説明

マルチモーダルポリエチレンの製造

ポリエチレン組成物が開示される。前記組成物は、シングルサイトマルチモーダル樹脂Aとシングルサイトマルチモーダル樹脂Bとを含むが、前記樹脂Aは前記樹脂Bとは、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度もしくは長鎖分岐分布、またはそれらの組合せにおいて異なる。また、ポリエチレン組成物を製造する方法も開示される。この方法は、2以上のシングルサイト触媒の存在下、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を重合して第1のマルチモーダル樹脂を形成することと、同じ触媒の存在下、異なる水素濃度、または異なるモノマー組成、または異なる温度で重合を続けて第2のマルチモーダル樹脂を形成することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチモーダルポリエチレンの製造に関する。より詳細には、本発明は、2以上のモードを有するマルチモーダルポリエチレンに関する。
【背景技術】
【0002】
シングルサイトポリエチレンは、分子量分布が狭く、組成分布が均一である(すなわち、コモノマー反復単位がポリマー鎖に沿って均一に分布している)。狭い分子量分布と均一な組成分布の組合せによって、シングルサイトポリエチレンは、チーグラー触媒またはクロム触媒によって作られる従来のポリエチレンと区別される。シングルサイトポリエチレンは、チーグラーポリエチレンと比べて耐衝撃性、引張強さおよび光学的特性に優れる。
【0003】
しかし、分子量分布が均一であるために、シングルサイトポリエチレンは熱加工性が劣る。チーグラーポリエチレンに通常使用される条件下でシングルサイトポリエチレンを加工することは困難である。加工条件を変更するには大規模な資本投資が必要となるため、加工性が劣ることによってシングルサイトポリエチレンの開発は制限されている。したがって、シングルサイト触媒によって得られる優れた物理的特性を有し、かつ従来のポリエチレンの加工特性と同様の加工特性をも示すポリエチレンを製造することは大いに望ましいと言えよう。
【0004】
上記目的を達成する1つの方法は、混合触媒系を使うことである。例えば、米国特許第5,747,594号は、2段階重合法を教示している。第1の段階では、エチレンと高級α−オレフィンとをシングルサイト触媒を使って重合する。この重合を、チーグラー触媒を使う第2段階でも続ける。その結果、生成物は、シングルサイトポリエチレンとチーグラーポリエチレンの混合物となる。これら2つのポリマーの分子量および組成における不一致によって、生成物の熱加工性が向上することになる。
【0005】
もう1つの方法は、それぞれ異なる活性剤を使って操作される2つの重合反応器において、シングルサイト触媒を使うことである。例えば、一方の反応器でアルモキサンを使い、他方の反応器でイオン性活性剤を使う。異なる活性剤を使うことによって、それぞれの反応器で作られるポリエチレンは分子量が異なるものとなる。そのため、この混合ポリエチレンは広い分子量分布を有し、加工性が向上する。米国特許第6,372,864号参照。
【0006】
しかし、混合触媒または混合活性剤を使うことは一般に操作性の問題を伴う。2つの異なる触媒または活性剤は互いに邪魔をする可能性がある。例えば、チーグラー触媒でしばしば使われる有機アルミニウム化合物は、シングルサイト触媒を壊す。したがって、2つの不適合の触媒系を使うと、しばしば触媒の失活を伴うことがある。触媒の失活は高くつきまたやっかいである。米国特許第5,371,053号および同第5,442,019号参照。また、シングルサイトポリエチレンとチーグラーポリエチレンを混合すると加工性が向上する可能性がある一方で、シングルサイトポリエチレンの特性を低下することにもなる。
【0007】
マルチモーダルポリエチレンは、シングルサイト触媒だけを使う二重法によって作ることができる。例えば、同時係属中の出願番号第10/462,493号は、二重オレフィン重合法について教示している。その方法は、架橋インデノインドリル配位子含有第4族遷移金属錯体と活性剤とを使うものである。この方法は、多段階でまたは多数個の反応器で実施される。全段階または全反応器において、同じ錯体および同じ活性剤を使用する。モノマー組成、水素濃度、またはその両方を変えることによって、それぞれの段階または反応器において異なるポリエチレンが作られる。通常、この二重法によればバイモーダル樹脂を都合よく生成することができる。各モードの分子量分布が比較的狭いと仮定すれば、バイモーダル樹脂もやはり最適な加工性を欠くことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要するに、シングルサイトポリエチレンを製造する新規方法が必要とされている。理想的には、新規方法は、2以上のシングルサイト触媒を使って、2以上のモードを有するポリエチレンを生成するような方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マルチモーダルポリエチレン樹脂を作る方法である。この方法は2以上の段階を含む。第1の段階においては、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を、2つのシングルサイト触媒の存在下で重合させる。第2の段階においては、同じ触媒の存在下、異なるモノマー組成、異なる水素濃度、または異なる温度で重合を続け第2のマルチモーダル樹脂を生成する。
【0010】
本発明にはポリエチレン組成物が含まれる。その組成物は、マルチモーダル樹脂Aとマルチモーダル樹脂Bとを含む。樹脂Aと樹脂Bは、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度、または長鎖分岐分布において異なる。
【0011】
本発明は、2以上のモードを有するシングルサイトマルチモーダルポリエチレンを作る方法を提供する。本発明のポリエチレンにおいては、加工性が向上するだけでなくそれぞれのシングルサイト樹脂の特性が維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の方法は2以上の段階を含む。第1の段階においては、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を、2以上のシングルサイト触媒の存在下で重合させ第1のマルチモーダルポリエチレン樹脂を生成する。第2の段階においては、同じ触媒の存在下、異なるモノマー組成、異なる水素濃度、または異なる温度で重合を続ける。
【0013】
好適なC3〜C10α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等と、それらの混合物が挙げられる。エチレンを重合するとホモポリマーが生成する。エチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を重合すると、コポリマーが生成する。C3〜C10α−オレフィンを組み込むことによって樹脂の密度が低下する。好ましくは、第1のマルチモーダル樹脂は、第2のマルチモーダル樹脂に比べて密度が高い。すなわち、第1の段階は、第2の段階に比べてエチレン/C3〜C10α−オレフィン比を大きくして実施する。好ましくは、第1の段階では、マルチモーダル高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.941g/cm3以上)または中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.926〜0.940g/cm3)が生成し、一方第2の段階では、マルチモーダル直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)または超低密度ポリエチレン(ULDPE、密度0.910g/cm3未満)が生成する。
【0014】
好適なシングルサイト触媒としては、それらのうち2つを併用するとマルチモーダルポリエチレン樹脂が生成するような触媒が挙げられる。すなわち、2つのシングルサイト触媒によって、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度、長鎖分岐位置、またはそれらの組合せが実質的に異なるポリマーが生成される。
【0015】
好ましくは、第1の段階において存在するシングルサイト触媒の少なくとも1つは、インデノインドリルシングルサイト触媒、すなわちインデノインドリル配位子含有第4族遷移金属錯体である。好ましい第4族遷移金属は、ジルコニウムとチタンである。ジルコニウムは特に好ましい。インデノインドリル配位子は、強力な塩基を使ってインデノインドール化合物を脱プロトン化することによって発生させることができる。「インデノインドール化合物」とは、インドール環とインデン環の両方を有する有機化合物のことを言う。それぞれの5員環が縮合する。すなわちそれぞれの5員環は2個の炭素原子を共有する。好ましくは、それぞれの環は、インドールの窒素とインデニル環上のsp3−混成炭素だけが互いに「トランス」であるように縮合している。インデノ[1,2−b]環系における例がそれである。
【0016】
【化1】

【0017】
好適な環系としては、インドールの窒素とインデンのsp3−混成炭素が互いに「ベータ」であるような環系、すなわち分子の同じ側にあるような環系も挙げられる。これは、インデノ[2,1−b]インドール環系である。
【0018】
【化2】

【0019】
環原子は置換されていてよい。好適なインデノインドリル配位子としては、下式で表わされる配位子が挙げられる。
【0020】
【化3】

【0021】
(上式において、R1は、アルキル基、アリール基、アラルキル基およびシリル基から成る群から選択され、R2からR10は、同一または異なる基であって、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、シリル基、ハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基から成る群から選択される。)
インデノインドール化合物を製造する方法は知られている。好適な方法および化合物は、例えば、米国特許第6,232,260号に開示されている。
【0022】
好ましくは、段階1において存在する触媒は、架橋インデノインドリル触媒と非架橋インデノインドリル触媒とを含む。「架橋インデノインドリル触媒」とは、インデノインドリル配位子がもう1つの配位子と架橋しており、両部分が遷移金属に配位していることを意味する。好ましくは、前記架橋触媒および非架橋触媒は、それぞれ下記の一般構造を有する。
【0023】
【化4】

【0024】
Mは第4族遷移金属、Gは架橋性基、L1はインデノインドリル配位子、L2はシクロペンタジニエル、インデニル、フルオレニル、ボラアリール、ピロリル、アザボロリニル、キノリニル、インデノインドリルおよびホスフィンイミンから成る群から選択される配位子である。好ましくは、L2はシクロペンタジニエル配位子である。
【0025】
3とL4は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、アルキルアミノおよびアリールアミノから成る群から選択される。好ましくは、L3またはL4の少なくとも1つはハロゲンである。より好ましくは、L3とL4の両方ともハロゲンである。最も好ましくは、L3とL4の両方とも塩素である。
【0026】
架橋性基Gは、インデノインドリル配位子ともう1つの配位子とを共有結合で結合する。好適な架橋性基としては、CR2、C24、SiR2、Si24、GeR2、Ge24、R2SiCR2、NRおよびPRが挙げられる。好ましくは、Gは、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、テトラアルキルジシリル、エチリデン、イソプロピリデン、メチレン、ジメチレン、1,2−ジフェニレン、1,4−ジフェニレン等から成る群から選択される。メチレン、ジメチレン、イソプロピリデンおよびジメチルシリルが特に好ましい。
【0027】
本発明者等は、架橋インデノインドリル触媒、例えばMe2Si(インデノ[1,2−b]インドリル)(Cp)ZrCl2によって、対応する非架橋触媒、Me2Si(インデノ[1,2−b]インドリル)(Cp)ZrCl2に比べて、著しく分子量が大きくコモノマーの取り込みが多いポリエチレンが生成されることを見出した。このように、重合過程に2つの触媒が存在する場合、架橋触媒によって、非架橋触媒に比べて著しく平均分子量が大きく分岐度の高いポリエチレンが生成される。バイモーダル樹脂またはマルチモーダル樹脂はこのように形成される。
【0028】
好ましくは、これら触媒は、架橋触媒/非架橋触媒のモル比が1/10〜10/1の範囲、より好ましくは1/5〜5/1の範囲、最も好ましくは1/3〜3/1の範囲で使われる。
【0029】
好ましくは、これら触媒を担体に固定する。好ましくは、これら触媒を混合して、同じ担体に固定する。担体は、好ましくは無機酸化物および無機塩化物ならびに有機ポリマー樹脂などの多孔性材料である。好ましい無機酸化物としては、第2、3、4、5、13または14族元素の酸化物が挙げられる。好ましい担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウムおよび架橋ポリスチレンが挙げられる。シリカは最も好ましい。
【0030】
好ましくは、上記担体は、表面積が約2〜約700m2/gの範囲、好ましくは約100〜約600m2/gの範囲、細孔容積が約0.1〜約4.0mL/gの範囲、平均粒径が約10〜約500μmの範囲、および平均細孔径が約10〜約1000Åの範囲である。これらは、好ましくは熱処理、化学修飾またはその両方によって変成される。熱処理の場合、好ましくは、担体を約50℃〜約800℃の範囲の温度で加熱する。より好ましくは、加熱温度は約50℃〜約300℃の範囲である。
【0031】
好適な化学修飾剤としては、有機アルミニウム化合物、有機シリコン化合物、有機マグネシウム化合物および有機ホウ素化合物が挙げられる。ヘキサメチルジシラザンおよびトリエチルボランなどの有機シリコン化合物および有機ホウ素化合物が好ましい。シングルサイト触媒を担持する好適な手法が知られている。例えば、米国特許第6,211,311号は、ヘテロ原子配位子を含有するシングルサイト触媒の担持について論じている。担持された触媒は、気相重合、溶液重合およびスラリー重合に好適である。
【0032】
これら触媒は活性剤と共に使われる。好適な活性剤としては、アルモキサン、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、ホウ素またはアルミニウムのアニオン性化合物、トリアルキルホウ素化合物およびトリアリールホウ素化合物等、ならびにそれらの混合物が挙げられる。この例としては、メチルアルモキサン(MAO)、高分子量MAO(PMAO)、エチルアルモキサン、ジイソブチルアルモキサン、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルボラン、トリ−n−オクチルボラン等、およびそれらの混合物が挙げられる。MAO、PMAOおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好ましい。
【0033】
活性剤は触媒と組み合わせることができ、その混合物を担体に固定する。あるいはまた触媒と活性剤を別々に重合反応器に添加することもできる。一般に、活性剤は、触媒1モルに対して約0.01〜約100,000モルの範囲内、好ましくは約0.1〜約1,000モルの範囲内、最も好ましくは約0.5〜約300モルの範囲内の量で使われる。
【0034】
段階1のシングルサイト触媒は段階2にまで保持される。段階2において追加量の触媒または活性剤を供給してもよい。必要であれば、段階2において第3のシングルサイト触媒または活性剤を供給することもできる。好適な第3のシングルサイト触媒または活性剤は、先に説明したシングルサイト触媒または活性剤である。
【0035】
段階1および段階2は、同じ温度または異なる温度で実施することができる。好ましくは、その温度は約40℃〜約400℃の範囲内である。より好ましくは、その温度は約50℃〜約150℃の範囲内である。好ましくは、段階1と段階2の間の温度差は20℃以上である。より好ましくは、段階1と段階2の間の温度差は50℃以上である。好ましくは、各段階における反応温度は基本的に一定である。好ましくは、段階2における反応温度は段階1における反応温度より高い。温度を変えることにより触媒の活性およびコモノマーの反応性比を変えることができ、したがってポリマーの組成および特性を変えることができる。
【0036】
水素は、分子量を調整する過程で使われる。通常、重合において水素が多ければ多いほど分子量の小さいポリエチレンとなる。したがって、各段階において水素濃度を変えることにより、分子量が異なるマルチモーダルポリエチレン樹脂を生成することができる。
【0037】
本発明の方法の1つの例では、段階1を水素/モノマー比を比較的大きくして(0.001/1〜約10/1の範囲)実施し、一方段階2は水素/モノマー比を小さくして実施する。段階1の水素は、段階2の前に一部または完全に除去することができる。この過程により、第1のマルチモーダル樹脂は、第2のマルチモーダル樹脂に比べて全体としての平均分子量が低くなる。
【0038】
あるいはまた、段階1を水素の非存在下でまたは水素/モノマー比を比較的小さくして(1/1以下)実施し、一方第2の段階は水素/モノマー比を大きくして実施する。この過程により、第1のマルチモーダル樹脂は、第2のマルチモーダル樹脂に比べて全体としての平均分子量が高くなる。
【0039】
各段階において、好ましくは、モノマー濃度、エチレン/コモノマー比および水素/モノマー比は基本的に一定である。
【0040】
本方法の各段階は、単一の反応器または多数個の反応器で実施することができる。2段階法を例として取り上げる。単一反応器法では、触媒、水素および溶媒(使う場合)を反応器に充填する。段階1は、反応器の中味を所望の温度にまで加熱し、反応器に所望の量のモノマーを供給することで開始される。段階1が完了した後、水素を除去し(あるいはまたさらに水素を添加し)、反応器に段階1で使用したものと同じまたは異なるモノマーを供給して段階2を開始する。
【0041】
二反応器法では、反応器は平行または直列にセットすることができる。例えば、並行二反応器法においては、段階1と段階2を2つの反応器で同時に実施し、次いで、そこで作られたそれぞれのマルチモーダル樹脂を2つの反応器のいずれか一方においてまたは第3の反応器もしくはミキサーで混合する。
【0042】
逐次二反応器法においては、第1の段階を第1の反応器で実施して第1のマルチモーダル樹脂を生成する。次いで、第1のマルチモーダル樹脂を第2の反応器に移し、第2の反応器において第2の段階を実施して第2のマルチモーダル樹脂を生成する。第2のマルチモーダル樹脂は、反応の場で第1のマルチモーダル樹脂と混合される。
【0043】
本発明の方法によって、新規なマルチモーダルポリエチレン組成物が得られることになる。「マルチモーダル」とは、樹脂が2以上のモード(すなわち成分)を有し、各モードが、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度、長鎖分岐分布、またはそれらの組合せにおいてそれぞれ異なることで特徴づけられることを言う。例えば、バイモーダル樹脂とは、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度または長鎖分岐分布が互いに異なる2つのモードを有する樹脂のことを言う。
【0044】
本発明のマルチモーダルポリエチレン組成物は、マルチモーダル樹脂Aとマルチモーダル樹脂Bとを含む。樹脂Aは、分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度、長鎖分岐分布、またはそれらの組合せにおいて樹脂Bと異なる。好ましくは、樹脂Aと樹脂Bは分子量が異なる。より好ましくは、樹脂Aの高分子量のモードと樹脂Bの低分子量のモードとは重なり合う。
【0045】
好ましくは、樹脂Aと樹脂Bの各モードは、Mw/Mnが5.5以下である。より好ましくは、樹脂Aと樹脂Bの各モードは、Mw/Mnが4.5以下である。最も好ましくは、樹脂Aと樹脂Bの各モードは、Mw/Mnが3.5以下である。
【0046】
好ましくは、樹脂Aと樹脂Bは密度が異なる。好ましくは樹脂Aの密度は樹脂Bの密度より高い。より好ましくは、樹脂AはHDPEまたはMDPEであり、樹脂BはLLDPEまたはULDPEである。
【0047】
好ましくは、樹脂Aと樹脂Bの両方において、高分子量のモードは、低分子量のモードに比べてコモノマー反復単位を多く含む。
【0048】
好ましくは、本発明のマルチモーダルポリエチレン組成物は、樹脂A/樹脂B重量比が10/90〜90/10である。より好ましくは、前記ポリエチレン組成物は、樹脂A/樹脂B重量比が20/80〜80/20である。最も好ましくは、前記ポリエチレン組成物は、樹脂A/樹脂B重量比が30/70〜70/30である。
【0049】
好ましくは、樹脂Aと樹脂Bの両方とも、長鎖分岐は高分子量のモードに集中している。本発明の独自性は、重合において少なくとも2つのシングルサイト触媒が存在し、一方の触媒が他方の触媒に比べて長鎖分岐をより有利に形成するように働く点にある。したがって、長鎖分岐の濃度だけでなくその位置も制御することができる。
【0050】
長鎖分岐は、NMR、3D−GPC(Polymer、第42巻、8947〜8958頁(2001)を参照)およびレオロジーによって測定することができる。NMRは分岐数を直接測定するが、炭素数6個またはそれより長い分岐については分岐間の区別ができない。極限粘度数と光散乱検出を使った3D−GPCは、所与の回転半径において質量を実質的に増加させるようなすべての分岐を説明することができる。レオロジーは、低レベルの長鎖分岐の検出に特に好適である。
【0051】
長鎖分岐濃度は、長鎖分岐指数(LCBI)によって測定することができる。LCBIは、低レベルの長鎖分岐を特徴づけるのに使われる流動学的指数である。LCBIは以下のように定義される。
【0052】
【数1】

【0053】
(式中、η0は190℃における極限ゼロせん断粘度(ポアズ)、および[η]は135℃におけるトリクロロベンゼン中の極限粘度(dL/g)である。)LCBIは、他の線状ポリマーにおいては、低レベルの長鎖分岐によって、極限粘度[η]が変化しないまま溶融粘度η0が大きく増大するという観察に基づくものである。R.N.ShroffとH.Mavridisの「Long−Chain−Branching Index for Essentially Linear Polyethylenes」、Macromolecules、第32(25)巻、8454〜8464頁、1999年参照。LCBIが大きいということは、ポリマー鎖当たりの長鎖分岐数が大きいことを意味する。
【0054】
好ましくは、樹脂Aと樹脂Bそれぞれの高分子量のモードのLCBIは0.1以上である。ポリエチレン組成物に長鎖分岐を導入すると、ポリエチレンの加工性を向上させることができる。
【0055】
好ましくは、マルチモーダルポリエチレン組成物の全体としてのMnは、約5,000〜約500,000の範囲内である。好ましくは、ポリエチレン組成物の全体としてのMwは、約30,000〜約1,000,000の範囲内である。好ましくは、ポリエチレン組成物の全体としてのMw/Mnは、約3〜約20の範囲内、より好ましくは約4〜約18の範囲内、最も好ましくは約5〜約17の範囲内である。
【0056】
あるいはまた、分子量および分子量分布をメルトインデックスによって表わすこともできる。メルトインデックス(MI2)は通常分子量の測定に使われ、溶融流量(MFR)は分子量分布の測定に使われる。MI2が大きいことは、分子量が小さいことを表わす。MFRが大きいことは、分子量分布が広いことを表わす。MFRは、高荷重メルトインデックス(HLMI)のMI2に対する比である。MI2とHLMIは、ASTM D−1238に従って測定することができる。MI2は、2.16kgの圧力下190℃で測定される。HLMIは、21.6kgの圧力下190℃で測定される。好ましくは、前記ポリエチレン組成物のMI2は、約0.01〜約150dg/分である。好ましくは、前記ポリエチレン組成物のMFRは、約15〜約300である。
【0057】
以下の実施例は単に本発明を説明するものである。当業者ならば、本発明の技術思想および特許請求の範囲内にある多くの変形態様に気づくであろう。
実施例1
架橋インデノインドリル触媒:ジメチルシリル架橋インデノ[1,2−B]インドリルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの調製
(a)インデノ[1,2−b]インドールの調製
1−インダノン(30.6g、232mmol)とp−トリルヒドラジン塩酸塩(37.0g、233mmol)のEtOH溶液(350mL)とHCl水溶液(12N、18mL)との混合物を90分間加熱還流する。この混合物を冷却・濾過した後、固形分をEtOH(600mL)で洗浄し、次いで20%EtOH水溶液(400mL)で洗浄、最後にヘキサン(200mL)で洗浄する。オフホワイト色の固体を真空下で乾燥する(36.5g、72%)。
(b)N−メチル化
生成物(a)(36.5g、166mmol)、NaOH水溶液(112mL、20M、2.2mol)、C1633NMe3Br(0.65g、1.78mmol)およびトルエン(112mL)の混合物を、室温で激しく攪拌する。Mel(17.0mL、273mmol)のトルエン溶液(15mL)を滴下し、この混合物を室温で4時間攪拌した後3時間還流する。冷却すると同時に結晶質固体が形成するが、この形成した固体を濾過した後、冷(−78℃)エタノール(300mL)で洗浄し、次いでヘキサン(100mL)で洗浄する。層を分離し、水性画分をトルエン(2×100mL)で洗浄する。有機物を合わせ、Na2SO4で乾燥した後、濾過する。真空下で揮発分を除去し、沈殿物を乾燥して結晶質生成物と合わせる(総収量25.7g、66%)。
(c)アニオン生成
n−ブチルリチウム(n−BuLi)(120mL、2.5M、1.6mol)を生成物(b)(43.9g、188mmol)のトルエン溶液(560mL)に滴下する。1時間後に沈殿物が形成する。この混合物を48時間放置した後、濾過する。固体をトルエン(500mL)で洗浄し、次いでヘキサン(500mL)で洗浄した後、真空下で乾燥する(40.3g、90%)。
(d)ジクロロジメチルシランとの反応
生成物(c)(23.3g、97.4mmol)のトルエン(240mL)とEt2O(160mL)との溶液を、SiCl2Me2(60.0mL、495mmol)のEt2O(170mL)溶液に添加する。この混合物は濁るが、48時間攪拌し、セライトで濾過する。真空下で揮発分を除去すると、灰色の固体が得られる(24.8g、78%)。
(e)ジアニオン生成
ナトリウムシクロペンタジエニド(16.0mL、2M、32.0mmol)を、ステップ(d)の生成物(9.62g、29.5mmol)のEt2O(240mL)溶液に添加する。ただちに固体が形成するが、この混合物を一晩室温に維持する。この粗混合物をH2O(100mL)で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥した後、濾過する。蒸発乾固により油が得られる。この油をEt2O(250mL)に溶解し−78℃まで冷却する。n−ブチルリチウム(28.0mL、2.5M、70.0mmol)を滴下し、この混合物をゆっくり室温まで加温する。24時間攪拌を続ける。黄色の固体が形成したら、この混合物を濾過して、固体を真空下で乾燥する(12.3g、99%)。
(f)ジルコニウム錯体の調製
ステップ(e)のジアニオン(7.94g、21.6mmol)を、ZrCl4(5.03g、21.6mmol)のトルエン(250mL)とEt2O(50mL)との溶液に固体として添加する。この混合物はオレンジ色になるが、48時間室温に維持した後、濾過する。固体をトルエン(200mL)で洗浄し、次いでヘキサン(50mL)で洗浄した後、真空下で乾燥する(4.0g、36%)と前記触媒が得られる。
実施例2
非架橋インデノインドリル触媒:インデノ[1,2−B]インドリルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの調製
窒素雰囲気グローブボックス内において、実施例1に記載のように調製されたN−メチル化インデノ[1,2−b]インドール(14.2g、60.9mmol)を、トルエン(175mL)に溶解する。n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液38.0mL、95mmol)を、室温で激しく攪拌しながら注意深く添加すると赤色の溶液が得られる。1時間後、沈殿が形成する。この混合物を一晩室温に維持した後、濾過し、トルエン(100mL)で洗浄した後ヘプタン(200mL)で洗浄する。粘着性の生成物をグローブボックス内において窒素雰囲気下で乾燥した後、収集し、真空下で乾燥する。
【0058】
上記のように生成したインデノ[1,2−b]インドリルリチウム塩(10g、42mmol)の試料をトルエン(95mL)に溶解するとオレンジ色のスラリーが生成する。ジエチルエーテル(35mL)をゆっくり添加するとオレンジ色の溶液が得られる。この溶液を、室温で攪拌しながら15分かけてシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド(11g、42mmol)のトルエン(190mL)とジエチルエーテル(190mL)とのスラリーに添加する。この混合物は濃い赤色になるが、これを一晩室温に維持する。スラリーを濾過して赤色の固体を回収し、これをトルエン(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥すると前記触媒が得られる(16.5g、78%)。
実施例3
シリカ担持、架橋および非架橋インデノインドリル混合触媒の調製
シリカ(Fuji G−3)を200℃で16時間焼成する。メチルアルモキサン(MAOの1.4Mトルエン溶液2.4mL、Albemarle製品)を、焼成シリカのトルエン50mL溶液のサンプル12gに添加し、この混合物を、周囲温度で1時間攪拌した後、100℃で2時間攪拌する。実施例1の架橋触媒(0.27g)と実施例2の非架橋触媒(0.27g)とMAO溶液(14mL)を混合する。混合物をトルエン(30mL)に溶解する。この溶液を前記前処理したシリカに添加する。揮発分を除去すると、重合ステップで使われるさらさらの粉末が得られる。
実施例4
シリカ担持、架橋および非架橋インデノインドリル混合触媒を使った2段階エチレン重合
段階1:第1のマルチモーダル樹脂の製造
ヘキサン(1時間当たり193部)、エチレン(1時間当たり30部)、1−ブテン(1時間当たり0.04部)、水素(1時間当たり0.0007部)および実施例3の担持触媒(1時間当たり0.0027部)を第1の反応器に連続して供給する。反応器の温度を72℃に制御して第1のバイモーダル樹脂を得る。第1のバイモーダル樹脂は、低分子量のモードと低分子量のモードを有する。低分子量のモードは、MI2が15dg/分、密度が0.95g/cc、および長鎖分岐は基本的に測定不能であると予想される。低分子量のモードは、MI2が0.07dg/分、密度が0.94g/cc、およびLCBIが0.1であると予想される。低分子量のモード/低分子量のモードは、重量で48/52である。
【0059】
各モードの特性は、同様の反応条件下、それぞれの触媒反応で別々に作られたポリマーを基にして評価される。この評価は、以下の例においても使う。
段階2:第2のマルチモーダル樹脂の製造
前記第1のバイモーダル樹脂をフラッシュドラムに移し、そこで水素およびその他の揮発分を除去する。次いで、その第1のバイモーダル樹脂を第2の反応器に移す。ヘキサン(1時間当たり42.9部)、1−ブテン(1時間当たり1.33部)およびエチレン(1時間当たり16.7部)を第2の反応器に連続して供給する。反応器の温度を72℃に制御して第2のバイモーダル樹脂を得るが、この第2のバイモーダル樹脂は反応の場で第1のバイモーダル樹脂と混合される。第2のバイモーダル樹脂は、低分子量のモードと低分子量のモードを有し、低分子量のモードはMI2が0.6dg/分、密度が0.94g/ccおよび長鎖分岐は基本的に測定不能であると予想され、低分子量のモードはMI2が0.01dg/分、密度が0.92g/cc、およびLCBIが0.25であると予想される。低分子量のモード/低分子量のモードは、重量で63/37である。第1のバイモーダル樹脂/第2のバイモーダル樹脂は、重量で70/30である。
実施例5
シリカ担持、架橋および非架橋インデノインドリル混合触媒を使った2段階エチレン重合
段階1:第1のマルチモーダル樹脂の製造
2Lのステンレス製オートクレーブに、エチレンを用いて70℃で220psiまで加圧したイソブタン(1L)を充填し、次いで、実施例3の担持触媒20mgを添加する。必要に応じて反応器にエチレンを供給し、第1のバイモーダル樹脂25gを生成する。第1のバイモーダル樹脂は、低分子量のモードと低分子量のモードを有する。低分子量のモードは、重量平均分子量が240,000、密度が0.95g/cc、および長鎖分岐は基本的に測定不能であると予想される。低分子量のモードは、重量平均分子量が420,000、密度が0.94、およびLCBIが0.3であると予想される。低分子量のモード/低分子量のモードは、重量で45/55である。
段階2:第2のマルチモーダル樹脂の製造
段階1と同様に、段階2も2Lのステンレス製オートクレーブ内で実施する。反応器に、実施例3の担持触媒(20mg)、イソブタン(1L)およびブテン−1(10ml)を充填し、エチレンを用いて60℃で300psiまで加圧する。必要に応じて反応器にエチレンを供給し、第2のバイモーダル樹脂25gを生成する。第2のバイモーダル樹脂は、低分子量のモードと低分子量のモードを有する。低分子量のモードは、重量平均分子量が180,000、密度が0.94、および長鎖分岐は基本的に測定不能であると予想される。低分子量のモードは、重量平均分子量が220,000、密度が0.92、およびLCBIが0.3であると予想される。低分子量のモード/低分子量のモードは、重量で40/60である。段階1の樹脂と段階2の樹脂を完全にブレンドする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)2つ以上のシングルサイト触媒の存在下、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を重合して第1のマルチモーダル樹脂を製造することと、
(b)同じ触媒の存在下、異なるモノマー組成、または異なる水素濃度、または異なる温度で重合を続けることによって第2のマルチモーダル樹脂を製造することと
を含む多段階製造方法。
【請求項2】
シングルサイト触媒がインデノインドリル触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シングルサイト触媒が非架橋インデノインドリル触媒と架橋インデノインドリル触媒とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
非架橋触媒と架橋触媒とを混合し共に担持する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
架橋触媒がI、II、IIIまたはIVの一般構造を有し、非架橋触媒がVまたはVIの一般構造を有する、請求項3に記載の方法
【化1】


(式中、Mは第4族遷移金属であり、Rはアルキル、アリール、アラルキル、ボリルおよびシリルの各基から成る群から選択され、Xはアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハライド、ジアルキルアミノおよびシロキシの各基から成る群から選択され、Lはシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、ボラアリール、ピロリル、アザボロリニル、キロリニル、インデノインドリルおよびホスフィンイミンから成る群から選択され、Gはジアルキルシリル、ジアリールシリル、メチレン、エチレン、イソプロピリデンおよびジフェニルメチレンから成る群から選択される架橋基であり、残りの環原子のうちの1つまたは複数は、場合によって、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、シリル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、ニトロ、ジアルキルアミノまたはジアリールアミノ基で置換されている)。
【請求項6】
MがZrであり、Rがメチルであり、Xが塩素であり、Lがシクロペンタジエニルであり、Gがジメチルシリルまたはメチレンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
触媒が、アルモキサン、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、ホウ素またはアルミニウムのアニオン性化合物、トリアルキルホウ素化合物およびトリアリールホウ素化合物、ならびにそれらの混合物から成る群から選択される活性剤と共に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
活性剤がメチルアルモキサン(MAO)と高分子量MAOとから成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)2つ以上のシングルサイト触媒の存在下、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を、水素/モノマーモル比が約0.0001/1〜約10/1の範囲内で重合して第1のマルチモーダル樹脂を製造することと、
(b)段階(a)の触媒と同じ触媒の存在下、水素/モノマーモル比を小さくして重合を続けることによって第2のマルチモーダル樹脂を製造することと
を含む多段階製造方法。
【請求項10】
段階(b)をα−オレフィン/エチレン比を大きくして実施する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
シングルサイト触媒がインデノインドリル触媒を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
シングルサイト触媒が非架橋インデノインドリル触媒と架橋インデノインドリル触媒とを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
非架橋触媒と架橋触媒とを混合して共に担持する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)2つのシングルサイト触媒の存在下、エチレンまたはエチレンとC3〜C10α−オレフィンとの混合物を、水素/モノマーモル比が1/1未満で重合して、第1のマルチモーダル樹脂を製造することと、
(b)段階(a)の触媒と同じ触媒の存在下、水素/モノマーモル比を大きくして重合を続けることによって第2のマルチモーダル樹脂を製造することと
を含む多段階製造方法。
【請求項15】
シングルサイト触媒がインデノインドリル触媒を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
シングルサイト触媒が非架橋インデノインドリル触媒と架橋インデノインドリル触媒とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
非架橋触媒と架橋触媒とを混合して共に担持する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
シングルサイトマルチモーダル樹脂Aとシングルサイトマルチモーダル樹脂Bとを含むポリエチレン組成物であって、樹脂Aが樹脂Bと分子量、モノマー組成、密度、長鎖分岐濃度または長鎖分岐分布において異なっているポリエチレン組成物。
【請求項19】
樹脂Aの高分子量のモードと樹脂Bの低分子量のモードが重なり合う、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
樹脂Aが高密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレンであり、樹脂Bが直鎖状低密度ポリエチレンまたは超低密度ポリエチレンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
樹脂Aと樹脂Bの両方とも長鎖分岐が高分子量のモードに集中している、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
樹脂Aと樹脂Bの各モードの分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下である、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
請求項18に記載の組成物を含む物品。

【公表番号】特表2009−507105(P2009−507105A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529089(P2008−529089)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031656
【国際公開番号】WO2007/030278
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(501391331)エクイスター ケミカルズ、 エルピー (30)
【氏名又は名称原語表記】Equistar Chemicals,LP
【Fターム(参考)】