末101に配信する番組表の例を示す図である。図5に示すように、携帯端末101に配信する番組表は、携帯端末101が位置する地域において視聴可能なマルチキャストIPアドレスと、そのマルチキャストIPアドレスによって配信されるマルチキャストコンテンツとが対応付けられている。
【0023】
図5に示す例では、コンテンツ配信制御サーバ102の制御部は、図3に示したマルチキャストコンテンツと、図4に示したアドレスリストを参照し、地域Aに位置する携帯端末101に配信すべき番組表として、マルチキャストIPアドレスをキーに、マルチキャストIPアドレス(1)ではマルチキャストコンテンツ「ABCニュース」が配信され、マルチキャストIPアドレス(3)ではマルチキャストコンテンツ「バラエティY」が配信される番組表を作成していることを示している。続いて、マルチキャスト配信制御システム1000で行われるマルチキャストコンテンツを配信する場合の処理手順について説明する。
【0024】
図6は、マルチキャスト配信制御システム1000が携帯端末101にマルチキャストコンテンツを配信する場合の処理手順を示すシーケンス図である。図6では、時間軸に沿って、携帯端末101を保有する視聴者が、マルチキャストコンテンツを選択してマルチキャストコンテンツの配信が開始されるまでの処理手順を示している。
【0025】
図6に示すシーケンス図において、ある地域(例えば、地域A)に滞在している視聴者が携帯端末101を操作し、携帯端末101の制御部が、マルチキャスト配信マルチキャストコンテンツの番組表を閲覧する操作を開始する旨の信号を出力すると、本実施の形態における処理の開始される(ステップS601)。
【0026】
そして、携帯端末101の制御部は、番組表の取得に先立ち、GPS人工衛星106との間で通信を行い、自身の位置情報を測位するか、または基地局107との間で通信を行い、自身の位置情報を測位する(ステップS602)。なお、これらの測位については、従来から知られている種々の技術によって行われるものとする。
【0027】
続いて、携帯端末101の制御部は、位置情報を含めたマルチキャスト配信マルチキャストコンテンツの番組表の取得を、コンテンツ配信制御サーバ102に対して要求する(ステップS603)。
【0028】
コンテンツ配信制御サーバ102の制御部は、携帯端末101から受信した位置情報を参照して、図4に示したアドレスリストを作成し、さらにそのアドレスリストと、図3に示したマルチキャストコンテンツとを参照し、マルチキャストIPアドレスをキーに、図5に示した番組表を作成し、(ステップS604)、コンテンツ配信制御サーバ102の制御部は、携帯端末101に対して番組表を送信する(ステップS605)。
【0029】
その後、携帯端末101は、コンテンツ配信制御サーバ102から番組表を受信し、視聴者は、その番組表に含まれているマルチキャストコンテンツの一覧表から、視聴を希望するリアルタイムマルチキャストコンテンツを選択する(ステップS606)。
【0030】
そして、視聴者は携帯端末1010を操作し、携帯端末101の制御部は、視聴者が選択したマルチキャストコンテンツに対応したマルチキャストIPアドレスに関する視聴参加要求(IGMP:Internet Group Management ProtocolのJOIN信号)を直近のルータ308に対して送出する(ステップS607)。
【0031】
ルータ608は、当該ネットワークNで利用しているマルチキャストルーティングの所定の方式に従い、コンテンツ配信サーバ104が記憶しているマルチキャストコンテンツを携帯端末101に配信させるためのルーティングに必要な処理を行い(ステップS608、S609)、その後、コンテンツ配信サーバ104は、要求されたマルチキャストコンテンツを携帯端末101に配信する(ステップS610)。このステップS608〜S610で行われる処理の具体的な方法は、RFCで定義されたものに従って行われるものとする。
【0032】
このステップS610の処理が終了すると、携帯端末101へのマルチキャストコンテンツの配信が開始される。続いて、携帯端末101へのマルチキャストコンテンツの配信が開始された後に行われる処理について説明する。
【0033】
図7は、マルチキャスト配信制御システム1000が携帯端末101にマルチキャストコンテンツを配信した後に行われる処理の処理手順を示すシーケンス図である。図7では、時間軸に沿って、携帯端末101を保有する視聴者が移動した場合において、主に、配信されているマルチキャストコンテンツを継続して視聴可能か否かを判定する場合に処理手順を示している。
【0034】
図7に示すシーケンス図において、携帯端末101の制御部は、一定時間間隔で自身の測位を実行し(ステップS701、S702)、位置情報と現在受信中のマルチキャストIP アドレスをコンテンツ配信制御サーバ102に通知する(ステップS704)。このとき、携帯端末101の制御部は、直近で測位した位置と、前回測位した位置との距離が、あらかじめ定められた所定の距離(例えば、地域Aの範囲内の距離)に達しているか否かを判定し、所定の距離に達していないと判定した場合は、コンテンツ配信制御サーバ102に対する通知を行わない(ステップS703)。なお、携帯端末101が行うこれらの測位や通知は、例えば、携帯端末101にインストールされたマルチキャストコンテンツ視聴用アプリケーションによって行われるものとする。
【0035】
このように、携帯端末101の制御部が、携帯端末101の位置情報と現在受信中のマルチキャストIPアドレスを組みにしてコンテンツ配信制御サーバ102に通知することで、コンテンツ配信制御サーバ102は、個々の携帯端末の状態を保持しない、ステートレスなしくみとして実装が可能となる。
【0036】
そして、コンテンツ配信制御サーバ102は、携帯端末101から位置情報とマルチキャストIPアドレスとを受信すると、受信した位置情報とマルチキャストIPアドレスと配信先設定定義テーブル202とを照合し、携帯端末101がその時点で継続して当該マルチキャストコンテンツの配信先として許可されているか否かを判定し、その結果(許可または不許可)を回答する(ステップS705)。
【0037】
そして、携帯端末101の制御部は、コンテンツ配信制御サーバ102から、マルチキャストコンテンツを継続して配信する旨(許可)の回答を受信した場合、携帯端末101は、特に何らかの処理は行わず、視聴者はマルチキャストコンテンツを視聴し続けることが可能となる。
【0038】
一方、携帯端末101の制御部は、コンテンツ配信制御サーバ102から、マルチキャストコンテンツを継続して配信しない旨(不許可)の回答を受信した場合、携帯端末101は、視聴者に対して、配信許可地域の境界に存在していることを通知する(ステップS706)。
【0039】
そして、視聴者が、配信許可地域の外に移動した場合には、携帯端末101は、これまでに受信をしていたマルチキャストIPアドレスから離脱することを通知する信号(RFCで定義されたIGMPのLeave信号)を、携帯端末101の直近のルータ608に送信し(ステップS707)、携帯端末101に対するマルチキャストコンテンツの配信が終了する(ステップS708)。このステップS708の処理が終了すると、本実施の形態における全ての処理が終了する。
【0040】
このように、携帯端末101に対するマルチキャストコンテンツの配信を制御するマルチキャスト配信制御システム1000において、携帯端末101は移動可能な端末であって、通信部(端末側)が、マルチキャストコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御サーバ102に対して、携帯端末101の現在地を示す位置情報とマルチキャストコンテンツの取得要求とを送信し、またはコンテンツサーバ104からマルチキャストコンテンツを受信し、入力受付部が、位置情報と取得要求との入力を携帯端末101の利用者から受け付け、表示部が、マルチキャストコンテンツを表示し、制御部(端末側)が、位置情報を測位し、またはマルチキャストコンテンツを表示部に表示させ、コンテンツ配信制御サーバ102は、通信部(サーバ側)が、携帯端末101から位置情報と取得要求とを受信し、またはマルチキャストコンテンツを携帯端末101に送信し、配信先データベース103が、マルチキャストコンテンツを送信可能な地域とマルチキャストコンテンツを送信するチャンネル情報と地域の場所を示す地域位置情報とを対応付けて記憶し、制御部(サーバ側)が、通信部(サーバ側)が携帯端末101から位置情報と取得要求とを受信した場合に、受信した位置情報が地域位置情報に含まれるか否かを判定し、位置情報が地域位置情報に含まれると判定した場合に、地域位置情報に対応するチャンネル情報に基づいて、地域で携帯端末101が視聴可能なマルチキャストコンテンツを通信部(サーバ側)に送信させるので、マルチキャストルータ、あるいはレイヤ2スイッチ等の通信装置に対する配信制御を行うことなく適切にマルチキャストコンテンツを配信することができる。
【0041】
例えば、マルチキャストコンテンツ配信事業者からマルチキャストコンテンツの配信を委託された通信事業者がマルチキャスト配信制御サーバを構築し、通信事業者側から必要となる機能の具備を要請できる相手となる携帯端末メーカが製造する携帯端末(あるいは携帯端末上で動作するマルチキャストコンテンツ視聴用アプリケーション)のみを制御することによって、適切にマルチキャストコンテンツを配信することができる。
【0042】
また、携帯端末が、その携帯端末上で動作するアプリケーション開発者に対して、位置の測位をするためのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を提供している場合、通信事業者が保有・運用するマルチキャストコンテンツ配信制御サーバと、携帯端末上で動作する対応アプリケーションの開発を行うだけでマルチキャストコンテンツを配信することができるため、低コストの投資で開発が可能となる。
【0043】
また、マルチキャストコンテンツの視聴可否について、マルチキャストコンテンツ提供側が、特定に地域に限定、管理することが可能となり、新たなビジネスモデルの創出を促進することができる。さらに、副次的な効果として、特定のマルチキャストIPアドレスのトラフィックを地理的に限定することが可能なため、回線帯域の予測および制御、いわゆるトラフィック・コントロールが可能となる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかるマルチキャスト配信制御システムは、携帯端末を対象としたマルチキャスト通信を利用したマルチキャストコンテンツ配信の商用利用のビジネスモデルの創出を促進する手段として適用が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1000・・・マルチキャスト配信制御システム
101・・・携帯端末
102・・・コンテンツ配信制御サーバ
103・・・配信先設定データベース
104・・・コンテンツ配信サーバ
105・・・ルータ
106・・・GPS人工衛星
107・・・基地局
108・・・地域A
109・・・地域B
201・・・地域定義テーブル
202・・・配信先設定定義テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に対するマルチキャストコンテンツの配信を制御するマルチキャスト配信制御システムであって、
前記端末は移動可能な端末であって、
前記マルチキャストコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御サーバに対して、前記端末の現在地を示す位置情報と前記マルチキャストコンテンツの取得要求とを送信し、または前記コンテンツ配信制御サーバから前記マルチキャストコンテンツを受信する端末通信部と、
前記位置情報と前記取得要求との入力を前記端末の利用者から受け付ける入力受付部と、
前記マルチキャストコンテンツを表示する表示部と、
前記位置情報を測位し、または前記マルチキャストコンテンツを前記表示部に表示させる端末制御部と、を備え、
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記端末から前記位置情報と前記取得要求とを受信し、または前記マルチキャストコンテンツを前記端末に送信するサーバ通信部と、
前記マルチキャストコンテンツを送信可能な地域と前記マルチキャストコンテンツを送信するチャンネル情報と前記地域の場所を示す地域位置情報とを対応付けて記憶する設定記憶部と、
前記サーバ通信部が前記端末から前記位置情報と前記取得要求とを受信した場合に、受信した前記位置情報が前記地域位置情報に含まれるか否かを判定し、前記位置情報が前記地域位置情報に含まれると判定した場合に、前記地域位置情報に対応する前記チャンネル情報に基づいて、前記地域で前記端末が視聴可能なマルチキャストコンテンツを前記サーバ通信部に送信させるサーバ制御部と、
を備えることを特徴とするマルチキャスト配信制御システム。
【請求項2】
前記端末は、
前記端末通信部が、さらに前記コンテンツ配信制御サーバに対して、前記マルチキャストコンテンツの番組表の取得要求を送信し、または前記コンテンツ配信制御サーバから前記番組表を受信し、
前記入力受付部は、さらに前記番組表に含まれる前記マルチキャストコンテンツの指定を受け付け、
前記表示部は、さらに前記番組表を表示し、
前記端末制御部は、前記入力受付部が指定を受け付けた前記マルチキャストコンテンツを前記表示部に表示させ、
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記サーバ通信部が、さらに前記番組表を前記端末に送信し、
前記サーバ制御部は、さらに前記位置情報が前記地域位置情報に含まれると判定した場合に、前記端末から受信した前記位置情報と前記地域位置情報と前記チャンネル情報とに基づいて、前記現在地に位置する前記端末が視聴可能なマルチキャストコンテンツの番組表を生成し、生成した前記番組表を前記サーバ通信部に送信させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチキャスト配信制御システム。
【請求項3】
前記端末は、
前記制御部が、GPS(Global Positioning System)による通信、または所定の通信方式に従って前記端末と無線通信する基地局との間で通信することによって前記位置情報を測位する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマルチキャスト配信制御システム。
【請求項4】
前記端末は、
前記端末制御部は、前記端末通信部が前記マルチキャストコンテンツを受信した場合において、所定の間隔で前記端末の現在地を測位し、測位した前記端末の現在地を示す位置情報を前記コンテンツ配信制御サーバに送信させ、
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記サーバ制御部が、前記サーバ通信部が前記端末から前記端末の現在地を示す位置情報を受信した場合に、前記端末の現在地で前記マルチキャストコンテンツを継続して視聴可能か否かを判定し、前記端末の現在地で前記マルチキャストコンテンツを継続して視聴可能あるかどうかを判定し、結果を前記マルチキャストコンテンツを前記サーバ通信部に送信させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチキャスト配信制御システム。
【請求項5】
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記サーバ制御部が、前記端末の現在地で前記マルチキャストコンテンツを継続して視聴可能ではないと判定した場合、前記サーバ通信部にマルチキャストコンテンツを継続して視聴可能ではない旨を前記端末に通知させ、前記マルチキャストコンテンツの送信を終了させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のマルチキャスト配信制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−254391(P2011−254391A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128048(P2010−128048)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】