説明

ミリ波撮像装置およびレーダーのためのデュアルバンドアンテナアレイおよびRFフロントエンド

【課題】低コストの3次元集積化自動車用レーダーを得る。
【解決手段】自動車用レーダーは、上面と底面を有する印刷回路基板、印刷回路基板の底面に取付けられ且つ第1の周波数信号と第2の周波数信号を生成するプロセッサ、印刷回路基板の上面上に形成された第2の液晶ポリマー層、第2の液晶ポリマー層上に印刷され且つパッチを有する第2のマイクロストリップアレイ、第2の液晶ポリマー層上に形成された第1の液晶ポリマー層、第1の液晶ポリマー層上に印刷され且つ有孔パッチを有する第1のマイクロストリップアレイ、パッチの下方に配置され且つ第2のマイクロストリップアレイに接続されたアンテナ、さらに第2の液晶ポリマー層の底面に接続され且つプロセッサに接続され、さらに第1のマイクロストリップアレイに第1の周波数の信号を送信し、第2の周波数の信号を第2のマイクロストリップアレイに送信する送信/受信モジュール、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、本譲受人に譲渡され、且つここに参照によって明示的に組み込まれる同時継続中の、2008年12月19日出願の米国特許出願第12/340,448号「自動車用レーダーのためのデュアルバンドアンテナアレイおよびRFフロントエンド」および、2008年4月4日出願の米国特許出願第12/098,283号「3次元集積化自動車用レーダーおよびその製造方法」に基づいて優先権を主張し、且つその部分継続出願である。
【0002】
本発明は、3次元集積化自動車用レーダーおよび受動的ミリ波撮像装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、3次元集積化自動車用レーダーおよび受動ミリ波撮像装置を形成するために使用することが可能な、デュアルバンドアンテナアレイおよびRFフロントエンドに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車用レーダーシステムは、現在、多くの高級車に備え付けられている。自動車用レーダーシステムは、過去数年にわたり、自動車の速度を検知し且つ交通条件に合わせて調整するために、知的走行制御システムと共に用いられてきた。今日、自動車用レーダーシステムは、衝突回避のために自動車の周囲をモニタするための能動的安全装置と共に使用されている。現在の自動車用レーダーシステムは、長距離用(適応走行制御および衝突警告のために)および短距離用(衝突前、衝突緩和、駐車支援、見えない場所の検出等)に分けられる。例えば24GHz短距離レーダーシステムおよび77GHz長距離レーダーシステムの、典型的には15×15×15cmの大きさの二個あるいはそれ以上のレーダーシステムが、長距離および短距離検出を提供するために使用される。長距離用レーダーシステムは、自動車前方の長い距離(例えば、20から150メートル)の車両を追跡するために使用される。
【0004】
従来の自動車用レーダーシステムは幾つかの欠点を有している。例えば、従来では複数のレーダーシステムが別個に自動車に取付けられるので、かなりのスペースが必要であり、無駄が多い。レーダーシステムを追加する毎に、各レーダーシステムの実装および組立てのコストが増加する。各レーダーシステムを適正に動作させるために、各レーダーシステムの上部に配置する機材は、その機材がRFに対して透明であるように注意して選択する必要がある。複数のRF透明領域が車両のフロント、サイドおよびリアにおいて必要であるため、多重レーダーシステムのコストはさらに増加する。このように、レーダーシステムの数が増加すると、実装、組立て、取付けおよび機材コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、自動車用レーダーと撮像装置のための、デュアルバンドアンテナアレイとRFフロントエンドとを有する3次元集積化自動車用レーダーに対する必要性が、この技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、3次元(3D)集積化自動車用レーダーおよび受動(パッシブ)ミリ(mm)波撮像装置を形成するために使用することが出来る、デュアルバンドアンテナアレイとRFフロントエンドに関する。この3−D集積化自動車用レーダーは、77GHz長距離用レーダーおよびミリ波撮像装置応用の両方に対して使用することが出来る。この3次元集積化自動車用レーダーは、製造、組立ておよび取付けコストを著しく減少する。さらに、3次元集積化自動車用レーダーはコンパクトで、そのため、車両上にセンサを取り付けるために必要な空間、配線、および車両前部の複数の位置におけるRF透過材料、を削減することが出来る。
【0007】
ミリ波撮像装置は、情景から放射されたミリ波放射の受信に基づいて画像を形成する。ミリ波撮像装置は、夜間および昼間の両方において、霧、埃、霞および砂嵐などを介して物体を検地する能力を有している。ミリ波撮像装置はなんらの信号をも放射しないという利点を有しており、それによって、安全に動作させることが可能でしかも検出することが困難となる。
【0008】
一実施形態では、本発明は、自動車用レーダーおよび撮像装置のためのデユアルバンドアンテナアレイおよびRFフロントエンドを形成する方法を含む。本発明は、220GHzミリ波受動撮像装置RFフロントエンドを、3−DRF集積化技術に基づいて、シングルチップ/システム上の77GHzレーダーアンテナRFフロントエンドに結合する。撮像装置とレーダーを結合することによって、製造、組み立ておよびテスト費用において利点が発生する。撮像装置とレーダーを結合することによって、サイズをより小さくする事ができ、且つパッケージング、組み立ておよび取り付けをともに車両内(例えば、バンパ内)で行うことができる。さらに、撮像装置及びレーダー間のデータ転送をより早く、効率的に、且つより少ない接続および配線によって達成することが出来る。データは、環境の映像を作成するために、撮像装置およびレーダーの両方によって使用される。
【0009】
他の実施形態では、自動車用レーダーは、上面、底面および空洞を有する印刷回路基板と、複数のパッチを有し且つ印刷回路基板の上面上に位置する下部層と、複数のパッチに接続され且つ下部層上に位置する下部マイクロストリップフィードと、を備える。この自動車用レーダーは、さらに、複数のパッチを露出させるための複数の孔を有し且つ下部層上に位置する上部層と、パッチに接続され且つ上部層上にいいする上部マイクロストリップフィードと、さらに、印刷基板の空洞内に位置し且つ第1の周波数を有する第1の信号を上部マイクロストリップフィードに第2の周波数を有する第2の信号を下部マイクロストリップフィードに送信するように構成された送信モジュールを含んでいる。この自動車用レーダーはさらに、孔が開けられたパッチの直下あるいはパッチの直下に位置し且つ第1のマイクロストリップアレイまたは第2のマイクロストリップアレイに接続された、アンテナを備えている。
【0010】
本発明の特徴、目的および効果は、図面を参照して以下に述べる詳細な説明からより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る低コスト、コンパクトレーダーおよび撮像装置の斜視図であり、このレーダーおよび撮像装置は、共通の接地板(グランドプレーン)上に配置された少なくとも2個の結合された層で構成されたデュアルバンドアレイを有する3次元集積化構造を利用する。
【図2】本発明の一実施形態に係る低コスト、コンパクトレーダーおよび撮像装置の上面図であり、このレーダーおよび撮像装置は、共通の接地板(グランドプレーン)上に配置された少なくとも2個の結合された層で構成されたデュアルバンドアレイを有する3次元集積化構造を利用する。
【図3】本発明の一実施形態に係る低コスト、コンパクトレーダーおよび撮像装置の展開図であり、このレーダーおよび撮像装置は、共通の接地板(グランドプレーン)上に配置された少なくとも2個の結合された層で構成されたデュアルバンドアレイを有する3次元集積化構造を利用する。
【図4】本発明の一実施形態に係るレーダーおよび撮像装置の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図であり、このレーダーおよび撮像装置は印刷回路基板(PCB)上に形成されている。
【図5】本発明の他の実施形態に係るレーダーおよび撮像装置の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図であり、このレーダーおよび撮像装置において、第2の層がPCBに直接取付けられており且つ実装されたT/Rモジュールが第2の層の底面にフリップチップにより取付けられている。
【図6A】本発明の一実施形態に係るビアフェンスの断面図であり、このビアフェンスは、第1のパッチアレイと第2のパッチアレイとの間の分離を提供するために用いられる。
【図6B】本発明の一実施形態に係るビアフェンスの上面図であり、このビアフェンスは、第1のパッチアレイと第2のパッチアレイとの間の分離を提供するために用いられる。
【図7】本発明の他の実施形態に係るレーダーおよび撮像装置の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図であり、このレーダーおよび撮像装置は77GHzパッチアレイの下側に位置する220GHz開口フィードを有している。
【図8】本発明の一実施形態に係る受動ミリ波撮像装置のブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る、異なる220GHzアンテナを有するレーダーおよび撮像装置の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の種々の特徴の実施形態を実現する装置、システムおよび方法について、以下に図面を参照して説明する。図面およびそれに関連する説明は、本発明の幾つかの実施形態を説明するために提供されるものであって、本発明の範囲を限定するものではない。各図面において、参照番号は、参照された要素間の対応を示すために再使用される。この開示のために、用語“パッチ”は用語“アンテナ”と同義的に用いられている。
【0013】
図1、2および3は、低コストコンパクトレーダーおよび撮像装置100の斜視図、上面図および展開図であり、このレーダーおよび撮像装置100は、本発明の一実施形態に従って、共通接地面120上に配置された少なくとも2個の結合層106および107によって形成されたデュアルバンドアレイ105を有する、3次元集積化構造を利用している。このレーダーおよび撮像装置100は、77GHz自動車用レーダーと220GHz受動ミリ波撮像装置を含んでいる。デュアルバンドアレイ105は、第1の層106(例えば、最上層あるいは上部層)と第2の層107(例えば下部層)とを含んでいる。一実施形態では、第1の層106と第2の層107は共に結合され、低コストのミリ波基板で形成され、それぞれ約4ミル(101.6μm)の厚さを有している。それぞれの基板が独自の製造公差と電気的、機械的特性を有する、多くの異なる基板を使用することが可能である。第1の層106と第2の層107は、Arlon CLTE−XT(PTFEセラミック)、Rogers RT 5880/RO 3003(PTFEグラスファイバ)、Rogers液晶ポリマー(LCP)、低温同時焼結セラミック(LTCC)、パリレンN誘電体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)セラミック、PTFEグラスファイバ材料、シリコン材料、砒化ガリウム(GaAs)材料、アルミナ材料、テフロン(登録商標)材料、Duroid材料、あるいは多層構造を形成するために積層可能な薄膜(約2−4ミル厚(50.8−101.6μm))の金属化層を形成可能なその他の全ての材料、によって形成することができる。レーダーおよび撮像装置100は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、ミドルウエア、マイクロコードあるいはこれらの全ての組み合わせ、を使用して実現することができる。一個またはそれ以上の要素の位置を変えおよび/または結合することが可能で、さらに他のレーダー/撮像装置を本発明の精神および範囲を維持しながらレーダーおよび撮像装置100に代わって使用することができる。本発明の精神および範囲を維持しながら、レーダーおよび撮像装置100に要素を追加することができ、あるいは取り除くことができる。
【0014】
第1の層(即ち、最上層)106は、77GHz動作に対する直列マイクロストリップパッチアレイ110を有している。パッチアレイ110は一個またはそれ以上の有孔パッチ111(即ち、アンテナ)を含んでおり、このパッチにおいてそれぞれの孔即ち開口112は約1.4ミリ角の開口であり、この開口は、第2の層(最下層)107にあるいはその上に位置する220GHzパッチ113(即ち、アンテナ)を露出させる。なお、第2の層107は、220GHz動作の直列マイクロストリップパッチアレイ115を有している。220GHz直列マイクロストリップパッチアレイ115は、第2の層107上に印刷されていても良い。一実施形態では、各有孔パッチ111は約3.6ミリ角であり、各パッチ113は約1.2ミリ角である。パッチ111は、コネクタ114を介して相互に接続されている。各開口112の大きさは、パッチ111および113の放射効率において最も影響が小さいように、最適化されている。一実施形態では、第1の層106上の開口112は、220GHzパッチ113から放射線が障害無く放出されることを可能とする。さらに、開口112は、パッチ111および113の放射効率をさらに向上させるために、小さな角状の開口として形成することができる。
【0015】
格子ローブを無くし且つサイドローブを低いレベルに保つために、第1のパッチアレイ110と第2のパッチアレイ115との間の間隔はλ0/2である。ここで、λ0は、220GHzおよび77GHzそれぞれにおける自由空間波長である。二つの波長間の比(220/77≒3)に基づいて、二個の220GHzパッチ113が、一個の77GHzパッチ111の外側境界内に配置されている。さらに、二個の220GHzパッチ113が隣接する二つの77GHzパッチ111間に配置されている。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態に従って、印刷回路基板(PCB)109上に形成されたレーダーおよび撮像装置100の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図である。一実施形態では、パッケージング層108がPCB109上に形成されている。パッケージング層108はLCPで形成され、且つT/Rモジュール141を実装するために使用される。例えば、パッケージング層108は、T/Rモジュール141を保持する空洞140を有していても良い。さらに、IFフィルタをパッケージング層108に埋め込んでもあるいはその上に形成しても良い。一実施形態では、T/Rモジュール141は両方の周波数あるいは多重周波数で使用することができる。
【0017】
第2の層107は、220GHzアレイ113とT/Rモジュールグランド120との間に形成されても良い。第2のパッチ113のアレイは、第2の層107の上、あるいはその層の一部として形成される。マイクロストリップフィード122は、第2のパッチ113のアレイをT/Rモジュール141に接続する。マイクロストリップフィード122は、第2のビア124を介してT/Rモジュール141に移行する。第1の層106は、マイクロストリップフィード122および/または第2の層107の上に形成されても良い。第1の有効パッチ111(例えば、77GHzパッチ)のアレイは、第1の層106の上にあるいはその層の一部として形成されても良い。第1の層106上の孔112は比較的障害の無い放射を第2のパッチ113(例えば、220GHzパッチ)のアレイから通過させる。一実施形態では、それぞれの孔112は角状の開口(即ち、角の下部の円周が角の上部の円周よりも小さい)であり、これによって各パッチ113の放射効率を向上させる。マイクロストリップフィード121は、第1のパッチ111のアレイをT/Rモジュール141に接続する。マイクロストリップフィード121は、第1のビア123を介してT/Rモジュール141に移行し、且つ、第1の層106上に形成され、あるいは第1の層106の一部として形成されても良い。第1の層106は、77GHz直列パッチアレイ110とマイクロストリップフィード121を含んでいても良い。マイクロストリップフィード121とマイクロストリップフィード122は、フィードコネクタのネットワークあるいはラインを含んでいても良い。
【0018】
第1の層106は一個またはそれ以上のマイクロストリップフィード121を有し、第2の層107は一個またはそれ以上のマイクロストリップフィード122を有している。マイクロストリップフィード121および122は、それぞれ、第1および第2の層106、107への接続体として使用される。一実施形態では、パッチアレイ110および115はマイクロストリップパッチアンテナを備えている。
【0019】
複数のチップおよび/または部品160(例えば、2個のシリコン−ゲルマニウム(SIGe)BiCMOSチップ)を、PCB109の底面119上に取付けても良い。複数のチップおよび/または部品160は、以下の一個またはそれ以上を含んでいても良い:デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタルクロック、温度制御装置、メモリ、マイクロプロセッサ、ダイナミックリンクライブラリ、DCポート、データポート、電圧制御発振器、PLL等。複数のチップおよび/または部品160は、ワイヤレスリンクあるいはPCB109上のコネクタ、トレースあるいはワイヤを介して相互に接続されていても良い。T/Rモジュール141からの出力信号170(即ち、デジタル、DC、IFあるいはRF信号)を、貫通ビア165を使用して(またはワイヤレスで接続されて)複数のチップおよび/または部品160に直接接続しても良い。
【0020】
T/Rモジュール141は、第2の層107の底面上にフリップチップ結合あるいは取付けしても良い。フリップチップ移行は、寄生インダクタンスが非常に小さく且つ従来のワイヤボンドに比べてロスが小さい。複数の放熱ビア162が、T/Rモジュール141に直接接続されており、第1および第2の層106、107を介して(熱を)通過させる。複数の放熱ビア162はT/Rモジュール141から熱を除去し、この熱を、第1の層106の上部表面116上に位置する排熱領域163に移送するために使用される。
【0021】
図5は、レーダーおよび撮像装置200の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図であって、このレーダーおよび撮像装置200では、本発明の他の実施形態に従って、第2の層107がPCB109に直接取付けられており、パッケージされたT/Rモジュール141が第2の層107の底面117にフリップチップマウントされている。実装されたT/Rモジュール141からの出力信号170(例えば、デジタル、DC,IFまたはRF信号)を、ワイヤボンド166(あるいはワイヤレス接続)を使用して複数のチップおよび/または部品160に直接接続しても良い。この実施形態では、T/Rモジュール141は予めパッケージされており、それによって追加のLCP層(例えば、図4の108)は必要ない。
【0022】
図6Aおよび6Bは、ビアフェンス190(即ち、直線に沿って配置された複数のビア195)の断面図および上面図である。このビアフェンス190は、本発明の一実施形態に従って、第1のパッチアレイ110と第2のパッチアレイ115との間の分離に使用される。ビアフェンス190は二つの周波数間で高い分離を確実にする。ビア195は距離Dだけ離れていても良く、ここでDは、バンドギャップフィルタを形成するために変化し得る。バンドギャップ効果を得るために、ビア195に加えて、接地(グランド)面120上に周期的構造をエッチングすることができる。これらのバンドギャップ効果の結果として、220GHz送信ライン上の77GHz信号をフィルタして除去することができ、またその逆も可能である。
【0023】
図7は、本発明の他の実施形態に係るレーダーおよび撮像装置300の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図である。このレーダーおよび撮像装置300は、77GHzパッチアレイ111の下方に配置される220GHz開口フィードアレイ133を有している。220GHzアレイ113は、開口フィードされる。特に、複数の開口133が接地面120上に形成され、各開口133は220GHzパッチ113の下または下方に形成され、220GHzマイクロストリップライン122は、第3の層103の裏面上に形成されあるいは印刷される。
【0024】
一実施形態では、第1の層106は、マイクロストリップフェードネットワーク121と共に77GHz孔開きパッチ111のアレイを有している。第1の層106はさらに、SiGeまたはCMOS77GHzT/Rモジュール141において発生した熱を除去するための排熱領域163を含んでいる。接地面120は、第3の層103上にあるいはこの層に隣接して形成される。第3の層103は、第1および第2の層106、107と類似の層であって良い。従って、接地面120が77GHzパッチアレイ111とチップ160を220GHz部品(例えば、220GHz受信器モジュール142および143)から分離し、それによって、77GHzラインまたはシステムと220GHzラインまたはシステム間の漏洩を最小とする、即ち減少させる。複数のチップおよび/または部品160はPCB109に接続されあるいは取付けられている。典型的には、一個の220GHz受信器モジュール(例えば、SiGe、InP、GaAsあるいはCMOSチップ)が各ピクセルの後ろに配置され、従って、220GHz焦点面アレイ810に対して配電網は存在しない。
【0025】
マイクロストリップフィード121は、第1の層106を第1(例えば77GHz)の送受信(T/R)モジュール141に接続するために使用され、マイクロストリップフィード122は第2の層107を第2(例えば220GHz)のT/Rモジュール142に接続するために使用される。第1のT/Rモジュール141は第1の層106の上面116上に形成されあるいは配置され、第1のマイクロストリップフィード121に接続されていても良い。第2のT/Rモジュール142は、第3の層103の底面104上に形成されあるいは配置され、第2のマイクロストリップ122に接続されていても良い。第1のT/Rモジュール141は複数のチップおよび/または部品160にビア172を使用して接続され、第1および第2の受信ジュール142および143は、配線あるいは無線信号170を用いて複数のチップおよび/または部品160に接続されている。
【0026】
77GHz動作のためのパッケージされたモジュール141は、第1の層106の最上面116上に取付けられ、さらに、220GHz動作のためのパッケージされた142および143は第3の層103上に取付けられる。第1および第2のT/Rモジュール141および142は、次に記載する一個またはそれ以上を含むT/Rモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)またはシリコン−ゲルマニウム(SiGe)BiCMOSチップであって良い:T/Rスイッチ、低雑音増幅器(LNA)、可変利得増幅器(VGA)、電源増幅器(PA)、位相シフタ、混合器、中間周波数(IF)増幅器およびアナログ−デジタル(A/D)変換器。第1のT/Rモジュール141は、第1の周波数信号(例えば、77GHz信号)を生成しても良く、第1および第2のモジュール142および143は第2の周波数信号(例えば、220GHz信号)を受信しても良い。
【0027】
3個のミリ波基板層106、107および103は、第3の層103がPCB109上に直接取付けられるようにして、PCB109上に取付けられている。このPCBは全てのデジタル回路を受け入れる。T/Rモジュール141とPCB109間の相互接続は、ビア162(77GHzモジュールに対して)を介して達成され、受信モジュール142および143とPCB109間の相互接続はワイヤボンド170(220GHzモジュールに対して)を介して達成される。両方の場合、相互接続は非常に低い中間周波数またはDCにおいて行われる。従って、PCB109への相互接続には、限られた寄生効果のみしか存在しない。排熱領域163はアレイの側に存在し、適切な熱ストラップが、T/Rモジュール141と受信モジュール142、143の下から熱を取り去るために使用される。
【0028】
図8は、本発明の一実施形態に係る受動ミリ波撮像装置800のブロック図である。ミリ波撮像装置800は、ある焦点面において受信した複数のミリ波光線を焦点合わせするレンズ805を含んでいる。この焦点面上で、複数の高感度受信器の焦点面アレイ(FPA)が受信した複数のミリ波光線を検出し、読出し集積回路を使用して信号を再構成する。77GHzレーダーは、その動作のためにレンズを必要としない。一実施形態では、レンズをビーム修正およびサイドローブレベルの減少のためのみに使用することができるが、しかしながらこのレンズは必ずしも必要ではない。レーダーおよび撮像装置300は、パッチ111および113上に配置されたレンズを使用することができ、このレンズは77GHzにおいて完全に透明であり且つ220GHzで動作する。その代わりに、レーダーおよび撮像装置300は、パッチ111および113上に配置された、77GHzおよび220GHzの両方で動作するレンズを使用することもできる。
【0029】
図9は、本発明の他の実施形態に従って、異なる220GHzアンテナを有するレーダーおよび撮像装置400の3−D集積化デュアルバンドRFフロントエンドの断面図である。例えば、220GHzアンテナに対して、マイクロストリップパッチアンテナを使用しても良い。他の例では、77GHzパッチにおいて孔開き(穿孔)を使用しさらに220GHzのホーンアンテナ180を形成しても良い。別の例では、220GHz動作に対してエンドファイヤアンテナ181を形成する。エンドファイヤアンテナ181は、77GHz穿孔パッチ111の孔112内に垂直に設置される。エンドファイヤアンテナ181は、ヤギウダアンテナあるいは全ての形状の傾斜スロットアンテナ(例えば、ヴィバルディ(Vivaldi)、フェルミなど)であり得る。一例として、図9は、一個の220GHz角状アンテナ180と一個の220GHz傾斜スロットアンテナ181を示している。導波路からマイクロストリップへの遷移が220GHz角状アンテナ180への電源供給に使用される。共平面導波路から共平面ストリップへの遷移が、220GHz傾斜スロットアンテナ181への電源供給に使用される。
【0030】
アンテナを印刷し、SiGe、InP、GaAsあるいはCMOSチップを取付け、熱管理システムを形成し、チップをパッケージングすることに関連する費用を削減するために、(LCPのような)低コスト基板を使用する。これによって、此処に開示したレーダーおよび撮像装置の全体のコストがかなり削減される。3−D集積化技術によって、アンテナから受信器チップ上の低雑音増幅器までのRF遷移の必要数が削減され、さらに挿入ロスが改善されるので、3−D集積化技術はレーダーおよび撮像装置の効率を改善する。これによって、全体のシステムノイズが減少し、レーダーおよび撮像装置の感度(例えば、範囲および最小検出可能ターゲットレーダー断面)が改善される。220GHz撮像装置および77GHzレーダーを結合することによって、両方のシステムに対して1個の取付けブラケットのみを用いることができるため、ミリ波センサを設置するために必要な車両上の空間が減少する。さらに、ミリ波センサのパッケージング、組立ておよび取付けのためのコストが減少する。さらに、220GHz撮像装置および77GHzレーダーを結合することにより、センサ間のデータ融合のための配線の必要性およびミリ波透明材料の使用の必要性が減少する。
【0031】
当業者は、ここに開示された事例と関連して記載されている種々の説明的な論理ブロック、モジュール、およびアルゴリズムステップが、電子的ハードウエア、コンピュータソフトウエアあるいはこれらの組み合わせによって実現可能であることを理解するであろう。ハードウエアとソフトウエアのこのような互換性を明瞭に説明するために、種々の説明的な部品、ブロック、モジュール、回路およびステップを、上記においてそれらの機能の観点から一般的に説明している。このような機能をハードウエアとしてあるいはソフトウエアとして実現するかに関しては、特定の応用およびシステム全体に果たされた設計上の制約に依存する。熟練した技術者であれば、特定の応用それぞれに、様々な方法で記載された機能を実現することができるであろう。しかしながら、このような実行の決断は、開示された装置および方法の範囲から逸脱するものとして解釈されるべきではない。
【0032】
ここに開示された事例と関連して記載されている、種々の説明的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウエアコンポーネント、またはここに記載された機能を実行するように設計されたこれらの全ての組み合わせ、によって実現され且つ実施される。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであって良いが、しかしその代わりに、プロセッサは従来の全てのプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたはステートマシンであっても良い。プロセッサはさらに、計算装置、例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連した一個またはそれ以上のマイクロプロセッサ、あるいはその他の全てのこのような構成、の組み合わせによって実現が可能である。
【0033】
ここに開示した事例に関係して記載されている方法またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウエアによって、プロセッサによって実行されるソフトウエアモジュールによって、あるいはこれらの二つの組み合わせによって実現することが可能である。ソフトウエアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスター、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、あるいはこの分野で周知の記録媒体中に存在するようにしても良い。典型的な記憶媒体は、プロセッサが記録媒体から情報を読み出し、情報を書き込むことができるように、プロセッサと結合されている。あるいは、記憶媒体はプロセッサに一体化されていても良い。プロセッサおよび記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)中に組み込んでも良い。ASICはワイヤレスモデム中に存在していても良い。あるいは、プロセッサおよび記憶媒体は、ワイヤレスモデム中に独立の部品として存在していても良い。
【0034】
開示された事例の上記記載は、全ての当業者が開示された方法および装置を製造し且つ使用することを可能にするべく提供されている。これらの事例に対する種々の変更は、当業者が容易に理解することができるものであり、ここに定義した原理は、開示した方法および装置の精神および範囲を逸脱することなく他の事例に適用することができる。記載した実施形態は、全ての点において説明のためであり本発明を限定するものではなく、従って、本発明の範囲は上記記載よりもむしろ添付の請求の範囲によって示されるものである。請求の範囲の意味および等価の範囲内の全ての変更は、その範囲内であるとして受け入れられるべきである。
【符号の説明】
【0035】
100 レーダーおよび撮像装置
103 第3の層
105 デュアルバンドアレイ
106 第1の層
107 第2の層
110 第1のマイクロストリップパッチアレイ
111 有孔パッチ
112 開口
113 220GHzパッチ
115 第2のマイクロストリップパッチアレイ
109 印刷回路基板(PCB)
120 接地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と底面を有する印刷回路基板と、
前記印刷回路基板の底面に取付けられたプロセッサであって、前記プロセッサは第1の周波数信号と第2の周波数信号を生成するように構成されたプロセッサと、
前記印刷回路基板の前記上面上に形成された第2の液晶ポリマー層と、
前記第2の液晶ポリマー層上に印刷され且つパッチを有する第2のマイクロストリップアレイと、
前記第2の液晶ポリマー層上に形成された第1の液晶ポリマー層と、
前記第1の液晶ポリマー層上に印刷され且つ有孔パッチを有する第1のマイクロストリップアレイと、
前記パッチの下方に配置され且つ前記第2のマイクロストリップアレイに接続されたアンテナと、さらに
前記第2の液晶ポリマー層の底面に接続された送信/受信モジュールであって、前記プロセッサに接続され、さらに前記第1のマイクロストリップアレイに前記第1の周波数の信号を送信し、前記第2の周波数の信号を前記第2のマイクロストリップアレイに送信するように構成された送信/受信モジュールと、を備える、自動車用レーダー。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記パッチは前記有孔パッチの直下に配置される、自動車用レーダー。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記送信/受信モジュールは、前記第2の液晶ポリマー層の底面にフリップチップマウントされている、自動車用レーダー。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、さらに、前記送信/受信モジュールから熱を取り除くために前記送信/受信モジュールに直接接続された複数の排熱ビアを供える、自動車用レーダー。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記パッチは前記有孔パッチの外側境界内に位置している、自動車用レーダー。
【請求項6】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記第1の液晶ポリマー層は前記第2の液晶ポリマー層に結合されている、自動車用レーダー。
【請求項7】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記第2の周波数の信号は前記有孔パッチを介して前記パッチから送信される、自動車用レーダー。
【請求項8】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記送信/受信モジュールは、前記第1の周波数の信号を送信するための第1の送信/受信モジュールと、前記第2の周波数の信号を送信するための第2の送信/受信モジュールとを含む、自動車用レーダー。
【請求項9】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記第1の周波数の信号は約77GHzであり、前記第2の周波数の信号は約220GHzである、自動車用レーダー。
【請求項10】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記アンテナは、220GHz角状アンテナ、220GHzエンドファイヤアンテナおよび220GHz傾斜スロットアンテナから成るグループから選択される、自動車用レーダー。
【請求項11】
請求項1に記載の自動車用レーダーにおいて、前記送信/受信モジュールは、SiGeBiCMOSチップおよび全シリコンCMOSチップからなるグループから選択される、自動車用レーダー。
【請求項12】
請求項11に記載の自動車用レーダーにおいて、さらに、前記SiGeBiCMOSチップおよび接地ビア上に集積化された電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器によって生成されたノイズを分離するための分割接地面とを備える、自動車用レーダー。
【請求項13】
上面と底面を有する印刷回路基板と、
空洞を有し且つ前記印刷回路基板の上面に配置されたパッケージング層と、
複数のパッチを有し且つ前記パッケージング層上に配置された下部層と、
前記複数のパッチに接続され且つ前記下部層上に配置された下部マイクロストリップフィードと、
前記下部層上に位置し且つ前記複数のパッチを露出するための複数の孔を備えたパッチを有する上部層と、
前記上部層に位置し且つ前記パッチに接続された上部マイクロストリップフィードと、さらに
前記パッケージング層の前記空洞内に配置され、さらに、第1の周波数を有する第1の信号を前記上部マイクロストリップフィードに送信し且つ第2の周波数を有する第2の信号を前記下部マイクロストリップフィードに送信するように構成された、送信モジュールと、を備える自動車用レーダー。
【請求項14】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、前記パッケージング層、前記下部層および前記上部層はそれぞれ、液晶ポリマー、低温同時焼結セラミック、パリレンN誘電体、PTFEセラミックおよびPTFEグラスファイバ材料からなるグループから選択された材料で形成される、自動車用レーダー。
【請求項15】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、前記送信モジュールは、SiGeBiCMOSチップおよび全シリコンCMOSチップからなるグループから選択される、自動車用レーダー。
【請求項16】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、前記第2の信号は、前記複数の孔を介して前記複数のパッチから送信される、自動車用レーダー。
【請求項17】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、前記送信モジュールは、第1の信号を送信するための第1の送信モジュールと、前記第2の信号を送信するための第2の送信モジュールを含む、自動車用レーダー。
【請求項18】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、前記第1の周波数は約77GHzであり、前記第2の周波数は約220GHzである、自動車用レーダー。
【請求項19】
請求項13に記載の自動車用レーダーであって、さらに、前記送信モジュールから熱を取り除くために前記送信モジュールに直接接続された複数の排熱ビアを供える、自動車用レーダー。
【請求項20】
上面と底面と空洞を有する印刷回路基板と、
複数のパッチを有し且つ前記印刷回路基板の前記上面上に配置された下部層と、
前記複数のパッチに接続され且つ前記下部層上に配置された下部マイクロストリップフィードと、
前記複数のパッチを露出する複数の孔を有し且つ前記下部層上に配置された上部層と、
前記パッチに接続され且つ前記上部層上に配置される上部マイクロストリップフィードと、さらに、
前記印刷回路基板の前記空洞内に配置され、第1の周波数を有する第1の信号を前記上部マイクロストリップフィードに送信し、第2の周波数を有する第2の信号を前記下部マイクロストリップフィードに送信するように構成された、送信モジュールと、を備える自動車用レーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256327(P2010−256327A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3003(P2010−3003)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【Fターム(参考)】