説明

メタロセン系重合触媒およびこれを用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法

【課題】アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体を高活性に製造することができる重合触媒、およびこれを用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法の提供。
【解決手段】メタロセン錯体[A]と共触媒[B]とを含むことを特徴とする重合触媒、および、その重合触媒の存在下に、少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンとアルケニルシランとを共重合させることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法。成分[A]:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロセン系重合触媒、およびこれを用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、高いオレフィン重合活性を維持しながら、アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体を効率よく製造することができる重合触媒、およびこれを用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系共重合体は、透明性、強度、耐熱性、耐候性に優れ、軽量、安価であり、そのバランスも良いため、フィルムや容器など多くの分野において広範囲に用いられている。一方で、炭素と水素から構成される化学的に安定な構造であるため、変性、極性元素等の導入が困難であり、例えば成形体の表面の化学的な性質等を制御するにも限界がある。
【0003】
これらを改良するための一つの方法としてモノマーを置き換える方法が考えられる。通常工業的に使用されているチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒の場合、酸素、窒素、ハロゲン等を含むモノマーに対しては、活性種を被毒する働きがあるため実質的に重合することが困難であるが、アルケニルシランの様なケイ素を含むビニルモノマーに対しては、遷移金属触媒により重合することが知られている。
【0004】
例えば、ナッタらは、四塩化チタンとトリエチルアルミニウムにより初めてトリメチルビニルシランのホモ重合体を得ている(非特許文献1)。また、メタロセン触媒を使用している例として、岡本ら(非特許文献2)やResconiら(非特許文献3)は、架橋型C対称性、C対称性メタロセン錯体を使用してアリルシランのホモ重合を報告している。これらの中では、C対称性メタロセン錯体を使用した場合、比較的分子量が高いポリマーが得られているが、それでも活性は低いレベルにある。
【0005】
また、オレフィンとの共重合の例として、Byunらはジルコノセンや架橋型C対称性メタロセン錯体を使用してエチレンとアリルトリメチルシランとの共重合を報告している(非特許文献4)。しかし、その場合にも、得られた共重合体の分子量は低く、重量平均分子量で3000以下であり、活性も十分なレベルとは言えない。
【0006】
こうした状況下に、これまでのオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造における問題点を解消し、高いオレフィン重合活性を維持しながら、アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のオレフィン−アルケニルシラン共重合体を効率よく製造することができる新しい重合触媒、およびこれを用いたオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法の研究開発が求められている。
【0007】
【非特許文献1】Journal of Polymer Science,31,181(1958)
【非特許文献2】Macromolecular Chemistry and Physics,199,2211(1998)
【非特許文献3】Polymer,35,4648(1994)
【非特許文献4】Polymer Bulletin,43,333(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、高いオレフィン重合活性を維持しながら、アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体を効率よく製造することができる重合触媒、およびこれを用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のメタロセン錯体と特定の共触媒とを含むメタロセン系重合触媒を調製し、それを用いてα−オレフィンと特定のアルケニルシランとの共重合を行なったところ、高いオレフィン重合活性を維持しながら、アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記に示すメタロセン錯体[A](以下、成分[A]ともいう。)と、成分[A]を活性化する共触媒[B](以下、成分[B]ともいう。)とを含むことを特徴とする重合触媒が提供される。
【0011】
成分[A]:下記構造(I)のメタロセン錯体
【0012】
【化1】

【0013】
〔式(I)中、Rは各々独立して、シクロペンタジエニル置換基に結合する炭素数1〜30のケイ素、ハロゲン、酸素、窒素を含んでもよい置換基であり、Qは周期表15族、16族の原子によりMと結合する炭素数1〜20の置換基を示し、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、X、Yは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基(同一化合物内においてX及びYは同一でも異なっていてもよい)を示す。)nは、0〜5の整数を示す。〕
成分[B]:アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、およびイオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、有機アルミニウム[C](以下、成分[C]ともいう。)を含むことを特徴とする重合触媒が提供される。
【0015】
また、本発明の第2の発明によれば、第1または2の発明において、成分[A]のQが下記に示す構造(II)であることを特徴とする重合触媒が提供される。
【0016】
【化2】

【0017】
(式(II)中、R、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよい。oは0〜3の整数を示す。)
【0018】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分[A]のQが下記に示す構造(III)であることを特徴とする重合触媒が提供される。
【0019】
【化3】

【0020】
(式(III)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、2個のRは同一であっても異なっていてもよい。)
【0021】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成分[A]のMがチタンであることを特徴とする重合触媒が提供される。
【0022】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係る重合触媒の存在下に、少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、下記の成分[D]で示されるアリルシランとを共重合させることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法が提供される。
成分[D]:下記に示す構造(IV)のアルケニルシラン
【0023】
【化4】

【0024】
(式(IV)中、Rは水素、ハロゲン又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、3個のRは同一であっても異なってもよい。また、R、Rは同一でも異なっていても良く、水素又は炭素数1〜4の炭化水素基である。尚、mは0又は1である。)
【0025】
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、α−オレフィンがエチレンであることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法が提供される。
【0026】
また、本発明の第8の発明によれば、第6または7の発明において、共重合体中にアリルシランの含有量が0.5〜80モル%であることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明のメタロセン系重合触媒を用いると、アルケニルシラン含有量の高い共重合体を効率よく、高いオレフィン重合活性で製造できるばかりでなく、従来技術では不十分であった高分子量の共重合体の製造も可能である。そして、得られたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体は、軟質で剥離性やブロッキング防止性がバランスして優れている上に、極性基導入のための変性用原料としても有用である。
【発明を実施するための最良形態】
【0028】
本発明は、特定のハーフメタロセン錯体成分[A](以下、成分[A]ともいう。)と、それを活性化する共触媒成分[B](以下、成分[B]ともいう。)と、さらに必要に応じて有機アルミニウム成分[C](以下、成分[C]ともいう。)とを含むことを特徴とするメタロセン系重合触媒である。さらに、本発明は、このメタロセン系重合触媒の存在下に、少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、特定のアルケニルシラン成分[D]とを共重合させることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法である。
以下、本発明の重合触媒を構成する成分や触媒の調製方法、さらにはその触媒を用いたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法等について詳細に説明する。
【0029】
1.メタロセン錯体[A]
【0030】
本発明のメタロセン系重合触媒には、下記の式(I)に示すメタロセン錯体[A](以下、成分[A]という場合がある)が含まれる。
【0031】
【化5】

【0032】
上記式(I)中、Rは各々独立して、シクロペンタジエニル置換基に結合する炭素数1〜30のケイ素、ハロゲン、酸素、窒素を含んでもよい置換基である。また、二つの置換基が連結していてもよく、例えば、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロインデニル基、4−ヒドロアズレニル基、4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレニル基、および、その置換誘導体等も含む。さらに、RあるいはRが結合するシクロペンタジエニル炭素のいずれかとQが結合していてもよい。Rの中で、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基、ケイ素を含む炭化水素基である。nは、0〜5の整数を示す。
【0033】
が結合したシクロペンタジエニル置換基としての具体的な例としては、シクロペンタジエニル、1−メチルシクロペンタジエニル、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル、1,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル、1−エチルシクロペンタジエニル、1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル、1−i−プロピルシクロペンタジエニル、1−メチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル、1−n−ブチルシクロペンタジエニル、1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル、1−sec−ブチルシクロペンタジエニル、1−sec−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル、1−i−ブチルシクロペンタジエニル、1−i−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル、1−t−ブチルシクロペンタジエニル、1−t−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル、1−フェニルシクロペンタジエニル、1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル、1−シクロヘキシル−3−メチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル、1−メチル−3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、3−メチルインデニル、1,2,3−トリメチルインデニル、2−エチルインデニル、2−i−プロピルインデニル、2−フェニルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、3−メチルインデニル、3−t−ブチルインデニル、3−トリメチルシリルインデニル、3−フェニルインデニル、3−ジエチルアミノインデニル、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、1,2,3−トリメチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、2−メチル−4−ヒドロアズレニル、2−エチル−4−ヒドロアズレニル、フルオレニル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロインデニル等が挙げられる。これらの中で特に好ましくは、シクロペンタジエニル、t−ブチルシクロペンタジエニル、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニルである。
【0034】
Qは、周期表15族、16族の原子によりMと結合する炭素数1〜20の置換基を示し、下記の構造(II)あるいは構造(III)であることが好ましい。
【0035】
【化6】

【0036】
上記式(II)中、R、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよく、具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、sec−ペンチル、sec−ヘキシル等である。Rは炭素数3〜6の炭化水素が好ましく、特に好ましくはi−プロピル基である。oは0〜3の整数を示し、好ましくは0である。
【0037】
【化7】

【0038】
上記式(III)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、2個のRは同一であっても異なっていてもよく、具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−メチル−2−ブチル、フェニル、シクロヘキシル等である。Rは炭素数3〜6の炭化水素が好ましく、特に好ましくはt−ブチル基である。
【0039】
Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、好ましくはチタンである。X、Yは補助配位子であり、成分[B]の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りXとYは配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
【0040】
以下に、上記メタロセン化合物の例として、例えば、下記のものを挙げることができるが、本発明においては、これらの化合物に何ら限定されるものではない。
(1)シクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、(2)1−メチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(3)1−エチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(4)1−n−プロピルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(5)1−i−プロピルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0041】
(6)1−n−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(7)1−i−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(8)1−sec−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(9)1−t−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(10)1、2−ジメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0042】
(11)1、3−ジメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(12)1、2、4−トリメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(13)1、2、3、4、5−ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(14)1−t−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(15)1−メチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0043】
(16)1−トリメチルシリルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(17)1−フェニルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(18)1−シクロヘキシルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(19)シクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−ブチルフェノキシ)チタンジクロリド、(20)1−t−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−ブチルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0044】
(21)1、2、3、4、5−ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−ブチルフェノキシ)チタンジクロリド、
(22)シクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(23)1−メチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(24)1−エチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(25)1−n−プロピルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
【0045】
(26)1−i−プロピルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(27)1−n−ブチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(28)1−i−ブチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(29)1−sec−ブチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(30)1−t−ブチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
【0046】
(31)1、2−ジメチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(32)1、3−ジメチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(33)1、2、4−トリメチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(34)1、2、3、4、5−ペンタメチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(35)1−t−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(36)1−メチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(37)1−トリメチルシリルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(38)1−フェニルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、(39)1−シクロヘキシルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(40)シクロペンタジエニル(ジ−(2−メチル−2−ブチル)イミノ)チタンジクロリド、
【0047】
(41)1−t−ブチルシクロペンタジエニル(ジ−(2−メチル−2−ブチル)イミノ)チタンジクロリド、
(42)1、2、3、4、5−ペンタメチルシクロペンタジエニル(ジ−(2−メチル−2−ブチル)イミノ)チタンジクロリド、
(43)インデニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(44)2−メチルインデニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(45)3−メチルインデニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0048】
(46)(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(47)(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(48)(3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(49)フルオレニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
(50)(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロインデニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド、
【0049】
(51)インデニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(52)2−メチルインデニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(53)3−メチルインデニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(54)(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、」
(55)(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
【0050】
(56)(3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(57)フルオレニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド、
(58)(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロインデニル)(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド
【0051】
上記の化合物は、煩雑な多数の例示を避けて、代表的例示化合物のみ記載して、中心金属がチタンの化合物を記載したが、同様のジルコニウム、ハフニウム化合物も使用可能であることは言うまでもなく、また、種々の配位子あるいは補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
本発明においては、α−オレフィンとアルケニルシランとの共重合体を製造する際に上記メタロセン錯体を2種以上使用することが可能である。
【0052】
2.共触媒[B]
本発明のメタロセン系重合触媒には、成分[A]を活性化するための共触媒[B](以下、成分[B]という場合がある)が含まれる。
成分[B]としては、アルミニウムオキシ化合物[B−1](以下、成分[B−1]という場合がある)、上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸[B−2](以下、成分[B−2]という場合がある)、固体酸微粒子[B−3](以下、成分[B−3]という場合がある)、およびイオン交換性層状珪酸塩[B−4](以下、成分[B−4]という場合がある)からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
【0053】
(2−1)成分[B−1]
アルミニウムオキシ化合物[B−1]としては、具体的には次の一般式(V)、(VI)又は(VII)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化8】

【0055】
上記の各一般式中、Rは、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、nは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(V)及び(VI)で表される化合物は、アルミノキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
【0056】
一般式(VII)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(VIII)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
【0057】
B(OH) (VIII)
【0058】
一般式(VIII)中、Rは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
なお、成分[B−1]は微粒子状担体に担持して使用することも可能である。微粒子状担体については後述する。
【0059】
(2−2)成分[B−2]
成分[B−2]は、前述した遷移金属化合物と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸である。
具体的には、イオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
【0060】
また、ルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。微粒子担体については後述する。
【0061】
(2−3)成分[B−3]
固体酸微粒子[B−3]としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸が挙げられる。
ここで、前述した成分[B−1]および成分[B−2]における微粒子状担体について説明する。
本発明においては、微粒子状担体は、その元素組成、化合物組成についてはとくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0062】
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のような炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの微粒子担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0063】
(2−4)成分[B−4]
成分[B−4]は、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)である。
本発明において、原料として使用する珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
【0064】
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
【0065】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
【0066】
本発明で使用する珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。本発明における化学処理としては、具体的には、次に述べるa)酸処理、b)塩類処理、c)アルカリ処理、d)有機物処理、等が挙げられる。
【0067】
a)酸処理
酸処理は表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処理に用いる塩類および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
【0068】
b)塩類処理
本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
【0069】
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
【0070】
具体的には、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等や、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等や、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、FeC等や、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等や、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
【0071】
c)アルカリ処理
アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
【0072】
d)有機物処理
また有機物処理に用いられる有機物は、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して成分[B]として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分bの水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
【0074】
以上のように、本発明において、成分[B]として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する成分[C]で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する成分[C]の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
【0075】
また成分[B]は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。また造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
【0076】
本発明のα−オレフィン重合用触媒において、アルミニウムオキシ化合物[B−1]、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸[B−2]、固体酸微粒子[B−3]、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩微粒子[B−4]は、それぞれ単独に成分[B]として使用される他、これらの4成分を適宜組み合わせて使用することができる。
【0077】
3.有機アルミニウム[C]
本発明のメタロセン系重合触媒においては、必要に応じて有機アルミニウム[C](以下、成分[C]という場合がある)が用いられる。
本発明では、成分[C]としては、一般式:AlR3−qで示される有機アルミニウム化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基または水素を示し、Zは、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは0より大きくかつ3以下の整数である。Rとしてはアルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
【0078】
好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、q=3のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0079】
4.触媒の調製
本発明による触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。
【0080】
接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
成分[C]を使用する場合は、成分[A]と成分[B]を接触させる前に、成分[A]と、あるいは成分[B]と、または成分[A]及び成分[B]の両方に成分[C]を接触させること、または、成分[A]と成分[B]を接触させるのと同時に成分[C]を接触させること、または、成分[A]と成分[B]を接触させた後に成分[C]を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分[A]と成分[B]を接触させる前に成分[C]といずれかに接触させる方法である。
各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
【0081】
本発明で使用する成分[A]、[B]および任意成分の成分[C]の使用量は任意である。例えば、成分[B]に対する成分[A]の使用量は、成分[B]1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分[B]に対する成分[C]の使用量は、成分[B]1gに対し、好ましくはAlの量が0.01〜1000mmol、特に好ましくは0.05〜500mmolの範囲である。したがって、成分[A]に対する成分[C]の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜100、の範囲内が好ましい。
【0082】
なお、本発明で使用する触媒には、成分[A]、[B]および任意成分の成分[C]以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられるポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体等を添加してもよい。
また、本発明の触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理を実施してもよい。
【0083】
5.α−オレフィンとアルケニルシランの共重合
重合様式は、前記成分[A]と、成分[B]と、さらに必要に応じて成分[C]とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法、主モノマーがプロピレンの場合には不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法などが可能であり、連続重合、回分式重合のいずれも採用できる。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
【0084】
スラリー重合、溶液重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は、0〜200℃であり、また分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0.1〜5MPaG、好ましくは0.5〜3MPaGが適当である。
バルク重合法の場合は、重合温度は、0〜85℃であり、好ましくは60〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。重合圧力は、0.5〜5MPaG、好ましくは2.5〜3.5MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜120℃であり、好ましくは60〜110℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。重合圧力は、0.5〜4MPaG、好ましくは1.0〜3.0MPaGが適当である。
【0085】
本発明で使用するアルケニルシランは、下記の構造(IV)で示される。
【0086】
【化9】

【0087】
上記式(IV)中、Rは水素、ハロゲン又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、3個のRは同一であっても異なってもよい。具体的な例としては、水素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等である。また、R、Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、同一でも異なってもよく、具体的な例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル等である。尚、mは0又は1である。その中で、好ましくは、少なくとも2個のRがメチル基又はエチル基、R、Rは水素であり、特に好ましくは3個のRがメチル基又はエチル基のアルケニルシランである。具体的な例としては、アリルトリメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、ビニルトリエチルシラン等である。
【0088】
少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと上記アリルシランの共重合に際しては、共重合体として少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンとアルケニルシランとの成分の割合は、α−オレフィンが20〜99.5mol%、アルケニルシランが0.5〜80mol%となるように各モノマーの混合比を調整する。炭素数2以上のα−オレフィンとしてはエチレンが好ましい。その場合、共重合体中の割合として6mol%以下の量であれば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等をコモノマーとして使用することも好ましい。
【0089】
前述の触媒を用いて得られた共重合体は、α−オレフィンを20〜99.5mol%、アリルシランを0.5〜80mol%含んでいる。本発明に用いられる触媒系は、特定のモノシクロペンタジエニル化合物を使用しており、この化合物の存在により、アリルシラン含有量が高く、分子量も高いα−オレフィン−アルケニルシランの共重合体を高活性に、効率よく製造することが可能となる。
【0090】
本発明により製造できるα−オレフィンとアルケニルシラン共重合体中のアルケニルシラン成分の割合としては、5〜70mol%が好ましく、10〜60mol%が更に好ましい。上記範囲であれば軟質で剥離性やブロッキング防止性がバランスして優れる。さらに、極性基導入のための変性用原料としても有用である。
【実施例】
【0091】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
【0092】
(1)分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
Tosoh社製HLC−8121GPC/HTを用いて、ゲルパーミエーショングロマトグラフィーの手法により測定した。条件は測定温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、カラム:TSK gel GMHHR−H HT×2,30cm×7.8mm、分子量の算出は標準ポリスチレンから決定した。
【0093】
(2)アルケニルシラン含量の測定
日本電子製JEOL JNM−LA400を用いて、140℃で、パルスフーリエ変換法にて実施した。
【0094】
[実施例1]
内部を真空脱気し窒素置換した100mlのオートクレーブに乾燥メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製:PMAOから溶媒のトルエンとトリメチルアルミニウムを真空下で除いたもの。以下、d−MAOと略称。)を3.0mmol導入し、脱水・脱酸素処理したトルエン24.0ml、脱水・脱酸素処理したアリルトリメチルシラン5.0mlを導入し、オートクレーブの内温を25℃に保ち、トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを1.0ml(0.1マイクロmol)を添加し、即座に4気圧までエチレンで昇圧し、重合を開始した。オートクレーブの内温およびエチレン圧を維持し、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に投入しポリマーを析出させ、ろ過によりポリマーを回収し、減圧乾燥を実施した。
その結果、ポリマー収量は387mgで、触媒活性は23,200(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は243,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.38、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は38mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0095】
[実施例2]
トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は275mgで、触媒活性は16,500(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は246,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.30、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は22mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0096】
[実施例3]
エチレンの圧力を6気圧、トルエンの使用量を27.0ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5ml、トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを0.50ml(0.05マイクロmol)に変更した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は375mgで、触媒活性は45,000(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は313,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.35、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は14mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0097】
[実施例4]
トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリド1.0ml(0.1マイクロmol)の代わりにペンタメチルシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを1.0ml(0.2マイクロmol)を使用した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は145mgで、触媒活性は4,350(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は116,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.02、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は43mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0098】
[実施例5]
トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例4と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は76mgで、触媒活性は2,280(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は145,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.00、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は25mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0099】
[実施例6]
エチレンの圧力を6気圧、トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例4と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は169mgで、触媒活性は5,070(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は282,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.09、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は17mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0100】
[実施例7]
トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを1.0ml(0.1マイクロmol)の代わりにペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリドを1.0ml(0.5マイクロmol)を使用した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は145mgで、触媒活性は1,740(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は25,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.79、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は53mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0101】
[実施例8]
トルエンの使用量を25.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5ml、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリドを2.0ml(1.0マイクロmol)に変更した以外は実施例7と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は113mgで、触媒活性は678(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は22,300、分子量分布(Mw/Mn)は2.32、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は36mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0102】
[実施例9]
エチレンの圧力を6気圧、トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例7と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は153mgで、触媒活性は1,840(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は23,700、分子量分布(Mw/Mn)は2.43、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量23mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0103】
[実施例10]
トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを1.0ml(0.1マイクロmol)の代わりにt−ブチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリドを1.0ml(2.0マイクロmol)を使用した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は104mgで、触媒活性は312(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は12,700、分子量分布(Mw/Mn)は2.45、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は56mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0104】
[実施例11]
トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例10と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は123mgで、触媒活性は369(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は13,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.56、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は36mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0105】
[実施例12]
エチレンの圧力を6気圧、トルエンの使用量を26.5ml、アリルトリメチルシランの使用量を2.5mlに変更した以外は実施例10と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は280mgで、触媒活性は840(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は14,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.49、共重合体中のアリルトリメチルシラン含量は27mol%であった。結果を表1に纏めた。
【0106】
[実施例13]
内部を真空脱気し窒素置換した100mlのオートクレーブに乾燥メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製:PMAOから溶媒のトルエンとトリメチルアルミニウムを真空下で除いたもの。以下、これをd−MAOと略称する。)を3.0mmol導入し、脱水・脱酸素処理したトルエン21.0ml、脱水・脱酸素処理したビニルトリメチルシラン5.0mlを導入し、オートクレーブの内温を25℃に保ち、トルエンに希釈したシクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドを1.0ml(1.0マイクロmol)を添加し、即座に6気圧までエチレンで昇圧し、重合を開始した。オートクレーブの内温およびエチレン圧を維持し、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に投入しポリマーを析出させ、ろ過によりポリマーを回収し、減圧乾燥を実施した。
その結果、ポリマー収量は622mgで、触媒活性は3,730(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は573,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.26、共重合体中のビニルトリメチルシラン含量は12mol%であった。結果を表2に纏めた。
【0107】
[実施例14]
エチレン圧を4気圧に変更した以外は実施例13と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は260mgで、触媒活性は1,560(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は422,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.32、共重合体中のビニルトリメチルシラン含量は19mol%であった。結果を表2に纏めた。
【0108】
[実施例15]
シクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドの代わりにペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)チタンジクロリド1.0ml(0.5マイクロmol)を使用した以外は実施例13と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は156mgで、触媒活性は1,870(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は305,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.86、共重合体中のビニルトリメチルシラン含量は5mol%であった。結果を表2に纏めた。
【0109】
[比較例1]
シクロペンタジエニル(ジ−t−ブチルイミノ)チタンジクロリドの代わりにビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド1.0ml(1.0マイクロmol)を使用した以外は実施例13と同様に実施した。その結果、殆どポリマーは得られなかった。結果を表2に纏めた。
【0110】
[実施例16]
ビニルトリメチルシランの代わりにビニルトリエチルシラン5.0mlを使用する以外は実施例13と同様に実施した。その結果、ポリマー収量は606mgで、触媒活性は7,270(kg−PE/mol−Ti.h)であった。数平均分子量(Mn)は558,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.10、共重合体中のビニルトリエチルシラン含量は5mol%であった。結果を表2に纏めた。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
表1から明らかなように、本発明のメタロセン系重合触媒を用いた実施例1〜12では、アリルシラン含有量の高いα−オレフィン−アリルシラン共重合体が高いオレフィン重合活性でかつ効率よく製造できるばかりでなく、高分子量体も得ることができる。
さらに、表2から明らかなように、本発明のメタロセン系重合触媒を用いた実施例13〜16では、ビニルシランとの共重合も進行し、比較的高い重合活性で、特に高分子量体の製造が可能である。
【産業上の利用性】
【0114】
以上、説明したように、本発明の重合触媒を用いると、高いオレフィン重合活性を維持しながら、アルケニルシランの含有量が高くかつ高分子量のα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体が効率よく製造することができる。そして、得られたα−オレフィン−アルケニルシラン共重合体は、軟質で剥離性やブロッキング防止性がバランスして優れている上に、極性基導入のための変性用原料としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示すメタロセン錯体[A]と、成分[A]を活性化する共触媒[B]とを含むことを特徴とする重合触媒。
成分[A]:下記構造(I)のメタロセン錯体
【化1】

〔(式(I)中、Rは各々独立して、シクロペンタジエニル置換基に結合する炭素数1〜30のケイ素、ハロゲン、酸素、窒素を含んでもよい置換基であり、Qは周期表15族、16族の原子によりMと結合する炭素数1〜20の置換基を示し、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる原子を示し、X、Yは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基または珪素含有炭化水素基(同一化合物内においてX及びYは同一でも異なっていてもよい)を示す。)nは、0〜5の整数を示す。〕
成分[B]:アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、およびイオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
【請求項2】
さらに、有機アルミニウム[C]を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合触媒。
【請求項3】
成分[A]のQが下記に示す構造(II)であることを特徴とする請求項1または2に記載の重合触媒。
【化2】

(式(II)中、R、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよい。oは0〜3の整数を示す。)
【請求項4】
成分[A]のQが下記に示す構造(III)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合触媒。
【化3】

(式(III)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、2個のRは同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
成分[A]のMがチタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合触媒の存在下に、少なくとも一種以上の炭素数2以上のα−オレフィンと、下記の成分[D]で示されるアルケニルシランとを共重合させることを特徴とするオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法。
成分[D]:下記に示す構造(IV)のアルケニルシラン
【化4】

(式(IV)中、Rは水素、ハロゲン又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、3個のRは同一であっても異なってもよい。また、R、Rは同一でも異なっていても良く、水素又は炭素数1〜4の炭化水素基である。尚、mは0又は1である。)
【請求項7】
α−オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項6に記載のオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法。
【請求項8】
共重合体中にアルケニルシランの含有量が0.5〜80モル%であることを特徴とする請求項6または7に記載のオレフィン−アルケニルシラン共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−120810(P2009−120810A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177912(P2008−177912)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【出願人】(303060664)日本ポリエチレン株式会社 (233)
【Fターム(参考)】