説明

マルチプロセッサシステム

【課題】メモリカードが接続されるデータプロセッサ以外のデータプロセッサから、処理を妨害せずにメモリカードに容易にアクセス可能なマルチプロセッサシステムの実現。
【解決手段】データプロセッサ21A,21Bを備えるマルチプロセッサシステムであって、第1データプロセッサ21Aは、メモリカードインターフェース25と、第1通信インターフェース26Aと、第1バッファ32Aと、を備え、他のデータプロセッサ21Bは、第2通信インターフェース26Bを備え、他のデータプロセッサ21Bがメモリカードからデータを読み出す時には、第1データプロセッサ21Aは、処理状態に応じてメモリカード29のデータを読み出して第1バッファ32Aに一時的に記憶した後送信し、メモリカードにデータを書き込む時には、第1データプロセッサ21Aの処理状態にかかわりなく、他のデータプロセッサからのデータを第1バッファ32Aに記憶し、処理状態に応じてメモリカードに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセッサ間が通信インターフェースで接続されるマルチプロセッサシステムに関し、特にメモリカードへアクセスするためのメモリカードインターフェースがプロセッサの1つに設けられているマルチプロセッサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯端末などで使用されるコンピュータシステムでは、すべての処理を1個のデータプロセッサで行ってきた。例えば、1個のプロセッサが、通信の制御、RF回路、LCD、メモリ部品などのハードウエアの制御、アプリケーションの処理などを行っていた。しかし、近年の高機能化に伴い、すべての処理を1個のデータプロセッサで行うには、動作周波数が高く高機能のデータプロセッサを使用する必要があり、これは消費電力の増大を招き、バッテリィ駆動の携帯端末では電池寿命が短くなるという問題を生じる。
【0003】
そこで、複数のプロセッサを有するマルチプロセッサシステムを使用し、通信の制御などは主たる処理は1つのデータプロセッサで行い、そのデータプロセッサでは処理しきれないアプリケーションの処理などを他のデータプロセッサで行うことが行われている。1つのシステムに複数のデータプロセッサが搭載される場合、データプロセッサ同士の接続には共有バスが使用されることが多いが、バスを共有できないデータプロセッサやバスを共有したのでは性能が出せない場合には、1つのデータプロセッサに外部インターフェースを内蔵し、このインターフェースに他のデータプロセッサのバスを接続することでデータ転送を行う必要がある。このデータ転送は、データプロセッサに内蔵されたRAMと割り込み機能を用いて行うが、転送したデータを使用するためにはソフトウエアを実行する必要があり、データ転送のたびに割り込みプログラムを実行するので、それまで実行していたプログラムの処理を中断することになる。そこで、特許文献1は、1つのデータプロセッサの内部バスに接続された周辺機能を他のデータプロセッサが直接操作可能にしたシステムを記載している。
【0004】
図1は、特許文献1に記載された従来のシステムのハードウエア構成を示す図であり、他のプロセッサが映像情報を録画/再生する機能を行う場合の例である。図示のように、特許文献1のシステムは、データプロセッサ1Aとデータプロセッサ1Bの2個のデータプロセッサで構成される。1つのデータプロセッサ1Aは、CPU2Aと、内部バス3Aと、RAM4Aと、接続されるメモリカード9にアクセスするためのメモリカードインターフェース5と、外部インターフェース6と、を有する。また、他のデータプロセッサ1Bは、CPU2Bと、内部バス3Bと、RAM4Bと、ビデオデータのエンコード及びデコード処理を行うビデオ処理部7と、オーディオデータのエンコード及びデコード処理を行うオーディオ処理部8と、を有する。データプロセッサ1A及び1Bは、他にも各種の周辺機能を有するが、ここでは省略している。外部インターフェース6は内部バス3Aに接続されると共に、外部バス10を介してデータプロセッサ1Bの内部バス3Bに接続される。外部インターフェース6には、データプロセッサ1Aの内部バス3Aに、他のデータプロセッサ1Bをバスマスタとして接続可能にする機能が設けられ、他のデータプロセッサ1Bが内部バス3Aにメモリマップされた周辺機能、例えばメモリカードインターフェース5を直接的に操作できる。ビデオ処理部7は、例えば、MPEG4のビデオデータのエンコード/デコードを行う。また、オーディオ処理部8は、例えば、MP2のオーディオデータのエンコード/デコードを行う。
【0005】
図2は、図1の従来のシステムのソフトウエア構造を示す図である。図示のように、データプロセッサ1Aは、メモリカードインターフェース5を介してメモリカード9にアクセスするためのプログラムであるメモリカードインターフェース(IF)部11Aと、メモリカード9内に生成する場合を含めてファイルを構成するファイル構成部12Aと、ファイルを管理するファイル管理部13Aと、を有する。実際には、他にも各種のソフトウエアを有するが、本発明に直接関係しないので省略してある。データプロセッサ1Bは、データプロセッサ1Aと同様に、メモリカードインターフェース(IF)部11Bと、ファイル構成部12Bと、ファイル管理部13Bと、を有し、更に、接続されるビデオデータのエンコード/デコードを行うビデオ処理部7を制御するビデオコード(VC)制御部14と、接続されるオーディオデータのエンコード/デコードを行うオーディオ処理部8を制御するオーディオコード(AC)制御部15と、有する。ファイル構成部12A及び12Bは、各ファイルフォーマット(動画:AVI形式、MP4形式、静止画:JPEG形式など)のルールに従ってファイルを構成(MUX)したり、あるいはファイルを分解(DEMUX)する。ファイル管理部13A及び13Bは、メモリカード9上のファイルを含めて管理を行い、例えば、初期化、ファイルの作成開始、作成終了、削除、ファイルへの書き込み、ファイルからの読み出しなどが主な処理内容である。以上の構成により、メモリカードIF部11Bも、メモリカードインターフェース5を介して、直接的にメモリカード9にアクセスすることになり、ファイル構成部12Bは、データプロセッサ1B内だけでなく、メモリカード9内にもファイルを生成することができる。
【0006】
図3は、上記の従来のシステムにおいて、データプロセッサ1Bがメモリカード9に、録画したデータを書き込む動作を行う場合のデータの流れを説明する図である。図において、矢印はデータの流れを示し、a、bの順でデータが流れる。例えば、ビデオ処理部7はCCDなどから入力される画像データをMPEG4にエンコードし、オーディオ処理部8はマイクなどから入力されるPCMデータをMP2にエンコードし、それぞれをAVIファイルにリアルタイムに合成する。合成したデータは、矢印aで示すようにRAM4Bに記憶され、更に矢印bで示すように随時RAM4Bから外部インターフェース6及びメモリカードインターフェース5を介してメモリカード9のファイルに書き込まれる。この書き込み動作は、データプロセッサ1Bが外部インターフェース6を介してデータプロセッサ1Aの内部バス3Aを占有することを要求し、それに応じてデータプロセッサ1AのCPU2Aがバス占有許可を発行した上で行われる。
【0007】
図4は、上記の従来のシステムにおいて、データプロセッサ1Bがメモリカード9からデータを読み出して再生する動作を行う場合のデータの流れを説明する図であり、矢印c、dの順でデータが流れる。図4におけるデータの流れは図3の場合と逆であり、この読み出し動作も、データプロセッサ1Bが外部インターフェース6を介してデータプロセッサ1Aの内部バス3Aを占有することを要求し、それに応じてデータプロセッサ1AのCPU2Aがバス占有許可を発行した上で行われる。
【0008】
【特許文献1】WO02/061591A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図1から図4で説明した従来のシステムにおいては、データプロセッサ1Aの内部バス3Aを、データプロセッサ1Bがバスマスタとして使用するため、データプロセッサ1Bが内部バス3Aの使用を要求すると、データプロセッサ1Aはそれまで行っていた処理を一次中断して内部バス3Aをデータプロセッサ1Bに割当てる必要があり、データプロセッサ1Aの処理を圧迫するという問題があった。例えば、AVIファイルが大容量の場合には転送に時間を要するが、その間データプロセッサ1Aは緊急を要する処理などを行えないことになる。
【0010】
従来のシステムにおいてデータプロセッサ1Bからメモリカード9にアクセスするには、メモリカード9上にファイルを作成する必要がある。このファイルの作成は、データプロセッサ1Bによる内部バス3Aの占有が続く場合には容易である。しかし、上記のようなデータプロセッサ1Bの内部バス3Aの占有が続く場合の問題を解決するために、例えば、データプロセッサ1Bによる内部バス3Aの占有を随時停止するといった処理を行う場合には、複雑な処理になる。
【0011】
また、従来のシステムにおいては、メモリカード9をデータプロセッサ1Aとデータプロセッサ1Bの両方で使用する場合、図2に示すように、ファイルを管理するための仕組み(ファイル管理部13A、13B)をデータプロセッサ1Aと1Bの両方に設けなければならない。そのため、ファイル管理の情報の同期、処理の排他などの処理が必要となり、システムが複雑化するという問題を生じる。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決して、メモリカードが接続されるデータプロセッサ以外のデータプロセッサから、処理を妨害せずにメモリカードに容易にアクセス可能なマルチプロセッサシステムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様のマルチプロセッサシステムは、各データプロセッサにバッファ用RAMを有する通信インターフェースを設け、メモリカードが接続されるデータプロセッサは、他のデータプロセッサからメモリカードへのアクセスを要求された時には、転送データをバッファ用RAMに一時的に保持する。その後、内部バスの負荷状況をモニタし、負荷が低い状態になった時にバッファ用RAMから、他のデータプロセッサの通信インターフェースのバッファ用RAMに転送する。転送動作が完了しだい、次のデータ転送の許可を行う。このように、メモリカードが接続されるデータプロセッサは、内部バスの状況に応じてデータを通信するタイミングを調整することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の態様のマルチプロセッサシステムは、メモリカードが接続されるデータプロセッサにメモリカードにアクセスするための処理を行うアクセス部を設け、他のデータプロセッサには、メモリカードにアクセスするための処理を行うアクセスコントロール部を設け、他のデータプロセッサがメモリカードにアクセスする時には、アクセスコントロール部から通信インターフェースを介してメモリカードが接続されるデータプロセッサのアクセス部を起動し、アクセス部を介してメモリカードに間接的にアクセスする。
【0015】
本発明の第3の態様のマルチプロセッサシステムは、メモリカードが接続されるデータプロセッサにメモリカードのファイルを管理するファイル管理部を設け、他のデータプロセッサがメモリカードのファイルにアクセスする時には、メモリカードが接続されるデータプロセッサのファイル管理部にコマンドを送って起動することを特徴とする。言い換えれば、メモリカード上のファイル管理の仕組みを1つのデータプロセッサに設け、他のデータプロセッサはこのファイル管理の仕組みにアクセスすることを特徴とする。
【0016】
ファイル管理の仕組み(ファイルシステム)をメモリカードが接続されるデータプロセッサにのみ設けた場合、他のデータプロセッサが、メモリカードが接続されるデータプロセッサのメモリカードインターフェースを介して、その先のメモリカード上のファイルにアクセスする場合には、その内容(アクセスしたいファイルのID、オフセットアドレス、読出(リード)/書込(ライト)などの要求内容)を通信インターフェースを介してコマンドベースのやり取りにより、他のデータプロセッサからメモリカードが接続されるデータプロセッサに対して指示を出す。メモリカードが接続されるデータプロセッサは、その要求に対する処理を行い、その結果(リードの場合:ファイルを読み出したデータ、ライトの場合:書き込んだ結果など)を通信インターフェースを介して応答するように構成する。
【0017】
本発明によれば、他のデータプロセッサは、別のデータプロセッサに接続されているメモリカードにもファイルを作成可能である。
【0018】
本発明は、メモリカードが接続されるデータプロセッサに、2個以上のデータプロセッサが通信経路で接続されるシステムにも適用可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の態様のマルチプロセッサシステムによれば、メモリカードが接続されるデータプロセッサは、内部バスの負荷状況をモニタしながらデータ通信を行うことにより、他のデータプロセッサのメモリカードへのアクセス要求による内部バスへの負荷の軽減あるいは調整を行うことが可能になる。
【0020】
本発明の第2の態様のマルチプロセッサシステムによれば、メモリカードが接続されるデータプロセッサ以外の他のデータプロセッサからメモリカード上のファイルへのアクセスが容易に行え、他のデータプロセッサからリアルタイムにファイルを作成し、ファイルを取得することが可能になる。この効果は、メモリカードが接続されるデータプロセッサに、2個以上のデータプロセッサが接続されるシステムでも同様である。
【0021】
本発明の第3の態様のマルチプロセッサシステムによれば、複数のデータプロセッサで構成されるシステムにおいて、ファイルを管理する仕組みを共通に使用できるようになる。
【0022】
更に、本発明によれば、メモリカードが接続されるデータプロセッサに対して通信経路で接続されるような位置関係にある他のデータプロセッサが、メモリカード上にファイルを作成してアクセスが可能となる。これにより、動画の録画・再生システムを有する携帯端末などを、簡単なマルチプロセッサシステムで構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図5は、本発明の実施例のマルチプロセッサシステムのハードウエア構成を示す図である。図示のように、実施例のシステムは、データプロセッサ21Aとデータプロセッサ21Bの2個のデータプロセッサで構成される。1つのデータプロセッサ21Aは、CPU22Aと、内部バス23Aと、RAM24Aと、メモリカード29とのメモリカードインターフェース25と、を有し、他のデータプロセッサ21Bは、CPU22Bと、内部バス23Bと、RAM24Bと、ビデオ処理部27と、オーディオ処理部28と、を有する。以上の構成は、図1の従来例と同じである。
【0024】
実施例のシステムは、データプロセッサ21Aにおいて、外部インターフェース6の代わりに通信インターフェース26Aが設けられ、データプロセッサ21Bに、通信インターフェース26Bが設けられ、通信インターフェース26Aと26Bは通信経路31で接続されている。本実施例では、通信経路31は、シリアル通信のような通信インターフェースを使用してハンドシェイクにてデータのやりとりを行うが、パラレル通信などを使用することも可能である。更に、通信インターフェース26Aと26Bには、それぞれRAM32A及び32Bがそれぞれ直接接続されている。通信インターフェース26Aと26Bは、同じ構成を有する。CPU22A及び22Bは、それぞれRAM24A及び24Bへは直接アクセスできるが、RAM32A及び32Bには通信インターフェース26A及び26Bを介してアクセスでき、直接にはアクセスできない。
【0025】
図6は、通信インターフェース26A及び26Bの構成を示す図である。図示のように、通信インターフェースは、通信経路31に接続されるI/Oポート33と、バス38のnビットデータをラッチして1ビットデータに変換してI/Oポート33に出力するパラレル−シリアル(P−S)変換器34と、I/Oポート33からの1ビットデータをnビットデータに変換してバス38に出力するシリアル−パラレル(S−P)変換器35と、内部バス23A又は23Bに対応する内部バス23とバス38との間に設けられたゲートと、各部を制御する制御部36と、を有する。RAM32A又はRAM32Bに対応するRAM32は、バス38に接続される。
【0026】
図6において、通信インターフェースが、通信経路31からデータを受信する時には、I/Oポート33が受けたデータをS−P変換器35がnビットのデータに変換してバス38に出力し、それをRAM32に一時的に蓄積する。そして、内部バス23の負荷が小さい時に、RAM32からデータを読み出してゲート37を介して内部バス23に出力する。通信インターフェースが、通信経路31にデータを送信する時には、内部バス23に出力されたデータをゲート37を介してRAM32に一時的に蓄積する。そして、RAM32からデータを読み出して、S−P変換器35でnビットのデータを1ビットのデータに変換して、I/Oポート33から通信経路31にデータを出力する。
【0027】
図7は、実施例のシステムのソフトウエア構造を示す図である。図示のように、データプロセッサ21Aは、メモリカードインターフェース25を制御し、メモリカード29上のファイルにアクセスするためのプログラムであるメモリカードインターフェース(IF)部41Aと、メモリカード上のファイルも含めてファイルを管理するファイル管理部43と、通信インターフェース26Aを制御するデータ送受信部46Aと、データプロセッサ21Bからのコマンドの解析及びコマンドの生成を行うコマンドインターフェース(IF)部47Aと、メモリカードIF部41へのアクセスを制御するアクセス部48と、を有する。データプロセッサ21Bは、メモリカード上のファイルも含めてファイルを構成するファイル構成部42と、ビデオ処理部27を制御するVC制御部44と、オーディオ処理部28を制御するAC制御部45と、通信インターフェース26Bを制御するデータ送受信部46Bと、データプロセッサ21Aからのコマンドの解析及びコマンドの生成を行うコマンドインターフェース(IF)部47Bと、メモリカードIF部41へのアクセスをアクセス部48を介して制御するアクセスコントロール部49と、を有する。
【0028】
データ送受信部46A及び46Bは、通信インターフェース26A及び26Bをそれぞれ制御して、プロセッサ間通信を実現する。データ送受信部46A及び46Bは、ファイルのパーツなどのデータやコマンドを通信する。コマンドはプロセッサ間において処理の指示や状態の通知を行うために使用される。
【0029】
コマンドIF部47A及び47Bは、各部分からの指示・通知をコマンドとして他のデータプロセッサに送信する。また、他のデータプロセッサからのコマンドを受信し、コマンドの内容を判断し、各部分に通知する。データのやりとりがあるコマンドの場合は、コマンド送信後にデータを送信し、コマンド受信後にデータを受信する。
【0030】
ファイル構成部42は、各ファイルフォーマット(動画:AVI形式、MP4形式、静止画:JPEG形式など)のルールに従ってファイルを構成(MUX)したり、あるいはファイルを分解(DEMUX)する。
【0031】
ファイル管理部43は、メモリカード9上のファイルを含めてファイルの管理を行い、例えば、初期化、ファイルの作成開始、作成終了、削除、ファイルへの書き込み、ファイルからの読み出しなどが主な処理内容である。
【0032】
アクセスコントロール部49は、ファイル構成部42からのからの指示に従って、ファイル管理部43に指示を出し、メモリカード29上のファイルへの処理を行う。アクセスコントロール部49は、ファイル管理部43への指示が直接出せないため、データプロセッサ間通信を用いて遠隔にてアクセス部48に指示を出し、アクセス部48からファイル管理部43へ指示を出し、各処理を行う。アクセスコントロール部49からアクセス部48に対する指示は、コマンドにて行われる。
【0033】
アクセス部48は、アクセスコントロール部49の指示に従って、ファイル管理部43に指示を出し、各処理を行う。
【0034】
以上のハードウエア構成及びソフトウエア構造により、実施例のシステムでは、メモリカード29にAVIファイルが形成され、データプロセッサ21Bが、そのファイルに間接的にアクセスして、動画ファイルを録画/再生する処理を行うが、その処理を以下のように分担して行う。
【0035】
「録画時の書き込み動作」
データプロセッサ21Aは、ファイルを管理するファイル管理部43及びメモリカードIF部41を経由して、メモリカードインターフェース25を介してメモリカード29上にファイルをリアルタイムに書き込んでゆく。また、データプロセッサ21Aは、メモリカード29上にファイルを管理する。
【0036】
データプロセッサ21Bは、CCDなどからのRGB画像データをMPEG4へエンコードし、PCMコードの音声データをMP2にエンコードし、それぞれを合成(マルチプレクス(MUX))する。ただし、メモリカード29上のファイルへの書き込みなどはデータプロセッサ21Aが行う。
【0037】
「再生時の読み出し動作」
データプロセッサ21Aは、ファイルを管理するファイル管理部43及びメモリカードIF部41を経由して、メモリカードインターフェース25を介してメモリカード29上にファイルをリアルタイムに読み出す。
【0038】
データプロセッサ21Bは、メモリカード29上のファイルを分解(デマルチプレクス(DEMUX))し、MPEG4のデータをYUV画像データへデコードし、MP2のデータをPCMコードの音声データへデコードする。ただし、メモリカード29上のファイルからの読み出しなどはデータプロセッサ21Aが行う。
【0039】
以下、録画時の書き込み動作、及び再生時の読み出し動作について詳しく説明する。
【0040】
図8は、録画時の書き込み動作における、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49と、データプロセッサ21Aのアクセス部48と、メモリカード29の間の信号のやりとりを示す図である。また、図9は、録画時の書き込み動作における、データの流れを示す図であり、eからiの順にデータが流れる。
【0041】
矢印eで示すように、ビデオ処理部27でエンコードされたMPEG4データとオーディオ処理部28でエンコードされたMP2データは、データプロセッサ21Bのファイル構成部42において、RAM24Bをワークメモリとして利用して、MUX処理するための情報に従って合成(MUX)処理される。矢印fで示すように、MUX処理されたデータは、通信インターフェース26Bを介して順次RAM32Bに蓄積される。
【0042】
矢印gで示すように、RAM32Bに蓄積されたMUX処理済みデータは、通信インターフェース26B、通信経路31及び通信インターフェース26Aを介して、RAM32Aに転送される。このデータ転送は、図8に示すように、ファイル構成部42の情報(ファイルデータ、ファイル上のオフセット番地など)を、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49から、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47Aを介して、データプロセッサ21Aのアクセス部48に「コマンド」を送信した後、データ通信により送信する。
【0043】
矢印hで示すように、RAM32Aに蓄積されたMUX処理済みデータは、データプロセッサ21Aにおける内部バス23Aの負荷状況が小さい時に、矢印hで示すように、一旦RAM24Aに転送された後、矢印iで示すように、RAM24Aからメモリカードインターフェース25を介してメモリカード29に転送される(図8及び図9参照)。なお、RAM24Aを経由せずに、RAM32Aからメモリカードインターフェース25を介してメモリカード29に転送することも可能である。
【0044】
以上のようにして、データプロセッサ21BでMUX処理したファイルのデータは、データプロセッサ21Aにより、メモリカード29上のファイルに書き込まれていく。
【0045】
次に、再生時の読み出し動作を説明する。図10は、再生時の読み出し動作における、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49と、データプロセッサ21Aのアクセス部48と、メモリカード29の間の信号のやりとりを示す図である。また、図11は、再生時の読み出し動作における、データの流れを示す図であり、jからnの順にデータが流れる。
【0046】
メモリカード29から再生するデータを読み出す時には、図10に示すように、ファイル構成部42の情報(ファイルデータ、ファイル上のオフセット番地など)を、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49から、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47Aを介して、データプロセッサ21Aのアクセス部48に「コマンド」を送信する。具体的には。このコマンドの送信は、データプロセッサ21Aのアクセス部48から、コマンドIF部47A、データ送受信部46A、データ送受信部46B、コマンドIF部47Bを介して、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49に「コマンド」を送信することにより行われる。
【0047】
これに応じて、データプロセッサ21Aは、内部バス23Aの負荷状況が小さい時に、矢印jで示すように、メモリカードインターフェース25を介してメモリカード29から指定されたデータを読み出してRAM24Aに転送し、更に矢印kで示すように、通信インターフェース26Aを介してRAM32Aに転送する。なお、RAM24Aを経由せずに、メモリカード29からメモリカードインターフェース25を介してRAM32Aに転送することも可能である。読み出されるデータは、MUX処理済みデータである。
【0048】
矢印lで示すように、RAM32Aに転送されたデータは、通信インターフェース26A、通信経路31及び通信インターフェース26Bを介して、RAM32Bに転送される。
【0049】
次に、矢印mで示すように、RAM32Bのデータは、RAM24Bに転送される。RAM24Bに転送されたMUX処理済みデータは、ファイル構成部42にて分解(DEMUX)され、MPEG4とMP2のデータにされる。矢印nで示すように、ビデオ処理部27及びオーディオ処理部28は、RAM24Bに蓄積されたMPEG4とMP2のデータにアクセスし、デコードして再生信号(YUVの画像データとPCMの音声データ)を生成する。
【0050】
表1は、データプロセッサ21Bのアクセスコントロール部49が発行するコマンドの例を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
以上、本発明の実施例を説明したが、図12から図17は、表1のコマンドを利用した録画時の処理シーケンスをより詳細に示す図であり、図12と図13、図14と図15、図16と図17で1つの図を形成し、図12と図13はファイルの生成処理を、図14と図15はファイル書き込み処理を、図16と図17はファイルを閉じる処理を示す。一連の処理を簡単に説明する。
【0053】
データプロセッサ21Bがメモリカード29上にファイルを生成する時には、図12及び図13に示すように、データプロセッサ21Bのファイル構成部42がアクセスコントロール部49にCREATEコマンドを出力する。アクセスコントロール部49は、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47Aを介して、アクセス部48にCREATEコマンドを送信する。アクセス部48はファイル管理部43に新たなファイルの作成を要求し、ファイル管理部43はファイルを作成すると作成完了の応答をアクセス部48に返す。アクセス部48は、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47A、アクセスコントロール部49を介してファイル構成部42にファイル作成完了を知らせる。ファイル構成部42は、作成したファイルの情報を登録する。
【0054】
次に、ファイル構成部42は、VC制御部44及びAC制御部45を介して、ビデオ処理部27及びオーディオ処理部28にエンコードの開始を指示する。これに応じてビデオ処理部27はRGB画像データをエンコードしてMPEG4データを生成し、オーディオ処理部28はPCM音声データをエンコードしてMP2データを生成し、RAM24Bに蓄積する。VC制御部44及びAC制御部45は、MPEG4データとMP2データのファイルへの合成(MUX)処理をファイル構成部42に要求する。ファイル構成部42は、データを合成する情報を付加して、アクセスコントロール部49に書き込み処理を要求する。この時、RAM24Bに蓄積されたデータをRAM32Bに転送しておく。アクセスコントロール部49は、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47Aを介して、アクセス部48にWRITEコマンドを送信する。アクセス部48は、データ受信を開始し、送信されたデータをRAM32Aに順次蓄積し、更に内部バス23Aの負荷状況が小さい時に、RAM32AのデータをRAM24Aに転送する。なお、1回のデータ送信の量はあらかじめ決められており、ブロック単位で転送される。
【0055】
データの転送が完了すると、アクセス部48は、ファイル管理部43にメモリカード29へのデータの書き込みを要求する。ファイル管理部43は、内部バス23Aの負荷状況が小さい時に、RAM24Aからデータを読み出して、メモリカードIF部41を介してメモリカード29のファイルにデータを書き込む。
【0056】
RAM24BからRAM24Aへのデータ転送及びメモリカード29へのデータの書き込みは、ビデオ処理部27及びオーディオ処理部28におけるエンコード処理を並行に行われる。
【0057】
図14及び図15に示すファイルの書き込み処理の前半は、上記の図12及び図13の処理と同じである。1ブロックのメモリカード29への書き込みが終了すると、終了の応答が、ファイル管理部43からファイル構成部42に送られる。これに応じて、ファイル構成部42は、次のブロックのデータを送信を開始するように指示する。以下、図14及び図15に示すように、すべてのデータのメモリカード29への書き込みが完了するまで、図12及び図13で説明した処理を繰り返す。
【0058】
ビデオ処理部27及びオーディオ処理部28におけるエンコード処理が終了し、データのメモリカード29への書き込みが完了すると、図16及び図17に示すように、ファイル構成部42は、アクセスコントロール部49にCLOSEコマンドを出力する。アクセスコントロール部49は、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47Aを介して、アクセス部48にCLOSEコマンドを送信する。アクセス部48はファイル管理部43に新たなファイルを閉じることを要求し、ファイル管理部43はメモリカードIF部41を介してメモリカード29のファイルを閉じる処理を行い、ファイルを閉じる処理の完了応答をアクセス部48に返す。アクセス部48は、コマンドIF部47B、データ送受信部46B、データ送受信部46A、コマンドIF部47A、アクセスコントロール部49を介してファイル構成部42にファイルを閉じる処理の完了応答を送り、ファイル構成部42は、ファイルの閉鎖を登録する。
【0059】
以上、本発明の実施例を説明したが、各種の変形例が可能であるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、データプロセッサが相互に通信経路で接続されるマルチプロセッサを利用したシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は従来のシステムのハードウエア構成を示す図である。
【図2】図2は従来のシステムのソフトウエア構造を示す図である。
【図3】図3は従来のシステムにおける録画時の書き込み動作のデータの流れを示す図である。
【図4】図4は従来のシステムにおける再生時の読み出し動作のデータの流れを示す図である。
【図5】図5は本発明の実施例のシステムのハードウエア構成を示す図である。
【図6】図6は実施例のシステムの通信インターフェース構成を示す図である。
【図7】図7は実施例のシステムのソフトウエア構造を示す図である。
【図8】図8は実施例のシステムにおける録画時の書き込み動作を示す図である。
【図9】図3は実施例のシステムにおける録画時の書き込み動作のデータの流れを示す図である。
【図10】図10は実施例のシステムにおける再生時の読み出し動作を示す図である。
【図11】図11は実施例のシステムにおける再生時の読み出し動作のデータの流れを示す図である。
【図12】図12は、図13と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル生成)を示す図である。
【図13】図13は、図12と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル生成)を示す図である。
【図14】図14は、図15と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル書き込み)を示す図である。
【図15】図15は、図14と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル書き込み)を示す図である。
【図16】図16は、図17と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル閉)を示す図である。
【図17】図17は、図16と組み合わせて実施例のシステムにおける録画時の処理シーケンス(ファイル閉)を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
21A、21B データプロセッサ
22A、22B CPU
23A、23B 内部バス
24A、24B RAM
25 メモリカードインターフェース
26A、26B 通信インターフェース
27 ビデオ処理部
28 オーディオ処理部
29 メモリカード
31 通信経路
32A、32B RAM
42 ファイル構成部
43 ファイル管理部
48 アクセス部
49 アクセスコントロール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ユニットと、内部バスと、を有するデータプロセッサを少なくとも2個備えるマルチプロセッサシステムであって、
前記データプロセッサの1つの第1データプロセッサは、前記内部バスに接続されるメモリカードインターフェースを備え、前記メモリカードインターフェースを介してメモリカードにアクセス可能であり、
前記第1データプロセッサは、他のデータプロセッサと通信するための第1通信インターフェースと、前記第1通信インターフェースで送受信するデータを一時的に記憶する第1バッファと、を備え、
他のデータプロセッサは、前記第1通信インターフェースと通信するための第2通信インターフェースを備え、
他のデータプロセッサが前記メモリカードに記憶されたデータを読み出す時には、前記第1データプロセッサは、当該第1データプロセッサの処理状態に応じて前記メモリカードに記憶されたデータを読み出して前記第1バッファに一時的に記憶した後、当該第1データプロセッサの処理状態にかかわりなく、前記第1通信インターフェースを介して前記第1バッファに記憶したデータを他のデータプロセッサに送信し、
他のデータプロセッサが前記メモリカードにデータを書き込む時には、前記第1データプロセッサは、当該第1データプロセッサの処理状態にかかわりなく、前記第1通信インターフェースを介して他のデータプロセッサからのデータを受信して前記第1バッファに記憶し、当該第1データプロセッサの処理状態に応じて前記メモリカードに記憶されたデータを読み出して前記第1バッファに一時的に記憶した後、当該第1データプロセッサの処理状態に応じて前記バッファに記憶したデータを前記メモリカードに書き込むことを特徴とするマルチプロセッサシステム。
【請求項2】
他のデータプロセッサは、前記第2通信インターフェースで送受信するデータを一時的に記憶する第2バッファを備える請求項1に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項3】
前記第1データプロセッサは、前記メモリカードにアクセスするための処理を行うアクセス部を備え、
他のデータプロセッサは、前記メモリカードにアクセスするための処理を行うアクセスコントロール部を備え、
他のデータプロセッサが前記メモリカードにアクセスする時には、前記アクセスコントロール部から前記第1及び第2通信インターフェースを介して前記アクセス部を起動し、前記アクセス部を介して前記メモリカードにアクセスする請求項1に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項4】
前記第1データプロセッサは、前記メモリカードのファイルを管理するファイル管理部を備え、
他のデータプロセッサは、前記メモリカードの前記ファイルにアクセスする時には、前記第1及び第2通信インターフェースを介して前記第1データプロセッサの前記ファイル管理部にコマンドを送って起動する請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項5】
他のデータプロセッサは、前記メモリカードに前記ファイルを作成可能である請求項3又は4に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項6】
プロセッサと、内部バスと、を有するデータプロセッサを少なくとも2個備えるマルチプロセッサシステムであって、
前記データプロセッサの1つの第1データプロセッサは、前記内部バスに接続されるメモリカードインターフェースを備え、前記メモリカードインターフェースを介してメモリカードにアクセス可能であり、
前記第1データプロセッサ及び他のデータプロセッサは、相互に通信するための通信インターフェースをそれぞれ備え、
前記第1データプロセッサは、前記メモリカードにアクセスするための処理を行うアクセス部を備え、
他のデータプロセッサは、前記メモリカードにアクセスするための処理を行うアクセスコントロール部を備え、
他のデータプロセッサが前記メモリカードにアクセスする時には、前記アクセスコントロール部から前記通信インターフェースを介して前記アクセス部を起動し、前記アクセス部を介して前記メモリカードにアクセスすることを特徴とするマルチプロセッサシステム。
【請求項7】
前記第1データプロセッサは、前記メモリカードのファイルを管理するファイル管理部を備え、
他のデータプロセッサは、前記メモリカードの前記ファイルにアクセスする時には、前記通信インターフェースを介して前記第1データプロセッサの前記ファイル管理部にコマンドを送って起動する請求項5に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項8】
他のデータプロセッサは、前記メモリカードに前記ファイルを作成可能である請求項6又は7に記載のマルチプロセッサシステム。
【請求項9】
プロセッサと、内部バスと、を有するデータプロセッサを少なくとも2個備えるマルチプロセッサシステムであって、
前記データプロセッサの1つの第1データプロセッサは、前記内部バスに接続されるメモリカードインターフェースを備え、前記メモリカードインターフェースを介してメモリカードにアクセス可能であり、
前記第1データプロセッサ及び他のデータプロセッサは、相互に通信するための通信インターフェースをそれぞれ備え、
前記第1データプロセッサは、前記メモリカードのファイルを管理するファイル管理部を備え、
他のデータプロセッサは、前記メモリカードの前記ファイルにアクセスする時には、前記通信インターフェースを介して前記第1データプロセッサの前記ファイル管理部にコマンドを送って起動することを特徴とするマルチプロセッサシステム。
【請求項10】
他のデータプロセッサは、前記メモリカードに前記ファイルを作成可能である請求項9に記載のマルチプロセッサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−257415(P2007−257415A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82317(P2006−82317)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】