説明

マンコンベアの制御装置

【課題】オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアにおいて、乗客等に対するオゾンの影響も考慮した適切な制御を行うことができるようにする。
【解決手段】マンコンベアには、オゾンを用いて移動手摺3の除菌を行う除菌装置10と、所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段7とが備えられている。そして、起動手段7に対して上記所定の操作が行われると、除菌装置10を動作させて移動手摺3を除菌する所定の除菌運転を行い、その後、マンコンベアを通常運転に移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う装置を備えたマンコンベアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレーターや動く歩道といったマンコンベアでは、乗客が乗るステップと同期するように移動手摺が駆動されている。この移動手摺は、ステップに乗降する乗客やステップ上にいる乗客が掴むために備えられたものである。
【0003】
マンコンベアは不特定多数の人によって使用されるため、乗客の中には移動手摺に触れることを不快に感じる人もいる。
このため、従来のマンコンベアには、移動手摺を除菌するための装置を備えたものも提案されている。例えば、特許文献1には、ヨウ素を含浸させたローラを移動手摺に接触させ、移動手摺の除菌を行うものが開示されている。また、特許文献2には、移動手摺に紫外線を照射して、移動手摺の除菌を行うものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−113729号公報
【特許文献2】特開2006−193319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマンコンベアでは、ヨウ素を含む(例えば、ヨウ素1%程度の)溶液を塗布したり、紫外線を照射したりすることにより、移動手摺の除菌を行っていた。しかし、特許文献1及び2に記載のものを含め、従来では、除菌性能が高く、且つ近年手軽に使用できるようになったオゾンを用いて移動手摺を除菌することは行われていなかった。
【0006】
ヨウ素や紫外線を利用する場合、マンコンベアのサービス中、即ち、乗客がいる時に移動手摺の除菌処理を行っても、特に問題が生じることはない。しかし、オゾンには特有の臭いがあるため、マンコンベアのサービス中にオゾンを用いた除菌処理を行うと、乗客や周囲の人がオゾンの臭いを不快に感じたり、オゾン濃度が高い場合に、乗客の気分が悪くなってしまう恐れがあった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアにおいて、乗客等に対するオゾンの影響も考慮した適切な制御を行うことができるマンコンベアの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段と、起動手段に対して所定の操作が行われると、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行い、その後、マンコンベアを通常運転に移行させる制御手段と、を備えたものである。
【0009】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段と、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行うか否かを設定するための除菌運転モード切替手段と、マンコンベアのステップ及び移動手摺を制御する制御盤と、を備え、制御盤は、起動手段に対して所定の操作が行われると、除菌運転モード切替手段の設定内容を判定するモード判定部と、除菌運転が有効に設定されているとモード判定部によって判定された場合に、除菌装置に所定の起動指令を出力して除菌装置を所定時間動作させ、且つ移動手摺を所定の低速度で移動させるとともに、所定時間が経過すると、除菌装置に所定の停止指令を出力して除菌装置を停止させ、且つ移動手摺を所定の通常速度で移動させる動作制御部と、を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、所定の操作によって動作中のマンコンベアを停止させるための停止手段と、停止手段に対して所定の操作が行われると、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行い、その後、マンコンベアを停止させる制御手段と、を備えたものである。
【0011】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、所定の操作によって動作中のマンコンベアを停止させるための停止手段と、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行うか否かを設定するための除菌運転モード切替手段と、マンコンベアのステップ及び移動手摺を制御する制御盤と、を備え、制御盤は、停止手段に対して所定の操作が行われると、除菌運転モード切替手段の設定内容を判定するモード判定部と、除菌運転が有効に設定されているとモード判定部によって判定された場合に、除菌装置に所定の起動指令を出力して除菌装置を所定時間動作させ、且つ移動手摺を所定の低速度で移動させるとともに、所定時間が経過すると、除菌装置に所定の停止指令を出力して除菌装置を停止させ、且つステップ及び移動手摺を停止させる動作制御部と、を備えたものである。
【0012】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、所定の操作により、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を開始させるための除菌運転指令手段と、マンコンベアの運転状態を検出するための検出手段と、除菌運転指令手段に対して所定の操作が行われると、検出手段によってマンコンベアの停止中が検出された場合は、除菌運転を行った後にマンコンベアを通常運転に移行させ、検出手段によってマンコンベアの運転中が検出された場合は、除菌運転を行った後にマンコンベアを停止させる制御手段と、を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行う制御手段と、移動手摺に付着している菌の量を計測する菌計測部と、マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、菌計測部の計測結果及び運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、状態記録部の記録内容に基づいて、除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、を備えたものである。
【0014】
また、この発明に係るマンコンベアの制御装置は、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、除菌装置を動作させて移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行う制御手段と、マンコンベアへの乗車人数を検出する乗車人数検出部と、マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、乗車人数検出部の検出結果及び運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、状態記録部の記録内容に基づいて、除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアにおいて、乗客等に対するオゾンの影響も考慮した適切な制御を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1におけるマンコンベアの制御装置を示す構成図である。
【図2】図1に示す制御装置を備えたマンコンベアを示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2におけるマンコンベアの制御装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3におけるマンコンベアの制御装置の要部を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態4におけるマンコンベアの制御装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
また、以下においては、マンコンベアの一例として、上下階床間の移動に使用されるエスカレーターについて具体的な説明を行い、動く歩道等の他の例については、その説明を省略する。
【0018】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるマンコンベアの制御装置を示す構成図、図2は図1に示す制御装置を備えたマンコンベアを示す側面図である。
【0019】
図1及び図2において、1は上下階床間に架け渡されたエスカレーターの主枠、2はエスカレーターの乗客が上下乗降口間を移動する際に乗るステップ、3はステップ2に乗降する乗客やステップ2上にいる乗客が掴むための移動手摺、4はステップ2や移動手摺3の走行制御等、エスカレーター全体の運行制御を司る制御盤である。移動手摺3は、一般に横断面C字状を呈して無端状に形成されており、ステップ2と同期して移動するように制御盤4によって駆動される。
【0020】
5は乗客に対して文字等を表示して情報を提供する表示器、6は乗客に対して音声によって情報を提供するアナウンス装置である。表示器5やアナウンス装置6は、中間傾斜部の上方や乗降口に適宜設置されるものであり、乗客に対してエスカレーターに関する情報を報知する機能を有している。なお、乗客に対して情報の報知を行うことができれば、他の報知手段によって上記機能を実現しても構わない。
【0021】
7は所定の操作によって停止中のエスカレーターを起動させるための起動手段、8は所定の操作によって動作(運転)中のエスカレーターを停止させるための停止手段である。起動手段7及び停止手段8は、例えば、キースイッチ等によって構成され、乗降口の近傍に設置された操作盤9に配置される。起動手段7は、上記所定の操作が行われる(例えば、差し込まれたキーが一側に傾倒される)ことにより、制御盤4に対して起動指令を出力する。また、停止手段8は、上記所定の操作が行われる(例えば、差し込まれたキーが一側に傾倒される)ことにより、制御盤4に対して停止指令を出力する。
【0022】
10は移動手摺3の除菌を行うための除菌装置である。除菌装置10は、除菌性能が高く、且つ近年手軽に使用できるようになったオゾンを用いて移動手摺3の除菌を行う機能を有している。除菌装置10は、乗降口近傍のデッキボードやトラス内等に設置されており、例えば、オゾン発生器11、オゾン濃度計12、制御部13、記録部14により、その要部が構成される。
【0023】
オゾン発生器11は、オゾンを生成する機能を有しており、例えば、生成したオゾンを所定のオゾン室15内に供給する機能を有している。即ち、除菌装置10では、オゾン室15内をオゾンで充満させ、その中に移動手摺3を通すことにより移動手摺3の除菌を行う。
【0024】
オゾン濃度計12は、オゾン室15からのオゾン漏れを検出するために備えられたものである。オゾン濃度計12は、オゾン室15の外部の所定箇所においてオゾン濃度を測定する。そして、オゾン濃度計12は、例えば、所定の基準値以上のオゾン(即ち、オゾン室15からのオゾン漏れ)を検知すると、制御部13に対してその検知信号を出力する。
【0025】
制御部13は、制御盤4からの指令、並びに、オゾン濃度計12の測定結果や記録部14の記録内容等に基づいて、除菌装置10の動作を制御する機能を有している。なお、記録部14には、除菌装置10の動作制御を行うために必要な各種パラメータが予め記録されている。
【0026】
上述したように、オゾンには特有の臭いがあり、紫外線等を利用した場合と同様の制御によって移動手摺3の除菌を行うことはできない。このため、本制御装置には、エスカレーターの起動時や停止時に除菌装置10を動作させて除菌運転を実施するための制御手段が備えられている。なお、除菌運転とは、除菌装置10の動作中(即ち、オゾンの発生中)に移動手摺3を(低速で)走行させてオゾン室15内に通し、オゾン室15内のオゾンによって移動手摺3の表面を除菌する運転のことである。
【0027】
制御手段は、例えば、起動手段7に対して所定の操作が行われると、エスカレーター及び除菌装置10を動作させて、除菌運転を行う。そして、制御手段は、除菌運転が終了した後、エスカレーターを通常運転に移行させて、通常サービスを開始させる。また、制御手段は、停止手段8に対して所定の操作が行われると、エスカレーターの運転を完全に停止させる前に、除菌装置10を動作させて除菌運転を行う。そして、制御手段は、除菌運転が終了した後、エスカレーターを停止させる。
【0028】
本実施の形態では、上記機能を有する制御手段の要部が、ステップ2等の制御を行う制御盤4に備えられている場合について、以下の説明を行う。
【0029】
16は除菌運転の有効及び無効を設定するための除菌運転モード切替手段である。エスカレーターの管理者等は、この除菌運転モード切替手段16を操作することにより、除菌運転を行うか否かの設定を行うことができる。除菌運転モード切替手段16は、例えば、キースイッチ等によって構成され、起動手段7等と同様に操作盤9に配置される。なお、除菌運転モード切替手段16による設定情報は、制御盤4に入力される。
【0030】
17は除菌運転モード切替手段16の設定内容を判定するモード判定部、18はエスカレーターや除菌装置10の動作を制御するための動作制御部である。モード判定部17及び動作制御部18は上記制御手段の要部を構成するものであり、共に制御盤4に備えられている。モード判定部17は、起動手段7や停止手段8に対して所定の操作が行われると、除菌運転モード切替手段16からの設定情報に基づいて、除菌運転が有効であるか(即ち、除菌運転を行う必要があるか)否かを判定する。そして、動作制御部18は、モード判定部17の判定結果も考慮して、各種動作を適切に制御する。
【0031】
次に、図3及び図4も参照し、上記構成を有するエスカレーターの制御装置の動作について具体的に説明する。図3及び図4はこの発明の実施の形態1におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。なお、図3はエスカレーター起動時の動作を示している。
【0032】
エスカレーターの管理者等により、起動手段7に対して所定の操作が行われると、起動手段7から制御盤4に対して起動指令が出力される(S101)。制御盤4では、起動手段7から起動指令が入力されることにより、モード判定部17が、除菌運転が有効に設定されているか否かの判定を行う(S102)。
【0033】
上記管理者等は、エスカレーターの起動時等に除菌運転を実施したくない場合、除菌運転モード切替手段16の設定を予め「無効」に切り替えておく。かかる場合、モード判定部17は、S102において、除菌運転が無効に設定されている旨の判定を行う。そして、動作制御部18は、モード判定部17によって無効の判定がなされると、除菌運転を行うことなく、エスカレーターをそのまま通常運転に移行させる(S103)。即ち、除菌運転が無効に設定されている場合、動作制御部18は、起動手段7から起動指令が入力されると、除菌装置10を動作させることなく通常運転を開始し、ステップ2及び移動手摺3を所定の通常速度で移動(走行)させる。
【0034】
一方、エスカレーターの起動時等に除菌運転を実施したい管理者等は、除菌運転モード切替手段16によって除菌運転を有効に設定しておく。かかる場合、モード判定部17は、S102において、除菌運転が有効に設定されている旨の判定を行う。そして、動作制御部18は、モード判定部17によって有効の判定がなされると、エスカレーターの通常運転を開始する前に除菌運転を行い、除菌運転が終了した後にエスカレーターを通常運転に移行させるための制御を行う。
【0035】
具体的に、動作制御部18は、モード判定部17によって除菌運転が有効である旨の判定がなされると、先ず、表示器5やアナウンス装置6から除菌運転を行う旨を報知させる(S104)。次に、動作制御部18は、駆動装置等に対して起動指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を所定の低速度で走行させる(S105)。また、動作制御部18は、除菌装置10に対して起動指令を出力し、除菌装置10を動作させて、オゾン発生器11からオゾン室15内へのオゾンの供給を行わせる(S106)。
【0036】
その後、移動手摺3の低速走行及び除菌装置10の動作を開始してから所定時間が経過したことが検出されると、動作制御部18は、除菌運転を終了させてエスカレーターを通常運転に移行させるための制御を開始する。なお、上記所定時間は、移動手摺3全体の除菌が完了するために必要な時間であり、制御盤4内の記憶手段(図示せず)等に予め記憶されている。例えば、上記所定時間として、移動手摺3が1周するのに要する時間以上の所定の時間が設定される。
【0037】
具体的に、動作制御部18は、上記所定時間の経過が検出されると(S107のYes)、除菌装置10に対して停止指令を出力し、除菌装置10を停止、即ち、オゾンの生成を停止させる(S108)。また、動作制御部18は、駆動装置等に対して速度変更指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を加速させて、低速度の走行から、低速度よりも速い通常速度の走行への切り替えを行う(S103)。そして、動作制御部18は、エスカレーターの通常運転への移行に伴い、表示器5やアナウンス装置6から行っていた除菌運転中である旨の報知を停止させ(S109)、ステップ2及び移動手摺3を上記通常速度で走行させる(S110)。
【0038】
次に、図4に基づき、エスカレーターの停止時の動作について説明する。
エスカレーターの管理者等により、停止手段8に対して所定の操作が行われると、停止手段8から制御盤4に対して停止指令が出力される(S201)。制御盤4では、停止手段8から停止指令が入力されることにより、モード判定部17が、除菌運転が有効に設定されているか否かの判定を行う(S202)。
【0039】
モード判定部17が、除菌運転モード切替手段16からの設定情報に基づいて、除菌運転が無効に設定されている旨を判定すると(S202のNo)、動作制御部18は、このモード判定部17の判定結果に基づき、除菌運転を行うことなく、エスカレーターをそのまま停止させる(S203)。即ち、除菌運転が無効に設定されている場合、動作制御部18は、停止手段8から停止指令が入力されることにより、除菌装置10を動作させることなくステップ2及び移動手摺3の減速を開始し、そのままエスカレーターを停止させる。
【0040】
一方、モード判定部17によって、除菌運転が有効に設定されている旨の判定がなされると(S202のYes)、動作制御部18は、エスカレーターを停止させる前に除菌運転を行い、除菌運転が終了した後にエスカレーターを停止させるための制御を行う。
【0041】
具体的に、動作制御部18は、モード判定部17によって除菌運転が有効である旨の判定がなされると、先ず、表示器5やアナウンス装置6から除菌運転を行う旨を報知させる(S204)。次に、動作制御部18は、駆動装置等に対して速度変更指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を減速させて、通常速度の走行から低速度の走行への切り替えを行う(S205)。また、動作制御部18は、除菌装置10に対して起動指令を出力し、除菌装置10を動作させて、オゾン発生器11からオゾン室15内にオゾンを供給させる(S206)。
【0042】
その後、移動手摺3の低速走行及び除菌装置10の動作を開始してから所定時間が経過したことが検出されると、動作制御部18は、除菌運転を終了させてエスカレーターを停止させるための制御を開始する。なお、上記所定時間は、移動手摺3全体の除菌が完了するために必要な時間であり、例えば、制御盤4内に予め記憶されている。
【0043】
具体的に、動作制御部18は、上記所定時間の経過が検出されると(S207のYes)、除菌装置10に対して停止指令を出力し、除菌装置10を停止、即ち、オゾンの生成を停止させる(S208)。また、動作制御部18は、駆動装置等に対して停止指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を停止させる(S203)。そして、動作制御部18は、エスカレーターの停止に伴い、表示器5やアナウンス装置6から行っていた除菌運転中である旨の報知も停止させる(S209)。
【0044】
この発明の実施の形態1によれば、エスカレーターにおいてオゾンを用いた移動手摺3の除菌を行う場合に、乗客や周囲の人等に対するオゾンの影響も考慮した適切な制御を行うことができる。即ち、上記構成の制御装置であれば、エスカレーターの起動時や停止時等、乗客がいない時に移動手摺3の除菌を行うことができるため、乗客がオゾンの臭いを不快に感じたりする恐れもない。
【0045】
また、除菌運転の実施の有無を除菌運転モード切替手段16によって適宜設定できるため、エスカレーターの管理者等の要望に応じた除菌処理が可能となり、様々な現場のエスカレーターに対応させることができる。
【0046】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2におけるマンコンベアの制御装置を示す構成図である。
実施の形態1では、除菌運転の制御機能を有する制御手段の要部が、エスカレーターの制御盤4に備えられている場合について説明した。本実施の形態では、上記制御手段の要部を除菌装置10に備える場合について説明する。なお、本実施の形態においては、実施の形態1と相違する部分についてのみ具体的な説明を行い、実施の形態1と同様の機能を有する部分については、その説明を省略する。
【0047】
図5において、19はエスカレーターの管理者等が除菌運転を開始させるために操作する除菌運転指令手段である。除菌運転指令手段19は、所定の操作が行われることにより、除菌装置10に対して、除菌運転を開始させるための除菌運転指令を出力する。除菌運転指令手段19は、例えば、キースイッチ等によって構成され、起動手段7等と同様に操作盤9に配置される。なお、エスカレーターの管理者等は、エスカレーターの起動時や停止時に除菌運転を併せて行いたい場合に、この除菌運転指令手段19を操作する。
【0048】
また、本実施の形態における除菌装置10には、オゾン発生器11、オゾン濃度計12、記録部14の他、手摺速度検出部20、制御部21が備えられている。
【0049】
手摺速度検出部20は、移動手摺3の速度を検出する機能を有している。手摺速度検出部20は、例えば、移動手摺3の移動に連動して回転するローラと、そのローラの回転数(角度)を検出するエンコーダとによって構成され、検出した移動手摺3の速度を制御部21に対して出力する。なお、手摺速度検出部20は、エスカレーターの運転状態を検出する手段の一例として示したものである。可能であれば、かかる検出手段として、他の構成が採用されていても構わない。例えば、エスカレーターの運転状態を示す信号を制御盤4から除菌装置10に対して出力し、除菌装置10内において、その取得した信号からエスカレーターの運転状態を判断しても良い。
【0050】
制御部21は、除菌運転指令手段19からの除菌運転指令や手摺速度検出部20の検出結果、並びに、オゾン濃度計12の測定結果や記録部14の記録内容等に基づいて、除菌運転を適切に制御する機能を有している。即ち、本実施の形態では、制御部21が、上記制御手段の要部を構成する。
【0051】
具体的に、制御部21は、除菌運転指令手段19に対して所定の操作が行われると、その時の手摺速度検出部20の検出結果に応じて、その後の制御内容を変更する。例えば、制御部21は、手摺速度検出部20の検出結果からエスカレーターが停止中である旨が検出されると、エスカレーター及び除菌装置10を動作させて除菌運転を行い、除菌運転が終了した後にエスカレーターを通常運転に移行させる。また、制御部21は、エスカレーターが運転中である旨が検出されると、エスカレーターの動作を変更させて除菌運転を開始し、除菌運転が終了した後にエスカレーターを停止させる。
【0052】
なお、本実施の形態における制御盤4には、モード判定部17及び動作制御部18が備えられていない。このため、制御盤4は、起動手段7から起動指令が入力されると、エスカレーターを起動して通常運転を開始し、ステップ2及び移動手摺3を通常速度で走行させる。また、制御盤4は、停止手段8から停止指令が入力されると、ステップ2及び移動手摺3を減速させ、エスカレーターをそのまま停止させる。
【0053】
次に、図6も参照し、上記構成を有するエスカレーターの制御装置の動作について具体的に説明する。図6はこの発明の実施の形態2におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
エスカレーターの管理者等は、除菌運転を実施することなくエスカレーターを起動或いは停止させたい場合、起動手段7或いは停止手段8を操作する。即ち、管理者等が起動手段7に対して所定の操作を行うと、除菌運転が行われることなく、エスカレーターは通常運転を開始する。また、管理者等が停止手段8に対して所定の操作を行うと、除菌運転が行われることなく、エスカレーターは停止する。
【0055】
一方、エスカレーターの起動時や停止時に除菌運転を行いたい場合、管理者等は、除菌運転指令手段19に対して所定の操作を行う。除菌運転指令手段19に対して所定の操作が行われると、除菌運転指令手段19から除菌装置10に対して除菌運転指令が出力される(S301)。除菌装置10では、除菌運転指令手段19から除菌運転指令が入力されることにより、先ず、除菌運転を行う旨の報知を表示器5やアナウンス装置6から行わせる(S302)。
【0056】
また、制御部21は、除菌運転指令手段19から除菌装置10に除菌運転指令が入力されると、手摺速度検出部20が検出した移動手摺3の速度に基づいて、エスカレーターの運転状態を判定する(S303)。具体的に、制御部21は、手摺速度検出部20が検出した移動手摺3の速度と所定の規定値とを比較し、検出速度が上記規定値以上であれば、エスカレーターが運転中である旨を判定する(S303のYes)。かかる場合、制御部21は、エスカレーターを停止させる前に除菌運転を行い、除菌運転が終了した後にエスカレーターを停止させるための制御を行う。
なお、上記規定値は、例えば、記録部14に予め記憶されている。
【0057】
具体的に、制御部21は、手摺速度検出部20が上記規定値以上の速度を検出すると、先ず、制御盤4に対して速度変更指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を減速させて、通常速度の走行から低速度の走行への切り替えを行う(S304)。また、制御部21は、除菌装置10内において移動手摺3の除菌を行うための制御を開始し、オゾン発生器11からオゾン室15内へのオゾンの供給を行わせる(S305)。
【0058】
その後、移動手摺3の低速走行及びオゾンによる除菌処理(除菌装置10の動作)を開始してから所定時間が経過したことが検出されると、制御部21は、除菌運転を終了させてエスカレーターを停止させるための制御を開始する。なお、上記所定時間は、移動手摺3全体の除菌が完了するために必要な時間であり、例えば、記録部14に予め記録されている。
【0059】
具体的に、制御部21は、上記所定時間の経過が検出されると(S306のYes)、除菌装置10内における移動手摺3の除菌を行うための制御を停止し、オゾン発生器11からのオゾンの供給を停止させる(S307)。また、制御部21は、制御盤4に対して停止指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を停止させる(S308)。そして、制御部21は、エスカレーターの停止に伴い、表示器5やアナウンス装置6から行っていた除菌運転中である旨の報知も停止させる(S309)。
【0060】
一方、S303において、手摺速度検出部20が検出した移動手摺3の速度が上記規定値に満たない場合、制御部21は、エスカレーターが停止中である旨を判定する(S303のNo)。かかる場合、制御部21は、エスカレーターの通常運転を開始する前に除菌運転を行い、除菌運転が終了した後にエスカレーターを通常運転に移行させるための制御を行う。
【0061】
具体的に、制御部21は、手摺速度検出部20が上記規定値に満たない速度(0も含む)を検出すると、先ず、制御盤4に対して起動指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を所定の低速度で走行させる(S310)。また、制御部21は、除菌装置10内において移動手摺3の除菌を行うための制御を開始し、オゾン発生器11からオゾン室15内へのオゾンの供給を行わせる(S311)。
【0062】
その後、移動手摺3の低速走行及びオゾンによる除菌処理(除菌装置10の動作)を開始してから所定時間が経過したことが検出されると、制御部21は、除菌運転を終了させてエスカレーターを通常運転に移行させるための制御を開始する。
【0063】
具体的に、制御部21は、上記所定時間の経過が検出されると(S312のYes)、除菌装置10内における移動手摺3の除菌を行うための制御を停止し、オゾン発生器11からのオゾンの供給を停止させる(S313)。また、制御部21は、制御盤4に対して速度変更指令を出力し、エスカレーター(ステップ2及び移動手摺3)を加速させて、低速度の走行から、低速度よりも速い通常速度の走行への切り替えを行う(S314)。そして、制御部21は、エスカレーターの通常運転への移行に伴い、表示器5やアナウンス装置6から行っていた除菌運転中である旨の報知も停止させる(S309)。
【0064】
上記構成においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本構成であれば、除菌運転を実施したい時のみ除菌運転指令手段19を操作すれば良いため、移動手摺3の除菌が不要な時に除菌運転が行われてしまうようなことも確実に防止できる。
【0065】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3におけるマンコンベアの制御装置の要部を示す構成図であり、除菌装置10の構成を示している。なお、図示されていない構成については、実施の形態1と同様である。
【0066】
図7において、除菌装置10には、オゾン発生器11、オゾン濃度計12、制御部13、記録部14に加え、ラジカルイオン発生器22が備えられている。
ラジカルイオン発生器22は、オゾンよりも優れた除菌性能を有するラジカルイオンをオゾン室15内に供給して、移動手摺3の除菌を行うためのものである。即ち、制御部13は、除菌運転中、必要に応じてオゾン発生器11或いはラジカルイオン発生器22を動作させて、オゾン又はラジカルイオンによる移動手摺3の除菌を行う。
【0067】
具体的に、制御部13は、エスカレーターの乗客の有無に応じて、オゾンの生成或いはラジカルイオンの生成を行わせる。本エスカレーターには、乗客の存在を検出するための乗客検出手段(図示せず)が備えられており、制御部13は、乗客検出手段の検出結果に基づき、オゾン発生器11によってオゾンの生成を行うか、或いはラジカルイオン発生器22によってラジカルイオンの生成を行うかを決定する。例えば、制御部13は、除菌運転中、乗客が検出されていなければ除菌効果の高いラジカルイオンを生成させ、乗客が検出されると、オゾン発生器11にオゾンの生成を行わせる。
【0068】
次に、図8も参照し、上記構成を有するエスカレーターの制御装置の動作について具体的に説明する。図8はこの発明の実施の形態3におけるマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0069】
除菌装置10では、制御盤4(の動作制御部18)から、除菌運転を行うための起動指令を受信したか否かを判定する(S401)。除菌運転を行う必要がない場合、即ち、制御盤4から起動指令が入力されていない場合(S401のNo)、制御部13は、オゾン発生器11及びラジカルイオン発生器22の双方を停止させる(S402)。即ち、かかる場合、オゾン室15へのオゾンの供給及びラジカルイオンの供給は何れも行われない。
【0070】
一方、制御盤4から除菌装置10に起動指令が入力されると、制御部13は、先ず、エスカレーターが運転中であるか否かの判定を行う(S403)。制御盤4から除菌装置10に起動指令が入力される場合、エスカレーターでは基本的に低速走行が開始されており、S403においては通常Yesの判定がなされる。しかし、例えば、何らかの理由によって安全装置が作動し、エスカレーターの運転が停止してしまった場合は、S403からS402の処理に進んで、オゾン発生器11及びラジカルイオン発生器22の双方を停止させる。
【0071】
S404では、制御部13は、乗客検出手段の検出結果に基づいて、エスカレーターの乗客の有無を判定する。乗客検出手段によって乗客が検出されていない場合、制御部13は、ラジカルイオン発生器22からラジカルイオンを発生させ、より強力なラジカルイオンによって移動手摺3の除菌を行う。この時、制御部13は、オゾン発生器11を停止させる(S405)。
【0072】
また、管理者等が起動手段7を操作した直後であっても、乗客がエスカレーターに入ってくることも考えられる。かかる場合、その乗客は、エスカレーターへの乗車時等に、乗客検出手段によって検出される。制御部13は、除菌運転の開始時或いは除菌運転中に乗客の存在が検出されると、ラジカルイオン発生器22を停止させ、オゾンによる除菌を開始する。即ち、制御部13は、乗客検出手段によって乗客が検出されると、オゾン発生器11からオゾンを発生させ、オゾン室15内に供給したオゾンによって移動手摺3の除菌を行う(S406)。
【0073】
そして、オゾン発生器11或いはラジカルイオン発生器22の動作を開始してから所定時間が経過したことが検出されると、制御部13は、動作を終了する(S407)。
【0074】
この発明の実施の形態3によれば、除菌運転時の乗客の有無に応じて、適切な除菌処理を行うことができる。本構成であれば、乗客がいる時にラジカルイオンによる移動手摺3の除菌は行われないため、乗客がラジカルイオンを吸い込んでしまう恐れもない。
【0075】
なお、本実施の形態に示した特徴は、実施の形態2の構成においても適用できることは言うまでもない。かかる場合、制御部21は、除菌運転時、乗客の有無に応じてオゾン発生器11及びラジカルイオン発生器22の何れかを動作させる。
【0076】
また、ラジカルイオン発生器22が除菌装置10に備えられていなくても、上記と同様の効果を奏することは可能である。
例えば、除菌装置10において、所定の低濃度及び高濃度でオゾンを発生することができるようにオゾン発生器11を構成する。そして、制御部13(或いは21)の制御により、除菌運転時に乗客が検出されなければオゾン発生器11から高濃度のオゾンを発生させて移動手摺3の除菌を行い、除菌運転時に乗客が検出されると、低濃度のオゾンを発生させて移動手摺3の除菌を行う。
【0077】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4におけるマンコンベアの制御装置の要部を示す構成図である。本実施の形態においては、除菌運転の運転内容を適切に設定するための構成について説明する。
【0078】
図9に示すように、本制御装置には、菌計測部23、運転条件検出部24、状態記録部25、処理モード設定部26が備えられている。なお、その他の構成については、実施の形態1乃至3に示す何れの構成が採用されていても構わない。
【0079】
菌計測部23は、移動手摺3に付着している菌の量を計測する機能を有している。菌計測部23による菌の計測方法は如何なる方法であっても構わない。
運転条件検出部24は、エスカレーターに関する各種運転条件を検出する機能を有している。運転条件検出部24が検出する運転条件には、例えば、温度、湿度、時刻、除菌運転の内容(移動手摺3の速度やオゾン濃度等)が含まれる。
【0080】
上記菌計測部23によって計測された菌の量と、運転条件検出部24によって検出された各種運転条件とは、互いに対応付けられた状態で状態記録部25に記録される。なお、状態記録部25への記録は、所定の周期毎、又は(及び)、所定の信号が入力される毎に行われる。
【0081】
処理モード設定部26は、状態記録部25の記録内容に基づいて、除菌運転の処理モードを現在の運転条件に合わせて設定する機能を有している。処理モード設定部26は、例えば、状態記録部25に記録されている運転条件の中から、現在の運転条件に最も近いものを特定する。そして、処理モード設定部26は、その特定した運転条件に対応付けて記録されている菌の量に基づいて、除菌運転の処理モード(除菌運転を実施する上で必要になる各種機器の動作条件)を設定する。
【0082】
上記23乃至26に示す各機能は、例えば、エスカレーターの制御盤4や除菌装置10に備えられる。そして、制御盤4或いは除菌装置10は、除菌運転を行う場合に、処理モード設定部26が設定した処理モードに基づいてオゾン発生器11等の各種機器を動作させ、現在の状況に最適な処理内容で除菌運転を実施する。
【0083】
なお、二人乗りのエスカレーターでは、歩行する人のために、ステップ4の片側を空けて乗車することが往々にして行われている。このため、菌計測部23は、移動手摺3に付着している菌の量を、ステップ2の一側に配置されている移動手摺3と他側に配置されている移動手摺3とについて別々に計測し、各計測結果を、検出された運転条件に関連付けて状態記録部25に記録しても良い。かかる構成を採用することにより、例えば、上記一側の移動手摺3と他側の移動手摺3とに対して、異なる処理モードを設定することも可能となる。
【0084】
また、移動手摺3に付着している菌の量を計測するためには、高価な装置が必要になる場合がある。このため、上記菌計測部23に替えて乗車人数検出部(図示せず)を採用し、この乗車人数検出部によってエスカレーターへの乗車人数を検出しても良い。かかる場合、状態記録部25には、乗車人数検出部によって検出された乗車人数と運転条件検出部24によって検出された各種運転条件とが、互いに対応付けられた状態で記録される。この時、可能であれば、ステップ3の右側の乗車人数と左側の乗車人数とを分けて状態記録部25に記録しても良い。そして、処理モード設定部26は、例えば、乗車人数が多ければ移動手摺3に付着している菌の量も多いと判断し、除菌運転の処理モードを適切に設定する。
【0085】
なお、本実施の形態において説明した除菌運転の運転内容を設定する機能は、その適用を、エスカレーターの起動時及び停止時のみに限定する必要はない。即ち、上記設定機能は、除菌装置10を使用して除菌運転を行うエスカレーターであれば、起動時或いは停止時以外の場合にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 主枠
2 ステップ
3 移動手摺
4 制御盤
5 表示器
6 アナウンス装置
7 起動手段
8 停止手段
9 操作盤
10 除菌装置
11 オゾン発生器
12 オゾン濃度計
13、21 制御部
14 記録部
15 オゾン室
16 除菌運転モード切替手段
17 モード判定部
18 動作制御部
19 除菌運転指令手段
20 手摺速度検出部
22 ラジカルイオン発生器
23 菌計測部
24 運転条件検出部
25 状態記録部
26 処理モード設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段と、
前記起動手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行い、その後、マンコンベアを通常運転に移行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項2】
前記除菌運転の有効及び無効を設定するための除菌運転モード切替手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記起動手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌運転モード切替手段によって前記除菌運転が有効に設定されている場合は、前記除菌運転を行った後にマンコンベアを通常運転に移行させ、前記除菌運転が無効に設定されている場合は、前記除菌運転を行わずにマンコンベアを通常運転に移行させることを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項3】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段と、
前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行うか否かを設定するための除菌運転モード切替手段と、
マンコンベアのステップ及び前記移動手摺を制御する制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、
前記起動手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌運転モード切替手段の設定内容を判定するモード判定部と、
前記除菌運転が有効に設定されていると前記モード判定部によって判定された場合に、前記除菌装置に所定の起動指令を出力して前記除菌装置を所定時間動作させ、且つ前記移動手摺を所定の低速度で移動させるとともに、前記所定時間が経過すると、前記除菌装置に所定の停止指令を出力して前記除菌装置を停止させ、且つ前記移動手摺を所定の通常速度で移動させる動作制御部と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記除菌運転が無効に設定されていると前記モード判定部によって判定されると、前記除菌装置を動作させずに、前記移動手摺を前記通常速度で移動させることを特徴とする請求項3に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項5】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
所定の操作によって動作中のマンコンベアを停止させるための停止手段と、
前記停止手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行い、その後、マンコンベアを停止させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項6】
前記除菌運転の有効及び無効を設定するための除菌運転モード切替手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記停止手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌運転モード切替手段によって前記除菌運転が有効に設定されている場合は、前記除菌運転を行った後にマンコンベアを停止させ、前記除菌運転が無効に設定されている場合は、前記除菌運転を行わずにマンコンベアを停止させることを特徴とする請求項5に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項7】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
所定の操作によって動作中のマンコンベアを停止させるための停止手段と、
前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行うか否かを設定するための除菌運転モード切替手段と、
マンコンベアのステップ及び前記移動手摺を制御する制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、
前記停止手段に対して前記所定の操作が行われると、前記除菌運転モード切替手段の設定内容を判定するモード判定部と、
前記除菌運転が有効に設定されていると前記モード判定部によって判定された場合に、前記除菌装置に所定の起動指令を出力して前記除菌装置を所定時間動作させ、且つ前記移動手摺を所定の低速度で移動させるとともに、前記所定時間が経過すると、前記除菌装置に所定の停止指令を出力して前記除菌装置を停止させ、且つ前記ステップ及び前記移動手摺を停止させる動作制御部と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項8】
前記動作制御部は、前記除菌運転が無効に設定されていると前記モード判定部によって判定されると、前記除菌装置を動作させずに、前記ステップ及び前記移動手摺を停止させることを特徴とする請求項7に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項9】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
所定の操作により、前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を開始させるための除菌運転指令手段と、
マンコンベアの運転状態を検出するための検出手段と、
前記除菌運転指令手段に対して前記所定の操作が行われると、前記検出手段によってマンコンベアの停止中が検出された場合は、前記除菌運転を行った後にマンコンベアを通常運転に移行させ、前記検出手段によってマンコンベアの運転中が検出された場合は、前記除菌運転を行った後にマンコンベアを停止させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項10】
所定の操作によってマンコンベアを起動させるための起動手段と、
所定の操作によって動作中のマンコンベアを停止させるための停止手段と、
前記起動手段及び前記停止手段に対して行われた操作に基づいてマンコンベアを起動及び停止させる制御盤と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記除菌装置に備えられ、前記除菌運転指令手段に対して前記所定の操作が行われた時の前記検出手段の検出結果に基づいて前記制御盤に所定の指令を出力し、前記制御盤に所定の制御を行わせることを特徴とする請求項9に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項11】
乗客を検出するための乗客検出手段と、
を更に備え、
前記除菌装置は、
オゾンを発生させるオゾン発生器と、
ラジカルイオンを発生させるラジカルイオン発生器と、
を備え、前記除菌運転中、常時は前記ラジカルイオン発生器から発生させたラジカルイオンによって前記移動手摺の除菌を行い、前記乗客検出手段によって乗客が検出されると、前記オゾン発生器から発生させたオゾンによって前記移動手摺の除菌を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項12】
乗客を検出するための乗客検出手段と、
を更に備え、
前記除菌装置は、
所定の低濃度及び高濃度でオゾンを発生させるオゾン発生器と、
を備え、前記除菌運転中、常時は前記オゾン発生器から高濃度のオゾンを発生させて前記移動手摺の除菌を行い、前記乗客検出手段によって乗客が検出されると、前記オゾン発生器から低濃度のオゾンを発生させて前記移動手摺の除菌を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項13】
前記移動手摺に付着している菌の量を計測する菌計測部と、
マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、
前記菌計測部の計測結果及び前記運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、
前記状態記録部の記録内容に基づいて、前記除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項14】
マンコンベアへの乗車人数を検出する乗車人数検出部と、
マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、
前記乗車人数検出部の検出結果及び前記運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、
前記状態記録部の記録内容に基づいて、前記除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項15】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行う制御手段と、
前記移動手摺に付着している菌の量を計測する菌計測部と、
マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、
前記菌計測部の計測結果及び前記運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、
前記状態記録部の記録内容に基づいて、前記除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項16】
前記菌計測部は、前記移動手摺に付着している菌の量を、ステップの一側に配置されている移動手摺と他側に配置されている移動手摺とについて別々に計測し、各計測結果を、検出された運転条件に関連付けて前記状態記録部に記録させることを特徴とする請求項15に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項17】
オゾンを用いて移動手摺の除菌を行う除菌装置を備えたマンコンベアの制御装置であって、
前記除菌装置を動作させて前記移動手摺を除菌する所定の除菌運転を行う制御手段と、
マンコンベアへの乗車人数を検出する乗車人数検出部と、
マンコンベアに関する所定の運転条件を検出する運転条件検出部と、
前記乗車人数検出部の検出結果及び前記運転条件検出部の検出結果が互いに対応付けられた状態で記録される状態記録部と、
前記状態記録部の記録内容に基づいて、前記除菌運転の処理モードを現在の所定の運転条件に合わせて設定する処理モード設定部と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−82051(P2012−82051A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229671(P2010−229671)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】