説明

マルチチャンネル分光光度計

【課題】 画素数の大きなPDA検出器を使用し、光学系の構成を変更することなしに、所望の波長分解能に応じて、見かけ上画素数の小さな検出器を利用した場合と同等の出力を得られるようにする。
【解決手段】シフトクロックCKの1パルス毎にPDA検出器7から1画素ずつ出力される電流信号をコンデンサ82で積分し、スイッチ87によるクランプ動作が解除されているタイミングでS/H回路91にサンプル/ホールドする。コンデンサ82を放電させるリセット用スイッチ83を閉成するリセット制御信号RS、クランプ制御信号CP及びトリガ制御信号TGをシフトクロックCKの1パルス毎に欠損させることで、波長方向に隣接する2個の画素信号をコンデンサ82で電流加算し、その加算された電圧信号をA/D変換することで見かけ上波長分解能を半分に落とすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光器により波長分散された光をフォトダイオードアレイ検出器やCCDリニアイメージセンサ等、多数の微小受光部が一次元状に配列されたマルチチャンネル検出器でほぼ一斉に検出する光学系を有するマルチチャンネル分光光度計に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外可視分光光度計を用いれば、試料溶液による吸光度スペクトルや透過率スペクトルを測定し、そのスペクトルから試料溶液に含まれる成分を特定したりその成分の含有量を推定したりすることができる。こうした紫外可視分光光度計の1つとして、フォトダイオードアレイ分光光度計等のいわゆるマルチチャンネル分光光度計がある。
【0003】
図11は特許文献1、2などに記載されている従来の一般的なマルチチャンネル分光光度計の光学系構成図である。図11において、重水素ランプやハロゲンランプである光源1からの出射光はレンズ2により集光されて試料セル3に照射される。試料セル3に収容されている試料溶液S中を光が通過する際に、その含有成分に特有な波長光が吸収を受ける。吸収を受けた透過光はレンズ4で集光され、スリット5を経て回折格子6に入射する。そして、回折格子6により波長分散されて広がった光がフォトダイオードアレイ(PDA)検出器7に入射する。PDA検出器7は光電変換用のフォトダイオードがシリコン基板上に一次元状に配設されたものであり、波長分散光はPDA検出器7の各フォトダイオードでほぼ一斉に検出されて光強度に応じた電気信号に変換される。したがって、回折格子6の回転駆動による波長走査を行うことなく、PDA検出器7からの検出信号に基づいて所定波長範囲の吸光スペクトルを作成することができる。
【0004】
PDA検出器7としては受光素子数(以下、画素数という)Nが例えば512、1024などであるリニアイメージセンサが通常使用され、そのセンサの両端に位置する1番目の画素とN番目の画素とにそれぞれその分光光度計の測定可能波長範囲の上下端の波長λa、λbの光が当たるように光学系が設計されるのが一般的である。この場合、分光光度計の性能の指標の1つである波長分解能は、測定可能波長範囲λa〜λbとリニアイメージセンサの総画素数Nとで決まり、同一の測定可能波長範囲λa〜λbに対して総画素数Nを増やせば波長分解能は高くなる(分解能の数値としては小さくなる)。
【0005】
一般に上記のようなリニアイメージセンサを供給しているメーカーでは、1画素当たりの構造や受光面積が同一であって画素数のみが相違する製品をラインナップとして揃えていることが多い。その場合、回折格子で分散された同一波長範囲(例えばλa〜λb)の光を異なる画素数のリニアイメージセンサで検出しようとすると、同一波長範囲の光を異なるサイズの範囲に投影しなければならないため、回折格子やリニアイメージセンサなどの光学素子の配置を変更する必要が生じる。例えば図11において、画素数Nがnである検出器は符号7aで示す位置に配置し、画素数Nが2倍の2nであるような検出器は符号7bで示す位置に配置する必要がある。このように、分光光度計の製造メーカーにとっては、基本的な装置の構成は同一であっても波長分解能を変更した装置を開発・設計しようとした場合に、光学系配置を再設計しなければならない。このことは、分光光度計の製造メーカーとしては手間が掛かることであり、装置のコストアップの一因となる。そこで、光学系を変更せずに簡便に波長分解能の変更が可能であるような構成が製造メーカーにとって望まれている。
【0006】
また、図11に示した分光光度計においてPDA検出器7からのアナログ信号読み出しは1画素ずつシリアルで行われ、一般に、PDA検出器7から1画素信号が読み出される毎にその外部に設けられたサンプル/ホールド(S/H)回路及びアナログ/デジタル(A/D)変換器により1画素信号ずつサンプリングされホールドされた上でデジタル信号に変換され、そしてデータ処理部に送られる。この場合、CPUを中心とするデータ処理部でのデータ処理量やメモリの記憶容量等のオーバーヘッドはA/D変換部から送られてくるデータ量に依存するため、PDA検出器7の画素数Nが多い場合にはオーバーヘッドが大きくなる。
【0007】
実際には、PDA検出器として画素数の大きなリニアイメージセンサを使用している場合でも、測定の目的等によっては必ずしも高い波長分解能を必要とするとは限らない。例えば色度測定などではそもそも波長方向に積分する演算を行うため高い波長分解能は不要である。また、特定波長における初期測光値からの相対変化の観察を行う場合なども同様である。このように高い波長分解能が不要な場合であっても、従来の分光光度計では、高い波長分解能に対応したPDA検出器からの検出信号をA/D変換したデータを一旦全て読み込んで、その後に適当なデータ処理を実行したり必要なデータを取捨選択したりする必要がある。そのため、CPUやメモリなどのオーバーヘッドが本来必要である以上に増大し、場合によっては演算精度や時間分解能、或いは全測定時間などを犠牲にする必要があった。こうしたことから、必要な波長分解能に応じて、A/D変換前の検出信号の量又はデータ処理部への入力前のデータ量を適宜減らしたり波長分解能の低い検出信号に変換したりする操作が行えるような分光光度計が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開平8−122150号公報(段落0003及び図5)
【特許文献2】特開平8−145478号公報(段落0003及び図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その第1の目的とするところは、回折格子やPDA検出器等を含む光学系を共通化しつつ用途に応じて波長分解能の相違する装置を実現することができ、製造メーカーにとって設計期間の短縮やコストの低減を図ることができるマルチチャンネル分光光度計を提供することにある。
【0010】
また本発明の第2の目的とするところは、測定の目的に応じて波長分解能を可変することができ、且つ波長分解能を落とした場合にCPUやメモリのオーバーヘッドを軽減したりその分だけ時間分解能を向上させたりする等、波長分解能の低下分を有効に利用することができるようにしたマルチチャンネル分光光度計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された第1発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)積分コンデンサ及び該コンデンサを放電させるリセットスイッチを有し、前記検出器による電流出力を積分するとともに電流−電圧変換する積分回路と、
c)該積分回路の出力を所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、前記積分回路のリセットスイッチをオン/オフさせるリセット制御信号、及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記リセット制御信号及び前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0012】
上記課題を解決するために成された第2発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)積分コンデンサ及び該コンデンサを放電させるリセットスイッチを有し、前記検出器による電流出力を積分するとともに電流−電圧変換する積分回路と、
c)該積分回路の出力を所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、前記積分回路のリセットスイッチをオン/オフさせるリセット制御信号、及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロック及び前記リセット制御信号に対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記課題を解決するために成された第3発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)前記検出器による電流出力を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路と、
c)該電流/電圧変換回路の出力をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドする複数のサンプル/ホールド回路と、
d)該複数のサンプル/ホールド回路の出力を加算する加算回路と、
e)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、及び前記複数のサンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、各シフトクロックに対応したサンプリング制御信号を複数のサンプル/ホールド回路に振り分けるタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
上記課題を解決するために成された第4発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)前記検出器による電流出力を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路と、
c)該電流/電圧変換回路の出力をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0015】
また、第3及び第4発明に係るマルチチャンネル分光光度計において電流出力型の検出器を使用する代わりに、電流/電圧変換機能を内蔵した電圧出力型の検出器を用いる構成に変更することもできる。
【0016】
即ち、第5発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電圧出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)該検出器による電圧出力又はその増幅された電圧信号をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドする複数のサンプル/ホールド回路と、
c)該複数のサンプル/ホールド回路の出力を加算する加算回路と、
d)前記検出器の電圧出力を順次シフトさせるシフトクロック、及び前記複数のサンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、各シフトクロックに対応したサンプリング制御信号を複数のサンプル/ホールド回路に振り分けるタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0017】
また第6発明は、試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電圧出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)該検出器による電圧出力又はその増幅された電圧信号をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
c)前記検出器の電圧出力を順次シフトさせるシフトクロック及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴としている。
【0018】
なお、上記第1乃至第6発明に係るマルチチャンネル分光光度計では、前記サンプル/ホールド回路でホールドされている電圧信号又は前記複数のサンプル/ホールド回路でホールドされている電圧信号が前記加算回路により加算された電圧信号を、デジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路をさらに備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
第1発明に係るマルチチャンネル分光光度計では、タイミング制御回路からシフトクロックが検出器に入力されると、そのシフトクロックの1パルス毎にN個(N画素)の微小受光部による検出信号が電流出力として順次出力される。この電流信号は積分回路のコンデンサにより積分(つまり電流加算)されるが、リセット制御信号が入力された場合にはコンデンサによる積分はリセット電位から開始されて1個の微小受光部による検出信号を反映したものとなるのに対し、リセット制御信号の生成が部分的に停止されることで入力されなかった場合にはコンデンサによる積分はその直前にシフトされた1個の微小受光部による検出信号に加算されたものとなる。即ち、連続する2画素以上の検出信号が積分回路で電流加算されて電圧信号に変換される。リセット制御信号の停止時間を長くすれば積分回路で電流加算される画素数がそれだけ多くなる。そして、サンプリング制御信号の生成も同様に部分的に停止されることで、電流加算された上で変換された電圧信号がサンプル/ホールド回路でサンプリングされる。
【0020】
したがって、検出器からはN画素の全ての検出信号が読み出されるが、リセット制御信号及びサンプリング制御信号の生成が部分的に停止された分だけサンプル/ホールドされる信号の数は少なくなり、実際の検出器の画素数よりも少ない検出器と同様の出力をサンプル/ホールド回路の出力として得ることができる。即ち、検出器を交換したり検出器やそのほかの光学素子の位置などの光学系を変更したりすることなく、実際の検出器の画素数よりも少ない画素数の検出器を設置したのと同様の形式で以てデータを取得することができる。そのため、波長分解能を適宜に調節することが可能であり、また波長分解能を落とした際には、データ量を削減してデータ処理回路やデータメモリなどのオーバーヘッドを軽減することができる。
【0021】
また特に第1発明に係るマルチチャンネル分光光度計の構成では、或る波長分散光を検出器で受光した際の全画素の検出信号が積分回路によって電圧信号に反映される(つまり棄却されることはない)ので、検出器が受光した光が無駄にならず、微弱光であっても高いS/N比を確保することができる。
【0022】
第2発明に係るマルチチャンネル分光光度計では、リセット制御信号の生成は部分的に停止されないので、積分回路ではシフトクロックの1パルス毎に順次出力される検出信号はそれぞれ独立してコンデンサにより積分される。一方、サンプリング制御信号の生成は部分的に停止されるので、各検出信号に対応して変換された電圧信号のうち、サンプリング制御信号が入力されなかった場合にはサンプル/ホールド回路でのサンプリングは行われず、積分回路による電圧信号は棄却されることになる。即ち、この場合には、サンプル/ホールド回路でサンプリングを行う際に実質的に検出信号の間引き処理が実行される。したがって、この第2発明に係るマルチチャンネル分光光度計によっても、光学系の構成を変更することなく、サンプル/ホールド回路の出力としては実際の検出器の画素数よりも少ない画素数の検出器を設置したのと同様の形式で以てデータを取得することができる。
【0023】
第3及び第4発明に係るマルチチャンネル分光光度計は、第1及び第2発明とは異なり、検出器の外部で電流加算を行わずに電流−電圧変換を行ってその出力である電圧信号をサンプル/ホールドするものであるが、第3発明は第1発明と同様に、検出器の外部において波長方向に隣接する(検出器から出力される際には時間的に隣接する)2つ以上の画素による検出信号を加算して1つのデータとして出力することができる。また第4発明は第2発明と同様に、検出器の外部において波長方向に隣接する(検出器から出力される際には時間的に隣接する)2つ以上の画素による検出信号の途中を間引くことができる。したがって、これらの発明に係るマルチチャンネル分光光度計の構成によっても、第1及び第2発明と同様の効果を奏する。
【0024】
さらにまた、第5及び第6発明に係るマルチチャンネル分光光度計は、第3及び第4発明とは異なり、検出器の内部で電流−電圧変換を行ってその出力である電圧信号又は増幅器で増幅した電圧信号をサンプル/ホールドするものであるが、これによっても第3及び第4発明と同等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1実施例]
第1及び第2発明に係るマルチチャンネル分光光度計の一実施例(第1実施例)について図面を参照して説明する。図1は本実施例の紫外可視分光光度計の要部の全体構成図である。図11で説明した構成要素と同一のものについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
N(例えばN=512、1024など)画素の微小受光部が直線状に配設されて成るPDA検出器7には、回折格子6で波長分散された光がほぼ同時に当たる。PDA検出器7の各画素では、フォトダイオードに入射した光が電気信号に変換され、例えばフォトダイオードの接合容量に蓄積される。PDA検出器7では、制御信号生成回路12から読み出し開始信号STを受けると、所定のシフトクロックCKに応じて所定の順番で1画素ずつ接合容量に蓄積されている電荷が電流信号として出力される。このN個の画素信号は1本のシリアル出力経路より出力され、信号処理回路8を経てA/D変換回路9に送られてデジタル化される。デジタル化されたデータはデータ処理部10へと送られて一旦メモリに格納され、その後にデータ処理部10では、収集したデータに基づいて例えば各波長毎の吸光度を計算し、吸光度スペクトルを作成したり定性分析或いは定量分析を実行したりする。入力部13や表示部14が接続された制御部11は制御信号生成回路12を介してPDA検出器7、信号処理回路8、A/D変換回路9、データ処理部10の動作を制御する機能を有する。
【0027】
図2は図1中に符号Aで示す検出処理部に含まれる回路構成の要部を詳細に示したブロック構成図である。図2において、信号処理回路8は、演算増幅器81、積分用コンデンサ82及びスイッチ83から成る積分回路84と、演算増幅器85、直流遮断用コンデンサ86、スイッチ87から成るクランプ回路と、増幅器88とを含む。また、A/D変換回路9は、電圧信号を保持するコンデンサ92とスイッチ93とを有するサンプル/ホールド回路(S/H)91が前段に設けられ、A/D変換器94はコンデンサ92に保持されている電圧信号をデジタル信号に変換して出力する。この検出処理部において制御信号生成回路12は、PDA検出器7に対して読み出し開始信号ST及びシフトクロックCKを、信号処理回路8に対してリセット制御信号RS及びクランプ制御信号CPを、A/D変換回路9に対してトリガ制御信号TG及びビットシフトクロックSKを、それぞれ送ることにより各部の動作を制御する。なお、この例ではA/D変換器94は変換後のデジタルデータをビットシフトクロックSKにより1ビットずつ順次出力するものであるが、必ずしもシリアル出力である必要はなく、パラレル出力のA/D変換器を用いてもよい。
【0028】
この構成では、上記各種信号のタイミングを変更することにより、通常読み出し方式、加算読み出し方式、及び間引き読み出し方式の3種の信号読み出し方式が選択できるようになっている。通常読み出し方式は従来一般的に行われているものであり、加算読み出し方式及び間引き読み出し方式は本発明における特徴的な信号読み出し方式である。
【0029】
図3は通常読み出し方式において制御信号生成回路12から供給される制御信号のタイミング図である。図3により通常読み出し方式における図2の回路の動作を説明する。
図3(a)、(b)に示すようにPDA検出器7にシフトクロックCKを入力した状態で読み出し開始信号STを「1」にすると、時刻t0のシフトクロックCKの立ち上がりで1チャンネル目(#1)の画素信号が読み出されて出力DOに現れ、その後にシフトクロックCKの立ち上がり毎に各チャンネルの画素信号が順次読み出される。各画素信号が読み出される前にリセット制御信号RSは「1」とされ、積分回路84のスイッチ83はオン状態となって積分用コンデンサ82の蓄積電荷はリセットされる。例えば時刻t2でリセット制御信号RSが「1」→「0」に変化するとスイッチ83がオン状態からオフ状態になり、PDA検出器7から出力される電流信号が積分用コンデンサ82で積分され始める。
【0030】
接地電位(GND)との間に介挿されたスイッチ87は積分用コンデンサ82がリセットされた直後の出力電圧を強制的にGND電位に固定することにより、スイッチ83が発生するランダムノイズを除去するためのクランプ用のスイッチであり、クランプ制御信号CPが「1」であるときにオン状態となる。即ち、時刻t3でクランプ制御信号CPが「1」から「0」に変化する直前まで演算増幅器85の出力はゼロ電位に固定され、その後に積分回路84で電流−電圧変換された信号が出力される。
【0031】
サンプル/ホールド回路91では、トリガ制御信号TGの立ち上がりに同期して3段目の演算増幅器88の出力電圧を読み込んでその電圧値を保持する。したがって、1チャンネル目(#1)の電流信号が積分回路84で積分された上で電流−電圧変換された信号は、時刻t4のタイミングでサンプリングされてサンプル/ホールド回路91のコンデンサ92に保持される。A/D変換器94はコンデンサ92に保持された電圧値を所定ビット数のデジタル信号に変換し、変換終了後に制御信号生成回路12から入力されるビットシフトクロックSKの1パルス毎に1ビットずつデータを出力する。
【0032】
上述したようにシフトクロックCKの1パルス毎にPDA検出器7から順番に各画素の電流信号が読み出され、全ての画素の信号を読み出した後にPDA検出器7ではフォトダイオードで光電変換により得られた電気信号による接合容量への充電を再開することで、波長分散光に対する周期的な連続測定を実現する。図3に示したように、通常読み出し方式においては、シフトクロックCKの各パルスに対応してリセット制御信号RS、クランプ制御信号CP、及びトリガ制御信号TGの各パルスがそれぞれ生成され、これにより、積分回路84の積分用コンデンサ82の蓄積電圧のリセット動作、クランプ用スイッチ87によるクランプ動作、及びサンプリング用スイッチ93によるサンプリング動作はいずれも1チャンネル毎、つまり1画素の検出信号が読み出される毎に行われる。
【0033】
図4は本実施例に特徴的な加算読み出し方式の際のタイミング図の一例である。この例では、リセット制御信号RS、クランプ制御信号CP、及びトリガ制御信号TGの各パルスはいずれもシフトクロックCKの1パルス毎に生成されているのではなく、シフトクロックCKの1パルスおきに欠損した状態にされている。これにより、PDA検出器7の奇数番目のチャンネル(例えば#1、#3、…)の画素信号を積分回路84のコンデンサ82に充電する前に該コンデンサ82のリセットを実行し、偶数番目のチャンネル(例えば#2、#4、…)にのみクランプを解除してデータサンプリングを実行する。即ち、奇数番目のチャンネルが読み出されているタイミングではサンプリングを行わない。その結果、奇数番目のチャンネルの画素信号とそれに引き続く偶数番目のチャンネルの画素信号とがコンデンサ82で電流加算され(例えば#1+#2)、それが電流−電圧変換された信号がサンプル/ホールド回路91によりサンプリングされてデジタル信号に変換される。
【0034】
図4の例の場合、A/D変換回路9から出力されるデータはもともとPDA検出器7において隣接する2つのチャンネルの画素信号を加算したものであるから、画素数に依存する波長分解能を1/2に落とした(例えば通常読み出し方式での波長分解能が1nmであれば2nmに落とした)ことに相当する。即ち、PDA検出器7の検出面全体のサイズを変更せずに画素数を1/2としたことと等価であり、1回の波長分散光の測定の結果としてA/D変換回路9から出力されるデータの数はPDA検出器7の全画素数Nの1/2、つまりN/2個となる。
【0035】
もちろん、シフトクロックCKに対してリセット制御信号RS、クランプ制御信号CP及びトリガ制御信号TGの各パルスの欠損の度合いを増加させれば(例えばシフトクロックCKの2パルスおき、3パルスおきなどにそれら制御信号を生成するようにすれば)、波長分解能はさらに粗くなり、A/D変換回路9から出力されるデータの個数はさらに少なくなる。
【0036】
なお、PDA検出器7からの全ての画素信号の読み出し完了はその検出器7から得られる走査完了信号で判断してもよいが、A/D変換回路9の後段の回路やソフトウエアで読み込んだデータ数が、設定した波長分解能に対応した仮想的な画素数に達したか否かを検知することで判断するようにしてもよい。全ての画素信号の読み出し完了を検知したならば、制御信号生成回路12はPDA検出器7に対して全蓄積電荷リセット信号を与える。各画素の電荷蓄積時間は全蓄積電荷リセット信号によるリセット実行時点から次に着目する画素の信号を読み出すまでの時間となるので画素毎に相違するが、暗電流データや光源スペクトルも同一タイミングで測定することにより、着目する画素に対する電荷蓄積時間は常に一定になるので実質上問題は生じない。
【0037】
上記加算読み出し方式では、後述する間引き読み出し方式とは異なりPDA検出器7に入射してくる波長分散光を全て利用することになる。したがって、特に試料を透過又は反射して来る光が微弱であるときにでも高いS/N比で以て測定を行いたいような場合に有利である。
【0038】
図5は本実施例に特徴的な間引き読み出し方式の際のタイミング図の一例である。この例では、リセット制御信号RS、クランプ制御信号CP、及びトリガ制御信号TGの各パルスはシフトクロックCKの1パルスおきに欠損した状態にされている。即ち、図5の例では、奇数チャンネルの画素信号が読み出されたときにはリセット制御信号RS及びクランプ制御信号CPを「1」に保持してリセット用スイッチ83及びクランプ用スイッチ87をオンさせておき、偶数チャンネルの画素信号が読み出されるときにのみリセット及びクランプを解除するとともにトリガ制御信号TGのパルスを生成してサンプリングを実行する。したがって、奇数チャンネルの画素信号は棄却され、偶数チャンネルの画素信号のみがA/D変換されて出力される。この場合にも1回の波長分散光の測定に対してA/D変換回路9から出力されるデータの個数はPDA検出器7の全画素数Nの1/2となるが、加算読み出し方式とは異なり、奇数チャンネルの画素信号は出力に全く反映されない。なお、この方式でも、棄却する画素信号の数をさらに増加させることにより、データ数をさらに減らすことができることは明らかである。
【0039】
上述したように加算読み出し方式又は間引き読み出し方式では、実際には画素数NのPDA検出器を備えながら、制御信号生成回路12から各部に供給する制御信号を変更することにより、見かけ上、より画素数の少ないPDA検出器を設けたのと同様のデータをA/D変換回路9により出力することができる。したがって、例えば測定の目的等に応じて使用者が入力部13から波長分解能を指定したとき、制御部11を経てその指定情報を受け取った制御信号生成回路12は、その指定情報に応じて信号読み出し方式を選定するとともに上記のように制御信号を生成する。それにより、所定の範囲で所望の波長分解能を実現することができる。
【0040】
また、このように信号読み出し方式や波長分解能等を自在に変更し得るものでなくても、画素数Nの大きなPDA検出器を組み込んだ装置において、測定対象等に応じて波長分可能の相違する機種を揃えるために、制御信号生成回路12の制御信号のみをその波長分解能に応じて固定的に設定するようにした分光光度計にも適用することができる。
【0041】
なお、データ処理部10では、吸光スペクトルを作成するために、その横軸の単位をPDA検出器の画素から実波長に変換するための演算処理を実行する。その演算に必要な補間係数がデータサンプリング間隔によって異なる場合には、本装置の据付時や定期点検時等に波長分解能に応じた複数の補間係数を取得して制御部11の内部に記憶しておく。そして、測定開始時に波長分解能が指定された際に、用意された中から対応した補間係数を選択するとよい。或いは、波長分解能が細かい場合の補間係数から波長分解能が粗い場合の補間係数を推算できる場合には、細かい波長分解能に対する補間係数のみを記憶しておいて、測定開始時に波長分解能が指定された際に計算により粗い波長分解能に対する補間係数を算出するようにしてもよい。
【0042】
補間係数の具体的な求め方としては、重水素ランプなどの既知波長の輝線スペクトルを持つ光源や特定の波長に吸収ピークを有する波長校正用フィルタを用いた予備測定を実行して、スペクトル上に現れる既知の波長のピーク位置から補間係数を求めるようにすることができる。こうした波長校正用の光源やフィルタを装置に内蔵する構成においては、上述したようにデータサンプリング間隔が変更されたときに、自動的に補間係数を求めるような自動測定を実行してもよい。
【0043】
なお、上記第1実施例では、PDA検出器7は外部から与えられるシフトクロックCKに応じて内部で画素信号が順送りされる自己走査型のPDA検出器であるが、同様の順送り回路を外付け回路とした構成でもよい。
【0044】
[第2実施例]
第3及び第4発明に係るマルチチャンネル分光光度計の一実施例(第2実施例)について図面を参照して説明する。この第2実施例の分光光度計の基本的な構成は図1に示した第1実施例と同様であるが、第2実施例では、図1中に符号Aで示す検出処理部に含まれる回路構成の要部のブロック構成は図6又は図7に示すようになっている。図6において、図2で既に説明した構成要素と同一のものについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
ここでPDA検出器7は、フォトダイオードと電荷蓄積用の容量との並列構造を有する画素と同様であって、但し光は入射しないダミーダイオードと電荷蓄積用の容量との並列構造を各画素毎に備えており、そのダミーダイオードを含む並列構造のシリアル出力信号(以下、ダミー出力という)MOが通常の画素信号のシリアル出力(以下、通常出力という)DOと並列に設けられている。ダミーダイオードは光を受けないのでフォトダイオードの暗電流に相当する電流が流れるから、ダミー出力MOには暗電流に対応する出力信号が通常出力DOと同じタイミングで現れる。なお、こうしたリニアセンサの例として、例えば浜松ホトニクス株式会社製のNMOSリニアイメージセンサなどが挙げられる。
【0046】
図6は通常読み出し方式及び間引き読み出し方式の場合、図7は加算読み出し方式の場合のブロック構成図である。図6においては、PDA検出器7の2つの出力、つまりフォトダイオード側の通常出力DOとダミーダイオード側のダミー出力MOとに、それぞれ同一構成の電流/電圧変換増幅器801、802が接続され、その2つの増幅器801、802の出力電圧は差分増幅器803に入力され、ここで通常出力DO側の出力電圧からダミー出力MO側の出力電圧を差し引いた電圧が出力される。このように差分をとることによってPDA検出器7の各フォトダイオードの暗電流の影響を除去することができる。そして、差分増幅器803の出力がサンプル/ホールド回路91に接続され、さらにA/D変換器94によってデジタル信号に変換される。
【0047】
図8は図6の回路構成における通常読み出し方式時のタイミングを示す図である。電流積分を行わないので積分用コンデンサのリセットを行わないこと、及びクランプ回路での出力電圧のクランプを行わないこと、を除いては図3に示した第1実施例の動作と基本的には同じである。即ち、PDA検出器7から1チャンネルの画素信号が出力される毎に、トリガ制御信号TGによりサンプル/ホールド回路91に差分増幅器803の出力をサンプリングする。
【0048】
図10は図6の回路構成における間引き読み出し方式時のタイミングの一例を示す図である。この場合には、PDA検出器7から奇数番目のチャンネルの画素信号が出力されるときにのみ、トリガ制御信号TGによりサンプル/ホールド回路91に差分増幅器803の出力をサンプリングする。したがって、偶数番目のチャンネルの画素信号は棄却されて間引き処理が達成される。
【0049】
加算読み出し方式においては、図7に示すようにサンプル/ホールド回路911、912を並列して設け、その出力を加算する加算器913を通してA/D変換器94に信号を送り込む。 図9は図7の回路構成における加算読み出し方式時のタイミングの一例を示す図である。この場合、PDA検出器7から奇数番目のチャンネルの画素信号が出力されるときに第1トリガ制御信号TG1のパルスを生成し、第1サンプル/ホールド回路911に差分増幅器803の出力をサンプリングする。一方、PDA検出器7から偶数番目のチャンネルの画素信号が出力されるときに第2トリガ制御信号TG2のパルスを生成し、第2サンプル/ホールド回路912に差分増幅器803の出力をサンプリングする。こうして2つのサンプル/ホールド回路911、912に交互に差分増幅器803の出力をサンプリングし、その加算値(例えば#1+#2)をA/D変換器94でデジタル信号に変換することで波長方向に隣接する2個の画素信号の加算値を取得する。
【0050】
図6及び図7に示す実施例の構成では、フォトダイオードに流れる暗電流を相殺するためのダミー出力MOがPDA検出器7に設けられているが、こうした出力を備えないPDA検出器を使用する場合には、電流/電圧変換増幅器802と差分増幅器803とを省略することができる。但し、その場合には、PDA検出器に入射する光を遮蔽した状態で暗電流に対応したPDA検出器の出力を取得し、PDA検出器に光を入射させた状態での出力との差を例えばデータ処理部で計算することで暗電流の影響を排除することが望ましい。
【0051】
また、図6及び図7に示す実施例の構成ではPDA検出器7が電流出力型であるため、外部に電流/電圧変換増幅器801、802を設けているが、電流/電圧変換機能を内蔵した電圧出力型の検出器を用いれば、外部の電流/電圧変換増幅器801、802が不要となることは当然である。この場合には、電流/電圧変換増幅器801、802に代えて一般的な電圧増幅器を設けるとよい。
【0052】
なお、上記実施例ではいずれも、アナログ信号をA/D変換器で一旦デジタル信号に変換し、それをCPUを含むコンピュータ又はDSPなどのデジタル信号処理回路で以て読み込んで必要な演算処理を実行するようなシステムを前提としていたが、PDA検出器からの信号をアナログ信号として受信可能な構成であって、且つ複雑なデータ処理を必要としない、例えばエネルギースペクトルの相対的な時間変化を観察するような場合には、例えばサンプル/ホールドしたアナログ電圧信号をアナログバッファ回路などを介して出力するようにしてもよい。即ち、アナログ信号をデジタル信号に変換するか否かは本発明にとって重要ではない。なお、上記のようなアナログ信号を受信する機器がデータサンプリング信号などの同期信号を必要とする場合には、適宜の信号を並列に送信するようにすればよい。
【0053】
また、サンプル/ホールド回路におけるデータサンプリング間隔が可変であるようなシステムにおいては、測定者がデータサンプリング間隔を設定したり上位制御系の各アプリケーション内部でデータサンプリング間隔を変化させるような適切な設定を選択したりするようにすれば、同一機器を異なる測定対象や異なる測定方法に適合させて使用することができる。この場合、例えば本出願人が特願2004-043961号で提案しているような分光光度計に本発明を適用することにより、測定対象の状態を短い時間間隔で観察しながら適応的に測定条件を変更することができる等、より柔軟な測定が可能となる。
【0054】
また、上記実施例においてPDA検出器7に波長分散光が照射されるまでの光学系の構成は上記記載のものに限らない。例えば、上記構成では、回折格子により光を波長分散しているが、波長分散の形態はこれに限るものではなく、一例としては検出器の各素子の窓板に波長透過特性の相違する光学バンドパスフィルタを並べて貼着したような簡易的な分光方式であってもよい。
【0055】
さらにまた上述した以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例(第1実施例)の紫外可視分光光度計の要部の全体構成図。
【図2】図1中に符号Aで示す検出処理部に含まれる回路構成の要部を詳細に示したブロック構成図。
【図3】第1実施例の構成において通常読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図4】第1実施例の構成において加算読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図5】第1実施例の構成において間引き読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図6】本発明の他の実施例(第2実施例)の分光光度計において検出処理部に含まれる回路構成の要部を詳細に示したブロック構成図。
【図7】本発明の他の実施例(第2実施例)の分光光度計において検出処理部に含まれる回路構成の要部を詳細に示した他のブロック構成図。
【図8】図6に示す第2実施例の構成において通常読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図9】図7に示す第2実施例の構成において加算読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図10】図6に示す第2実施例の構成において間引き読み出し方式の動作を行う場合のタイミング図。
【図11】従来の一般的なマルチチャンネル分光光度計の光学系構成図。
【符号の説明】
【0057】
1…光源
2…レンズ
3…試料セル
4…レンズ
5…スリット
6…回折格子
7…PDA検出器
8…信号処理回路
9…A/D変換回路
10…データ処理部
11…制御部
12…制御信号生成回路
13…入力部
14…表示部
81…演算増幅器
82…積分用コンデンサ
83…リセット用スイッチ
84…積分回路
85…演算増幅器
86…直流遮断用コンデンサ
87…クランプ用スイッチ
88…演算増幅器
801、802…電流/電圧変換増幅器
803…差分増幅器
91、911、912…サンプル/ホールド回路
913…加算器
92…コンデンサ
93…サンプリング用スイッチ
94…A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)積分コンデンサ及び該コンデンサを放電させるリセットスイッチを有し、前記検出器による電流出力を積分するとともに電流−電圧変換する積分回路と、
c)該積分回路の出力を所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、前記積分回路のリセットスイッチをオン/オフさせるリセット制御信号、及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記リセット制御信号及び前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。
【請求項2】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)積分コンデンサ及び該コンデンサを放電させるリセットスイッチを有し、前記検出器による電流出力を積分するとともに電流−電圧変換する積分回路と、
c)該積分回路の出力を所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、前記積分回路のリセットスイッチをオン/オフさせるリセット制御信号、及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロック及び前記リセット制御信号に対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。
【請求項3】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)前記検出器による電流出力を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路と、
c)該電流/電圧変換回路の出力をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドする複数のサンプル/ホールド回路と、
d)該複数のサンプル/ホールド回路の出力を加算する加算回路と、
e)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック、及び前記複数のサンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、各シフトクロックに対応したサンプリング制御信号を複数のサンプル/ホールド回路に振り分けるタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。
【請求項4】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電流出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)前記検出器による電流出力を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路と、
c)該電流/電圧変換回路の出力をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
d)前記検出器の電流出力を順次シフトさせるシフトクロック及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。
【請求項5】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電圧出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)該検出器による電圧出力又はその増幅された電圧信号をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドする複数のサンプル/ホールド回路と、
c)該複数のサンプル/ホールド回路の出力を加算する加算回路と、
d)前記検出器の電圧出力を順次シフトさせるシフトクロック、及び前記複数のサンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、各シフトクロックに対応したサンプリング制御信号を複数のサンプル/ホールド回路に振り分けるタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。
【請求項6】
試料からの透過光又は反射光を分光器により波長分散させ、所定波長範囲の波長分散光の光強度をほぼ同時に検出するマルチチャンネル分光光度計であって、
a)N個(Nは2以上の整数)の微小受光部が一次元状に配列され、且つそのN個の微小受光部による検出信号が並列−直列変換されて電圧出力として順次出力されるマルチチャンネル型の検出器と、
b)該検出器による電圧出力又はその増幅された電圧信号をそれぞれ所定のタイミングでサンプリングした後にホールドするサンプル/ホールド回路と、
c)前記検出器の電圧出力を順次シフトさせるシフトクロック及び前記サンプル/ホールド回路のサンプリング制御信号を生成するものであって、設定された波長分解能又は測定波長点数に応じて、前記シフトクロックに対応付けられた前記サンプリング制御信号の生成を部分的に停止するタイミング制御回路と、
を備えることを特徴とするマルチチャンネル分光光度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−201094(P2006−201094A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14951(P2005−14951)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】